JP3105522U - 水処理用貝殻基柢材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料に起因する臭気(磯臭)が除去された水処理システムの提供。
【解決手段】被処理水の流入部15と処理水の流出部16とを備えると共に、被処理水が通水されるシェルビーズが充填される充填部14を含んで構成された水処理システムであって、当該シェルビーズとして、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻を、水分含有量1%以下にしてから、浄化又は殺菌して成る水処理用シェルビーズが使用されている水処理システムとする。
【選択図】図1
【解決手段】被処理水の流入部15と処理水の流出部16とを備えると共に、被処理水が通水されるシェルビーズが充填される充填部14を含んで構成された水処理システムであって、当該シェルビーズとして、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻を、水分含有量1%以下にしてから、浄化又は殺菌して成る水処理用シェルビーズが使用されている水処理システムとする。
【選択図】図1
Description
本考案は、水道用原水や水道水、その他の各種の水を処理するための貝殻基柢材料を用いて形成された水処理システムに関する。
被処理水(処理される水)は、一般にランゲリア指数がマイナス側に大きくて腐食性が大きいことから、浄水場設備、送水管等の腐食を生じさせ、故障発生の原因となっている。また、このような被処理水は末端給水栓からの白濁出水や赤水出水をもたらし、保健上も問題となっている。
この問題を解決するために、従来は、遊離炭酸を減少あるいは中和させるアルカリ液注入法やエアレーション法等が実施されており、また粉砕・殺菌したシェルビーズ(かき殻等)を用いて遊離炭酸を中和する方法が提案されている(特許文献1〜3)。特に、特許文献1〜3に示されているような、シェルビーズ(貝殻基柢材料)を用いた方法は、アルカリ液注入法やエアレーション法に比べて、それに用いられる装置が単純で、且つ安定して稼働させ得ることから水道用原水のpHを改善すると共に、ランゲリア指数を改善する上で優れた方法となっている。
かかる貝殻基柢材料を用いて遊離炭酸を中和する方法においては、それに使用される貝殻基柢材料は、かき殻などの天然の貝殻を用いて形成されることから、その製造に際して水洗いや上記殺菌処理を行っても、原料由来の臭気(磯臭)が残留してしまう。そしてこの貝殻基柢材料に残留した臭気(磯臭)は、被処理水(処理される水)の処理条件によっては処理水(処理された水)にも移行してしまうことが考えられる。このため、処理水が飲料用に供される場合には、この臭気(磯臭)が問題になる可能性もあり、依って、水道原水中の遊離炭酸を中和する為に使用される貝殻基柢材料は、それに残留する臭気(磯臭)が何らかの方法により除去されることが望ましい。
併しながら、従前に於ける水処理用貝殻基柢材料の製造方法では、当該貝殻基柢材料自体の臭気(磯臭)を除去するのは困難であり、殊に貝殻基柢材料が、かき殻を用いて形成されている場合には、当該かき殻は、生長の過程に対応して殻体が層状を形成していることから、当該層間に存在する臭い(磯臭)の元を除去するのは一層困難となっている。
また、水道用水を処理する為に使用される貝殻基柢材料は、外観上も衛生的な色、例えば白色又は淡色系の色であることが望ましいが、従来水処理に使用されている貝殻基柢材料は、その製造工程において原料由来の色を除去することができないことから、原料の貝殻自体の色がそのまま残ってしまう。特に、貝殻基柢材料がかき殻を用いて形成される場合には、かき殻自体の黒色と白色が混在してしまうことから、処理水が飲料用にも供される水道用水を処理する為には、外観上あまり好ましくない。
更に、水処理用貝殻基柢材料の製造に際しては、より簡易な方法で製造し得ることが望ましく、また十分に衛生的なものとして製造される必要がある。更に、この水処理用貝殻基柢材料を用いて形成される水処理システムのランニングコストを抑えるためにも、貝殻基柢材料の製造コストの増大を避ける必要がある。
特公昭55−049553号公報
特開平07−308681号公報
特開平08−047697号公報
依って本考案は、上記従来技術における問題に鑑み、原料に起因する臭気(磯臭)が除去された水処理用貝殻基柢材料を用いて成る水処理システムを提供するものである。
また本考案は、外観上も良好であり、更に十分に衛生的な水処理用貝殻基柢材料用いて成る水処理システムを提供するものである。
本考案者らは上記課題を解決するため研究を重ねた結果、所定の粒度に粉砕した貝殻の水分含有量と臭気(磯臭)との関係に着目すると共に、特定の貝殻規定材料を使用することにより上記課題を解決できることを見出し、本考案を完成させたものである。
即ち、本考案は上記課題を解決するため、被処理水の流入部と処理水の流出部とを備えると共に、被処理水が通水される貝殻基柢材料が充填される充填部を含んで構成された水処理システムであって、当該貝殻基柢材料として、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻を、水分含有量1%以下にする乾燥工程を経て製造される水処理用貝殻基柢材料が使用されている水処理システムを提供する。
また本考案は上記課題を解決するため、被処理水の流入部と処理水の流出部とを備えると共に、被処理水が通水される貝殻基柢材料が充填される充填部を含んで構成された水処理システムであって、当該貝殻基柢材料として、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻の水分含有量を10%以下にしてから、浄化又は殺菌されて成る水処理用貝殻基柢材料が使用されている水処理システムを提供する。
上記本考案の水処理システムに使用される貝殻基柢材料は、使用される原料貝殻を海中などに保管し、その後、陸上に堆積させて天日乾燥を行い、その後水蒸気乾燥又は火力乾燥(例えばロータリードライヤーを使用する等)を行ってから、浄化又は殺菌処理を施して製造することができる。原料貝殻の粉砕工程や、ゴミその他の雑物の除去工程は、この貝殻基柢材料の製造工程上、どこで行っても良いが、望ましくは、除去工程は水蒸気乾燥又は火力乾燥の前に、粉砕工程は水蒸気乾燥又は火力乾燥の後に行う。
本考案で使用されている貝殻基柢材料は、その製造に際して、粉砕貝殻の水分含有量を一旦1%以下にするか、或いは水分含有量を一旦10%以下にしてから浄化又は殺菌していることから、原料貝殻に付着している臭気(磯臭)は十分に除去され、かつその後の蒸れ臭の発生も阻止している。依って、この貝殻基柢材料を用いて成る、本考案の水処理システムは、貝殻基柢材料に基因する臭気(磯臭)が処理水に移ることのない水処理システムとなる。かかる粉砕貝殻の水分含有量は、乾燥法によって測定することができる。
貝殻基柢材料の製造に際し、粉砕貝殻の水分含有量を調整するためには、水蒸気乾燥又は火力乾燥など従来公知の方法を使用することができる。特に水分含有量を10%以下にするには水蒸気乾燥を行うことができ、また水分含有量を10%以下にするには、ロータリードライヤーを用いた火力乾燥を行うことができる。
水分含有量が1%以下に調整された粉砕貝殻には、必要に応じて浄化又は殺菌処理が施され、一方、水分含有量が10%以下に調整された粉砕貝殻には、その後、浄化又は殺菌処理が施される。浄化・殺菌処理に先立ち、乾燥された粉砕貝殻を真水で洗浄することもできる。この浄化・殺菌処理は、所定濃度の薬液が充填された槽内に、水分含有量が調整された乾燥済みの粉砕貝殻を浸漬させることによって行うことができる。かかる薬液としては、ジア塩素酸ソーダ、二酸化塩素及び/又はオゾン水等を使用することができる。このような薬液を使用して粉砕貝殻を浄化又は殺菌することによって、水処理用貝殻基柢材料を衛生的なものとすることができる他、より確実に原料に起因する臭気(磯臭)を除去することができ、更に原料となる貝殻自体の色を脱色して、白色乃至淡色系の水処理用貝殻基柢材料を形成することができる。かかる薬剤を用いた浄化又は殺菌方法は、使用する薬剤の殺菌力などに応じて、薬液濃度や処理時間を適宜調整することができる。
本考案において、水処理用貝殻基柢材料の原料として使用される粉砕貝殻は、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕したものであり、望ましくはかき殻を粉砕したものが使用される。何故なら、かき殻は生長の過程に対応して殻体が層状を形成していることから、水処理システムに使用した場合における、被処理水との接触面積を高めることができ、pH調整に関する水処理効率を高めることができるためである。更に、かき殻は、多孔質構造(又は多層構造)を有し、生物処理法において水道水用原水中のアンモニア性窒素を硝酸性窒素に酸化させる為の硝化菌を捕捉し、且つ担持するのに好適な大きさであることから、他の貝殻に比べて硝化菌の繁殖に有利な為である。そして、浸漬工程に先立ち、貝殻を粉砕する粉砕工程を行う場合には、かき殻は他の貝殻と比較して粉砕が容易であって、所望の粒度のものを容易に得ることができることから、当該粉砕工程を容易且つ確実に行うことができる為である。
特に本考案では、かき殻を粉砕したものを粉砕貝殻として使用する場合には、一層顕著な効果を得ることができる。即ち、前記の通りかき殻は殻体が層状を形成している積層構造であることから、水分含有量の調整を行わずに薬液処理を施したとしても、十分に薬液が積層の内部には入り込まないものと考えられる。これに対して本考案の如く、一旦水分含有量を10%以下、望ましくは5%以下、特に望ましくは1%以下とすることにより、薬液は何ら邪魔されることなく、積層構造の奥まで入り込み、確実に浄化又は殺菌効果を発揮することができる。依って、粉砕貝殻としてかき殻を粉砕したものを使用した場合には、本考案に依って得られる効果は一層顕著なものとなる。
上記本考案で使用される粉砕貝殻は、望ましくは3〜50mm、更に望ましくは5〜15mmの粒度に粉砕されたものが使用される。このような粒度の粉砕貝殻は、各種の破砕機、粗砕機又は粉砕機等によって貝殻を粉砕する際、その粉砕処理を、砕かれた貝殻片が大凡3〜50mmの粒度になるように行う他、粉砕された殆どの貝殻片が一見して当該粒度になるまで粉砕処理を行ってから、当該粒度のものを篩別等によって選別することにより得ることができる。粉砕貝殻の粒度を3mm以上とすることにより、此を用いて形成された水処理用貝殻基柢材料による通水抵抗の増大を抑え、また微粉のものが流出することによる処理水の白濁をなくすことができ、一方、50mm以下の粒度とすることにより、此を用いて形成された水処理用貝殻基柢材料の単位重量あたりの表面積を大きくし、被処理水との接触表面積を確保することによって、pH調整などの水処理効率を高めることができる。そして、粉砕貝殻の粒度を3〜50mmとすることにより、薬液で処理の工程における脱臭・脱色などを効率的に行うことができる。特に貝殻としてかき殻を用いた場合には、この粉砕処理を容易に行うことができ、且つ粉砕されたかき殻片の粒度の均一性を高めることができる。
上記の水処理用貝殻基柢材料を用いて形成される水処理システム、望ましくは水道用原水の処理装置は、少なくとも、当該貝殻基柢材料が充填される充填部を含んで構成され、当該充填部は、水道用原水等の被処理水の流入部と処理水の流出部とを備えるものとして形成される。かかる水処理システムでは、実質的に水を処理するために充填される水処理剤として、前記貝殻基柢材料が使用されていることから、この水処理システムで処理される水は、貝殻基柢材料に含まれる炭酸カルシウムにより遊離炭酸が中和されて適切なpHに調整されると共に、処理水が原料の臭気(磯臭)により汚染されることを防ぐことができる。処理水のpHを調整しランゲリア指数を改善することにより、水道施設の劣化を防いで安全な水を確保することができ、また原料臭気(磯臭)による汚染を防ぐことにより、その後に於ける処理水に対しての脱臭操作乃至処理を無くするか又は簡易なものとすることができる。更に、当該貝殻基柢材料は白色又は淡色であることから、その汚れ具合も目視で確認することができ、その結果、貝殻基柢材料の交換時期を的確に把握することもできる。
そして上記の水処理システム(望ましくは、水道用水の処理装置)における貝殻基柢材料の充填量は、原水の水質や設備の規模等を考慮して適宜決定でき、特に限定するものではないが、貝殻基柢材料1m3 (かさ容量)あたり、1〜10m3 /h程度の原水を処理するような量が目安となる。また、貝殻基柢材料を充填する塔の大きさ並びに形状は、通常の化工設計に基づいて適正条件を定めればよい。
そして、本考案に係る水処理システムにおいて、貝殻基柢材料が充填される充填部としては、塔の形に形成されたものの他、槽の形に形成されたものを使用することができる。充填部が塔の形に形成された場合には、被処理水は塔の上方又は下方から導入され、処理水は被処理水が導入された側とは反対側の下方又は上方から流出されることになる。また充填部が層の形に形成された場合には、当該槽内に前記貝殻基柢材料が充填され、また当該槽が水道用水の流入部と処理水の流出部とを備える水処理システムとして具体化することができる。
更に本考案にかかる水処理システムは、有利な構成として以下のものを伴うことができる。
即ち、前記充填部は、遮光性を有するものとして形成することができる。例えばこの充填塔は遮光性材料を用いて形成することができる。充填塔が遮光性を有することにより、充填部内、特に貝殻基柢材料に藻類が発生するのを阻止し、衛生性を保つと共に、臭気(磯臭)の発生を阻止することができる。また藻類の発生を阻止することで目詰まりなどを阻止することもでき、その結果処理の安定性を確保することもできる。
また、充填部を、例えば繊維強化プラスチック、一般構造用圧延鋼材、又はステンレス鋼を用いて形成された耐圧容器とすることで、流入部を被処理水の供給源に繋げ、且つ処理水の流出部を配水池に直接繋ることができる。即ち、一般に水処理システムによる処理水は大気開放になるため、一旦浄水池に流入させ、そこからポンプで揚水して配水池に送水することになるが、充填部を耐圧容器として形成することで、被処理水の供給源(河川や井戸)から直接配水池に送水することもできるようになる。その結果、シンプルな水処理システムを構築することが可能になる。
そして、更に処理水のpHを測定するpH測定部を処理水の流通経路に設置することにより、この水処理システムによるpH調整が適切に行われているか否かを随時監視できるようになる。
本考案に係る水処理システムは、特定の貝殻基柢材料を用いて形成されていることから、原料の貝殻に起因する臭気(磯臭)が除去され、使用される貝殻基柢材料も外観上も好ましく、更に十分に衛生的なものとなる。また、この水処理システムで処理された水(処理水)も貝殻などの臭気(磯臭)で汚染されていないことから、良好な処理水が得られる。そしてこの水処理システムに使用される貝殻基柢材料は、薬液の濃度や浸漬時間等を適宜調整することにより、白色又は淡色にもし得ることから、汚れ具合を観察することにより、最適なタイミングで交換することができる。
以下、図面に基づき本考案の実施態様を説明するが、本考案はこれらの実施態様に限定されるものではない。添付の図1は、水処理システムの製造工程を示す略図であり、この水処理システムに使用される水処理用貝殻基柢材料の原料として、かき殻が使用されている。また図2は、水処理用貝殻基柢材料を用いて形成された水道用原水の処理装置を示す略図である。
図1に示す態様は、陸上に堆積させて天日乾燥を行ったかき殻2から夾雑物を選別除去し、その後ロータリードライヤーを用いて火力乾燥を行い、水分含有量を1%以下に調整している。特にこの図に示す態様では、後に浸漬工程(C)が行われることから、火力乾燥に代えて水蒸気乾燥を行うこともできる。水蒸気乾燥が行われる場合、当該かき殻2は、水分含有量が10%以下になるように乾燥される。
そして水分含有量が調整された乾燥かき殻2には、その後、粉砕機1によってかき殻2を粉砕する粉砕工程(A)、粉砕されたかき殻3から、所定の粒度の粉砕かき殻8だけを選別する選別工程(B)、及び選別された所定粒度の粉砕かき殻8をオゾン水11に浸す浸漬工程(C)が行われ、水処理用貝殻基柢材料13として製造される。これらの工程を経て製造された水処理用貝殻基柢材料13は、その後充填部14に充填され、水道用水の処理装置等の各種水処理システムに使用される。
粉砕工程(A)は、適当な粉砕機1を用いて、予め準備したかき殻2を粉砕するものであり、この工程に於ける粉砕処理は、粉砕された殆どのかき殻片3が、大凡3〜50mmの粒度となるように調整される。そして、粉砕されたかき殻片3は、次の選別工程(B)に移される。この選別工程(B)は、前記粉砕工程(A)で大凡3〜50mmの粒度となるように粉砕されたかき殻片3の中から、粒度が3〜50度のものだけを選別する事を目的として行われるものであり、例えば、この図1に示すように、適当な篩い分け装置4等を用いて、粒度が50mm以下の粉砕かき殻5だけを選別(又は篩別)する第1選別工程(B−1)、及び選別された粉砕かき殻5から、3mm以上の粉砕かき殻8だけを選別(又は篩別)する第2選別工程(B−2)によって構成することができる。
上記選別工程(B)で選別された粉砕かき殻8(粒度:3〜50mm)は、その後浸漬工程(C)に移される。一方この選別工程で取り除かれた粒度が50mmより大きい粉砕かき殻6は、再度粉砕工程(A)に送られ、粉砕処理が施される。選別工程(B)で選別された粉砕貝殻(粒度:3〜50mm)は、浸漬工程(C)において、所望の大きさに形成された槽10内に充填された3〜5mg/Lのオゾン水11に、1〜2分間浸される。これにより当該粒度の粉砕かき殻8における、原料(かき殻)由来の臭気(磯臭)や色は十分に除去される。また、この浸漬処理により、かき殻に付着している可能性のある様々な菌や微生物などを不活化し、衛生的なものとすることができる。
そして浸漬工程(C)を完了し、十分に脱臭及び脱色され、且つ衛生的なものとして形成された水処理用貝殻基柢材料13は、その後、所望により洗浄及び又は乾燥されて、水処理システム(望ましくは水道原水の処理装置)における充填部14内に充填される。かかる水処理用貝殻基柢材料13が充填された充填部14は、更に、この水処理システムによって処理される水(被処理水)の流入部15と、処理された水(処理水)の流出部16とを備えており、当該充填部14内に供給される被処理水は、全てこの水処理用貝殻基柢材料13に接触するように構成されている。その結果、流入部15から供給される水道用水等の被処理水は、この水処理用貝殻基柢材料13によってpH等が調整され、比較的大きな汚物が濾別され、流出部16から処理水として流出することになる。このように水道用原水のpHを調整しランゲリア指数を改善することにより、その後処理水が供給される水道施設の劣化を防ぎ、安全な水を確保することができる。
次に、上記のように製造された水処理用貝殻基柢材料13を用いて成る水処理システムを図2に基づいて説明する。特にこの図2に示す水処理システムは、水道用原水として使用される地下水のpHを改善する装置として使用された態様を示している。
かかる図2の水処理システムは、水処理用貝殻基柢材料の充填部41、水処理用貝殻基柢材料を洗浄する為の空気吹込管46と、この空気吹込管46に連結されたエアーコンプレッサー45、流量計43、44等とそれらを結ぶ配管系によって構成される。本装置においては、被処理水となる地下水は、充填部の上部から通水される。また充填部の上部は開口しているが、ゴミの混入を防ぐためには通気性を有する部材で上部に蓋をするのが好ましい。処理対象となる地下水は、着水井から流量計43を経て充填部41の上部に供給され、そこから充填部内に通水される。充填部を通過し、処理された水は浄水池に流入する。水処理用貝殻基柢材料13の洗浄は、水処理用貝殻基柢材料13の充填層42下部に配設された空気吹込管46から充填部内部に空気が導入され、水処理用貝殻基柢材料充填層42及び水処理用貝殻基柢材料層上部の滞水層47内を攪拌するとともに、その洗浄排水を、充填部41と浄水池との間に設けられた弁の切り替えによって排水することにより行うことができる。このような水処理用貝殻基柢材料13の洗浄は定期的に行うことができる。また、配管系には弁が設けられ、流量の調節が行なわれる。本装置においては、更に、充填層の前後及び層内の圧力を知るための圧力計やその他の必要な計器を配置することができる。本装置における計測器類、ポンプ、管等は一般に市販されているものを使用すればよい。
そして図3は、地下水などの被処理水を充填部の下部から通水するようにした水処理システムを示している。この図に示す水処理システムにおいて、処理対象となる地下水は、着水井から流量計43を経て充填部41の下部に供給され、そこから充填部内に通水される。また水処理用貝殻基柢材料13の洗浄は、水処理用貝殻基柢材料13の充填層42下部に配設された空気吹込管46から充填部内部に空気が導入され、水処理用貝殻基柢材料充填層42及び水処理用貝殻基柢材料層上部の滞水層47内を攪拌するとともに、その洗浄排水を、充填部41と浄水池との間に設けられた弁の切り替えによって排水することにより行うことができる。このような水処理用貝殻基柢材料13の洗浄は定期的に行うことができる。配管系には弁が設けられ、流量の調節が行なわれる。
そして、上記図2及び3に示した水処理システムにおいては、水処理用貝殻基柢材料13が充填される充填部41を、繊維強化プラスチック、一般構造用圧延鋼材、又はステンレス鋼を用いて形成された耐圧性を有する密閉型の容器として形成することができ、その際、流入部を被処理水の供給源(河川や井戸)に繋げ、流出部を直接配水池に繋げることもできる。また充填塔41は遮光性を有するものとして形成することもできる。
炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻としてかき殻を使用し、これを水洗し、粉砕機により粉砕し、篩分により5mm乃至20mmの粒度の粉砕かき殻を選び出して、各実験例毎に表1に示す処理(水洗処理や薬液処理)を行った。表1に於ける「粉砕貝殻A」は薬液処理前の水分含有量が約1%のものであり、「粉砕貝殻B」は薬液処理前の水分含有量が約10%のものである。この水分含有量は、乾燥法により測定した。また表1に示す各実験例の内、水洗処理及び薬液処理(処理した薬液をそれぞれ表1に示す)を行ったものは、「粉砕貝殻A」又は「粉砕貝殻B」に対して、水洗処理を行った後に薬液処理を行った。
そして、各実験例で製造されたかき殻基柢材料の臭気をパネラー(X、Y)が直接嗅いで、原料(かき殻)の臭気(磯臭)が残存するか否かを次の基準で評価した。その結果を表1に示す。
「かき殻基柢材料の臭気の評価基準」
○:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が残存する。
△:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が僅かに残存する。
×:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が残存しない。
「かき殻基柢材料の臭気の評価基準」
○:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が残存する。
△:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が僅かに残存する。
×:原料(かき殻)の臭気(磯臭)が残存しない。
表1からも明らかなとおり、水分含有量が1%以下の粉砕貝殻Aを用いて形成された貝殻基柢材料(例1,2)は、薬液処理の有無を問わず、臭気に於いて良好な効果を示した。またこれを用いて形成された水処理システムでは、貝殻基柢材料の臭気(磯臭)に汚染されていない処理水を得ることができた。
一方、水分含有量が10%以下の粉砕貝殻Bを用いて形成された貝殻基柢材料(例3〜11)の内、薬液処理を施した貝殻基柢材料(例5〜11)は臭気(磯臭)に於いて良好な効果を示したが、薬液処理が施されていない貝殻基柢材料(例3,4)では臭気(磯臭)が残留していた。また薬液処理が施された貝殻基柢材料(例5〜11)を用いて形成された水処理システムでは、貝殻基柢材料の臭気(磯臭)に汚染されていない処理水を得ることができたが、薬液処理が施されていない貝殻基柢材料(例3,4を用いて形成された水処理システムでは、処理水は貝殻基柢材料の臭気(磯臭)に汚染されていた。
1 粉砕機
2 かき殻(原料貝殻)
3 粉砕かき殻
4 篩い分け装置
5 粉砕かき殻(粒度50mm以下)
6 粉砕かき殻(粒度50mmより大)
8 粉砕かき殻(粒度3〜50mm)
9 粉砕かき殻(粒度3mm未満)
10 槽
13 水処理用貝殻基柢材料
14 充填部
15 流入部
16 流出部
20 送風機
30 配管
41 充填部
42 貝殻基柢材料充填層
43 流量計
2 かき殻(原料貝殻)
3 粉砕かき殻
4 篩い分け装置
5 粉砕かき殻(粒度50mm以下)
6 粉砕かき殻(粒度50mmより大)
8 粉砕かき殻(粒度3〜50mm)
9 粉砕かき殻(粒度3mm未満)
10 槽
13 水処理用貝殻基柢材料
14 充填部
15 流入部
16 流出部
20 送風機
30 配管
41 充填部
42 貝殻基柢材料充填層
43 流量計
Claims (3)
- 被処理水の流入部と処理水の流出部とを備えると共に、被処理水が通水される貝殻基柢材料が充填される充填部を含んで構成された水処理システムであって、
当該貝殻基柢材料として、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻を、水分含有量1%以下にする乾燥工程を経て製造される水処理用貝殻基柢材料が使用されている水処理システム。 - 被処理水の流入部と処理水の流出部とを備えると共に、被処理水が通水される貝殻基柢材料が充填される充填部を含んで構成された水処理システムであって、
当該貝殻基柢材料として、炭酸カルシウムを主成分とし且つ積層構造を有する貝殻を粉砕してなる粉砕貝殻の水分含有量を10%以下にしてから、浄化又は殺菌されて成る水処理用貝殻基柢材料が使用されている水処理システム。 - 前記充填部は、遮光性を有すると共に、繊維強化プラスチック、一般構造用圧延鋼材、又はステンレス鋼を用いて耐圧性容器として形成されており、
前記流入部は、被処理水の供給源に繋がり、且つ前記流出部は配水池に直接繋がっており、
前記粉砕貝殻は、かき殻を粉砕したものが使用されており、
そして前記水処理システムは、更に処理水のpHを測定するpH測定部が処理水の流通経路に設置されている請求項1又は2に記載の水処理システム。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2006057287A1 (ja) * | 2004-11-25 | 2008-06-05 | 楠 敏明 | 活性汚泥生成抑制剤 |
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2004
- 2004-05-27 JP JP2004002980U patent/JP3105522U/ja not_active Expired - Fee Related
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JPWO2006057287A1 (ja) * | 2004-11-25 | 2008-06-05 | 楠 敏明 | 活性汚泥生成抑制剤 |
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