JP3092183B2 - 水硬性無機質成形品の製造方法 - Google Patents

水硬性無機質成形品の製造方法

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JP3092183B2 JP6695891A JP6695891A JP3092183B2 JP 3092183 B2 JP3092183 B2 JP 3092183B2 JP 6695891 A JP6695891 A JP 6695891A JP 6695891 A JP6695891 A JP 6695891A JP 3092183 B2 JP3092183 B2 JP 3092183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土木、建材用部材とし
て用いるニトリル基を含有する合成繊維例えばアクリル
繊維や耐炎化繊維など(以下、アクリル繊維や耐炎化繊
維の例で説明する)を添加した水硬性物質をオートクレ
ーブ養生する場合において、発生するアンモニアを除去
する水硬性物質の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】土木、建材用部材において、無機水硬性
物質の添加繊維としてはアスベストがよく用いられてい
るが、近年アスベストが健康、衛生上有害であることが
明らかになったため、その使用が忌避ないし制限されよ
うとしている。
【0003】次に、無機水硬性物質は、たとえばアスベ
ストセメント板、珪酸カルシウム板、軽量気泡コンクリ
ート板(ALC)などのように、石灰質と珪酸質などか
らなり、石灰質と珪酸質は水を添加すると反応し各種珪
酸カルシューム水和物からなる無機水硬性水和物とな
る。この水和物は、常温でも硬化し、やや硬化するのに
数時間かかるので硬化する前に成形する。さらに、常温
で硬化すると20〜30日かかってほぼ硬化する。この
水和反応は温度が高いほど速くなるので、生産性の点か
ら温度を上げて反応させるのがよく行われるようになっ
た。また、水和反応には水が必要であり、成形した無機
水硬性物質が温度をあげることによって乾燥するのを防
止するため、オートクレーブ装置を使用しスチーム中で
無機水硬性物質の成形品を養生し硬化させる。
【0004】オートクレーブ養生は、160〜190℃
(通常180℃)で養生する高温オートクレーブ養生と
80〜140℃で養生する低温オートクレーブ養生があ
る。オートクレーブ養生すると水和反応が速いばかりで
なく、無機水硬性水和物の成形品は、高強度で優れた断
熱性と熱的安定性が付与され、更にその乾燥収縮が少な
く寸法安定性に優れ、化学的抵抗性も大きくすることが
できると言われている。特に160℃以上の高温オート
クレーブ養生では、高温の水蒸気下のオートクレーブ養
生中にトバモライトと呼ばれる高結晶性の水和物が形成
されるので、低温オートクレーブ養生に比較し、耐熱
性、寸法安定性、化学抵抗性などが更に大きいと言われ
る。
【0005】アスベスト代替用補強繊維として、ニトリ
ル基を含有する合成繊維が検討されてきた。低温オート
クレーブ養生用には、アクリル繊維が特開昭61−61
59号公報で提案され、高温オートクレーブ養生用に
は、、本発明者らも特開昭63−45155号公報にア
クリル系耐炎化繊維の一つである高強度硫黄含有アクリ
ル系耐炎化繊維を提案した。
【0006】これらのアクリル繊維およびアクリル系耐
炎化繊維を無機水硬性物質に添加しオートクレーブ養生
する場合、アクリル繊維およびアクリル系耐炎化繊維中
のCN基がセメントのアルカリと反応しアンモニアを発
生するため、その除去方法が問題となった。アンモニア
の発生の問題は、作業環境の問題、製品の臭気への影響
や公害である。オートクレーブ装置で発生したアンモニ
アは、反応が密閉されたオートクレーブ装置内で行われ
るので、比較的安全にスクラバー装置で回収中和できる
ので公害の問題は少ない。また、オートクレーブ装置が
密閉のため、オートクレーブ養生工程中の作業は、アン
モニアに暴露されることも少ない。しかし、オートクレ
ーブ容器から成形品を取り出す際に、反応によってオー
トクレーブ容器中に発生した高濃度のアンモニアが、蓋
を開けると同時に一挙に出るので作業者は注意が必要で
あり、作業効率も悪かった。また、オートクレーブ養生
中に成形品にアンモニアが浸透するので、オートクレー
ブ養生後の作業において成形品が悪臭を放つので成形品
をそのままで加工作業したり、運搬したりできなくなり
問題があった。単に、オートクレーブ装置中のアンモニ
アを除去しただけでは、成形品中に浸透したアンモニア
が除去されずオートクレーブ装置内に再発生しオートク
レーブ装置内のアンモニア濃度が再度高濃度になる場合
もある。さらに、成形品を製品として出荷し密閉された
製品倉庫内に保管するときにアンモニアを発生すれば、
倉庫内の作業環境も問題となる。
【0007】一方、法律面において、作業環境の規制は
労働安全衛生法、特定化学物質等障害予防規則(特化
則)に定められており、アンモニアの労働許容濃度は2
5ppmである。また公害防止上の規制として悪臭防止
法がある。悪臭防止法によるアンモニア濃度の規制は、
敷地境界濃度で5ppm以下である。また、アンモニア
を発生する装置の出口でのアンモニア濃度は、公害防止
上の指導値として例えば80ppm等と定められている
ものである。作業環境を改善するため、アンモニアが発
生する場所に局所排気装置を設けたり、密閉された部屋
には換気扇を設けたり、作業者には防毒マスクなどをさ
せることが必要となり、各種設備投資がいるばかりでな
く人体への影響、作業効率なども問題となる。
【0008】また、製品のアンモニア臭が強いと製品の
価値が低下するばかりか、その製品で建設した建物や壁
材から悪臭が出るため悪臭防止法による直接的な規制を
受ける場合も有り得る。
【0009】以上のようにアクリル繊維や耐炎化繊維補
強水硬性無機質成形品がアスベスト代替成形品として補
強性能的には有用であるが、作業環境、作業効率、人体
上の影響などの安全や成形品の悪臭対策などができる具
体的な水硬性無機質成形品の製造方法の開発が望まれて
いた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アク
リル繊維や耐炎化繊維補強水硬性無機質成形品のオート
クレーブ養生中に発生するアンモニアの作業環境と製品
の臭いの問題点を解決するための水硬性無機質成形品の
製造方法である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の方法は、
アクリル繊維や耐炎化繊維のようなニトリル基を含有す
る合成繊維と水硬性物質からなる成形品をオートクレー
ブ養生する場合において、成形品をオートクレーブ養生
装置内に入れた状態で、発生するアンモニアを除去する
ことを特徴とする水硬性物質の製造方法である。
【0012】さらにかかる方法において具体的に好まし
くは、本発明の第二の方法として、オートクレーブ養生
中またはオートクレーブ養生後において、オートクレー
ブ装置系内へ100℃以上の水蒸気、空気、窒素、酸
素、炭酸ガス、一酸化炭素ガスなど単独かその混合ガス
を供給しアンモニアガスをオートクレーブ装置から追い
出し中和除去しながらオートクレーブ養生することを特
徴とする方法である。
【0013】さらに上述第一の方法において具体的に好
ましくは、本発明の第三の方法として、オートクレーブ
養生中またはオートクレーブ養生後において、オートク
レーブ装置系内で不揮発性の酸でアンモニアガスを中和
除去しながらオートクレーブ養生することを特徴とする
方法である。
【0014】
【作用】以下、本発明について、更に詳しく説明する。
【0015】本発明は、オートクレーブ養生中に発生す
るアンモニアによる作業環境、作業効率の改善だけでな
く製品中のアンモニア臭防止の作用もある。
【0016】アクリル繊維の化学構造は、−(−CH2
CH(CN)−)n −であり、側鎖にニトリル(CN)
基を有し化学的にはかなり安定である。また、アクリル
繊維を耐炎化した耐炎化繊維もこのCN基を含有する
が、そのCN含有量は耐炎化の程度によってことなる。
この化学的に安定なCN基も180°Cオートクレーブ
養生において、CN基の一部がセメント中のCa成分と
次式のように反応しアンモニアを発生する。
【0017】 −CN+CaO+2H2 O→−COO・1/2 Ca+NH3 ↑+ 1/2 Ca(OH)2 −CNは、アクリル繊維や耐炎化繊維中のあるCN基
を示し、CaOはセメントの主成分を示す。−COO・
1/2 Ca基は水に難溶性であって、アクリル繊維や耐炎
化繊維の側鎖であるCN基が−COO・1/2 Caに変化
しても強度などの物性はほとんど低下しない。しかし、
発生するアンモニアはかなり多く作業環境管理や製品の
臭いなど問題となった。
【0018】アクリル繊維や耐炎化繊維を対策なしでオ
ートクレーブ養生すれば、上記反応式によってアンモニ
アがオートクレーブ装置中に発生する。発生したアンモ
ニアは100℃以上では水に溶解しないのでオートクレ
ーブ装置内の空間中に蓄積される。しかし、オートクレ
ーブ装置中の温度が100℃以下に低下すればアンモニ
アは水に溶解するが、その一部は溶解せず空間中にアン
モニアガス状態で存在するし、これがオートクレーブ装
置中のアンモニアガスとして問題になる。また、オート
クレーブ装置中の温度が低下するとき、成形板中に水が
含まれ、その水にアンモニアが溶解し成形板中にアンモ
ニアが含有される原因になる。
【0019】本発明において、ニトリル基を含有する合
成繊維と水硬性物質からなる成形品をオートクレーブ養
生する場合において、成形品をオートクレーブ養生装置
内に入れた状態で、発生するアンモニアを除去すること
を特徴とする水硬性物質の製造方法であり、具体的には
次のような方法があげられる。
【0020】さらに好ましくは、オートクレーブ養生中
またはオートクレーブ養生後において、オートクレーブ
装置系内へ100℃以上の水蒸気、空気、窒素、酸素、
炭酸ガス、一酸化炭素ガスなど単独かその混合ガスを供
給しアンモニアガスをオートクレーブ装置から追い出し
中和除去しながらオートクレーブ養生することを特徴と
するアクリル繊維や耐炎化繊維補強水硬性無機質成形品
の製造方法である。
【0021】本発明の方法においては、アンモニアが水
に溶解できない100℃以上の雰囲気中で中和したり、
また、アンモニアガスを成形板やアクリル繊維や耐炎化
繊維に影響を与えない種類のガス(以下、無害ガスとい
う)でオートクレーブ装置から追い出すことを特徴とし
たアンモニアガス対策に特徴がある。
【0022】すなわち、オートクレーブ養生中に発生す
るアンモニアガスを好ましくは100℃以上、好ましく
は130℃以上、更に好ましくは150℃以上で硫酸や
ほう酸のような不揮発性の酸によって、オートクレーブ
養生中または後で中和することによって除去することを
特徴とする方法である。
【0023】アンモニアガスを水のある状態で99℃以
下の低温に冷却するとき、アンモニアガスは、前述のよ
うに成形板中の水分に溶解する。通常成形板をオートク
レーブ装置から取り出す場合、成形板が熱いので、成形
板の温度が20〜50℃で作業を行う。このアンモニア
ガスの脱臭は、自然に放置してもなかなか困難である。
成形板中の成分である水硬性物質が水和物で水分の保持
性が良く、乾燥しにくいため水分中のアンモニアガスが
成形板から出にくいためである。例えば、いったんオー
トクレーブ装置を99℃以下の温度に冷却した成形板の
アンモニアの脱臭を行うとき、脱臭を速めるため高温
(50〜80℃)の送風乾燥機で乾燥してもなかなか除
去できない。
【0024】本発明の前述第二の方法において、重要な
作用は、成形板をオートクレーブ装置から取り出す前に
オートクレーブ装置中の温度を99℃以下にしないこと
である。このオートクレーブ装置内の温度条件によっ
て、オートクレーブ装置内のアンモニアガスは、成形板
中に水があっても溶解することができず、この状態にお
いてオートクレーブ装置内中に存在するアンモニアガス
を、不揮発性の酸で中和するか、無害ガスでアンモニア
ガスを追い出すこと特徴とした水硬性無機質成形品を製
造する方法である。
【0025】いったん、99℃以下に成形板の温度を低
下させた場合、アンモニアガスは成形板の成分である多
孔性で保水性の水硬性物質中にしみつき容易に除去でき
なくなる。このアンモニアガスをたとえ無理な条件(例
えば130℃のような高温で長時間再加熱)で除去でき
たとしても、そのアンモニアガス除去作業工程やその除
去エネルギーが非常に大きく無駄になり、また無理な条
件で除去することによって寸法安定性や強度品質などの
低下への影響があるため実用的には問題があった。
【0026】本発明の前述第一の方法において、不揮発
性の酸によるアンモニアガスの中和は、成形板中のアン
モニアガスの除去に非常に好ましく、前述第二の方法と
異なり99℃以下でも効果があり、酸の中でも硫酸の効
果が特に良好である。しかし、不揮発性の酸の中和も9
00℃以上でやれば更に効果が向上し好ましい。
【0027】また、第一の方法と第二の方法とを併用す
れば、更にアンモニアガスの除去の効果は向上する。
【0028】特に、硫酸のような不揮発酸によるアンモ
ニアガスの中和法は、単に成形板のアンモニア臭がほと
んどなくなるだけでなく、オートクレーブ装置内に硫酸
を置いておくだけの簡単な方法でオートクレーブ養生工
程と同時にアンモニアガスを除去できるので、作業工程
や除去エネルギーが非常に小さく非常に経済的である。
更に、オートクレーブ装置内のアンモニアガスがほとん
どないので、オートクレーブ装置から成形板を取り出す
とき、オートクレーブ装置の蓋を開けてもアンモニアガ
スが流出しないので作業環境も非常に安全で、防毒マス
クや局所排気装置もいらず作業が単純化され効率化でき
経済的である。また、できた成形板は、臭いがほとんど
なく製品価値が上がるだけでなく、成形板を切断や研磨
のような加工や成形において、成形板内のアンモニア臭
の発生がなく安全に作業ができる。また、成形板のアン
モニアガスの発生がないので、倉庫の保管も容易であり
倉庫内の保管作業も安全にでき、倉庫内のアンモニアガ
ス除去用の排気装置も要らず経済的である。
【0029】また、100℃以上の温度でのアンモニア
ガスを除去する方法は、アンモニアガスが水に溶解しな
い温度においてアンモニアガスをオートクレーブ装置か
ら追い出し、成形板中にアンモニアガスが浸透しないよ
うにすることが目的である。しかし、オートクレーブ装
置内や成形板の水に若干のアンモニアガスが溶解するの
でオートクレーブ装置内や成形板のアンモニアガスの除
去は、不揮発酸ほど効率的に行われないが、特に対策を
とらない場合に比較すると大きな効果がある。成形板の
アンモニア臭の程度のレベルにもよるが、成形板の使用
分野が、直接人が住居にするような場所(例えば、倉
庫、トイレなど)に使用するような壁材、間仕切材であ
れば十分に使用できる。この方法は不揮発酸法に比較し
て簡単な装置が可能である。また、99℃以下に冷却し
ないので、アンモニアガス除去効率が良いだけでなく、
再加熱しないのでエネルギー効率が良く工程的にも簡略
化できる。
【0030】また、この方法は、エネルギー効率から1
50℃以上のような高温で洗浄することは避けた方が好
ましく、110〜140℃で洗浄することが好ましい。
更に、水へのアンモニアガスの微量溶解を防止するため
無害ガスによる洗浄の前に液状の水蒸気発生用の水をオ
ートクレーブ装置から除去することが好ましい。ただ
し、オートクレーブ装置内の成形板が過剰で不均一な乾
燥による寸法安定性や強度低下を防止するため飽和水蒸
気を供給することは好ましい。
【0031】本発明の方法において、真空乾燥を併用す
ることは、アンモニアガス除去効果を更に向上するため
に好ましい。
【0032】以下、具体的なアンモニアガス除去作用の
説明は、実施例において説明する。本発明におけるアン
モニアの濃度は、次の方法で測定される。すなわち、オ
ートクレーブ装置中のアンモニアの濃度と成形板表面の
アンモニア濃度は、検知管法によって測定される(単位
ppm:μccNH3 /cc空気(または雰囲気気
体))。また、成形板中のアンモニアの濃度は、成形板
を粉に粉砕後、20℃の水中に24時間浸漬し、溶出し
たアンモニア水溶液中のアンモニア濃度を「インドフェ
ノール法」で測定した後、成形板1g当り含有するアン
モニア量に換算(単位ppm:μgNH3 /g成形板)
される。オートクレーブ装置中のアンモニア濃度とアン
モニア臭の感じの強さは、5ppmではかすかに臭い、
10ppm以上ではかなり悪臭がし、25ppmでは非
常に悪臭が強い。一方、成形板表面のアンモニア濃度と
アンモニア臭の感じの強さは、成形板の表面に鼻を近づ
けても悪臭と感じなくなるのは5ppm以下であり、1
0ppmではかすかに臭い、25ppm以上ではかなり
悪臭がする。このため、成形板表面のアンモニア臭濃度
が5ppm以下にできれば対策が可能となる。また、成
形板中のアンモニア濃度も10ppm以下好ましくは5
ppm以下が望ましい。
【0033】
【実施例】実施例1 比較例1と同様な成形板を作成し、オートクレーブ養生
時の硫酸法によるアンモニア対策を検討した。硫黄元素
を3.5%含有する硫黄含有アクリル系耐炎化繊維を5
mmにカットし、セメントと珪酸質物質からなる水硬性
物質に対し1wt%添加し水と共に混合、混練りする。
この水硬性物質を厚さ5mm、幅40mm、長さ25c
mに押出成形した成形板を常温飽和水蒸気中で1日放置
した。次に、16.2リットルのオートクレーブ装置中
の下部にアンモニア対策用0.5%稀硫酸水溶液100
0ccを入れ、金網の棚の上に成形板60枚(5.4k
g)を乗せ密閉する。この成形板を70℃、4時間処理
後、180℃、5.5時間水蒸気中でオートクレーブ装
置中で養生した。12時間放置しオートクレーブ装置中
の温度を常温まで下げたときのオートクレーブ装置内の
アンモニアの濃度は、0ppmであった。オートクレー
ブ装置から成形板を取り出す時も、アンモニア用ガスマ
スク、保護眼鏡を着用せずにオートクレーブ装置の蓋を
はずしたがアンモニア臭はなく目にも刺激はなかった。
得られた成形板の表面/および内部のアンモニア濃度を
測定したところ0/0.0ppmであった。この成形板
に鼻を近づけても全くアンモニア臭がなかった。この成
形板のダイモンドカッターで切断してもアンモニア臭が
なく、また、密閉したデシケーターに7日放置してもア
ンモニア臭はなかった。
【0034】オートクレーブ装置中のアンモニア濃度や
成形板表面のアンモニア濃度、成形板中のアンモニア濃
度についての比較した結果は、表1の通りである。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 アクリル繊維補強の成形板を作成し、実施例1と同様に
オートクレーブ養生時の硫酸法によるアンモニア対策を
検討した。100%アクリル繊維を5mmにカットし、
セメントと珪砂などの珪酸質物質からなる水硬性物質に
対し2wt%添加し、パルプや分散剤、凝集剤などと共
に水と混合し、この水硬性物質を抄造法で抄造し、厚さ
5mm、横25cm、縦30cmに成形板を得た。この
成形板を横4cm、縦25cmにカットし、常温飽和水
蒸気中で1日放置後常温水中で1週間浸漬し見かけ比重
が1.3の成形板を得た。次に、16.2リットルのオ
ートクレーブ装置中の下部にアンモニア対策用0.5%
稀硫酸水溶液1000ccを入れ、金網の棚の上に成形
板60枚(5.4kg)を乗せ密閉する。この成形板を
70℃、4時間処理後、150℃、5.5時間水蒸気中
でオートクレーブ装置中で養生した。
【0037】12時間放置しオートクレーブ装置中の温
度を常温まで下げた時のオートクレーブ装置内のアンモ
ニアの濃度は、0ppmであった。オートクレーブ装置
から成形板を取り出すときも、アンモニア用ガスマス
ク、保護眼鏡を着用せずにオートクレーブ装置の蓋をは
ずしたがアンモニア臭はなく目にも刺激はなかった。得
られた成形板の表面/および内部のアンモニア濃度を測
定したところ0/0.0ppmであった。この成形板に
鼻を近づけても全くアンモニア臭がなかった。この成形
板のダイモンドカッターで切断してもアンモニア臭がな
く、また、密閉したデシケーターに7日放置してもアン
モニア臭はなかった。
【0038】実施例3 比較例1で押出成形した成形板をオートクレーブ養生す
る場合において、オートクレーブ装置内へ5分毎に新し
い180℃の水蒸気25リットル/回を送り、水蒸気で
アンモニアを系外へ放出しながら、180℃、5.5時
間オートクレーブ養生した。オートクレーブ養生後のオ
ートクレーブ装置内のアンモニア濃度は6ppmとなり
オートクレーブ装置の蓋を開けてもほとんど臭気がなく
なった。また、得られた成形板の表面/内部のアンモニ
ア濃度は4/2ppmとなり悪臭がしなくなった。ダイ
ヤモンドカッターで切断したり、密閉したデシケーター
中に1日放置しても悪臭がなかった。
【0039】実施例4 比較例1で押出成形した成形板をオートクレーブ養生
後、オートクレーブ装置内を120℃まで冷却し、その
後オートクレーブ装置内へ5分毎に新しい120℃の空
気25リットル/回(計算上の容積でオートクレーブ装
置内容積の約1.5倍量)を送り、空気でアンモニアを
中和スクラバーへ送りながら120℃、2時間脱臭し
た。オートクレーブ養生後のオートクレーブ装置内のア
ンモニア濃度は8ppmとなり蓋を開けてもほとんど臭
気がなかった。また、得られた成形板の表面/内部のア
ンモニア濃度は5/3ppmとなり悪臭がしなくなっ
た。ダイヤモンドカッターで切断したり、密閉したデシ
ケーター中に1日放置しても悪臭がなかった。
【0040】比較例1 オートクレーブ養生時のアンモニア対策がない場合にお
いて、硫黄含有アクリル系耐炎化繊維補強の成形板につ
いて、オートクレーブ養生時のアンモニア発生を検討し
た。硫黄元素を3.5%含有する硫黄含有アクリル系耐
炎化繊維を5mmにカットし、セメントと珪酸質物質か
らなる水硬性物質に対し1wt%添加し水と共に混合、
混練りする。この水硬性物質を厚さ5mm、幅40m
m、長さ25cmに押出成形した成形板を常温飽和水蒸
気中で1日放置した。次に、16.2リットルのオート
クレーブ装置中の下部に蒸留水1000ccを入れ、金
網の棚の上に成形板60枚(5.4kg)を乗せ密閉す
る。この成形板を70℃、4時間処理後、180℃、
5.5時間水蒸気中でオートクレーブ装置中で養生し
た。12時間放置しオートクレーブ装置中の温度を常温
まで下げたときのオートクレーブ装置内のアンモニアの
濃度は、1530ppmであった。
【0041】オートクレーブ装置から成形板を取り出す
ため、アンモニア用ガスマスク、保護眼鏡を着用し換気
扇で室の換気をしながらオートクレーブ装置の蓋をはず
した得られた成形板の表面/内部のアンモニアの濃度を
測定したところ100/56ppmあり、非常に強いア
ンモニア臭がした。この成形板のダイモンドカッターで
切断したところ悪臭がした。また、密閉したデシケータ
ーに1日放置しても悪臭がした。
【0042】比較例2 比較例1と同様に、オートクレーブ養生時のアンモニア
対策がない場合において、アクリル繊維補強の成形板に
ついて、オートクレーブ養生時のアンモニア発生を検討
した。100%アクリル繊維を5mmにカットし、セメ
ントと珪砂などの珪酸質物質からなる水硬性物質に対し
2wt%添加し、パルプや分散剤、凝集剤などと共に水
と混合し、この水硬性物質を抄造法で抄造し、厚さ5m
m、横25cm、縦30cmに成形板を得た。この成形
板を横4cm、縦25cmにカットし、常温飽和水蒸気
中で1日放置後常温水中で1週間浸漬し見かけ比重が
1.3の成形板を得た。次に、16.2リットルのオー
トクレーブ装置中の下部に蒸留水1000ccを入れ、
金網の棚の上に成形板60枚(5.4kg)を乗せ密閉
する。この成形板を70℃、4時間処理後、150℃、
5.5時間水蒸気中でオートクレーブ装置中で養生し
た。
【0043】12時間放置しオートクレーブ装置中の温
度を常温まで下げたときのオートクレーブ装置内のアン
モニアの濃度は、320ppmであった。
【0044】オートクレーブ装置から成形板を取り出す
ため、アンモニア用ガスマスク、保護眼鏡を着用し換気
扇で室の換気をしながらオートクレーブ装置の蓋をはず
した得られた成形板の表面のアンモニアの濃度を測定し
たところ35ppmあった。この成形板中の表面/およ
び内部のアンモニア量を測定したところ35/21pp
m含有していた。
【0045】この成形板のダイモンドカッターで切断し
たところ悪臭がした。また、密閉したデシケーターに1
日放置しても悪臭がした。
【0046】ここで、上記各実施例と、比較例において
のアンモニア臭についての対策と、本発明の主たる効果
であるオートクレーブ装置中のアンモニア濃度や成形板
表面のアンモニア濃度、成形板中のアンモニア濃度につ
いての比較を、表1にまとめた。また、上記各実施例、
比較例における各作用について以下に説明する。
【0047】アクリル繊維や耐炎化繊維のアンモニア問
題に対し体策をとらない場合の例が比較例1と2であ
る。この例では作業環境が第一に問題であった。すなわ
ち、対策をとらない場合のアクリル繊維や耐炎化繊維の
オートクレーブ養生後の発生するアンモニア量はかなり
な量であり、常温に冷却されたオートクレーブ装置内の
アンモニアの濃度は、比較例1の場合1530ppm、
比較例2の場合320ppmにも達する。その濃度は、
非常に高く作業環境基準5ppmとの差が大きく問題で
あった。また、第2に得られた成形板のアンモニア臭の
問題が発生した。成形板表面/および内部のアンモニア
濃度は、比較例1の場合100/56ppm、比較例2
の場合35/21ppmと非常に高く、悪臭がして製品
としての価値がなかった。
【0048】そこで本発明者らは、実施例1、2に示す
ようにオートクレーブ装置中に不揮発性の硫酸を入れ発
生するアンモニアを吸収、中和する方法を実施した。こ
の方法では、硫酸は、塩酸や硝酸のような他の酸性溶液
と異なり180℃であっても不揮発性である。このため
酸が蒸発し、成形板や成形板内の補強繊維、他の添加剤
や配合材への影響がまったくないことが第1の作用の特
徴である。第2の作用の特徴は、硫酸が蒸発したアンモ
ニアガスを吸収しながら中和し、硫安(硫酸アンモニュ
ーム)として溶解するので水蒸気中のアンモニアガスの
除去効率が高い。この効果によって、アンモニアガスが
水蒸気中に残存しないため、オートクレーブ養生後オー
トクレーブ装置の蓋を開けるときも全く臭気がなく、オ
ートクレーブ装置から成形板を安全に取り出すことがで
きる製造方法が可能となった。実施例1の耐炎化繊維の
場合、実施例2のアクリル繊維の場合で示すように共に
オートクレーブ養生後のオートクレーブ装置内のアンモ
ニア濃度は0ppmであり、アンモニア取扱作業基準値
の25ppm比較し全く問題なかった。実際にオートク
レーブ装置内に鼻を近づけてもアンモニア臭が全くなか
った。第3の作用の特徴は、成形板の表面のアンモニア
臭も全くなく、悪臭防止法の基準値5ppmを解消し、
更に、成形板内のアンモニアガスの濃度も0.0ppm
とほとんどないことであり、アンモニア臭のない成形板
の製造が可能となった。成形板のアンモニアガスほとん
どなくなったのは、成形板のオートクレーブ養生中成形
板内の糸とアルカリの反応によって発生するアンモニア
が180℃のときには全てガス状態になり成形板外へ放
出されそのアンモニアガスが同時に硫酸に吸収・中和さ
れるため成形板内にアンモニアが存在できないためと考
えられる。第4の作用特徴は、回収された硫安が再発生
することなく、硫酸溶液中に取り込まれ成形板や成形板
内の補強繊維、他の添加剤や配合材への影響がまったく
ないことである。第5の作用の特徴として、オートクレ
ーブ養生中に水蒸気を放出したり、熱を系外に出したり
しないので非常に経済的で効率の良いアンモニア除去方
法である。また、オートクレーブ装置内中でアンモニア
ガスを回収するので別のアンモニア回収装置などが要ら
ず、オートクレーブ養生後のアンモニア回収工程も要ら
ないのでさらに経済的である。第6の作用の特徴とし
て、得られた成形板のダイヤモンドカッターによる切断
や研磨などの加工時に全く臭気がしないので加工作業が
し易いばかりでなく製品としての価値があげられる。さ
らに、第7の作用の特徴として、得られた成形板を密閉
したデシケータにいれてもアンモニア臭は蓄積されず、
倉庫に保管しても特にアンモニア臭がしないばかりか、
安全な保管作業を可能にすることができた。また、密閉
され易いマンションや倉庫用の外壁材、間仕切材として
使用してもアンモニア臭がしないので用途や利用分野を
広くすることができる。
【0049】次に、無害ガスによるアンモニアガスの洗
浄法について説明する。
【0050】工業的には、オートクレーブ装置内のアン
モニアの濃度を下げる方法が重要になる。アンモニア濃
度を下げる方法として従来的方法の1つとして実施例3
に示したように、新しい180℃水蒸気や実施例4のよ
うな120℃空気をオートクレーブ装置内に送風し装置
内のアンモニアを装置外へ放出させる洗浄方法がある。
オートクレーブ装置外へ出てきたアンモニアガスは外部
のアンモニア吸収・中和塔に吹き込み中和回収する。1
00℃以上の無害ガスによるオートクレーブ装置内のア
ンモニアガスの洗浄によって、オートクレーブ装置内の
アンモニアガス濃度は実施例3、4の場合各々6、8p
pmとなり、労働濃度許容濃度25ppmに比較し低濃
度になった。また、無害ガスの洗浄法による成形板表面
/および内部のアンモニア濃度は、実施例3、4は各々
4/2、5/3ppmと非常に小さくなった。その無害
ガス洗浄法の成形板に鼻を近づけてもほとんど臭いがし
なかった。
【0051】
【発明の効果】耐炎化繊維やアクリル繊維のオートクレ
ーブ養生に発生するアンモニアを安全でかつ効率的に除
去できる方法を提供できた。オートクレーブ装置からア
ンモニア臭もなく成形板を安全に取り出せる成形板の製
造方法が可能となった。さらに成形板にアンモニア臭が
つかず、成形板製造者、加工業者、流通業者(特に倉庫
保管関係者)などの担当者に成形板を安心して使用する
ことが可能となる。
【0052】上記効果によってさらに、耐炎化繊維やア
クリル繊維を使用したオートクレーブ養生タイプの成形
板の製品化が可能となり、現在問題となっているアスベ
ストの代替材料として広い分野への利用が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 16:06) (56)参考文献 特開 平3−45538(JP,A) 特開 昭63−45155(JP,A) 特開 昭61−6159(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 40/02 C04B 16/06 C04B 28/02 C04B 28/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニトリル基を含有する合成繊維と水硬性物
    質からなる成形品をオートクレーブ養生するに際して、
    成形品をオートクレーブ養生装置内に入れた状態で、発
    生するアンモニアを除去することを特徴とする水硬性物
    質の製造方法。
  2. 【請求項2】オートクレーブ養生中またはオートクレー
    ブ養生後において、オートクレーブ装置系内へ100℃
    以上の水蒸気、空気、窒素、酸素、炭酸ガス、一酸化炭
    素ガスなど単独かその混合ガスを供給しアンモニアガス
    をオートクレーブ装置から追い出し中和除去しながらオ
    ートクレーブ養生することを特徴とする請求項1記載の
    水硬性無機質成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】オートクレーブ養生中またはオートクレー
    ブ養生後において、オートクレーブ装置系内で不揮発性
    の酸でアンモニアガスを中和除去しながらオートクレー
    ブ養生することを特徴とする請求項1記載の水硬性無機
    質成形品の製造方法。
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