JP3093552B2 - 寸法安定性のよい難燃性発泡体製造用樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

寸法安定性のよい難燃性発泡体製造用樹脂粒子及びその製造方法

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JP3093552B2 JP05347419A JP34741993A JP3093552B2 JP 3093552 B2 JP3093552 B2 JP 3093552B2 JP 05347419 A JP05347419 A JP 05347419A JP 34741993 A JP34741993 A JP 34741993A JP 3093552 B2 JP3093552 B2 JP 3093552B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発泡性樹脂粒子の製
造方法に関するものであり、とくに寸法安定性がよくて
耐衝撃性に富んだ難燃性発泡体を作るに適した発泡性樹
脂粒子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡性樹脂粒子としては、樹脂としてポ
リスチレンを使用したものが知られている。ポリスチレ
ンを材料とした発泡性粒子は、発泡剤の保留性がよく、
これに水蒸気を接触させると容易に高倍率に発泡し、粒
子同士が強く融着して良好な発泡体を与えるので、発泡
体の製造に広く利用されている。
【0003】ところが、ポリスチレン製の発泡性粒子か
ら作られた発泡体は、燃え易いという欠点を持ってい
る。そこで、これを難燃化しようとする試みがなされ
た。その試みは、ポリスチレンに難燃剤を加えて発泡体
を難燃性にしようとするものであり、難燃剤としては色
々なものが提案された。ところが、一般に難燃剤を加え
ると、粒子の融着が悪くなったり、発泡体の耐熱性が劣
ることとなったり、寸法安定性が悪くなったりした。
【0004】例えば、特開平3−124744号公報
は、スチレン系樹脂粒子を難燃化するのに、融点70〜
120℃の臭素含有芳香族系化合物とテトラブロモシク
ロオクタンとを重量比で、前者2〜90に対し後者98
〜10の割合で混合して用いることを提案している。し
かし、このように臭素含有芳香族系化合物を加えたので
は、樹脂の軟化点が低下し、また発泡倍率が低下し、さ
らに得られた発泡体が寸法安定性の悪いものとなる。従
って、この発泡性粒子は、寸法安定性と耐熱性とが要求
される分野では満足なものとなり得なかった。
【0005】また、特開平3−124744号公報は、
難燃化できる樹脂を広くスチレン系樹脂と記載している
が、その実体は単独重合体と極く限られた共重合体だけ
であった。すなわち、共重合体は、スチレン系単量体に
少量の他の単量体が共重合したものも使用できると説明
して、他の単量体としてブタジエン、メチルメタクリレ
ート、アクリロニトリル、臭素化スチレン、無水マレイ
ン酸、イタコン酸を例示するに過ぎなかった。だから、
その共重合体は結局単量体同士を混合して簡単に共重合
させ得るものが使用できることを教えるに過ぎなかっ
た。
【0006】他方、ポリスチレンの代わりにスチレン改
質ポリエチレンを発泡性粒子として用いることが知られ
ていた。スチレン改質ポリエチレンは、単にスチレンと
エチレンを混合して共重合させることによって得られる
ものではなくて、既に重合したポリエチレンにスチレン
を吸収させ、ポリエチレンにスチレンをグラフト重合さ
せて得られたものである。また、スチレン改質ポリエチ
レンは、その中に大量のエチレンを含んでいるものもあ
る。従って、スチレン改質ポリエチレンは、前述のスチ
レン系樹脂とは異なっている。
【0007】上述のスチレン改質ポリエチレンを使用し
て作った発泡体を難燃化することも既に提案された。そ
れは、特願平4−107297号明細書に記載されてい
る。しかし、この難燃性のスチレン改質ポリエチレン発
泡体は、難燃剤を用いたものではなくて、発泡剤残存量
と発泡倍率とを特定の関係に維持することによって、発
泡体を難燃性にしたに過ぎない。すなわち、成形倍数が
35倍以下のスチレン改質ポリエチレン発泡体であっ
て、成形倍数をY倍とし、成形体中に残存する可燃性発
泡剤の量をX重量%とした場合に、 X2 ・Y≦5 となるように調節すると、発泡体が難燃性になると云う
のである。しかし、成形倍数が35倍を越えると、Xと
Yとが上記の式を満たしても発泡体は難燃性にならな
い。従って、この難燃性スチレン改質ポリエチレン発泡
体は、難燃性であるとは云っても、充分なものではなか
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、発泡倍率
に関係なく、どのような倍率に発泡させても常に難燃性
発泡体を生成するような発泡性粒子を提供しようとする
ものである。それとともに、この発明は、発泡性粒子と
して発泡が容易であり、発泡によって得られた発泡体が
すぐれた物性を持つに至るような発泡性粒子を提供しよ
うとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明者は、ポリスチ
レンの代わりにスチレンの共重合体を用い、これに難燃
剤と発泡剤を含ませて、上述の要求を満たすような発泡
性粒子を作ろうと企てた。
【0010】この発明者は、スチレンの色々な共重合体
を作り、これに色々な難燃剤を加えて組成物を作り、こ
の組成物に色々な発泡剤を含浸させて発泡性樹脂粒子を
作った。さらに、この発明者は、こうして作った発泡性
粒子に水蒸気を接触させ加熱して発泡体を作り、その際
の発泡性能と得られた発泡体の物性とを測定した。その
結果、この発明者は、ポリエチレンの粒子にスチレン系
単量体を特定の割合にグラフト重合させて得られたグラ
フト重合体を用い、またこれに難燃剤としてテトラブロ
モシクロオクタンを特定量だけ含ませて組成物とし、こ
のような組成物にブタンのような発泡剤を含ませると、
目的とするような発泡性樹脂粒子の得られることを見出
した。この発明は、このような知見に基づいて完成され
たものである。
【0011】この発明は、上述のような発泡性粒子を提
供しようとするものであり、また上述のような発泡性粒
子の製造方法を提供しようとするものである。そのう
ち、発泡性粒子の提供を目的とする発明は、重量でオレ
フィン系樹脂1に対し0.5〜5倍量のスチレン系単量
体をグラフト重合させて得られたグラフト重合体100
重量部に、グラフト重合体の軟化点より低い沸点を持っ
た脂肪族炭化水素又は環式脂肪族炭化水素2重量部以上
と、テトラブロモシクロオクタン2〜20重量部とを含
浸含させたことを特徴とするものである。
【0012】また、上述のような発泡性粒子の製造方法
に関する発明は、重量でオレフィン系樹脂1に対し0.
5〜5倍量のスチレン系単量体をグラフト重合させ、得
られたグラフト重合体粒子100重量部を水性媒体中に
分散させ、これに上記グラフト重合体の軟化点より低い
沸点を持った脂肪族炭化水素又は環式脂肪族炭化水素を
2重量部以上と、テトラブロモシクロオクタン2〜20
重量部とを加え、密閉容器中で撹拌しながら、70〜1
30℃の温度に1時間以上保持することを特徴とするも
のである。
【0013】この発明では、樹脂として重量でオレフィ
ン系樹脂1に対し、0.5〜5倍量のスチレン系単量体
をグラフト重合させて得られたグラフト重合体(以下、
これをSOPという)を用いる。この重合体としては、
オレフィン系樹脂の粒子100重量部を水性媒体中に分
散させ、これに50〜500重量部のスチレン系単量体
を加え、重合開始剤の存在下に懸濁重合させることによ
って得られたグラフト重合体を、そのまま粒子の状態で
用いることが好ましい。
【0014】上述のオレフィン系樹脂としては、低密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、等を用いることが
できる。
【0015】上述のスチレン系単量体としては、スチレ
ンのほかにα−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロ
ロスチレンのようなスチレン誘導体を用いることができ
る。また、スチレン系単量体としては、スチレン系単量
体だけでなく、アクリロニトリル、ブチルアクリレート
などのようなスチレン系単量体と共重合できる他の単量
体と、スチレン系単量体との混合物を使用することもで
きる。
【0016】グラフト重合させるときの水性媒体は、水
と適当量の分散剤とで構成される。分散剤としては、部
分鹸化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリ
ビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチ
ルセルロース、ステアリン酸カルシウム、エチレンビス
ステアロアミド等の有機化合物のほか、ピロ燐酸カルシ
ウム、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、燐酸マグネシウム、ピロ燐酸マグネシウム、酸化
マグネシウム等の水に難溶性の微粉末からなる無機化合
物を用いることができる。この発明において、分散剤と
して無機化合物を用いる場合には、ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムのような界面活性剤を併用すること
が好ましい。これらの分散剤は、一般に水に対して0.
01ないし5重量%添加して使用される。
【0017】グラフト重合体を作るには、上述のオレフ
ィン系樹脂の粒子を水性媒体中に分散させ、これに重合
開始剤を含んだスチレン系単量体を加えることが必要で
ある。重合開始剤としては、一般にスチレン系単量体を
重合させる際に用いられているものが使用できる。例え
ば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエートなどを使用することができる。そのほか架
橋剤として、ジクミルパーオキサイドを使用することも
できる。
【0018】グラフト重合体を作るには、スチレン系単
量体がオレフィン系樹脂に一様に吸収されるようにして
重合させることが好ましい。また、重合を促進するため
に加温するが、その温度は60〜120℃とすることが
好ましい。この温度に2〜12時間保持してスチレン系
単量体をオレフィン系樹脂の粒子の中で重合させる。そ
の後に、架橋を完結させるためにさらに温度を高めて1
00〜150℃の温度に1〜10時間維持することが好
ましい。
【0019】こうしてSOP樹脂粒子を得る。この粒子
は初めに用いたオレフィン系樹脂粒子が核となって成長
したものである。従って、微細なSOP樹脂粒子を得る
ためには初めに投入するオレフィン系樹脂粒子を微細な
ものとして用いることが必要である。
【0020】この発明では、上述のようにして得られた
SOPに、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン
(以下、これをTBOという)を用いる。TBOは難燃
剤として知られている。また、TBOは、前述のよう
に、特別な融点を持った臭素含有芳香族化合物と特定の
割合で混合して、発泡スチレン系樹脂粒子を難燃化する
のに用いることが知られている。しかし、TBOは、オ
レフィンとスチレンとの共重合体、とくにSOPに対し
てはこれまで使用されなかった。実際に、TBOをSO
Pに対して使用して見ると、意外にもこれまで同時使用
が必要とされて来た臭素含有芳香族化合物が不必要であ
ることが判明し、さらにこれを発泡させたとき得られる
発泡体が寸法安定性のよいものとなることが判明した。
【0021】この発明では、100重量部のSOPに、
2〜20重量部のTBOを含ませることが必要である。
なぜならば、TBOが2重量部未満では得られた組成物
が充分な難燃性を示さないからであり、逆にTBOが2
0重量部を越えると、得られた組成物を発泡させたと
き、発泡体の寸法安定性が劣るものとなるからである。
【0022】この発明では、SOPとTBOとからなる
組成物の粒子を発泡性にするために、これに発泡剤を含
ませる。発泡剤は、これまでスチレン系樹脂に発泡性を
与えるために使用して来たものを使用することができ
る。その発泡剤は、SOPの軟化点より低い沸点を持っ
た脂肪族又は環式脂肪族炭化水素である。例を挙げる
と、脂肪族炭化水素に属するものとしては、プロパン、
イソブタン、n−ブタン、ペンタン等であり、環式脂肪
族炭化水素に属するものとしては、シクロペンタン、シ
クロヘキサン等である。これらは単独で又は混合して用
いることができる。
【0023】この発明では発泡剤をSOP100重量部
に対し2重量部以上含ませる。2重量部以上とする理由
は、2重量部未満では、これを含んだSOPを加熱して
も満足に発泡しないからである。発泡剤の含まれる量が
多くなるにつれて、高倍率に発泡する傾向を示し、或る
限度以上になるとそれ以上は高倍率に発泡しなくなる
が、その限度に明確な限界が認められないからである。
【0024】SOPにTBOと発泡剤とを含ませるに
は、水性媒体にこれらを懸濁した状態で行う。それには
まず、密閉できる容器に前述の水性媒体を例えば100
重量部入れ、次いでこれに100重量部のSOPを加
え、さらに2〜20重量部のTBOを加えてよく撹拌
し、これらを水性媒体中に懸濁させる。その後、容器を
密閉し撹拌しながら水性媒体中に発泡剤を圧入する。こ
のとき、発泡剤が液状を呈しているときは、TBOを発
泡剤に溶解し、得られた溶液を容器内に圧入してもよ
い。またこのとき、SOPを溶解する少量の溶剤を容器
内に加えることが好ましい。この溶剤としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化
水素、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステルを用い
ることができる。この溶剤は、TBOと発泡剤とがSO
Pに吸収されるのを促進する働きをする。
【0025】SOPとTBOとが懸濁されている水性媒
体中に発泡剤を圧入したのち、なお水性媒体を撹拌しな
がら、水性媒体の温度を70〜130℃に加熱し、この
状態を1時間以上継続する。その後冷却して容器からS
OPを取り出す。ここに取り出されたものが、この発明
で目的とする発泡性粒子である。
【0026】上述の操作において、容器内の温度、すな
わち水性媒体の温度を70〜130℃とする理由は、以
下に述べるような実験の結果から来ている。すなわち、
容器内の温度が70℃より低いと、得られる発泡性粒子
の難燃性が不充分であり、逆に130℃より高いと、難
燃剤の一部が分解して造核作用を引き起こし、発泡粒の
セルを細かくし、発泡成形時の融着を阻害したり、成形
体の物性低下を引き起こすからである。
【0027】上述のように、密閉容器を使用してこの中
に水性媒体を入れ、この水性媒体中に100重量部のS
OPと2〜20重量部のTBOとを加え、これに2重量
部以上の発泡剤を圧入し、撹拌しながら水性媒体を70
〜130℃に加熱し、この温度に1時間以上保持する
と、TBOと発泡剤とはSOP中に一様に含浸され、ま
たSOPはそのままの粒の形を保って、ここに所望の形
状大きさの発泡性粒子が得られる。この発明方法によれ
ば、このように発泡性粒子が容易に得られる。
【0028】こうして得られた発泡性粒子は、これを水
蒸気に接触させて加熱すると、発泡剤の含有量に比例し
てよく高倍率に発泡する。この発泡した粒子を数日間室
温に放置したのち、これを成形用の孔あき金型に入れ、
金型内に水蒸気を吹き込んで加熱すると粒子はさらに発
泡して互いに融着して、発泡成形体となる。
【0029】こうして得られた発泡成形体は、その中で
粒子が互いに強く融着し合っており、表面は金型の表面
に密着した形状となり、金型通りの大きさ形状を持って
いる。また、この発泡成形体は耐衝撃性が大きく、この
上に金属塊を落下させても容易に破壊されない。また、
この成形体は難燃性を示し、これに着火してのち、燃焼
を続ける距離を測定するという方法で難燃度を計ると、
難燃性は充分である。さらに驚くべきことは、難燃剤を
加えているにも拘らず寸法安定性が大きくて、成形後の
収縮が小さい。このために運搬用箱、自動車のバンパ
ー、ドアパッドなどの構造材としての使用に向いてい
る。この点でこの発明の効果は大きい。
【0030】次に、実施例と比較例とを挙げて、この発
明の効果を具体的に明らかにする。以下で単に部と云う
のは重量部のことである。また、実施例及び比較例中で
難燃性、ビーズ結合、成形品の寸法安定性、及び耐衝撃
性を測定したが、それは次のような方法で測定したもの
である。 (a)難燃性はFMVSS No. 302(米国自動車安
全基準)の定める方法によって1分間の燃焼速度(長さ
mm)を測定した。80mm/分以下は良好とされる。 (b)ビーズ結合は、発泡成形体における発泡粒子同士
の結合の良否を表す。 (c)成形品の寸法安定性は発泡成形後発泡体を70℃
に4日間放置したときの収縮割合を測定した。 (d)耐衝撃性は、215×40×20mmの大きさの
発泡成形体上に321gの鋼球を落下させて40mm以
上の長さの切れ目が生じたときに破断したと見做して、
破断時の高さを測定した。(JIS K6745に準
拠)
【0031】
【実施例1】内容積100リットルのオートクレーブ
に、水性媒体として純水100部、ピロ燐酸マグネシウ
ム0.45部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.
02部の混合物を入れ、これにポリエチレン樹脂粒子
(住友化学社製、商品名 エバテート D−1042)
30部を加え、回転数250rpmで攪拌して水性媒体
中に懸濁させた。
【0032】別に、重合用触媒としてベンゾイルパーオ
キサイド0.3部とt−ブチルパーオキシベンゾエート
0.01部と、また、架橋剤としてジクミルパーオキサ
イド0.25部を70部のスチレン単量体に溶解させて
単量体溶液を作り、この溶液を前記水性媒体中に加え
て、ポリエチレン樹脂粒子に吸収させ、85℃の温度に
4時間保持して重合を行った。その後、143℃に昇温
して、この温度に3時間保持して重合を完結させ、その
後冷却してSOPの粒子を得た。
【0033】次いで内容積が10リットルのオートクレ
ーブに水100部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダ0.03部とを入れて水性媒体を作り、この中に上で
得たSOPの粒子100部を入れて撹拌分散させ、その
後難燃剤としてTBO(第一工業製薬社製、商品名 F
R 200)2部と、溶剤としてトルエン1.5部とを
加え撹拌分散させた。その後、オートクレーブを密閉し
てなお撹拌を続けながら、この水性分散物中へ発泡剤と
してブタンを14部圧入した。そして、水性分散物を加
熱して125℃とし、撹拌しながらこの温度に3時間保
って発泡剤をSOPに含浸させた。その後、冷却して難
燃性の発泡性粒子を得た。このとき、粒子はもとの形を
保持していて、塊となったものが全くなかった。
【0034】その後、上で得た難燃性の発泡性粒子を嵩
倍率55倍に予備発泡させた。得られた予備発泡粒子を
7日間室温に放置した後、400×300×100mm
の大きさの成形用金型内に入れ、ゲージ圧0.5kg/
cm2 の水蒸気を1分間導入して加熱し、その後20分
間冷却して発泡成形体を取り出した。
【0035】上で得た発泡成形体を50℃の乾燥室で3
日間乾燥したのち、これをFMVSS No. 302に規
定される方法で燃焼試験を行ったところ燃焼速度は74
mm/分で、80mm/分以下を合格とする難燃性を満
たすことが確認された。また、この発泡成形体は、成形
性が良好であった。さらにこの発泡成形体について70
℃に4日間放置した後の収縮率を調べたところ収縮率は
0.5%であって少ないことを認めた。また、この発泡
成形体の落球値は35.5cmであって、耐衝撃性は良
好であった。こうして、この発泡成形体は難燃性である
だけでなく、耐衝撃性に富み寸法安定性がよく、発泡成
形が容易でさらに外観も良好であるために、自動車のバ
ンパー、ドアパッドのような構造材として用いるのに適
していることが確認された。
【0036】
【実施例2〜5】この実施例2〜5は、実施例1と同様
に実施したが、ただTBOの使用量をSOP100部に
対し、それぞれ5、5、10、20部にするとともに、
オートクレーブ内で発泡剤を含浸させる時の温度をそれ
ぞれ120℃、100℃、70℃、及び70℃に維持し
て実施し、何れも難燃性の発泡性粒子を得た。
【0037】得られた発泡性粒子を使用して、あとは実
施例1と全く同様にして発泡成形体を作った。この発泡
成形体の性質を調べたところ、FMVSS No. 302
の難燃性試験では、60、70、70、61mm/分の
燃焼速度を示したので良好な難燃性を示すと判断され
た。成形性は何れも良好であり、また寸法安定性は何れ
も良好であり、落球値は高さがそれぞれ41.5、3
8.5、38.5、36.5cmであって耐衝撃性に富
んでいた。従って、良好な発泡体を与えるものと認めら
れた。
【0038】
【比較例1〜3】この比較例は、実施例1と同様に実施
したが、ただ難燃剤としてのTBOの使用量を増減し、
また発泡剤の含浸温度を変えて、この発明の規定する範
囲外として実施した。
【0039】詳述すれば、比較例1は、TBOの使用量
を1.5部にし含浸温度を135℃とした場合であり、
比較例2は、TBOの使用量を25部にし含浸温度を6
5℃とした場合であり、比較例3はTBOの使用量を零
にして含浸温度を70℃とした場合である。
【0040】得られた難燃性の発泡性粒子を実施例1と
全く同様に処理して発泡成形体を作った。この発泡成形
体についてその物性を実施例1と全く同様にして調べ
た。その結果を比較例1〜3の順に述べると、FMVS
S No. 302の難燃性試験では燃焼速度がそれぞれ8
2、68、210mm/分で何れも難燃性とは認められ
ず、また成形性は比較例1が悪かったが、比較例2と3
とは良好であり、寸法安定性は比較例3は良好であった
が比較例1と2が悪く、落球値は20.5、38.5、
26.5cmで、比較例2は比較例3の難燃剤を入れな
いものよりも良好であった。しかし全体としては実施例
1〜5よりも劣り悪いと認められた。
【0041】
【比較例4〜9】この比較例は実施例1と同様に実施し
たが、ただ難燃剤としてこの発明で規定するTBO以外
の難燃剤を用い、その量をSOP100部に対して5部
とし、発泡剤の含浸温度を120℃とした。
【0042】詳述すれば、比較例4では難燃剤としてト
リブロモフェニルアリルエーテルを用い、比較例5では
テトラブロモビスフェノールAのビスアリルエーテルを
用い、比較例6ではテトラブロモビスフェノールAのジ
ブロプロピルエーテルを用い、比較例7ではヘキサブロ
モシクロドデカンを用い、比較例8ではデカブロモジフ
ェニルエーテルを用い、比較例9では塩素化パラフィン
を用い、何れもその量をSOP100部に対し5部と
し、120℃で発泡剤を含浸させ、それ以外は実施例1
と全く同様にして難燃性の発泡性粒子を得た。
【0043】得られた発泡性粒子を実施例1と全く同様
に処理して発泡成形体を作った。この発泡成形体につい
てその物性を実施例1と全く同様にして調べた。その結
果を比較例4〜9の順に述べると、FMVSS No. 3
02の難燃性試験では燃焼速度がそれぞれ100、9
5、110、98、116、125mm/分で何れも8
0mm/分の基準に達しなかった。成形性は比較例9を
除いて何れも良好であったが、寸法安定性は比較例4、
8、9が悪くて比較例5〜7が良好であり、落球値はそ
れぞれ31.5、36.5、23.5、19.5、2
2.5、16.5で、比較例4と5とは良好であったが
比較例6〜9はすべて悪かった。
【0044】以上の実施例1〜5及び比較例1〜9の結
果を表にすると下記第1表のとおりとなる。
【0045】
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量でオレフィン系樹脂1に対し0.5
    〜5倍量のスチレン系単量体をグラフト重合させて得ら
    れたグラフト重合体100重量部に、グラフト重合体の
    軟化点より低い沸点を持った脂肪族炭化水素又は環式脂
    肪族炭化水素2重量部以上と、テトラブロモシクロオク
    タン2〜20重量部とを含浸させたことを特徴とする、
    寸法安定性のよい難燃性発泡体製造用樹脂粒子。
  2. 【請求項2】 重量でオレフィン系樹脂1に対し0.5
    〜5倍量のスチレン系単量体をグラフト重合させ、得ら
    れたグラフト重合体粒子100重量部を水性媒体中に分
    散させ、これに上記グラフト重合体の軟化点より低い沸
    点を持った脂肪族炭化水素又は環式脂肪族炭化水素を2
    重量部以上と、テトラブロモシクロオクタン2〜20重
    量部とを加え、密閉容器中で撹拌しながら、70〜13
    0℃の温度に1時間以上保持することを特徴とする、寸
    法安定性のよい難燃性発泡体製造用樹脂粒子の製造方
    法。
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