JP3086863B2 - ビーム形成方法及び読み出し可能記録媒体 - Google Patents

ビーム形成方法及び読み出し可能記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線ループシステム
に関し、特に、時分割多重方式に基づく固定無線ループ
システムに関する。
【0002】
【従来の技術】固定無線ループ(FWL)通信システム
は、データ及び音声伝送の分配をサポートする。この種
のシステムは、通常、”セル”に分割されている。各々
のセル内に配置された基地局のアンテナが、やはり当該
セル内に位置している複数個の端末すなわちペリフェラ
ル局との間での信号の送受信を行なう。セルは隣接して
いる必要はない。一つのセルの基地局は、地形的あるい
は他の要因によって規定された隣接するセルとの間の名
目的な境界の内部のある選択された領域あるいは複数の
領域に対してサービスを提供する。FWLシステムに存
在する送信源の数が大きいと、基地局のアンテナと端末
との間の通信に対する著しい干渉が発生する可能性が増
大する。この種の干渉は、同一セル内あるいは他のセル
内の他の送信源によって発生する。
【0003】FWLシステムは、通常、システムの能力
を最大化しかつ干渉を緩和する目的で、周波数分割多重
化(FDM)、時分割多重化(TDM)あるいは符号分
割多重アクセス(CDMA)等の方式を利用する。現在
では、達成可能な能力、という観点からは、CDMAベ
ースのFWLシステムがTDM及びFDMシステムより
優れている、ということが広く信じられている。その主
たる理由は、TDM及びFDMが、高周波数再利用ファ
クタが通常およそ7に制限されているのに対し、CDM
Aにおける周波数再利用ファクタは1に設定され得るか
らである。さらに、セクタ分割されたアンテナも、この
ようなCDMAの優位性を増大させる。なぜなら、セク
タ分割された基地局アンテナが利用可能である場合にお
いても、TDMベースのシステムにおける再利用ファク
タを低下させることは現実的ではないと通常思われてい
るからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CDM
Aベースのシステムにおいても、TDMベースのシステ
ムとは相異なった制限が存在する。特に、CDMAベー
スのシステムにおいては、基地局のアンテナは、セルす
なわちセクタ内の全ての端末に対して連続的に電力を供
給し続ける。TDMベースのシステムにおいては、ある
セルにおける基地局のアンテナは、ある時間スロットの
間に活動している端末に対してのみ電力を供給する。そ
れゆえ、TDMベースのシステムにおいても、他のトラ
ンスミッタからの干渉を低減しかつ他のレシーバへの干
渉を低減する可能性が存在する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明TDMベースの固
定無線ループシステムに係るシステム及び方法である。
本発明に係るシステムは、各々基地局及び複数個の端末
を含む複数個のセルから構成されている。各々の基地局
は、同一のセル内の端末(”セル内端末”)からの伝送
を受信する目的の複数のアンテナビーム及びセル内端末
への送信のための他のアンテナビームを生成する。受信
ビーム及び送信ビームの各々は、時間スロットとして公
知のある割り当てられた時間期間に単一の端末と通信す
る。
【0006】各々の基地局には、空中回線へのアクセ
ス、及びビーム及び時間スロット割り当てを制御するセ
ルコントローラが関連付けられている。本発明の新しい
一側面においては、時間スロットは優勢なシステム干渉
に基づいて割り当てられる。詳細に述べれば、受信すな
わち”アップリンク”スロット、すなわち端末から基地
局への伝送に用いられるスロット、の承認に関しては、
セル内及びセル外のその他の送信中の端末に起因する基
地局のレシーバにおける干渉レベルが、充分な受信が可
能となる程度に低くなければならない。加えて、選択さ
れたスロットにおける送信は、他のリンクを使用不能に
することがあってはならない。送信スロット、すなわち
基地局から端末への送信に用いられるスロット、に関し
ては、同一のスロットでのセル内及びセル外送信ビーム
による端末のレシーバでの干渉レベルが、充分な受信が
可能となる程度に低くなければならない。さらに、その
スロットにおける送信ビームは、他のリンクを使用不能
にすることがあってはならない。
【0007】セル外の干渉源に基づいて時間スロットを
割り当てることは、隣接するセルのセルコントローラ間
の通信を必要とする。本発明に係る別の新しい一側面に
おいては、各々のセルコントローラが、セル内での基地
局−端末間回線の起動及び停止に係る情報をシステム内
の他のセルコントローラと共有する。この種のセル外変
更の影響を推定する目的で、各々のセルコントローラ
は、そのセルコントローラ内のあらゆる可能性のある回
線と隣接するセル内のあらゆる可能性のある回線との間
の相互干渉レベルに係る情報を含む本発明に係るデータ
ベースにアクセスする。本発明の望ましい実施例におい
ては、各セルコントローラはそれぞれに固有のデータベ
ースを有している。これらのデータベースは、システム
状況を反映する目的で周期的に更新される。
【0008】端末による空中回線へのアクセス要求は、
適切な送信及び受信スロットが見い出されない限り禁止
される。そのため、本発明に係るシステムにおいては、
必要な場合にはサービス要求をブロックすることによっ
て、活動中の回線が中断されたり通話が落ちたりしない
ように保護されている。この種の保護は、ブロックによ
って進行中の通話の品質が徐々に劣化し、ある場合には
通話が落ちてしまうことにつながるCDMAベースの方
式とは好対照である。
【0009】端末からのサービス要求が受け入れられる
場合には、セルコントローラはそのビーム形成器に対し
て、アンテナ出力において最適の信号対干渉信号比が実
現されるようなアンテナパターンを構成するように指示
する。
【0010】
【発明の実施の形態】説明を明瞭にする目的で、本発明
の実施例は、個々の機能ブロックから構成されているも
のとして示されている。これらのブロックが表現する機
能は、共用あるいは専用ハードウエアを用いることによ
って実現される。これらのハードウエアには、ソフトウ
エアの実行が可能なハードウエアも含まれるがそれらに
限定されているわけではない。
【0011】本発明に従った時分割多重(TDM)ベー
スの固定無線ループ(FWL)システムは、従来技術に
係る電話、データ、インターネットアクセス、マルチメ
ディアサービス等をサポートすることが可能である。当
該システムは、複数個の六角形セル5を有するものとし
て概念的に捉えることが可能であり、これら複数個のセ
ルのうちの3つが図1に示されていて5a、5b及び5
cによって識別されている。説明のために、個々のセル
に特定の機能を参照する参照番号には、それがどのセル
に属しているかを示す目的で、”a”、”b”あるい
は”c”という英字が付加されている。セルあるいは機
能全体を一般的に指し示す場合には英字は省略される。
【0012】前述された六角形というセルの形状は、無
線ループシステムの設計及び解析に係る古典的な形状で
ある。しかしながら、セル5が理想的に六角形であるよ
うなセル形状を有することに限定されているわけではな
い、地形的な要因のみならず種々の要因が、個々の実施
例における所定のセル形状に影響を与える。
【0013】個々のセルには、中央に配置された基地局
10及び複数個の端末すなわちペリフェラル局151-n
が存在している。基地局10及び各端末15iは、アン
テナ及びそれに関連した送受信用エレクトロニクスを有
している。図1においては、それぞれ対応するセル5
a、5b及び5c内に3つの端末15a1-3、15b1-3
及び15c1-3のみが示されているが、通常はあらゆる
セルにおいてはるかに多くの数の端末が存在している。
参照番号15iは、単一の端末を一般的に参照するため
に用いられる。
【0014】本発明に係るFWLシステムの前述されて
いるような配置が移動体セルラシステムに非常に良く似
ていることは、当業者には容易に理解されるであろう。
本発明に係るFWLシステムは、移動体ユニットの代わ
りに、複数個の固定端末151-nを有している。このよ
うな固定端末は、通常屋根の上に配置されているタイプ
等のアンテナを有している。
【0015】本発明の望ましい実施例においては、各々
の端末のアンテナはある種の指向性を有している。しか
しながら、大きさ及び費用に係る厳しい制限のため、こ
れらのアンテナはわずかに指向性を有するのみである。
各端末のアンテナは、それぞれ対応する基地局10のア
ンテナと対向している。本発明の望ましい実施例におけ
る端末のアンテナに係る詳細な記述は、本明細書の後半
にあつ。
【0016】本明細書の後半において詳述されている適
切なエレクトロニクス及び方法に関連して、各基地局1
0のアンテナは、送受信目的でセル5内全体を”ホップ
する”すなわち動きまわる複数のビームを生成する。図
2においてセル5dに関して示されているように、前記
生成されるビームには、第一周波数f1において端末1
5d1-nからの伝送を受信する”受信”すなわち”アッ
プリンク”ビームが含まれる。生成されるビームには、
さらに、第二周波数f2において端末151-nへ情報を送
信するために用いられる同数の”送信”すなわち”ダウ
ンリンク”ビーム21dが含まれる。この種のデュプレ
クス動作は、前述されているように2つの相異なった周
波数f1及びf2によるといったFDMを用いてインプリ
メントされることが望ましいが、デュプレクス動作をイ
ンプリメントするための別の方法、例えば時分割デュプ
レクス(TDD)等を用いることも可能である。”リン
ク”という術語は、本明細書においては、基地局10と
端末15iとの間のアップリンク及びダウンリンク通信
の双方を指し示すために用いられる。
【0017】図2においては、5つの端末15d6-10
通信を行なうための3つのアップリンクビーム20d
1-3と3つのダウンリンクビーム21d1-3が示されてい
る。別の実施例においては、同程度の数の同時に生成さ
れたビームがインプリメントされ得る。同時に生成され
るビームの数を増加させると原理的にはシステムの能力
が増加する。しかしながら、このようにビーム数を増加
させると、干渉レベルをも増大させることになる。よっ
て、セルあたりのビーム数は干渉レベルによって制限さ
れており、例えば地形、端末の集中度、建物の高さ等の
種々の要因によって変化する。セル当たりで同時に生成
されるビームの数は、通常およそ2からおよそ7の範囲
にあるものと考えられる。
【0018】前述されているように、本発明はTDMを
利用する。よって、図2は、本発明に係るTDMベース
のFWLシステムの動作を時間軸上の一点において示し
ていることになる。図3に示されているように、時間軸
は周期的なフレーム30に分割されており、各々が複数
個の時間スロット351-Tを有している。各々の時間ス
ロット35iにおいて利用可能な時間は、通常、プリア
ンブル31を伝達する目的、ユーザ識別及び同期情報3
2を提供する目的、”ペイロード”33を提供する目
的、及びガードタイムを提供する目的、で不均等に分割
されている。フレーム30は通常数百ミリ秒の持続時間
を有するが、各々の時間スロットは著しく短い。ここ
で、フレーム30及び時間スロット35i当たりに割り
当てられている時間が、特定のアプリケーション及びイ
ンプリメンテーションに際した嗜好に係る通信上の要求
に依存して変化し得る。
【0019】時間スロット35iの間に、アップリンク
ビーム20は単一の端末15iからの情報を受信し、ダ
ウンリンクビーム21は単一の端末15i宛の情報を送
出する。しかしながら、特定の端末に対するダウンリン
ク及びアップリンクは、必ずしも同時である必要はな
い。例えば、図2は、同一の時間スロットにおいて端末
15d6と通信しているダウンリンクビーム21d1及び
アップリンクビーム20d1を示している。他方、基地
局10dと端末15d7、15d8、15d9及び15d1
0の各々との間のダウンリンク及びアップリンクは同時
ではない。
【0020】通常、端末15には、送受信に関して、時
間フレーム30当たり単一のスロット35iが割り当て
られる。しかしながら、フレーム当たりに1スロット以
上が、同一のビームあるいは相異なったビームで、単一
の端末15iに対して割り当てられることも、通信要求
によっては可能である。例えば、特定の端末15iとの
間で大量のデータ伝送がある場合には、その端末に対し
てはフレーム当たり複数のスロットが割り当てられ得
る。
【0021】各セルにつき同時に”アクティブ”になり
得るサポートされている端末の総数には、b×Tという
上限が存在する。ここで、bはセル当たりのビーム数で
あり、Tはフレーム当たりの時間スロット数である。ア
クティブな端末15の実際の数は、干渉を考慮すると、
要求があった場合においてもb×Tよりは通常小さい。
特に、ある時点においてサービスを要求している端末の
位置に依存して、あるタイムスロットが激しい干渉のた
めに使用不能になる可能性もある。さらに、そのような
スロットは、既にアクティブになっている端末との干渉
を回避する目的で、未使用にしておく必要がある場合も
ある。
【0022】本発明の望ましい実施例においては、全て
のビーム20及び21、及び全てのセル5におけるフレ
ーム及び時間スロットの境界は、同期が採られているか
ほぼ同期が採られている。同期を採ることによって相互
干渉の制御が簡略化される。しかしながら、同期を採る
ことによってある種の問題が生じる。なぜなら、セル5
の半径方向に亘る伝播時間が連続するスロット間のガー
ド時間よりも長い可能性があるからである。ガード時間
を管理する目的で、各端末151-nの”送信開始”時刻
は、端末15と基地局10との間の距離に比例した時間
だけ、先に進められなければならない。このようにし
て、同一のセル及び時間スロットに属する端末15から
の伝送は、その特定の時間スロットの間のみ互いに干渉
しあう可能性があることになる。
【0023】上記状況は、セル外干渉の場合ではない。
他のセル5からの著しい干渉は、その次の時間スロット
の持続時間全体に亘って到達する可能性があり、通常そ
の時点の時間スロットと連続した次の時間スロットとの
双方に対して影響を与え得る。セル外干渉を取り扱う一
つの方法は、干渉が双方の時間スロットに存在すると単
純に仮定することである。この種のアプローチを取る
と、干渉レベルを保守的に見積もることになる。
【0024】本発明に係る”干渉を制限した”FWLシ
ステムは、短いリンクと長いリンクとの間での受信され
た信号強度の拡散を低減するための電力制御を含んでい
ることが望ましい。基地局への経路における損失が大き
い端末は、損失が小さい経路を有する端末よりもより大
きい電力で送信することが必要である。同様に、高損失
経路を有する端末へ送信する基地局のトランスミッタ
は、低損失経路を有する端末へ送信する際よりも大きな
電力を送信する。データベース作成及び更新に関して信
号強度の測定がなされる場合には、正しい送信電力レベ
ルが用いられる。
【0025】さらなる実施例においては、送信される電
力が動的に制御され得る。この場合には、本発明に係る
システムはそれぞれの時点において存在している干渉電
力を補償する。このような方式においては、システム内
に存在する全てのトランスミッタから送信される電力は
固定されていない。動的電力制御の一実施例において
は、送信電力は、リンクが送信される以前に決定され、
その後は固定される。別の実施例においては、送信電力
は、リンクの使用される品質に基づいていずれの時点に
おいても変化させられ得る。
【0026】リンクが送信される以前に送信電力が決定
されてその後は固定されるような実施例においては、セ
ルコントローラ間での調停、計算及び情報の流れが、送
信電力が可変であるような実施例において必要とされる
ものよりも、著しく少ない、という点に留意されたい。
本明細書に記載されている本発明の実施例においては、
送信電力は固定されている。電力制御は種々の方法によ
ってインプリメントされ得るが、それらは当業者には既
知である。
【0027】干渉レベルは、その時点でアクティブであ
る他のリンクの位置に依存して、通常各リンク毎に著し
く変化する。さらに、平均的には、アップリンクよりも
ダウンリンクの方が干渉を受けにくい。その理由は、ダ
ウンリンクに係るセル内の干渉源起因の干渉、すなわち
同一の基地局10から発せられる他のビームによって発
生する干渉、が、所望の信号それ自体と関連して消失す
る可能性があるからである。なぜなら、それらは全て同
一の経路を伝播するからである。
【0028】それに関連して、いくつかの望ましい実施
例においては、適応符号化及び/あるいは変調方式が、
それらを用いない場合には使用不能となる時間スロット
を救う目的でインプリメントされる。例えば、要求され
る特性を単一の時間スロットが実現することが不可能で
ある場合には、低レート符号化を有する2つの時間スロ
ットが割り当てられ得る。
【0029】代替法として、もしくは適応符号化及び変
調と組み合わせて、ある形態の時間ダイバシティ法が、
複数個の時間スロットを単一の端末15iに対して割り
当てることによってインプリメントされ得る。これは、
相異なった時間スロットに関する干渉が相異なったトラ
ンスミッタによって生成されており、それらが独立して
消失する、という事実を利用したものである。このよう
な方法は、各々の時間スロットにおいて単一の干渉源か
らの干渉が支配的であり、それらがレシーバに対してレ
イリー(Rayleigh)フェージングチャネルを介
して到達しているような場合に特に有効である。別の実
施例においては、角度ダイバシティが用いられ得る。こ
の場合には、同一の時間スロットにおいて、相異なった
方向から到達する2つの信号を利用するために、2つの
ビームが用いられる。電話技術の分野において一般的な
ことであるが、インストールされている端末15の数は
システムの容量を著しく超過している。すなわち、端末
15iは、サービス要求をした場合に拒否される可能性
がある。ある個数のインストールされた端末及びFWL
システムの通常の制限が存在する場合に、本発明に係る
TDMベースのFWLシステムは、このような拒否の可
能性を、従来技術に係るシステムと比較して、低減す
る。
【0030】よって、アクティブな端末15の組は、セ
ル5内に存在する端末の総数のサブセットである。この
サブセットは、休止状態の端末が要求を行ない、サービ
スを保証され、そしてアクティブ状態の端末がそれぞれ
のセッションを終了して”ハングアップ”するにつれて
時間と共に変化する。本発明に従って、空中へのアクセ
スを制御するタスク、及びビーム20及び21及び時間
スロット351-Tを割り当てるタスク、は、図17に示
されているように、セルコントローラ25によって実行
される。
【0031】セルコントローラ25は、各々のセル5の
基地局に配置された適切にプログラミングされたマイク
ロプロセッサとしてインプリメントされることが望まし
い。種々の機能の中でも、セルコントローラ25は、以
前には休止状態にあった端末15からのサービス要求を
受信して処理する。要求は、制御チャネル27を介して
伝達される。この制御チャネル27は、システム容量に
対する影響を少なくして種々の方法でインプリメントさ
れ得るがそれらの方法は当業者には既知である。例え
ば、制御チャネル27は、アップリンク及びダウンリン
クに用いられる周波数f1及びf2以外の周波数を利用し
て実現され得る。
【0032】本発明に従ってセルコントローラが端末1
iによるサービス要求を処理する方法の実施例が図4
に示されている。101に示されているように、セルコ
ントローラ25は、制御チャネル27を介してサービス
要求S1を受信する。セルコントローラ25は、103
に示されているように、その端末に対する適切なアップ
リンク時間スロットを検索する。
【0033】ここで示されている実施例においては、適
切なアップリンクスロットは、以下の2つの条件を満足
することが望ましい。第一の条件は、基地局のレシーバ
における干渉レベルが適切な受信を許容する程度に充分
に低い、ということである。第二の条件は、その時間ス
ロットにおける要求側端末による送信が、その時間スロ
ットにおいて既に設定されている他の基地局によるリン
クに対して、そのリンクの性能が受容不能になる程度ま
でには影響を与えない、ということである。
【0034】適切なアップリンクが見い出された場合に
は、セルコントローラ27はその端末に対して適切なダ
ウンリンク時間スロットを検索する(107)。ダウン
リンクタイムスロットも、同様に2つの条件を満足しな
ければならない。第一の条件は、その端末のレシーバに
おける干渉レベルが充分な受信を許容する程度に充分に
低い、ということである。第二の条件は、その時間スロ
ットにおける基地局による送信が、その時点で既に設定
されている他の端末によるリンクの性能を受容不能にな
る程度までには劣化させてはならない、というものであ
る。ここで、現時点においては、どの時間スロットが最
初に検索されるか、に関しては何ら嗜好はない、という
ことに留意されたい。
【0035】前述された”干渉レベル”及び”受容不能
な性能”が、変調方式、フェージング環境等を含む(そ
れらに限定されているわけではない)、種々の考察に依
存したシステムデザインパラメータであることに留意さ
れたい。この種の術語をFWLシステムの特定のインプ
リメンテーションに関して定義することは当業者には容
易である。アップリンク及びダウンリンクスロットを検
索する本発明に係る方法の詳細は、以下に図10を参照
して記述する。
【0036】セルコントローラ25が適切なダウンリン
クスロット及び適切なアップリンクスロットを見い出さ
なかった場合には、119に示されているように、サー
ビス要求は拒否される。よって、本発明に係るTDMベ
ースのFWLシステムは、適切な場合には新たなユーザ
をブロックすることによって、現在のユーザに関して中
断されたり通話が落ちたりすることを防止する。このこ
とは、”ブロックする”ことによって進行中の通話品質
が徐々に劣化し、ある場合には通話が落ちてしまうこと
につながるCDMAベースのシステムとは異なる点であ
る。
【0037】アップリンク及びダウンリンクスロットが
見い出された場合には、それらは、111に示されてい
るように、その端末に対して割り当てられる。要求側端
末には、115において、その割り当てが通知される。
他の隣接するセルのセルコントローラは、当該セルのセ
ルコントローラ25によって新たなリンクについて通知
される。隣接するセルコントローラ間の通信及び調停
は、本発明の望ましい実施例における重要な特徴である
が、後に詳細に記述される。
【0038】セルコントローラ25は、ダウンリンク及
びアップリンクスロットを要求側端末15iに割り当て
た後、ビーム形成器40に対して、その適切な時間スロ
ットの間に用いるダウンリンクビーム及びアップリンク
ビームを計算するように指示する。ビーム形成器40
は、これは適切にプログラミングされた専用マイクロプ
ロセッサによってインプリメントされ得るものである
が、信号対総干渉信号比(”S/TI”)を最大にする
ように、各々のダウンリンクビーム21及びアップリン
クビーム20を”形成”する。その結果得られたアップ
リンクビーム20の指向性パターンは、主ローブからあ
るオフセット角のところに、著しい干渉源(”強い干渉
源”)から受信される信号を減衰させるように配置され
た”ノッチ”を有している。同様に、上記形成されたダ
ウンリンクビーム21の放射パターンには、主ローブか
らあるオフセット角のところにノッチが設けてあって、
それがない場合に送信によって著しい干渉を受けてしま
う端末15によって受信される信号を減衰するように設
定されている。通常、比較的強い干渉源を減衰させる目
的で比較的”深い”ノッチが生成されるが、比較的弱い
干渉源を減衰させる目的には比較的”浅い”ノッチが生
成される。
【0039】図5は、ビームの放射パターン例を示した
図である。このビームは、主ローブP1の中心から、参
照符号AZ1−AZ6によって示されている6つのオフ
セット角のところに位置している6つの強い干渉源を減
衰させるように計算されたものである。図5に示された
プロットは、基地局のアップリンクビーム20の放射パ
ターンによって、オフセット角AZ1−AZ6に位置し
ている6つの潜在的な干渉源からは非常に弱い干渉信号
しか受信していないことを示している。
【0040】ビーム形成器40に係る詳細な記述及び最
適なアップリンク及びダウンリンクビームを決定する方
法例に関しては、後に図12−15及び17−19に関
連して記述される。
【0041】セルコントローラは、前述されているよう
に、その種々の機能のなかでも、要求側端末によるアッ
プリンクスロットでの送信が既に設定されている他の基
地局に影響を与えるか否かを決定する。この決定には、
与えられたセル5のセルコントローラ25が他のセル内
に存在するリンクにおける干渉レベルに関連する情報へ
のアクセス手段を有している、ということが要求され
る。このような”セル間”調停すなわち通信は、与えら
れたセルのビーム形成及びスロット割り当てがその与え
られたセル内の条件だけではなく隣接するセルにおける
条件にも基づいている、ということであるが、システム
全体として最適な機能を実現する。本発明の望ましい実
施例においては、このセル間調停が利用される。
【0042】このようなセル間調停が用いられる場合に
は、各々のセルコントローラ25は、”隣接する”セル
コントローラからそれぞれのセル内でのアクティビティ
に係る情報をリアルタイムで収集し、自らのセル内での
アクティビティに係る情報を隣接するセルと共有する。
収集される情報の詳細は、後に記述される。隣接するセ
ルコントローラ25との間の通信は、従来技術に係る有
線デジタル通信技術を用いて実現され得る。
【0043】隣接するセル5及び隣接するセルコントロ
ーラ25は、本明細書においては、特定のセルの”クラ
スタ”に属するものとして定義される。セル5aのよう
な隣接するセルは、特定のセル、例えばセル5c、のク
ラスタに、例えばセル5aから発せられる送信がセル5
cにおける受信に”著しい”干渉を引き起こす場合、あ
るいはセル5cから発せられる送信がセル5aにおける
受信に”著しい”干渉を引き起こす場合には、属してい
ると見なされる。言い換えれば、複数のセルにおける無
線アクティビティに対して著しい影響を決して与えずか
つ著しい影響を決して受けないセルは、そのクラスタに
は属していない。これは通常それらの間に充分に大きな
距離が存在するからである。
【0044】当業者による本発明のインプリメンテーシ
ョンにおいて、”著しい”という術語は、例えば干渉強
度の特定の値のような、定量的な定義が必要となる。”
著しい”干渉を定義するために最終的に選択される数値
は、特定のアプリケーションに係る設計上の優先項目、
例えば容量、信号対雑音比、利用可能な計算能力等、に
基づく妥協から得られる。当業者であれば、特定のシス
テム設計の場合に”著しい”という術語を定量的に定義
することが可能である。
【0045】別の実施例においては、本発明は、”セル
内”調停のみを用いてインプリメントされ得る。セル内
調停のみを用いた実施例においては、それぞれのセルに
関するビーム形成及び時間スロット割り当ては、隣接す
るセルにおける状況を考慮することなく、そのセル内の
相互干渉を最小にすることに基づいてなされる。以下、
本明細書においては、本発明はセル間調停を用いた実施
例が記述される。しかしながら、セル間調停ではなくセ
ル内調停を用いることによっても本発明は実施され得る
ことに留意されたい。
【0046】スロット割り当て決定を行なう目的でセル
コントローラ25が利用し、図17に示されているよう
にビーム形成計算用にビーム形成器40へ供給するデー
タの一部は、図17及び表1及び2に示されているよう
に、データベース45にストアされる。詳細に述べれ
ば、クラスタ内の各セルコントローラ25は、それぞれ
のセル内及びそのクラスタ内の可能性のある全てのリン
クの間の相互干渉レベルに関するデータを有しているデ
ータベース45にアクセスする。本発明に係るFWLシ
ステムの各々のセルのクラスタは別個のものであるた
め、特定のセルコントローラ25によってアクセスされ
るデータベース45は単独である。データベース45
は、各基地局10に位置するコンピュータ記憶手段とし
て、あるいはFWLシステムのある地域における複数個
のセルコントローラに対してサービスを提供する地域コ
ンピュータ記憶手段として、インプリメントされ得る。
【0047】以下の表1及び表2は、データベース45
の概念構成例を示している。表1は、データベースマト
リクスの概観を示している。
【表1】
【0048】前述されているように、各セルコントロー
ラ25はそれぞれデータベースを有している。”セル
内”という表現は、セルコントローラの視点を表わして
いる。言い換えれば、セル内リンク、という表現は、そ
のセルコントローラの属するセル内のリンクを表わして
いる。”クラスタ内”という表現は、そのセルコントロ
ーラが属しているクラスタ内のリンクを表わしており、
そのセルコントローラの属するセル内のリンクを含んで
いる。
【0049】表1に示されているように、データベース
45の最初の列は、可能性のある”セル内”リンク全て
を示している。第一列にリストされた可能性のある各セ
ル内リンクと組にされているのは、可能性のあるクラス
タ内リンクの全てである。よって、セル内リンク1は、
セルA内のnAリンク(端末)、セルB内のnBリンクか
ら、そのクラスタの最終セル内のnFCリンクを含む、そ
のクラスタ内の他の全てのリンクと組にされている。同
様に、セル内リンク2からnは、それぞれクラスタ内リ
ンク全てと組にされている。
【0050】表2は、図6に示されたリンクよりなる組
に関するエントリ例を示している。図6は、セル5fの
クラスタに属するセル5f及びセル5hを示している。
セル5fは、基地局10fと端末15f20との間のリン
ク47を含んでおり、セル5hは、基地局10hと端末
15h3との間のリンク49を含んでいる。各々のリン
クは、デュプレクス動作、すなわちアップリンク及びダ
ウンリンク、を表わしている。
【表2】
【0051】例示目的で、表2に示されたデータベース
45がセル5fのデータベースであると仮定する。この
場合には、リンク47はセル内リンクである。データベ
ース45は、各リンク対に関して6つのエントリを有し
ている。それらのうちの4つのエントリは、可能性のあ
るセル内リンク、例えばリンク47、と可能性のあるク
ラスタ内リンクとの間での相互干渉レベルに関するもの
である。例えば、リンク49は、それら可能性のあるク
ラスタ内リンクの一例である。各リンク対に関する4つ
の干渉値は、図6に関連して記述される。
【0052】第一に、セル5f内のリンク47は、セル
5h内のリンク49による干渉を受ける。より詳細に述
べれば、アップリンク49での端末15h3からの送信
は、図6において参照番号51で表わされているよう
に、アップリンク47に関して基地局10fに干渉を与
える。さらに、ダウンリンク49での基地局10hから
の送信は、参照番号53で示されているように、ダウン
リンク47に関して端末15f20に干渉を与える。第二
に、セル5h内のリンク49は、セル5f内のリンク4
7による干渉を受ける。より詳細に述べれば、アップリ
ンク47での端末15f20からの送信は、参照番号55
で示されているように、アップリンク49に関して基地
局10hに干渉を与える。さらに、ダウンリンク47で
の基地局10fからの送信は、参照番号57で示されて
いるように、ダウンリンク49に関して端末15h3
干渉を与える。
【0053】表2は、セルf内のリンク47及びクラス
タ内リンク49に関する基地局エントリを示してい
る。”リンク(h、3)”のところに示された最初の2
つのエントリは、それぞれアップリンク47及びダウン
リンク47に関してセルfにおいて受ける干渉を表わす
値を示している。次の2つのエントリ、49U及び49
Dは、それぞれアップリンク49及びダウンリンク49
に関してセルhで受ける干渉を表わす値を示している。
【0054】本発明の望ましい実施例においては、デー
タベースにおける値は規格化された信号対雑音電力比と
して表現されている。本明細書においては、それらをJ
/Sと定義する。別の実施例においては、データベース
の値が、例えば受信される干渉信号強度等の、別の方法
によっても表現され得る。
【0055】前述されているように、各リンク対に関し
て、第5及び第6エントリが含まれている。第5エント
リは、セル内基地局から見た場合のクラスタ内端末の”
位置”を表わしている。すなわち、AZH49によって
示されているように、基地局10fのビームの主ローブ
に関する端末15h3の方位である。クラスタ内端末の
位置は、セルコントローラ25によって特定の端末を”
ノッチアウト”するように指示された場合に、ビーム形
成器40によって用いられる。そのような場合には、セ
ルコントローラ25は、データベース45からこの種の
情報を読み出し、それを適切なビーム形成器40に供給
する。ここで、データベース45においては、ビーム形
成計算目的ではクラスタ内端末の位置が”方位”として
表わされることが望ましいが、クラスタ内端末の位置が
ビームの主ローブに対する”オフセット角”として表現
されるべきであることに留意されたい。この場合には、
セルコントローラは、クラスタ内端末の位置をオフセッ
ト角として表現するために、セル内端末の方位(ビーム
の主ローブの方向)とクラスタ内端末の”方位”との間
の差を決定する。6番目のエントリは、基地局から見た
場合のセル内端末の方位、すなわち10fから見た場合
の15f20の方位であり、AZF47によって表現され
ている。
【0056】データベース45中の各々のエントリは、
測定された干渉対信号電力比を反映している。このよう
な比は、端末が最初にサービスを供給された場合にまず
決定され、望むらくは周期的に更新されるものである。
干渉は、図7及び図8に示されていて以下に記述される
方法例に従って測定されることが望ましい。
【0057】図7は、ダウンリンク干渉を測定する方法
例を示している。ブロック201に示されているよう
に、セル5(プライマリセル)の基地局10は、そのセ
ル内の端末15iに向けてダウンリンクビームを放射す
る。この測定に関して基地局10によって生成されるビ
ームは、干渉を減衰させるノッチを有さない”標準的な
パターン”のビームである。さらに、このビームの送信
強度は、端末15iによって受信される信号が通常の動
作に関する強度制御方式に従うように調節される。その
セルのクラスタ内の各々の端末15は、受信された信号
の強度を測定する(ブロック203)。各受信端末は、
その測定をそれぞれのセルコントローラ25に報告する
(ブロック205)。
【0058】各端末に関する所定の受信信号強度を知る
ことによって、セルコントローラは、データベース値の
表現が依拠している干渉対信号強度比を計算する。
【0059】各セルコントローラ25は、干渉測定の結
果をクラスタ内の全てのセルコントローラ宛に通知す
る。このセル間通信はブロック207に示されている。
【0060】決定ブロック209においては、送信側基
地局がそのセル内の各端末15宛に送信したか否かが問
われる。各端末宛に送信し終わっていない場合には、次
の端末が選択され(ブロック211)、プライマリセル
の基地局はその端末宛に送信する。受信信号強度測定
は、クラスタ内の全ての端末に関して反復される。この
ようにして、プライマリセルの基地局10はそのセル5
内の各端末宛に送信し、プライマリセルのクラスタ内の
各端末15はその送信の間に受信信号強度を測定する。
このことにより、プライマリセルの基地局10に係るダ
ウンリンク測定が完了する。
【0061】そのセルに係る全てのダウンリンク測定が
完了すると、ブロック213に示されているように、他
のセルに係る測定が開始され得る。
【0062】アップリンク干渉測定の望ましい実施例が
図8に示されている。ブロック221に示されているよ
うに、”プライマリセル”であるセル5内の端末15i
は、基地局宛に送信する。当該基地局は、標準的なパタ
ーンのアップリンクビームをその端末に向けている。端
末の送信強度は、基地局において受信される強度が通常
の動作に関する強度制御方式に従うように調節される。
ブロック223に従って、プライマリセルクラスタの他
の全てのアップリンクビーム20が、前記送信の間に、
そのビームの対応するセル内の各端末15に対して端末
毎に向けられている。このようにして、プライマリセル
内の単一の端末が送信する際の、そのセル内の各端末が
面しているアップリンクビームによって受信される信号
強度が測定されて記録される。この場合においても基地
局のアンテナの標準的な放射パターンが測定に用いら
れ、必要とされる場合には、セルコントローラは測定結
果を規格化された信号対干渉強度比、すなわち干渉強度
の信号強度に対する比、として表わす。
【0063】プライマリセルを含むクラスタ内のセルコ
ントローラは、測定された情報をクラスタ内の各セルコ
ントローラと共有する(ブロック225)。決定ブロッ
ク227においては、プライマリセル内の全ての端末が
基地局宛に送信したか否かが問われる。送信し終わって
いない場合には、プライマリセル内の別の端末15が送
信するように選択され(ブロック229)、前述の信号
強度測定が反復される。この測定は、プライマリセル内
の各端末15が基地局10宛に送信し終わるまで反復さ
れる。次いで、ブロック231に示されているように、
別なセルがプライマリセルとなり、干渉測定が継続され
る。
【0064】データベース45にストアされたセル内端
末の方位は、地図から求められた方位ではなく、基地局
10と端末15iとの間を伝播する所望の信号の最強マ
ルチパス成分の到達方向の実際の角度に基づいているこ
とが望ましい。端末のアンテナをインストールする際に
は、最適なロケーションを検索してアンテナを受信最良
となるようにチューニングすることが望ましい。このこ
とは、信号の最強マルチパス成分の到達方向を探すため
に基地局のアンテナを走査することによって実現され
る。このような測定に基づき、かつ強度制御方式に従っ
て、各トランスミッタの送信強度が選択される。アップ
リンク及びダウンリンクは相異なった送信周波数を用い
ることが望ましいため、測定は双方の周波数に関して実
行されることが必要であり、ある種の妥協が選ばれる。
【0065】実際的な理由から、セル外端末の方位は地
図から求められた方位に基づいている。地図から求めら
れた方位よりも測定された方位をストアすることが望ま
しいが、この種のデータを求めることは著しく複雑なデ
ータ収集となる。このようなアプローチは、この種のタ
スクの膨大さのために、現時点では実際的ではないと信
じられている。しかしながら、より小さなスケールのシ
ステムに関しては、基地局とクラスタ内端末よりなるあ
らゆる対に関して主要な干渉信号の到達方向の実際の角
度を測定することは実際的である場合がある。
【0066】本発明の望ましい実施例においては、本発
明に従ったTDMベースのFWLシステムは、測定の継
続期間にその目的に割り当てられた時間スロット35を
用いた自動データベース更新のための適切なエレクトロ
ニクス及びソフトウエアを有している。
【0067】データベース45に加えて、各々のセルコ
ントローラ25は、それ自体、セル内及びクラスタ内の
アクティブリンク46に関するリストを管理している。
リスト46は、そのセルの属するクラスタ内の全てのア
クティブリンク、アップリンク及びダウンリンクに関し
て割り当てられた時間スロット、及び(基地局に位置し
ている)アップリンクレシーバ及び(端末に位置してい
る)ダウンリンクレシーバによって認識される干渉対信
号比(TI/S)あるいはその逆数の推定値を含んでい
る。
【0068】セルコントローラ25は、データベースエ
ントリ、クラスタ内のアクティブリンクに係る現時点で
のリスト、及びセル内の各リンクをサポートするために
生成された実際の放射パターンを用いて、セル内のリン
クに係るS/TIを計算する。セル外アクティブリンク
に関しては、セルコントローラ25は、クラスタ内の他
のセルコントローラに依拠しており、セル外アクティブ
リンクに係る識別、それらのリンクに対して割り当てら
れた時間スロット及びS/TIに関する情報の供給を受
ける。このようなセル間通信は、あるセルのセルコント
ローラが他のセル内のリンクに係るS/TIを計算する
ことが不可能である(なぜなら、各セルは独自のクラス
タを有しているからである)ために必要となる。前述さ
れたセル外(かつクラスタ内)情報は、図9に示されて
いるように、入力データS3inによってセルコントロー
ラ25に対して供給される。
【0069】特定のセルのセルコントローラ25は、ク
ラスタ内のアクティブリンクのあらゆる変化が通知され
た場合には、そのリスト46に関してある種のアクショ
ンを取る。例えば、セルコントローラ25は、入力デー
タS2を介して、セル内の端末が送信を終了することを
通知される。それに応答して、セルコントローラは、ブ
ロックS2Pに示されているように、リスト46からそ
の端末に係るアップリンク及びダウンリンクを削除し、
セル内の全てのリンクに係るS/TIを再計算し(ブロ
ック121)、出力データS3outを介してクラスタ内
の他のセルコントローラ宛に削除及び更新されたS/T
I値を通知する(ブロック127)。セルコントローラ
は、同様に、セル外リンクの追加あるいは削除に係る情
報を含んでいる可能性のあるデータ入力S3inを受信す
る。それに応答して、コントローラは、図9のブロック
S3Pに示されているように、リスト46内のエントリ
を更新する。その後、セル内リンクに係るS/TIを再
計算し(ブロック121)、クラスタ内の他のコントロ
ーラ宛に更新された値を通知する(ブロック127)。
【0070】セルコントローラは、それぞれS2P及び
S1Pによって示されているように、そのセル内で新た
なリンクを削除したり設定したりする場合、あるいはデ
ータ入力S3inを介してそのクラスタ内のセル外リンク
の状況の変化の通知を受ける場合には、同一スロットに
対応するアップリンクビームのうちのいずれをも変化さ
せることが可能である(ブロック123)。この種の変
更は、新たなリンクによって引き起こされる干渉を最小
にする目的である。その後、セルコントローラは、セル
内の同一スロットに対応する全てのリンクに係るS/T
Iを再計算する。同様に、コントローラは同一スロット
に対応するダウンロードビームを変更することを決定す
る(ブロック125)。この変更は、新たなリンクを保
護する目的である。セルコントローラは、S3outを介
して、クラスタ内の他のセルコントローラにアップリン
クの更新されたS/TIを通知する。しかしながら、こ
こで記述されている本発明に係る望ましい実施例におい
ては、ダウンリンクビームのS/TIの調整に関しては
他のセルコントローラには通知しない。このことは、コ
ントローラ間のデータフローを制限する目的である。別
の実施例においては、他のセルコントローラに対してダ
ウンリンクビームのS/TIの調整について通知するこ
ともあり得る。
【0071】リンクが追加された場合により明らかであ
るが、セルコントローラは、セル外端末が送信を終了す
る場合であっても、そのビームを変更することが望まし
い。不要なノッチを削除することによってビームを変更
する際に、セルコントローラは必要に応じて新たなノッ
チを生成することを容易にし、それによってシステムの
容量を改善する。
【0072】セルコントローラは、セル内のリンクに係
るS/TI(あるいはその逆数)を計算する際には、デ
ータベースから規格化された信号対干渉信号測定の結果
を利用する。前述されているように、データベース測定
は標準的な放射パターンを用いて、すなわち干渉を緩和
するノッチを有さないビームを用いて得られたものであ
るため、計算されたS/TIは控え目なものである。
【0073】図4に関して既に記述されているように、
サービス要求が受信された場合には、セルコントローラ
25は、適切なスロットを見い出せた場合には、アップ
リンクビーム20に受信スロット、ダウンリンクビーム
21に送信スロット、をそれぞれ割り当てる。セルコン
トローラ25はデータベース45からの情報及びアクテ
ィブリンク46のリストをこの目的のために利用する。
データベース45及びアクティブリンク46のリストに
関し記述したので、以下、セルコントローラがアップリ
ンク及びダウンリンクスロットを割り当てる方法例を記
述する。
【0074】アップリンクスロットに関しては、セルコ
ントローラは、第一時間スロット35i上の提案された
リンクに係る基地局のレシーバにおけるS/TIを推定
する(図10のブロック131)。アップリンクスロッ
トの適切性を決定する際には、セルコントローラ25
は、最強干渉源を含む少数のグループからの干渉を減衰
させるための適切な深さを有する複数個のノッチを有す
るビーム20を生成することがセル5内のアップリンク
形成器40にとって可能であるかを考慮する。
【0075】図5に示されたピークP1のような主ロー
ブのピークとオフセット角AZ1−AZ6に示されてい
るような干渉源の方向における放射パターンのレベルと
の比、という意味での干渉減衰の実現可能な値は、例え
ばアンテナの物理的な配置、ビーム形成器40が減衰さ
せようと試みている干渉源の個数、主ローブに関する干
渉源の角度的な位置、各干渉源の相対強度、及びアンテ
ナの許容度、すなわち実際の構造と電子回路が対応する
ビーム形成器によって知られている情報から異なってい
る程度、等を含む種々の要因に依存している。詳細に述
べれば、位相及び振幅のドリフトは、生成されるノッチ
の深さ及び正確な位置に著しい影響を与える。しかしな
がら、アンテナの構造及び電気的な構成と較正手続きと
が与えられている場合には、”主ローブ”と考えられる
部分から外れたところに少数の干渉源が位置しているた
めにほとんど常に超過されてしまうことになる、”ノッ
チの深さ”に関する単純な最悪ケースにおける下限を設
定することが可能である。例えば、35dbという信号
対干渉信号比が、主ローブ外に位置する干渉源に関して
仮定され、主ローブ内では標準的なパターンが仮定され
る、ということが可能である。
【0076】よって、ある実施例においては、セルコン
トローラ25は、基地局のレシーバにおけるS/TIの
期待値を計算するために、前述されている境界条件を利
用する。基地局のレシーバにおける、データベースに基
づくS/TIの期待値は、S/[ΣJi]として表わさ
れる。ここで、Sは信号強度であり、Jiは標準的なビ
ームパターンが用いられた場合にi番目の干渉源から受
信される強度である。強力な干渉源からなる選択された
グループをファクタβiを用いることによって減衰させ
る目的で、ある方向に関してノッチが形成され得る。β
iiは、ノッチを導入した後に残存している干渉強度で
ある。境界条件が与えられると、βiは各ノッチアウト
された干渉源に関して容易に決定される。それゆえ、フ
ァクタβは境界条件によって規定されたように干渉源強
度のさらなる低下を考慮している。ノッチアウトされな
い干渉源に関してはβ=1である。よって、このように
して得られるTI/Sは[Σβii]/Sである。
【0077】別の実施例においては、仮定されたノッチ
深さを用いる代わりに、セルコントローラ25が後述さ
れている方法を用いて放射パターンを計算する。この方
法においては、ビームを計算するために必要とされる最
適な”重みベクトル”が決定され、S/TIが計算され
る。セルコントローラ25は、計算されたノッチの実現
可能な”深さ”を制限する電気的及び機械的な誤差に関
するある種のマージンを許容することが望ましい。
【0078】決定ブロック133においては、セルコン
トローラは、基地局のレシーバに関して更新されたS/
TIがS/TIのスレッショルド値、すなわち”許容さ
れる”受信のための最小S/TI、以上であるか否かを
調べる。新たなS/TIがスレッショルド値よりも小さ
い場合には、セルコントローラは全てのアップリンクス
ロットがチェックされたか否かをチェックする(決定ブ
ロック134)。全てのスロットがチェックされていて
許容されるものが見い出されなかった場合には(ブロッ
ク135)、その要求は拒否される。それ以外の場合に
は、計算が他のスロットに関して反復される(ブロック
136)。
【0079】計算されたS/TIがスレッショルド値以
上である場合には、セルコントローラは、リンクを追加
することがそのスロットを既に使用している他の基地局
に対して少なくとも一つのリンクの受信が許容され得な
い程度にまで影響を与えるか否かを決定する(ブロック
137)。このことは、クラスタ内の全てのアクティブ
なリンクに関してS/TIを再計算することによって実
現される。この計算を実行するために、セルコントロー
ラ25はそれ自体のリスト46からアクティブなリンク
の各々に係るS/TIを読み出し、対応するデータベー
スエントリに基づいて追加される干渉の効果を決定す
る。考慮されている新しいリンクの追加によるS/TI
の新たな期待値は、1/([ΣJi]/S+Jn/S)で
ある。既に設定されているいずれかのリンクに係る計算
されたS/TIが許容限度を越えて劣化する場合には、
その時間スロットは拒否される。
【0080】追加された端末15の他の端末への影響を
考慮する際、セルコントローラ25は、他の基地局10
が端末15iの干渉効果を最小にすることを企図して放
射パターンにノッチを生成することが可能であるという
ことに依拠しない。その理由は、他のセルコントローラ
がこの種の要求に”リアルタイムで”応答することが不
可能であるからである。よって、セルコントローラ25
は、あるスロットを利用している全てのセル外アクティ
ブリンクがそれらのビームを調節する以前に追加される
と見なされている干渉を許容できる場合にのみ、その受
信スロットを認可する。しかしながら、新たなリンクの
通知の後、影響を受けるセルのセルコントローラは、図
9に係る議論において既に指摘されているように、アッ
プリンクビーム20を変化させることによって、受信さ
れる干渉を低減することが望ましい。
【0081】決定ブロック138においては、既存の全
てのリンクに係るS/TIがスレッショルド値以上であ
るか否かが調べられる。スレッショルド値以上である場
合には、アップリンクスロットが見つかったことになる
(ブロック139)。単一あるいは複数個のリンクに係
るS/TIがスレッショルド値未満である場合には、考
慮されている時間スロットは拒否される。全ての時間ス
ロットが考慮された場合には、サービス要求は否定され
る。チェックされるべき時間スロットが残存している場
合には、次の時間スロットが選択され(ブロック13
6)、その時間スロットに係るS/TIが前述されてい
るように計算されて処理される。
【0082】セルコントローラ25は、ダウンリンクス
ロットを考慮する際にも本質的に同様の段階を実行す
る。まず、候補となった時間スロットに関して端末のレ
シーバにおけるS/TIが計算される(ブロック13
1)。端末のレシーバにおける干渉は、他の基地局によ
って引き起こされる。セルコントローラは、要求側端末
を利する目的で他の基地局がノッチを追加することによ
ってダウンリンクビームを変化させることが可能である
という事実に依拠しない。それゆえ、計算されたS/T
Iはデータベースに基づくものである。
【0083】候補となったスロットに係るレシーバにお
ける計算されたS/TIがスレッショルド値以上である
場合には、セルコントローラは、さらに、そのスロット
で受信状態にあるクラスタ内の全ての端末15が基地局
の送信による新たな干渉を許容しうることを確認する。
このことに関しては、セルコントローラ25はデータベ
ース45から得られた値を用いて影響を受けた後のS/
TIを計算する。必要な場合には、セルコントローラ
は、それ自体のビーム形成器が複数のノッチを生成する
ことが可能であるという事実を利用する。これらのノッ
チの深さは境界条件を用いて控え目に見積もることが可
能である。
【0084】全ての計算及び比較は、適切なスロット対
が見い出されるまで、あるいは全ての時間スロットがチ
ェックされて適切なスロット対が見い出されない状態に
なるまで、反復される。セルコントローラ25は、要求
を満たすスロット対を見い出した場合には、ビーム形成
器40に選択されたスロットにおいて受信及び送信ビー
ムを生成するように指示する。それ以外の場合には、要
求側端末はアクセスが拒否される。
【0085】これまでに幾度となく参照されたビーム形
成の詳細が以下に記述される。ビーム形成器40は、シ
ステムの遅延を回避するために、それぞれの計算を高速
に行なわなければならない、ということに留意された
い。各ビーム形成器に関しては、専用の強力なマイクロ
プロセッサが必要とされる。
【0086】セルコントローラ25は、各ビーム形成器
40に、ビーム形成に必要とされる特別な情報を供給す
る。より詳細に述べれば、端末15iへの送信のための
ダウンリンクビーム21の放射パターンを計算するため
に、ビーム形成器40には、 (i) 端末15iの方位; (ii) (主ローブに関して測定された)回避すべ
き位相オフセット角よりなるリスト(空である場合があ
る);及び、 (iii) 各位相オフセット角に係る送信抑圧の相対
的な重要度を表わす数値;が供給される。端末15i
らの送信を受信するアップリンクビーム20の放射パタ
ーンを計算するためには、ビーム形成器40には、 (i) 端末15iの方位; (ii) ”ノッチアウト”するべき位相角よりなる
リスト(空である場合がある);及び、 (iii) 上記リスト中の全ての干渉源に係る、デー
タベース45から得られた予想強度。
【0087】双方の放射パターンの計算は、後に記述さ
れる方法例に従ってなされる。計算は非常に類似してお
り、その差異は、ダウンリンクに関しては”各位相オフ
セット角に係る送信抑圧の相対的な重要度を表わす数
値”が単純な単調増加変換関数によって”仮想干渉源強
度”としてまず表現されなければならない、ということ
である。例えば、ダウンリンクビーム形成器40に対し
て供給されるリスト中に現れるリンクA及びリンクBを
考える。リンクAでの受信はわずかなマージンしか有し
ていないが、リンクBでの受信は良好、すなわちより高
いS/TI比を有している。リンクAに対応する仮想干
渉源強度により、リンクAの方向に関してはリンクBの
方向よりも比較的深いノッチが生成される。ここで、こ
のような機能は種々の考慮すべき事項の中でもとりわけ
基地局アンテナの特定のコンフィグレーションに依存し
ており、アンテナ設計者によって選択されるものである
ことに留意されたい。当業者であれば、このような機能
の選択はその能力の範囲にある。
【0088】計算の結果は、重みベクトルWである。計
算されたベクトルはストアされ、後のフレーム30にお
いて同一の時間スロット35中で再利用される。ビーム
形成計算の結果得られるノッチにより、レシーバにおけ
るS/TIが、干渉値としてより低い境界条件の信号を
用いたスロット割り当てにおいて推定されたS/TI以
上になることに留意されたい。
【0089】ビーム形成操作は、後に図12−15に関
連してより詳細に記述される。記述を容易にする目的
で、本発明に従った基地局アンテナの望ましいコンフィ
グレーションが記載される。端末のアンテナに関しても
記述される。
【0090】各端末151-Nに配置されているアンテナ
は、小さく、安価であってかつインストールが容易であ
ることが望ましい。単純さへの希望がある一方、ある種
の実施例においては、端末のアンテナは機械的に調節可
能であって、一方向あるいは二方向に放射パターンのデ
ィップを実現することが可能である。この理由は、干渉
電力の大部分は、通常、単一の干渉源から到達するもの
であるからである。よって、干渉源は、概して、主たる
干渉源あるいは被干渉源と考えられる基地局の塵的な位
置に基づくインストール時の調節によって減衰され得
る。
【0091】ある実施例においては、端末のアンテナは
2つのパーツより構成されており、パーツ間の間隔が機
械的に調節され得るようになっている。このようなアン
テナは、ノッチを取り囲んでいる、ある限られた角度範
囲に亘って機械的に調節され得る可変幅主ローブを有し
ている。前述された目的を達成するためのその他の物理
的な配置は当業者には公知である。
【0092】基地局のアンテナは、端末のアンテナより
もかなり複雑である。基地局のアンテナは、同時にN個
の送信ビームとN個の受信ビームを生成することが可能
な位相アレイアンテナ(フェーズアレイアンテナ)であ
る。送信及び受信ビームは、ビーム形成器40の制御下
で、水平面内のあらゆる方向に独立して向けることが可
能である。方位に関して調節される場合には、ビームは
垂直面内でほぼ一定のビーム幅を保持する。ビーム幅
は、3dB点において、15度から20度の角度である
ことが望ましい。平坦な領域においては、より狭い垂直
方向のビーム幅を有するビームも用いられ得る。
【0093】基地局のアンテナ10は、半径Rの仮想垂
直円柱の表面に取り付けられて垂直方向に配置された放
射エレメント(ラジエータエレメント)を有する平面環
状アレイとして配置されていることが望ましい。これら
のラジエータの中心は揃えられており、水平面内で環を
規定している。各ラジエータエレメントは、例えばある
基本ラジエータよりなる垂直コリニアアレイである。水
平面内でのラジエータエレメントの放射パターン例が図
11に示されている。図11に示されたパターンは、4
つのパッチアンテナよりなる垂直アレイの測定パターン
である。実際には、アンテナの大きさは、周波数、不動
産及び費用に係る考察によって規定される。平面環状ア
レイ以外のコンフィグレーションも用いられ得る。
【0094】個々のラジエータの指向性を完全に活用し
てかつ円柱内に配置されるハードウエア及びハーネス由
来の影響を最小にする目的で、全ラジエータのうちのわ
ずかのものがビームを生成するように活性化される。活
性化されたラジエータは希望されるビームの方向に面し
たセクタを占有し、環状構造の中心を通って主ローブの
希望する方向へ向かう線のいずれかの側にほぼ等しく配
置されている。本明細書においては、アクティブラジエ
ータを含むセクタをビームの”アクティブセクタ”と呼
称する。アクティブセクタの角度幅αは、個々のラジエ
ータの選択された放射パターンと円柱アレイに存在する
ラジエータの数によって最適化されるべき設計パラメー
タである。
【0095】以下、アップリンクビームの”標準パター
ン”を生成する方法が記述される。図12のブロック1
41に示されているように、アンテナ出力におけるS/
TIを最適化する重みベクトルWが生成される。その計
算方法に関しては、後に詳述される。計算においては、
基地局10のアンテナは、図13に示されているよう
に、水平面内に配置された大きな円の中心に配置されて
いると仮定されている。数多くの(I個の)均一強度雑
音源301が円の円周にそって等間隔で配置されてお
り、明確なウィンドウ領域303を除いてこれらの雑音
源が円周全域をカバーしている。領域303には雑音源
はなく、希望する信号である単一の信号源305が領域
303の中心に配置されている。ウィンドウ領域303
の幅は、最適化されるべき設計パラメータである。この
種の最適化は、例えば、ウィンドウ幅のいくつかの値に
関して後述される最適重みベクトル決定計算法を適用
し、最良S/TIを与えるものを選択することによって
実行される。
【0096】図12のブロック143に示されているよ
うに、最適重みベクトルはストアされ、後のフレームに
おける同一時間スロット35において用いられる。ブロ
ック147に従って、S/TIが計算されてセルコント
ローラ25に供給され、最終的にはクラスタ内の他のセ
ルコントローラにも供給される。同時に、図16−18
に関連して記述されているビーム形成エレクトロニクス
がビームを形成する(ブロック149)。図14は、重
みベクトルWがビームを生成するために用いられる様子
を概念的に表わした図である。
【0097】図14に示されているように、K個の放射
アンテナエレメントによって受信された信号S1−S
kが、乗算器423によってベクトルWの対応する成分
と乗算され、それらの総和が取られて、アンテナ出力に
おいてS/TIを最適化する放射パターンが生成され
る。
【0098】前述されているように最適S/TIを生成
することにより、データベース45に係る測定に関して
前述された”標準”放射パターンが得られる。標準放射
パターンを有するビームは、特定の干渉源の位置及び強
度を考慮することなく、数多くの背景干渉源301を取
り扱う。より望ましい実施例においては、特に強い一群
の干渉源の位置及び相対強度が既知である場合には、そ
れらは、最適重みベクトルの導出の際に、数多くの均一
強度干渉源301に加えて考慮される。このような特定
の干渉源が図15に示されている。
【0099】ダウンリンクビーム21に関する重みベク
トルを生成する際にも、本質的に同一の方法が用いられ
る。前述されているように、その方法は、仮想信号源が
希望する送信方向に配置されており、仮想干渉源が回避
されるべき干渉信号生成がなされる方向に配置されてい
る、という点において異なっている。仮想干渉源の強度
は、その方向への送信の最小化についての重要性を反映
している。
【0100】それぞれの方向への仮想干渉源の配置に応
答して、ビーム形成器40はそれらの方向にノッチを有
するビームを生成する。各々のノッチの深さは、仮想干
渉源の強度を反映している。ここで、理論的にはノッチ
の深さ(ビームの主ローブに対する相対値をdBで表現
したもの)は無限であるが、実際にはノッチの深さは制
限される、ということに留意されたい。特に、ノッチの
深さは、マルチパス伝播、導電体からの反射等の伝播の
不規則性によて制限される。さらに、前述されているよ
うに、ノッチの深さはアンテナの許容度によっても制限
される。
【0101】最適なWが決定された後、S/TIが計算
される。以下、アンテナ出力においてS/TIを最適化
する重みベクトルWの決定方法例が記述される。
【0102】水平面内における各ラジエータの放射パタ
ーンをg(Φ)とする。ここで、前記フェーズアレイ
は、円弧に沿って配置されたK個のラジエータよりなる
ものとしている。水平面内において角度Φに位置する信
号源からラジエータkによって受信される信号の振幅
は、量Sk(Φ)に比例する。ここで、位相参照点は半
径Rの円の中心である:
【数1】
【0103】アレイ全体によって受信される信号電圧
は、
【数2】 となる。ここで、Wkはk番目のラジエータの複素重み
である。この内積は、2つの列ベクトルの乗算によって
表現され得る:
【数3】 ここで、W’はWの転置行列を表わしている。
【0104】少数の主要な干渉源が存在すること、そし
てアンテナが配置されている領域におけるそれらの角度
位置及び電界強度が正確に知られている、ということが
仮定される。これらの主要な干渉源に加えて、多くの”
背景”干渉源も存在する。背景干渉源は個別には考慮さ
れない。ビーム合成のために、それらは均一に配置され
た同一強度干渉源によって置換される。全ての干渉源の
間には相関がないものと仮定される。
【0105】干渉源の総数はIによって表現される。よ
って、k番目のラジエータによって受信される雑音電圧
は、
【数4】 となる。さらに、総干渉源電圧は、
【数5】 である。よって、干渉源強度の期待値は、
【数6】
【0106】ここで、各文字の上部に付された線は、そ
れぞれの文字の表わす値の複素共役を意味している。干
渉源が無相関である場合には、
【数7】 であるから、干渉源強度は
【数8】 のように書き表される。これらを行列の形で簡潔に書き
表すと、
【数9】 となる。ここで、W*は、Wの複素共役の転置行列を表
わしている。Mの各要素は、
【数10】 によって表わされる。よって、信号対干渉信号比S/T
Iは、
【数11】 によって表わされる。S/TIは、重みベクトルが
【数12】 のように選択されている場合に最大値に達する。最適の
重みベクトルを見い出すことは、K×K行列の各項を計
算してそれの逆行列を計算することを必要とする。しか
しながら、単一の干渉源が付加されるあるいは削除され
る場合には、その行列は、後に記述される本発明に従っ
た”高速”アルゴリズムを用いて修正され得る。
【0107】Woptが見い出されると、放射パターンは
【数13】 から計算される。次いで、Woptを用いてS/TIが計
算される。
【数14】 であるため、
【数15】 F(Φ)は電力比であり、10Log(F(Φ))によ
ってdB単位に変換される。このアプリケーションにお
いては、−δ≦Φ≦δである。ここで、2δは2つのラ
ジエータ間の角度である。ビームをこの限定された範囲
外に動かす必要がある場合には、新たな活性範囲が選択
される、すなわちいくつかの(可能であれば全ての)ラ
ジエータが他のものによって置換される。
【0108】方向(Φ,θ)において位相アレイによっ
て生成される電界は
【数16】 と表わされる。ここで、
【数17】 であり、
【数18】 である。式A16及び式A17を式A15に代入するこ
とにより、
【数19】 が得られる。方向(Φ,θ)へのアンテナの指向性は、
【数20】 を決定することによって計算される。例えば、Sureau e
t al., "Sidelobe Control in Cyrindrical Arrays", I
EEE Trans. Ant. Prop., Vol.AP-30, no.5, 1982及びAp
plebaum, "Adaptive Arrays", IEEE Trans. Ant. Pro
p., Vol.AP-24, no.5, 1976等を参照のこと。
【0109】具体例 水平面内において環状に0.55λの間隔を有して配置
された3K=96個のエレメントよりなるアンテナアレ
イを考える。ビームは、これらエレメントのうちの1/
3のみを活性化することによって生成される。32個の
活性化されたエレメントは、所定の信号源の位置に面し
た120度の蹄鉄状に配置されている。信号源はΦ=0
のところに位置している。
【0110】それゆえ、k番目のアンテナエレメントは
【数21】 に位置していることになる。アンテナエレメントを保持
している円柱の半径RはR=8.4033λである。計
算量は、干渉源を2群に分類することによって低減され
得る。第一群は、その正確な位置及び強度が既知である
ような少数の主要な干渉源である。これらの主要な干渉
源は、それぞれ個別に取り扱われる。第二群に属する干
渉源は、アンテナの周囲にそれぞれwラジアンの”クリ
アウィンドウ”を有して一様に配置されている数多くの
均一強度干渉源と考えることができる。全ての干渉源
は、互いに相関がないと仮定されている。全ての干渉源
は同一の雑音電力、nj、を有しており、ここではその
値を1と仮定する。2つの干渉源の間の角度は、(2π
−w)/Iラジアンである。i番目の干渉源は、
【数22】 に位置している。”クリアウインドウ”は、Φ=0の両
側でそれぞれ1つの干渉源の強度を0に設定することに
よって生成される。ここで、wは2(2π/100)に
等しい。式A16及び式A17を式1に代入すると、
【数23】 選択されたパラメータに関しては、I>100の場合に
得られる放射パターンは実質的にIに依存しない。それ
ゆえ、Iは100とする。
【0111】関数g(Φ)が規定されなければならな
い。この実施例においては、”パッチアンテナ”に係る
測定された放射パターンへの解析的な近似が用いられ
る:
【数24】 式A22を式A21に代入し、式A21を式A10に代
入することによって、共分散行列Mが得られる。Wopt
呼び電界F(Φ)は式A13から計算される。
【0112】N個の強い干渉源よりなるグループがあ
り、それぞれの干渉強度nj 2;j=1,...,Nが与
えられた角度位置に存在することが知られているような
ケースに係る最適重みベクトルを見い出す目的で、対応
する項が行列Mの要素に対して追加される(式A1
0)。計算は、前述された手順に従って進められる。そ
の結果得られた放射パターンが図5に示されている。
【0113】強い干渉源の強度が背景雑音を表わす干渉
源からの全体としての強度よりも大きくない場合には、
修正された放射パターンは、強い干渉源の”極近傍”に
鋭いノッチが現れることを除いて、オリジナルの(すな
わち強い干渉源がない場合の)パターンに極めて似てい
る。
【0114】図5は、前述されたアルゴリズムに従っ
て、98個の”弱い”干渉源(すなわち、クリアウィン
ドウを生成する目的で100個のうちの2個の干渉源が
除かれている)及び、同一強度でかつその配置されてい
る位置が図示されているように規定されている6個の”
強い”干渉源が存在する場合に生成された放射パターン
を示している。図16は、強い干渉源の強度が独立変数
である場合のS/TI比を示している。信号強度は、ま
ず強い干渉源が存在しない場合に設定され、S/TI比
として30dBが得られている。この図から明らかであ
るが、図中で参照番号90で示されているように、”強
い”干渉源の強度の増加を補償する目的でアンテナビー
ムを調節すると、S/TI比は非常にゆるやかに劣化す
る。その一方で、Wが固定されている、すなわち調節が
なされない場合には、S/TIは急速に劣化する(参照
番号94)。
【0115】次に、ベクトルWの計算の問題に戻る。与
えられたリンクに関する著しい干渉源の組は比較的頻繁
に変化するため、Wはしばしば再計算されなければなら
ない。よって、本発明の望ましい実施例においては、単
一の干渉源が追加あるいは削除された場合に既存のビー
ムを再計算するための”ショートカット”すなわち”高
速”方式が用いられる。この種の高速方式が以下に記述
される。
【0116】前述されているように(例えば式A1
2)、Woptの計算には、K×Kの正方行列である行列
Mの逆行列計算が含まれる。Kが大きい、すなわち数多
くのラジエータが存在する場合には、この計算は莫大な
量となる。しかしながら、行列Mが既知である場合に
は、単一の干渉源を追加あるいは削除する目的でこの行
列Mを修正することは、単純化された方法を用いて実行
され得る。本発明に係るショートカット方式は、以下の
定理を利用している:行列AがA=B+αUV’、 こ
こで、U及びVは縦行列;のように書き表せる場合に
は、 A-1=B-1−λαYZ’ となる。ここで、 Y=B-1U;Z’=V’B-1;及び、λ=1/(1+α
Z’U) である。前述された導出に基づいて、行列Mは、
【数25】 のように書き表される。ここで、S(Φj)は列ベクト
ルである:「S1(Φj)S2(Φj) ... S
K(Φj)]’;conj(S)はSの複素共役であり、
S’(Φ)はS(Φ)の転置行列である。Nは”ノッチ
アウト”されるべき追加された干渉源の数、Φj(j=
1,...,N)はそれらの位置、及びnj 2はそれぞれ
の対応する強度である。Mは修正された行列であり、M
ncは元の干渉環境において用いられた行列である。
【0117】前述されているように、 W=M-1conj(S(Φ)) よって、j番目の干渉源を追加あるいは削除すること
は、行列Mが以下のように修正されることを意味してい
る: M(k)=M(k-1)+βkj 2conj(S(Φj))S’(Φj) ここで、M(k)はk番目の段階(すなわち、j番目の干
渉源の追加/削除の次の段階)の後に用いられる行列;
(k-1)は(k−1)番目の段階において用いられる行
列(すなわち元の行列);βkは干渉源の追加の場合に
は+1、削除の場合には−1;である。新しい行列Mに
関する逆行列計算は、以下のようになされる: M(k)-1=M(k-1)-1−λαYZ’; ここで、 Y=M(k-1)-1U;U=conj(S(Φj)); Z’=V’M(k-1)-1;V=S’(Φj); λ=1/(1+αZ’U);α=βkj 2; であり、 Wk=M(k)-1conj(S(0)) である。この方式は、(3K2+2K)回の乗算を必要
とする。
【0118】本発明のより望ましい実施例においては、
上記高速方式が以下の置換によってさらに短縮される。
なぜなら、V=conj(U’);M=conj
(M’);Z=conj(Y’)であるから、最適ベク
トルは以下の量を決定することによって直接計算され得
る: 1.α=βn2 2.Y=M(k-1)U 3.λ=1/{1+αconj(Y’)U} 4.M(k)-1=M(k-1)-1−λαYconj(Y’) 5.W(k)=W(k-1)−λαYconj(Y’)conj
(S(0)) ここで、W(k)はk番目の段階において用いられる新た
な最適重みベクトルであり、W(k-1)は(k−1)番目
の段階において用いられる最適ベクトルである。
【0119】この方式は、おおよそ(2K2+4K)回
の乗算と(2K2+3K)回の加算とを必要とする。一
方、最適Wを見い出す目的で行列Mを計算してその逆行
列をとる直接法は、おおよそ(K2+K+O(K3))回
の乗算を必要とする。
【0120】基地局10における信号受信、ビーム生成
及び信号送信に係る重要なエレクトロニクスの一部が図
17−19に示されている。これらの図においては、本
発明の理解に関して本質的ではない種々のコンポーネン
ト、例えばフィルタ、IF増幅器等、が省略されている
ことに留意されたい。これらの図面は本発明の理解を助
ける目的であって、本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0121】図17は、本発明に従ったマルチビームシ
ステムに係る基地局用送信(ダウンリンク)エレクトロ
ニクスを示したブロック図である。N個の送信モデム4
01(IF周波数で動作することが望ましく、それぞれ
端末15への送信が企図された信号Siを生成する)が
含まれる。Nの値は、送信(ダウンリンク)ビームDB
1−DBNの個数である。信号S1-Nは、N個の電力分
配器403にそれぞれ供給される。電力分配器403
は、各信号SiをK個のチャネルCjに分割する。
【0122】K個のチャネルCjよりなるN個のグルー
プは、K個の乗算器405よりなるN個の乗算器バンク
宛に送出される。乗算器は、各チャネルCjに、N個の
位相及び振幅コントローラ429によって生成されたK
個の正弦波のうちの適切な一つを乗算する。各正弦波の
振幅及び位相は、重みベクトルの適切な成分によって指
定される。重みベクトルWは、セルコントローラ25の
制御下でダウンビーム形成器40aのうちの一つによっ
て計算される。
【0123】各ビームに関して上記演算の結果得られる
K個のチャネルCOjは、ダウンリンク交換及び総和複
合体407宛に送出される。複合体407は、セルコン
トローラ25の制御下で、K個のチャネルCO1−COK
よりなるグループの各々をK個の隣接していてかつ重な
りを有する可能性のあるラジエータチャネルCR1−C
K宛にルーティングする。ラジエータチャネルは全て
アップコンバータ408に供給される。アップコンバー
タ408は、交換及び総和複合体407の出力を送信周
波数へとアップコンバートする。アップコンバータは、
ミキサバンク409、電力分配器433及び局部発振器
すなわちシンセサイザ431とからなる。共通のシンセ
サイザ431が用いられることに留意されたい。
【0124】アップコンバータラジエータチャネルは、
ラジエータ1つ当たりに1つずつのM個の電力増幅器4
11よりなるバンクへ供給される。Mは、位相アレイア
ンテナを構成しているラジエータの総数である。増幅さ
れたチャネルは、アンテナラジエータ1つ当たりに1つ
ずつのM個のダイプレクサ413よりなるバンク宛に送
出される。ダイプレクサは、これらのチャネルをK個の
アクティブなラジエータ宛にルーティングする。
【0125】図18は、本発明に従った多重ビームシス
テムにおける受信(アップリンク)エレクトロニクスを
示している。ラジエータ415によって受信された信号
は、ダイプレクサバンク413を介してM個の低雑音増
幅器417よりなるバンクへ伝達され、さらにダウンコ
ンバータ418へ伝達される。ダウンコンバータ418
は、交換及び分割複合処理目的で、受信された信号の周
波数をダウンコンバートする。アップコンバータ408
と同様、ダウンコンバータは、ミキサバンク419、電
力分割器437及び局部発振器すなわちシンセサイザ4
35を有している。アップコンバータ408の場合と同
様に、シンセサイザ435は共用されている。
【0126】アップリンク交換及び分割複合体421
は、セルコントローラ25の制御下で、K個の隣接する
ラジエータよりなるN個のグループからの信号を適切な
ビームエレクトロニクス宛にルーティングする。K個の
乗算器よりなるN個のバンクは、各々それぞれのビーム
に対応するK個の信号を、N個の位相及び振幅コントロ
ーラ439によって生成されたK個の正弦波のうちの適
切なものと乗算する。各正弦波の振幅と位相は、重みベ
クトルWの適切な成分によって指定されている。この成
分は、セルコントローラ25の制御下でアップリンクビ
ーム形成器40bのうちの一つによって計算される。
【0127】アップリンクビームUB1−UBNよりな
るK個の信号は電力合成器425に供給され、電力合成
器425は合成済み信号をN個の受信モデム427のう
ちのそれぞれ一つに対して供給する。
【0128】図19は、位相及び振幅コントローラのア
ーキテクチャ例を示した図である。位相及び振幅コント
ローラは、各々、K個のダイレクトデジタルシンセサイ
ザ(DDS)441を有している。各DDS441は正
弦波を生成し、その位相及び振幅は、対応するビーム形
成器40b、40aによって生成されたアップリンクあ
るいはダウンリンクビームに係るK個の信号BFS1-K
のうちの適切な一つによって制御される。K個のDDS
よりなるバンクには、共通のクロックラインCLを介し
てクロック信号が供給され、共通のリセットラインRL
を介してリセット信号が供給される。バンドパスフィル
タ443は、ミキサ423へ送出された信号が不要なス
プリアス成分を含まないことを保証する。増幅器445
は、DDSによって生成された信号を増幅する。
【0129】以上の説明は、本発明のいくつかの実施例
に関するもので,この技術分野の当業者であれば、本発
明の種々の変形例が考え得るが、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
【0130】例えば、本発明に係る”オープンループ”
方式と共に種々の方式が用いられ得る。この一例は、信
号が空中に送出された後に、受信される信号のS/TI
を改善する試みとして”適応ビーム形成”を用いること
である。適応ビームは、各受信ビームに係る指定された
レシーバによって駆動されるクローズドループ適応アル
ゴリズムを用いることによってインプリメントされ得
る。この種のクローズドループアルゴリズムは当業者に
は公知である。このような方式は、個々のラジエータを
サポートしているエレクトロニクス回路において発生し
うるドリフトを抑制する目的での基地局のアンテナシス
テムの頻繁な較正の必要性を回避することが可能であ
る。この種の実施例における別の特徴は、リンクパラメ
ータの経時的な変化に適応ビームが追従できるというこ
とである。
【0131】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明によれば、他
のトランスミッタからの干渉を低減しかつ他のレシーバ
への干渉を低減したTDMベースの固定無線ループシス
テム及びその実現方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従うセルラFWLシステムの模式
図。
【図2】 図1に示されたシステムのセルの一つにおけ
る基地局によって生成されるビームを示す模式図。
【図3】 フレーム構造例を示す図。
【図4】 複数のセルコントローラの動作を示す流れ
図。
【図5】 ビーム放射パターン例を示す図。
【図6】 相異なったセルにおける2つの回線及びそれ
らの間の干渉の可能性を示す模式図。
【図7】 ダウンリンク干渉を測定する方法例を示す流
れ図。
【図8】 アップリンク干渉を測定する方法例を示す流
れ図。
【図9】 クラスタ内回線における変更を知らされた場
合のセルコントローラの動作を示す流れ図。
【図10】 アップリンク及びダウンリンクタイムスロ
ットを検索する方法例を示す図。
【図11】 放射器の放射パターン例を示す図。
【図12】 ビーム形成器の動作を示す流れ図。
【図13】 背景干渉源のみを含むビーム形成環境を概
念的に示す模式図。
【図14】 アンテナ出力において最適の信号対総干渉
信号比を有する放射パターンを実現するための最適の重
みベクトルの対応する成分と放射信号との乗算を模式的
に示す図。
【図15】 複数個の強い干渉信号源を有する場合のビ
ーム形成環境を概念的に示す模式図。
【図16】 強い干渉源のみを除去した場合の信号対干
渉信号比への影響を示す図。
【図17】 本発明に従うマルチビームFWLシステム
におけるダウンリンク用エレクトロニクス回路例を示す
図。
【図18】 本発明に従うマルチビームFWLシステム
におけるアップリンク用エレクトロニクス回路例を示す
図。
【図19】 位相及び振幅コントローラのアーキテクチ
ャ例を示す図。
【符号の説明】
5 セル 10 基地局 15 移動体端末 20 アップリンクビーム 21 ダウンリンクビーム 25 セルコントローラ 30 フレーム 31 プリアンブル 32 ユーザ識別及び同期情報 33 ペイロード 34 35 時間スロット 40 ビーム形成器 45 データベース 46 アクティブリンクリスト 301 背景均一強度干渉源 303 ウィンドウ領域 305 希望する信号源の方向 307 放射アンテナエレメント 311 強力な干渉源 401 送信モデム 403 電力分配器 405 乗算器 407 交換及び総和複合体 408 アップコンバータ 409 ミキサ 411 電力増幅器 413 ダイプレクサ 415 ラジエータ 417 低雑音増幅器 418 ダウンコンバータ 419 ミキサ 421 アップリンク高官御呼び分割複合体 423 乗算器 425 電力合成器 427 受信モデム 429 位相及び振幅コントローラ 431 局部発振器 433 電力分配器 435 局部発振器 437 電力分配器 439 位相及び振幅コントローラ 441 ダイレクトデジタルシンセサイザ 443 バンドパスフィルタ 445 増幅器
フロントページの続き (73)特許権者 596077259 600 Mountain Avenue, Murray Hill, New J ersey 07974−0636U.S.A. (72)発明者 サンジャイ カストゥリア アメリカ合衆国、07748 ニュージャー ジー、ミドルタウン、トリンブルフォー ド レーン 3 (72)発明者 セオドア シザー セカンド アメリカ合衆国、07739 ニュージャー ジー、リトル シルバー、ブランチ ア ベニュー 385 (72)発明者 レイナルド エー.バレンズエラ アメリカ合衆国、07733 ニュージャー ジー、ホルムデル、パトリッジ ラン 17 (72)発明者 グレゴリー アラン ライト アメリカ合衆国、07722 ニュージャー ジー、コルツ ネック、カウンティ ロ ード イースト 161 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 7/24 - 7/26 102 H04Q 7/00 - 7/38 H01Q 3/26

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビームは通信リンクをサポートしてお
    り、強い干渉源よりなる特定の一群が前記通信リンクに
    対して著しい干渉を与えかつ前記通信リンクから著しい
    干渉を受けており、前記方法が、 (A) 前記通信リンクが受ける相互干渉レベル及び前
    記通信リンクによって引き起こされる相互干渉レベルに
    係るデータをストレージより読み出す段階と、ここで、
    前記データは干渉測定によって周期的に更新される、 (B) 前記段階(A)において読み出されたデータに
    基づいてアンテナ出力におけるアンテナビームの信号対
    総干渉信号比を最適化する第一最適重みベクトルを計算
    する段階と、ここで、前記第一最適重みベクトルはある
    個数、K個、の成分よりなり、当該個数Kは前記アンテ
    ナビームの構成に係るアクティブ放射アンテナエレメン
    トの個数に等しい、 (C) 前記K個のアクティブ放射アンテナエレメント
    の各々から受信された複数個の信号の各々あるいは前記
    K個のアクティブ放射アンテナエレメントの各々に対す
    る信号の各々に前記第一最適重みベクトルの対応する成
    分を乗算する段階とを有することを特徴とするビーム形
    成方法。
  2. 【請求項2】 前記段階(A)において、セルコントロ
    ーラが前記データをストレージから読み出してそれをビ
    ーム形成器に供給することを特徴とする請求項第1項に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記段階(B)において、前記ビーム形
    成器が前記第一最適重みベクトルを計算することを特徴
    とする請求項第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記段階(B)が、さらに、前記複数個
    の信号の個数に対応する複数個の正弦波を生成する段階
    を有し、ここで、各々の正弦波の振幅及び位相は、前記
    第一最適重みベクトルの対応する成分によって決定され
    ることを特徴とする請求項第3項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記段階(B)において、最適重みベク
    トル、Wopt、が以下の表式に従って計算され、 【数26】 ここで、Mは干渉源の共変行列であり、 S(Φ)は各々の成分が前記アクティブ放射アンテナエ
    レメントによって受信される信号あるいは前記アクティ
    ブ放射アンテナエレメント宛の信号に対応するベクトル
    であり、 Φは所望の主ローブの方向であることを特徴とする請求
    項第1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記第一最適重みベクトルの計算の後に
    単一の干渉源が前記干渉源の特定の一群に対して追加さ
    れるあるいはそれから削除され、 第二最適重みベクトルが前記第一最適重みベクトルに基
    づいて以下の表式に従って計算され、 【数27】 ここで、W(k)は前記単一の干渉源を考慮した場合の最
    適重みベクトルであり、 W(k-1)は前記第一最適重みベクトルであり、 【数28】 S(Φj)は各々の成分が前記アクティブ放射アンテナ
    エレメントによって受信される信号あるいは前記アクテ
    ィブ放射アンテナエレメント宛の信号に対応するベクト
    ルであり、 Φjは干渉源の方位であり、 conj(S)はSの複素共役であり、 βkは干渉源が追加される場合には+1であって干渉源
    が削除される場合には−1であり、 nj 2は干渉源の強度であることを特徴とする請求項第5
    項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 コンピュータによって読み出し可能な記
    録媒体において、 当該記録媒体は、プログラマブルコンピュータと共に用
    いられる符号化済み読み出し可能プログラムインストラ
    クションを有しており、 前記プログラムインストラクションは、前記コンピュー
    タに第一最適重みベクトルを計算させ、 前記第一最適重みベクトルは、位相アレイアンテナの放
    射器によって受信された信号あるいは当該位相アレイア
    ンテナの放射器宛の信号の対応するものに対して乗算さ
    れた場合に当該位相アレイアンテナによって生成される
    アンテナビームの信号対総干渉信号比を最適化すること
    を特徴とする読み出し可能記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記記録媒体が、さらに、前記第一最適
    重みベクトルの前記計算の際に生成された情報及び前記
    第一最適重みベクトル計算が依拠した一群の干渉源に対
    する単一の干渉源の追加あるいは削除に係る情報を用い
    て第二最適重みベクトルを高速に前記コンピュータに計
    算させる符号化済みコンピュータ読み出し可能プログラ
    ムインストラクションを有していることを特徴とする請
    求項第7項に記載の読み出し可能記録媒体。
  9. 【請求項9】 端末の第一通信リンク上での基地局宛の
    アップリンク伝送を容易にするための前記基地局におけ
    るアップリンクビームを生成する方法において、当該方
    法が、 (A) 前記第一通信リンクの前記アップリンクが引き
    起こす干渉及び前記アップリンクが受ける干渉に基づい
    て前記第一通信リンクに対して割り当てられた第一時間
    スロットにおける前記アップリンクビーム生成要求を受
    信する段階と、 (B) 前記端末の方位及び前記干渉源からの前記干渉
    の前記受信された方向に対応する前記アップリンクビー
    ムの主ローブに関して測定した位相オフセットのリスト
    を獲得する段階、及び、さらに、前記位相オフセットの
    前記リストにおいて表現された全ての干渉源からの予想
    される電力を受信する段階と、 (C) 前記干渉源から受信される前記干渉を減衰する
    ノッチを有するビームを生成する段階とを有することを
    特徴とするビーム形成方法。
  10. 【請求項10】 前記方法が、さらに、前記基地局にお
    いて前記基地局による前記端末宛の送信を容易にするダ
    ウンリンクビームを形成する段階を有し、 (D) 前記第一通信リンクの前記ダウンリンクが引き
    起こす干渉及び前記ダウンリンクが受ける干渉に基づい
    て前記第一通信リンクに対して割り当てられた第二時間
    スロットにおける前記ダウンリンクビーム生成要求を受
    信する段階と、 (E) 前記端末の方位及び回避すべき位相オフセット
    のリストを獲得する段階;及び、さらに、各位相オフセ
    ットに係る送信抑圧の相対的な重要性を表わす量を受信
    する段階と、 (F) 前記段階(E)においてリストされた前記位相
    オフセットへ送信される前記信号を減衰させるノッチを
    有するビームを生成する段階とを有することを特徴とす
    る請求項第9項に記載の方法。
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