JP3108229B2 - ディスク成形用射出圧縮金型装置 - Google Patents

ディスク成形用射出圧縮金型装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はディスク成形用射出圧
縮金型装置に関し、特には中心開口を有するディスク成
形品の成形においてそのゲートカットと同時に中心開口
を形成するようにした射出圧縮金型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばレンズやディスク成形品のような
精密成形品を射出成形によって得るに際しては従来より
射出圧縮成形が採用されている。この射出圧縮成形(イ
ンジェクション・コンプレッション成形)は、樹脂材料
を金型キャビティ内に射出した後に、可動側金型に型締
力を加えて該キャビティ内の樹脂材料を圧縮して成形を
おこなうものである。このように樹脂材料を一旦キャビ
テイ内に注入した後に圧縮を行うものにあっては、成形
品に平均した圧縮力が作用し、内部応力の少ない緻密で
やけや空洞のない精密な成形品を得ることができる。
【0003】しかるに、この種の射出圧縮成形用金型装
置にあっては、可動側金型が成形時に位置移動するもの
であるから、成形サイクルの短縮化と金型キャビティか
らの溶融樹脂の逆流防止のため、金型キャビティへの樹
脂材料のゲートをどのように閉じるかが問題となる。特
公昭53−782号公報では、スプルブッシュを軸方向
に摺動自在に構成し、スルプブッシュと対向して進退可
能に設けられた駒部材を前記スプルブッシュに係合せし
めてゲートカットする技術が開示される。
【0004】一方、中心開口を有するディスク成形品に
あっては、このゲートカットと同時に中心開口を形成す
ることが、成形サイクルの短縮および成形品の物性上好
ましい。さらに、この種のディスク成形品においては、
従来の精密成形品に求められる高精度の品質に加えて、
さらに複屈折率等の光学的物性の向上のために成形時に
おけるディスク成形品における外周側と中心開口周辺の
内周側の内部応力(残留応力)の平均化が求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な状況に鑑み提案されたものであって、特に、中心開口
を有するディスク成形用の射出圧縮金型において、極め
て効果的かつ有効に金型キャビティへの樹脂材料のゲー
トを閉じると同時に成形品の中心開口を形成し、あわせ
て、ディスク成形品の内部応力の調整も可能である新規
なディスク成形用射出圧縮金型装置を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明に係
るディスク成形用射出圧縮金型装置は、樹脂材料を金型
キャビティ内に射出した後に、型締力により該キャビテ
ィ内の樹脂材料を圧縮し成形するようにした中心開口を
有するディスク成形品のための射出圧縮金型装置におい
て、固定側金型に、前記ディスク成形品の中心開口と同
径の内孔を有しかつ先端部が前記金型キャビティに臨む
ダイス部材を固定し、前記ダイス部材の内孔に、前端部
が前記ダイス部材先端部より一定距離内側に位置するよ
うにスプルブッシュを配し、一方、可動側金型には、前
記ダイス部材内孔と対向する先端部を有し、かつ該先端
部が前記金型キャビティに流入する樹脂材料のためのゲ
ート部を開いたり閉じたりするように油圧シリンダ装置
によって作動される進退自在なポンチ部材を配置し、前
記油圧シリンダ装置には、前記ゲート部を閉じる位置を
その前進駆動油圧によって調整するための圧力調節弁を
設けるとともに、前記ポンチ部材先端部の前進限度位置
が前記スプルブッシュの前端部から一定距離離れた位置
になるように規制するストッパを設けたこと特徴とす
る。
【0007】
【実施例】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説
明すると、図1はこの発明の一実施例を表す光学的ディ
スク成形品のための金型装置の概略の要部断面図、図2
はその型締め完了時の要部断面図、図3は樹脂材料の射
出状態を示す要部断面図、図4は射出完了後の圧縮状態
を示す要部断面図、図5はゲートカット状態を示す要部
断面図である。
【0008】図1に示す装置は光学的ディスク成形品を
成形する射出圧縮成形用金型装置の概略を表すもので、
符号10は固定側金型全体を示し、11は固定側鏡面
板、12はその取付板、13はスプルブッシュ、14は
そのスプル孔、15はスプルブッシュ外周に配置された
ダイス部材、20は可動側金型全体を示し、21は可動
側鏡面板、22はその取付板、25はポンチ部材、26
はスプル突出しピンである。符号Cは金型キャビティ
で、Gはゲート部、Pは型合わせ面、Iは射出装置、N
はそのノズルを表す。なお、図示した金型装置は、本発
明の説明のために簡略化して示したもので、具体的な構
成については公知の範囲内で各種のものがあることは言
うまでもない。
【0009】また、図1の符号30は本発明のポンチ部
材25の作動部材となる油圧シリンダ装置を表し、31
は可動型20に設けられたシリンダ、32はそのピスト
ン、33および34はその作動油の流出入口である。な
お、符号39はピストン32の前進限度位置を規定する
ためのストッパ部材であって、ポンチ部材25が最前進
してもスプルブッシュ13の先端に絶対あたらないよう
になっている。
【0010】この油圧シリンダ装置30は、同図下側に
示した基本油圧回路Sによって作動される。同回路S中
の符号40は固定吐出量ポンプ、41はタンク、42は
油圧油の方向切替弁で、ソレノイドFとBの励磁または
消磁によってポンチ部材25の前進または後退の作動方
向の切替が行われる。また、符号43は油圧油の圧力調
節弁で、この圧力調節によってポンチ部材25の前進位
置の調節がなされるよになっている。さらに、符号44
および45はそれぞれ油圧油の流量(絞り)調節弁で、
ポンチ部材25の前進または後退の速度調節がなされ
る。
【0011】図1より理解されるように、この発明装置
にあっては、固定側金型10に、成形されるディスク成
形品の中心開口と同径の内孔16を有し、かつ先端部1
5bが金型キャビティCに望むダイス部材15が固定さ
れる。このダイス部材15の内孔16には、図示のよう
に、その前端部13aが前記したダイス部材先端部15
bより一定距離内側に位置するようにスプルブッシュ1
3が配置される。そして、一方の可動側金型20には、
このダイス部材15の内孔に対向する先端部25bを有
するポンチ部材25が配置される。
【0012】ダイス部材15は、必ずしも図示のような
独立した部材でなくてもスプルブッシュ13外周に配置
される型部材の一部によって構成してもよい。
【0013】ポンチ部材25は、それが一定位置まで前
進したときに、前記のダイス部材15の内孔16の内周
縁部15aに該ポンチ部材の先端部25bが嵌入しうる
外周縁部25aを有し、該ポンチ部材25の後退時に
は、図1に図示のように、ダイス部材先端部15bとポ
ンチ部材先端部25bとの間に金型キャビティCに至る
ゲート部Gが形成される。
【0014】このポンチ部材25は、前述したように、
作動部材である油圧シリンダ装置30のピストン32に
連結されていて、その作動回路Sに組み込まれた方向切
替弁42の操作によって進退自在に構成されている。
【0015】同時に、このポンチ部材25は、該油圧シ
リンダ装置30の作動回路Sに組み込まれた圧力調節弁
43の圧力操作によってピストン32の前進位置を変化
させ、もってその前進位置が調節可能になっている。こ
こで、ポンチ部材25の前進位置とは、樹脂材料の射出
完了後に該ポンチ部材25が所定距離を前進してその先
端縁部25bがダイス部材15の先端縁部15bに到達
しゲート部Gを閉じる位置であり、かつディスク成形品
においてその中心開口が規定される位置である。
【0016】既に説明したように、この種射出圧縮成形
用金型装置にあっては成形時に可動型20の位置変動が
あり、従ってゲート部Gの閉鎖位置も成形条件によって
変動する。そこで、この発明装置では、ポンチ部材25
の前進位置を作動部材の調節によって、すなわちこの実
施例では油圧シリンダ装置30の圧力調節弁43の操作
によって調節可能としたのである。
【0017】なお、ポンチ部材25の前進位置を油圧シ
リンダ装置30の圧力調節弁43の圧力操作によって行
うようにしたのは次の理由による。すなわち、この発明
の金型装置は、上記したように、一定の型締力によって
金型を閉め、射出時の圧力によって一旦金型が開き、射
出が完了すると再び金型が型締圧によって閉じ、わずか
に金型が開いた状態にて型締圧力とキャビティ内の樹脂
圧力による力とが平衡して静止する射出圧縮用成形金型
である。従って、成形条件の変動によって射出時の金型
の開き量が変動する。一方、本発明では、成形サイクル
短縮のため、射出が完了すると同時にポンチ部材25を
前進開始させており、該ポンチ部材25の前進によりゲ
ートを遮断したときには、一定厚さのディスク成形品が
成形されるよう金型が最終の閉じる位置になるようにし
なければならない。ところが、金型が閉じれば、キャビ
ティ容積が圧縮されキャビティ内の圧力が上昇し、これ
に伴いゲート部の樹脂圧力も上昇するので、ポンチ部材
25の前進圧力も増加しなければならない。
【0018】このように、ポンチ部材25の先端がダイ
ス部材15の先端に到達する位置の調節はこの種の射出
圧縮用成形金型においては極めて難しいのであるが、こ
の発明にあっては圧力調節弁43の圧力調節によってこ
れを適宜選択的に行うことができる。実際には、試行錯
誤によって圧力調節弁43の圧力調節を行い、最も良好
な中心開口が得られた圧力値が調整値とされる。
【0019】さらに、この実施例では、油圧シリンダ装
置30の作動回路Sに流量(絞り)調節弁44および4
5が設置されていて、油圧油の流量操作によってピスト
ン速度を変化させ、もってポンチ部材25の進退速度を
調節できるようになっている。特に、ポンチ部材25の
前進速度は、後述するように、ゲート部Gの閉鎖時間な
らびにタイミングを規定して樹脂材料の逆流量を決定
し、成形品のゲート周辺部分の内部応力の調整に大きく
関連する。
【0020】以下、図2ないし図5に従って作動ととも
に説明する。図2は射出前の型締め完了状態を示すもの
で、固定側金型10と可動側金型20の型合わせ面Pは
型締力によって合着されている。なお、このディスク成
形用金型は直径120mmのCDを成形するもので、キ
ャビティC間隔(鏡面間隔)d1は1.2mmで、ダイ
ス部材15とポンチ部材25間に形成されたゲートG間
隔g1は0.3mmに設定されている。
【0021】次いで、図3のように、射出装置Iのノズ
ルNがスプルブッシュ13に接続され樹脂材料mの射出
がなされる。既に説明したように、この金型装置では型
締力よりも射出力が大きくされているものであるから、
樹脂材料mの射出時には大きな射出力によって可動型2
0が図の矢印b方向に後退して、型合わせ面Pの間隔p
1が0.1mm開く。これによって金型キャビティC間
隔(鏡面間隔)d2およびゲートG間隔g2は0.1m
m分だけ大きくなり、それぞれ1.3mm、0.4mm
となる。
【0022】金型キャビティC間隔(鏡面間隔)d2お
よびゲートG間隔g2が大きくなることにより樹脂材料
mのキャビティCへの流入はスムーズになり、また型合
わせ面Pが開くことによってキャビティC内のガスが外
に排出されて効果的な樹脂材料mの射出が行われる。
【0023】所定量の樹脂材料mの射出が完了すると、
大きな射出力から開放された可動側金型20は、図4の
矢印fのようにその型締力によって型合わせ面P方向に
前進して、キャビティC内に注入された樹脂材料mの圧
縮がなされる。この可動型20の前進によるキャビティ
C内の樹脂材料mの圧縮に伴って、ゲート部G周辺の樹
脂材料mが該ゲート部Gよりスプルブッシュ13側に逆
流する。
【0024】なお、この圧縮時における型合わせ面Pの
間隔p2は、可動側金型20の型締力によって成形条件
に応じて適宜決定される。実施例の型合わせ面Pの間隔
p2は0.05mmであるが、成形条件に応じて0.0
8mmとか0.03mmとか調整される。図示の例では
型合わせ面Pの間隔p1が0.05mmとなることによ
って金型キャビティC間隔(鏡面間隔)d3およびゲー
トG間隔g3は0.05mm分だけ小さくなり、それぞ
れ1.25mm、0.35mmとなる。
【0025】樹脂材料の射出に際してゲート部G周辺の
樹脂材料mには外周部の樹脂材料よりも大きな応力が加
わっており、この逆流によって当該ゲート部G周辺の樹
脂材料の内部応力を開放して外周部と平均化することが
できる。この樹脂材料の内部に残留する応力を平均化さ
せることは特に光学的ディスクにおける複屈折率を改善
させ好ましい成形品を得ることができるのである。
【0026】次いで、図5に示すように、予め定められ
たタイミングで、ポンチ部材25が前進してその先端部
25bがダイス部材15の先端部15bに到達しゲート
部Gが閉じられる。このゲート部の閉鎖によってキャビ
ティ内の樹脂の逆流は停止するとともに、樹脂材料の成
形品部分m1とゲート(スプル)部分m2とが切断され
る。
【0027】ポンチ部材25の前進位置はダイス部材1
5先端に到達しゲート部を閉じる位置であるが、この位
置の規制は、油圧シリンダ装置30の圧力調節弁43に
よるピストン32の前進位置の調節によってなされる。
上に述べたように、固定側金型10と可動側金型20と
の型合わせ面Pの間隔p2は成形条件に応じて変動し、
この間隔p2の変動によってポンチ部材25の前進位置
も変動するのであるが、この装置によれば油圧シリンダ
装置30の圧力調節弁43による圧力調節によって適宜
変更することができるのである。
【0028】なお、ポンチ部材25先端をダイス部材1
5先端より内方へ進入させるとポンチ部材外周縁部25
aとダイス部材内周縁部15aとの間にカジリを生ずる
ので、それ以上に圧力を上昇させないようにすることが
望ましい。
【0029】また、ポンチ部材25の前進速度は、ゲー
ト部Gを閉鎖するに要する時間ならびに閉鎖のタイミン
グを規定する。ポンチ部材25の前進速度が早ければ逆
流する樹脂量は少なくなり、逆に遅くすれば逆流樹脂量
は増大する。この例では、油圧シリンダ装置30の作動
回路Sに流量(絞り)調節弁44(前進側)が設置され
ていて、油圧油の流量操作によってピストンの前進速度
を変化させ、もってポンチ部材25の前進速度を調節で
きるようになっている。これによって逆流樹脂量を調節
し、成形品のゲート周辺部分(ディスク成形品の内周部
分)の内部応力の調整を行なうことができる。
【0030】ゲート部Gの閉鎖後、公知の手段によって
樹脂材料の冷却固化がなされ、型開きされる。この型開
きによって成形品部分とゲート(スプル)部分とが分離
されて型から取り出される。ディスク成形にあっては中
心開口を有するディスク成形品が得られる。
【0031】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明装
置によれば、ポンチ部材が前進位置調節可能な作動部材
によって所定距離前進しダイス部材先端縁部に到達して
ゲート部を閉鎖するようにしたものであるから、可動型
が成形時に位置移動する射出圧縮成形用金型において
も、極めて効果的かつ有効に金型キャビティへの樹脂材
料のゲートを閉じることができる。
【0032】また、ゲートカットと同時にディスク成形
品の中心開口も形成することができ、さらに成形品の内
部応力の調整も可能であるなど、この発明のゲートカッ
ト機構による利益は極めて大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を表す光学的ディスク成形
品のための金型装置の概略の要部断面図である。
【図2】その型締め完了時の要部断面図である。
【図3】樹脂材料の射出状態を示す要部断面図である。
【図4】射出完了後の圧縮状態を示す要部断面図であ
る。
【図5】ゲートカット状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 固定側金型 13 スプルブッシュ 15 ダイス部材 20 可動側金型 25 ポンチ部材 30 油圧シリンダ装置 32 ピストン 42 方向切替弁 43 圧力調節弁 44 流量調節弁 G ゲート部 P 型合わせ面 I 射出装置 N ノズル S 油圧作動回路 m 樹脂材料

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂材料を金型キャビティ内に射出した
    後に、型締力により該キャビティ内の樹脂材料を圧縮し
    成形するようにした中心開口を有するディスク成形品の
    ための射出圧縮金型装置において、 固定側金型に、前記ディスク成形品の中心開口と同径の
    内孔を有しかつ先端部が前記金型キャビティに臨むダイ
    ス部材を固定し、 前記ダイス部材の内孔に、前端部が前記ダイス部材先端
    部より一定距離内側に位置するようにスプルブッシュを
    配し、 一方、可動側金型には、前記ダイス部材内孔と対向する
    先端部を有し、かつ該先端部が前記金型キャビティに流
    入する樹脂材料のためのゲート部を開いたり閉じたりす
    るように油圧シリンダ装置によって作動される進退自在
    なポンチ部材を配置し、 前記油圧シリンダ装置には、前記ゲート部を閉じる位置
    をその前進駆動油圧によって調整するための圧力調節弁
    を設けるとともに、 前記ポンチ部材先端部の前進限度位置が前記スプルブッ
    シュの前端部から一定距離離れた位置になるように規制
    するストッパを設けたこと特徴とするディスク成形用射
    出圧縮金型装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、油圧シリンダ装置の
    作動回路に流量調節弁を含み、該流量調節弁の流量操作
    によってポンチ部材の前進速度の調節がなされるディス
    ク成形用射出圧縮金型装置。
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