JP3106437U - 像 - Google Patents
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Abstract
【課題】彫刻制作などの技術がなくとも、容易に制作が可能で、しかも制作された場合に他とは異なる美感を発揮させる。
【解決手段】基材1は、トカゲを模して塑像を作成し、その塑像に基づいて金型などで雌型を作成し、その雌型を用いて合成樹脂により作成する。その内部にも合成樹脂がある中実のものでも、中空であってもよく、その場合、その大きさに応じて適宜補強材をその内部に備えるものであってよい。また、トカゲの目に対応する特定の部分1bは、表面材としてのタイル2とは異なるタイルを貼り付けるかもしくは塗料により着色できるように形成してある。基材1の表面1aは、例えば酢酸ビニル系の接着剤が付着し易い状態であれば、その表面荒さは限定されない。基材1の表面1aの色は、目地が目立たないように、比較的くすんだ色が好ましく、例えば灰色にしてある。
【選択図】図2
【解決手段】基材1は、トカゲを模して塑像を作成し、その塑像に基づいて金型などで雌型を作成し、その雌型を用いて合成樹脂により作成する。その内部にも合成樹脂がある中実のものでも、中空であってもよく、その場合、その大きさに応じて適宜補強材をその内部に備えるものであってよい。また、トカゲの目に対応する特定の部分1bは、表面材としてのタイル2とは異なるタイルを貼り付けるかもしくは塗料により着色できるように形成してある。基材1の表面1aは、例えば酢酸ビニル系の接着剤が付着し易い状態であれば、その表面荒さは限定されない。基材1の表面1aの色は、目地が目立たないように、比較的くすんだ色が好ましく、例えば灰色にしてある。
【選択図】図2
Description
本考案は、立体の表面にタイルなどの表面材が貼り付けられてなる像に関するものである。
従来、人間や、人間の顔、あるいは動物などの像は、塑像あるいは彫像により造形している。このような塑像や彫像では、一体一体を作ることでそれぞれの像に異なる美感を与えている。その一方で、彫刻や塑造により像を作る場合、それらに対する相応の技術が必要になり、素養を持たない人にとっては、製作意欲はあっても実現には至らない場合がある。
そこで、大量に生産することができる部品を組み合わせて、極めて簡便に像を制作することができる彫刻が考案されている。例えば、特許文献1のものでは、人の胸像は、目、鼻、耳、頭髪などの部分の造形されていない頭部と胸部とからなる基本体に、目、鼻、耳などを形取った部品を、基本体の顔の部分に接着剤により接着し、その後接着剤を浸漬した韓紙により被覆して制作している。完成した像は、基本体が同じであるにもかかわらず、異なる美感を備えている。
特開昭56−138000号公報
ところが、このような構成のものであると、胸像の基本体及び目や鼻などの基本形及び各部品については既に造形されているので、比較的簡単に制作できるように見えるが、目や鼻の位置がずれると顔のバランスが狂うので、それらに対する正確な位置合わせが必要となった。そのため、このような位置合わせについては、熟練を有するものであった。また、例えば目の傾きを変えることにより、異なる美感を表すことは可能ではあるが、大きくは変えられるものではなかった。
そこで本考案は、以上のような問題に鑑みて、容易に制作できて、しかも美感が異なる像を提供しようとするものである。
すなわち、本考案の像は、立体の基材の表面に彩色された複数の表面材をほぼ全域にわたって貼り付けてなることを特徴とする。
本考案の像は、その形状が抽象的であっても具象的であってもよく、大きさについても限定されるものではない。
本考案における基材とは、いくつかの平面や曲面によって囲まれ、三次元の空間に広がりを持つ物体である立体であればその材料は特に限定されるものではなく、人工の立体及び自然界で作られた立体を含むものである。具体的には、基材としては、動植物や人体を模した物体、オブジェのような抽象的な形状の物体、自動車やオートバイなどの車両、テレビや洗濯機などの電気製品、机、椅子、タンスなどの家具、流木や地上から離された枯れ木、自然石などが挙げられる。このうち、人体を模した基材であれば、基材は、胸像、トルソー、立像、座像など、動物の像であれば、基材は、立像、座像、伏せている像、動いている状態をもした像など、各種の形態に対応させるものであってよい。また、基材としては、平面あるいは曲面において、それらの面から膨出した立体や突出した立体が挙げられる。具体的には、基材としては、レリーフ状に面から膨出した(浮き出した)人や動植物あるいは上記した物体の正面、側面あるいは背面などから見た状態の凹凸のある部分(顔、頭部、胸部、胴部、さらには全身など)や、例えば胸像などを面から突出させたものなどが挙げられる。
本考案における表面材とは、基材に貼り付けられるものであれば、その材質及び形状は特に限定されるものではない。好ましくは、表面材は、基材の表面を構成する平面や曲面に容易にほぼ密着した状態で貼り付けられるものであればよく、具体的には、各種の材質の板状片、平面を有する基材より小なる立体、紙やフィルムなどの薄片などが挙げられる。
複数の表面材をほぼ全域にわたって貼り付けるとは、表面材間に目地となる基材の表面を残して表面材を貼り付けること、及び基材の特定の部分の表面を残してそれ以外の表面に表面材を貼り付けることを含むものである。特定の部分とは、あらかじめ基材に装飾などが施してあり、あるいは表面材を貼り付けた後に別部材を貼り付けるためにその部分は表面材を貼り付ける必要のない部分を指すものである。
このような構成であれば、彩色された複数の表面材を立体の基材に貼り付けているので、基材がその形状に即して表面材により着色されることになる。この場合、表面材の配色については、何ら制限されるものではないので、基材が同一形状であっても異なった美感を発揮するものになる。
基材の表面に例えば斑紋など特定の模様を作成し易くするためには、基材が、その表面に表面材を貼り付ける位置を特定する少なくとも一つの位置指定手段を備えるものが好ましい。このような位置指定手段としては、位置を設定する囲み部や位置を設定する線が挙げられる。囲み部とは、閉じた壁の内側の部分や凹部を含むものである。このような囲み部や線の場合、表面材をその内側に貼り付けることにより、特定の模様の一部あるいは全部を作成することができる。
基材としては、合成樹脂製、木製、金属製、ガラス製のものが挙げられる。このような基材において、その一部又は全部が合成樹脂製、木製、金属製、ガラス製ものであればよい。すなわち、合成樹脂製の基材としては、全てが合成樹脂により形成されたもの、及び合成樹脂により形成された部分を少なくとも有し、その他の部分をその他の素材、例えば金属、材木、ガラスなどにより構成するものを含むものである。つまり、合成樹脂製にあっては、合成樹脂を主となる素材とし、その他の素材を表面あるいは補強用に内部において併用して基材を形成するものである。木製、金属製及びガラス製の基材にあっても同様である。このような材質のものでは、基材として必要な強度を容易に設定できるとともに、加工が容易であるので大量に同一形状のものを製作することができる。
美感を多彩なものにさせるためには、複数の表面材が、色の異なるタイルを含んで構成されるものが好ましい。このようなタイルとしては、着色が容易な合成樹脂製で異なる形状のものを含んで構成されるものや、耐久性の高い陶磁器製で異なる形状のものを含んで構成されるもの、さらには一つの部材の中で多彩な着色も可能なガラス製で異なる形状のものを含んで構成されるものなどが挙げられる。異なる形状のものを含んで構成されるとは、貼り付けられるタイルが、形状の異なるものにより構成されるもの、及び形状の異なるものと矩形や多角形、円形などの同一形状(定形)のものが混在するものを含むものである。形状の異なるタイルとしては、無作為にその形状が形成された不定形のものが好ましい。このような不定形のタイルの場合、大きさの異なるものにすることがさらに好ましい。
例えば陶磁器製のタイルにあっては、いわゆるクラッシュタイルと呼ばれる正方形や長方形、さらには円形などの定形のものを割ることによって、形状が無作為に決定されたタイルが挙げられる。また、合成樹脂製のタイルは、このようなクラッシュタイルを原型として、クラッシュタイルを無作為に互いに離して並べておき、その上から例えばシリコンゴムを流し込んで型取りし、その型に合成樹脂を流し込んで作成するものである。合成樹脂製のタイルにあっては、型から取り出した後に、いわゆるバリと呼ばれる周囲の不要な部分を取り除いて整形して、取り扱い時の安全性を高めるものである。
加えて、複数の表面材としては、色の異なる薄片を含んで構成されるものであってもよい。複数の薄片は、可撓性を有する合成樹脂フィルム製の異なる形状のものを含んで構成されるものが好ましい。この場合にあっても、薄片の形状は、無作為に決定されたものが好ましく、矩形や多角形、円形などの定形を含むものであってもよい。このような表面材の場合、基材の表面の形状になじんで表面材を貼り付けることができる。
耐久性や美感を向上させるためには、基材に貼り付けられた表面材を透明な被覆材により被覆してなるものが好適である。この場合、被覆作業を容易にするためには、被覆材が、塗布した後に硬化することにより形成される薄膜であるものが好ましい。
本考案は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本考案の像は、彩色された複数の表面材を立体の基材に貼り付けているので、基材がその形状に即して表面材により着色されているもので、表面材の配色については、何ら制限されるものではないので、基材が同一形状であっても異なった美感を備えるものにすることができる。
以下、本考案の一実施形態を、図1から図4を参照して説明する。
図1に示すこの実施形態の像100は、立体の基材1として動物のトカゲを模したものを使用し、その基材1の表面1aに彩色された複数の表面材である不定形のものを含んで構成される合成樹脂製のタイル2を、ほぼ全域にわたって貼り付けているものである。
基材1は、トカゲを模して塑像を作成し、その塑像に基づいて金型などで雌型を作成し、その雌型を用いて合成樹脂により作成する。この実施形態の基材1にあっては、その内部にも合成樹脂がある中実のものである。基材1は、中空であってもよく、その場合、その大きさに応じて適宜補強材をその内部に備えるものであってよい。また、トカゲの目に対応する特定の部分1bは、表面材としてのタイル2とは異なるタイルを貼り付けるかもしくは塗料により着色できるように形成してある。基材1の表面1aは、例えば酢酸ビニル系の接着剤5が付着し易い状態であれば、その表面荒さは限定されない。つまり、基材1の表面1aは、滑らかなものや微細な凹凸があるものいずれであってもよい。基材1の表面1aの色は、目地が目立たないように、比較的くすんだ色が好ましく、例えば灰色にしてある。
複数のタイル2それぞれは、図3に示すような、陶磁器製のクラッシュタイルのように、平面視不定形のものが主となっている。このようなタイル2に、定形のものが混在していてもよい。タイル2は、例えばシリコンゴムにより作られた雌型に着色された合成樹脂を流し込み、硬化させた後、シリコンゴムの弾性を利用して雌型から取り外して製作する。そして、個々のタイル2については、成形時のバリを取り除いて、作業時のケガを防止するようにしておく。このようにして、一つの雌型あるいは複数の雌型を用いて、色の異なるタイル2を基材1の表面積に応じて必要となる量を十分に満たす量だけ準備する。タイル2はそれぞれ、一個に対して一色で彩色してあり、原色系の彩色のものと中間色系の彩色のものとを取り混ぜて製作する。この場合に、トカゲの体色を模して、例えば茶色を基本色として、その濃淡を調整したタイル2を複数準備するとともに、白色及び黒色を含んで各種の色のタイル2を準備するものである。これらのタイル2は、合成樹脂製であるので、いずれかの表面が彩色されているものではなく、その内部を含んで全体に彩色されており、表裏の区別がないものである。
このようなタイル2を基材1に貼り付けるための接着剤5としては、酢酸ビニル系接着剤に、炭酸カルシウム及びセメントを適量混合したものを使用する。これにより、酢酸ビニル系接着剤の白色がわずかながら灰色になる。したがって、タイル2を基材1の表面1aに接着した場合に、余分な接着剤5が目地3の部分にはみ出しても目立たなくなるものである。しかも、炭酸カルシウムやセメントを混合することにより、その混合量に応じて接着剤5の粘度を高くすることができ、その取り扱いを容易なものにすることができる。それゆえ、年少者や高齢者、さらには知的障害者にあっても、タイル2の貼り付け作業を行えるものとなる。
この実施形態におけるトカゲの像100は、次のような手順で作成する。
まず、基材1を作業台に載せ、その基材1の近傍に、上述のようにして準備した複数のタイル2を、散乱を防止するために、例えばバケツのような容器に一括して入れて置き、そのタイル2の近傍に接着剤5を置いておく。タイル2は、無作為に基材1のどの部分から貼り付けるものであってもよい。ただし、基材1の曲面部分に対しては、その曲面部分の湾曲の程度(曲率)に応じて、タイル2の大きさを選択する必要がある。
タイル2を貼り付ける位置が決まったなら、その位置に貼り付けるタイル2の色と大きさとを選択する。タイル2を貼り付ける位置が基材1の曲面の部分にあるのであれば、その曲面の部分からタイル2の裏面が浮かないような大きさ、言い換えればタイル2の裏面と基材1との接触面積が最も多くなるような大きさのタイル2を選択する。つまり、基材1のトカゲの鼻先に対応するような急激に湾曲する曲面部分では、大きなタイル2であると、タイル2の中央部分を基材1に接触させた状態でタイル2の周辺部分が浮いた状態になる。したがって、基材1のこのような曲面部分に対しては、小さめのタイル2を選択して貼り付けるものである。これとは反対に、緩やかに湾曲する曲面部分及び平面部分では、大きめのタイル2を使用した場合でも、上述のような基材1とタイル2との間に隙間が生じる可能性は小さくなる。それゆえ、このような曲面部分及び平面部分では、大きめのタイル2を多用することができる。
タイル2は、その裏面の全面にわたって接着剤5を適量塗布する。この後、接着剤5を塗布したタイルの接着剤を基材1に接触させた後、タイル2を基材1に対して押し付ける。この場合に、タイル2の裏面と基材1の表面1aとの間に接着剤5が挟まれて、接着剤5がタイル2の周囲にはみ出してくる。このタイル2周囲にはみ出した接着剤5は、タイル2間の目地3の部分に入り込むので、ふき取る必要はない。すなわち、基材1に貼り付けるタイル2は、隣り合うタイル2同士が不定形である可能性が高いので、隣り合うタイル2同士の間には隙間すなわち目地3が形成される(図3)。したがって、それぞれのタイル2の周囲には目地3が形成され、その目地3の部分にそれぞれのタイル2に塗布された接着剤5のうち、タイル2の貼り付けに供しない接着剤5が押し出されて目地3の部分を埋めるものとなる。
以上の操作を繰り返し、タイル2を基材1の表面1aのほぼ全面にわたって貼り付ける。つまり、基材1の表面1aにタイル2を貼り付けていき、タイル2の間にタイル2を貼り付けるに十分な空地が残らないように、そのような空地にタイル2を貼り付けていき、タイル2により基材1の表面がほぼ露出しない状態にする。そして、タイル2間に目地3以外の空地が存在しない、つまりタイル2を貼り付ける基材1の表面1aがなくなることにより、トカゲの形状をした像100がほぼ完成する。
この実施形態では、このようにしてタイル2の貼り付けが完了し、目地3の部分からタイル2の表面に浮きあがっている余分の接着剤5を拭き取った後、タイル2を被覆するようにコーティング処理を行うものである。コーティング処理は、基材1にタイル2をほぼ全面に貼り付け、さらに特定の部分1bを処理した後、被覆材である例えばポリウレタン樹脂を、タイル2の表面及び目地3の部分に連続して塗布して行う。ポリウレタン樹脂は、塗布した後に硬化することにより薄膜6(図4)となり、タイル2が剥がれることや損傷することを防ぐものである。
このように、本実施形態によれば、立体の基材1に、彩色されたタイル2を貼り付けることによって、極めて容易に基材1に色付けを行うことができる。色付けは、複数のタイル2を使用して、創作者の意図を反映しているので、基材1の形状が同じものであってもそれぞれに異なる美感を発揮する像100を制作することができる。また、彩色に加えて、個々のタイル2の形状が不定形で微妙に異なっており、しかも目地3により仕切られることにより、基材1の形状が同じであっても質感を相違させることができ、鑑賞者に様々な印象を提供することができる。
上述の実施形態においては、一つのタイル2は、単一の色で彩色されている例を示したが、合成樹脂の特性を利用して複数の色で彩色されているものであってもよい。つまり、異なる色の合成樹脂が混合することなく一つのタイルを作ることで、タイルは部分的に彩色が異なっているものである。
また、タイル2は、接着剤により基材1の表面1aに貼り付けるものを説明したが、例えば合成ゴム系あるいはアクリル樹脂系粘着剤などの合成粘着剤を使用するものであってもよい。すなわち、基材1の表面1a、あるいはタイル2の一方の面に合成粘着剤を塗布しておき、タイル2の貼り付け作業まではその粘着剤層に剥離紙を貼り付けておく。そして、剥離紙を剥がした後に、タイル2を基材1に宛い、基材1の方向に圧力を加えてタイル2を基材1の表面1aに貼り付けるものである。このような構成であれば、接着剤が皮膚、衣服、あるいは作業台などに付着することがないので、作業環境を汚すことなく作業を行うことができる。
なお、タイル2は、その厚みが必ずしも同一である必要はない。例えば、ワニを模した像を制作する場合、厚みの異なるタイルを使用することにより、ワニの質感を表現することが可能になるためである。このように、制作する像の表面の質感を考慮した場合に、適宜タイルの厚みについては設定するものであってよい。また、基材に貼り付けたタイルの上にさらに重ねてタイルを貼り付けるものであってもよい。
上述の実施形態では、合成樹脂製の基材1を説明したが、基材は、木製、金属製、ガラス製のいずれであってもよい。また、図5に示すように、基材11がカタツムリを模したものである場合、殻、及び胴体部分を合成樹脂により形成し、大触角と目とに対応する触角部分11dを金属あるいはガラスなどにて形成するものであってもよい。
また、タイルにあっても、合成樹脂製のもの以外に、陶磁器製やガラス製のものであってもよい。陶磁器製のタイルの場合、一般に市販されている定形のタイルを割って不定形にしたもの、あるいは工場から出荷されるまでに割れて不定形になったものなどを主に使用するものであってよい。このような陶磁器製のタイルにあっては、彩色された面が一方の表面であるので、基材に貼り付けるに際してその彩色された一方の表面を表にして貼り付けることは言うまでもない。また、ガラス製のタイルについては、作業時にけがしないように、角や縁を丸くしておくものが好ましい。ガラス製のタイルにあっては、有色透明のものを製作できるので、基材や接着剤を無色透明などのものにすれば、ステンドグラスのような雰囲気に仕上げることも可能である。しかも、基材にガラス製のタイルを貼り付けて制作できるので、特別な技術を必要とすることなく、像を完成させることができる。
次に、基材21が、その表面21aに表面材を貼り付ける位置を特定する位置指定手段である囲み部24を備えるものを説明する。なお、この形態において、囲み部24は、基材21の表面21aを窪ませた凹部により実現している。
図6に示すこの基材21は、上記実施形態と同じにトカゲを模しているもので、トカゲの斑紋に対応して表面材が貼り付けられるように、他の表面21aより一段下がった囲み部24を複数備えている。囲み部24の数は特定したい表面材の貼り付け位置に対応させるので、そのような領域が一つの場合では囲み部24は一つであってよい。囲み部24の平面的な形状及び大きさは、模したトカゲの斑紋に近似させればよく、特に限定されるものではない。また、囲み部24の深さは、使用する表面材が上述のタイル2の場合、タイル2を基材21に貼り付けた状態で囲み部24以外の部分との間に極端な段差を生じないような深さ、例えばタイル2の厚みの1/3以下とするものである。
このような構成において、囲み部24には、例えば斑紋に対応する色調のタイル2を貼り付けるものである。具体的には、囲み部24以外の基材21の表面21aに茶色系統のタイル2を貼り付けたとすると、囲み部24にはその周囲より濃い彩色あるいは薄い彩色のタイル2や、さらには補色のタイル2など、囲み部24が斑紋として認識し易い色を当てはめるものである。
このように、あらかじめタイル2を貼り付ける領域を設定しておくと、像のデザイン、配色を促進させることができる。つまり、このような囲み部24が設けてあると、その囲み部24に他の部分とは異なる色、もしくは同系色であっても濃淡の異なる色のタイル2を容易に貼り付けることができる。そして、囲み部24にそのようにしてタイル2を貼り付けると、基材21の全体からして、これらの囲み部24があらかじめデザインを考慮して設定されているので、際だった美感を演出することができる。このような囲み部24を備える基材としては、キリンやヒョウさらにはシマウマなどの動物、熱帯魚などの魚を模したものが好適である。
このような囲み部24は、凹部以外に、例えば線、好ましくは環状の自由曲線で設定するもの、あるいはその自由曲線に代わって設ける環状の凸条で設定するものである。
以上においては、表面材として厚みのあるタイルを説明したが、表面材としては、色が異なる薄片、具体的には、図7の示すような、異なる形状すなわちそれぞれが不定形をしている合成樹脂製フィルム片32である。この可撓性を有する合成樹脂製フィルム片32は、合成樹脂製の基礎片32aの一方の面に、例えば合成ゴム系あるいはアクリル樹脂系粘着剤などの合成粘着剤32bを塗布しておき、その合成粘着剤32bを塗布した粘着面に剥離紙32cを貼り付けて形成してある。そして、合成樹脂製フィルム片32を基材に貼り付ける場合は、剥離紙32cを剥がして粘着面を露出させ、粘着面を基材の表面に密着させる。
このような合成樹脂製フィルム片32の場合、タイルのような厚みがないので、隣り合うものを部分的に重ねて貼ることも可能である。したがって、合成樹脂製フィルム片32間に目地を設けて本来の合成樹脂製フィルム片の形状を生かすこともできるし、あるいは相互に重ね合わせることにより新たな形状の合成樹脂製フィルム片とすることもでき、様々な外観を作成することができる。
このような合成樹脂製フィルム片32にあっては、基礎片32aの一方の面に例えば合成ゴム系あるいはアクリル樹脂系粘着剤などの合成粘着剤32bを塗布しておき、その合成粘着剤32bを塗布した粘着面に剥離紙32cを貼り付けておき、基材に貼り付ける際に剥離紙32cを剥がして使用するものであってよい。これとは逆に、基材の表面に粘着剤を塗布しておき、合成樹脂製フィルム片32を基材の表面に貼り付けるようにするものであってもよい。なお、粘着剤自体は、両面テープやクラフトテープなどのテープに使用されているものを使用するものであってよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…基材
1a…基材の表面
2…タイル
3…目地
24…囲み部
32…合成樹脂製フィルム片
1a…基材の表面
2…タイル
3…目地
24…囲み部
32…合成樹脂製フィルム片
Claims (16)
- 立体の基材の表面に彩色された複数の表面材をほぼ全域にわたって貼り付けてなる像。
- 基材が、その表面に表面材を貼り付ける位置を特定する少なくとも一つの位置指定手段を備える請求項1記載の像。
- 位置指定手段が、位置を設定する囲み部である請求項2記載の像。
- 位置指定手段が、位置を設定する線である請求項2記載の像。
- 基材が、合成樹脂製である請求項1から4いずれかに記載の像。
- 基材が、木製である請求項1から4いずれかに記載の像。
- 基材が、金属製である請求項1から4いずれかに記載の像。
- 基材が、ガラス製である請求項1から4いずれかに記載の像。
- 複数の表面材が、色の異なる複数のタイルを含んで構成される請求項1から8いずれかに記載の像。
- 複数のタイルが、合成樹脂製で異なる形状のものを含んで構成される請求項9記載の像。
- 複数のタイルが、陶磁器製で異なる形状のものを含んで構成される請求項9記載の像。
- 複数のタイルが、ガラス製で異なる形状のものを含んで構成される請求項9記載の像。
- 複数の表面材が、色の異なる複数の薄片を含んで構成される請求項1から8いずれかに記載の像。
- 複数の薄片が、可撓性を有する合成樹脂フィルム製で異なる形状のものを含んで構成される請求項13記載の像。
- 基材に貼り付けられた表面材を透明な被覆材により被覆してなる請求項1から14いずれかに記載の像。
- 被覆材が、塗布した後に硬化することにより形成される薄膜である請求項15記載の像。
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