JP3100967U - 重油噴霧装置、及び重油噴霧装置に利用されるバケット - Google Patents

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Abstract

【課題】バケットの周囲等に重油が飛散することがなく、重油の使用量の削減を図ることが可能な重油噴霧装置を提供することを課題とする。
【解決手段】重油噴霧装置1は、バケット2を載置して支持する支持台7に近接した装置本体部9と、装置本体部9に設置された回動部10と、一端部が回動部10と回動自在に連結され、他端部がバケット2の開口部2aに向かって曲折されたL字形状を呈するノズル支持体3と、ノズル支持体3の他端部に取付けられた噴霧ノズル4と、ノズル支持体3に取付けられた噴霧ノズル4を噴霧位置及び跳上位置の間で変位させるためのエアシリンダ15と、一端が噴霧ノズル4と接続されたチューブ16を介し、空気圧を利用して重油を噴霧ノズル4が噴霧位置にあるときに霧状にして噴霧させる重油送出部17と、噴霧する重油の貯留された重油タンク部18とを具備している。
【選択図】 図1

Description

本考案は、重油噴霧装置、及び重油噴霧装置に利用されるバケットに関するものであり、特に、道路舗装用などに主として用いられるアスファルト合材を製造するアスファルト合材製造プラント内において使用され、製造直後の加熱高温状態にあるアスファルト合材を搬送するためのバケットのバケット内壁面にアスファルト合材の付着防止用の重油を噴霧するための重油噴霧装置、及び重油噴霧装置に利用されるバケットに関するものである。
従来から、アスファルト合材製造プラント内において、製造されたアスファルト合材を全国各地の道路工事現場等に輸送する前に、プラントに隣接するようにして設けられたアスファルト合材貯蔵用のサイロに、一端貯蔵して保管し、必要に応じてトラック等に積載して各現場へ搬送することがある。このとき、アスファルト合材が貯蔵されるサイロは、煙突のように地面から突出した大きな略円筒形状を呈するように形成され、製造された直後のアスファルト合材をサイロの上端部までスキップコンベアと呼ばれる装置を用いて搬送し、さらに上端部に到達したアスファルト合材をサイロ内に放出(落下)させている。
このとき、アスファルト合材をサイロの上端部まで搬送するスキップコンベアでは、一般に「バケット」と呼ばれ、上方に大きく開口した開口部を有する容量が2トン程度の大型の容器が用いられることがある。ここで、製造直後のアスファルト合材は、高温の状態にある。ところが、バケット内に投入され、スキップコンベアによってサイロの下端部近傍から、放出される上端部まで搬送される間に、アスファルト合材は徐々に熱を奪われ、高温の状態から徐々に温度が下がることがある。このとき、アスファルト合材は温度の低下に伴って粘性を増すとともに、投入されたバケットの内側のバケット内壁面に付着しやすくなる。その結果、サイロの上端部まで搬送されたバケットから、アスファルト合材をサイロ内に放出させる場合、バケット内壁面に付着して固化したアスファルト合材は、容易に放出されることがなく、バケットの内部にほとんど全部或いは一部のアスファルト合材が残存することがあった。これにより、アスファルト合材のサイロへの搬送作業の効率が低下するなどの不具合を生じることがあった。
そこで、アスファルト合材が投入される前のバケットのバケット内壁面に、予め付着防止用の重油を霧状にして噴霧し、バケット内壁面に重油の被膜を形成することが行われている。これにより、スキップコンベアによる搬送時に、温度低下にともなってアスファルト合材がバケット内壁面に付着し、搬送作業に支障を来すような問題を解消することができる。
しかしながら、バケット内壁面に対して重油を噴霧する作業において、下記のような問題を生じることがあった。すなわち、重油を利用したアスファルト合材の搬送作業を行うためには、アスファルト合材の製造プラント内に重油噴霧のための装置を設ける必要があった。例えば、図5に示すように、従来の重油噴霧装置100は、一般に装置の設置面Fに対して垂設された支持体101の頂部102に取付けられた噴霧ノズル103から重油105をシャワーのようにしてバケット支持台104に載置して支持されたバケット106の開口部107に対して降り注ぐようにして噴霧を行い、バケット内壁面108に重油105の層を形成しようとしていた。換言すれば、重油105を噴霧する噴霧ノズル103の位置は、バケット106の開口部107の上方に取付けられていた。その結果、バケット内壁面108を重油105によって十分にコーティングするためには、バケット106の開口部107の面積よりもさらに広範な面積に対して重油105を高所上方から噴霧する必要があり、さらに噴霧に係る圧力(噴霧圧力)も高い値に設定する必要があった。そのため、必要以上の面積に対して噴霧され、バケット106の開口部107よりも外側の位置に到達した重油105は、バケット106のバケット内壁面108に付着することなく、重油噴霧装置100の周囲に飛散していた。
加えて、噴霧ノズル103がバケット106の開口部107よりも上方に位置しているため、仮にアスファルト合材製造プラント内で風が発生した場合でも、開口部107より高所に位置する噴霧ノズル103から降り注がれる重油105が、さらに一層バケット106の周囲に飛散することとなった。その結果、重油噴霧装置100の周囲には、常に重油105が設置面F等に付着した状態であり、劣悪な作業環境にあった。
加えて、バケット内壁面108に対して行われる重油105の噴霧作業は、バケット106の周囲に飛散する重油105の使用量を考慮する必要があった。すなわち、バケット106の開口部107から外れた位置に噴霧された重油105は、その後に利用される可能性はほとんどなく、貴重な石油資源である重油105を無駄に消費していることとなっていた。その結果、重油105の使用量が増大し、最終的にはアスファルト合材製造プラントのプラント稼働コストを上げる要因ともなっていた。加えて、重油は、消防法上の危険物に指定される引火性の液体であり、その取扱い、特に火気等に対する対策は十分に講じる必要があった。万が一、火災等が発生した場合には、その被害は甚大となるおそれがあった。
また、開口部107よりも高所から重油を噴霧する必要があるため、重油タンク部109に貯留された重油105を、予め高位(噴霧ノズル103の取付位置など)まで空気圧等を利用して送出し、さらに噴霧させる必要があった。そのため、重油105を噴霧するための噴霧圧力は、可能な限り高くすることが求められる傾向が強かった。そのため、できるだけ低い噴霧圧力で、かつプラント内にできるだけ重油を飛散させないで効率的にバケットに対する噴霧作業を行うことの可能な重油噴霧装置、及び重油噴霧装置に利用されるバケットの開発が期待されていた。
そこで、上記実情に鑑み、バケットの周囲等に重油が飛散することがなく、重油の使用量の削減を図ることが可能な重油噴霧装置、及び重油噴霧装置に利用されるバケットを提供することを課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本考案の重油噴霧装置は、「アスファルト合材製造プラント内でアスファルト合材を搬送する際に利用するバケットのバケット内壁面に重油を噴霧する重油噴霧装置であって、前記アスファルト合材を投入するために上方に開口して形成された開口部を有する前記バケットに近接して設けられた装置本体部と、装置本体部に取付けられる略L字形状を呈するノズル支持体と、前記ノズル支持体の長手側の一端部を前記装置本体部に回動自在に連結する回動手段と、前記ノズル支持体の短手側の他端部に取付けられ、前記重油を霧状にして噴出可能な噴霧ノズルと、前記噴霧ノズルと重油供給用のチューブを介して接続され、噴霧する前記重油を貯留する重油タンク部と、前記重油を前記噴霧ノズルに送出する重油送出手段と、前記ノズル支持体に取付けられた前記噴霧ノズルを少なくとも前記バケットの前記開口部よりも下方位置に進入させ、前記噴霧ノズルの噴霧口を前記バケット内壁面に向けた噴霧位置、及び前記噴霧ノズルを略垂直方向に向かって跳上げ、前記バケットの前記開口部の上方から離間させた跳上位置の間で前記ノズル支持体を回動軸に従って変位制御する回動制御手段と、前記回動制御手段と連動し、前記噴霧位置にある前記噴霧ノズルから前記重油送出手段を利用して前記バケット内壁面に対して前記重油の噴霧を行う噴霧制御手段と」を主に具備して構成されている。
ここで、ノズル支持体とは、例えば、ステンレス等の金属製部材の一部を曲折し、L字形状にして形成したものである。そして、曲折されたノズル支持体の短手側の他端部には、重油を霧状にして噴出可能な噴霧ノズルが取付けられ、一方、ノズル支持体の長手側の一端部は、ヒンジのような従来から周知の技術である回動手段によって装置本体部と回動自在に連結されている。また、回動制御手段とは、ノズル支持体の一部に接続されたシリンダ軸を有するエアシリンダや油圧シリンダによって、シリンダ軸の伸縮に伴ってノズル支持体を回動させるシリンダ駆動方式によるもの、或いは回動軸にギア、チェーン、ベルト、及びモータなどの機械構成部品を適宜組合わせたモータ駆動方式によって行うものが例示される。これにより、L字形状を成すノズル支持体を、噴霧ノズルが取付けられた他端部を、アスファルト合材が投入されるバケットの開口部から下方位置のバケット内部に略水平方向に向かって突出するようにして進入させた噴霧、及びさらに略垂直方向に向かって跳上げた跳上位置の間で自由に変位させることが可能となる。
したがって、本考案の重油噴霧装置によれば、バケット内壁面に向かって重油を噴霧する噴霧ノズルが、装置本体部に対して回動可能に連結されたノズル支持体の他端部に取付けられている。そして、ノズル支持体を回動させ、噴霧ノズルがバケットの開口部よりも下方位置にくるようにして進入させた噴霧位置において、噴霧制御手段及び重油送出手段を利用して噴霧ノズルから重油を噴霧させるように制御することにより、バケットのバケット内壁面に重油を付着させることができる。このとき、噴霧ノズルがバケットの開口部よりも下方の噴霧位置にあるため、大部分の重油はバケットの内部の空間に限定されて飛散する。その結果、バケットの周囲に重油が飛散してアスファルト合材製造プラントの床面やバケット外壁面を汚すことがなくなる。さらに、プラント内に風が吹いた場合でも、バケット外壁面によって重油に風が当たることが遮られるため、風に乗って重油がプラント内に拡散することがなくなる。
さらに、噴霧ノズルが取付けられたノズル支持体は、上述した噴霧位置から略垂直方向に跳上げた跳上位置まで回動させることができる。つまり、バケットの開口部の上方から噴霧ノズル及びノズル支持体を待避させることができる。これにより、アスファルト合材をバケットに対して投入するアスファルト合材投入作業、及びアスファルト合材が投入されたバケットをサイロの上端部まで搬送する搬送作業において、噴霧ノズル及びノズル支持体が係る作業の邪魔となることがない。また、不用意にアスファルト合材や搬送途中のバケットに接触し、噴霧ノズル等が破損する可能性も少なくなる。これにより、従来のアスファルト合材製造プラント内における作業効率に影響を及ぼすことが無くなる。なお、係る重油噴霧装置は、一つのバケットにバケット内壁面に対する噴霧面積等を考慮して複数設けるものであってもよい。
さらに、本考案の重油噴霧装置は、上記構成に加え、「前記噴霧ノズルを前記跳上位置に付勢する付勢手段を」さらに具備するものであっても構わない。
したがって、本考案の重油噴霧装置によれば、ノズル支持体に取付けられた噴霧ノズルを跳上位置に付勢することが可能となる。ここで、付勢手段とは、例えば、装置本体部と回動可能に連結されたノズル支持体との間に、跳上位置において縮んだ状態を保持するような弾性変形可能なバネを設け、係るバネの弾性力に応じて跳上位置に強制的に付勢するものなどが挙げられる。これにより、回動制御手段によって噴霧ノズルを噴霧位置まで変位させるためには、該バネの弾性力に抗する力をノズル支持体に対して加える必要があり、係る力を除去することによって跳上位置まで噴霧ノズルを容易に戻すことができるようになる。
なお、本考案における付勢手段のその他の例として、回動制御手段として利用されるエアシリンダ及び油圧シリンダのシリンダ軸の伸縮を常に一方向に向かって付勢する機能を付したものを利用することも可能である。
これにより、初期状態においてノズル支持体に取付けられた噴霧ノズルが跳上位置に保持される。その結果、万が一、電気系或いは機械系の制御トラブルによって、上述の噴霧位置及び跳上位置の間で回動変位させる回動制御手段が機能しなくなった場合でも、係る付勢手段によってノズル支持体及び噴霧ノズルが跳上位置に強制的に戻されることになる。その結果、噴霧ノズルを、バケットの開口部の上方位置から待避させることができる。
すなわち、既に述べたように、バケットの開口部の上方位置は、製造された直後のアスファルト合材がミキサからバケットへ投入される際、及びアスファルト合材が投入されたバケットをサイロの上端部まで搬送する際にアスファルト合材及びバケットがそれぞれ通過する可能性がある。そのため、係る位置に噴霧ノズル等が留まった状態にあることは、アスファルト合材またはバケットと接触する危険性が高く、重油噴霧装置の故障を招いたり、或いは搬送作業等に影響を及ぼすことがある。そこで、開口部の上方位置からノズル支持体をバネ等の弾性力を利用して跳上位置に付勢することにより、上述した故障等の不具合の発生を解消することが可能となる。
一方、本考案の重油噴霧装置は、上記構成に加え、「前記噴霧ノズルは、前記バケット内壁面に対する前記噴霧口の噴霧角を調整可能な噴霧角調整手段を」さらに具備するものであっても構わない。
したがって、本考案の重油噴霧装置によれば、ノズル支持体の他端部に取付けられた噴霧ノズルの噴霧口のバケット内壁面に対する噴霧角が変更可能に形成されている。その結果、バケット内壁面の噴霧面積やサイズ、或いはノズル支持体の回動範囲等に応じて、最適な噴霧角で効率的に重油を噴霧することが可能となる。
一方、本考案の重油噴霧装置に利用されるバケットは、「請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の重油噴霧装置に利用されるバケットであって、前記バケットのバケット外壁面から突設され、前記跳上位置にある前記噴霧ノズルの前記噴霧口から滴下する重油滴を受止める受滴部、及び前記バケット外壁面及び前記バケット内壁面を貫設し、前記受滴部によって受止めた前記重油滴を前記バケットの内部に導出する導出孔を有する重油回収部を」具備して主に構成されている。
したがって、本考案の重油噴霧装置に利用されるバケットによれば、跳上位置に跳上げられた噴霧ノズルから滴下される重油の粒(重油滴)を回収し、バケット内に送ることが可能となる。ここで、従来のバケットの構成は、一般に上方に拡開して開口した開口部を備えた、大型の「バケツ」のような形状をしたものであり、特にその他の構成を備えているものではなかった。一方、重油は、粘性の高いドロッとした液状の物質であり、例えば、噴霧ノズルからの噴霧が完了した段階においても、その粘性の高さから僅かな重油が噴霧口の周囲に残存していることがある。そして、上述の重油噴霧装置によってノズル支持体とともに噴霧ノズルが跳上位置に回動された場合、噴霧口に残存した重油が次第に滴(重油滴)となって跳上位置において重力に従って落下することがある。その結果、噴霧ノズルの真下に位置する床面に重油滴が到達し、該床面を重油によって汚すことが想定される。そこで、重油滴が滴下される跳上位置の下方で、バケットのバケット外壁面から突出した位置に、係る重油滴を受止める受滴部、及び受滴部に溜まった重油(滴)をバケットの内部に導出する導出孔を有する重油回収部を備えたバケットを利用することにより、跳上位置の下方の床面を重油によって汚すことが回避される。加えて、滴下した重油を、導出孔を利用してバケット内部に導くことにより、重油を有効に活用することが可能となる。
本考案の効果として、バケットの開口部よりも下方位置に重油を噴霧する噴霧ノズルを進入させることにより、バケット周囲が重油で汚れることがなくなる。さらに、重油を飛散させるための噴霧圧力を抑え、さらに使用する重油を無駄にすることがなくなる。また、バケットの取付けられた重油回収部によって跳上位置から滴下する重油滴を回収し、有効に活用することができるようになる。
以下、本考案の一実施形態である重油噴霧装置1及び重油噴霧装置1に利用されるバケット2(以下、単に「バケット2」と称す)について、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の重油噴霧装置1及びバケット2の概略構成を示す説明図であり、図2は跳上位置Uにあるノズル支持体3及び噴霧ノズル4の状態を示す拡大正面図であり、図3は噴霧位置Dにあるノズル支持体3及び噴霧ノズル4の状態を示す拡大断面図であり、図4は跳上位置Uから滴下した重油滴5を回収する重油回収部6を模式的に示す説明図である。
本実施形態の重油噴霧装置1は、図1乃至図4に示すように、設置面Fに設置され、アスファルト合材(図示しない)が投入されるバケット2を載置して支持する支持台7に近接し、該支持台7の側柱部7aから水平方向に突出した水平支持部8によって支持された装置本体部9と、装置本体部9の本体上面9aに設置された回動部10と、長手側の一端部11が回動部10と回動自在に連結され、短手側の他端部12がバケット2の開口部2aに向かって曲折されたL字形状を呈するノズル支持体3と、ノズル支持体3の他端部12にバケット内壁面22に対する噴射角(図4における矢印B参照)を調整可能とするためにノズル軸4aに回動自在に取付けられた噴霧ノズル4と、一端がノズル支持体3の長手側に回動自在に連結されたシリンダ連結部13を有し、底端の一部が本体上面9aに設置されたシリンダ回動部14と回動自在に連結されたエアシリンダ15と、内部を重油Gが流通可能なチューブ16を介して一端が噴霧ノズル4と接続され、重油Gを空気圧を利用して噴霧口35まで送出し、霧状にして噴霧させる重油送出部17と、重油送出部17によって噴霧する重油Gの貯留された重油タンク部18とを具備して主に構成されている。ここで、ノズル支持体3の一端部11が連結された回動部10が本考案における回動手段に相当し、重油送出部17が本考案における重油送出手段に相当し、噴霧ノズル4を他端部12に取付るノズル軸4aが本発明における噴霧角調整手段に相当する。
加えて、エアシリンダ15及び重油送出部17は、それぞれ重油噴霧装置1による噴霧動作を操作制御するための装置制御部19の回動制御手段20及び噴霧制御手段21とそれぞれ電気的に接続されている。これにより、エアシリンダ15は、シリンダ連結部13と連結されたシリンダ軸15aの伸縮動作を行うことが可能となり、シリンダ連結部13を介してノズル支持体3を噴霧位置D及び跳上位置Uの間で自在に回動させることが可能となる。なお、初期状態において、シリンダ軸15aは、エアシリンダ15の本体の中に大部分が収容された状態にあり、回動制御手段20による制御が為されない場合には、係る状態に戻るように設計されている(例えば、図2及び図4参照)。すなわち、ノズル支持体3は、初期状態では跳上位置Uとなるように強制する矢印R方向(図4)への力が加えられている。ここで、エアシリンダ15のシリンダ軸15aによる噴霧ノズル4の跳上位置Uへの付勢が本考案における付勢手段に相当し、シリンダ連結部13及びシリンダ回動部14に接続されたエアシリンダ15、及び装置制御部19の回動制御手段20が本考案における回動制御手段に相当する。
一方、重油送出部17は、重油タンク部18に貯留された重油Gを、空気圧を利用して重油Gの供給用のチューブ16に送出するものである。このとき、噴霧制御手段21による制御指令を受けた重油送出部17は、上述の回動制御手段20の動作と連動し、噴霧ノズル4が噴霧位置Dに回動変位され、噴霧口35がバケット内壁面22に向けられると、重油Gを噴霧口35が噴霧し、バケット内壁面22の上に重油Gの層を形成する(図3参照)。なお、本実施形態において、支持台7に載置して支持されたバケット2には、互いに対向するように一対の重油噴霧装置1が設置面Fに設置されている。そして、重油Gがバケット内壁面22に噴霧され、アスファルト合材(図示しない)がバケット2に投入された後は、図1の矢印A方向(紙面奥側斜め上方)に向かってスキップコンベア(図示しない)によってバケット2が搬送されるものを示している。
ここで、装置本体部9についてさらに具体的に説明すると、装置本体部9は、回動部10及びシリンダ回動部14が設けられた本体上面9aを有する第一支持板23と、第一支持板23の下方に離間して形成された第二支持板24と、第一支持板23及び第二支持板24を互いに連結するとともに、第一支持板23及び第二支持板24の間の離間高さH(図4参照)を任意に調整可能な高さ調整機能を有する第一支持軸25と、第二支持板24の下面と接続し、支持台7の側柱部7aに取付けられた水平支持部8に向かって底端が曲折した曲折部26を有して水平支持部8と接続され、第一支持板23及び第二支持板24と支持台7の側柱部7aとの間の距離W(図4参照)を任意に調整可能な水平位置調整機能を有する第二支持軸27とを具備して主に構成されている。これにより、装置本体部9の垂直方向及び水平方向の位置を任意に変位させることができ、ノズル支持体3の跳上位置U及び噴霧位置Dの微調整を行うことが可能となる。なお、図示していないが、装置本体部9をバケット2に対して左右方向(図1乃至図4における紙面奥側及び手前側方向に相当)に変位させることも勿論可能である。
一方、本実施形態の重油噴霧装置1に利用されるバケット2は、バケット外壁面28から略水平方向に突出した一対の重油回収部6が左右(図1における紙面左右方向に相当)にそれぞれ設けられている。さらに、詳述すると、重油回収部6は、バケット外壁面28から斜め上方に向かって延設された平板状の回収底面部30、及び回収底面部30の側面とバケット外壁面28との間を連結する三角形状の回収側面部31a,31bから構成される受滴部32と、回収底面部30が延設されたバケット外壁面28の取付位置の上方に設けられ、バケット外壁面28及びバケット内壁面22を貫通するようにして穿設され、上方に開口した受滴部の受滴開口部33を通って回収底面部30に到達し、貯留空間Sに貯留された重油滴5をバケット2の内部にバケット内壁面22に沿わせるようにして導出する導出孔34とを具備して構成されている(なお、図1乃至図3において、回収側面部31bは回収側面部31aの紙面奥方向に位置するため紙面上で確認することができない。
ここで、回収底面部30及び回収側面部31a,31bによって形成された受滴開口部33は、噴霧ノズル4が跳上位置Uにあるときの、噴霧口34の下方に相当する位置に設けられている。そのため、噴霧口35から滴下した重油滴5を、受滴開口部33を通して、重油回収部6の貯留空間Sに貯めることができる。
次に、本実施形態の重油噴霧装置1の使用の一例について説明する。本実施形態の重油噴霧装置1によれば、まず、支持台7にアスファルト合材を搬送するためのバケット2が載置して支持される。このとき、初期状態にある重油噴霧装置1のノズル支持体3及び噴霧ノズル4は、バケット2が支持台7に支持される作業の邪魔とならないように、支持されるバケット2の上方位置から外れた跳上位置Uに、前述のエアシリンダ15による付勢力によって保持されている。
そして、支持台7にバケット2が載置された状態(図1及び図2参照)から装置制御部19の回動制御手段20による回動制御が行われ、ノズル支持体3の回動を行う。このとき、エアシリンダ15のシリンダ軸15aが伸長することによって、シリンダ軸15aとシリンダ連結部13を介して接続したノズル支持体3は矢印X方向(図2参照)に向かって回動部10を回動軸として略水平方向になるように噴霧位置Dまで変位する(図3参照)。そして、噴霧位置Dになったことが検知されると、装置制御部19の噴霧制御手段21によって重油送出部17の作動が開始され、重油タンク部18から送出された重油Gが噴霧ノズル4の噴霧口35から霧状にして噴出される。このとき、ノズル支持体3の他端部12に取付けられた噴霧位置Dにある噴霧ノズル4は、バケット2の開口部2aによりも下方の位置に進入している。そのため、この状態で重油Gの噴霧を行うと、噴霧されたほとんど全ての重油Gがバケット内壁面22に向けられ、従来の高所から噴霧されたものと比して、少ない重油Gの使用量でも確実にバケット内壁面22を重油Gで被覆することができる。加えて、ノズル支持体3の他端部12に取付けられた噴霧ノズル3は、ノズル軸4aを介して噴射口35の噴射方向を調整し、バケット内壁面22に対する噴射角を変更することができる。その結果、さらに効率よく重油Gをバケット内壁面22に対して浴びせることができるようになる。なお、図2乃至図3において、図1における紙面左方に位置する重油噴霧装置1について示しているが、同様の制御が図1における紙面右方に位置する重油噴霧装置1について行われている。これにより、バケット2のバケット内壁面22の幅広い面積において重油Gを一度の制御でまとめて噴霧することができる。
その後、バケット内壁面22に対する重油Gの噴霧が完了すると、噴霧制御手段21によって重油送出部17の作動が停止され、噴霧口35からの重油Gの噴出が止まる。そして、再び、装置制御部19の回動制御手段20によって噴霧位置Dにある噴霧ノズル4が、エアシリンダ15のシリンダ軸15aが縮み、ノズル支持体3を略垂直方向に跳上げた跳上位置Uまで変位させられる。これにより、ノズル支持体3は噴霧前の初期状態に戻される。それから、バケット内壁面22に重油Gが噴霧されたバケット2にミキサ(図示しない)から送出されたアスファルト合材(図示しない)が投入され、スキップコンベアによってサイロの上端部に向かって搬送が行われる。アスファルト合材をサイロ内部に投入し、空となったバケット2が再び重油Gの噴霧される支持台7の載置支持される位置まで戻されると、上述した噴霧作業が繰返し行われる。
これにより、高温状態のアスファルト合材が冷却されることによってバケット内壁面22に対して付着することを重油Gの噴霧によって回避するとともに、バケット2の周囲に重油Gが飛散しする不具合を解消することができる。
さらに、本実施形態の重油噴霧装置1に利用されるバケット2は、互いに対向するバケット外壁面28から突出した一対の重油回収部6が設けられている。ここで、ノズル支持体3が回動制御手段20に基づいて跳上位置Uに位置するように制御された場合、噴霧完了直後の噴霧ノズル4の噴霧口35には僅かな量の重油Gが残存していることがある。、跳上位置Uにある噴霧ノズル4はバケット2よりも当然のことながら高所に存在し、噴霧ノズル4の近傍にある重油Gには重力がかかっている。
このとき、重油Gの重量に基づいて作用する重力と、重油Gの粘着性によって作用する噴霧ノズル4に付着しようとする付着力とが重油Gに働いている。そして、付着力に抗する大きさの重力が重油Gに対して作用する場合、重油Gは噴霧ノズル4の噴霧口35から重油滴5となって滴状に落下する。そして、係る重油滴5が跳上位置Uの噴霧ノズル4の下方位置に開口して設けられた重油回収部6によって回収される。そして、重油回収部6のバケット外壁面28及びバケット内壁面22の間を貫通した導出孔34から受滴部32に貯められた重油滴5が、バケット2のバケット内壁面22に沿うようにして内部に導くことができる。その結果、従来は設置された設置面Fに落下して重油Gで汚す要因となっていた、重油Gを確実に回収し、さらにアスファルト合材の付着防止用として効率的に利用することができる。その結果、重油Gの無駄にすることなく使用できる。
加えて、本実施形態の重油噴霧装置1によれば、バケット内壁面22に対して直接噴霧ノズル4を向け、さらにバケット内壁面22に近づけた状態で噴霧することが可能となり、広範な範囲を比較的低い噴霧圧力によって噴霧することができる。その結果、重油Gを噴霧するための噴霧圧力を従来よりも低く設定することが可能となる。例えば、図5において示したような従来の重油噴霧装置100において、約1.5〜2.0kg/cm程度の噴霧圧力が必要であってものに対し、これを0.5kg/cm以下の噴霧圧力で十分にすることができる。特に、0.5kg/cm以上の噴霧圧力で重油Gを噴霧することは、かえって重油Gを周囲に飛散させるため、本考案の効果を低下させることもあるため、できるだけ低い噴霧圧力で噴霧を行うことが望ましい。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態において、バケット2の左右に一対の重油噴霧装置1を設けるものを示したが、これに限定されるものではなく、一つの重油噴霧装置1によってバケット内壁面22への重油Gの噴霧が十分可能なものであれば、一対の重油噴霧装置1を設ける必要はない。加えて、重油噴霧装置1を一つのバケット2に対して二台以上の複数設けるものであっても構わない。なお、係る状況の制御において、装置制御部19による回動及び噴霧の制御は、必ずしも全ての重油噴霧装置1に対して一致して行う必要がなく、個々の重油噴霧装置1における回動や噴霧のタイミングを遅延させる処理を行ってもよい。これにより、制御に係る装置制御部19に集中する回動及び噴霧の制御を分散させて処理できる。
重油噴霧装置及びバケットの概略構成を示す説明図である。 跳上装置にあるノズル支持体及び噴霧ノズルの状態を示す拡大正面図である。 噴霧位置にあるノズル支持体及び噴霧ノズルの状態を示す拡大正面図である。 跳上位置から滴下した重油滴を回収する重油回収部を模式的に示す説明図である。 従来の重油噴霧装置の構成を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 重油噴霧装置
2 バケット(重油噴霧装置に利用されるバケット)
2a 開口部
3 ノズル支持体
4 噴霧ノズル
4a ノズル軸(噴霧角調整手段)
5 重油滴
6 重油回収部
7 支持台
9 装置本体部
9a 本体上面
10 回動部(回動手段)
11 一端部
12 他端部
13 シリンダ連結部(回動制御手段)
14 シリンダ回動部(回動制御手段)
15 エアシリンダ(回動制御手段)
17 重油送出部(重油送出手段)
18 重油タンク部
20 回動制御手段
21 噴霧制御手段
22 バケット内壁面
28 バケット外壁面
32 受滴部
34 導出孔
35 噴霧口

Claims (4)

  1. アスファルト合材製造プラント内でアスファルト合材を搬送する際に利用するバケットのバケット内壁面に重油を噴霧する重油噴霧装置であって、
    前記アスファルト合材を投入するために上方に開口して形成された開口部を有する前記バケットに近接して設けられた装置本体部と、
    装置本体部に取付けられる略L字形状を呈するノズル支持体と、
    前記ノズル支持体の長手側の一端部を前記装置本体部に回動自在に連結する回動手段と、
    前記ノズル支持体の短手側の他端部に取付けられ、前記重油を霧状にして噴出可能な噴霧ノズルと、
    前記噴霧ノズルと重油供給用のチューブを介して接続され、噴霧する前記重油を貯留する重油タンク部と、
    前記重油を前記噴霧ノズルに送出する重油送出手段と、
    前記ノズル支持体に取付けられた前記噴霧ノズルを少なくとも前記バケットの前記開口部よりも下方位置に進入させ、前記噴霧ノズルの噴霧口を前記バケット内壁面に向けた噴霧位置、及び前記噴霧ノズルを略垂直方向に向かって跳上げ、前記バケットの前記開口部の上方から離間させた跳上位置の間で前記ノズル支持体を回動軸に従って変位制御する回動制御手段と、
    前記回動制御手段と連動し、前記噴霧位置にある前記噴霧ノズルから前記重油送出手段を利用して前記バケット内壁面に対して前記重油の噴霧を行う噴霧制御手段と
    を具備することを特徴とする重油噴霧装置。
  2. 前記噴霧ノズルを前記跳上位置に付勢する付勢手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の重油噴霧装置。
  3. 前記噴霧ノズルは、
    前記バケット内壁面に対する前記噴霧口の噴霧角を調整可能な噴霧角調整手段をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の重油噴霧装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の重油噴霧装置に利用されるバケットであって、
    前記バケットのバケット外壁面から突設され、前記跳上位置にある前記噴霧ノズルの前記噴霧口から滴下する重油滴を受止める受滴部、及び前記バケット外壁面及び前記バケット内壁面を貫設し、前記受滴部によって受止めた前記重油滴を前記バケットの内部に導出する導出孔を有する重油回収部を具備することを特徴とする重油噴霧装置に利用されるバケット。
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JP7561561B2 (ja) 2020-09-29 2024-10-04 日工株式会社 付着防止剤噴霧装置

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