JP3090449U - ブラシレス直流モーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 羽根とローターの重量により軸受に生じる部
分的な磨耗を減少し、若しくは消滅させ、機械的振動の
緩衝性能を高めて生産コストを低く抑えることができる
ブラシレス直流モーターを提供する。 【解決手段】 モーター外ケース１、軸受１３、ステー
タ組１４および羽根１０と回転軸４を有するローター１
２を具備する。上記軸受１３は上記回転軸４の基部に設
置された転がり軸受である。上記回転軸４の先部と上記
モーター外ケースとの対向する位置には、回転軸の軸心
を軸孔の軸心線上に引き寄せるよう一対の磁性求心器６
が設置されている。このように、磁力を利用して回転軸
４を軸心線上の中心位置に浮かせることにより、軸受１
３が支持するローター等の重力が減少し、摩擦抵抗力が
小さくなり、回転がスムーズで、騒音が小さく、振動に
強く、寿命が長くなり、特に携帯式電子製品のファンモ
ーターとして最適である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する分野】

本考案は、ファンモーターに関するもので、特に、ブラシレス直流モーターに 係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、コンピュータにおいてその回路の安定性を保つために、適宜な環境温度 が要求されており、各電気機器から作動中に生じた熱は適時に排除しなければな らない。そのため、コンピュータには各種の放熱または排熱装置が設置され、例 えば一般のパソナルコンピュータのメインケースには低パワー（≦３Ｗ）のブラ シレス直流モーターを用いたファンが設置されるのが通常であり、このファンに よりメインケースの中の各電気機器から生じた熱量を機外に排除している。この ようなブラシレス直流モーターは体積が小さく、部品が少なく、重量が軽く、風 量が大きいという利点を有すると共に、特にブラシの電気花火による電気干渉が ないため、コンピュータに普遍的に使用されているだけではなく、その他に排熱 を必要とする各種の電子製品に広く使われている。

【０００３】 上述の如きブラシレス直流モーターのローターは含油軸受により定位に支持さ れていることが多い。この含油軸受は、構造が簡単で、製造が容易で、コストが 低く、かつ潤滑性がよいが、ローターの全ての重量を軸受によって支持するよう 構成されているので、種々の問題を生じている。すなわち、含油軸受そのものは 回転しないため、ローターの軸が垂直状態に設置されている時は、ローターの重 量は含油軸受の端面によって均一に支持されるので不都合は生じない。しかし、 ローターの軸が水平状態に支持されるようになると、含油軸受は内孔の下半分の 短辺でローターに作用する力を受けるようになるため、回転時間が長くなると、 部分的に磨耗を生じて内孔は楕円になってしまった。その結果、回転がスムーズ でなくなって機械の騒音が生じ、使用寿命が短くなる原因となっていた。

【０００４】 現在、各種の電子製品の中のブラシレス直流モーターでは、一般にそのロータ ーの軸は殆ど水平状態に設置されているため、重力の作用により含油軸受に及ぼ される不均一な磨耗損失は避けられないものであり、そのために騒音が生じやす く、使用寿命が短くなる。特に、機械的騒音は、ノートパソコンやテスト計器等 の携帯式電子製品への含油軸受の適用を妨げる原因となっていた。さらに、回転 時の騒音を防止するため、含油軸受の両端にはオイルリングと座金が一般的に設 置されているが、このような構造ではローターの軸と軸孔の内周壁間で高速摩擦 により発生した気体を適時に排除することができず、その上、そのような気体が 窒化物となってローター軸と軸受の隙間で詰まることにより、摩擦抵抗が増加し 、使用寿命が短くなる原因となった。

【０００５】 そのような問題を生じないよう、二個の微小の転がり軸受を使用し、それぞれ の転がり軸受で回転軸の両端を支持する構造が提案されており、それによって含 油軸受の部分的な磨耗の欠点を克服し、偏った磨耗から生じる機械的騒音の原因 を除去することができ、その性能は含油軸受を有する直流ファンモーターより優 れているものとしで、現在広く採用されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、前記転がり軸受の価格は含油軸受の価格より遥かに高く、しかもその 取り付けには一定の困難度を有しているため、コストも高くなる。その他に、上 記軸受は機械的な振動に対してその緩衝性能が悪く、短辺に集中して作用する負 荷の影響は無視することができない。そのため、結局は、長期の使用により回転 による部分的な磨耗が生じてしまうという問題点があった。

【０００７】 本考案の解決課題は、このような問題点に鑑み、羽根とローターの重量により 軸受に生じる部分的な磨耗を減らしたり、消滅させたりすることにより、機械的 振動に対する緩衝性能を高めて生産コストを低く抑えることができるブラシレス 直流モーターを提供しようとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案によれば、モーター外ケース、軸受、ステ ータ組および羽根と回転軸を有するローターを具備する直流モーターにおいて、 上記軸受は上記回転軸の基部を支持する転がり軸受であり、上記回転軸の先部と 上記モーター外ケースの対向する位置には上記回転軸を中心位置に引き寄せるよ う一対の磁性求心器が設けられていることを特徴とするブラシレス直流モーター が提供される。

【０００９】 また、本考案のブラシレス直流モーターは、下記のように構成することもでき る。 １．上記一対の磁性求心器の内の一方は永久磁石体であり、他方は該磁石の誘導 によって磁気が生じる鉄磁石体若しくは上記永久磁石体と磁極性の異なる永久磁 石体である。 ２．上記モーター外ケースの軸孔には一端がモーター外ケースに設けた求心器に 当接し、他端が上記軸受の端面に当接する磁気伝導管が設置される。 ３．上記モーター外ケースの軸孔には一端がモーター外ケースに設けた求心器に 当接し、他端が上記回転軸の周面に向かって屈曲する磁気伝導管が設置される。 ４．上記モーター外ケースの軸孔には、回転軸の先部に近い部分が嵌挿する保護 体が設置される。 ５．上記磁性求心器の対向する先端部を、円錐形に形成する。

【００１０】

【考案の実施の形態】

本考案の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。 （実施形態１） 図１を参照し、本考案のブラシレス直流モーターは、モーター外ケース１、ス テータ組１４、羽根１０と回転軸４を有するローター１２および転がり軸受１３ を具備している。上記モーター外ケース１において、羽根１０と相対応する位置 には風排出口と風進入口が設置され、その内部には該モーターを制御する回路を 有する回路板２が設置されている。また、上記ステータ組１４は、モーター外ケ ース１の内部のハブ９に固着され、該ステータ組１４の外周を囲むようローター １２の内周壁には磁石１１が設けられている。羽根１０はローター１２の外周に 位置され、回転軸４はローター１２の中心に固定される。

【００１１】 上記ハブ９の中心には軸孔７が形成されており、該軸孔７の中間には台座また は隔て管によって軸受座孔と求心器孔の二つの部分に分けられている。転がり軸 受１３は一個だけで用いられ、上記回転軸４の基部の頸部に設置され、その軸受 の外周壁はハブ９の軸受座孔の内部に嵌着されている。

【００１２】 磁性を有する一対の求心器６はハブ９の求心器孔の内部に位置され、それぞれ 回転軸４の先部と相対向するモーター外ケース１の中心位置に位置される。通常 、上記モーター外ケース１に設置された求心器６と軸孔７の開口部に設置するカ バー５は一体になるよう結合されている。回転軸４に設置された求心器６はその 先端から延伸する部分に設けられている。これらの一対の求心器６は二個の極性 の異なる永久磁石体で構成することができ、または一方は永久磁石体で、もう一 方は該永久磁石体の誘導によって磁気が生じる鉄磁石体（磁性体）とすることも できる。なお、中心部の磁性を強めるため、求心器６の端部は円錐形に形成する ことが好ましい。

【００１３】 軸孔７には保護体３が設置されている。該保護体３は、中心に円孔を有し、回 転軸４の先端に近い部分が上記円孔の中に位置される。上記円孔と回転軸４の間 には比較的大きい隙間が形成されているため、普段は、回転軸４は保護体３に接 触しないが、ファンが振動を受けた時だけ軽く接触して回転軸４の半径方向への 揺れを制限することができる。なお、回転軸４の先端には係止リング８が設置さ れており、回転軸の軸方向への振動を制限している。上記の構成により上記回転 軸の軸心は、求心器の磁性により軸孔の軸心線上に引き寄せられ、上記回転軸は 中心位置に浮くように支持される。

【００１４】 （実施形態２） 図２を参照し、本考案の実施形態２のブラシレス直流モーターは、モーター外 ケース１、ステータ組１４、羽根１０と回転軸４を有するローター１２および転 がり軸受１３を具備している。上記モーター外ケース１には風排出口と風進入口 が形成され、その内部には回路板２が設置され、中央部には軸孔７を有するハブ ９が位置され、上記ステータ組１４は該ハブ９に固着されている。上記ローター １２の内周壁にはステータ組１４の外周を囲むように磁石１１が設けられている 。また、ローターの外周壁には羽根１０が設けられ、上記回転軸４は該ローター の中心に固定される。転がり軸受１３は一個だけで回転軸４の基部の頸部に設置 され、その軸受の外周壁はハブ９の軸孔７の内部に嵌着されている。

【００１５】 軸孔７の内部には、磁気伝導管１５が設置されている。該磁気伝導管１５の一 端は転がり軸受１３の外周壁の端面に当接され、他方の端面はカバー５と当接す るように形成されている。該カバー５はモーター外ケース１の上に設置され、上 記軸孔７を密封している。該カバー５及び該カバーが相対向する回転軸４の先端 には、それぞれ磁性求心器６が設置されている。一対の求心器６は二個の極性の 異なる永久磁石体で構成したり、一方は永久磁石体とし、他方を鉄磁石体等の磁 性体で構成することもできる。

【００１６】 磁気伝導管１５の回転軸４の先端に近い位置には保護体３が設置され、該回転 軸４の先端の部分は上記保護体３の中心円孔の内部に嵌挿されている。上記円孔 と回転軸４の間には比較的大きい隙間が形成されているため、普段、それらは接 触しない。上記構成により、回転軸４は求心器６と転がり軸受１３だけによって 軸心線上において中心位置に浮くように支持される。磁気伝導管１５の設置によ って求心器６の磁気回路は求心器６→カバー５→磁気伝導管１５→転がり軸受１ ３→回転軸４→求心器６となるが、このような磁気回路の構造によって生じる磁 場がその他の電子機器の正常作動に干渉を及ぼすことはない。

【００１７】 （実施形態３） 図３を参照し、図３と図２に示された本考案の二種の実施形態の構造において 、その相異する部分は磁気伝導管１５と１５ａの形状が少し異なるだけである。 すなわち、磁気伝導管１５ａの転がり軸受１３側には、回転軸の周面に向かって 屈曲する端面１６が設置されている。このような屈曲端面を設けた場合の磁気回 路は、求心器６→カバー５→磁気伝導管１５ａ→回転軸４→求心器６であり、こ れにより転がり軸受１３の回転は磁力の影響を受けることなく、回転の抵抗力を 減らすことができる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案のブラシレス直流モーターによれば、求心器の磁性吸引力を利用し、回 転軸をその中心位置に浮かすことができ、軸受に作用するローターからの重力が 大いに減少し、転がり軸受の転がり摩擦を十分に発揮することができるから、抵 抗力が小さくなるだけではなく、回転もスムーズで安定であり、しかも騒音が低 くなり、使用寿命を長くすることができる。特に、使用する角度或いは方向が不 確定であるノートパソコン等の携帯式電子製品の使用に最適である。また、座金 、オイルリングおよびバネなどの小さい部品を省略することができ、取り付けの 作業を簡単化にすると共に取り付けに要する時間を短縮して取り付けの質を高め ることができ、その性能は転がり軸受を２個以上使用するものより優れ、コスト を大幅に低減することができる。

【００１９】 本考案は、その精神及び必須の特徴事項から逸脱することなく他のやり方で実 施することができる。従って、本明細書に記載した好ましい実施形態は例示的な ものであり、限定的なものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施形態１における組立状態の断面図
である。

【図２】本考案の実施形態２における組立状態の断面図
である。

【図３】本考案の実施形態３における組立状態の断面図
である。

【符号の説明】

１ モーター外ケース １０ 羽根 １１ 磁石 １２ ロ
ーター １３ 転がり軸受 １４ ス
テータ組 １５ 磁気伝導管 １５ａ 磁
気伝導管 １６ 端面 ２ 回路板 ３ 保護
体 ４ 回転軸 ５ カバ
ー ６ 求心器 ７ 軸孔 ８ 係止リング ９ ハブ

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 モーター外ケース（１）、軸受（１
   ３）、ステータ組（１４）および羽根（１０）と回転軸
   （４）を有するローター（１２）を具備するブラシレス
   直流モーターであって、上記軸受（１３）は上記回転軸
   （４）の基部に設置された転がり軸受であり、上記回転
   軸（４）の先部と上記モーター外ケース（１）の対向す
   る位置には上記回転軸を中心位置に引き寄せるよう一対
   の磁性求心器が設けられていることを特徴とするブラシ
   レス直流モーター。
2. 【請求項２】 上記一対の磁性求心器（６）の内の一方
   は永久磁石体であり、他方は誘導によって磁気が生じる
   鉄磁石体若しくは上記永久磁性体と磁極性の異なる永久
   磁石体であることを特徴とする請求項１記載のブラシレ
   ス直流モーター。
3. 【請求項３】 上記モーター外ケース（１）の軸孔
   （７）には一端がモーター外ケースに設けた求心器に当
   接し他端が上記軸受の端面に当接する磁気伝導管（１
   ５）が設置されていることを特徴とする請求項１記載の
   ブラシレス直流モーター。
4. 【請求項４】 上記モーター外ケース（１）の軸孔
   （７）には一端がモーター外ケースに設けた求心器に当
   接し他端が上記回転軸の周面に向かって屈折する磁気伝
   導管（１５ａ）が設置されていることを特徴とする請求
   項１記載のブラシレス直流モーター。
5. 【請求項５】 上記モーター外ケース（１）の軸孔
   （７）の回転軸（４）の先部に近い位置には上記回転軸
   （４）に嵌挿入した保護体（３）が設置されていること
   を特徴とする請求項１、２、３または４記載のブラシレ
   ス直流モーター。
6. 【請求項６】 上記磁性求心器（６）の対向する端部は
   円錐形に形成されている請求項１また２に記載のブラシ
   レス直流モーター。