JP3098202B2 - ホログラム,ホログラムの作成方法及びホログラムの作成装置 - Google Patents

ホログラム,ホログラムの作成方法及びホログラムの作成装置

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JP3098202B2 JP09018071A JP1807197A JP3098202B2 JP 3098202 B2 JP3098202 B2 JP 3098202B2 JP 09018071 A JP09018071 A JP 09018071A JP 1807197 A JP1807197 A JP 1807197A JP 3098202 B2 JP3098202 B2 JP 3098202B2
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Holo Graphy (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,3次元画像を特殊
な眼鏡等を使用せずに空間に表示することのできる立体
ディスプレイに係り、例えば立体絵,立体看板,立体広
告,立体印刷,窓装飾,壁装飾,漆塗工芸品装飾,自動
車塗装装飾,鏡装飾,光学玩具,宗教用具,包装装飾や
立体テレビ等の3次元効果を生じさせる分野に利用でき
るホログラム,ホログラムの作成方法及びホログラムの
作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、立体を表示する技術の代表とし
て、ホログラフィがある。これは、まずレーザなどのコ
ヒーレント光を物体に照射して、物体から散乱されてく
る物体光と、参照光を干渉させて、光の位相情報も記録
する。次に、このホログラムに参照光を照射すると、も
との実物と同等な光の波面が再現されて、空間に立体的
に物体を表示できる。この様なタイプをフレネルホログ
ラムという。また、参照光と物体光を反対方向から干渉
させて、ブラッグ回折縞により波長選択性を持たせて、
白色光でもホログラムの再生を可能としたリップマン
(デニィシュク)ホログラムがある。
【0003】更に、物体光を水平スリットで制限し、上
下方向の視差を犠牲にする代償に、白色光再生を可能と
したレインボーホログラムがある。更に、計算機で物体
光と参照光の干渉縞の形状を計算して、その干渉縞を電
子ビーム等で描画することによって、撮影をしなくても
ホログラムを実現するCGH(Computer Generated Holo
graphy) がある。また、特殊な眼鏡等を使用せずに自然
な立体映像を得る他の方法として、あらかじめ両眼視差
を持たせた映像の手前に、縦縞の細いスリットを配置し
て、左目には左目用の画像が、右目には右目用の画像が
入射されるようにした、パララックスバリア方式があ
る。他には、昆虫の複眼のような多数の微小なレンズア
レイを通して実像を再生するインテグラルフォトグラフ
ィや、かまぼこ状の形状をしたレンチキュラレンズを使
用したレンチキュラ方式がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のホロ
グラフィには、次のような問題点があった。フレネルホ
ログラフィは、再生のためにレーザ光が必要であり、再
生が不便であった。レインボーホログラムは白色光再生
が可能であるが、再生像の上下方向に虹色に色がついて
再生されるため、再生像を白色にすることができなかっ
た。リップマン(デニィシュク)ホログラムも、白色光
再生が可能であるが、体積型のホログラフィであるた
め、記録部分に厚い乳剤が必要であり、現像等の化学的
処理が必要であった。このような撮影型のホログラフィ
技術では、実際の立体物体を撮影する必要があった。こ
のため、実在しないものを記録する場合には、実体模型
をつくる必要があった。一方、コンピュータを利用し
て、ホログラフィを計算するCGHでは、実在しないも
のでも、コンピュータの中で設計してホログラムを実現
可能であるが、人間の目の分解能に対して、ホログラフ
ィパターンの空間分解が非常に細かいため、膨大で複雑
な計算をする必要があった。
【0005】また、両眼立体視タイプには次のような問
題があった。パララックスバリア方式は、光量が減るた
めに像が暗く見えることや、スリット状のパララックス
バリアが目障りとなる問題があった。さらに目障りを解
消するためにスリットの間隔を狭くしていくと回折現象
が起こって見にくくなる問題があった。インテグラルフ
ォトグラフィは、大量の微小レンズを正確に配置したレ
ンズアレイが必要であり、この製作は技術的に容易でな
かった。このため、この方式で作成した立体ディスプレ
イは高価であった。レンチキュラ方式は、インテグラル
フォトグラフィの上下方向の視差を削除して、レンズア
レイの作成を簡易化したが、視点の移動にともなって、
像が飛び飛びの不連続に観察される問題があった。
【0006】即ち、 ホログラフィであっても、両眼立
体視を使う方法であっても、従来は立体ディスプレイを
作成するためには、正確な位置合わせや、微細加工が必
要であった。このため、立体ディスプレイを製作するた
めの装置は、高精度と高分解能が要求されて高価とな
り、安価に立体ディスプレイを提供することができなか
った。また、立体ディスプレイの作成には、高度な光学
的知識を必要としていたため、デザインや簡単な装飾へ
の応用する一般的な普及を制限していた。
【0007】本発明は、上記の問題点に鑑みてなされた
もので、極めて簡単な構造で表現対象の虚像を表出させ
ることのできるホログラム,ホログラムの作成方法及び
ホログラムの作成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明のホログラムは、視差効果により表現対
象の図形の虚像を表出させる基板を備えたホログラムに
おいて、上記虚像の一点部を照明光を散乱させて表出さ
せる半円より小さい円弧、もしくは、半円より小さい円
弧群からなる所要の幅の多数の光散乱部単体を備え、該
光散乱部単体の円弧の中心位置からの半径を、上記表現
対象の図形の一点部における基板面からの奥行きに比例
して設定し、上記光散乱部単体の円弧群の中心位置から
の各円弧の半径の平均を、上記表現対象の図形の一点部
における基板面からの奥行きに比例して設定し、上記表
現対象の図形の各点部に対応した多数の光散乱部単体を
該光散乱部単体の中心位置が該表現対象の図形に沿って
位置するように上記基板の基板面に設け、該多数の光散
乱部単体に照明光を照射したとき表現対象の図形の1つ
の虚像を表出させる構成としている。 即ち、本発明のホ
ログラムは、図1に示すように、視差効果により表現対
象T(図では基板面Ka上に描かれた三角形)の虚像G
を表出させる基板Kを備えたホログラムにおいて、上記
虚像Gの一点部を照明光を散乱させて表出させるととも
に上記表現対象Tの一点部に対応した半径r及び中心位
置O(図では基板面Ka上に描かれた三角形の図形上に
ある)を有した半円より小さい円弧、もしくは、上記表
現対象Tの一点部に対応した平均の半径r及び中心位置
Oを有した半円より小さい円弧群からなる所要の幅の光
散乱部単体Cを備え、中心位置Oが異なる2以上の光散
乱部単体Cを含み上記表現対象Tの各点部に対応した多
数の光散乱部単体Cを上記基板Kの基板面Kaに設けた
構成としている。図1中基板面Ka上に描かれた三角形
は、表現対象Tであると同時に、中心位置Oの群を表
す。
【0009】ここで、視差効果とは、両目で見た場合は
勿論のこと、片目で見た場合や、遠くから見た場合、動
きながら見た場合等、見る位置によって見え方が違う効
果を含む概念である。半径rは、例えば、虚像Gの一点
部の基板面Kaからの特定位置での高さHに対応させて
定められる。即ち、高さHは、虚像Gを見る位置によっ
て異なるが、ある特定の見る方向での高さとする。ま
た、光散乱部単体Cの所要の幅は、奥行きを表現するた
めの奥行き方向の分解能程度に定められ、望ましくは、
分解能の半分程度が良い。これにより、上記の中心位置
Oが異なる2以上の光散乱部単体Cを含むことからも、
1つの中心に連続的に半径が分布した例えばCD(コン
パクトディスク)等のように光散乱部単体が形成された
ものは除かれる。更にまた、虚像は円弧のピッチと等し
い輝点群から構成されるので、円弧のピッチを小さくす
ると滑らかな虚像が再現される。しかし隣り合う円弧か
らの光が、干渉する必要がないので、ピッチは例えば3
00ミクロン程度で、立体表示が可能である。すなわ
ち、従来のホログラフィのような、ミクロン程度の微細
加工を必要とせずに、その1〜2桁も緩い加工精度でホ
ログラフィの作成が可能である。
【0010】次に、本発明のホログラムの原理について
説明する。光散乱部単体に光を照射すると、光が光散乱
部単体で散乱する。近傍で散乱された光同士は干渉し
て、円弧と直交する面の方向を主成分(強度が最大)と
して、光が光散乱部単体から方向性をもって回折され
る。この光は、方向性を持っているが、光源が白色光で
あることと、円弧光散乱部単体の散乱が完全でないこと
が加わり、ある程度の角度範囲で広がった分布を有して
いる。光散乱部単体が光の波長に対して低周波で、十分
に散乱できない場合は、散乱放射の強度が最大になる方
向は、光源からの光が透明基板を透過する方向や、反射
基板で全反射する方向に、わずかに傾くこともあるが、
基本的に散乱による放射の主方向は、円弧に直交する面
の方向になる。円弧に光を照射することにより、円弧光
散乱部単体の全ての点が光を散乱しているが、それぞれ
の点で散乱された光は、前述の方向性を持って放射され
ている。目を空間のある位置に置いた場合、円弧のいろ
いろな位置で散乱された光のなかで、最大強度で目に散
乱光を届けることができる円弧の円周上の点の位置は図
2及び図3のように決定される。
【0011】図2は、光源と目が円弧の中心に対して同
一方向にある場合について、光源の位置:S、観測位置
(目):A、円弧の中心:O、円弧上の輝点:P1 ,P
2 との位置関係を示している。虚光源:S1 は、反射基
板の場合に考える光源であり、基板に対して光源の位置
と対称な位置にある。円弧上で明るく見える輝点:P1
, P2 は、三角形AOS1 を含む平面と、基板上の円
弧が交わる点である。図3は、光源と目が円弧の中心に
対して反対方向にある場合について示している。輝点の
場所の関係は、図2と同様に、三角形AOS1 を含む平
面と、基板上の円弧が交わる点であることには変わりな
い。図2及び図3ともに、基板は光を反射する場合につ
いて説明したが、基板が光を透過する透明基板であった
場合には、光源をS1 の位置に置くと、同様になる。図
2及び図3からわかるように、目を移動させると、それ
に伴い、輝点は円弧上を移動する。輝点は円弧上なら
ば、どこでも光ることが可能であるが、前述の三角形で
決まる特定の2点だけが明るく見える。いろいろな場所
から同時に円弧をみても、その位置に対応した場所だけ
が明るく見える。輝点の動き方は、なめらかで、3次元
的に自然である。照明光は、レーザなどのコヒーレント
な光である必要はなく、白色光でよい。例えば電球やL
EDなどの点光源か、またはコリメート光や太陽光で再
生すると鮮明に観測できる。直線状の蛍光灯であって
も、円弧の直交する面上に光源を配置した場合には、鮮
明な再生が可能である。照明光の色を変えると、輝点の
色も照明光と同一色になるので、例えば赤,緑,青の3
原色の光源と、それぞれの光源に対応した3枚の画像か
ら、カラー立体像の再生も可能である。
【0012】次に、図2に示す立体視の原理を説明す
る。図4及び図5に示すように、右目と左目の位置は左
右にずれているので、同一円弧上であっても、右目と左
目では明るく見える輝点の位置が異なる。それぞれの目
に対して円弧の中心Oの垂線を通る面方向が主成分の回
折光が入り、円弧上に2つの輝点が観測される。例えば
左目Lには、BとCから、右目Rには、AとDから回折
された光が入る。両目でみると、CとDは、基板の下の
空間の点Fの場所が光っている場合と等価に見える。同
様にAとBは、基板の上の空間の点Eの場所が光ってい
る場合と等価に見える。このように、基板面上ではない
空間に点の虚像が見えることになる。
【0013】一方、図3の位置関係にした場合は、図6
及び図7に示す様な見え方になる。この位置関係の場合
は、目に届く光は、円弧の中心Oの垂線を通らない。回
折光の強度はある程度の角度範囲で分布しているので、
最大になる方向(円弧の中心Oの垂線を通る方向)では
ないが、目に向かう成分があり、これによって輝点が観
察される。両目で見ると輝点は、円弧の中心のOの垂線
上ではなく、斜めに傾いて観察される。以上のように光
源の位置関係によって、図4及び図5に示す見え方と図
6及び図7に示す見え方との2種類の見え方をする。
【0014】いずれの見え方でも、奥行き(高さ):h
1 , h2 は,円の半径rに比例し、半径を調節すること
によって、奥行きを自由に設定できる。XY平面上の輝
点の位置は、円弧の中心をXY平面上で移動させること
によって、平行移動できる。このようにして、円弧の中
心と半径を調節することによって、3次元空間の任意の
1点を記録して、再生することができる。任意の3次元
形状であっても、サンプリングすれば、3次元空間中の
点の集合として表示することができる。
【0015】また、本発明のホログラム作成方法は、視
差効果により表現対象の虚像を表出させる基板を備えた
ホログラムを作成するホログラムの作成方法において、
上記虚像の一点部を照明光を散乱させて表出させる
弧、もしくは、円弧群からなる所要の幅の多数の光散乱
部単体を用い、上記表現対象の図形の一点部における基
板面からの奥行きに比例するように上記光散乱部単体の
円弧の中心位置からの半径を求め、上記表現対象の図形
の一点部における基板面からの奥行きに比例するように
上記光散乱部単体の円弧群の中心位置からの各円弧の半
径の平均を求め、上記表現対象の各点部に対応した各光
散乱部単体を、上記求めた半径及び中心位置に従って、
かつ、光散乱部単体の中心位置を該表現対象の図形に沿
って移動させて、上記基板の基板面に設ける構成として
いる。この場合、上記中心位置を表現対象を転写した画
像の画素上に設定し、該画素に沿って中心位置を移動さ
せて各光散乱部単体を設けることが有効である。
【0016】詳しくは、任意の3次元像を表示する場合
のホログラム作成方法について説明する。図8に示すよ
うに、表示したい3次元像をXY平面と平行な面でスラ
イスした時の断面画像を求める。例えば3次元CTスキ
ャナーの断層写真や、3次元CADで設計した形状デー
タなどをこの画像として使用すると良い。ホログラムは
透明に3次元物体を内部まで表示できるが、虚像におい
て内部を表示しない場合は、表現対象として断面の輪郭
だけを使用し、陰に隠れてみえない向こう側の輪郭を使
わなければ良い。断面画像のそれぞれの画素に円弧の中
心を移動させ、Z方向の高さに比例した半径で円弧を描
く。同様な操作をそれぞれの高さに対応した半径で、全
ての断層面で繰り返すことにより、任意の3次元像を表
示することが可能となる。全ての断面P1 〜P4 は、記
録する基板上で同一位置に置く。但し、図6及び図7で
説明した位置関係で立体像を観察する場合は、Z軸が大
きく傾いて像が再生されるので、Y方向にシフトさせな
がらP1 〜P4 を配置するとよい。
【0017】また、ここでは断層毎に一定の半径で円弧
を描く方法を示したが、XY座標を決めてから、半径を
変化させて描いても、同等である。更に、同図では円弧
の角度が左右45度で描いたが、左右90度まで拡大す
ると左右に回り込んで見たときの見える範囲が広くな
る。但し円弧を左右90度以上にすると、同一円弧上に
輝点が2カ所現れるようになり、奥行きが反対になった
像が重なるので、一般的な立体像を表示する場合には見
にくくなる。しかし、模様等で積極的にこの効果を利用
すると、ビジュアルな効果が高い立体模様を作成するこ
ともできる。
【0018】また、本発明のホログラムにおいては、上
記多数の光散乱部単体の密度に差を設けた構成としてい
る。あるいは、上記多数の光散乱部単体の内所要の光散
乱部単体に他と比較して散乱強度に差を設けた構成とし
ている。これにより、虚像に明暗が付される。以下この
原理について説明する。これまでの説明では、簡単化す
るために断面の画素の濃度が2値の場合で説明したが、
画素の濃度に応じて同一ピクセル(点部)内で円弧の中
心をわずかにずらして、複数の円弧を描いて、円弧の密
度を変えることにより、擬似的に各点部に濃淡を与える
ことができる。その一例を図9に示す。ピクセル内にサ
ブピクセルの位置を決めて、濃淡値に対応して、サブピ
クセル中心から円弧を描いている。図9では5階調の場
合を示している。サブピクセルの大きさが大きすぎる
と、輝点の位置がボヤけてしまうので、できるだけサブ
ピクセルは小さい方が良いが、円弧の間隔が加工限界以
下にならない範囲で調節すると良い。
【0019】また、例えば、光散乱部単体がブラシや砥
石等で形成される傷で形成される場合、ブラシや砥石を
基板に押しつける圧力を変えて、各点の濃淡値を表現す
る。圧力を高くすると、前述のように円弧の数が増加す
る効果もあるが、更に、傷自体が深く、幅が広くなる効
果もある。傷自体が波長程度に十分に細い場合は、傷の
エッジや底部などの鋭い部分で光が散乱されるが、傷が
広い場合は、傷の中の側面や底面の凸凹によっても散乱
されている。つまり圧力を高くすることによって、傷が
深く広くなり、凸凹の部分の面積が増加するので、濃度
が増す。このようにして濃淡を実現することができる。
ただし、溝の幅が広くなりすぎると、空間的コヒーレン
スが悪化し散乱光が方向性を持たなくなるので、適度に
調整する必要がある。傷の中の凸凹は、基板の温度や、
ブラシの周速度などで変化するので、これらの要素も加
味して、圧力を調整すると良い。
【0020】このような構成のホログラムにおいて、上
記基板として表面が擦り傷をつけられて光散乱部を生じ
る材質のものを用い、上記光散乱部単体を基板に形成さ
れた円弧状の傷で構成したことが有効である。また、上
記基板として表面が加熱により変成して光散乱部を生じ
る材質のものを用い、上記光散乱部単体をこの変成した
部分で構成したことが有効である。更に、上記基板とし
て表面が感光されて光散乱部を生じる材質のものを用
い、上記光散乱部単体をこの感光した部分で構成したこ
とが有効である。更にまた、上記基板の光散乱部単体
を、該基板に付着可能な光散乱部を付着固定して構成し
たことが有効である。また、上記基板として透明体を用
い、上記光散乱部単体を該基板面に不透明な部分を設け
ることにより構成したことが有効である。そしてまた、
上記基板として透明体に不透明体を被覆したものを用
い、上記光散乱部単体を該基板の不透明体を除去して透
明な部分を設けることにより構成したことが有効であ
る。
【0021】また、本発明のホログラムの作成装置は、
視差効果により表現対象の虚像を表出させる基板を備え
たホログラムを作成するホログラムの作成装置におい
て、 上記ホログラムは、上記虚像の一点部を照明光を散
乱させて表出させる円弧、もしくは、円弧群からなる所
要の幅の多数の光散乱部単体を備え、該光散乱部単体の
円弧の中心位置からの半径が、上記表現対象の図形の一
点部における基板面からの奥行きに比例して設定され、
上記光散乱部単体の円弧群の中心位置からの各円弧の半
径の平均が、上記表現対象の図形の一点部における基板
面からの奥行きに比例して設定され、上記表現対象の図
形の各点部に対応した多数の光散乱部単体が、該光散乱
部単体の中心位置が該表現対象の図形に沿って位置する
ように上記基板の基板面に設けられ、該多数の光散乱部
単体に照明光を照射したとき表現対象の図形の虚像を表
出させるホログラムであり、照明光を散乱させる光散乱
部を上記基板面に生成する光散乱部生成手段と、該光散
乱部生成手段を中心軸を中心として円弧状に駆動し上記
光散乱部単体を基板上に設ける円弧駆動手段と、上記中
心軸を対応する中心位置に従って移動させる中心軸移動
手段とを備えた構成としている。そして、必要に応じ、
上記光散乱部生成手段の中心軸からの半径を可変にする
半径可変手段を備えた構成としている。そしてまた、必
要に応じ、上記の光散乱部単体の散乱強度を可変にする
散乱強度可変手段を備えた構成としている。
【0022】このような構成のホログラムの作成装置に
おいて、上記光散乱部生成手段を、基板に擦り傷をつけ
て光散乱部を生成する傷付け手段により構成したことが
有効である。また、上記光散乱部生成手段を、光照射に
よる熱的効果により光散乱部を生成する光照射手段によ
り構成したことが有効である。更に、上記光散乱部生成
手段を、光照射による感光効果により光散乱部を生成す
る光照射手段により構成したことが有効である。更にま
た、上記光散乱部生成手段を、上記基板に付着して光散
乱部を形成する光散乱体を上記基板に放出して付着固定
する光散乱体付着手段により構成したことが有効であ
る。また、上記光散乱部生成手段を、透明体からなる基
板の表面に不透明な部分を形成する不透明形成手段によ
り構成したことが有効である。そしてまた、上記光散乱
部生成手段を、透明体に不透明体を被覆した基板の不透
明体を除去して透明な部分を設ける透明形成手段により
構成したことが有効である。
【0023】また、必要に応じ、上記円弧駆動手段を、
上記光散乱部生成手段を回転運動により円弧状に動かす
回転運動機構で構成したことが有効である。更に、上記
中心軸移動手段を、表現対象の相似形原画をトレースす
るパンタグラフ機構で構成したことが有効である。更に
また、上記中心軸移動手段を、電気的に制御する制御部
を備えて構成したことが有効である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下添付図面に基づいて、本発明
の実施の形態に係るホログラム,ホログラムの作成方法
及びホログラムの作成装置を説明する。先ず、ホログラ
ムの実施の形態について説明する。本発明の実施の形態
に係るホログラムは、図1に示すように、視差効果によ
り表現対象T(図では基板面Ka上に描かれた三角形)
の虚像Gを表出させる基板Kを備えたホログラムにおい
て、上記虚像Gの一点部を照明光を散乱させて表出させ
るとともに上記表現対象Tの一点部に対応した半径r及
び中心位置O(図では基板面Ka上に描かれた三角形の
図形上にある)を有した円弧、もしくは、上記表現対象
Tの一点部に対応した平均の半径r及び中心位置Oを有
した円弧群からなり所要の幅の光散乱部単体Cを備え、
中心位置Oが異なる2以上の光散乱部単体Cを含み上記
表現対象Tの各点部に対応した多数の光散乱部単体Cを
上記基板Kの基板面Kaに設けた構成としている。図1
中基板面Ka上に描かれた三角形は、表現対象Tである
と同時に、中心位置Oの群を表す。半径rは、例えば、
虚像Gの一点部の基板面Kaからの特定位置での高さH
に対応させて定められる。即ち、高さHは、虚像Gを見
る位置によって異なるが、ある特定の見る方向での高さ
とする。また、光散乱部単体Cの所要の幅は、奥行きを
表現するための奥行き方向の分解能程度に定められ、望
ましくは、分解能の半分程度が良い。
【0025】図10に、更に具体的なホログラムの数種
の実施の形態を示す。図の各例においては、光散乱部単
体Cが円弧で構成されているものを示したが、円弧群か
ら構成されていても良い。図10(a)に示すホログ
ラムは、基板Kとして、表面Kaが擦り傷をつけられて
光散乱部を生じる材質のもの例えばプラスチック板を用
いており、光散乱部単体Cが基板Kに形成された円弧状
の傷で構成されている。図10(a)に示すように、
傷を透明な樹脂等で埋め込んで、さらにその上に屈折率
の異なる透明樹脂で表面仕上げをすると、表面に傷が残
らず、なおかつ光を照射すると立体像が浮かびあがるホ
ログラムを作成できる。基板Kに屈折率の異なる透明塗
料を全面に塗布しても良いが、屈折率の異なる塗料を塗
布後、削り取って、溝部分だけに埋め込むとより表面が
美しく、再生虚像も鮮明になる。また、上層の塗料の溶
剤等によって、傷自体が溶解して、凸凹の空間周波数が
大きくなり、良好な散乱が得られない場合は、上層の塗
料を塗布する前に、基板Kを溶剤から保護する薄いバリ
ア層を設けるとよい。尚、溝形成を間違った時には、傷
を基板Kと同等な材質のもので埋めてホログラムを消す
ようにすればよい。また、プラスチックの基板Kであれ
ば傷を溶剤でわずかに溶かしてもよい。
【0026】図10(b)に示すホログラムは、基板K
として表面が加熱により変成して光散乱部を生じる材質
のものを用い、円弧状の光散乱部単体Cをこの変成した
部分で構成している。例えば、基板加工のための加工光
をレンズや鏡で集光して、基板Kに照射すると、照射さ
れた部分の温度が上昇し、基板Kの表面あるいは表面近
傍の光学的状態が変化する。たとえば、溶解,蒸発,酸
化,凝集,収縮,膨張,焼損などにより、ホログラムを
表示するための照明光を散乱するようになる。透明基板
の場合は、基板の表面でなくて、基板の内部に例えば基
板材料の一部が蒸発してできた泡のような光散乱部分が
あってもよい。加工光は集光しやすいようにCO2 レー
ザやYAGレーザが好適であるが、これに限定されるも
のではなく、例えばハロゲンランプやキセノンランプ等
であっても良い。
【0027】図10(c)に示すホログラムは、基板K
として表面が感光されて光散乱部を生じる材質のものを
用い、円弧状の光散乱部単体Cをこの感光した部分で構
成している。詳しくは、フォトレジスト等の光感光性樹
脂を基板Kに塗布して、レーザ光を円弧状に走査して感
光すると、感光した部分とそうでない部分では、現像液
に対して溶解度が異なる。これを現像するとフォトレジ
ストの凸凹が出来て、光が散乱される。透明基板Kを用
いた場合は、フォトレジストと基板Kの屈折率が異なる
ようにすると、等価的に光散乱部を実現できる。さらに
フォトレジストをマスクとして、基板Kをエッチングし
て、基板K自体を凸凹に加工して、光散乱部を実現する
こともできる。感光効果を用いた別の例として、レーザ
アブレーションがある。基板Kが樹脂などの場合は、エ
キシマレーザにより紫外線を基板Kに照射すると、熱を
介在させずに直接的に高分子を切断することができる。
このアブレーションを応用すると、熱的効果を利用する
場合よりもシャープな微細加工ができるので、高分解能
のホログラムを作製するときには好都合である。
【0028】図10(d)に示すホログラムは、基板K
に光散乱部を付着固定して構成されている。例えば、基
板Kに光を散乱する微粉体を細線状に円弧状に付着固定
する。微粉体は、例えばガラスの小球(直径数ミクロ
ン)を用い、紫外線硬化樹脂に分散させる。微粉体を含
んだ紫外線硬化樹脂を、直径数十ミクロンから百ミクロ
ンのノズルから押し出し、基板K表面に円弧状に線引き
しながら、直後に紫外線を照射して硬化させ、基板Kに
固定する。このホログラムは、基板Kに傷をつけにくい
高硬度の材料や、反対に布や木材などの柔らかすぎる材
料であっても、光散乱部を設けることができるので、使
用できる基板Kの範囲を大幅に拡大することができる。
なお、最初に紫外線硬化樹脂だけを線引きして、その後
ガラスの小球を放出ノズルから放出させてふりかけても
よい。
【0029】図10(e)に示すホログラムは、基板K
としてガラスやプラスチックなどの透明体を用い、円弧
状の光散乱部単体Cをこの基板Kに不透明な部分を設け
ることにより実現したものである。不透明な部分は例え
ば、不透明塗料を塗布するか、スパッタリングや真空蒸
着により、金属薄膜を堆積して設ける。円弧パターンを
生成するには、フォトエッチングで円弧以外の部分を除
去する。
【0030】図10(f)に示すホログラムは、基板K
としてガラスやプラスチックなどの透明体に不透明体を
被覆したものを用い、円弧状の光散乱部単体Cを、基板
Kの不透明体を除去して透明な部分を設けることにより
実現したものである。不透明な部分は例えば、不透明塗
料を塗布するか、スパッタリングや真空蒸着により、金
属薄膜を堆積して設ける。次にナイフやニードルなど
で、円弧状にその不透明塗料を剥離する。塗料や薄膜が
残ってる部分は光を通さず、剥離された部分は光を透過
し、透過光は剥離された細い溝で散乱される。円弧パタ
ーンを生成する他の方法として、上記と同様にフォトエ
ッチングで円弧部分を除去してもよい。また、薄い不透
明な基板に円弧状に細く基板を貫通する穴をあけて光散
乱部にしてもよい。基板と穴の境界部分で光が散乱され
る。このようにして作製されたホログラムは、照明光が
直接見えないので、コントラストが良い立体像を表示で
きる。
【0031】次に、本発明の実施の形態に係るホログラ
ムの作成方法及びホログラムの作成装置を説明する。ホ
ログラムの作成方法はホログラムの作成装置によって実
現されるので、装置の作用の説明において説明する。先
ず、図11乃至図15に示す第1の実施の形態に係るホ
ログラムの作成装置を説明する。このホログラムの作成
装置が作成するホログラムは、図10(a)に示すよ
うに、基板Kとして、表面が擦り傷をつけられて光散乱
部を生じる材質のもの例えばプラスチック板を用いてお
り、光散乱部単体Cが基板Kに形成された円弧状の傷で
構成されるものである。このホログラムの作成装置は、
照明光を散乱させる光散乱部を基板面に生成する光散乱
部生成手段1と、光散乱部生成手段1を中心軸6を中心
として円弧状に駆動し光散乱部単体Cを基板K上に設け
る円弧駆動手段5と、中心軸6を対応する中心位置に従
って移動させる中心軸移動手段10と、光散乱部生成手
段1の中心軸6からの半径rを可変にする半径可変手段
20と、光散乱部単体Cの散乱強度を可変にする散乱強
度可変手段25と、制御手段30とを備えて構成されて
いる。
【0032】光散乱部生成手段1は、図13に示すよう
に、基板Kに擦り傷をつけて光散乱部を生成する針状体
2により構成されている。3はブラシ部であり、針状体
2がホルダ4に多数植設されている。ブラシ部3は実施
の形態では3つ備えられている。これにより、基板K面
に対して、ブラシ巾の円弧の集合からなる光散乱部単体
Cを形成できるようにしている。ブラシ部3の針状体2
は、基板Kに光を散乱させる傷をつけることができれば
よく、先端が基板Kよりも硬い材質で、鋭利な形状を有
しているとよい。たとえば基板Kが樹脂や軟質金属の場
合は、タングステンやモリブデン合金などの針を使用す
る。また、硬質金属やガラスの場合は、セラミックスや
ダイヤモンド粉末を金属針に保持させたものを使うと良
い。ブラシは擦り傷の扇型の角度を調節する為と、加工
中の振動を緩衝させるために、弾力性のある材料とする
か、あるいは弾力性のある支持体と組み合わせると使い
やすい。円弧駆動手段5は、図12及び図13に示すよ
うに、ロッド状の中心軸6と、中心軸6の下端から中心
軸6に直交して放射状に伸びブラシ部3のホルダ4をス
ライド可能に保持するスライダ7と、中心軸6を回転さ
せる電動モータ8とを備えて構成されている。
【0033】中心軸移動手段10は、図11及び図12
に示すように、XY方向に中心軸6を移動させるXYス
ライドで構成されている。XYスライドは、一方方向
(X方向)に伸びる一対のスライドロッド11と、この
一対のスライドロッド11に架設されかつスライドロッ
ド11を図示外のステッピングモータにより摺動させら
れるとともに中間部がスライドロッド11に直交するス
ライドシャフト12に形成されたX方向スライダ13
と、X方向スライダ13のスライドシャフト12に図示
外のステッピングモータにより摺動させられZ方向スラ
イダ15を介して電動モータ8を支持するY方向スライ
ダ14とを備えて構成されている。Z方向スライダ15
は、基板面Kaに対する中心軸6の角度が調整できるよ
うに角度可変に形成されており、この角度調整により、
ブラシ部3によるブラシ巾の円弧を形成できるようにし
ている。基板面Kaに対して中心軸6を直角にした場合
には、基板面Kaに円が形成される。また、Z方向スラ
イダ15は、Y方向スライダ14に設けた垂直方向に伸
びるスライダ軸16に摺動可能に設けられ、図示外のス
テッピングモータにより摺動させられて、ブラシ部3を
上下動させる。
【0034】半径可変手段20は、図13に示すよう
に、上記各ホルダ4に連結され伸縮によりホルダ4をス
ライダ7に対して進退動させて中心軸6からの針状体2
の半径を変えるリンク機構21と、中心軸6に図示外の
モータ等によってスライド移動可能に設けられ適宜の位
置に位置決めさせられてリンク機構21を適宜の位置に
停止させてブラシ部3を所定の半径位置に位置決めする
ストッパ22と、ストッパ22を上方に常時付勢してリ
ンク機構21を介して半径rを小さくする方向に付勢す
るスプリング23とを備えて構成されている。
【0035】散乱強度可変手段25は、2つ設けられて
おり、1つは、Z方向スライダ15を上下方向(Z方
向)に移動調整する制御手段30の機能で構成されてお
り、この調整により、ブラシ部3の針状体2の基板Kに
対する食い込み深さを調整する。即ち、圧力を高くする
ことによって、傷を深く広くし、凸凹の面積を増加させ
て、濃度を増すものである。もう1つは、上記の制御手
段30に設けられ電動モータ8の回転速度と回転中心の
移動速度を可変にして、基板面Kaに形成される円弧の
密度を可変にする機能で構成されている。即ち、例えば
中心軸6の回転数を一定にしたときに、中心軸6の移動
速度を変えて、擦り傷の光散乱の状態を調節し、各点の
濃淡値を表現するものである。この制御は、電動モータ
8に供給される電流,電圧やパルス数を電気的に制御す
る。あるいは、変速機によって制御してもよい。
【0036】電動モータ8を回転させながら、円弧の中
心を移動させると、ブラシ部3の軌跡は厳密には円弧で
なく歪んだ円弧になるが、トレースの速度に対して十分
に速くモータ8を回転するようにすると、断面画像と相
似の中心位置を持った、たくさんの円弧を描くことがで
きる。虚像は円弧のピッチと等しい輝点群から構成され
るので、円弧のピッチを小さくするときめ細かな画像が
再現される。しかし、回折は一つの円弧擦り傷のなかで
の、近傍で散乱された光が干渉すれば良いだけであり、
隣り合う円弧からの光が、互いに干渉する必要がないの
で、ピッチは例えば300ミクロン程度で、立体表示が
可能である。すなわち、従来のホログラフィのような、
ミクロン程度の微細加工を必要とせずに、その1〜2桁
も緩い加工精度でホログラフィの製作が可能となる。
【0037】更に詳しく説明すると、図13に示すよう
に、回転中心軸6からブラシ部3までの距離(針状体2
の集合の巾の平均点までの距離)をr、ブラシの変位量
をL、回転中心軸6と基板Kの垂線のなす角度をθ、擦
り傷の扇型の半角をδとすると、δは式(1)で求める
ことができる。 δ=cos-1 (1−L/(rcosθsinθ))・・・(1) 扇形が半円になるのは、δがπ/2の時であるので、式
(2)の条件が成立するようにする。 L=rcosθsinθ・・・(2) 適切な堅さや長さのブラシを選択して、圧力などでブラ
シの変位量Lを調節し、さらに中心軸6の傾きθも調節
して、δを所望の角度に設定することができる。δを大
きくすると、輝点が動く範囲が広くなるので、立体視の
視域を大きくすることができる。δをπとして、円弧が
全周となるようにすると、再生像は手前側と奥側に2つ
再生されることになる。弾力性のあるブラシなどを使う
ことは、実際の基板Kには凹凸やうねりがあるので、接
触を安定に保つ意味でも有効である。ブラシ部3は、針
状体2が1本でも複数本でもよいが、複数本とした場合
は、回転中心からの半径にばらつきが大きすぎると、そ
の半径のばらつきに比例して、再生像の奥行きの深さが
ばらつくので、奥行き方向に厚みを持った像を生じる。
しかし、1回転あたりに生成できる散乱溝の数が増える
ので、作成効率がよくなる利点がある。
【0038】制御手段30は、表現対象の各点に対応し
た各光散乱部単体Cの円弧の半径r,該円弧の中心位置
及び光散乱部単体Cの散乱強度を求めるとともに、これ
ら求められた半径,中心位置及び散乱強度に基づいて円
弧駆動手段5,中心軸移動手段10,半径可変手段20
及び散乱強度可変手段25を作動させるものであり、コ
ンピュータの機能によって実現される。表現対象の各点
に対応した情報は、例えば、図11に示すように、ライ
トペン31等により三次元物体の三次元情報をトレース
して入力するようにする。
【0039】従って、この実施の形態に係るホログラム
作成装置によって、ホログラムを作成する場合には、以
下のようにして行なう。図14に、制御フローの一例を
示す。このフローは、上述した図4及び図5の位置関係
で観察する場合のものであり、同様に図15は、上述し
た図6及び図7の位置関係で観察する場合のものであ
る。即ち、図6及び図7の様に観察する場合は、Y方向
に奥行きがずれるので、Z座標値に応じてY方向に円弧
の中心を平行移動すると、ずれの分を補正できる。詳し
くは、図11に示すように、先ず、3次元座標データを
手で入力する。予め奥行き毎にスライスした断面画像を
3次元画像データ入力部に転写して下絵として置いて、
転写した画像をライトペン31でなぞる。下絵でなく、
頭の中で想像したイメージでももちろん良い。ライトペ
ン31の先のXY座標は、テーブルで読みとられる。高
さ方向Zは、例えばライトペン31に取り付けられたダ
イヤルを回転させて入力する。ここでは、断層毎に座標
データを入力したが、3次元センサーによって、空間の
座標をXYZ同時に読みとれば、さらに直感的に入力が
可能になる。そして、制御手段30において、このよう
に入力された座標データが、データ変換部でXYZ制御
量と、円弧の半径Rの制御量に変換する。また、濃淡に
ついても濃淡情報を入力することにより、Zの制御量に
反映させてブラシ部3の圧力制御量とする。この例では
ペン型の入力装置で座標を収集したが、イメージスキャ
ナー等で断層毎に画像を入力して、その断層の奥行き座
標を、別に入力する方法でもよい。また、フォトダイオ
ードでスキャンして、濃淡値と座標を読み取るようにし
てもよい。
【0040】次に、ホログラム描画部は、XYZ制御量
に応じて円弧の中心を移動させ、半径rで円弧が基板K
に刻み込まれる。光源から光を照射すると、作成過程を
確かめながら、双方向的に作業を続けることができる。
詳しくは、回転中心軸6の座標をステッピングモータ等
でXY移動させる。XYの移動は、三次元画像の、深さ
が同じ断面にあるピクセルをトレースするようにする。
同様にZ方向も上下させて、基板Kにブラシ部3を接触
させたり、離したりする。これにより一筆書きで描けな
いような不連続なトレースとなる場合でも、ブラシ部3
を基板Kから離してから移動させることができるので、
不必要な傷がつかない。さらにθを可変できるようにし
て、円弧の長さを調節する。ブラシ部3をモータ8で回
転させて円弧状の光散乱溝を基板K上に彫る。光散乱溝
の散乱強度は、ブラシ部3をZ方向制御して基板Kに対
する圧力を調整して行なう。また、奥行きの深さは、回
転中心とブラシ部3の距離に比例するので、半径可変手
段20の機構を作動させて回転中心とブラシ部3の距離
を変えて行なう。モータ8の角速度をω、X方向の速度
をVx、Y方向の速度をVy、ブラシの本数をn、円周
率をπとすると、X方向の溝の密度CxとY方向の溝の
密度Cyはそれぞれ Cx=nω/(2πVx)・・・(3) Cy=nω/(2πVy)・・・(4) となる。この密度は、最小でも人間の目の分解能(距離
500mmで70ミクロン)あれば十分であり、実際に
は300ミクロン程度でも、滑らかな立体像が得られ
る。
【0041】次に、図16に示す本発明の第2の実施の
形態に係るホログラムの作成装置を説明する。このホロ
グラムの作成装置が作成するホログラムは、図10
(a)に示すように、基板Kとして、表面が擦り傷をつ
けられて光散乱部を生じる材質のもの例えばプラスチッ
ク板を用いており、光散乱部単体Cが基板Kに形成され
た円弧状の傷で構成されるものである。ホログラムの作
成装置は、図16に示すように、手動型のものであり、
光散乱部生成手段1は、半径rを手で変更するブラシ部
3で構成されている。円弧駆動手段5は、ブラシ部3の
中心軸6を回転させる電動モータ8で構成されている。
中心軸移動手段10は、パンタグラフ機構で構成されて
おり、円弧の中心位置は、表現対象である転写断面画像
の画素上に設定され、パンタグラフ機構の倣い軸10a
をこの画素に沿って移動させることにより、相似形にト
レースされる。パンタグラフの支点を変えると、立体像
の倍率を変化させることができる。
【0042】また次に、図17に示す本発明の第3の実
施の形態に係るホログラムの作成装置を説明する。この
ホログラム作成装置が作成するホログラムは、図10
(b)に示すように、基板Kとして表面が加熱により変
成して光散乱部を生じる材質のものを用い、円弧状の光
散乱部単体Cをこの変成した部分で構成したものであ
る。このホログラム作成装置において、図17に示すよ
うに、光散乱部生成手段40を、光照射による熱的効果
により光散乱部を生成する光照射手段により構成してい
る。光散乱部生成手段40としての光照射手段は、加工
光を照射する光源41と、光源41からの加工光を反射
ミラー42を介して基板Kの表面に反射させるスキャン
ミラー43とから構成されている。
【0043】円弧駆動手段44は、スキャンミラー43
を角度可変にする機構で構成されている。この機構は、
スキャンミラー43をスタンド46に2軸回転できるよ
うに保持する保持部47と、一端がスキャンミラー43
の背面に固定され他端がボールジョイント48aを介し
て所定長さr1 のアーム48bに連結されたステー48
と、アーム48bを回転させる駆動モータ49とを備え
て構成されている。スキャンミラー43は、その法線の
歳差運動を妨げずに固定される。半径可変手段50は、
基板Kを固定したXYステージ51を支持する支持台部
52をスタンド46に対して上下動させるネジ機構で構
成されている。中心軸移動手段53は、例えば支持台部
52をXY方向に移動させる機構で構成されている。5
4はモータ49の回転と光源41のシャッタ55を同期
して駆動する同期制御部である。扇型の散乱部を作成す
るためには、シャッタ55とモータ49の回転を同期さ
せて、加工光をオン,オフすればよい。
【0044】従って、この実施の形態によれば、基板K
上の加工光の軌跡の半径をr2 、スキャンミラーの中心
と基板Kまでの距離をh2 、回転するステー1の長さを
r1、ステー1の回転中心とスキャンミラー43の中心
までの距離をh1 とすると、式(5)で表すことがで
きる。 r2 =h2 tan(2tan-1(r1 /h1 ))・・・(5) 式(5)によって半径が決まるので、回転するステー1
の長さをr1 か、h2を可変にすることによって、像の
奥行きを調節することができる。特にh2 を変えること
はr2 と比例関係にあるので、制御が簡単になる。従来
のレーザ描画装置とは異なり、任意パターンにスキャン
するベクタースキャンやラスタースキャン機構は必要と
しない。スキャンパターンは、円弧だけでよいので、こ
の例のようにミラーやプリズムを回転させることによっ
て簡単に実現できる。作成する立体表示装置が大型の場
合は、光散乱部の空間分解能がさほどなくても良いの
で、波長が長いCO2 レーザ等を使用して熱損傷型で光
散乱部を設けることができる。小型の立体表示装置を作
製する場合は、波長が短いYAGレーザ等を使用すると
よい。このように熱的効果により光散乱部を加工する場
合は、基板Kの制限がさほどないので、金属や樹脂等へ
の加工が可能である。
【0045】次に、本発明の第4の実施の形態に係るホ
ログラムの作成装置を説明する。この実施の形態に係る
ホログラム作成装置は、特に図示しないが、基板Kとし
て表面が感光されて光散乱部を生じる材質のものに円弧
状の光散乱部単体Cを形成し、図10(c)に示すよう
なホログラムを作成する装置であり、上記光散乱部生成
手段を、レーザ光等の光照射による感光効果により光散
乱部を生成する光照射手段により構成している。他の構
成は、上述のスキャンミラーを用いた実施の形態と同様
にできる。
【0046】更に、図18に示す本発明の第5の実施の
形態に係るホログラムの作成装置を説明する。このホロ
グラム作成装置は、光散乱部を形成する光散乱体として
の微粉体が混入された紫外線硬化樹脂を基板Kに放出し
て付着固定し、図10(d)に示すようなホログラムを
作成する装置であり、光散乱部生成手段60が、微粉体
が混入された紫外線硬化樹脂を貯留するタンク61と、
タンク61中の紫外線硬化樹脂を送り出すポンプ62
と、ポンプ62から送り出された紫外線硬化樹脂を基板
K上に放出するノズル63と、ノズル63に隣接して設
けられ基板K上に放出された紫外線硬化樹脂に紫外線を
照射して硬化させる紫外線照射部64とから構成されて
いる。紫外線照射部64は、水銀ランプ65と、水銀ラ
ンプ65からの紫外線をを反射させるミラー66と、反
射させた紫外線を集光して紫外線硬化樹脂に照射するレ
ンズ67とを備えている。68は紫外線の入り切りを行
なうシャッタである。他の構成は、例えば、第一の実施
の形態のごとく適宜に構成される。
【0047】更にまた、本発明の第6の実施の形態に係
るホログラムの作成装置を説明する。このホログラム作
成装置は、特に図示しないが、ガラスやプラスチックな
どの透明な基板Kの表面に不透明な部分を形成し、図1
0(e)に示すようなホログラムを作成する装置であっ
て、光散乱部生成手段を、不透明形成手段により構成し
ている。不透明形成手段は、例えば、透明基板上に不透
明な部分、例えば、不透明塗料を塗布する刷毛や、スパ
ッタリングや真空蒸着により金属薄膜を堆積して設ける
手段で構成される。また、フォトエッチングで円弧以外
の部分を除去する方法によっても良い。他の構成は、例
えば、第一の実施の形態のごとく適宜に構成される。
【0048】また、本発明の第7の実施の形態に係るホ
ログラムの作成装置を説明する。このホログラム作成装
置は、特に図示しないが、基板として透明体に不透明体
を被覆したものを用い、不透明な基板Kに透明な部分を
設けて、図10(f)に示すようなホログラムを作成す
る装置であり、光散乱部生成手段を、上記基板の不透明
体を除去して透明な部分を設ける透明形成手段により構
成している。透明形成手段は、不透明体を剥離するナイ
フやニードルなどで構成される。詳しくは、基板とし
て、ガラスやプラスチックなどの透明基板Kの全体に不
透明塗料を塗布するか、スパッタリングや真空蒸着によ
り、金属薄膜を堆積して設けたものを用い、透明形成手
段により、円弧状にその不透明塗料を剥離する。円弧パ
ターンを生成する他の方法として、第6の実施の形態と
同様にフォトエッチングで円弧部分を除去してもよい。
また、透明形成手段として、薄い不透明な基板Kに円弧
状に細く基板を貫通する穴をあける穴開け機構で構成し
てもよい。
【0049】尚、ホログラムの作成方法としては、上述
したものに限定されるものではなく、例えば、図19に
示すように、雛形マスク70を利用して円弧パターン7
1を配置するようにしても良い。これは、例えば少なく
とも1つ以上の円弧パターン71を有する雛形マスク7
0をXY平面で動かす。この雛形マスク70は、例えば
光を遮る部分と光を透過する部分から構成する。この雛
形マスク70を投影すると円弧状のパターンが基板Kに
写されることになる。マスク70と基板Kを相対的に平
行移動させて投影を繰り返すと多数の円弧を基板Kに記
録することができる。記録は、ホトレジストで直接描い
てもよく、またホトレジストでパターンを記録した後、
エッチングによって、基板Kに光を散乱させる溝を刻み
込んでもよい。雛形マスク70は、あるいは円弧状の穴
があいたマスクでもよい。基板Kの上にこのマスクを載
せて、細かな砂あるいはイオンでたたきつけると、穴の
下にある基板Kの部分の表面が凸凹になり、光散乱部を
構成することができる。
【0050】また、図20に示すように、電子ビームを
回転磁場により回転させて、円弧を描く方法であっても
よい。ローレンツ力によって、電子ビームに進行方向と
直交する方向に力が働き、電子ビームが偏向する。磁場
がない場合の電子ビームの軌跡と、直交する面で磁場が
回転している場合は、電子ビームは首振り運動をする。
そして、アノードに電子が衝突する軌跡は円となる。こ
の部分に電子ビームに反応するレジスト等を設置する
と、円弧を記録することができる。電子ビームが照射さ
れた基板Kの部分で、光が散乱する。
【0051】尚また、基板Kは上述したものに限らずど
のようなものを用いてもよく、曲面でもよい。光散乱部
単体Cも上述したものに限定されない。また、傷を付け
るタイプのホログラムの作成装置においては、光散乱部
生成手段は上述したものに限定されるものではなく、例
えば、図21(a)(b)に示すように、先端を斜めに
切りそろえた複数の針状体2を有したブラシ部3を使っ
て、基板Kに押しつける距離を変化させて、擦り傷の数
(密度)を可変させるようにしてもよい。先端が鋭利
で、弾力性のあるタングステン針等を先端が斜めになる
ように束ね、半径方向にわずかにずらして配置する。ブ
ラシを基板Kに近づけていくと、長さが一番長いブラシ
から順に基板Kに接触する。半径が微妙に異なっている
ので、各点が奥行き方向にやや厚みを帯びた再生像とな
るが、半径の1ステップに対して十分に半径方向のずら
しが小さければ、擬似的に各点に濃淡を与えることがで
きる。また、例えば、図22に示すように、光散乱部生
成手段を、砥石を使って構成してもよい。この場合は、
接触する半径の範囲が限られた形状の砥石を使うと奥行
き方向のボケが小さくできる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のホログラ
ム,ホログラムの作成方法及びホログラムの作成装置に
よれば、多数の円弧状の光散乱部単体を基板面に設け
て、表現対象の虚像を得ることができるので、従来に比
較して、極めて構造が簡単で、作成も容易にすることが
でき、種々の分野に容易に利用できるようにすることが
できる。また、例えば、写真撮影してエッチングをした
り、マスターを電着により作成して樹脂を圧着する等し
て、容易に複製を作成することができ、大量生産にも適
している。
【0053】即ち、従来のホログラフィのように、撮影
のためにコヒーレント光を発生させるレーザを必要とし
ない。現像や漂白等の化学的処理も必要としない。また
従来のコンピュータ発生ホログラフィのように、電子ビ
ーム描画装置や、レーザ描画装置などの高い空間分解能
を持った高価な装置を必要とせずに、立体表示器を作製
できるので安価にホログラムを提供することができる。
さらに、基板に感光物質を塗布する必要がなく、環境や
幼児などにも安全で、基板そのものにホログラムを書き
込むことができるので、耐候性が大幅に向上する。立体
表示器を作製するための基板に制限が少なくなるので、
いろいろな製品にホログラムを描けるようになる。さら
に、大型の立体表示器を作製できるので、立体看板や、
窓ガラスや壁材の装飾への応用が可能となる。また高度
な光学的知識を必要とせずに、双方向的に立体表示器を
作製できるようになるので、芸術や教育分野に普及でき
る等種々の効果を奏する。
【0054】また、多数の光散乱部単体の密度に差を設
け、あるいは、光散乱部単体に他と比較して散乱強度に
差を設けた場合には、虚像に明暗をつけることができ、
それだけ、表現の自由度が増加し、種々の表現対象に対
応できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラムの一例を示す斜視図であ
る。
【図2】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が同一方向にある場合の図である。
【図3】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が反対方向にある場合の図である。
【図4】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が同一方向にある場合であって、反射型基板の場
合の図である。
【図5】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が同一方向にある場合であって、透明型基板の場
合の図である。
【図6】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が反対方向にある場合であって、反射型基板の場
合の図である。
【図7】本発明のホログラムの原理を示す図であり、光
源と目が反対方向にある場合であって、透明型基板の場
合の図である。
【図8】本発明のホログラムの作成方法の一例を原理的
に示す図である。
【図9】本発明のホログラムにおいて、虚像の濃淡を表
示する光散乱部単体の状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るホログラムの例を
示す図(a)(b)(c)(d)(e)(f)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す要部図であり、(a)は平面図、
(b)は正面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す別の要部図であり、(a)は平面図、
(b)は正面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係るホログラム
の作成装置の制御手段の制御手順を示すフローチャート
図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態に係るホログラム
の作成装置の制御手段の別の制御手順を示すフローチャ
ート図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は
正面図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す斜視図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係るホログラム
の作成装置を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るホログラムの作成
方法の他の例を示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係るホログラムの作成
方法の他の例を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態に係るホログラムの作成
装置の光散乱部生成手段の別の例を示す図であり、
(a)は平面図、(b)はその作用を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係るホログラムの作成
装置の光散乱部生成手段の別の例を示す図であり、
(a)は砥石をデスクの全外周に設けた例を示す図、
(b)は砥石をデスクの外周に部分的に設けた例を示す
図である。
【符号の説明】
K 基板 Ka 基板面 T 表現対象 G 虚像 r 半径 H 高さ O 中心 C 光散乱部単体 1 光散乱部生成手段 2 針状体 3 ブラシ部 5 円弧駆動手段 6 中心軸 10 中心軸移動手段 20 半径可変手段 25 散乱強度可変手段 30 制御手段 40 光散乱部生成手段 44 円弧駆動手段 50 半径可変手段 53 中心軸移動手段 60 光散乱部生成手段 70 雛形マスク
フロントページの続き (56)参考文献 William T.Plummer and Leo R.Gardne r,”A mechanically generated hologra m?”,Applied Optic s,1992年11月,Vol.31,No. 31,p.6585−p.6588 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03H 1/00 - 5/00

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 視差効果により表現対象の図形の虚像を
    表出させる基板を備えたホログラムにおいて、 上記虚像の一点部を照明光を散乱させて表出させる半円
    より小さい円弧、もしくは、半円より小さい円弧群から
    なる所要の幅の多数の光散乱部単体を備え、 該光散乱部単体の円弧の中心位置からの半径を、上記表
    現対象の図形の一点部における基板面からの奥行きに比
    例して設定し、 上記光散乱部単体の円弧群の中心位置からの各円弧の半
    径の平均を、上記表現対象の図形の一点部における基板
    面からの奥行きに比例して設定し、 上記表現対象の図形の各点部に対応した多数の光散乱部
    単体を該光散乱部単体の中心位置が該表現対象の図形に
    沿って位置するように上記基板の基板面に設け、 該多数の光散乱部単体に照明光を照射したとき表現対象
    の図形の1つの虚像を表出させることを特徴とするホロ
    グラム。
  2. 【請求項2】 視差効果により立体からなる表現対象の
    図形の虚像を表出させる基板を備えたホログラムにおい
    て、 上記虚像の一点部を照明光を散乱させて表出させるとと
    もに上記立体からなる表現対象の図形を平行な平面でス
    ライスして求められた複数の断面画像を表示する半円よ
    り小さい円弧、もしくは、半円より小さい円弧群からな
    る所要の幅の多数の光散乱部単体を備え、 該光散乱部単体の円弧の中心位置からの半径を、上記表
    現対象の図形の一点部における基板面からの奥行きに比
    例して設定し、 上記光散乱部単体の円弧群の中心位置からの各円弧の半
    径の平均を、上記表現対象の図形の一点部における基板
    面からの奥行きに比例して設定し、 上記断面画像の 図形の各点部に対応した多数の光散乱部
    単体を該光散乱部単体の中心位置が該断面画像の図形に
    沿って位置するように、各断面画像の図形毎に上記基板
    の基板面に設け、 該多数の光散乱部単体に照明光を照射したとき立体から
    なる表現対象の図形の1つの虚像を表出させることを特
    徴とするホログラム。
  3. 【請求項3】 上記多数の光散乱部単体の密度に差を設
    けたことを特徴とする請求項1または2記載のホログラ
    ム。
  4. 【請求項4】 上記多数の光散乱部単体の内所要の光散
    乱部単体に、他と比較して散乱強度に差を設けたことを
    特徴とする請求項1,2または3記載のホログラム。
  5. 【請求項5】 上記基板として表面が擦り傷をつけられ
    て光散乱部を生じる材質のものを用い、上記光散乱部単
    体を基板に形成された円弧状の傷で構成したことを特徴
    とする請求項1,2,3または4記載のホログラム。
  6. 【請求項6】 上記基板として表面が加熱により変成し
    て光散乱部を生じる材質のものを用い、上記光散乱部単
    体をこの変成した部分で構成したことを特徴とする請求
    項1,2,3または4記載のホログラム。
  7. 【請求項7】 上記基板として表面が感光されて光散乱
    部を生じる材質のものを用い、上記光散乱部単体をこの
    感光した部分で構成したことを特徴とする請求項1,
    2,3または4記載のホログラム。
  8. 【請求項8】 上記基板の光散乱部単体を、該基板に付
    着可能な光散乱部を付着固定して構成したことを特徴と
    する請求項1,2,3または4記載のホログラム。
  9. 【請求項9】 上記基板として透明体を用い、上記光散
    乱部単体を該基板面に不透明な部分を設けることにより
    構成したことを特徴とする請求項1,2,3または4記
    載のホログラム。
  10. 【請求項10】 上記基板として透明体に不透明体を被
    覆したものを用い、上記光散乱部単体を該基板の不透明
    体を除去して透明な部分を設けることにより構成したこ
    とを特徴とする請求項1,2,3または4記載のホログ
    ラム。
  11. 【請求項11】 視差効果により表現対象の虚像を表出
    させる基板を備えたホログラムを作成するホログラムの
    作成方法において、 上記虚像の一点部を照明光を散乱させて表出させる
    弧、もしくは、円弧群からなる所要の幅の多数の光散乱
    部単体を用い、 上記表現対象の図形の一点部における基板面からの奥行
    きに比例するように上記光散乱部単体の円弧の中心位置
    からの半径を求め、 上記表現対象の図形の一点部における基板面からの奥行
    きに比例するように上記光散乱部単体の円弧群の中心位
    置からの各円弧の半径の平均を求め、 上記表現対象の各点部に対応した各光散乱部単体を、上
    記求めた半径及び中心位置に従って、かつ、光散乱部単
    体の中心位置を該表現対象の図形に沿って移動させて、
    上記基板の基板面に設けることを特徴とするホログラム
    の作成方法。
  12. 【請求項12】 上記中心位置を表現対象を転写した画
    像の画素上に設定し、該画素に沿って中心位置を移動さ
    せて各光散乱部単体を設けることを特徴とする請求項1
    1記載のホログラムの作成方法。
  13. 【請求項13】 視差効果により表現対象の虚像を表出
    させる基板を備えたホログラムを作成するホログラムの
    作成装置において、上記ホログラムは、上記虚像の一点部を照明光を散乱さ
    せて表出させる円弧、もしくは、円弧群からなる所要の
    幅の多数の光散乱部単体を備え、 該光散乱部単体の円弧の中心位置からの半径が、上記表
    現対象の図形の一点部における基板面からの奥行きに比
    例して設定され、 上記光散乱部単体の円弧群の中心位置からの各円弧の半
    径の平均が、上記表現対象の図形の一点部における基板
    面からの奥行きに比例して設定され、 上記表現対象の図形の各点部に対応した多数の光散乱部
    単体が、該光散乱部単体の中心位置が該表現対象の図形
    に沿って位置するように上記基板の基板面に設けられ、
    該多数の光散乱部単体に照明光を照射したとき表現対象
    の図形の虚像を表出させるホログラムであり、 照明光を散乱させる光散乱部を上記基板面に生成する光
    散乱部生成手段と、該光散乱部生成手段を中心軸を中心
    として円弧状に駆動し上記光散乱部単体を基板上に設け
    る円弧駆動手段と、上記中心軸を対応する中心位置に従
    って移動させる中心軸移動手段とを備えたことを特徴と
    するホログラムの作成装置。
  14. 【請求項14】 上記光散乱部生成手段の中心軸からの
    半径を可変にする半径可変手段を備えたことを特徴とす
    る請求項13記載のホログラムの作成装置。
  15. 【請求項15】 上記の光散乱部単体の散乱強度を可変
    にする散乱強度可変手段を備えたことを特徴とする請求
    項13または14記載のホログラムの作成装置。
  16. 【請求項16】 上記光散乱部生成手段を、基板に擦り
    傷をつけて光散乱部を生成する傷付け手段により構成し
    たことを特徴とする請求項13,14または15記載の
    ホログラムの作成装置。
  17. 【請求項17】 上記光散乱部生成手段を、光照射によ
    る熱的効果により光散乱部を生成する光照射手段により
    構成したことを特徴とする請求項13,14または15
    記載のホログラムの作成装置。
  18. 【請求項18】 上記光散乱部生成手段を、光照射によ
    る感光効果により光散乱部を生成する光照射手段により
    構成したことを特徴とする請求項13,14または15
    記載のホログラムの作成装置。
  19. 【請求項19】 上記光散乱部生成手段を、上記基板に
    付着して光散乱部を形成する光散乱体を上記基板に放出
    して付着固定する光散乱体付着手段により構成したこと
    を特徴とする請求項13,14または15記載のホログ
    ラムの作成装置。
  20. 【請求項20】 上記光散乱部生成手段を、透明体から
    なる基板の表面に不透明な部分を形成する不透明形成手
    段により構成したことを特徴とする請求項13,14ま
    たは15記載のホログラムの作成装置。
  21. 【請求項21】 上記光散乱部生成手段を、透明体に不
    透明体を被覆した基板の不透明体を除去して透明な部分
    を設ける透明形成手段により構成したことを特徴とする
    請求項13,14または15記載のホログラムの作成装
    置。
  22. 【請求項22】 上記円弧駆動手段を、上記光散乱部生
    成手段を回転運動により円弧状に動かす回転運動機構で
    構成したことを特徴とする請求項13,14または15
    記載のホログラムの作成装置。
  23. 【請求項23】 上記中心軸移動手段を、表現対象の相
    似形原画をトレースするパンタグラフ機構で構成したこ
    とを特徴とする請求項13,14または15記載のホロ
    グラムの作成装置。
  24. 【請求項24】 上記中心軸移動手段を、電気的に制御
    する制御部を備えて構成したことを特徴とする請求項1
    3,14または15記載のホログラムの作成装置。
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