JP3092879B2 - ウォーターベッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ウォーターベッドの内
容液として、高膨潤性粘土を水でゲル化させたチクソト
ロピックなゲル状物を用いたウォーターベッドに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】一般のウォーターベッドは、ウォーター
バッグに水を満たしただけの構造であるため、下記の欠
点を有している。すなわち、水はニュートン液体であ
り、しかも粘度が低いため、極めて容易に流動するの
で、例えば、人がベッドに乗ろうとすると内部の水が激
しく流動して不安定となる。また、水が、寝ている人の
僅かな動きにも敏感に反応して流動するため、ベッドが
激しく動揺して安眠できない等の欠点がある。また、内
容液として水を用いるウォーターベッドは、人が寝た際
の沈み込みが大きいためベッドの厚さを大きく取らねば
ならず、ベッドが重くなるという欠点がある。上記の欠
点を解消するために種々の改良がなされてきたが、それ
らを例示すると、 １）ベッドの架台に工夫を加えることにより、ウォータ
ーベッドの変形を抑制する、 ２）ウォーターベッドとは別に、水タンクおよび給排水
ポンプを設け、ベッドの水圧を調節する（特開平２−５
７２１１号、同２−５７２１２号）、 ３）ウォーターベッド内に、水と共にビーズ、中空球な
どを入れておき、水の流動を抑制すると共に重量軽減を
はかる（特開昭５８−６１７０８号、特開平２−５７２
１１号、同２−５７２１２号）、 ４）ベッド内に、スポンジ、高吸水性樹脂などを入れて
おき、水の流動を抑制する（特開平１−２５０２５３
号、特開昭５３−９６７５号、同６１−１２８９１２
号） などがあげられる。これらの改良例では、水の流動を抑
制するという点では有効であるが、付属設備が大がかり
になったり、寝ている人の全身をやわらかく受けとめる
という、ウォーターベッド本来の長所を阻害するもので
あったりして、必ずしも満足できる改良ではない。

【０００３】

【発明が解決しようする課題】本発明の目的は、ウォー
ターベッドにおける水の流動性を抑えることにより、寝
心地を改善すると共に、重量を軽減し、温度コントロー
ル性をも改善することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明では、ウォーターベッドの内容液として、高
膨潤性粘土を水でゲル化させたチクソトロピックなゲル
状物を用いることにより、水の流動性を抑制し、寝心地
を良くすると共に、ウォーターベッドの内容液量を減ら
してベッドを薄くして重量を軽減し、さらに、温度コン
トロール性をも向上させるものである。本発明で用いら
れる高膨潤性粘土のウォーターベッドの内容液中の含有
量は特に制限はないが、好ましくは、０．１〜２０重量
％である。また、高膨潤性粘土としては、好ましくは、
ベントナイト、天然スメクタイト、合成スメクタイト、
または膨潤性マイカなどが用いられる。

【０００５】

【作用】本発明においては、ウォーターベッド内に高膨
潤性粘土をゲル化させた、チクソトロピックなゲル状物
を充填するため、静置状態では内容物はゲル化していて
簡単には流動しない。従って、人がベッドに上がろうと
してベッドの一部に荷重がかかっても、ベッドの変形は
最小限に抑えられ、人は容易にベッドに上がることが可
能である。また、寝ている人が寝返りを打つなどして大
きく動いても、ベッドの動揺が最小限に抑えられるた
め、容易に寝返りを打つことができる。人が起きて、ベ
ッドを離れた後には人体に相当する凹部がベッド表面に
残るが、ベッドを手でたたいて整形することにより、容
易にベッド表面を平らに直すことができる。このよう
に、動きがゆっくりしている場合には変形しにくく、動
きが速い場合には変形しやすい、相矛盾した特性は、高
膨潤性粘土を水でゲル化させたチクソトロピックなゲル
状物を用いてはじめて可能となる。ベントナイト、天然
及び合成スメクタイト、膨潤性マイカなどの高膨潤性粘
土を水に分散させた分散液はチクソトロピ−性を持つ。
すなわち、せん断速度が大きいと分散液の粘度は低くな
り、せん断速度が小さいと粘度は高くなるという特性を
持つ。高膨潤性粘土の水に対する添加量を増加するとチ
クソトロピックなゲルが得られる。このゲルは、静置し
ておけばゲルの状態を保ち流動しないが、激しく振盪す
るとゲル構造が破壊されてゾルに戻り流動する。このゾ
ルを静置しておけば再びゲル構造が発達して流動性のな
いゲルに戻る。この、ゾル−ゲル変換は可逆的であり、
ウォーターベッドの内容物として極めて好ましい特性で
ある。本発明のウォーターベッドの内容液に用いられる
チクソトロピックなゲル状物の調製において、高膨潤性
粘土の含有量は好ましくは０．１〜２０重量％である。
高膨潤性粘土の量が多すぎると、得られるゲル状物が硬
くなりすぎてベッドのクッションとして適さなくなり、
逆に高膨潤性粘土の量が少なすぎると目的を達成するの
に十分な硬さのゲル状物が得られない。

【０００６】次に、合成スメクタイトを用いたウォータ
ーベッドの内容液のチクソトロピー性を以下に示す。 ──────────────────────────────── 濃度（重量％） η₃ （ｃｐ） η₆₀（ｃｐ） η₃ ／η₆₀ ──────────────────────────────── １ ４２２ ５１．８ ８．２ ２ １１，１６０ ８４２．０ １３．２ ３ ２６，６００ １，６９０．０ １５．７ ──────────────────────────────── （注）η₃ ：Ｂ型粘度計３rpm における見掛け粘度を示
す。 η₆₀：Ｂ型粘度計６０rpm における見掛け粘度を示す。 η₃ ／η₆₀：チクソトロピー性の指標となる値を示す
（この値が大きいほどチクソトロピー性が強い。）

【０００７】本発明のウォータベッドの内容物として
は、上記の高膨潤性粘土をゲル化させたチクソトロピッ
クなゲル状物のみに限定されるものではなく、このゲル
状物にビーズ、中空球、シラスバルーンなどをさらに含
有させて用いることができる。

【０００８】

【実施例】図１は、本発明の一実施例を示す縦断面図で
ある。図示のようにウレタンフォーム製の枠（１）がマ
ット支持体となる。（２）は防水シートであり、万一マ
ットが破れた場合にも、粘度−水ゲルの流出による汚染
を最小限に抑えることができるようにしている。（３）
は高膨潤性粘土を水に分散させたチクソトロピックなゲ
ルを充填したマットであり、本発明の中核をなす。
（４）はアッパーマット、（５）はカバーである。

【０００９】

【発明の効果】本発明では、マット内溶液として高膨潤
性粘土を水に分散させたチクソトロピックなゲルを用い
ているため内容液量を軽減でき、水だけを充填した場合
に比して、マットが薄くてすむ。また、ゲルには適度な
降伏値があるので、ベッドへの上り下り、寝返りの際な
どにベッドの動揺が少なく快適な使用感と安定感が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の一実施例を示すウォーターベ
ッドの縦断面図である。

【符号の説明】

１ ウレタンフォーム製の枠 ２ 防水シート ３ 高膨潤性粘土−水ゲルを充填したマット ４ アッパーマット ５ カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−250253（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−177353（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−82498（ＪＰ，Ｕ) 実公 平６−8763（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47C 27/00 A47C 17/02 A61G 7/00

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内容液として、高膨潤性粘土をゲル化さ
   せたチクソトロピックなゲル状物を封入したことを特徴
   とするウォーターベッド。
2. 【請求項２】 前記内容液中の高膨潤性粘土の含有量
   が、０．１〜２０重量％であることを特徴とする請求項
   １記載のウォーターベッド。
3. 【請求項３】 前記高膨潤性粘土が、ベントナイト、天
   然スメクタイト、合成スメクタイト、及び膨潤性マイカ
   からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特
   徴とする請求項１記載のウォーターベッド。