JP3109540B2 - 摺動面用潤滑油剤 - Google Patents

摺動面用潤滑油剤

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JP3109540B2
JP3109540B2 JP21986391A JP21986391A JP3109540B2 JP 3109540 B2 JP3109540 B2 JP 3109540B2 JP 21986391 A JP21986391 A JP 21986391A JP 21986391 A JP21986391 A JP 21986391A JP 3109540 B2 JP3109540 B2 JP 3109540B2
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貫一 大海渡
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面用潤滑油剤に関
し、さらに詳しくは、特定のポリオルガノフォスファー
ゼン化合物を含む摺動面用潤滑油剤に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】近年、マ
シニングセンターに代表される金属加工機械の発達はめ
ざましいものがあり、高速化、多様化、自動化が著しい
進歩をとげている。
【0003】このマシニングセンターを始めとする金属
加工機械の作動には、摩耗防止、摩擦熱の除去、加工性
の向上等のため、潤滑油の使用が欠かせない。従来か
ら、金属加工機械の本体の稼動部分、つまり切削や切
断、穴ぐりその他の加工を行なう部所には鉱物油系また
は水溶性、乳化型の金属加工用潤滑油が循環給油されて
おり、ベッド面の摺動面には、スティックスリップ防止
性能や浮き上がり防止性能といった特殊な性能の付与さ
れた、主に硫黄添加剤を含む鉱物油系の摺動面用潤滑油
が断続的に(使い捨て用として)給油されている。
【0004】しかしながら、元来、鉱物油系の摺動面用
潤滑油は鉱物油系の金属加工用潤滑油と共に危険物に指
定されており、常に火災の危険にさらされている。この
ような火災の危険性を排除しないかぎりは、いくら金属
加工機械の高性能化、自動化が達成できたとしても、完
全な無人化操業を行なうことはできない。一方、鉱物油
系の摺動面用潤滑油は、金属加工機械のベッドの移動時
に起こる水溶性または乳化型の金属加工用潤滑油との接
触によって、次のような問題が発生している。
【0005】すなわち、スラント方式のベッドが移動し
た部分に切削油等の金属加工用潤滑油が降りかかると、
この金属加工用潤滑油は上記移動部分に付着していた摺
動面用潤滑油と接触し、両潤滑油は共に金属加工用潤滑
油用の回収タンクに流れ込む。この場合、乳化型や水溶
性の金属加工用潤滑油は、摺動面用潤滑油との親和性が
小さいので、回収タンク内で摺動面用潤滑油と分離して
下部に溜る。
【0006】このように空気と遮断された金属加工用潤
滑油は、嫌気性細菌の繁殖が盛んになるので、短期間で
腐敗分解し易い。さらに、この嫌気性細菌は摺動面用潤
滑油に含まれている硫黄系添加剤をも攻撃する結果、分
解生成した腐食性硫黄化合物が機械や加工物を腐食し易
い。また、腐敗に至らなくても、金属加工用潤滑油はか
なりの程度に変質するので、これを循環使用すると加工
作業に支障をきたすことがある。
【0007】なお、摺動面用潤滑油として、水溶性の金
属加工用潤滑油と親和性のある乳化型摺動面用潤滑油が
開発されてはいるが、ベッド面に金属加工用潤滑油が降
りかかる構造の金属加工機械では、その摺動面用潤滑油
が金属加工用潤滑油によって洗い流されてしまうので、
潤滑不良が生じる問題があった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
ある。本発明の目的は、ポリオルガノフォスファーゼン
化合物における化学構造を変化させることにより、また
ポリオルガノフォスファーゼン化合物の配合量を調節す
ることにより、鉱物油から水に至るまでの広い範囲で各
種の溶媒に対して相溶性を有し、また金属加工面及び摺
動面に共通して使用することのできる兼用油ともなるこ
とのできる摺動面用潤滑油剤を提供することにある。
【0009】本発明者らは、前記問題点を解決する摺動
面用潤滑油の開発研究を行なった結果、特定の置換基を
有するポリオルガノフォスファーゼン化合物を必須成分
とする摺動面用潤滑油剤が前記目的に適うことを、また
ポリオルガノフォスファーゼン化合物における置換基の
構造によっては金属加工用潤滑油を兼ねる摺動面用潤滑
油が得られることを見出した。本発明はこのような発見
に基いて完成されたものである。
【0010】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ための本発明は、下記一般式(化1)に示されるポリオ
ルガノフォスファーゼン化合物を0.05〜100重量
%含有することを特徴とする摺動面用潤滑油剤である。
【0011】
【化1】
【0012】[ただし、式中、nは3〜4であり、Xお
よびX1 は一般式R1 −(OR2a−O−で示される
基であり、この一般式中、R1 は炭素数1〜12のアル
キル基または炭素数6〜18のアリ−ル基を表わし、R
2 は炭素数2、3または4の直鎖もしくは分岐のアルキ
レン基の単独または複数の基のブロック、ランダムまた
は交互の結合であり、XおよびX1 は互いに同一であっ
ても相違していても良い。aは付加モル数を示す。]前
記(化1)で示される一般式において、R1 で示される
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等
を挙げることができる。このアルキル基は、炭素数が1
〜12の範囲内であれば、アルキル基、アルコキシ基、
アリール基等の置換基を有していても良い。R1 で示さ
れるアルキル基として好ましいのは、炭素数1〜10の
アルキル基である。
【0013】前記(化1)で示される一般式において、
1 で示されるアリール基としては、フェニル基、ナフ
チル基、およびアンスラセニル基等を挙げることができ
る。これらフェニル基、ナフチル基、およびアンスラセ
ニル基等は、メチル基やエチル基等のアルキル基、シク
ロヘキシル基等のシクロアルキル基等の置換基を有して
いても良い。R1 で示されるアリール基として好ましい
のはフェニル基である。
【0014】前記(化1)で示される一般式において、
2 で示されるアルキレン基として、エチレン基、プロ
ピレン基、ブチレン基を挙げることができる。また、a
は付加モル数を示し、通常、1〜50であり、好ましく
は1〜20であり、特に好ましくは2〜15である。−
(OR2a −O−において、複数のR2 は同一であっ
てもまた相違していても良く、異なるR2 が主鎖中に含
まれる場合には、異なるR2 がランダムまたは交互に配
列されていても良く、また、異なるR2 がブロック状に
配列されていても良い。
【0015】前記(化1)で示される一般式において、
nは3〜4である。このnは3および4の整数を示す
外、3と4との間の任意の数例えば、3.2、3.3、
3.4等の3を越える小数であっても良い。前記(化
1)で示されるポリオルガノフォスファーゼン化合物
は、nが3または4であるときには、単一種の化合物で
あるが、nが3を越える小数であるときには、複数種の
ポリオルガノフォスファーゼン化合物の混合物である。
【0016】本発明において、前記(化1)で示される
ポリオルガノフォスファーゼン化合物は、R1 およびR
2 の種類、−(OR2a −O−におけるOR2 のシー
ケンスによりポリオルガノフォスファーゼン化合物の特
性が種々に変化する。ポリオルガノフォスファーゼン化
合物は、例えば、R1 およびR2 における炭素数が多く
なると非水溶媒に対する親和性が大きくなると共に水不
溶性になり、R1 およびR2 における炭素数が少ないと
非水溶媒に対する親和性が小さくなる傾向があり、水溶
性が向上する。ポリフォスファーゼン化合物のかかる性
質を利用してさまざまの特性を有する摺動面用潤滑油剤
を、このポリオルガノフォスファーゼン化合物単独で、
あるいは他の成分と組み合わせることにより、形成する
ことができる。
【0017】例えば、ポリオルガノフォスファーゼン化
合物のみからなる摺動面用潤滑油剤、すなわちポリオル
ガノフォスファーゼン化合物を100%の割合で含有す
る摺動面用潤滑油剤は、R1 が炭素数1〜18であるア
ルキル基もしくはアリール基であり、および/またはR
2 がプロピレン基もしくはブチレン基であり、付加モル
数aが2以上のときには、水不溶性金属加工油剤として
使用することもできる。
【0018】ポリオルガノフォスファーゼン化合物を1
00%の割合で含有する摺動面用潤滑油剤は、R1 が炭
素数1〜6であるアルキル基およびR2 がエチレン基で
あるときには、水に対する親和性が大きく、水溶性にな
る。この場合、水溶性であるポリオルガノフォスファー
ゼン化合物のみからなる摺動面用潤滑油剤は、この摺動
面用潤滑油剤を使用する金属加工機械における加工部所
に使用される金属加工用潤滑油剤が水溶性もしくは乳化
型であるときに、これらと混合しても層分離を起こさ
ず、したがって、これらの金属加工用潤滑油剤を腐敗分
解させる恐れがない。水溶性ポリオルガノフォスファー
ゼン化合物を100%の割合で含有する摺動面用潤滑油
剤は、R1 、R2 及び、付加モル数aを適宜に選択する
ことにより、優れた潤滑特性、高い粘度指数、および水
よりも低い流動点を得ることができる。このことは特に
冬期の使用に非常に有利である。また、水溶性ポリオル
ガノフォスファーゼン化合物を100%の割合で含有す
るので、摺動面用潤滑油自身の経時変化による、分離、
沈殿等の現象が全く起こらず、分配器の作動不良を皆無
にすることができる。
【0019】なお、ポリオルガノフォスファーゼン化合
物を100%の割合で含有する、換言するとポリオルガ
ノフォスファーゼン化合物のみからなる摺動面用潤滑油
剤は、一種のポリオルガノフォスファーゼン化合物で形
成することもできるし、二種以上のポリオルガノフォス
ファーゼン化合物の混合物により形成することもでき
る。これは前記一般式におけるnが3を超える小数であ
っても良いことから、理解されよう。
【0020】本発明の摺動面用潤滑剤は、前記一般式で
示されるポリオルガノフォスファーゼン化合物のみから
なる場合の他に、前記ポリオルガノフォスファーゼン化
合物と他の成分との混合物として形成することもでき
る。本発明の摺動面用潤滑油剤が組成物である場合、ポ
リオルガノフォスファーゼン化合物の含有量は、通常
0.05重量%以上100重量%未満である。
【0021】本発明の摺動面用潤滑油剤は、(1) 従来の
潤滑油剤に添加剤としてポリオルガノフォスファーゼン
化合物を添加する形態にて構成することもできるし、ま
た、(2) ポリオルガノフォスファーゼン化合物を主成分
として種々の添加剤を配合する形態にて構成することも
できる。従来の潤滑油剤にこのポリオルガノフォスファ
ーゼン化合物を添加して摺動面用潤滑油剤を形成する場
合、その潤滑油剤として、基油と各種添加剤とを含有す
る油組成物を挙げることができる。
【0022】前記基油としては、原料によって分類され
るところの、パラフィン系油、およびナフテン系油等の
石油系基油ならびに動植物油類および合成潤滑油等の非
砿油系基油、粘度によって分類されるところの、軽質潤
滑油、中質潤滑油、重質潤滑油を挙げることができる。
石油系基油として、スピンドル油、冷凍機油、ダイナモ
油、タービン油、マシン油、シリンダ油、ギヤ油、自動
変速機油、圧縮機油、真空ポンプ油等を挙げることがで
きる。非石油系基油としては、炭化水素系、エステル
系、ポリグリコール系、ポリフェニルエーテル系、シリ
コーン系等を挙げることができる。
【0023】基油と共に使用される各種の添加剤として
は、芳香族アミン系化合物、フェノール系化合物、ジア
ルキルジチオ燐酸亜鉛系化合物、リン硫黄系化合物、イ
オウ化合物および燐化合物等の酸化防止剤、多極性ポリ
マー、ポリアルケニルサクチニイミド、石油系スルホン
酸カルシウム、塩基性スルホン酸バリウム、バリウムフ
ェネート、硫化フェノールカルボン酸塩等の清浄剤、ポ
リブテン、ポリメタクリレート等の粘度指数向上剤、塩
素化パラフィン・ナフタレン縮合物およびポリメタクリ
レート等の流動点降下剤、金属面に吸着して摩擦を低下
させる油性剤、摩擦面で遭遇する高温の条件下で金属表
面と速やかに反応して被膜を形成する所謂極圧剤、ジメ
チルポリシロキサン等のシリコ−ン化合物で形成される
消泡剤、さび止めを目的として使用される防錆剤、潤滑
剤が摩擦面上に強固にくっついて降り飛ばされたり、滴
り落ちたりしないようにするための粘着剤、外観を美麗
にして商品価値を向上させるための着色剤等を挙げるこ
とができる。これらの各種の添加剤は、上記したものを
全て使用する必要はなく、摺動面用潤滑油剤に付与する
特性に応じて適宜に選択される。
【0024】摺動面用潤滑油剤において、従来の潤滑油
剤に添加剤としてポリオルガノフォスファーゼン化合物
を添加する形態のときは、ポリオルガノフォスファーゼ
ン化合物の添加量は、通常、0.05〜50重量%であ
る。添加剤として配合されるこのポリオルガノフォスフ
ァーゼン化合物においては、前記R1 およびR2 の種類
と付加モル数aの値を適切に選択することにより、基油
に対する親和性を高めておくのが望ましい。従来の潤滑
油剤に対して上記一般式で示されるポリオルガノフォス
ファーゼン化合物を添加剤として添加すると、従来の潤
滑油剤に比べて、潤滑性を更に向上させ、粘度指数を高
くすることができ、流動点を大きく下げることができ
る。
【0025】水溶性ポリオルガノフォスファーゼン化合
物を主成分として種々の添加剤を配合する形態の場合に
も、前記した各種添加剤の殆ど総てを利用することがで
きるが、これらの各種の添加剤は、上記したものを総て
使用する必要はなく、加工工程に必要な摺動面用潤滑油
に対する要求性能に応じて適宜に選択される。
【0026】ポリオルガノフォスファーゼン化合物を主
成分として種々の添加剤を配合する形態の場合、前記R
1 およびR2 の種類と付加モル数aを適切に選択するこ
とにより、水に対する親和性を高めたときには、ラウリ
ン酸、ミルスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ヤシ
油脂肪酸、牛脂肪酸、トール油脂肪酸、ダイマー酸、大
豆油脂肪酸などを代表とする各種脂肪酸のアルカノール
アマイド、これら各種脂肪酸の酸化エチレン付加物、お
よびウラリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミ
ンなどを代表とする各種脂肪酸アミンの酢酸塩、これら
各種脂肪酸アミンの酸化エチレン付加物などを中心とし
た水溶性油性向上剤、安息香酸、p−t−ブチル安息香
酸、セバシン酸、ペラルゴン酸、ノナン酸、デカン酸、
ドデカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アルケニルコ
ハク酸などを代表とする有機酸のアマイド、アミン塩ま
たはアルカリ金属塩、エタノールアミン、プロパノール
アミン、モルフォリン、アルキルモルフォリン、シクロ
ヘキシルアミン、ジアミン、ポリアミンなどを代表とす
るアミン類、亜硝酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、リン酸ソー
ダ、モリブデン酸ソーダなどを代表とする無機アルカリ
塩といった水溶性防錆防食剤、アルコール、グリコー
ル、ポリグリコール、グリコールエーテル水溶性ポリマ
ーなどを代表とする粘度調節剤、必要に応じて添加され
る酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、
防カビ剤、殺菌剤などの各種添加剤、および水を配合す
ることにより、水溶性摺動面用潤滑液が得られる。
【0027】この場合には、摺動面用潤滑油剤と併用す
る金属加工油剤を水溶性換言すると不燃性にすることが
でき、危険物取り扱い業務から解放され、作業の自動
化、合理化、無人化を達成することが可能になるという
特性を発揮させることができる。
【0028】以上に詳述したように、この発明における
ポリオルガノフォスファーゼン化合物は、前記R1 およ
びR2 の種類や繰り返し単位数nおよび付加モル数aを
選択することにより、水に対する親和性を発揮し、ある
いは非水溶媒に対する親和性を発揮したりする。したが
って、ポリオルガノフォスファーゼン化合物の特性を調
節し、またポリオルガノフォスファーゼン化合物の含有
量を調節することにより、種々の特性を備えた摺動面用
潤滑油剤が構成される。
【0029】つまり、金属加工たとえば、切削加工、研
削加工、塑性加工等に使用される潤滑油剤として、加工
部所の潤滑性向上のためにこのポリオルガノフォスファ
ーゼン化合物を水不溶性金属加工油剤として使用するこ
ともできるし、また、加工機械の摺動部所の潤滑性に寄
与する摺動面用潤滑油剤として使用することもできる。
このように、R1 およびR2 における炭素数が多く、付
加モル数aが2以上のポリオルガノフォスファーゼン化
合物からなる潤滑油剤は、例えば同一のマシニングセン
ターにおける金属加工用潤滑油剤として、また摺動面用
潤滑油剤として兼用することができる。
【0030】したがって、R1 およびR2 における炭素
数が多く、付加モル数aが2以上のポリオルガノフォス
ファーゼン化合物からなるこの摺動面用潤滑油剤を使用
するときには、そのマシニングセンターに適する金属加
工用潤滑油剤を選択し、あるいはそのマシニングセンタ
ーに適する金属加工用潤滑油剤と摺動面用潤滑油剤との
最適な組み合わせを考慮する煩雑さが解消される。
【0031】かかるポリオルガノフォスファーゼン化合
物は、公知の方法によって製造することができ、たとえ
ば、ホスホニトリルハライドトリマーあるいは、ホスホ
ニトリルテトラマーあるいはこれらの任意の割合の混合
物とR1−(OR2a −O−M(ただし、Mはアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属を示す。)とを反応させ
ることにより容易に合成することができる。
【0032】
【実施例】次に、本発明に用いるポリオルガノフォスフ
ァーゼン化合物の具体的な合成例を説明する。なお、本
発明は以下の合成例に限定されない。
【0033】(合成例1)オートクレーブにブチルジグ
リコール324g(2モル)と触媒として水酸化カリウ
ムをブチルジグリコールの約1重量%分である3.3g
を仕込み、窒素ガスにて圧力3kg/cm2 で3回置換
した後120℃に加熱した。
【0034】続いて、プロピレンオキサイド464g
(8モル)を内圧8kg/cm2 以下に保ちながら約8
時間で導入した後、3時間140℃に保温し反応を完結
させ取り出した。アルカリ分をリン酸で中和し、水洗後
温度140℃まで加熱脱水し、セライトで濾過して77
2g、収率98%の生成物を得た。
【0035】生成物の物性値は、水分が0.05重量
%、pHが6.8、水酸基価が145.7、40℃にお
ける粘度が10.4mm2 /S、凝固点が−60℃以下
であった。
【0036】次に、コンデンサー、撹拌装置、温度計を
備えた四ッ口フラスコに上記生成物(水酸基価より分子
量計算、分子量385.04)を235g(0.61モ
ル)とトルエン500mlとを仕込み、冷却下で金属ナ
トリウム片15g(0.65モル)を投入し、ナトリウ
ムが完全に溶解するまで40℃で4時間反応させた。
【0037】この反応液にトルエン250mlに溶解し
たホスホニトリルクロリドトリマー(融点112〜11
4℃)36.5g(0.105モル)の溶液を50℃で
滴下し、還流下に、温度110〜115℃で4時間かけ
て反応を行なった。反応生成物に少量の水と希塩酸を加
え共沸脱水し、生成塩化ナトリウムを遠心分離後更に水
洗、乾燥し、減圧下で脱トルエンを行ない、235gの
淡黄色透明な生成物を得た。
【0038】JISK0070にて水酸基価を測定した
ところ、0.3でJISK2241による塩素分の分析
法では塩素0.02%であった。赤外線スペクトル分析
(日本分光株式会社製IR810型)の結果、3250
cm-1のOHの吸収がなくなり、C−O−Pアリファテ
ックの吸収である1,424cm-1が現れ、ヘキサキス
(ブチルジオキシエチレンテトラオキシプロピレンオキ
シ)環状トリホスホニトリルエステルの構造を示してい
た。この物質の密度は0.99/gcm3 、粘度40℃
75.5mm2 /S、100℃、14.8mm2
S、流動点−47.5℃であった。
【0039】(合成例2)オートクレーブにブチルジグ
リコール162g(1.0モル)と触媒として水酸化カ
リウムをブチルジグリコールの約1重量%1.65gを
仕込み、窒素ガスにて圧力3kg/cm2 で3回置換し
た後、120℃に加熱した。
【0040】続いて、プロピレンオキサイド465g
(8.01モル)を内圧8kg/cm2 以下に保ちなが
ら約8時間で導入した後、3時間140℃に保温し、反
応を完結させ取り出した。
【0041】アルカリ分をリン酸で中和し、水洗後温度
140℃まで加熱、脱水し、セライトで濾過して608
g収率97%の生成物を得た。生成物の物性値は、水分
が0.05重量%、pHが7.0、水酸基価が90、4
0℃における粘度が21.7mm2 /S、凝固点が−6
0℃以下であった。
【0042】次に、コンデンサー、撹拌装置、温度計を
備えた四ッ口フラスコに上記生成物(水酸基価より分子
量計算、分子量623.3)を374g(0.60モ
ル)とトルエン700mlを仕込み、冷却下で金属ナト
リウム片14.2g(0.617モル)を投入し、ナト
リウムが完全に溶解するまで40℃で4時間反応させ
た。
【0043】この反応液にトルエン250mlに溶解し
たホスホニトリルクロリドトリマー(融点112−11
4℃)36g(0.104モル)の溶液を50℃で滴下
し、還流下、温度110〜115℃で4時間反応を行な
った。反応生成物に少量の水と希塩酸を加え共沸脱水
し、生成塩化ナトリウムを遠心分離後、更に水洗、乾燥
させ、減圧下でトルエンを溜去し、370gの淡黄色透
明な液体を得た。前記合成例1と同様に水酸基価を測定
したところ、0.2で、塩素分は0.03%であった。
【0044】赤外線スペクトル分析の結果、3250c
-1のOHの吸収が殆どなくなり、C−O−Pアリファ
テックの吸収である1424cm-1があらわれ、ヘキサ
キス(ブチルジオキシエチレンオクタオキシプロピレン
オキシ)環状ホスホニトリルエステルの構造を示してい
た。この物質の密度は、15/4℃で0.98g/cm
3 、粘度40℃ 155mm2 /S、100℃ 29.
4mm2 /S、流動点−50℃であった。
【0045】(合成例3)前記合成例1と同様にオート
クレーブに2−エチルヘキシルジグリコール437g
(2.0モル)と、触媒として水酸化カリウムを2−エ
チルヘキシルジグリコールの約1重量%4.4gを仕込
み、窒素ガスにて圧力3kg/cm2 で3回置換した後
120℃に加熱した。続いてプロピレンオキサイド46
5g(8.01モル)を内圧8kg/cm2以下に保ち
ながら約8時間で導入した後、3時間140℃に保温し
反応を完結させ取り出した。
【0046】アルカリ分をリン酸で中和し、水洗後温度
140℃まで加熱、脱水し、セライトで濾過して883
g、収率98%の生成物を得た。生成物の物性値は水分
0.03重量%、pH6.8、水酸基価125、粘度4
0℃ 11.5mm2 /S、凝固点−60℃以下であっ
た。次に、コンデンサー、撹拌装置、温度計を備えた四
ッ口フラスコに上記生成物(水酸基価より分子量計算、
分子量448.8)を270g(0.602モル)とト
ルエン500mlを仕込み、冷却下で金属ナトリウム片
14g(0.609モル)を投入し、ナトリウムが完全
に溶解するまで40℃で4時間反応させた。
【0047】この反応液にトルエン250mlに溶解し
たホスホニトリルクロリドトリマー(融点112〜11
4℃)35.5g(0.102モル)の溶液を50℃で
滴下し、還流下、温度110〜115℃で4時間反応を
行なった。反応生成物に少量の水と希塩酸を加え共沸脱
水し、生成塩化ナトリウムを遠心分離後、更に水洗、乾
燥させ減圧下でトルエンを溜去し、270gの淡黄色透
明な液体を得た。
【0048】前記合成例1と同様に水酸基価を測定した
ところ、0.2で、塩素分0.02%であった。赤外線
スペクトル分析の結果、3250cm-1のOHの吸収が
殆どなくなり、C−O−Pアリファテックの吸収である
1424cm-1が現れ、ヘキサキス(2−エチルヘキシ
ルジオキシエチレンテトラオキシプロピレンオキシ)環
状ホスホニトリルエステルの構造を示していた。
【0049】この物質の密度は15/4℃で0.98g
/cm3 、粘度40℃ 84mm2/S 100℃ 1
5.86mm2/Sで流動点は−50℃であった。 (実施例1、比較例1)前記合成例に準じて、ヘキサキ
ス(ブチルヘキサオキシプロピレンオキシ)環状ホスホ
ニトリルエステル(ポリホスファーゼン化合物1)、ヘ
キサキス(2−エチルヘキシルペンタオキシプロピレン
オキシ)環状ホスホニトリルエステル(ポリホスファー
ゼン化合物2)、ヘキサキス(メチルジオキシエチレン
ペンタオキシプロピレンオキシ)環状ホスホニトリルエ
ステル(ポリホスファーゼン化合物3)、ヘキサキス
(メチルデカオキシエチレンオキシ)環状ホスホニトリ
ルエステル(ポリホスファーゼン化合物4)を合成し
た。
【0050】これらのポリホスファーゼン化合物を基に
して表1に示す組成の試料を形成した。
【0051】
【表1】
【0052】これらの試料(イ) 〜(ヌ) につき、以下の試
験を行った。その結果を表2に示した。
【0053】<油性試験>試料に付き、曽田式振子試験
機II型を使用して油性試験を実施し、摩擦係数を測定し
た。試験条件は以下の通りである。
【0054】初期振幅;0.5ラジアン Pmin=74kg/mm2 、 Pmax=111kg/mm2 試験回数;3回 試験温度;25℃ <耐荷重性能試験>試料につき、曽田式耐荷重性能試験
機(四球式)を用いてJIS K 2519に規定する
潤滑油耐荷重性能試験方法にしたがって焼き付き荷重を
測定した。試験条件は以下の通りである。
【0055】回転数 ;750rpm 荷重 ;ステップバイステップ式 限界圧力;15kg/cm
【0056】
【表2】
【0057】(実施例2および比較例2)前記試料
(イ) 〜(ヌ) につき、以下の試験を行った。その結果
を表3に示した。
【0058】<実用性能評価試験> −予備試験− 中村留精密工業(株)製NC旋盤[TMC−3]の潤滑
油系配管内をあらかじめ試料によって洗浄した後に、コ
ントロールユニットをすべて交換した。潤滑油タンクに
試料を注入し、摺動面潤滑油の定常条件にて試料をスラ
イド面に1ml/3分の割合で間接給油方式によって6
0分間給油した(このとき、潤滑油タンクのゲージ圧を
測定した。)。
【0059】次に、本体下部の加工液タンクより水溶性
切削液(JIS K 2241で規定された切削油剤の
W−2種1号相当品)の5%水溶液を30リットル/分
の割合で5分間吹きつけた後に停止し、スライド面を1
往復作動させた状態でスライド面に残存する摺動面潤滑
油の残存状態を目視により観察した。評価項目と評価内
容とを以下に示し、評価結果を表3および表4に示し
た。
【0060】スライド面の状態 ◎ 正常良好である。 ○ やや抵抗が大きい。 × 潤滑不良 潤滑油の残存性 ◎ 良く残っている。 ○ 残存量が少ない。 × 残らない。 −本試験− 次にTMC−3の定常運転条件にて切削、旋盤、中グ
リ、穴あけ、リーマ等の加工を14日間継続し(加工物
の形状、加工の目的により加工内容に若干の相違がある
が、加工液の使用状況はほぼ同一である。)、以下の項
目につき評価した。評価結果を表3および表4に示し
た。なお、摺動面潤滑油の試料を交換するときは加工液
も同時に交換して試験を行った。
【0061】判定項目と判定内容 スライド面の状態 ◎ 非常に良好 ○ 良好 × 油膜切れを起こす。 コントロールユニットの作動状態 ◎ 正常 ○ やや吐出量が低下する。 加工部の発煙性 表中に記載 被加工物の面粗度 ○ 加工時間の経過と共に面粗度が向上して行く。 △ 変化なし。 × 次第に悪くなり、防錆効果なし。 加工液の状態 ◎ 浮遊物がなく、非常に良好 △ 変化なし。 × 上部に油膜層が発生 加工液の温度 表中に記載 加工液のpH 表中に記載 加工液の腐敗状況 表中に記載 生菌数 表中に記載
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】
【0065】本発明の摺動面用潤滑油剤は、一般式
【化
1)で示される特定のポリオルガノフォスファーゼン化
合物を含み、しかもR1 −(OR2a −O−で示され
る基を適正に選択することにより、水溶性または乳化型
の金属加工用潤滑油と親和性があり、該油と混合しても
腐敗分解させる恐れがなく、また金属加工用潤滑油がベ
ッド面に降りかかっても洗い流されることがなく、しか
も火災の心配を無くすことができる。 【0066】このような特性を発揮することにより、連
続加工工程の自動化、および合理化が達成でき、無人化
による操業が可能となる。また、取り扱い数量の規制、
保管場所の限定、消化防災設備の確保といった危険物に
伴う諸制約から解放され、職場環境の著しい改善が可能
となる。また、R1 −(OR2a −O−で示される基
を適正に選択することにより、親油性のポリオルガノフ
ォスファーゼン化合物とすることができ、金属加工用潤
滑剤ともなる摺動面用潤滑油剤とすることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C10N 30:12 40:02 40:04 40:06 40:20 40:22 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 105/74 C10M 137/16 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(化1)に示されるポリオル
    ガノフォスファーゼン化合物を0.05〜100重量%
    含有することを特徴とする摺動面用潤滑油剤。 【化1】 [ただし、式中、nは3〜4であり、XおよびX1 は一
    般式R1 −(OR2a−O−で示される基であり、こ
    の一般式中、R1 は炭素数1〜12のアルキル基または
    炭素数6〜18のアリール基を表わし、R2 は炭素数
    2、3または4の直鎖もしくは分岐のアルキレン基の単
    独または複数の基のブロック、ランダムまたは交互の結
    合であり、XおよびX1 は互いに同一であっても相違し
    ていても良い。aは付加モル数を示す。]
  2. 【請求項2】 前記一般式中の付加モル数aが1〜50
    である請求項1に記載の摺動面用潤滑油剤。
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