JP3103114B2 - カラノライド抗ウイルス性化合物、組成物およびその用途 - Google Patents

カラノライド抗ウイルス性化合物、組成物およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、抗ウイルス性化合物、特にCalophyllum属
の植物から単離される抗ウイルス性化合物、詳細にはカ
ラノライド(calanolide)化合物と呼ばれる化合物に関
する。本発明はまたCalophyllum属の植物からカラノラ
イド化合物を単離する方法、カラノライド化合物を含有
する組成物、ならびに該組成物を抗ウイルス療法および
ウイルス感染予防のような臨床適用に使用する方法に関
する。
発明の背景 後天性免疫不全症候群(acquired immune deficiency
syndrome;AIDS)は非常に重篤な疾患であり、その報告
症例はこの数年で劇的に増加している。非常に近い将来
の報告症例も劇的に増加し続けると推定される。従っ
て、AIDSを克服する薬剤およびワクチンの開発に多大の
努力がなされている。
AIDSウイルスは1983年に初めて確認され、幾つかの名
前および頭文字で知られている。AIDSウイルスは3番目
に見出されたTリンパ球ウイルス(HTLV−III)であ
り、免疫系の細胞内における複製能を有し、広範な細胞
破壊を引き起こす。AIDSウイルスはレトロウイルス、す
なわち複製の際に逆転写酵素を使用するウイルスであ
る。この特定のレトロウイルスはリンパ節腫脹関連ウイ
ルス(lymphadenopathy−associated virus;LAV)、AID
S関連ウイルス(AIDS−related virus;ARV)としても知
られ、最近はヒト免疫不全ウイルス(human immunodefi
ciency virus;HIV)として知られている。現在まで2つ
の異なるタイプのHIVが報告されている。すなわちHIV−
1とHIV−2である。ここでは、一般にHIVウイルスを意
味する語としてHIVという略語を使用する。
特に、HIVはCD4+ヘルパー/インデューサーT細胞
(halper/inducer T−cell)に対し広範な細胞変性効果
を及ぼすことにより、免疫系に重篤な害を及ぼすことが
知られている。またHIV感染は神経学的衰退を生じさ
せ、ついには感染個体の死に至る。
ウイルス化学療法の分野は、レトロウイルス、特にHI
Vに対して有効な薬剤の要求に応えて発展してきた。薬
剤が抗レトロウイルス活性を示す経路は数多くある。例
えば、HIVは複製のために少なくとも4つのウイルス蛋
白を必要とする。逆転写酵素(RT)、プロテアーゼ、ト
ランスアクチベータ蛋白(TAT)、およびヴィリオン蛋
白発現のレギュレータ(regulator of virion−protein
expression;REV)である。従って、理論的にはウイル
ス複製に関係する蛋白のいずれか一つまたは全てを阻害
することによりウイルス複製を阻害することができる。
AZTやddCのような抗レトロウイルス剤がRTを阻害する
ことが知られている。またTATを阻害する抗ウイルス剤
も存在する。
AZTのようなヌクレオシド誘導体が、現在、抗ウイル
ス療法のために用いることができる唯一の臨床的に活性
な薬剤である。AZTおよびその関連化合物は非常に有用
であるが、毒性と十分に適切な治療には治療指数が不足
しているためその利用可能性が限りがある。
AIDS治療においてレトロウイルスのプロテアーゼの阻
害剤として使用できる可能性のあるものとして合成ペプ
チドも開発されている。しかしながら、これらの阻害剤
はレトロウイルスのプロテアーゼが機能するのを防ぐに
は有効であるが、幾つかの明確な欠点を有する。第一
に、プロテアーゼの活性部位が邪魔されている、すなわ
ちプロテアーゼの残りの部分に比べて接近しにくいた
め、阻害剤がプロテアーゼの活性部位に接近して結合す
る能力が損なわれる。第二に、プロテアーゼの活性部位
に結合するペプチド阻害剤が一般に水難溶性であり、ド
ラッグデリバリーの点で大きな問題を生じる。
従って、HIVに対する有効な抗ウイルス療法のため
に、単独であるいはAZTおよび/または他の薬剤と組合
わせて使用される新たな種類の抗ウイルス剤が早急に求
められている。またHIV感染を予防するために使用する
新規薬剤も重要である。
発明の要旨 本発明の目的は、新規抗ウイルス性化合物、特にCalo
phyllum属の植物から単離される抗ウイルス性化合物、
詳細にはカラノライド(calanolide)化合物と呼ばれる
化合物およびその誘導体を提供することにある。
本発明の他の目的は、Calophyllum属の植物、特にCal
ophyllum lanigerumから新規抗ウイルス性化合物、特に
カラノライド化合物およびその誘導体を単離する方法を
提供することにある。
また本発明の他の目的は、レトロウイルスのようなウ
イルス(特にヒト免疫不全ウイルス、詳細にはHIV−1
またはHIV−2)の増殖または複製を阻害する組成物、
特に医薬組成物を提供することにある。
さらに本発明の目的は、レトロウイルスのようなウイ
ルス(特にヒト免疫不全ウイルス、詳細にはHIV−1ま
たはHIV−2)による動物(特にヒト)の感染を予防す
る組成物、特に医薬組成物を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、レトロウイルスのような
ウイルス(特にヒト免疫不全ウイルス、詳細にはHIV−
1またはHIV−2)に感染した動物(特にヒト)を治療
する方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、レトロウイルスのようなウイ
ルス(特にヒト免疫不全ウイルス、詳細にはHIV−1ま
たはHIV−2)による感染を予防するための動物(特に
ヒト)の処置方法を提供することにある。
これらの目的ならびに本発明のその他の目的は、さら
なる発明的特徴と同様に以下の記載から明らかとなるで
あろう。
本発明は、新規抗ウイルス性化合物、特にCalophyllu
m属の植物から単離される抗ウイルス性化合物、詳細に
はカラノライド化合物と呼ばれる化合物およびその誘導
体を実質的に純粋な形態で提供する。本発明はまた、Ca
lophyllum属の植物、特にCalophyllum lanigerumからカ
ラノライド化合物およびその関連する誘導体を単離およ
び精製する方法を提供する。単離された化合物は医薬組
成物のような組成物として使用されうる。該組成物はさ
らに一または二以上の他の抗ウイルス剤を含有していて
もよい。かかる組成物はウイルス(特にレトロウイル
ス、詳細にはHIV−1またはHIV−2のようなヒト免疫不
全ウイルス)の増殖または複製を阻害することが見出さ
れた。従って、該組成物は、ウイルス(特にレトロウイ
ルス、詳細にはHIV−1またはHIV−2のようなヒト免疫
不全ウイルス)に感染した動物(特にヒト)の治療処
置、ならびにウイルス感染を予防するための動物(特に
ヒト)の予防処置に利用できると期待される。
図面の簡単な説明 図1はCalophyllum lanigerumから単離したカラノラ
イド化合物および関連誘導体(化合物1〜8)の構造を
示す。化合物1がカラノライドAであり、化合物4がカ
ラノライドBである。
図2は他の文献で報告された従来公知の構造(化合物
9〜13)を示す。
図3Aおよび3BはカラノライドAおよびBの絶対立体配
置を決定するために用いたカラノライドA(1)および
カラノライドB(4)の(R)−および(S)−MTPAエ
ステルの1H−NMR値(Δδ=δ−δR500MHzにおけるヘ
ルツ)を示す。
図4、A〜Dはカラノライド化合物の抗−HIV−1活
性の例を示す。図4A、4B、および4Cは、培養6日後に測
定した、非感染CEM−SS細胞(○)およびHIV−1に感染
させたCEM−SS細胞(●)に及ぼすカラノライドAの各
濃度の効果を示す。図4AはBCECFアッセイで評価したCEM
−SS細胞の相対生菌数を表す。図4Bはそれぞれの培地の
相対DNA含量を示す。図4CはXTTアッセイで評価したCEM
−SS細胞の相対生菌数を表す。図4Dは感染性ウイルスま
たはウイルス複製の指標に及ぼすカラノライドAの各濃
度の効果を示す。これらの指標にはウイルス逆転写酵素
(▲)、ウイルスコア蛋白p24(◆)およびシンシチウ
ム(融合細胞)形成単位(■)が含まれる。図4A、4B、
および4Cでは、データ点は非感染、非薬剤処理コントロ
ール値のパーセントとして表されている。図4Dでは、デ
ータ点は感染、非薬剤処理コントロール値のパーセント
として表されている。
図5Aおよび5Bはそれぞれはカラノライド化合物とその
誘導体(シリーズ1)および7,8−ジヒドロカラノライ
ド化合物とその誘導体(シリーズ2)をさらに一般的に
示す。式中、 発明の詳細な説明 本発明は、下記の構造を有する実質的に純粋な形態の
新規抗ウイルス性化合物(以下、「カラノライド化合
物」と呼ぶ)、およびその誘導体を提供する。
抗ウイルス性カラノライド化合物およびその抗ウイルス
性誘導体は一般的に下記の構造を有する 本発明はまた、次の工程からなるCalophyllum属の植
物、特にCalophyllum lanigerumからカラノライド化合
物およびその関連誘導体を単離および精製する方法を提
供する。
a)有機溶媒で乾燥植物材料を抽出し、粗抽出物を得
て、 b)該粗抽出物を液−液分配して非極性画分中に該ウイ
ルス性化合物を濃縮し、 c)該非極性画分をゲル浸透クロマトグラフィーまたは
減圧液体クロマトグラフィー(vacuum liquid chromato
graphy)に付し、 d)シリカゲルおよびC18逆相カラム上のHPLCにより該
カラノライド化合物を単離および精製する。
本発明の方法に従って得られたカラノライド化合物お
よびその誘導体は、医薬組成物のような組成物中で、単
独でまたは他の抗ウイルス剤と組合わせて、レトロウイ
ルスのようなウイルス(特にヒト免疫不全ウイルス、詳
細にはHIV−1またはHIV−2)の増殖または複製を阻害
するために使用されうる。かかる組成物は、一または二
以上の上記ウイルスに感染した動物(特にヒト)の治療
処置、ならびに一または二以上の同ウイルスによる感染
の危険のある動物(特にヒト)の予防処置に利用できる
と期待される。
本発明が基づく発見以前には、カラノライド化合物お
よびその誘導体は単離あるいは報告されていなかった。
そのような化合物を単離する方法は決定されていなかっ
た。従って、これらの化合物の抗ウイルス活性は従来知
られていなかったのであり、これらの化合物を医薬組成
物のような組成物として、動物(特にヒト)のウイルス
感染の治療および予防処置において使用できる可能性は
認識されていなかった。
本発明に至る発見は、Calophyllum lanigerumからの
抽出物の抗−HIVスクリーニングにおける抗ウイルス活
性である。このスクリーニングはユー.エス.ナショナ
ル・キャンサー・インスティチュート(U.S.National C
ancer Institute)により1988年から行われてきたもの
である(Boyd,M.R.,AIDS,Etiology,Diagnosis,Treatmen
t and Prevention(DeVita V.T.,Jr.,Hellman S.,Rosen
berg S.A.編),pp.305−319(Philadelphia:Lippincot
t,1988)参照)。
Calophyllum lanigerumはCalophyllum属植物の約187
の種の一つを表す。この植物の記載はD.J.Mabberley,
“The Plant Book,"Cambridge University Press,1987,
p.92に見られる。この属は主にインドネシアに見られる
が、タヒチから東アフリカで報告されている。本実施例
で利用した植物材料は、D.Soejartoとのユー.エス.ナ
ショナル・キャンサー・インスティチュート契約の下
で、J.S.BurleyとB.Leeにより、北緯2度、東経110度、
高度3メートルのSarawakにて収集された。
従来のCalophyllum属の植物化学研究により、Calophy
llum属が二次代謝産物の豊富な供給源であることが見出
されている。Calophyllum属の種から得られることが報
告された化合物の中には、キサントン類(Dharmaratne,
H.R.W.ら,Phytochemistry,25:1957−1959(1986);Kuma
r,V.,Phytochemistry,21:807−809(1982);Somanatha
n,R.ら,J.Chem.Soc.Perkin I,2515−1517(1974))、
ステロイド類(Gunasekera,S.P.ら,J.Chem.Soc.Perkin
I,2215−2220(1975))、トリテルペン類(Gunatilak
a,A.A.L.ら,Phytochemistry,23:323−328(1984);Daha
nayake,M.ら,J.Chem.Soc.Perkin I,2510−2514(197
4))、クマリン類(Samaraweera,U.ら,Tetrahedron Le
tt.,22:5083−5086(1981);Gautier,J.ら,Tetrahedron
Lett.,27:2715−2718(1972)、およびベンゾピラン類
(Stour,G.H.,J.Org.Chem.,33:4185−4190(1968)があ
る。しかしながら、抗ウイルス活性はこれまでこの属と
関連づけられていない。
Calophyllum lanigerumの抽出物から個々の生物活性
化合物を単離および精製するために、バイオアッセイを
指標とする特別の手順を用いた。この手順では、適用す
る全ての化学的単離方法に関する決定、およびその個々
の工程の性質を生物学的試験データを判断することによ
り決定した。この方法で用いる抗−HIVスクリーニング
アッセイ(Weislow,O.S.ら,J.Natl.Cancer Inst.,81
(8):577−586(1989))は、ヒトT−リンパ芽球細
胞をHIVの細胞変性効果から保護する程度を測定した。
抽出物のフラクションは種々の化学的手法を用いて調製
され、一次スクリーニングで盲目的に試験した。活性フ
ラクションをさらに選別し、得られたサブフラクション
をスクリーニングで盲目的に試験した。活性、すなわち
抗ウイルス活性を有する、純粋化合物であることを示す
フラクションを得るために必要な回数だけこの方法を繰
り返した。次いで、そのフラクションを詳細な化学分析
に供し、構造を解析した。このようにして、以下に詳述
する新規な種類の抗ウイルス性化合物が見出された。
本発明ではカラノライド化合物の主な供給源としてCa
lophyllum lanigerumを使用したが、同属の他の種から
もかかる化合物が得られることが認識されるであろう。
カラノライド化合物の化学的単離には種々の方法を用
いることができる。これらの方法の中で、抽出、液−液
分配、フラッシュまたは減圧液体クロマトグラフィー、
ゲル浸透クロマトグラフィー、および種々の結合相を用
いるHPLCが挙げられる。化合物の単離はUV、TLC、およ
び抗−HIVバイオアッセイによりモニターすることがで
きる。代表的な単離法を以下に示す。
葉、小枝、実または樹皮からなる約0.2キログラムの
風乾植物材料をまずすりつぶして微粉末にし、1:1MeOH
−CH2Cl2で抽出した。次いで2回目の抽出をメタノール
で行った。これらの有機抽出物の総量は通常、出発植物
材料の固まりの約5〜20%である。最初の粗抽出物を4:
1MeOH−H2Oに溶解し、CCl4で3回抽出した。濃縮したCC
l4相を、Bio−Beads S−X4(Bio−Rad Laboratories,In
c.;Richmond,CA)上のゲル浸透クロマトグラフィーまた
はシリカゲル上の減圧液体クロマトグラフィーのいずれ
かにより分画した。HIV阻害活性を示すこれらのカラム
フラクションから、続いてシリカ(3:7EtOAc−ヘキサン
で溶出)およびC18逆相(9:1MEOH−H2Oで溶出)カラム
上のHPLCによりカラノライド化合物が精製された。この
一般法を用いてカラノライドAまたはカラノライドBの
いずれか、あるいは両方を約0.05〜0.2%の総収率で得
ることができる。抽出物中に存在する関連化合物も同様
の収率で得ることができる。C.lanigerumからのカラノ
ライド化合物およびその誘導体の単離は、実施例1によ
り詳細に記載されている。
上記の一般法でCalophyllum lanigerumの抽出物から
単離することのできるカラノライド化合物および関連誘
導体の化学構造を図1に示す。この構造の証拠は、一次
スペクトル解析(例えば、高分解能NMRおよび質量分析
法、赤外線およびUV分光法)を含む方法を組合わせるこ
とにより、関連文献の先例のスペクトルおよび物理化学
的性質と比較することにより、さらに絶対立体化学を決
定するためのような選択された誘導体に導く方法により
得られる。C.lanigerumから得たカラノライドA、B、
およびその誘導体の構造の証拠は、実施例2に詳細に記
載され、表1および2にまとめて示されている。
当業者には、ここで特定して説明した以外の抗ウイル
ス性カラノライド化合物およびその誘導体を、他のCalo
phyllum属の種および他の天然源から単離してもよく、
またかかる抗ウイルス性カラノライド化合物およびその
誘導体は化学的に合成してもよいことが理解されるであ
ろう。この系列の化合物の一般構造式を実施例4および
図5A,5Bに詳述する。
純粋なカラノライド化合物またはその誘導体の抗ウイ
ルス活性を、相関性のある一連のin vitroアッセイ(G
ulakowski,R.J.ら,J.Virol.Methods 33:87−100(199
1))によりさらに実証することができる。これらのア
ッセイはヒトにおける化学化合物の抗ウイルス活性を正
確に予測する。これらのアッセイは、HIVの複製および
/またはヒト標的細胞に及ぼすHIVの細胞変性効果を防
護する化合物の能力を測定する。これらの測定は、in
vivoのHIV誘導疾患の病原性と直接相関する。従って、
実施例3に記載し、図4A〜Dに示した、C.lanigerumか
ら得たカラノライド化合物およびその誘導体の抗ウイル
ス活性の分析結果は、ヒトにおけるこれらの化合物の抗
ウイルス活性を正確に予測すると考えられている。
本発明の化合物は、ヒト免疫不全ウイルスのようなレ
トロウイルス、特にHIV−1およびHIV−2を阻害するこ
とが示される。当業者には、本発明の化合物が他のレト
ロウイルスを阻害し、またレトロウイルス以外のウイル
スも阻害しうることが認識されるであろう。本発明に従
って処置することのできるウイルスの例としては、C型
およびD型レトロウイルス、HTLV−1、HTLV−2、HI
V、FLV、SIV、MLV、BLV、BIV、ウマ伝染性貧血症ウイル
ス、ラウス肉腫ウイルス(rous sarcoma virus;RSV)の
ようなニワトリ肉腫ウイルス(avian sarcoma viruse
s)、A型、B型、非A非B型肝炎ウイルス、ヘルペス
ウイルス、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイ
ルス、アルボウイルス、水痘ウイルス、はしかウイル
ス、おたふくかぜウイルス、風疹ウイルスが挙げられる
が、これらに限定されない。
抗ウイルス性カラノライド化合物およびその抗ウイル
ス性誘導体は、治療および予防処置方法に用いるための
各種組成物の形態に製剤化することができる。本発明の
組成物は、ウイルスに感染した動物(例えばヒト)の治
療に用いることができる。本発明の組成物は、レトロウ
イルスのようなウイルス(特にヒト免疫不全ウイルス、
詳細にはHIV−1およびHIV−2)の増殖または複製を阻
害するのに特に有用である。また当該組成物は、先に列
挙したもののような他のウイルスに感染した動物(例え
ばヒト)の治療にも有用であると考えられる。さらに、
このような組成物は、ウイルスによる感染の危険のある
動物(例えばヒト)の予防処置に利用できることが見出
されるであろう。
本発明の予防または治療処置方法に用いられる組成物
は、一または二以上の抗ウイルス性カラノライド化合物
またはその抗ウイルス性誘導体、ならびに医薬上許容さ
れる担体を含有してなるものである。医薬上許容される
担体は、当業者にとっては好適な投与手段として周知の
ものである。担体の選択は、一部は特定の用いられるカ
ラノライド化合物により、ならびに当該組成物の投与に
用いる特定の方法により決定される。
各種の薬剤投与経路を用いることができ、また、特定
の薬剤を投与するのに二以上の経路を用いてもよいが経
路によっては別の経路よりも迅速かつ効果的な反応が得
られることが当業者には理解されるであろう。さらに、
用いられる特定の医薬担体が、一部は用いられる特定化
合物および選択された投与経路により決定されることが
当業者には理解されるであろう。したがって、本発明の
組成物の好適な製剤としては広範なものがある。
経口投与に好適な製剤は、有効量の上記化合物を希釈
液(例えば水、塩水またはオレンジ果汁)に溶解したよ
うな液剤;それぞれ所定量の有効成分を固形または顆粒
として含有するカプセル、薬袋(sachet)または錠剤;
水性液体中の液剤または懸濁剤;ならびに水中油型乳剤
または油中水型乳剤で構成することができる。錠剤の形
態は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、バ
レイショデンプン、微結晶セルロース、アラビアゴム、
ゼラチン、コロイド状シリカ、クロスカルメロースナト
リウム(croscarmellose sodium)、タルク、ステアリ
ン酸マグネシウム、ステアリン酸およびその他の賦形
剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、香料な
らびに薬理学的に適合性の担体のうちの一または二以上
を含んでいてよい。
抗ウイルス性カラノライド化合物またはその抗ウイル
ス性誘導体は、単独でまたは他の抗ウイルス性化合物と
組合わせて、エアロゾル剤に製剤化して吸入法により投
与することもできる。これらのエアロゾル剤は、ジクロ
ロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される
噴射剤を与圧したものに含ませてもよい。
局所投与に好適な製剤には、有効成分を香料、通常は
スクロースおよびアラビアゴムもしくはトラガントの中
に含有する舐剤(lozenge);有効成分をゼラチンおよ
びグリセリンのような不活性基剤、またはスクロースお
よびアラビアゴム中に含有する香錠(pastille);適当
な液状担体中に有効成分を含有する含嗽剤;ならびに有
効成分に加え当該分野で公知の担体を含有するクリー
ム、エマルジョン、ゲルなどが含まれる。
直腸投与用の製剤は、例えばカカオ脂またはサリチル
酸塩よりなる適当な基剤とともに坐剤としてもよい。
膣投与に好適な製剤は、有効成分に加え当該分野で適
当なものとして知られる担体を含有するペッサリー、タ
ンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡沫剤(foam)ま
たは噴霧剤の剤形としてもよい。同様に、有効成分をコ
ンドーム上のコーティングとして潤滑剤と組み合わせて
もよい。
非経口投与に好適な製剤には、水性および非水性の等
張性無菌注射溶液が含まれ、この溶液は、酸化防止剤、
緩衝剤、制菌剤および当該製剤を投与対象者の血液と等
張とする溶質を含有していてもよく、また、この製剤に
は、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および保存
剤を含んでいてもよい水性および非水性の無菌懸濁液も
含まれる。この製剤は、単位投与量または多回投与量を
封入したアンプルおよびバイアルのような容器中に入れ
て提供することができ、また、使用直前に例えば注射用
水等の無菌液状担体を加えるだけでよいような凍結乾燥
条件下に貯蔵してもよい。用時調製の注射溶液および懸
濁液は、無菌の散剤、顆粒および前記のような錠剤から
調製してもよい。
本発明において、動物(特にヒト)に投与する用量
は、妥当な時間にわたって、感染した個体に予防的また
は治療的反応を生じさせるのに十分な量とすることが必
要である。上記用量は、用いるカラノライド化合物の効
力、病状の重さ、ならびに感染した個体の体重および年
齢により決定される。上記用量はまた、用いるその特定
化合物に伴うかもしれない副作用の有無によっても決定
される。可能な限り副作用は最小となるようにすること
が望ましい。
上記用量は、錠剤またはカプセルのような単位投与形
態としてもよい。ここでいう「単位投与形態」とは、ヒ
トおよび動物の患者にとって単位投与量として好適な物
理的に分離した単位のことをいい、各単位は、医薬上許
容される希釈液、担体または賦形剤と共に所望の薬効を
生じさせるのに十分な量として算出した所定量のカラノ
ライド化合物またはその誘導体を、単独でまたは他の抗
ウイルス剤と組合わせて含有する。
本発明の単位投与形態の詳細については、用いる特定
化合物(二以上でもよい)および得られる薬効により、
ならびに宿主(host)内での各化合物に関連する薬力学
により決定される。投与される量は、「抗ウイルス有効
量」または個々の患者において「有効なレベル」を達成
するのに必要な量であることが必要である。
「有効なレベル」は、用量の好ましい終点として用い
ているため、実際の投与量や投与スケジュールは、薬物
動態、薬物分布および代謝における個人差に応じて異な
っていてよい。この「有効なレベル」は、例えば、患者
において望ましい血液または組織濃度として規定しても
よく、これは、化学化合物の臨床上の抗ウイルス活性を
予測できることが知られているアッセイにおいて、HIV
のようなウイルスを阻害する一または二以上のカラノラ
イド化合物またはその誘導体の濃度に相当する。また本
発明化合物の「有効なレベル」は、本発明の組成物をAZ
Tまたは他の公知の抗ウイルス性化合物あるいはこれら
を組み合わせたものと併用する場合には変わりうる。
当業者は、個々の患者において望ましい「有効濃度」
を得るために、用いられる組成物の厳密な組成に対する
適切な投与量、投与スケジュールおよび投与方法を容易
に決定することができる。また当業者は、適当な患者の
試料(例えば血液および/また組織)を直接的に(例え
ば分析的化学分析)または間接的に(例えばp24またはR
Tのような代用指標を用いて)分析することによって、
本発明化合物の「有効濃度」の適当な指標を容易に決定
し、用いることができる。
ウイルスに感染した個体の治療においては、「メガ用
量(mega−dosing)」規制を用いることが好ましく、こ
れは、大用量のカラノライド化合物またはその誘導体を
投与し、当該化合物が作用するだけの時間を与え、この
後適当な試薬を個体に投与してカラノライド化合物また
はその誘導体を不活性化するものである。
医薬組成物は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療
に用いる場合、カラノライド化合物またはその誘導体と
ともに他の医薬を含有していてもよい。このような併用
医薬の代表的な例には、抗ウイルス性化合物、免疫調節
剤(immunomodulator)、免疫促進剤および抗生物質が
含まれる。典型的な抗ウイルス性化合物には、AZT、dd
I、ddC、ガンシクロビル(gancyclovir)、フッ素化ジ
デオキシヌクレオチド、ネビラピン(nevirapine)[Sh
ihら,PNAS88:9878−9882(1991)]のような非ヌクレオ
シド類縁化合物、R82913[Whiteら,Antiviral Research
16:257−266(1991)]のようなTIBO誘導体、Ro31−8
959[Craigら,Antiviral Research16:295−305(199
1)]、BI−RJ−70[Shihら]、アシクロビル(acyclov
ir)、α−インターフェロンおよび組換えCD4[Merigan
ら,The American Journal of Medicine90(Suppl.4A):
8S−17S(1991)]が含まれる。典型的な免疫調節剤お
よび免疫促進剤には、各種インターロイキン、CD4、サ
イトカイン、抗体製剤、輸血剤および細胞輸注剤が含ま
れる。典型的な抗生物質には、抗真菌剤、抗菌剤および
抗ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carini
i)剤が含まれる。
他の抗レトロウイルス剤とともに、特にddC、AZT、dd
I、ddAのような公知の逆転写酵素(RT)阻害剤、または
抗TAT剤のような他のHIV蛋白に対して作用する他の阻害
剤とともに阻害化合物を投与することによって、一般に
ウイルスのライフサイクルのうち、複製期の大部分また
は全てを阻害する。AIDSまたはARC患者に用いるddCおよ
びAZTの用量についてはこれまでに発表されている。ddC
のウイルス抑制範囲は、一般に0.05μMから1.0μMま
でである。約0.005〜0.25mg/kg体重の範囲で大部分の患
者においてウイルス抑制性を示す。経口投与にあたって
の予備投与量の範囲はこれよりも幾分広く、例えば0.00
1〜0.25mg/kgを1回または2、4、6、8、12時間等の
時間間隔で2回以上投与する。一般に0.01mg/kg体重のd
dCを8時間毎に与えるのが好ましい。併用投与療法の場
合、他の抗ウイルス性化合物は、例えば、カラノライド
化合物と同時に投与してもよく、あるいは適宜時間をず
らして投与するようにしてもよい。また、これら二つの
薬剤を組み合わせて一つの組成物としてもよい。それぞ
れの薬剤の用量は、組み合わせて用いる場合は、いずれ
かを単独で用いる場合よりも少なくてもよい。
本発明の化合物および方法を、以下の実施例によりさ
らに詳細に説明する。これらの実施例は本発明をさらに
具体的に示すためのものであって、発明の範囲を限定す
ることを意図するものではない。
実施例1 この実施例は、Calophyllum lanigerumの抽出物から
のカラノライド化合物およびその誘導体の単離を説明す
る。Calophyllum lanigerumの乾燥した実および小枝(7
63g)を−20℃で保存し、この材料を粉砕し、1:1CH2Cl2
/MeOHで濾過し、100%MeOHで洗浄した。減圧下で溶媒を
留去し、72.5gの有機抽出物を得た。
有機抽出物の一部10gを液−液分配プロトコールに供
した。有機抽出物の一部10gを500ml CH3OH−H2O(9:1)
に懸濁させ、ヘキサン(3×300ml)で抽出した。極性
相の水含有量が20%に増加し、そこで第二の抽出はCCl4
(3×300ml)で行った。全ての画分の抗HIV活性を、通
常の一次スクリーニングアッセイ(Weislow,O.S.ら,J.N
atl.Cancer Inst.,81(8):577−586(1989))を用い
て、各クロマトグラフィー工程で評価した。抗HIV活性
をヘキサン(770mg)およびCCl4(590mg)可溶画分注に
濃縮した。活性画分を、ヘキサン/EtOAcの混合物を用い
るシリカゲル(10g)上の減圧液体クロマトグラフィー
(VLC)によって個別に分離した。10−25%EtOAcで溶離
した活性成分を、TLCおよび1H NMRプロフィールに基づ
いて集め、2つの活性画分を得た。個々の画分をヘキサ
ン/EtOAc混合物による漸次段階−勾配溶離を用いるシリ
カ上のVLCによってさらに分離した。最終精製で8つの
化合物(1〜8)を得た。その構造を図1に示した。シ
リカHPLCで7:3ヘキサン/EtOAcを用いて溶離し、カラノ
ライドA(1)(11.7mg)、カラノライドB(4)(5.
0mg)および化合物7(12.5mg)を得た。他の成分の精
製は、9:1MeOH/H2Oを用いたC18 HPLCによって行い、12
−アセトキシカラノライドA(2)(7mg)、12−メト
キシカラノライドA(3)(5mg)、12−メトキシカラ
ノライドB(5)(16mg)、化合物6(4mg)および化
合物8(11mg)を得た。図2に、以前に他の情報源で報
告された5つの関連ある構造(9〜13)を示す。図1の
新規な化合物を、図2の公知の化合物と比較することに
よって、本発明の化合物が以前に他の情報源で報告され
た化合物と異なることがわかる。
実施例2 この実施例は、実施例1で得られたCalophyllum lani
gerumからのカラノライドAおよびB並びに関連誘導体
に関する構造証明について述べる。カラノライドA
(1)は、光学活性な油状物(「α」=+60゜)とし
て単離され、分子式C22H26O5を示すm/z370.1736ドルト
ンにHREIMS親イオンを与えた。質量スペクトルはM+−CH
3(m/z355,100%),M+−CH3−H2O(m/z337,12%)およ
びM+−C5H11(m/z299,29%)の重要なフラグメントイオ
ンを含んでいた。赤外線スペクトルは、ヒドロキシル基
(3300cm-1)およびカルボニル基(1735cm-1)に相当す
るバンドを示した。13C NMRスペクトルにおける11sp2
炭素に関する共鳴は、共役エステル(δ160.4)、フェ
ニル基に共役した2置換オレフィン(δ126.9[1H]お
よび116.5[1H])、カルボニルに共役した3置換オレ
フィン(δ158.9および110.1[1H])、および3つの酸
素部分を有する全置換ベンゼン環(δ154.5、153.1、15
1.1、106.3、106.4および104.0)が存在することを示し
た。分子式中、事実上含まれた二重結合当量の数を考慮
すると、カラノライドA(1)は4環であると決定され
た。1H NMRスペクトルは2つのメチル一重線(δ1.49
および1.44)、2つのメチル二重線(δ1.44および1.1
3)および1つのメチル三重線(δ1.01)を示した。ほ
かのプロトンシグナルには、アリルのメチレン(δ2.87
[2H],m)、脂肪族メチレン(1.63[2H],m)および3
つのオレフィンプロトン(δ6.60 d,J=9.5Hz;5.92 t,J
=1.0Hz;5.52 d,J=9.5Hz)が含まれていた。これらデ
ータは、カラノライドA(1)がコスタトライド(cost
atolide)(9)、以前に報告されたCalophyllum costa
tumからの代謝産物(Stout,G.H.,J.Org.Chem.,29:3604
−3609(1964))と関連するクマリン誘導体であること
を示唆した。
ヘテロ核相関実験(HMQCおよびHMBC)で検出された一
結合(one−bond)、遠隔(long−range)プロトンによ
り、カラノライドA(1)の1H NMRスペクトル(表
1)および13C NMRスペクトル(表2)の両方の完全な
帰属がなされた。H8と炭素4b、6、8aおよび8bの間の相
関を含めた重要な相関から、2,2−ジメチルクロメン系
の位置を確立した。C4にn−プロピル基が位置すること
は、C13アリルのメチレンプロトンおよびC3オレフィン
プロトンの間の1.0Hzアリルカップリングにより、およ
びC13メチレンプロトンからC3およびC4aへの三結合(th
ree−bond)ヘテロ核相関により決定された。クマリン
核に関する残りの置換パターンは、H12と炭素8b、10、1
1、12a、12bおよび19の間の相関によって決定された。
これにより、カラノライドA(1)はコスタトライド
(9)と同じ骨格を有するが、それらは2,3−ジメチル
クロマノール環の置換基の相対立体配置について異なる
ことが確認された。
化合物1の1H NMRスペクトルにおいて、H12ベンジル
のカルビノールプロトンはH11と8.0Hzのカップリングを
示し、これによりこれらの2つのプロトンがtrans−ジ
アキシアル配向を有することが示された。H11とH10の間
の9.0HzカップリングはH10もまたアキシアルであること
を確立した。この帰属はジアキシアルH10およびH12プロ
トンの間に見られたnOe増大(3%)によって支持され
た。従って、カラノライドA(1)は、それぞれ10.5Hz
および3.5HzであるJ10-11およびJ11-12を示すコスタト
ライド(9)(Stout,G.H.ら,J.Org.Chem.,29:3604−36
09(1964))のC12エピマーであることが決定された。
報告によれば、2つの関連したクマリン誘導体、イノフ
ィルムB(inophyllum B)(10)(Bandara,B.M.R.ら,P
hytochemistry,25(2):425−428(1986))およびコ
ルダトライドA(cordatolide A)(11)(Dharmaratn
e,H.R.W.ら,Phytochemistry,24:1553−1557(1985))
は、クロマノール環について化合物1に見られるのと同
じ相対立体化学的特徴を有するが、C4置換基が異なる。
カラノライドA(1)において観察されたJ10-11および
J11-12カップリング定数は、化合物10および11に関して
上記の刊行物において記載されたものとよく一致する。
カラノライドA(1)の他の物理化学的およびスペク
トルデータは次の通りである。[α]=+60゜(CHCl
3,c0.7):UVλmax(MeOH)325(ε13,700),284(ε22,
800),228(ε22,200)nm;IR(フィルム)νmax3439,29
66,1735,1713,1582,1111cm-1;HREIMS測定値m/z370.176
4,C22H26O5の計算値370.1780;低分解能(low res.)MS
m/z370(38%),355(100%),337(12%),299(29
%) 12−アセトキシカラノライドA(2)([α]=+
20゜)は、分子式C24H28O6に相当するm/z412.1825ドル
トンにHREIMS親イオンを与えた。M+−CH3(m/z397,41
%),M+−AcOH(m/z352,30%)およびM+−AcOH−CH3(m
/z337,100%)に重要なフラグメントイオンがみられ
た。1H NMRスペクトルのδ2.10における鋭い3H一重
線、およびδ21.2(3H)および170.7の13C NMR共鳴に
より、アセテート基の存在が示唆された。化合物2の残
りの1Hおよび13C NMRシグナルは、化合物2のH12共鳴
がδ5.97の低磁場にシフトした以外は、カラノライドA
(1)で記録されたものと非常によく似ていた。これ
は、化合物2がカラノライドA(1)の12−アセトキシ
誘導体であることを示唆した。化合物2におけるJ10-11
(6.5Hz)およびJ11-12(6.0Hz)のカップリングは、ク
ロマノール環プロトンが凝アキシアル配向であることを
支持する。化合物2においてわずかに減少したクロマノ
ールプロトンカップリングは、おそらくフレキシブルな
クロマノール環のわずかなねじれに起因すると考えられ
る。さらに、提案された置換基の立体配置の証拠が、H1
0およびH12の間で測定された2%のnOe増大の差により
与えられた。
化合物2の他の物理化学的およびスペクトルデータは
次の通りである。[α]=+20゜(CHCl3,c0.6);IR
(フィルム)λmax2960,1738,1585,1376,1230,1138c
m-1;HREIMS測定値m/z412.1825,C24H28O6の計算値412.18
86;低分解能(low res.)MS m/z412(13%),397(41
%),352(30%),337(100%),299(8%) 12−メトキシカラノライドA(3)([α]=+32
゜)のHREIMSは、分子式C23H28O5に相当するm/z384.192
4ドルトンに親イオンを示した。M+−CH3(m/z369,12
%),M+−CH3OH(m/z352,9%)およびM+−CH3OH−CH
3(m/z337,100%)に見られる重要なフラグメントイオ
ンは、メトキシ基の存在を示唆し、これは1H NMR一重
線(δ3.59,3H)および対応するδ57.6の炭素共鳴によ
り確認された。1Hおよび13C NMRスペクトルは、化合物
3がカラノライドA(1)と同じ骨格を持つことを明ら
かにした。しかしながら、重要な相違がクロマノール環
置換基の幾つかのシグナルに見られた。J10-11(3.5H
z)およびJ11-12(3.7Hz)のビシナルカップリングに加
えて、1.3HzのWカップリングが、化合物3のH10および
H12の間に認められた。このWカップリングは、C10およ
びC12プロトンに関して凝ジエクアトリアル立体配置で
あることを必要とする。H11、およびC10メチル基(3.5
%)とC12メトキシ基(3.5%)の両方との間の著しいnO
e増大は、H11がこれら2つの置換基に対してcisであ
り、従ってクロマノール環についてエクアトリアル配向
を有することを示した。12−メトキシカラノライドA
(3)において、クロマノール環の望ましい立体配座は
カラノライドA(1)と相対的に反対であることが明ら
かになった。従って、両方の化合物においてH10、H11お
よびH12は、それぞれα、β、αに配向しているが、カ
ラノライドA(1)における3つのプロトンは全てアキ
シアルであり、12−メトキシカラノライドA(3)にお
いてそれらは全てエクアトリアルであった。
化合物3の他の物理化学的およびスペクトルデータは
次の通りである。[α]=+32゜(CHCl3,c0.8);IR
(フィルム)λmax2960,1731,1584,1380,1137cm-1;HREI
MS測定値m/z384.1924,C23H28O5の計算値384.1937;低分
解能(low res.)MS m/z384(5%),369(12%),352
(9%),337(100%) カラノライドB(4)([α]=+8゜)も、分子
式C22H26O5に相当するm/z370.1747ドルトンにHREIMS親
イオンを示したので、カラノライドA(1)の異性体で
あった。カラノライドB(4)の1Hおよび13C NMRスペ
クトルは、クロマノール環からのシグナルにおけるいく
つかの変化を除いて、カラノライドA(1)のスペクト
ルとほとんど同じであった。化合物4が、クロマノール
環置換基の立体化学的配置においてのみ、化合物1と異
なることがスペクトルデータから明らかであった。プロ
トン−プロトンカップリング定数分析は、10.5Hz J
10-11カップリングおよび3.3Hz J11-12カップリングを
示した。従って、H11およびH12は、H12が凝エクアトリ
アル配向であるcis配置であるのに対して、H10およびH1
1はtrans−ジアキシアルであった。カラノライドB
(4)は、コスタトライド(9)と同じ相対立体配置を
有するが、その旋光度は化合物9に関して報告されたも
の(Stout,G.H.ら,J.Org.Chem.,29:3604−3609(196
4))と反対であり、従って化合物4および9は境像異
性体である。
カラノライドB(4)の他の物理化学的およびスペク
トルデータは次の通りである。[α]=+10゜(アセ
トン,c1.0)UV λmax(MeOH)325(ε13,700),284(ε
22,800),228(ε22,200)nm;IR(フィルム)νmax347
0,2970,1732,1640,1608,1587cm-1;HREIMS測定値m/z370.
1747,C22H26O5の計算値370.1780;低分解能(low res.)
MS m/z370(3%),355(100%),337(13%),300(5
%),299(20%) 12−メトキシカラノライドB(5)([α]=+34
゜)は、分子式C23H28O5に相当するm/z384.1890ドルト
ンにHREIMS親イオンを与えた。さらに、M+−CH3(m/z36
9,12%),M+−CH3OH(m/z352,13%),M+−CH3OH−CH
3(m/z337,100%)のフラグメントイオンがみられた。
化合物5の1Hおよび13C NMRスペクトルは実質的に化合
物4で記録されたものと同一であり、さらに鋭い3H一重
線がδ3.58に、対応する炭素共鳴がδ59.4に測定され
た。これらのデータは化合物5がカラノライドB(4)
の12−メトキシ誘導体であることを示す。この帰属は、
化合物5(2mg)をTHF/H2O(400μ)および6N HCl
(8μ)中、室温で48時間、酸加水分解することによ
り化合物4が唯一の生成物として得られたことから確認
された。
化合物5の他の物理化学的およびスペクトルデータは
次の通りである。[α]=+34゜(CHCl3,c0.5);IR
(フィルム)λmax2966,1734,1716,1700,1558,1540,150
6,1457cm-1;HREIMS測定値m/z384.1890,C23H28O5の計算
値384.1937;低分解能(low res.)MS m/z384(4%),3
69(12%),352(13%),337(100%) 化合物6([α]=+68゜)もまたカラノライドA
(1)の異性体であった。なぜなら、化合物6は分子式
C22H26O5と一致するm/z370.1695ドルトンに同様のHREIM
S親イオンを示した。フラグメントイオンがM+−CH3(m/
z355,100%),M+−CH3−H2O(m/z337,25%),M+−C5H11
(m/z299,35%)に測定された。再び、化合物6の1Hお
よび13C NMRスペクトルと化合物1で記録されたスペク
トルとの間の顕著な違いはクロマノール環に関連する共
鳴だけであった。化合物6のJ10-11が2.5Hzであるのに
対し、J11-12は6.0Hzであった。これらのカップリング
定数は、炭素10、11および12の相対立体配置を決定する
には不十分であった。しかし、C12ヒドロキシプロトン
が、H12との1.5Hzのカップリングを伴う鋭いピークを示
したことから、OHプロトンの交換速度がO1との水素結合
のため低下していることが示唆される。O1との水素結合
はC12がエクアトリアルOHであることを必要とする。H10
とH12の間で5%nOe増大があったことから、これらのプ
ロトンはそれぞれアキシアル配向であることが確認され
た。これにより、H11はエクアトリアルでなければなら
ない。従って、化合物6はカラノライドA(1)のC11
エピマーであり、これまでに報告されるクマリン誘導
体、イノフィルムA(inophyllum A)(12)(Bandara,
B.M.R.ら,Phytochemistry 25:425−428(1986))とク
ロマノール環に関して同じ置換パターンおよび相対立体
配置を有している。従来報告されている化合物12のJ
10-11値(3.3Hz)およびJ11-12値(5.4Hz)は、化合物
6で測定されたそれぞれのカップリングとよく一致す
る。
化合物6の他の物理化学的およびスペクトルデータは
次の通りである。[α]=+68゜(CHCl3,c0.7);IR
(フィルム)λmax2960,1729,1620,1582,1120cm-1;HREI
MS測定値m/z370.1695,C22H26O5の計算値370.1780;低分
解能(low res.)MS m/z370(52%),355(100%),337
(25%),200(35%) 化合物7([α]=+60゜)は、分子式C22H24O5
相当するm/z353.1352にHREIMS分子イオンを与えた。こ
れは化合物7がカラノライドA(1)より一つ大きい不
飽和度を有することを必要とする。1734と1697cm-1のバ
ンドを有する赤外線スペクトルから、さらにカルボニル
基を有することが示唆される。ヘテロ核相関実験によ
り、化合物7の1Hおよび13C NMRスペクトルの完全な帰
属がなされた。化合物7の13C NMRスペクトルは、ほぼ
カラノライドA(1)と同様であるが、化合物7のC12
ピークがδ192.9の低磁場にシフトしていることから、
α,β−不飽和ケトン官能基があることを示す。化合物
7のC11プロトン共鳴がδ2.61にシフトしていること
は、C11がケトンカルボニルに対してα位であることを
支持する。
H10とH11の間で測定された小さなカップリング(J
10-11=3.0Hz)は、これらのプロトンのうち少なくとも
一つがエクアトリアルであることを示している。これま
でに報告されているソウラトロライド(soulattrolid
e)の酸化生成物(13)(Gunasekera,S.P.ら,J.Chem.So
c.,1505−1511(1977))が、同様の2,3−ジメチルベン
ゾピラノン環系を有している。化合物13ではH10とH11は
transであり、J10-11カップリングは11.0Hzと報告され
ている。これはH10とH11のプロトンがtransのとき、環
はこれらの2つのプロトンがジアキシアル配向の配座を
とることを示している。従って、化合物7におけるH10
とH11のプロトンの相対立体配置はcisでなければならな
い。C10およびC11の絶対立体配置は決定されていないの
で、図1では便宜上対応する両方のメチルをαで表して
いる。
化合物7の他の物理化学的およびスペクトルデータは
次の通りである。[α]=+60゜(CHCl3,c0.5):IR
(フィルム)λmax2960,1734,1697,1684,1575,1558c
m-1;HREIMS測定値m/z368.1213,C22H24O5の計算値368.16
24; 低分解能(low res.)MS m/z368(25%),353(10
0%),297(68%) 化合物8([α]=+30゜)は、HREIMS親イオンm/
z388.1890ドルトンが示すように分子式C22H28O6を有し
ていた。またM+−CH3(m/z373,100%),M+−C3H7(m/z3
45,3%),M+−CO2CH3(m/z329,5%),M+−C3H7O2(m/z3
13,3%),M+−COCHCH3CHOHCH3(m/z287,3%)のフラグ
メントイオンが測定された。nOe実験およびヘテロ核相
関から得られた情報により、化合物8の1Hおよび13C N
MRスペクトルが完全に帰属された。13C NMRスペクトル
は、不飽和ケトン(δ201.0)、飽和エステル(δ178.
6)、ジ置換オレフィン(δ125.6[1H]および115.6[1
H])、および3つの酸素原子を有する完全に置換され
たベンゼン環(δ160.0[2C],157.3,108.9,102.6,およ
び101.2)のシグナルを含んでいた。従って、化合物8
は、カラノライド系列の他の化合物にみられる4つの環
のうち3つの環しか有していない。TLC上でバニリン/H2
SO4と共に加熱したときに鮮やかな青色のスポットを与
える化合物1〜7とは対照的に、化合物8は褐色がかっ
た緑色のスポットを与えた。
化合物8の1Hおよび13C NMRスペクトルは、化合物1
〜7のクマリンおよび2,2−ジメチルクロメン環系と非
常によく対応する幾つかの共鳴を示した。しかし、化合
物1〜7のC3/C4二重結合は化合物8では完全に飽和さ
れていた。便宜上、図2に示すように、化合物8の炭素
原子にカラノライドA(1)で示した番号と同じように
番号を付けた。この番号はこの系列の他の化合物(すな
わち化合物2〜7)にも同様に適用する。二重結合の飽
和は、C4ベンジルのメチン(δ3.67m)とカップリング
する、ラクトンカルボニルに対してα位のメチレン(δ
2.81dd,J=15.0,9.0Hzおよび2.67dd,J=15.0,6.5Hz)で
あると結論される。C4プロトンはまた、C2、C3、C4a、C
12b、C13およびC14とヘテロ核相関を示し、このことはC
4にn−プロピル置換基を有する3,4−ジヒドロクマリン
骨格の存在を支持する。H8とC4b、C6、およびC8bとの間
のヘテロ核相関を含めたヘテロ核相関から、クロメン官
能基はクマリン環系上に位置することが確認された。こ
れは、化合物1〜7に存在するクロマノール環系が化合
物8では開裂していることを示唆する。
C8b上にフェノールがあることは、フェノールのプロ
トンからC8a、C8b、およびC12aへのヘテロ核相関および
H8とのnOe相互作用により確立された。分子中に残るケ
トン基が不飽和なので、該ケトン基はC12に位置しなけ
ればならない。この位置ではケトン基がC8bフェノール
プロトンと水素結合することができ、C8bフェノールプ
ロトンはδ12.40の鋭い一重線として現れる。H11の低磁
場へのシフト(δ2.52dq,J=3.5,6.5Hz)は、ケトンの
α位に位置するメチンに適している。C10カルビノール
メチンプロトン(δ4.49dq,J=7.0,3.5Hz)は、H11およ
びC18メチル基とビシナルカップリングを示した。C19メ
チルプロトンからC10、C11およびC12へのヘテロ核相関
を含めた全てのヘテロ核相関は、提案された化合物8の
構造と完全に一致する。
化合物8(図1)の他の物理化学的およびスペクトル
データは次の通りである。[α]=+30゜(CHCl3,c
0.5):IR(フィルム)λmax2960,1706,1644,1625,1442,
1131cm-1;HREIMS測定値m/z388.1890,C22H28O6の計算値3
88.1886;低分解能(low res.)MS m/z388(19%),373
(100%),345(3%),329(5%),313(3%),287
(3%) カラノライドA(1)およびカラノライドB(4)の
絶対立体配置をMosher法の改変法(Ohtani,I.ら,Tetrah
edron Lett.,30(24):3147−3150(1989);J.Org.Che
m.,56:1296−1298(1991))により決定した。第二級ア
ルコールのメトキシ(トリフルオロメチル)−フェニル
酢酸(MTPA)エステルの1H HMRスペクトルに誘導した
異方性シフトを利用する手法により絶対立体配置を決定
した。化合物1と4の(+)−(R)−および(−)−
(S)−MTPAエステル(図3Aおよび3B)を共に調製し
た。(R)−メトキシ(トリフルオロメチル)−フェニ
ル酢酸クロリド溶液(ベンゼン50μ中に2.5mg)を、
カラノライドA(1)3mgを乾燥ベンゼン3ml中に溶解し
た溶液に添加した。0.03mgアリコートのジメチルアミノ
ピリジンおよびトリエチルアミン10μを添加し、反応
混合物を還流させた。3時間後、(R)−MTPA−クロリ
ド2.5mg分を再び添加し、反応混合物をさらに21時間還
流させた。混合物を冷却し、ベンゼン10mlを添加し、有
機層を10%HCl、1N NaHCO3、および水の順で洗浄し
た。溶液をNa2SO4で乾燥し、乾固するまで溶媒留去し、
シリカの短いプラグ(1cm×2cm)上ですばやくクロマト
グラフィー処理した(ヘキサン/EtOAcの混合物で溶出し
た)。脱離生成物とみられる化合物が最初に5%EtOAc
で溶出され、所望の(R)−MTPAエステルが12%EtOAc
で溶出された。
(S)−MTPA−クロリドを用いて同様の操作を繰り返
し、(S)−MTPAエステルを得た。カラノライドB
(2)の(R)−および(S)−MTPAエステルを、2回
目のMTPA−クロリドの添加後、反応混合物をさらに2時
間だけ還流した(還流時間の合計は5時間)以外は同様
にして調製した。500MHz 1H NMRスペクトルからのΔδ
値(図3Aおよび3B)を計算した(Δδ=δ−δ)。
この方法により、C12の絶対立体配置はカラノライドA
(1)では12S、カラノライドB(4)では12Rであると
決定された。前に確立したように、カラノライドA
(1)[10R,11R,12S]およびカラノライドB(4)[1
0R,11R,12R]はC12エピマーであった。
カラノライドA(1)のエステル化は徐々に起こり
(化合物1は24時間還流であるのに対し、化合物4は5
時間である)、1H NMR解析によればエステル化により
クロマノール環の配座に変化が生じる。化合物1のMTPA
エステルでは、J10-11=2.5Hz(前は9.0Hz)およびJ
11-12=2.5Hz(前は8.0Hz)であることから、メチルお
よびエステル基がエクアトリアル位置からアキシアル位
置に動いている。さらに、H10とH12の間に1.5Hzの4−
結合Wカップリングが観測された。同様のクロマノール
の配座の変化が前に化合物3でみられた。MTPAエステル
において誘導された異方性シフトは、かさ高いMTPA基が
クマリン環ラクトンにより立体的に反発されることを示
している。従って、分子のプロトン共鳴をΔδ−正数お
よびΔδ−負数に分割する平面が、C12とO9を通ってジ
ヒドロピラン環をきれいに二等分していない。カラノラ
イドA(1)では分割面がC6に近づき、カラノライドB
(4)ではC8bに近づいていると考えられる。化合物1
のMTPAエステルにおけるC10β−メチル基およびC12βエ
ステル基の1,3−ジアキシアル配向のために、前者のメ
チル基はエステルにより非常に強く影響を受ける(Δδ
=+240、C11α−メチルで測定された+16と比べて)。
化合物1〜8(図1)の500MHz 1H NMRデータおよび
125MHz 13C NMRデータをそれぞれ表1および2にまと
めて示す。
実施例3 この実施例は、Calophyllum lanigerum由来のカラノ
ライド化合物および関連化合物の抗ウイルス活性を説明
するものである。まず、精製化合物について、既に文献
(Boyd,M.R.,AIDS Etiology,Diagnosis,Treatment and
Prevention(DeVita V.T.,Jr.,Hellman S.,Rosenberg
S.A.編)pp305−319(Philadel−phia:Lippincontt,198
8年);Gustafson,K.R.ら、J.Med.Chem.(印刷中);Weis
low,O.S.ら、J.Natl.Cancer Inst.,81:577−586(198
9);Gulakowski,R.J.ら、J.Virol.Methods,33:87−100
(1991))に記載のXTT−テトラゾリウム 抗−HIV 一
次スクリーニングアッセイを用いて、抗ウイルス活性の
評価を行った。全てのアッセイに用いたCEM−SSヒトリ
ンパ球標的細胞株は、フェノールレッドを含有せず、5
% ウシ胎児血清,2mM L−グルタミン及び50μg/ml
ゲンタマイシンを加えたRPMI 1640培地(Gibco,Grand
Island,NY)(完全培地)中で培養した。
指数関数的に増殖した細胞をペレット状にし、ついで
完全培地で2.0×105細胞/mlの濃度に再懸濁した。初め
から終わりまで、ハイチ人のHIV変異体であるHTLV−III
RF(3.54×106SFU/ml)を使用した。凍結したウイルス
ストック溶液を使用する直前に溶解して、完全培地に再
懸濁し、1.2×125SFU/mlとした。抗HIVを評価するため
の精製化合物の適当量を100%のジメチルスルホキシド
(DMSO)に溶解し、それから完全培地で所望の初期濃度
となるよう希釈した(そして、最終DMSO量は1%を越さ
ない)。薬物の系列希釈、試薬の添加、およびプレート
からプレートへの移動といった全ての行為は自動バイオ
メック(Biomek)1000ワークステーション(Beckman In
stuments,Palo Alto,CA)で行った。
カラノライドA(1)は広い濃度範囲にわたり(<0.
1〜>10μM)、一次スクリーニングアッセイでHIV−1
感染の細胞変性効果を完全に防護し、特にヒトT−リン
パ芽球(CEM−SS)細胞でのHIV−1再産生を停止させ
た。化合物1のC12エピマーであるカラノライドB
(4)もまた、このアッセイでHIV−1を完全に阻害
し、EC50=0.4μMおよびIC50=15.0μMであった。そ
のエステル誘導体である12−アセトキシカラノライドA
(2)も、幾分その強さは劣るものの(EC50=2.7μM
およびIC50=13μM)、HIV−1に対して活性を有して
いた。化合物6は、12−メトキシカラノライドB(5)
がそうであったように、弱くはあったが、検出可能な抗
−HIV活性を有していた。しかしながら、対応する12−
メトキシカラノライドA(3)の抗ウイルス活性は、一
次スクリーンでは検出されなかった。化合物7および8
は一次スクリーニングアッセイでは活性がなく、このこ
とは、C−12位に完全に還元された酸素官能基、または
その誘導性置換基が必要であること、またさらに、化合
物1〜6が共通して有する特徴的な完全な中心炭素骨格
が必要であることを示している。
純粋な化合物の抗−HIV活性についてさらなる証明を
するため、他の文献(Gulakowski,R.J.ら、J.Virol.Met
hods,33:87−100(1991))に詳述してあるような一連
の相互に関係のあるアッセイを96穴のマイクロタイター
プレートのそれぞれのウエル上で行った。概説すれば、
その方法は以下の通りである。非感染のCEM−SS細胞を
完全培地50μl中に1×104細胞の密度となるようにお
く。次いで、希釈したHIV−1ウイルスを適当なウエル
に50μl量加え、感染多重度が0.6になるようにする。
適当な細胞,ウイルスおよび薬物コントロールを各実験
操作であわせて、それぞれのマイクロタイターウエルの
最終量を200μlとした。ウイルス感染細胞用に4つの
ウエルを使用し、また非感染細胞用には2つのウエルを
使用した。プレートを5%CO2を含む雰囲気下で37℃で
6日間インキュベーションした。引き続いて、バイオメ
ックを用いて、各ウエルから細胞を含まぬ上清部分を除
去し、文献(Gulakowski,R.J.ら、J.Virol.Methods,33:
87−100(1991))に記載のように、逆転写酵素活性、p
24抗原産生および感染ヴィリオンの合成を調べた。それ
から細胞増殖または育ち度合を、文献(Gulakowski,R.
J.ら、J.Virol.Methods,33:87−100(1991))に記載の
ように、XTTアッセイ(Weislow,O.S.ら、J.Natl.Cancer
Inst.,81:577−586(1989))、BCECFアッセイ(Rink,
T.L.ら、J.Cell.Biol.,95:189−196(1982))およびDA
PIアッセイ(McCaffrey,T.A.ら、In Vitro Cell Develo
p.Biol.,24:247−252(1988))を用いて、各ウエルの
残留内容物で評価した。グラフ表示やデータの比較を容
易にするために、個々の実験的アッセイの結果(少なく
とも個々の4つの測定値の結果)を平均化し、そしてそ
の平均値を用いて、適当なコントロールに対する割合
(%)を計算した。これらの計算に使用した平均値の標
準誤差は、平均で、一般的にそれぞれの平均値の10%未
満であった。
図4A〜Dに示すように、カラノライドAはin vitroで
CEM−SSヒトリンパ芽球標的細胞に対するHIV−1の細胞
変性効果を完全に阻害することができた(EC50 0.1μ
M)。またこの化合物の標的細胞に対する直接の細胞毒
性は、100倍高い濃度でのみ見られることを示している
(IC50 13μM;in vitro「治療指数」≧130)。カラノ
ライドAはまた、それら同じ阻害効果濃度の範囲で、HI
V−1−感染CEM−SSでのRT,p24,およびSFUの産生を著し
く阻害し、ウイルスの複製停止を示唆した。図4A−Dに
おいてカラノライドAについて徐述したと同様の効果
(データ示さず)が、カラノライドBについてもまた得
られ、非細胞毒性濃度でHIV−複製を完全に阻害し、ま
たHIV細胞変性効果に対して完全に防護することができ
た。
実施例4 この実施例は抗ウイルス性カラノライド誘導体につい
て説明するものである。当業者であれば、実施例2のカ
ラノライド化合物および誘導体に加えて、他の抗ウイル
ス性カラノライド化合物またはその抗ウイルス性誘導体
が、天然原料から単離され得、および/または化学的に
合成され得ると判断するであろう。抗ウイルス性カラノ
ライド化合物またはその抗ウイルス性誘導体は、図5Aお
よび5Bで、より一般的に示されるように、2つの異なる
シリーズを含むうる。例えば、実施例2で得られるカラ
ノライドA(1)はシリーズ1に属し、ここにおいてR+
はCH2CH2CH3, 化合物7は、Calophyllum lanigerumに由来する関連の
天然産物であり、シリーズ1のメンバーを特徴づける炭
素骨格と同じ骨格を有する。
上記実施例は、図5の抗ウイルス性カラノライド化合
物およびその抗ウイルス性誘導体に関連するC−10,C−
11およびC−12についての特徴的構造(立体化学的およ
び置換基)の性状について重要な先例を提供するもので
あるが、C−4位にバリエーションを有する関連の天然
化合物によって提供される、R1でのバリエーションにつ
いての先例も存在する。例えば、図5の抗ウイルス性カ
ラノライド化合物およびその抗ウイルス性誘導体を特徴
づける同じ基本炭素骨格を有する化合物について、C−
4位にCH3またはアリール置換基を有するものが単離さ
れている(Dharmaratne,H.R.W.,ら、Phytochemistry,2
4:1553−1556(1985);Gunasekera,S.P.ら、J.Chem.So
c.,1505−1511(1977))。しかし、それはカラノライ
ドを特徴づけるC−10,C−11およびC−12位の立体化学
および/または置換基において相違している。
上記実施例は、天然の抗ウイルス性カラノライド化合
物およびその抗ウイルス性誘導体の単離、及びシリーズ
1の抗ウイルス性カラノライド化合物およびその誘導体
の重要な構造上の特徴を示す他の天然産物の単離につい
ての先例を提供するものであるが、当業者ならば、抗ウ
イルス性カラノライド化合物またはその抗ウイルス性誘
導体を調製することを目的として、標準の有機化学的方
法を用いて多くの構造修飾体を作ることができることを
理解するであろう。例えば、シリーズ2の抗ウイルス性
カラノライド化合物および抗ウイルス性誘導体は、シリ
ーズ1のカラノライド化合物またはその誘導体から作る
ことができる。より具体的には、シリーズ1の抗ウイル
ス性のメンバーは、C7およびC8位が完全に飽和されたシ
リーズ2の対応するメンバーに変換されうる。シリーズ
2の7,8−ジヒドロカラノライドAは7,8オレフィン結合
部の酸化白金により触媒された水素添加によってシリー
ズ1のカラノライドAから調製できる。
さらなる例として、R2であるシリーズ1またはシリーズ2のいずれかの抗ウイ
ルス性のメンバーは、対応する酸ハライドX−OCR3また
はX−O2SR3(XはCl,BrまたはI,R3はC1〜C6アルキルま
たはアリール)を用いた反応、または無水ピリジン中ま
たはトルエチルアミン中での、対応する酸HO2CR3または
HO3SR3(R3はC1〜C6アルキルまたはアリール)およびジ
シクロヘキシルカルボジイミドを直接用いた反応のいず
れかを使用することにより、 本明細書において参照した全ての文献の全体は言及に
より本明細書に組み入れられるものである。
好適な実施態様を強調して本発明を説明したが、当業
者には好適な化合物、組成物、および方法を変更し得る
ことが明らかであろう。本明細書で詳細に説明した以外
でも本発明を実施できることが意図される。従って、以
下に示す請求の範囲の精神および範囲内に包含される全
ての変形を本発明は含む。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カーデリナ、ジョン エイチ.、ザ セ カンド アメリカ合衆国、メリーランド州 21793、ウォーカーズヴィル、ハイラン ダー ブールヴァード、9374 (72)発明者 グスタフソン、カーク アール. アメリカ合衆国、メリーランド州 21771、マウント エアリィ、ヘロン コート、10095 (72)発明者 マクマホン、ジェイムズ ビー. アメリカ合衆国、メリーランド州 21701、フレデリック、チャカー コー ト、584 (72)発明者 フラー、リチャード ダヴリュー. アメリカ合衆国、メリーランド州 20779、トレイシーズ ランディング、 フランクリン ギブソン ロード、5877 (72)発明者 クラッグ、ゴードン エム. アメリカ合衆国、メリーランド州 20814、ベセスダ、エルスメア アヴェ ニュー、5117 (72)発明者 カシュマン、ヨエル イスラエル国、ジー4372、テル アビ ブ、ルース ストリート、5 (56)参考文献 特表 平8−507311(JP,A) Journal of Organi c Chemistry,29(12), p.3604−3609(1964) Phytochemistry,24 (7),p.1553−1556(1985) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 493/14 A61K 31/366 A61K 45/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 からなる群より選択される実質的に純粋な形態の化合
    物。
  2. 【請求項2】 である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 である請求の範囲第1項に記載の化合物。
  7. 【請求項7】次の工程からなる、Calophyllum属の植物
    からカラノライドを単離する方法。 (a)有機溶媒で乾燥植物材料を抽出し、粗抽出物を得
    て、 (b)該粗抽出物を液−液分配して非極性画分中に該カ
    ラノライドを濃縮し、 (c)該非極性画分をゲル浸透クロマトグラフィーまた
    は減圧液体クロマトグラフィーに付し、 (d)シリカゲルおよびC18逆相カラム上のHPLCにより
    該カラノライドを単離および精製する。
  8. 【請求項8】該植物がCalophyllum lanigerumである請
    求の範囲第7項記載の方法。
  9. 【請求項9】該乾燥植物材料が葉、小枝、実および樹皮
    からなる群より選択される請求の範囲第7項記載の方
    法。
  10. 【請求項10】有効成分として、 からなる群より選択される少なくとも一つの化合物を含
    有するウイルス感染の予防または治療薬。
  11. 【請求項11】該化合物が からなる群より選択される請求の範囲第10項記載の予防
    または治療薬。
  12. 【請求項12】該ウイルス感染が、該化合物によって阻
    害される逆転写酵素を含有するレトロウイルスによるも
    のである請求の範囲第10または11項記載の予防または治
    療薬。
  13. 【請求項13】該レトロウイルスがヒト免疫不全ウイル
    スである請求の範囲第12項記載の予防または治療薬。
  14. 【請求項14】該ウイルス感染が肝炎ウイルスによるも
    のである請求の範囲第10または11項記載の予防または治
    療薬。
  15. 【請求項15】該肝炎ウイルスがB型肝炎ウイルスであ
    る請求の範囲第14項記載の予防または治療薬。
  16. 【請求項16】請求の範囲第10項に記載の化合物以外の
    少なくとも一つの併用抗ウイルス性化合物をさらに含有
    する請求の範囲第10または11項記載の予防または治療
    薬。
  17. 【請求項17】 からなる群より選択される少なくとも一つの化合物の抗
    ウイルス有効量を含有する抗ウイルス性医薬組成物。
  18. 【請求項18】該化合物が からなる群より選択される請求の範囲第17項記載の医薬
    組成物。
  19. 【請求項19】請求の範囲第17項に記載の化合物以外の
    少なくとも一つの併用抗ウイルス性化合物をさらに含有
    する請求の範囲第17または18項記載の医薬組成物。
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