JP3096811U - 和洋装衣 - Google Patents
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Abstract
【課題】着用時の窮屈感がなく、神社などのある程度の改まった場所へ出向くときの外出着や道行き着としても違和感がなく、脱着が背広並に容易な和洋装衣を提供する。
【解決手段】腰回り部12に前開き式の腰バンドが縫着され、その腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成されているズボン状の下衣を備えた和洋装衣において、腰バンドを幅広平布帯13に置き換える。幅広平布帯13の左右両側に伸縮部15と締付けバンド16とを具備させる。幅広平布帯13の背側部位に腰板部17を連設する。ポケット23や縦プリーツ25,26を付けてもよい。下衣10と、上衣30と、最上衣50とを背広地で仕立てる。
【選択図】 図1
【解決手段】腰回り部12に前開き式の腰バンドが縫着され、その腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成されているズボン状の下衣を備えた和洋装衣において、腰バンドを幅広平布帯13に置き換える。幅広平布帯13の左右両側に伸縮部15と締付けバンド16とを具備させる。幅広平布帯13の背側部位に腰板部17を連設する。ポケット23や縦プリーツ25,26を付けてもよい。下衣10と、上衣30と、最上衣50とを背広地で仕立てる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は和洋装衣、詳しくは和装衣と洋装衣とが渾然として室内着としても外出着としても有益な和洋装衣に関する。
【0002】
【従来の技術】
洋装衣、特に紳士服などの男性用背広の下衣はズボンと通称されていて、腰回り部の上縁に前開き式の腰バンドが一体に縫着され、その腰バンドのベルト通しに通したベルトを締めるようになっている。また、腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成され、さらに、その左右の側部には一般的にポケットが形成されている。このような背広の下衣は脱着が容易であるために日常的に着用するには便利であるけれども、主に外出着として用いられるために人体の下半身に比較的フィットするような仕立てになっていて、室内着として着用すると窮屈感を免れない。
【0003】
これに対し、和装衣、その中でも袴は、左右両側が開き、前紐と後ろ紐とによって身体の腰部を締め、後ろ紐の背側に腰板と称される立上り部が備わっていて下半身にゆったりと装用することができるようになっている。しかし、袴は脱着が難しくて誰でもが手軽に着用できるというものではないなどの理由から現代では使用機会が限られているものの、神社などに出向くときの外出着として、あるいは、正装が要求される場所では多用されている。一方、禅宗僧侶の作業衣である作務衣が一般に普及しつつあるけれども、この作務衣は身体への締付け感がないので室内着としては便利であるけれども、外出着として着用するには違和感がある。したがって、作務衣を外出着に用いることはほとんどない。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は以上の状況に鑑みてなされたもので、作務衣と同様に身体への締付け感がそれほど強くなくて着用時の窮屈感がなく、また、神社などのある程度の改まった場所へ出向くときの外出着や道行き着としても違和感がなく、また、脱着が背広並に容易な和洋装衣を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る和洋装衣は、腰回り部に前開き式の腰バンドが縫着され、その腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成されているズボン状の下衣を備えている。そして、上記下衣は、上記腰バンドが前開き式の幅広平布帯に置き換えられてその幅広平布帯が上記腰回り部に縫着されていると共に、その幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間に開閉可能な前立部が形成され、上記幅広平布帯の左右両側部位に伸縮部が具備され、かつ、この幅広平布帯の背側部位に、当該幅広平布帯の上縁から上向きに立ち上がった腰板部が連設されている。
【0006】
この構成の和洋装衣によると、その下衣において、洋装衣としての背広ズボンで多用されている前開き式の腰バンドが前開き式の幅広平布帯に置き換えられてその幅広平布帯が上記腰回り部に縫着され、しかも、その幅広平布帯の背側部位に当該幅広平布帯の上縁から上向きに立ち上がった腰板部が連設されているという構成と共に、幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間に、上記背広ズボンでは不可欠になっている開閉可能な前立部が形成されているという構成を備えている。そのため、幅広平布帯が和装衣としての袴に見られるような前紐や後ろ紐として観念されたり、幅広平布帯の背側部位の腰板部が上記袴の腰板部として観念されたりするものでありながらも、幅広平布帯が前開き式であることやその幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間の前立部を備えていることによって背広ズボンであるという観念も思い起こされる。したがって、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとの両方の観念を完全に消失させることなく、袴として見ることも背広ズボンとして見ることもできるようになる。その結果、神社や茶会などの改まった場所に出向くときの道行き着や外出着として違和感なく着用することが可能になる。
【0007】
その上、男性用背広ズボンで多用されている前開き式の腰バンドを前開き式の幅広平布帯に置き換え、かつ、前開き式の前立部を備えているので、脱着が背広ズボン並に容易になって袴の比ではなくなり、併せて、背広ズボンと同等の機能性を備えるようになる。このような脱着の容易性は、幅広平布帯の左右両側部位に伸縮部が具備されていることによっていっそう助長される。したがって、この下衣を備えた和洋装衣は、冒頭で説明した作務衣と同様に着用時のゆったり感を満たして窮屈感を解消し、併せて、背広ズボンのような機能性や脱着性をも備えたものになる。
【0008】
本考案では、上記腰回り部が、上記幅広平布帯の腰板部形成箇所の下側部位の左右両側と上記前立て部の左右両側とに折返し形成された縦プリーツを有することが望ましい。これによれば、縦プリーツを、袴に備わっている前襞や背広ズボンに備わっている前プリーツに見立てることが可能になって、当該下衣を、袴に似ているズボン、あるいはズボンに似ている袴として観念させることに役立つ。
【0009】
本考案では、上記幅広平布帯の前開き箇所の片側端部と他側端部とに、互いに着脱可能な止部と受部とが振り分けて上下複数段に亘って設けられ、かつ、上記前立部の片側片部と他側片部とにファスナを形成している一対の係止条が各別に設けられていると共に、上記下衣の側部にポケットが形成されていることが望ましい。
【0010】
これによると、幅広平布帯が背広ズボンの腰バンドよりも拡幅された布地で形成されているものであるとしても、その幅広平布帯の前開き箇所が、その片側端部と他側端部とに上下複数段に亘って設けられた止部と受部とによって閉じ合わされるので、幅広平布帯の閉じ合わせ箇所が形崩れして見苦しくなるという事態も起こりにくい。また、前立部の片側片部と他側片部とにファスナを形成している一対の係止条が各別に設けられているので、この前立部の閉じ合わせ箇所では背広ズボンと同等の外観や機能性が発揮されるようになり、開け閉めが容易であるだけでなく、開け閉めが繰り返されても形崩れを生じたりすることがない。さらに、下衣の側部にポケットが形成されていることにより、ポケット付きズボンと同等の機能性が発揮される。
【0011】
本考案では、上記下衣と、上衣と、その上衣の上に着る最上衣とからなり、それらの下衣と上衣と最上衣とが背広地で仕立てられていることが望ましい。これによれば、冬場の寒い時期や夏場の暑い時期に上衣や最上衣を取捨選択して着用することが可能であると共に、改まった場所での装衣や道行き着として違和感なく着用することができるようになる。特に、背広地で仕立てられていることによって高級感を備えるに至るので、冒頭で説明した作務衣のような外出着として馴染まないというような事態が起こらない。
【0012】
【考案の実施の形態】
図1は本考案の実施形態に係る和洋装衣を示した説明図、図2はその下衣の要部を説明的に示した部分斜視図である。
【0013】
図1において、10は下衣で、身体の下半身に着用する。30は上衣で、身体の上半身に着用する。50は最上衣で、上衣30の上に羽織ったりする。
【0014】
下衣10は外観は背広ズボンの基本形状、すなわち左右の脚覆い部11,11や腰回り部12などを備えた基本形状に形成されている。背広ズボンでは、腰回り部12には前開き式の幅狭の腰バンドが縫着されているのであるけれども、この実施形態では、背広ズボンの上記腰バンドを、前開き式の幅広平布帯13に置き換えてその幅広平布帯13を腰回り部12に縫着してある。
【0015】
図2に詳細に示したように、幅広平布帯13の前開き箇所の片側端部13aと他側端部13bとに、互いに着脱可能な止部14aと受部14bとが振り分けて上下複数段(図例では上下2段)に亘って設けられている。図例では、止部14aが菊花模様のような和装飾を施したボタンでなり、受部14bがそれらのボタンに対して各別に形成されたボタン掛り孔でなる。なお、止部14aと受部14bには、ボタンとボタン掛り孔との組み合わせのほか、面状ファスナやフックなどを採用することが可能である。
【0016】
また、幅広平布帯13の左右両側部位には、伸縮部15が具備されている。この伸縮部15はゴムバンドなどの弾性材を包み込むことによって形成された弾力性を持つギャザーなどの伸縮バンド部15aと、この伸縮バンド部15aの伸長幅を制限する締付けバンド16とにより構成されている。図例の締付けバンド16は、伸縮バンド部15aの前側に縫着された偏平な前側布平紐16aと、伸縮バンド部15aの後側に縫着されて先端にクランプ金具16cを備えた後側布平紐16bとに分割されていて、前側布平紐16aをクランプ金具16cに通して扱くことにより締付けバンド16の全長を任意の長さに調節することができるものである。したがって、この締付けバンド16の長さを調節することによって上記伸縮バンド部15aの伸長幅を制限することができる。
【0017】
さらに、幅広平布帯13の背側部位には、当該幅広平布帯13の上縁から上向きに立ち上がった台形状の腰板部17が一体に連設されている。この腰板部17は、冒頭で説明した袴に備わっている腰板部に似せて形成してある。
【0018】
下衣10の幅広平布帯13の前開き箇所と二股部18との間に亘って開閉可能な前立部21が形成されている。この前立部21は、背広ズボンに備わっているものと同様のものであって、前立部21の片側片部21aと他側片部21bとに線状ファスナ22を形成している一対の係止条22a,22bのそれぞれが各別に縫着されている。さらに腰回り部12の左右側部にポケット23,23が形成されているほか、腰回り部12には、幅広平布帯13の腰板部形成箇所の下側部位の左右両側と上記前立部21の左右両側とに折返し形成された縦プリーツ25,26が形成されている。これらの縦プリーツ25は、図例では腰回り部12だけに形成されているけれども、下衣10の前縦幅に亘って形成されていてもよい。
【0019】
ここで説明した下衣10では、背広ズボンの腰バンドの代わりに、それよりも幅寸法の長い幅広平布帯13を用いていて、その幅広平布帯13の背側に和装衣としての袴に見られる腰板部17を形成してあるのに対し、基本形状が洋装衣としての背広ズボンと同様になっていて、幅広平布帯13の前開き箇所と二股部18との間に開閉可能な前立部21が形成されている。そのため、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとが渾然となったものとして観念される。言い換えると、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとの両方の観念を完全に消失させることなく、袴として見ることも背広ズボンとして見ることもできるようになる。そのため、神社や茶会などの改まった場所に出向くときの道行き着や外出着として違和感なく着用することが可能になる。その上、腰回り部12の前後に左右対称に2条ずつ設けた縦プリーツ25,26が、袴に備わっている前襞や背広ズボンに備わっている前プリーツに見立てられるために、当該下衣10が、袴に似ているズボン、あるいはズボンに似ている袴として観念されるようになる。
【0020】
また、幅広平布帯13が前開き式であり、前開き式の前立部を備えているので、脱着が背広ズボン並に容易になり、併せて、背広ズボンと同等の機能性を備えている。特に、幅広平布帯13が左右の伸縮部15を備えているので、脱着の容易性がいっそう助長され、併せて、着用後の下衣10のずれや形崩れを防止できて、しかも窮屈感も感じなくなるという利点もある。したがって、この下衣10を備えた和洋装衣は、冒頭で説明した作務衣と同様に着用時のゆったり感を満たして窮屈感を解消し、併せて、背広ズボンのような機能性や脱着性をも備えたものになる。
【0021】
また、幅広平布帯13は背広ズボンの腰バンドよりも拡幅された布地で形成されているけれども、その幅広平布帯13の前開き箇所は、上下複数段の止部14aと受部14bとによって閉じ合わされるようになっているので、幅広平布帯13の閉じ合わせ箇所が形崩れして見苦しくなるという事態は起こらない。この作用は、幅広平布帯13の幅は7〜10cm程度にした場合でも発揮されることを確認している。さらに、前立部21の閉じ合わせ箇所では背広ズボンと同等の外観や機能性が発揮されるようになり、開け閉めが容易であるだけでなく、明け閉めが繰り返されても形崩れを生じたりすることがない。また、左右のポケット23によってポケット付きズボンと同等の機能性が発揮される。
【0022】
上衣30は、前見頃を重ね合わせて着用する形式になっている。また、最上衣50は袖無し形にしてあるけれども、この点は、袖付きとしてもよい。
【0023】
以上説明した和洋装衣において、下衣10と、上衣30と、最上衣50とを背広地で仕立てることが可能であり、そのようにすると、冬場の寒い時期や夏場の暑い時期に上衣30や最上衣50を取捨選択して着用することによって気温に適応することが可能であると共に、改まった場所での装衣や道行き着として違和感なく着用することができるようになる。特に、背広地で仕立てられていることによって高級感を備えるに至るので、外出着や道行き着としても何ら違和感を生じない。
【0024】
【考案の効果】
本考案に係る和洋装衣によれば、作務衣と同様に身体への締付け感がそれほど強くなくて着用時の窮屈感がなく、また、神社などのある程度の改まった場所へ出向くときの外出着や道行き着としても違和感がなく、また、脱着が背広並に容易な和洋装衣を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施形態に係る和洋装衣を示した説明図である。
【図2】下衣の要部を説明的に示した部分斜視図である。
【符号の説明】
10 下衣
12 腰回り部
13 幅広平布帯
14a 止部
14b 受部
15 伸縮部
17 腰板部
18 二股部
21 前立部
22a,22b 係止条
22 線状ファスナ
23 ポケット
26 縦プリーツ
30 上衣
50 最上衣
【考案の属する技術分野】
本考案は和洋装衣、詳しくは和装衣と洋装衣とが渾然として室内着としても外出着としても有益な和洋装衣に関する。
【0002】
【従来の技術】
洋装衣、特に紳士服などの男性用背広の下衣はズボンと通称されていて、腰回り部の上縁に前開き式の腰バンドが一体に縫着され、その腰バンドのベルト通しに通したベルトを締めるようになっている。また、腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成され、さらに、その左右の側部には一般的にポケットが形成されている。このような背広の下衣は脱着が容易であるために日常的に着用するには便利であるけれども、主に外出着として用いられるために人体の下半身に比較的フィットするような仕立てになっていて、室内着として着用すると窮屈感を免れない。
【0003】
これに対し、和装衣、その中でも袴は、左右両側が開き、前紐と後ろ紐とによって身体の腰部を締め、後ろ紐の背側に腰板と称される立上り部が備わっていて下半身にゆったりと装用することができるようになっている。しかし、袴は脱着が難しくて誰でもが手軽に着用できるというものではないなどの理由から現代では使用機会が限られているものの、神社などに出向くときの外出着として、あるいは、正装が要求される場所では多用されている。一方、禅宗僧侶の作業衣である作務衣が一般に普及しつつあるけれども、この作務衣は身体への締付け感がないので室内着としては便利であるけれども、外出着として着用するには違和感がある。したがって、作務衣を外出着に用いることはほとんどない。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は以上の状況に鑑みてなされたもので、作務衣と同様に身体への締付け感がそれほど強くなくて着用時の窮屈感がなく、また、神社などのある程度の改まった場所へ出向くときの外出着や道行き着としても違和感がなく、また、脱着が背広並に容易な和洋装衣を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る和洋装衣は、腰回り部に前開き式の腰バンドが縫着され、その腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成されているズボン状の下衣を備えている。そして、上記下衣は、上記腰バンドが前開き式の幅広平布帯に置き換えられてその幅広平布帯が上記腰回り部に縫着されていると共に、その幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間に開閉可能な前立部が形成され、上記幅広平布帯の左右両側部位に伸縮部が具備され、かつ、この幅広平布帯の背側部位に、当該幅広平布帯の上縁から上向きに立ち上がった腰板部が連設されている。
【0006】
この構成の和洋装衣によると、その下衣において、洋装衣としての背広ズボンで多用されている前開き式の腰バンドが前開き式の幅広平布帯に置き換えられてその幅広平布帯が上記腰回り部に縫着され、しかも、その幅広平布帯の背側部位に当該幅広平布帯の上縁から上向きに立ち上がった腰板部が連設されているという構成と共に、幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間に、上記背広ズボンでは不可欠になっている開閉可能な前立部が形成されているという構成を備えている。そのため、幅広平布帯が和装衣としての袴に見られるような前紐や後ろ紐として観念されたり、幅広平布帯の背側部位の腰板部が上記袴の腰板部として観念されたりするものでありながらも、幅広平布帯が前開き式であることやその幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間の前立部を備えていることによって背広ズボンであるという観念も思い起こされる。したがって、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとの両方の観念を完全に消失させることなく、袴として見ることも背広ズボンとして見ることもできるようになる。その結果、神社や茶会などの改まった場所に出向くときの道行き着や外出着として違和感なく着用することが可能になる。
【0007】
その上、男性用背広ズボンで多用されている前開き式の腰バンドを前開き式の幅広平布帯に置き換え、かつ、前開き式の前立部を備えているので、脱着が背広ズボン並に容易になって袴の比ではなくなり、併せて、背広ズボンと同等の機能性を備えるようになる。このような脱着の容易性は、幅広平布帯の左右両側部位に伸縮部が具備されていることによっていっそう助長される。したがって、この下衣を備えた和洋装衣は、冒頭で説明した作務衣と同様に着用時のゆったり感を満たして窮屈感を解消し、併せて、背広ズボンのような機能性や脱着性をも備えたものになる。
【0008】
本考案では、上記腰回り部が、上記幅広平布帯の腰板部形成箇所の下側部位の左右両側と上記前立て部の左右両側とに折返し形成された縦プリーツを有することが望ましい。これによれば、縦プリーツを、袴に備わっている前襞や背広ズボンに備わっている前プリーツに見立てることが可能になって、当該下衣を、袴に似ているズボン、あるいはズボンに似ている袴として観念させることに役立つ。
【0009】
本考案では、上記幅広平布帯の前開き箇所の片側端部と他側端部とに、互いに着脱可能な止部と受部とが振り分けて上下複数段に亘って設けられ、かつ、上記前立部の片側片部と他側片部とにファスナを形成している一対の係止条が各別に設けられていると共に、上記下衣の側部にポケットが形成されていることが望ましい。
【0010】
これによると、幅広平布帯が背広ズボンの腰バンドよりも拡幅された布地で形成されているものであるとしても、その幅広平布帯の前開き箇所が、その片側端部と他側端部とに上下複数段に亘って設けられた止部と受部とによって閉じ合わされるので、幅広平布帯の閉じ合わせ箇所が形崩れして見苦しくなるという事態も起こりにくい。また、前立部の片側片部と他側片部とにファスナを形成している一対の係止条が各別に設けられているので、この前立部の閉じ合わせ箇所では背広ズボンと同等の外観や機能性が発揮されるようになり、開け閉めが容易であるだけでなく、開け閉めが繰り返されても形崩れを生じたりすることがない。さらに、下衣の側部にポケットが形成されていることにより、ポケット付きズボンと同等の機能性が発揮される。
【0011】
本考案では、上記下衣と、上衣と、その上衣の上に着る最上衣とからなり、それらの下衣と上衣と最上衣とが背広地で仕立てられていることが望ましい。これによれば、冬場の寒い時期や夏場の暑い時期に上衣や最上衣を取捨選択して着用することが可能であると共に、改まった場所での装衣や道行き着として違和感なく着用することができるようになる。特に、背広地で仕立てられていることによって高級感を備えるに至るので、冒頭で説明した作務衣のような外出着として馴染まないというような事態が起こらない。
【0012】
【考案の実施の形態】
図1は本考案の実施形態に係る和洋装衣を示した説明図、図2はその下衣の要部を説明的に示した部分斜視図である。
【0013】
図1において、10は下衣で、身体の下半身に着用する。30は上衣で、身体の上半身に着用する。50は最上衣で、上衣30の上に羽織ったりする。
【0014】
下衣10は外観は背広ズボンの基本形状、すなわち左右の脚覆い部11,11や腰回り部12などを備えた基本形状に形成されている。背広ズボンでは、腰回り部12には前開き式の幅狭の腰バンドが縫着されているのであるけれども、この実施形態では、背広ズボンの上記腰バンドを、前開き式の幅広平布帯13に置き換えてその幅広平布帯13を腰回り部12に縫着してある。
【0015】
図2に詳細に示したように、幅広平布帯13の前開き箇所の片側端部13aと他側端部13bとに、互いに着脱可能な止部14aと受部14bとが振り分けて上下複数段(図例では上下2段)に亘って設けられている。図例では、止部14aが菊花模様のような和装飾を施したボタンでなり、受部14bがそれらのボタンに対して各別に形成されたボタン掛り孔でなる。なお、止部14aと受部14bには、ボタンとボタン掛り孔との組み合わせのほか、面状ファスナやフックなどを採用することが可能である。
【0016】
また、幅広平布帯13の左右両側部位には、伸縮部15が具備されている。この伸縮部15はゴムバンドなどの弾性材を包み込むことによって形成された弾力性を持つギャザーなどの伸縮バンド部15aと、この伸縮バンド部15aの伸長幅を制限する締付けバンド16とにより構成されている。図例の締付けバンド16は、伸縮バンド部15aの前側に縫着された偏平な前側布平紐16aと、伸縮バンド部15aの後側に縫着されて先端にクランプ金具16cを備えた後側布平紐16bとに分割されていて、前側布平紐16aをクランプ金具16cに通して扱くことにより締付けバンド16の全長を任意の長さに調節することができるものである。したがって、この締付けバンド16の長さを調節することによって上記伸縮バンド部15aの伸長幅を制限することができる。
【0017】
さらに、幅広平布帯13の背側部位には、当該幅広平布帯13の上縁から上向きに立ち上がった台形状の腰板部17が一体に連設されている。この腰板部17は、冒頭で説明した袴に備わっている腰板部に似せて形成してある。
【0018】
下衣10の幅広平布帯13の前開き箇所と二股部18との間に亘って開閉可能な前立部21が形成されている。この前立部21は、背広ズボンに備わっているものと同様のものであって、前立部21の片側片部21aと他側片部21bとに線状ファスナ22を形成している一対の係止条22a,22bのそれぞれが各別に縫着されている。さらに腰回り部12の左右側部にポケット23,23が形成されているほか、腰回り部12には、幅広平布帯13の腰板部形成箇所の下側部位の左右両側と上記前立部21の左右両側とに折返し形成された縦プリーツ25,26が形成されている。これらの縦プリーツ25は、図例では腰回り部12だけに形成されているけれども、下衣10の前縦幅に亘って形成されていてもよい。
【0019】
ここで説明した下衣10では、背広ズボンの腰バンドの代わりに、それよりも幅寸法の長い幅広平布帯13を用いていて、その幅広平布帯13の背側に和装衣としての袴に見られる腰板部17を形成してあるのに対し、基本形状が洋装衣としての背広ズボンと同様になっていて、幅広平布帯13の前開き箇所と二股部18との間に開閉可能な前立部21が形成されている。そのため、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとが渾然となったものとして観念される。言い換えると、和装衣としての袴と洋装衣としての背広ズボンとの両方の観念を完全に消失させることなく、袴として見ることも背広ズボンとして見ることもできるようになる。そのため、神社や茶会などの改まった場所に出向くときの道行き着や外出着として違和感なく着用することが可能になる。その上、腰回り部12の前後に左右対称に2条ずつ設けた縦プリーツ25,26が、袴に備わっている前襞や背広ズボンに備わっている前プリーツに見立てられるために、当該下衣10が、袴に似ているズボン、あるいはズボンに似ている袴として観念されるようになる。
【0020】
また、幅広平布帯13が前開き式であり、前開き式の前立部を備えているので、脱着が背広ズボン並に容易になり、併せて、背広ズボンと同等の機能性を備えている。特に、幅広平布帯13が左右の伸縮部15を備えているので、脱着の容易性がいっそう助長され、併せて、着用後の下衣10のずれや形崩れを防止できて、しかも窮屈感も感じなくなるという利点もある。したがって、この下衣10を備えた和洋装衣は、冒頭で説明した作務衣と同様に着用時のゆったり感を満たして窮屈感を解消し、併せて、背広ズボンのような機能性や脱着性をも備えたものになる。
【0021】
また、幅広平布帯13は背広ズボンの腰バンドよりも拡幅された布地で形成されているけれども、その幅広平布帯13の前開き箇所は、上下複数段の止部14aと受部14bとによって閉じ合わされるようになっているので、幅広平布帯13の閉じ合わせ箇所が形崩れして見苦しくなるという事態は起こらない。この作用は、幅広平布帯13の幅は7〜10cm程度にした場合でも発揮されることを確認している。さらに、前立部21の閉じ合わせ箇所では背広ズボンと同等の外観や機能性が発揮されるようになり、開け閉めが容易であるだけでなく、明け閉めが繰り返されても形崩れを生じたりすることがない。また、左右のポケット23によってポケット付きズボンと同等の機能性が発揮される。
【0022】
上衣30は、前見頃を重ね合わせて着用する形式になっている。また、最上衣50は袖無し形にしてあるけれども、この点は、袖付きとしてもよい。
【0023】
以上説明した和洋装衣において、下衣10と、上衣30と、最上衣50とを背広地で仕立てることが可能であり、そのようにすると、冬場の寒い時期や夏場の暑い時期に上衣30や最上衣50を取捨選択して着用することによって気温に適応することが可能であると共に、改まった場所での装衣や道行き着として違和感なく着用することができるようになる。特に、背広地で仕立てられていることによって高級感を備えるに至るので、外出着や道行き着としても何ら違和感を生じない。
【0024】
【考案の効果】
本考案に係る和洋装衣によれば、作務衣と同様に身体への締付け感がそれほど強くなくて着用時の窮屈感がなく、また、神社などのある程度の改まった場所へ出向くときの外出着や道行き着としても違和感がなく、また、脱着が背広並に容易な和洋装衣を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施形態に係る和洋装衣を示した説明図である。
【図2】下衣の要部を説明的に示した部分斜視図である。
【符号の説明】
10 下衣
12 腰回り部
13 幅広平布帯
14a 止部
14b 受部
15 伸縮部
17 腰板部
18 二股部
21 前立部
22a,22b 係止条
22 線状ファスナ
23 ポケット
26 縦プリーツ
30 上衣
50 最上衣
Claims (4)
- 腰回り部に前開き式の腰バンドが縫着され、その腰バンドと二股部との間に開閉可能な前立部が形成されているズボン状の下衣を備えた和洋装衣において、
上記下衣は、上記腰バンドが前開き式の幅広平布帯に置き換えられてその幅広平布帯が上記腰回り部に縫着されていると共に、その幅広平布帯の前開き箇所と二股部との間に開閉可能な前立部が形成され、上記幅広平布帯の左右両側部位に伸縮部が具備され、かつ、この幅広平布帯の背側部位に、当該幅広平布帯の上縁から上向きに立ち上がった腰板部が連設されていることを特徴とする和洋装衣。 - 上記腰回り部が、上記幅広平布帯の腰板部形成箇所の下側部位の左右両側と上記前立て部の左右両側とに折返し形成された縦プリーツを有する請求項1に記載した和洋装衣。
- 上記幅広平布帯の前開き箇所の片側端部と他側端部とに、互いに着脱可能な止部と受部とが振り分けて上下複数段に亘って設けられ、かつ、上記前立部の片側片部と他側片部とにファスナを形成している一対の係止条が各別に設けられていると共に、上記下衣の側部にポケットが形成されている請求項1又は請求項2に記載した和洋装衣。
- 上記下衣と、上衣と、その上衣の上に着る最上衣とからなり、それらの下衣と上衣と最上衣とが背広地で仕立てられている請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載した和洋装衣。
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- 2003-03-31 JP JP2003001717U patent/JP3096811U/ja not_active Expired - Lifetime
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