JP3097169B2 - 凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォールルツボ炉とその製造方法 - Google Patents
凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォールルツボ炉とその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素(O)や窒素
(N)と反応し易いために高純度の金属または合金とし
て溶成するのが困難なことから活性金属(Reactive Met
als)と呼ばれているTi,W,Mo,Be,Zr,V,Srなどの溶解に適
した構造の誘導溶解ルツボ炉とその製造方法に関する。
(N)と反応し易いために高純度の金属または合金とし
て溶成するのが困難なことから活性金属(Reactive Met
als)と呼ばれているTi,W,Mo,Be,Zr,V,Srなどの溶解に適
した構造の誘導溶解ルツボ炉とその製造方法に関する。
【0002】より具体的には、コールドウォール型ルツ
ボ炉と呼ばれる誘導ルツボ炉中で、導電性と熱伝導度が
良好な銅などの金属製で、全体として底付き中空円筒状
のルツボ本体と、その外周に配置される誘導加熱コイル
とから成り、該ルツボの側壁部または側壁から底部の一
部までの部分が、複数の狭いスリットにより複数個の短
冊状のセグメントに分割され、セグメントのそれぞれの
内部が冷却水などの冷媒により冷却される誘導溶解用の
金属製ルツボ溶解炉において、水冷セグメントの内壁に
接触する溶湯が凝固し薄皮状のスカルとなった場合に、
この凝固したスカル部とそれに接する溶湯がスリット部
に侵入すると取り出すことが困難になるので、取り出し
の容易な形状のスリット部を有する炉体構造と、そのよ
うな構造を有するの炉体を製造する方法に関する。
ボ炉と呼ばれる誘導ルツボ炉中で、導電性と熱伝導度が
良好な銅などの金属製で、全体として底付き中空円筒状
のルツボ本体と、その外周に配置される誘導加熱コイル
とから成り、該ルツボの側壁部または側壁から底部の一
部までの部分が、複数の狭いスリットにより複数個の短
冊状のセグメントに分割され、セグメントのそれぞれの
内部が冷却水などの冷媒により冷却される誘導溶解用の
金属製ルツボ溶解炉において、水冷セグメントの内壁に
接触する溶湯が凝固し薄皮状のスカルとなった場合に、
この凝固したスカル部とそれに接する溶湯がスリット部
に侵入すると取り出すことが困難になるので、取り出し
の容易な形状のスリット部を有する炉体構造と、そのよ
うな構造を有するの炉体を製造する方法に関する。
【0003】
【従来の技術】一般的に、コールドウォール型ルツボ炉
の特徴とするのは、その側壁の構造であって、図3の
(A)に示すようにこの種のルツボ炉の側壁は、その円
周面上において軸線に平行な4〜20個程度のスリット
と呼ばれる溝2により、同数の縦に細長いセグメントと
呼ばれる短冊形の側壁3に分割され、外周部が円周方向
に連続したコイルを形成しないようになっていて、それ
ぞれのセグメント3の内部には冷却水を流通させるため
の空隙13が設けられ、スリット2が設けられていない
底部では一体に結合され電気的に接続され短絡されてい
ることである。
の特徴とするのは、その側壁の構造であって、図3の
(A)に示すようにこの種のルツボ炉の側壁は、その円
周面上において軸線に平行な4〜20個程度のスリット
と呼ばれる溝2により、同数の縦に細長いセグメントと
呼ばれる短冊形の側壁3に分割され、外周部が円周方向
に連続したコイルを形成しないようになっていて、それ
ぞれのセグメント3の内部には冷却水を流通させるため
の空隙13が設けられ、スリット2が設けられていない
底部では一体に結合され電気的に接続され短絡されてい
ることである。
【0004】特殊金属と呼ばれる、イ)半導体などの材
料として使用される高純度の金属と合金、ロ)Ti,Z
rなど酸素、窒素、炭素その他の元素と反応しやすい金
属とそれらの合金、および、ハ)W,Mo,Taなど溶
融温度が極めて高い金属とその合金などの特殊な金属の
溶解には、電子ビーム溶解炉、非消耗型アーク炉や高周
波誘導炉などにより、真空、不活性ガス雰囲気の中で溶
解し何とか要望に応じてきたが、真空溶解炉ではアルミ
ナ、シリカ、マグネシア、ベリリアなどの金属酸化物を
主体とするセラミック系の耐火材料、あるいは黒鉛ルツ
ボなどの非金属製冶金容器の内部に、被溶融金属を接触
状態で収容し高温で溶解する際に、炉壁を構成する耐火
材料と被溶融金属とが高温で接触することにより、ルツ
ボを構成するセラミック成分や炭素が被溶融金属に吸収
され、溶解された材料の純度が低下するため、要求規格
が逐次向上するに伴い規格に合致しないようになった。
料として使用される高純度の金属と合金、ロ)Ti,Z
rなど酸素、窒素、炭素その他の元素と反応しやすい金
属とそれらの合金、および、ハ)W,Mo,Taなど溶
融温度が極めて高い金属とその合金などの特殊な金属の
溶解には、電子ビーム溶解炉、非消耗型アーク炉や高周
波誘導炉などにより、真空、不活性ガス雰囲気の中で溶
解し何とか要望に応じてきたが、真空溶解炉ではアルミ
ナ、シリカ、マグネシア、ベリリアなどの金属酸化物を
主体とするセラミック系の耐火材料、あるいは黒鉛ルツ
ボなどの非金属製冶金容器の内部に、被溶融金属を接触
状態で収容し高温で溶解する際に、炉壁を構成する耐火
材料と被溶融金属とが高温で接触することにより、ルツ
ボを構成するセラミック成分や炭素が被溶融金属に吸収
され、溶解された材料の純度が低下するため、要求規格
が逐次向上するに伴い規格に合致しないようになった。
【0005】その後、インダクトスラグ溶解法に使用さ
れる金属製スプリットルツボを使用し、しかもスラグを
使用しなくても溶解が可能な装置が開発され、米国のデ
ュリロン社により同種のルツボを使用してスラグなしで
活性金属を溶解する方法が提案されている(特開昭63
−149337)。
れる金属製スプリットルツボを使用し、しかもスラグを
使用しなくても溶解が可能な装置が開発され、米国のデ
ュリロン社により同種のルツボを使用してスラグなしで
活性金属を溶解する方法が提案されている(特開昭63
−149337)。
【0006】装置としては前述した第3図の(A)に示
すとおりであり、溶解の方法はインダクション・スカル
溶解法、またはコ−ルドウォ−ル溶解法とも呼ばれてい
て、要するにスリット2により分離された水冷ジャケッ
ト13を有する銅短冊セグメント3の内壁面に、スカル
(skull)と呼ばれる被溶融金属の凝固層5を形成
させ、加熱コイル8による電磁誘導作用による求心力と
電磁攪拌作用により、溶湯9を炉体の中心部に向かわせ
るとともに、ルツボ上部では溶湯9を上向きに浮上させ
るようにして銅短冊セグメントの炉壁相互間の短絡を防
止し、ルツボ下部6は一体に連結させ電気的に短絡させ
るという構想によるものである。
すとおりであり、溶解の方法はインダクション・スカル
溶解法、またはコ−ルドウォ−ル溶解法とも呼ばれてい
て、要するにスリット2により分離された水冷ジャケッ
ト13を有する銅短冊セグメント3の内壁面に、スカル
(skull)と呼ばれる被溶融金属の凝固層5を形成
させ、加熱コイル8による電磁誘導作用による求心力と
電磁攪拌作用により、溶湯9を炉体の中心部に向かわせ
るとともに、ルツボ上部では溶湯9を上向きに浮上させ
るようにして銅短冊セグメントの炉壁相互間の短絡を防
止し、ルツボ下部6は一体に連結させ電気的に短絡させ
るという構想によるものである。
【0007】上述したコールドウォール溶解法の長所
は、次の通りである。1)スリットが刻まれているた
め、銅ルツボ自体の電力損失が少ない。2)セラミック
系のルツボを使用しないため耐火材を構成する物質の混
入、またはそれらとの反応による汚染が回避出来る。
3)電磁撹拌力により比重の異なる金属を偏析の発生を
避け良質の合金とすることができる。4)雰囲気圧力を
1気圧以上にすることができるので、沸点が極めて相違
する2種以上の合金元素を合金とすることができる。
5)真空または不活性雰囲気下で溶解することで電子ビ
ーム(EB)溶解に匹敵する高純度金属または合金を製
造することができる。
は、次の通りである。1)スリットが刻まれているた
め、銅ルツボ自体の電力損失が少ない。2)セラミック
系のルツボを使用しないため耐火材を構成する物質の混
入、またはそれらとの反応による汚染が回避出来る。
3)電磁撹拌力により比重の異なる金属を偏析の発生を
避け良質の合金とすることができる。4)雰囲気圧力を
1気圧以上にすることができるので、沸点が極めて相違
する2種以上の合金元素を合金とすることができる。
5)真空または不活性雰囲気下で溶解することで電子ビ
ーム(EB)溶解に匹敵する高純度金属または合金を製
造することができる。
【0008】このようにして、溶解金属が凝固して形成
された皮膜あるいは層であるスカルをスラグの代わりに
利用することにより、銅製のスプリット型ルツボ中でチ
タンなどの活性金属を溶解するコールドウォール型ルツ
ボは実用可能な域に達して、1)工業用純チタン、2)
Ti−0.2Pd、3)Ti−6Al−4V合金などが
実用ベースで溶解されている。
された皮膜あるいは層であるスカルをスラグの代わりに
利用することにより、銅製のスプリット型ルツボ中でチ
タンなどの活性金属を溶解するコールドウォール型ルツ
ボは実用可能な域に達して、1)工業用純チタン、2)
Ti−0.2Pd、3)Ti−6Al−4V合金などが
実用ベースで溶解されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】炉の内部に装入された
金属が溶解され溶湯となった状態では、1次誘導コイル
に流された電流により発生する磁束と、この磁束によっ
て発生する2次誘導電流によって、溶湯磁束の方向と電
流の方向の、それぞれに対し直角方向の力が発生する。
また容器内に収容された液体として機能する溶湯中を流
れる電流力相互の影響によって、溶湯はルツボ内で流動
する。また、ルツボの水冷セグメントに接する部分と中
心部、溶湯の底部と上部との温度差などの影響をも受け
て、溶湯には全体としてルツボの中心に向かう求心力が
作用する。この求心力は保持力とも呼ばれ、この力が溶
湯の重量に打ち勝って溶湯の中心部を押上げ、炉壁の部
分では溶湯と炉壁の接触圧は低下しているので、スカル
がスリット内に進入する傾向は少ない
金属が溶解され溶湯となった状態では、1次誘導コイル
に流された電流により発生する磁束と、この磁束によっ
て発生する2次誘導電流によって、溶湯磁束の方向と電
流の方向の、それぞれに対し直角方向の力が発生する。
また容器内に収容された液体として機能する溶湯中を流
れる電流力相互の影響によって、溶湯はルツボ内で流動
する。また、ルツボの水冷セグメントに接する部分と中
心部、溶湯の底部と上部との温度差などの影響をも受け
て、溶湯には全体としてルツボの中心に向かう求心力が
作用する。この求心力は保持力とも呼ばれ、この力が溶
湯の重量に打ち勝って溶湯の中心部を押上げ、炉壁の部
分では溶湯と炉壁の接触圧は低下しているので、スカル
がスリット内に進入する傾向は少ない
【0010】イ)炉体の寸法、ロ)使用する電力量、
ハ)周波数、ニ)セグメントとスリットの数と寸法、な
どの諸元を適当に選定すれば誘導コイルの電磁誘導作用
による保持力(求心力)と攪拌力により、図3の(A)
に示すように、溶湯9はセグメント3の壁面から離れる
方向の力を受けるとともに、セグメント3の壁面とスリ
ット2とは発生したスカル(溶湯の薄皮)5により溶湯
からシ−ルされて、スカルが溶湯の一部を伴ってセグメ
ント3の壁面に付着して凝固したり、スリット2内に進
入した状態で凝固することは防止できるとされている。
ハ)周波数、ニ)セグメントとスリットの数と寸法、な
どの諸元を適当に選定すれば誘導コイルの電磁誘導作用
による保持力(求心力)と攪拌力により、図3の(A)
に示すように、溶湯9はセグメント3の壁面から離れる
方向の力を受けるとともに、セグメント3の壁面とスリ
ット2とは発生したスカル(溶湯の薄皮)5により溶湯
からシ−ルされて、スカルが溶湯の一部を伴ってセグメ
ント3の壁面に付着して凝固したり、スリット2内に進
入した状態で凝固することは防止できるとされている。
【0011】しかしながら、現実の操業では、正常な状
態とは異なった種々の状況によりトラブルが発生する。
前述したようにコールドウォールるつぼ炉では、側壁、
または側壁から底壁までの部分に多数のスリットを設け
ることを基本としているために、スリットが存在するの
は不可避であり、スリット内に溶湯またはスカルが流入
しゃすいことも避けられない。既に述べたように、炉が
正常な姿勢に保たれ溶解作業が進行中には誘導コイルの
電磁誘導作用による保持力(求心力)と攪拌力によりス
リット内にスカルと溶湯の一部が流入するのは阻止でき
る。
態とは異なった種々の状況によりトラブルが発生する。
前述したようにコールドウォールるつぼ炉では、側壁、
または側壁から底壁までの部分に多数のスリットを設け
ることを基本としているために、スリットが存在するの
は不可避であり、スリット内に溶湯またはスカルが流入
しゃすいことも避けられない。既に述べたように、炉が
正常な姿勢に保たれ溶解作業が進行中には誘導コイルの
電磁誘導作用による保持力(求心力)と攪拌力によりス
リット内にスカルと溶湯の一部が流入するのは阻止でき
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶解を
終わって電磁コイルへの電流が遮断されると、電磁誘導
作用も停止され、保持力(求心力)と攪拌力も作用しな
くなるので、特に、溶解中にはセグメント3の上部にお
いて壁面から離れ、中心部で表面が上方に盛り上がった
状態にあった溶湯9は、電流の遮断により盛り上がった
部分が水平に復帰するとともに、溶湯全体の液面レベル
が低下し、溶湯に加わる重力は流体静圧として均等にセ
グメント3の壁面とスリット2とに作用する。その結果
として、図3の(B)に示すように、スリット2の位置
ではスカル5が溶湯の一部を伴ってスリット内に進入
し、またセグメント3に欠けた部分等があるとその部分
に食い込む。
終わって電磁コイルへの電流が遮断されると、電磁誘導
作用も停止され、保持力(求心力)と攪拌力も作用しな
くなるので、特に、溶解中にはセグメント3の上部にお
いて壁面から離れ、中心部で表面が上方に盛り上がった
状態にあった溶湯9は、電流の遮断により盛り上がった
部分が水平に復帰するとともに、溶湯全体の液面レベル
が低下し、溶湯に加わる重力は流体静圧として均等にセ
グメント3の壁面とスリット2とに作用する。その結果
として、図3の(B)に示すように、スリット2の位置
ではスカル5が溶湯の一部を伴ってスリット内に進入
し、またセグメント3に欠けた部分等があるとその部分
に食い込む。
【0013】また、図4に示すように、溶解を終わって
溶湯を鋳型等の内部に鋳込むために炉体を傾動させる
と、内部の溶湯が動揺して炉壁に衝突し、傾動により下
側になるスリット2内にスカルが、場合によっては溶湯
の一部を伴って進入し、セグメント3の欠けた部分があ
ればその部分にめり込むようになる。
溶湯を鋳型等の内部に鋳込むために炉体を傾動させる
と、内部の溶湯が動揺して炉壁に衝突し、傾動により下
側になるスリット2内にスカルが、場合によっては溶湯
の一部を伴って進入し、セグメント3の欠けた部分があ
ればその部分にめり込むようになる。
【0014】スカルが溶湯の一部を伴ってスリット内に
進入するのを防止するための1つの手段として、図5の
(A)に示すように、隣接するセグメント12の間のス
リット2内に「メジ」と称するセラミックス系の充填剤
14を充填する方法も採用されていたが、セラミックス
系充填剤を構成する無機化合物成分が不純物として溶湯
中に混入する懸念があり、スラグの使用を避けるためコ
−ルドウォ−ルルツボ炉を採用するという本来の趣旨に
反することにもなり、またメジ14を充填するためのメ
ンテナンスも面倒であるという問題が残されていた。さ
らに、充填されたメジは一般に脆いため、欠け落ちが生
じやすく、図5の(B)に示すように、この様な欠け落
ち部にはスカルや溶湯がめり込み易いという問題があり
適切な解決方法とはなり得なかった。
進入するのを防止するための1つの手段として、図5の
(A)に示すように、隣接するセグメント12の間のス
リット2内に「メジ」と称するセラミックス系の充填剤
14を充填する方法も採用されていたが、セラミックス
系充填剤を構成する無機化合物成分が不純物として溶湯
中に混入する懸念があり、スラグの使用を避けるためコ
−ルドウォ−ルルツボ炉を採用するという本来の趣旨に
反することにもなり、またメジ14を充填するためのメ
ンテナンスも面倒であるという問題が残されていた。さ
らに、充填されたメジは一般に脆いため、欠け落ちが生
じやすく、図5の(B)に示すように、この様な欠け落
ち部にはスカルや溶湯がめり込み易いという問題があり
適切な解決方法とはなり得なかった。
【0015】前記の段落0012から0014の項で述
べたように、スカルがスリット内に進入したり、セグメ
ントやメジの欠けた部分にめり込んで凝固しても、続い
て同種成分の合金の溶解を行う場合には、スリット内に
スカルが進入したり、セグメント3の欠けた部分にめり
込んでも、そのまま溶解を再開して差し支えはないが次
に行うべき溶解が異種合金である場合には、スカル中の
合金元素が次に溶解する合金中に混入し所望の合金成分
と相違することになるので、スリット内に進入したり欠
けた部分にめり込んでいるスカルを取り除くのが不可欠
になる。
べたように、スカルがスリット内に進入したり、セグメ
ントやメジの欠けた部分にめり込んで凝固しても、続い
て同種成分の合金の溶解を行う場合には、スリット内に
スカルが進入したり、セグメント3の欠けた部分にめり
込んでも、そのまま溶解を再開して差し支えはないが次
に行うべき溶解が異種合金である場合には、スカル中の
合金元素が次に溶解する合金中に混入し所望の合金成分
と相違することになるので、スリット内に進入したり欠
けた部分にめり込んでいるスカルを取り除くのが不可欠
になる。
【0016】しかし、このような状態のスカルを炉体の
上方の開口側に向かって引き出そうとしても、スカルと
スリット壁面間の摩擦力により抜き出しは困難であり特
にスリットの幅の大小、平行度などに工作上の誤差があ
ると困難度は一層増大する。このような点から、スカル
などの抜き出しが容易なようなスリットの形状と、その
様なスリットの形状を有する炉体を成形する為の製造方
法を確立することが要望された。本発明はこのような要
望に応じ得るスリットの構造とその様なスリットを成形
する為の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
上方の開口側に向かって引き出そうとしても、スカルと
スリット壁面間の摩擦力により抜き出しは困難であり特
にスリットの幅の大小、平行度などに工作上の誤差があ
ると困難度は一層増大する。このような点から、スカル
などの抜き出しが容易なようなスリットの形状と、その
様なスリットの形状を有する炉体を成形する為の製造方
法を確立することが要望された。本発明はこのような要
望に応じ得るスリットの構造とその様なスリットを成形
する為の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】ルツボの側壁を構成する
複数のセグメントの円周方向の幅が下から上に向かって
次第に減少するテ−パを付け、このようにされた複数の
セグメント相互の間に画定されるスリットは下から上に
向かって間隔が次第に広くなり、またセグメントの各々
は、底面に対し下から上に向かって次第に外側に向って
僅かに傾斜するようにされ、ルツボ炉全体としては、下
から上に向かって、内径が次第に増加するテ−パを付す
ようにした。このような構造の炉体を製作するには、
イ)1基の炉体に必要な複数のセグメントと炉底をセッ
トとして製作し、炉底の外周に複数のセグメントをボル
トまたは溶接などで固定するか、ロ)平行な複数のスリ
ットにより複数のセグメントが設けられた底付き円筒状
の炉体を1体に成形し、上部開口から押し広げ用のプラ
グを圧入して炉体内径とスリットの幅のテ−パを同時に
押し広げる。
複数のセグメントの円周方向の幅が下から上に向かって
次第に減少するテ−パを付け、このようにされた複数の
セグメント相互の間に画定されるスリットは下から上に
向かって間隔が次第に広くなり、またセグメントの各々
は、底面に対し下から上に向かって次第に外側に向って
僅かに傾斜するようにされ、ルツボ炉全体としては、下
から上に向かって、内径が次第に増加するテ−パを付す
ようにした。このような構造の炉体を製作するには、
イ)1基の炉体に必要な複数のセグメントと炉底をセッ
トとして製作し、炉底の外周に複数のセグメントをボル
トまたは溶接などで固定するか、ロ)平行な複数のスリ
ットにより複数のセグメントが設けられた底付き円筒状
の炉体を1体に成形し、上部開口から押し広げ用のプラ
グを圧入して炉体内径とスリットの幅のテ−パを同時に
押し広げる。
【0018】
【実施例】図1は、第1の実施例を示す展開図であり、
理解を容易にするため実際の寸法比よりも誇張して示し
てある。ルツボの側壁を構成する複数のセグメント3の
上端の円周方向の幅W1は下端の幅W2よりも小さい。
この様なセグメント3を炉底11の外周に等間隔に取り
付ければ、隣接するセグメントの間に形成されるスリッ
トの上端G1は下端G2より広くなるようにテ−パが付
けられ、スリット内に進入したスカルを取り出すための
抜け勾配が設けられたことになる。図示はしないが、セ
グメント3の底部または炉底11の外周は、セグメント
3が取り付けられた状態で、セグメント3が下から上に
向かって次第に外側に向って僅かに傾斜するようにさ
れ、ルツボ炉全体としては、下から上に向かって、内径
が次第に増加するテ−パが付けられた状態にされる。
理解を容易にするため実際の寸法比よりも誇張して示し
てある。ルツボの側壁を構成する複数のセグメント3の
上端の円周方向の幅W1は下端の幅W2よりも小さい。
この様なセグメント3を炉底11の外周に等間隔に取り
付ければ、隣接するセグメントの間に形成されるスリッ
トの上端G1は下端G2より広くなるようにテ−パが付
けられ、スリット内に進入したスカルを取り出すための
抜け勾配が設けられたことになる。図示はしないが、セ
グメント3の底部または炉底11の外周は、セグメント
3が取り付けられた状態で、セグメント3が下から上に
向かって次第に外側に向って僅かに傾斜するようにさ
れ、ルツボ炉全体としては、下から上に向かって、内径
が次第に増加するテ−パが付けられた状態にされる。
【0019】図1は、第1の実施例の構造を有するルツ
ボ炉10の製造方法をも示すものであって、このような
構造の炉体を製作するには、1基の炉体に必要な複数の
セグメント部材3と炉底11を1セットとして別々に製
作し、炉底11の外周に複数のセグメント部材3を所定
の間隔を保ってボルト16で固定した状態を示してい
る。符号17は冷却水の出入口である。
ボ炉10の製造方法をも示すものであって、このような
構造の炉体を製作するには、1基の炉体に必要な複数の
セグメント部材3と炉底11を1セットとして別々に製
作し、炉底11の外周に複数のセグメント部材3を所定
の間隔を保ってボルト16で固定した状態を示してい
る。符号17は冷却水の出入口である。
【0020】図2の(A)と(B)は、第2の実施例と
して、複数のセグメントと炉底を一体に成形する方法を
示す概略断面側面図である。図2の(A)に示すように
複数のセグメント3と炉底11は精密鋳造法などにより
底付直立中空円筒素材10’として一体に成形され、こ
の状態でスリット2の全ての溝幅は垂直方向にも平行を
保つている。この様な底付直立中空円筒素材を、図2の
(B)に示すように上部開口から、所定のテ−パが付け
られた押し広げ用のプラグPを圧入すると、所定の炉体
内径とスリットの幅、およびスリットの半径方向での開
きを1回の押し広げ動作で成形することができる。
して、複数のセグメントと炉底を一体に成形する方法を
示す概略断面側面図である。図2の(A)に示すように
複数のセグメント3と炉底11は精密鋳造法などにより
底付直立中空円筒素材10’として一体に成形され、こ
の状態でスリット2の全ての溝幅は垂直方向にも平行を
保つている。この様な底付直立中空円筒素材を、図2の
(B)に示すように上部開口から、所定のテ−パが付け
られた押し広げ用のプラグPを圧入すると、所定の炉体
内径とスリットの幅、およびスリットの半径方向での開
きを1回の押し広げ動作で成形することができる。
【0021】
【発明の効果】コ−ルドウォ−ルルツボ炉の複数のセグ
メント同志の間のスリットの幅と、炉体全体の内径とに
テ−パを付ける構造にすることにより、コ−ルドウォ−
ルルツボ炉の通電停止と鋳型への注湯の際に、スカルが
スリット内に進入し取出しが困難になるという問題が解
決され、しかもセグメント間のスリットにテ−パを付け
る工作の方法が簡単で容易なので、コ−ルドウォ−ルル
ツボ炉の操業と炉の製作に寄与すること多大である。
メント同志の間のスリットの幅と、炉体全体の内径とに
テ−パを付ける構造にすることにより、コ−ルドウォ−
ルルツボ炉の通電停止と鋳型への注湯の際に、スカルが
スリット内に進入し取出しが困難になるという問題が解
決され、しかもセグメント間のスリットにテ−パを付け
る工作の方法が簡単で容易なので、コ−ルドウォ−ルル
ツボ炉の操業と炉の製作に寄与すること多大である。
【図1】本発明の第1の実施例の構造と製造方法とを示
す一部を断面で示した概略側面展開図である。
す一部を断面で示した概略側面展開図である。
【図2】本発明の第2実施例の構造と製造方法を示す断
面概略側面図で、図中の(A)は半製品としての底付直
立中空円筒を、(B)は成形された状態と工具を示す図
である。
面概略側面図で、図中の(A)は半製品としての底付直
立中空円筒を、(B)は成形された状態と工具を示す図
である。
【図3】従来のコ−ルドウォ−ルルツボ炉の溶解作業中
と、溶解後に通電を停止した状態での溶湯とスカルの状
態を示す模式側断面図で図中の(A)は溶解作業中の状
態を、(B)は通電停止後の状態を示す図である。
と、溶解後に通電を停止した状態での溶湯とスカルの状
態を示す模式側断面図で図中の(A)は溶解作業中の状
態を、(B)は通電停止後の状態を示す図である。
【図4】従来のコ−ルドウォ−ルルツボ炉の、溶解終了
後に注湯のため炉体を傾けた状態での溶湯とスカルの状
態を示す模式側断面図である。
後に注湯のため炉体を傾けた状態での溶湯とスカルの状
態を示す模式側断面図である。
【図5】従来のコ−ルドウォ−ルルツボ炉において、ス
リット部にメジを充填した状態とメジの欠け落ち部にス
カルが進入した状態を示す説明図で、図中の(A)は部
分上面図で、(B)は模式側断面図である。
リット部にメジを充填した状態とメジの欠け落ち部にス
カルが進入した状態を示す説明図で、図中の(A)は部
分上面図で、(B)は模式側断面図である。
2 スリット 3 セグメント 5 スカル 8 誘導コイル 9 溶湯 10 コ−ルドウォ−ルルツボ炉 10’ 底付直立中空円筒素材 11 炉の底部 P プラグ W1,W2 セグメントの幅 G1,G2 スリットの幅
Claims (4)
- 【請求項1】 ほぼ垂直に立設された側壁と、この側壁
に連続して形成され炉底を形成する底壁とにより炉室が
画定され上部が開放された炉体と、前記側壁の外周に配
置された誘導加熱コイルとを有して、前記炉室内に被溶
融金属を収容し溶解する導電性と熱伝導度が良好な底付
き中空円筒形のルツボ炉であって、少なくとも前記の側
壁が軸方向に延在する複数のスリットにより、上端が閉
じ内部が空孔にされ冷却水の通路となる複数の短冊型セ
グメントにされているコールドウォールルツボ炉におい
て、前記複数のセグメントを画定するスリットの各々の
空隙寸法が底部から上方に向って漸次広くなる抜け勾配
が付けられて、溶解の間と溶解の終了後にスリット内に
入り凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォール
ルツボ炉。 - 【請求項2】 請求項1記載のコールドウォールルツボ
炉において、前記スリットの各々の空隙寸法に対する抜
け勾配が、該スリットの円周方向と半径方向とに付けら
れ、さらに前記複数のセグメントの内壁は底部から上方
に向って漸次外側に傾斜し、これらの複数のセグメント
の内壁によって画定される炉体の内径は底部から上方に
向って漸次広くなるように抜け勾配が付けられているこ
とを特徴とする凝固したスカルの取出しが容易なコール
ドウォールルツボ炉。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のコールドウォ
ールルツボ炉を製造する方法であって、前記複数のセグ
メントと炉の底部とを炉体1基当りの所用数に応じて準
備し、前記複数のセグメントの各々を炉の底部の外周面
に所定の間隔を保ってボルトまたは溶接により固定する
工程からなることを特徴とするコールドウォールルツボ
炉の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1または2に記載のコールドウォ
ールルツボ炉を製造する方法であって、前記複数のセグ
メントと炉の底部とを間隔が平行なスリットを画定する
底付き直立中空円筒として一体に成形し、この中空円筒
の上部開口から所定の勾配が付けられている押し広げ工
具を圧入し、前記スリットに所定の抜け勾配を付けると
同時に、前記複数のセグメントの内壁を底部から上方に
向って漸次外側に傾斜させ、これらの複数のセグメント
の内壁によって画定される炉体の内径が底部から上方に
向って漸次広くなる抜け勾配をつける諸工程からなるこ
とを特徴とするコールドウォールルツボ炉の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03108352A JP3097169B2 (ja) | 1991-04-15 | 1991-04-15 | 凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォールルツボ炉とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03108352A JP3097169B2 (ja) | 1991-04-15 | 1991-04-15 | 凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォールルツボ炉とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04316980A JPH04316980A (ja) | 1992-11-09 |
JP3097169B2 true JP3097169B2 (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=14482538
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03108352A Expired - Fee Related JP3097169B2 (ja) | 1991-04-15 | 1991-04-15 | 凝固したスカルの取出しが容易なコールドウォールルツボ炉とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3097169B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2740646B1 (fr) * | 1995-10-27 | 1998-01-16 | Electricite De France | Cage froide pour dispositif a induction |
JP5078197B2 (ja) * | 2001-04-27 | 2012-11-21 | シンフォニアテクノロジー株式会社 | 誘導加熱溶解炉 |
KR101307745B1 (ko) * | 2012-02-14 | 2013-09-11 | 한국수력원자력 주식회사 | 냉각흐름이 개선된 저온용융로 |
-
1991
- 1991-04-15 JP JP03108352A patent/JP3097169B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04316980A (ja) | 1992-11-09 |
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