JP3097103B2 - 記録用インクの製造方法 - Google Patents

記録用インクの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液体インクにより文字・画像の記録を行う
印写装置に用いる記録用インクの製造方法に関し、時に
インクジェット記録方式等に適した記録インクの製造方
法に関する。
[従来の技術] 従来、インクジェット記録方式等に用いるインクとし
ては、臭気・安全性等の面から水性インクが主流をしめ
ており、各種の水溶性染料を水または水と水溶性有機溶
剤の混合溶剤に溶解させ、必要により各種添加剤が添加
された均一系インクが現在使用されている。これらのイ
ンクジェット記録の長所としては、直接記録であるため
のプロセスが簡単である、無騒音である、カラー化が容
易である、高速記録が可能である、普通紙が使用できる
ため低ランニングコストである。微小インク滴を吐出さ
せるため高解像度の記録が可能である等の優れた特徴を
有しており、将来が注目されている。
[発明が解決しようとする課題] しかし前記の従来技術では、 (1)被転写体上でインクがにじみ、高品位な記録画像
が得られない。
(2)インクの被転写体上での乾燥速度が遅く、尾びき
が起きる。
等の課題がある。
又、前記課題を解決するために、例えば、特開昭55−
29546号公報には、特定の界面活性剤を添加し、表面張
力を下げてインクの紙への吸収性を高めたものが提案さ
れており、特開昭56−57862号公報には、強塩基物質を
添加し高pH(ペーハー)とし普通紙の耐水処理剤である
サイズ剤やパイプ材を化学的に溶解し、ドットの広がり
と吸収性を制御する方法及び特開昭58−13675号公報に
は、インク中に分子量4万以上のポリビニルピロリドン
を入れ、ドットの広がりと紙への吸収性を制御する方法
が提案されているが、これらの試みは上記問題点を完全
に解決する対策とはなっていない。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもの
で、本発明の第1の目的は、あらゆる被転写体に対して
文字・画像のにじみが生じない、輪郭が鮮明で高濃度・
高光沢な印刷を可能にする記録用インクの製造方法を提
供することにある。
本発明の第2の目的は、乾燥・定着が速く、尾引きの
ない、高速印刷及びプロセスカラーを重ねることによる
フルカラー画像を可能にする記録用インクの製造方法を
提供することにある。
本発明の第3の目的は、ノズル内、インク流通経路に
おいて目詰まりの生じない吐出安定性及び保存安定性に
優れた記録用インクの製造方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の記録用インクの製造方法は、少なくとも水か
らなる分散液に顔料を分散させる第1の工程と、この第
1の工程によって得られた分散液にグリセリンとマイク
ロエマルジョン(PB300,EAS−2、花王(株)製など)
を添加する第2の工程とを有することを特徴とする。
[作用] 本発明の上記の構成によれば、第1の工程により、顔
料粒子が均一に分散され、粒度分布がシャープでかつ再
分散性に優れた記録用インクを製造でき、第2の工程に
より各種添加剤として例えば、樹脂エマルジョン、ワッ
クスエマジョンを添加調整することで、エマルジョンの
構造を破壊することなく調整することができる。そのた
め、記録用インクが被転写体上に付着した際、第1図に
示す如く、輪郭の鮮明なドットが固化・定着する。この
時、乾燥性については、水分の浸透と蒸発に伴う凝集力
の増加により疑似的な乾燥(完全に蒸発乾燥しなくても
裏写り、尾引きが生じない程度の乾燥)が可能になる。
目詰まりについては、第2の工程における添加剤とし
て水溶性の高沸点・低揮発性有機溶媒を組み合わせるこ
とによって目詰まり防止が可能になる。
[実施例] 以下に本発明の記録用インクの製造方法について具体
的に例示する。
本発明に使用する顔料としては、無機顔料(カーボン
ブラック)、有機顔料(不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔
料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系高級顔
料、キナクリドン系高級顔料、ペリノン・ペリレン系高
級顔料)等がある。そのほか顔料表面を樹脂等で処理し
た加工顔料(グラフトカーボン等)も使用できる。
本発明の記録インク製造方法のうち第1の工程である
顔料分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アト
ライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェル
ミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パー
ルミル、ジェットミル、オングミル、メカノヒュージョ
ン(ホソカワミクロン)、ハイブリダイゼーション(奈
良機械製作所)等の微粉砕機・超微粉砕機が使用でき、
プレミキサー、ロールミル、、コロイドミル等によりプ
レ分散を行っておくとより効率的である。
又、必要に応じて巨大粒子、ゴミ、コンタミ等を除く
ためにカートリッジフィルター等を通してフィルタリン
グする必要がある。
顔料の粒径としては、1.0μm以下に微粒子化されて
いる物が好適である。平均粒径としては、できるだけシ
ャープであることが望ましい。
顔料の添加量としては、0.5重量%未満では、所望の
色調・濃度が得られず、20重量%を越えると目詰まり・
保存安定性に支障をきたす可能性があるために0.5から2
0重量%が好ましい。
又、ファインでかつ安定で再分散性のある分散液を得
るために、第1の工程において顔料分散剤、水溶性高分
子樹脂等を用いる。原理的には電気二重層の作用、界面
活性剤または高分子保護コロイドが形成する吸着層の保
護作用、分散媒に可溶な反応性基を有する官能基を持つ
高分子と着色成分表面を化学反応により結合させる方
法、公知のカップリング剤を着色成分表面と化学反応に
より結合せしめる方法等がある。
用いられる水溶性高分子樹脂としては、にかわ、ゼラ
チン、カゼイン、アルブミン、アラビアゴム、アラギン
酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルエ
ーテル、ポリビニルピロリドン等が使用できる。
第1の工程において注意する点としては、20℃での分
散液の表面張力を40dyne/cm以上に保持しながら分散す
るのが好ましく、40dyne/cmより小さいとサイズ処理の
低い被転写体でにじみが生じ、紙対応率が減少するため
40dyne/cm以上に調整する必要がある。
第2の工程においては、にじみ防止、速乾性付与、定
着性アップ、見かけの濃度アップ等を付与するために、
ビニルエステ系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸
エステル系、スチレン系オレフィン系及びアミノ基、カ
ルボキシル基、アミド基、水酸基などの親水性官能基を
有するモノマー等の単独重合または共重合樹脂エマルジ
ョン内部3次元架橋した有機超微粒子、マイクロエマル
ジョン、コロイダルディスパージョンあるいはコロイダ
ルシリカ等の無機超微粒子、パラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、カ
ルナバワックス等の天然・合成のワックスエマルジョン
等を添加することができる。
又、第1の工程において上記した水溶性高分子樹脂を
第2の工程において添加することもできる。
又、第2の工程において、イオン交換水、水溶性有機
溶剤として炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ケト
ンまたはケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレ
ングリコール類、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を
含むアルキレングリコール類、グリセリン、多価アルコ
ールの低級アルキルエーテル、N−メチル−2−ピロリ
ドン、トリエタノールアミン等が目詰まり防止、粘度調
整等に用いられるがこれに限定される物ではない。
上記以外に、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調
整剤、pH調整剤、防カビ剤、浸透剤、キレート化剤等を
必要に応じて添加することもできる。
インク物性としては、動作時の温度を0℃〜5℃に設
定した場合におけるインク粘度は、ヘッドの高速応答下
におけるインクの供給の安定性及びインクの液滴飛翔安
定性を考慮すると吐出ノズル近傍において20mPa・s以
下が必要であり、さらに高速応答性実現のためには1.5
〜10mPa.sがより好ましいため第2の工程において調整
することができる。
又、最終的なインクの表面張力が40dyne/cm以上にな
るように第2の工程において注意する必要がある。
その他、最終的なインク形態にするために、減圧濾過
・加圧濾過、脱気、インクパックへの注入、インクカセ
ット化等の工程が加えられる。
又、本発明の記録用インクの製造方法によるインク
は、必要により熱風・加熱ロール・赤外線等の熱定着手
段により乾燥・定着させることもできる。
又、本発明に画像記録用インクは、従来のオンデマン
ドタイプのインクジェット、超音波等によりミストを発
生させるインクミスト方式及び複数のノズルを有するノ
ズル形成基板と、前記ノズル形成基板の近傍に配置さ
れ、インク中に浸され独立に駆動可能な振動子を構成す
る圧電変換器を備え、電圧印加により該圧電変換器を変
位させて前記のノズル形成基板内部のインクを加圧して
前記ノズルから吐出させて印字を行うインクジェット方
式においても、圧電変換器のインクと接する部を絶縁化
することにより使用することができる。
以下、実施例・比較例を挙げることにより本発明を具
体的に説明するが、本例が本発明を限定するものではな
い。
(実施例1) 以下の実施例中に示すインク組成物量(%)は、すべ
て重量%である。
カーボンブラック 6 % マイクロエマルジョン(固形分20%) 30 % グリセリン 15 % イオン交換水 48.2% 分散剤 0.8% イオン交換水と分散剤とカーボンブラックをサンドミ
ルで10時間分散し、これを攪拌機に移し、マイクロエマ
ルジョンとグリセリンを添加し、1時間攪拌し、1μm
のフィルターを用い、減圧濾過し、平均粒径0.08μm、
表面張力48dyne/cmの記録用インクを作製した。
(比較例1) 比較例1として、実施例1と同じ組成のインクを顔料
分散時に同時に添加し、分散を行い、記録用インクを作
成した。
(比較例2) 実施例1におけるグリセリン15重量%の代わりにエチ
レングリコール11重量%とエタノール4重量%を使用し
たこと以外は、実施例1と同様にして記録用インクを作
成した。
以上のインクを用い、記録方法として、市販のオンデ
マンド型インクジェットプリンタ及び試作マルチヘッド
(吐出オリフィス径50μm、ピエゾ振動子駆動電圧80
V、駆動周波数3kHz)を用い、一般上質紙、ボンド紙、P
PC用紙、再生紙、一般OHPシートの各種被転写体に対し
て文字、グラフィック等を印字し、以下の評価を行っ
た。
評価方法を下記に示す。
1. にじみ評価 顕微鏡による100倍、400倍での観察と目視による観察 ◎:繊維に沿ったにじみもなく繊維上にドットが保持さ
れている ○:繊維に沿ったにじみは少しあるが目視ではわからな
い △:目視で若干にじみがわかる ×:かなりにじんで、エッジがギザギザしている 2. 乾燥性評価 印字10秒後、30秒後、60秒後に紙のエッジで印字部を
こする ◎:10秒後で尾引きなし ○:30秒後で尾引きなし △:60秒後で尾引きなし ×:90秒後に尾引きあり 3. 定着性評価 印字1時間後、印字面をクリップで200g/cmの荷重を
かけて擦ることによる汚れの発生の有無を擦る回数によ
って評価 ◎:30往復以上汚れ無し ○:20〜30往復後汚れ有り ×:20往復以下汚れ有り 4. 目詰まり評価 インクジェット記録装置にインクを充填し、50℃の環
境にノズルにキャップのない状態で1カ月放置後 ○:すぐに印字可能 △:インクを循環させてクリーニングすることにより印
字可能 ×:印字不可能 5. インク保存性 インクをサンプル瓶に入れ、50℃で6ヶ月密封状態で
保存し、異物・異臭・凝集・沈澱の有無を確認 ◎:無し ○:沈降は見られるが容易に再分散する ×:完全に分離し、再分散しない 6. 記録濃度 マクベス濃度計による反射O・D値の測定 7. 耐水性評価 印字1時間後の印字物を水中に5分間浸し、インクの
流出を観測 ○:無し ×:有り 8. 光沢度評価 デジタル光沢計(村上色彩技術研究所製)による75度
鏡面光沢度の測定 ○:80以上 △:51〜79 ×:50以下 9. OHP用紙への記録 ○:記録可 ×:記録不可 10. 耐光性評価 キヤノンランプ100時間照射ブルースケールの退色 ○:50%未満 ×:50%以上 インク物性調査方法を以下に示す。
A. 粘度 レオメトリックス・ファーイースト社製フルード・ス
ペクトロメーターによる20℃での定常粘度測定 B. 表面張力 表面張力計による測定(協和界面科学) C. 平均粒径 レーザー光散乱方式ゼータ電位計ELS800(大塚電子
製)による粒径分布測定 以上の結果を表1に示す。
表1より明らかなように、実施例1〜4の記録インク
は、印字品質(にじみ、濃度、光沢、耐水性・耐光
性)、速乾性、定着性、目詰まり、インク保存性につい
て、比較例に比べ、極めて優れた結果が得られた。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の記録用インクの製造方
法によれば、少なくとも、水に顔料を分散させる第1の
工程とこの第1の工程によって得られた分散液と添加剤
を添加調整する第2の工程の2種以上の工程からなるこ
とにより、普通紙に対してにじまず、高濃度で鮮明な記
録を可能にし、従来にない速乾性・定着性の付与を可能
にし、又、目詰まりの生じない、インクの保存性にも優
れた高信頼性の記録インクを製造することを可能にする
という効果を有する。
又、本発明の画像記録用インクによれば、通常のイン
クジェット記録では使用できない一般OHP用紙にも、高
速・高品位な印字が可能であるという効果も有する。
又、記録インクの乾燥性・定着性が良いため、3色の
プロセスカラーインクを使用することにより、高解像度
なフルカラー画像を記録することもできる。
又、今後急速に普及すると思われる再生紙にもにじみ
のない鮮明な記録を可能にするという効果も有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による被転写体上のインクドットを示
す模式図。 1……輪郭 2……繊維 A……被転写体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−18462(JP,A) 特開 昭62−169875(JP,A) 特開 昭64−48875(JP,A) 特開 昭56−61466(JP,A) 特開 昭62−164773(JP,A) 特開 昭55−155068(JP,A) 特表 平4−501128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 11/00 - 11/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液体インクにより文字・画像の記録を行う
    印写装置に用いる記録用インクの製造方法において、少
    なくとも水からなる分散液に顔料を分散させる第1の工
    程と、この第1の工程によって得られた分散液にグリセ
    リンとマイクロエマルジョンを添加する第2の工程とを
    有することを特徴とする、記録用インクの製造方法。
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JP5189718B2 (ja) * 2000-11-30 2013-04-24 キヤノンファインテック株式会社 インクジェット用記録液の製造方法、インクジェット用記録液、これを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

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