JP3094463B2 - ヘキサヒドロカルボスチリル−5−オン類の製造方法 - Google Patents

ヘキサヒドロカルボスチリル−5−オン類の製造方法

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JP3094463B2 JP03008749A JP874991A JP3094463B2 JP 3094463 B2 JP3094463 B2 JP 3094463B2 JP 03008749 A JP03008749 A JP 03008749A JP 874991 A JP874991 A JP 874991A JP 3094463 B2 JP3094463 B2 JP 3094463B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ヘキサヒドロカルボ
スチリル−5−オン類の製造方法に関するものである。
さらに詳しくは、この発明は、β−アドレナリン遮断剤
としてのカルテオロール塩酸塩の製造中間体等として有
用な、ヘキサヒドロカルボスチリル−5−オン類の製造
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、次式
【0003】
【化3】
【0004】で表わされるカルテオロール塩酸塩は、β
−アドレナリン遮断活性を有するものとして、狭心症、
心臓神経病、不整脈等の治療剤に用いられてきており、
このカルテオロール塩酸塩の製造中間体としては、ヘキ
サヒドロカルボスチリル−5−オンが採用されてきてい
る。たとえばこのようなβ−アドレナリン遮断剤の製造
中間体等として有用な次式
【0005】
【化4】
【0006】表わされるヘキサヒドロカルボスチリル−
5−オンとその類縁体は、次式
【0007】
【化5】
【0008】で表わされる2−(2−シアノエチル)シ
クロヘキサン−1,3−ジオンとその誘導体を、酸水溶
液、より具体的には約20%塩酸水溶液中で環化反応さ
せて製造する方法が知られている(Tetrahedron Lett.
vol.29,2441,1965)。この塩酸水溶液中での環化反応に
ついては定量的に上記のヘキサヒドロカルボスチリル−
5−オンが得られることが報告されてもいる。
【0009】しかしながら、実際にこの公知の方法によ
り2−(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,3−
ジオンの環化反応によってヘキサヒドロカルボスチリル
−5−オンを製造しようとしても、反応には数日間とい
う長時間を要するばかりでなく、この長時間の反応にも
かかわらず副反応の進行によって目的とするヘキサヒド
ロカルボスチリル−5−オンの収率はたかだか30%程
度にとどまり、収率の向上はできなかった。
【0010】しかもまた、この従来方法の場合には、反
応によって生成するヘキサヒドロカルボスチリル−5−
オンが反応系内に溶解しているため、中和により沈澱さ
せることができるものの、その単離操作は極めて煩雑な
ものであった。このため、心臓疾患の治療剤等として需
要の拡大が期待されている前記カルテオロール塩酸塩等
の製造中間体として有用なヘキサヒドロカルボスチリル
−5−オンについては、短時間の反応操作で、高収率
に、かつ簡便な単離操作により製造することのできる新
しい方法の実現が強く望まれていた。
【0011】この発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来の方法の欠点を解消し、高効率
で、収率よく、しかも簡便な単離操作によってヘキサヒ
ドロカルボスチリル−5−オン類を製造することのでき
る新しい方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、次式(I)
【0013】
【化6】
【0014】(R1,R2,R3,R4 およびR5 は、各々、
同一または別異に、水素原子、炭化水素基、または有機
官能基を示す)で表わされる2−(2−シアノエチル)
シクロヘキサン−1,3−ジオン誘導体を、非水系極性
溶媒中で酸の存在下に環化反応させることを特徴とする
次式(II)
【0015】
【化7】
【0016】(R1,R2,R3,R4 およびR5 は、前記と
同様のものを示す)で表わされるヘキサヒドロカルボス
チリル−5−オン類の製造方法を提供する。この方法
は、上記の通り非水系極性溶媒中で環化反応させること
を一つの特徴とし、従来公知の方法によっては実現する
ことのできなかった、短時間の反応により、副反応の進
行を抑え、極めて高い収率でヘキサヒドロカルボスチリ
ル−5−オン類を製造することを可能としている。
【0017】また、この発明の方法においては、酸とし
て固体酸を使用することも可能とし、反応系からのヘキ
サヒドロカルボスチリル−5−オン類の単離操作を極め
て簡単なものともしている。すなわち、さらに詳しくこ
の発明の製造方法について説明すると、まず前記の式
(I)として示される原料化合物の2−(2−シアノエ
チル)シクロヘキサン−1,3−ジオン誘導体として
は、置換基R1,R2,R3,R4 およびR5 が、同一または
別異のものであって、水素原子、炭化水素基、有機官能
基の任意のものとすることができ、たとえば炭化水素基
としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル基等の低
級アルキル基、エチニル、プロペニル基等の低級アルケ
ニル基、さらにはシクロアルキル、シクロアルケニル、
アリール基等を例示することができる。これらのR1,R
2,R3,R4 およびR5 は、隣接するもので環を形いても
よい。
【0018】有機官能基としては、たとえばハロゲン原
子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、ア
ルコキシカルボニル基、アシル基、カルボニル基、ニト
ロ基、アミノ基、メルカプト基、チオエーテル基等の適
宜なものを例示することができる。反応系に存在させる
酸としては、たとえば無機酸として、塩化水素、硫酸、
リン酸等を、有機酸として、パラトルエンスルホン酸等
を、固体酸として、ヘテロポリ酸(リンモリブデン酸、
リンタングステン酸、ケイタングステン酸など)、ゼオ
ライト、スルホン酸型酸性イオン交換樹脂(デュポン社
製ナフィオン、バイエル社製レバチット、レバゾルブ、
ローム&ハース社製アンバーリスト、アンバーライトな
ど)等を使用することができる。
【0019】なお、目的物のヘキサヒドロカルボスチリ
ル−5−オン類の単離操作の点では固体酸を用いること
が有利でもある。すなわち、反応後に反応液を濾過して
固体酸を除去し、濾液を冷却すれば目的物が析出してく
る。また、反応系に使用する非水系極性溶媒について
は、たとえば、アルコールとして、1級アルコール(エ
チルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチル
アルコール、n−ヘプチルアルコールなど)、第2級ア
ルコール(イソプロピルアルコール、sec−ブチルア
ルコールなど)、第3級アルコール(ter−ブチルア
ルコール、ter−アミルアルコールなど)等を、ハロ
ゲン化炭化水素として、塩化メチレン、クロロホルム、
ジクロロエタン等を、スルホキシド類として、ジメチル
スルホキシド、ジエチルスルホキシド等を、さらには、
エーテル類、エステル類等の適宜なものを用いることが
できる。
【0020】これらの極性溶媒については、実質的に非
水系を構成するものであればその組成、純度等について
厳密に限定する必要はない。水の存在が副反応を進行さ
せ、あるいは目的物生成を阻害することのないものとし
て非水系極性溶媒を構成するようにする。このような非
水系極性溶媒のうち、反応性の点ではアルコールが特に
好適なものとして例示される。
【0021】式(I)で示される2−(2−シアノエチ
ル)シクロヘキサン−1,3−ジオン誘導体の、上記し
た通りの酸の存在下、かつ、非水系極性溶媒中での環化
反応は、原料の2−(2−シアノエチル)シクロヘキサ
ン−1,3−ジオン誘導体に対して、0.2〜1.2重量倍程
度の割合の固体酸、または0.1〜100当量の無機酸また機
酸を使用し、かつ、10〜100重量倍の非水系極性溶媒
を使用して、室温〜10℃程度の反応温度で、およそ0.5
〜24時間の反応として実施することができる。
【0022】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。
【0023】
【実施例】実施例1 2−(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,3−ジ
オン100gをイソプロピルアルコール2000mlに溶解し、
バイエル社製レバゾルブAC−10ドライ40gを加
え、還流下に2時間反応させた。反応液を高速液体クロ
マトグラフィーで分析したところ、ヘキサカルボスチリ
ル−5−オンが収率92%で生成していた。反応液を熱
時濾過した後、濾液を0℃に冷却したところヘキサヒド
ロカルボスチリル−5−オンの結晶が72g得られた。 実施例2 2−(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,3−ジ
オン10gをイソプロピルアルコール800mlに溶解し、
濃硫酸40mlを加え、室温で24時間反応させた。反応
液を高速液体クロマトフラフィーで分析したところ、ヘ
キサヒドロカルボスチリル−5−オンが収率83%で生
成していた。反応液を冷却した後、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液を加えて中和した。次いで減圧下に溶媒を留
去し、塩化メチレンを加えて抽出し、さらに塩化メチレ
ンを留去したところ、ヘキサヒドロカルボスチリル−5
−オンが5.5g得られた。 実施例3 2−(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,3−ジ
オン50mgを塩化水素を飽和させ1/5に稀釈したイソプ
ロピルアルコール4mlを加え、室温で24時間反応させ
た。反応液を高速液体クロマトフラフィーで分析したと
ころ、ヘキサヒドロカルボスチリル−5−オンが収率8
3%で生成していた。 実施例4 実施例1と同様にして、以下の(1)(2)(3)
(4)の置換基を有する式(II)のヘキサヒドロカル
ボスチリル−5−オン類を対応する式(I)のジケトン
化合物より収率60〜75%で得た。
【0024】 (1) R1 =CH32 〜R5 =H (2) R1 〜R2 =CH33 〜R5 =H (3) R2 =Cl R1 ,R3 〜R5 =H (4) R1 〜R3 =H R4 =CH35 =H 実施例5 2−(2−シアノエチル)シクロヘキサン−1,3−ジ
オン50mgをイソプロピルアルコール4mlに溶解し、等
モル量のp−トルエンスルホン酸を加え、還流下に2時
間反応させた。反応液を高速液体クロマトグラフィーで
分析したところ、ヘキサヒドロカルボスチリル−5−オ
ンが収率72%で生成していた。 実施例6 実施例5において、イソプロピルアルコールをt−ブチ
ルアルコールに代えて反応を行ったところ、ヘキサヒド
ロカルボスチリル−5−オンが収率67%で得られた。 実施例7 実施例3において、イソプロピルアルコールをジクロロ
エタン−ジメチルスルホキシド(25:1)の混合溶媒
に代えて反応させたところ、収率80%でヘキサヒドロ
カルボスチリル−5−オンを得た。 実施例8 実施例1において、イソプロピルアルコールに代えてジ
クロロエタンとジメチルスルホキシドの10:1混合溶
媒を用いて反応させたところ、収率78%でヘキサヒド
ロカルボスチリル−5−オンが得られた。 実施例9 実施例1において、ローム&ハース社製アンバーリスト
15を用いて反応させたところ、収率83%でヘキサヒ
ドロカルボスチリル−5−オンが得られた。 実施例10 実施例9をエタノール溶媒中で行ったところ、収率69
%でヘキサヒドロカルボスチリル−5−オンが得られ
た。
【0025】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明の方
法によって、反応を短時間で完了させ、副反応生成を抑
えて高収率でヘキサヒドロカルボスチリル−5−オンを
得る。また、固体酸を用いることもでき、この場合に
は、目的生成物の単離操作が極めて容易となる。
フロントページの続き (56)参考文献 Can.J.Chem.59(16), 2479−90(1981) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 215/22 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I) 【化1】 (R1,R2,R3,R4 およびR5 は、各々、同一または別
    異に、水素原子、炭化水素基、または有機官能基を示
    す)で表わされる2−(2−シアノエチル)シクロヘキ
    サン−1,3−ジオン誘導体を、非水系極性溶媒中で酸
    の存在下に環化反応させることを特徴とする次式(I
    I) 【化2】 (R1,R2,R3,R4 およびR5 は、前記と同様のものを
    示す)で表わされるヘキサヒドロカルボスチリル−5−
    オン類の製造方法。
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CN110638846A (zh) * 2019-09-24 2020-01-03 北京大学深圳研究生院 RNase L抑制剂的应用
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