JP3084515U - 樹脂射出成形用ノズル - Google Patents

樹脂射出成形用ノズル

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圭介 松本
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岡 眞智子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸ひきを防止しつつ、溶融樹脂の流路を広く
とることができ、成形条件の安定化およびムラの発生の
防止を図ることができる樹脂射出成形用ノズルを提供す
る。 【解決手段】 樹脂射出成形用ノズルは、射出口4およ
びノズル孔5を有するノズルヘッド2と、供給孔6を有
するノズル本体1と、液止め部材3とを備えている。液
止め部材3は、突起部7と該突起部7を支持する支持部
8とを有し、突起部7が射出口4におけるノズル本体1
側の端部付近に配されるように、ノズルヘッド2とノズ
ル本体1とに挟まれて固定されている。溶融樹脂は、供
給孔6からシリンダ孔9の切欠き部20を介してノズル
孔5に流れ、射出口4から射出される。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、樹脂の成形に用いる樹脂射出成形用ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂の成形工程には、樹脂を射出するシリンダーノズルが用いられ ている。通常、射出による成形工程では、溶融樹脂が金型によって形成された空 間に充填され、その後冷却される。そして、成形品が冷却固化後、金型が開き、 成形品が取り出される。
【0003】 ところが、このとき、シリンダーノズルにおける樹脂通路内の溶融樹脂が、成 形品から切り離されず、溶融樹脂が細い糸状になることがあり、糸ひきが発生す る。
【0004】 このような糸ひきが発生すると、切断された糸状樹脂の屑が金型内に残り、次 ショット成形品の表面に、線状の模様が発生する成形不良を引き起こすこととな る。
【0005】 このような糸ひきを防止するために、糸ひきを防止する部材を取り付けた構成 の例を図6に示す。同図に示すように、シリンダーノズルは、樹脂流路107を 有するノズル本体101と、ノズル本体101の端部に取り付けられているノズ ルヘッド102と、糸ひきを防止する部材である液止め部材103とを備えてい る。
【0006】 液止め部材103は、図7・8に示すように、6個の円形の開口部106a… を有する支持部106と突起部105とからなる。液止め部材103の軸に対す る垂直断面における開口部106a…の総面積(6個の開口部106a…の総断 面積)は、樹脂通路107(図6参照)の軸に対する断面積の約0.4倍となっ ている。
【0007】 また、図9に示すように、ノズルヘッド102は、その先端に射出口108が 配されている。
【0008】 ノズルヘッド102をノズル本体101に装着する際、ノズルヘッド102と ノズル本体101の端部との間に挟むようにして液止め部材103をシリンダー ノズル内に固定する。このとき、ノズルヘッド102において射出口108付近 の内側面109には、図6に示すように、突起部105の先端が射出口108内 に挿入されるように液止め部材103が装着される。
【0009】 液状樹脂は、ノズル本体101の樹脂通路107内を通り、液止め部材103 における開口部106a…を介して射出口108から金型へと射出される。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の構成によれば、6個の開口部106a…の総断面積が樹 脂通路107の軸に対する断面積の約0.4倍であり、溶融樹脂が流れるそれぞ れの開口部106aの面積が小さくなるため、溶融樹脂が流れる際の液止め部材 との接触抵抗が大きくなる。即ち、流れる溶融樹脂に高圧がかかる。これにより 、樹脂の物性が変化する虞れがある。また、このような高圧条件下では、成形条 件を安定させることが困難となり、特に、成形のための供給量が大きなものは、 成形条件を長時間安定させることが難しい。
【0011】 また、開口部106a内では流れる溶融樹脂に高圧がかかるため、液止め部材 103の支持部における軸方向の長さを短くする必要がある。即ち、液止め部材 103を支持するノズルヘッド102の内側面109と、液止め部材103とが 接触する面積(接触面積)が小さくなる。さらに、液止め部材103と内側面1 09とが接する部分には、バックラッシが設けられている。
【0012】 従って、ノズル本体101とノズルヘッド102との間に固定される液止め部 材103は、内側面109において、所定の位置に配置することが困難である。 即ち、シリンダーノズルにおいて、液止め部材103が斜めに傾いたまま固定さ れる虞れがある。このように、液止め部材103が傾く際には、樹脂もれが生じ やすくなる。さらに、液止め部材103が傾いて配置されている場合、溶融樹脂 が流れつづけることにより、液止め部材103に折損が生じる虞れがある。
【0013】 さらに、溶融樹脂は、樹脂通路107から開口部106a内にストレートに流 れる。即ち、溶融樹脂の流路が直線となっている。このため、溶融樹脂として着 色料やガラス繊維が混入された樹脂を用いる場合、着色料やガラス繊維が混ざり 合わず分離して、ムラが生じる虞れがある。
【0014】 本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、糸ひ きを防止しつつ、溶融樹脂の流路を広くとることができ、成形条件の安定化およ びムラの発生の防止を図ることができる樹脂射出成形用ノズルを提供することに ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本考案の樹脂射出成形用ノズルは、上記の課題を解決するために、射出口と第 1流路部とを有するノズルヘッドと、上記第1流路部と同軸線上に第2流路部を 有するノズル本体と、突起部と該突起部を支持し第3流路部を有する支持部とを 有し、該突起部が上記射出口におけるノズル本体側の端部付近に配されるように 、上記ノズルヘッドとノズル本体とに挟まれて固定されている液止め部材とを備 え、上記第2流路部から第3流路部を介して第1流路部に流れる溶融樹脂を射出 口から射出する樹脂射出成形用ノズルにおいて、上記第3流路部は、上記第1お よび第2流路部と同軸線上に配され、かつ、上記支持部の内周壁で構成された1 つの通路からなり、上記支持部は、軸に対して垂直である上記突起部側の面から 軸に対して平行な側面にかけて開口する切欠き部を有し、溶融樹脂は、上記第3 流路部から上記切欠き部を介して第1流路部に流れることを特徴としている。
【0016】 上記の構成によれば、第3流路部が、第1および第2流路部と同軸線上に配さ れ、かつ、支持部の内周壁で構成された1つの通路からなっていても、溶融樹脂 は切欠き部から第1流路部に流れ出ることができる。これにより、樹脂流路を大 きくすることができる。従って、溶融樹脂が流れる際に、溶融樹脂と液止め部材 の支持部との接触抵抗を小さくすることができ、流れる溶融樹脂に高圧がかかる ことを防止することができる。この結果、樹脂の物性変化の防止を図ることがで きる。さらに、成形条件を安定させることが容易となる。
【0017】 また、第3流路部内を流れる溶融樹脂に高圧がかかることがないため、液止め 部材における支持部の軸方向の長さ(第3流路部の長さ)をできるだけ短くする 必要がない。即ち、液止め部材における支持部の軸方向の長さを所望の値にとる ことができる。
【0018】 通常、液止め部材における支持部の軸方向の長さが短すぎる場合、ノズル本体 と液止め部材との接触面積が小さくなるため、ノズル本体とノズルヘッドとの間 に固定する際に、液止め部材が動きやすく不安定となる。このため、液止め部材 が傾く際には、樹脂もれが生じやすい。さらに、溶融樹脂が流れつづけることに より、支持部の特定の部分に力が加わって液止め部材に折損が生じる虞れがある 。
【0019】 しかしながら、上記の構成によれば、液止め部材における支持部の軸方向の長 さを所望の値にとることができるため、該長さを、液止め部材を安定して固定す ることができる長さとすること、即ち、ノズル本体と液止め部材との接触面積を 大きくすることができる。従って、液止め部材をノズルヘッドの所定の位置に配 置することが容易であり、液止め部材に傾きが生じることがなくなる。このため 、液止め部材の傾きに起因する樹脂もれを防止することができる。また、液止め 部材に折損が生じることを防止することができる。
【0020】 また、液止め部材が切欠き部を有することにより、第3流路部から第1流路部 にかけて、樹脂流路が広がることとなる。これにより、第3流路部から流れ出た 溶融樹脂は、ノズルヘッドの内周壁に当たるようにして第1流路部内を流れるこ ととなる。従って、成形する溶融樹脂として着色料やガラス繊維などが混入され た樹脂を用いる場合でも、樹脂を混ぜ合わせることができる。従って、樹脂にお けるムラの発生の防止を図ることができる。
【0021】 上記の樹脂射出成形用ノズルは、支持部の厚さ方向に対して垂直方向における 切欠き部の断面積をS0 とし、第2流路部の軸に対する断面積をS2 とすると、 0.7S2 ≦S0 を満足することが好ましい。
【0022】 上記の構成によれば、0.7S2 ≦S0 とすることにより、樹脂流路を大きく することができる。従って、溶融樹脂が流れる際に、溶融樹脂と液止め部材の支 持部との接触抵抗を小さくすることができ、流れる溶融樹脂に高圧がかかること を防止することができる。この結果、樹脂の物性変化の防止を図ることができる 。さらに、成形条件を安定させることが容易となる。
【0023】 上記の樹脂射出成形用ノズルは、第3流路部の第2流路部側の端部における軸 に対する断面と、第2流路部の第3流路部側の端部における軸に対する断面との 形状および大きさが等しいことが好ましい。
【0024】 上記の構成によれば、第2流路部から第3流路部に溶融樹脂がスムーズに流れ る。これにより、液止め部材やノズル本体に折損が生じることを防止することが できる。
【0025】 上記の樹脂射出成形用ノズルは、ノズルヘッドが、ノズル本体に、着脱可能に 取り付けられていることが好ましい。
【0026】 上記の構成によれば、使用する金型や樹脂に応じて、ノズルヘッドや液止め部 材を簡単に取り替えることができる。
【0027】
【考案の実施の形態】
本考案の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の 通りである。
【0028】 図1は、本実施の形態に係る樹脂射出成形用ノズル(以下、ノズルと称する) の要部の構成を示す断面図である。同図に示すように、ノズルは、ノズル本体1 とノズルヘッド2と液止め部材3とを着脱可能に備えている。
【0029】 ノズル本体1は、矢印A方向から供給される溶融樹脂(以下、樹脂と称する) の流路となる供給孔(第2流路部)6を備えている。供給孔6は、ノズル本体1 を貫通し、矢印A方向から供給された樹脂を後述するシリンダ孔(第3流路部) 9へと供給する。
【0030】 また、ノズル本体1において樹脂が流出する側の端部には、接続部13と係止 面1aとが配されている。係止面1aは、後述するノズルヘッド2における係止 面2aとともに液止め部材3を係止する。
【0031】 ノズルヘッド2は、図2に示すように、射出口4とノズル孔5とを有する。射 出口4はノズルヘッド2の先端に配され、樹脂を外部(例えば、金型など)に射 出する。ノズルヘッド2に供給された樹脂は、流路であるノズル孔(第1流路部 )5を通って射出口4へと導かれる。
【0032】 また、ノズルヘッド2において樹脂がノズルヘッド2へと流入する側の端部に は、接続部12と係止面2aとが配されている。接続部12と接続部13とが嵌 合することにより、ノズルヘッド2はノズル本体1に取り付けられる。また、上 述したように、係止面2aは、ノズル本体1における係止面1aとともに液止め 部材3を係止する。
【0033】 液止め部材3は、図3・図5に示すように、突起部7と、後に詳述する切欠き 部20・20を有する支持部8とを備えている。突起部7は、液止め部材3の先 端部に形成されている。また、突起部7は、図1に示すように、射出口4におけ るノズル本体1側の端部付近に配されるようになっている。
【0034】 なお、突起部7の先端は、射出口4内に挿入されていても、挿入されずに射出 口4付近に配されていてもかまわない。
【0035】 液止め部材3における支持部8は、図4に示すように、円筒支持部10と基端 部11とからなる。円筒支持部10と基端部11とは、それらの内側(内周壁) にシリンダ孔9を構成する。供給孔6とノズル孔5とは、シリンダ孔9を介して 連結する。即ち、供給孔6とノズル孔5とシリンダ孔9とは、同軸線上に配され ており、供給孔6から流出した樹脂は、シリンダ孔9を通って、ノズル孔5に流 入する。
【0036】 基端部11は、ノズル本体1とノズルヘッド2とが接続部12および接続部1 3において嵌合されたとき、係止面1aと係止面2aとの間に係止される。即ち 、基端部11が接続部12と接続部13とに挟まれることにより、液止め部材3 は、ノズルヘッド2とノズル本体1との間に固定される。
【0037】 上記のように、突起部7が配されていることにより、固化した樹脂を切り離す 際、突起部7の外周部にある樹脂はすばやく冷却されて必要以上に伸びることな く破断される。従って、固化した樹脂を切り離す際の糸ひきを防止することがで きる。
【0038】 また、シリンダ孔9の供給孔6側の端部における軸に対する断面と、供給孔6 側のシリンダ孔9側の端部における軸に対する断面との形状および大きさは等し くなっている。
【0039】 従って、供給孔6からシリンダ孔9に樹脂がスムーズに流れる。これにより、 液止め部材3やノズル本体1に折損が生じることを防止することができる。
【0040】 また、ノズルヘッド2がノズル本体1に着脱可能に取り付けられていることに より、使用する金型や樹脂に応じて、ノズルヘッド2や液止め部材3を簡単に取 り替えることができる。
【0041】 以下、切欠き部20および切欠き部20から流出する樹脂の流れについて説明 する。
【0042】 円筒支持部10は、図3に示すように、軸に対して垂直な突起部7側の面から 側面にかけて開口する切欠き部20・20を有する。樹脂は、矢印Bに示すよう に、この切欠き部20・20を通って、シリンダ孔9からノズル孔5に流入する 。ここでは、切欠き部20の形状は略長円形とし、図4に示すように、円筒支持 部10の側面における切欠き部20の長軸方向は、液止め部材3の軸方向と平行 である。
【0043】 このとき、図1矢印Bに示すように、シリンダ孔9から流出した樹脂は、一旦 ノズル孔5の壁面に当たるようにして射出口4に流出する。これにより、着色料 やガラス繊維が混入された樹脂を用いる場合でも、樹脂やガラス繊維を混ぜ合わ せることができる。従って、樹脂においてムラの発生の防止を図ることができる 。
【0044】 また、液止め部材3は、基端部11が係止されることにより、ノズル本体1と ノズルヘッド2との間に固定され、さらに、円筒支持部10はノズルヘッド2に 内接する。これにより、液止め部材3が動くことなく安定して配されることとな る。
【0045】 ここで、樹脂の流路の広がりの程度について、以下に説明する。
【0046】 例えば、図3に示すように、切欠き部20を2か所に配し、その大きさを、軸 に対して垂直な突起部7側の面における長さを3.5mmとし、側面における長 さを6mmとする。
【0047】 このとき、円筒支持部10の厚さ方向に垂直な方向における(図3中C−C′ 線方向の)切欠き部20の断面積の総面積(ここでは、切欠き部20の2箇所分 の断面積)をS0 とし、供給孔6の軸に対する断面積をS2 とすると、S0 =0 .83S2 となっている。
【0048】 従来では、液止め部材は薄い円盤状であり、液止め部材における樹脂の流路は 、例えば図7に示す開口部106aのような円盤状の液止め部材に開けられた開 口部であった。このような場合、図6に示す樹脂通路107(供給孔6に対応) の軸に対する断面積に対する開口部106a(切欠き部20に対応)の断面積の 大きさには限界があり、約0.4倍となる。
【0049】 しかしながら、上記のように、液止め部材3が切欠き部20を有することによ り、供給孔6の軸に対する断面積S2 に対する切欠き部20の断面積S0 は大き くなる。即ち、シリンダ孔9からノズル孔5にかけての樹脂の流路が広がること となる。
【0050】 これにより、流れる樹脂の流路に対する抵抗を小さくすることができる。即ち 、流れる樹脂に高圧がかかることを防止することができる。従って、樹脂の物性 変化を防止することができる。
【0051】 通常、成形のために要する樹脂が大量であり、供給量が大きなものは、高圧条 件下で成形条件を長時間安定させることが難しい。
【0052】 しかしながら、シリンダ孔9からノズル孔5にかけての流路が広がるため、液 止め部材3における圧力が大きくなることが抑制される。従って、例えば、成形 のために要する樹脂の供給量が大きな場合でも、成形条件の安定化を図ることが できる。
【0053】 また、液止め部材3において、流れる樹脂に高圧がかかることがないため、液 止め部材3における支持部8の軸方向の長さを所望の値にとることができる。従 って、支持部8の軸方向の長さを、液止め部材3を安定して固定することができ る長さとすることができる。即ち、液止め部材3を支持するノズルヘッド2と、 液止め部材3の支持部8とが接触する面積を大きくすることができる。これによ り、液止め部材3を所定の位置に配置することが容易となり、ノズルにおいて、 液止め部材3が傾いたまま固定されることを防止することができる。従って、液 止め部材3に折損が生じることを防止することができる。また、液止め部材3の 傾きに起因する樹脂もれを防止することができる。
【0054】 なお、切欠き部20の形状、大きさ、個数などは特に限定されるものではない が、円筒支持部10の厚さ方向に垂直な方向における切欠き部20の断面の総面 積S0 と供給孔6の軸に対する断面積S2 とは次式(1) 0.7S2 ≦S0 …(1) を満足することが好ましい。
【0055】 0.7S2 ≦S0 とすることにより、樹脂が流路を流れる際、樹脂の流路に対 する抵抗を小さくすることができ、流れる樹脂に高圧がかかることを防止するこ とができる。従って、樹脂の物性変化を防止することができる。
【0056】 また、切欠き部20の形状としては、円筒支持部10の側面における切欠き部 20の長軸方向が、液止め部材3の軸方向とねじれの位置になるようにしても( 切欠き部20の加工角度をかえても)かまわない。このような形状とすることに より、図1矢印Bに示すように樹脂が切欠き部20を介してシリンダ孔9からノ ズル孔5の壁面に当たように流出する際、切欠き部20のどこを通ってきたかに よって樹脂がノズル孔5の壁面に流れ込む抵抗値が変わる。
【0057】 これにより、着色料やガラス繊維が混入された樹脂を用いる場合でも、さらに 、樹脂やガラス繊維を分離することなく混ぜ合わせることができる。従って、樹 脂においてムラの発生の防止を図ることができる。このように、切欠き部20の 形状(加工角度など)を変えることによって、樹脂をさらによく混ぜ合わせるこ とができる。
【0058】
【考案の効果】
以上のように、本考案の樹脂射出成形用ノズルは、第3流路部は、第1および 第2流路部と同軸線上に配され、かつ、支持部の内周壁で構成された1つの通路 からなり、支持部は、軸に対して垂直である突起部側の面から軸に対して平行な 側面にかけて開口する切欠き部を有し、溶融樹脂は、第3流路部から切欠き部を 介して第1流路部に流れる構成である。
【0059】 これにより、糸ひきを防止しつつ、樹脂流路を大きくすることができる。従っ て、溶融樹脂が流れる際に、溶融樹脂と液止め部材の支持部との接触抵抗を小さ くすることができ、流れる溶融樹脂に高圧がかかることを防止することができる 。この結果、樹脂の物性変化の防止を図ることができる。
【0060】 また、液止め部材における支持部の軸方向の長さを所望の値にとることができ るため、該長さを、液止め部材を安定して固定することができる長さとすること ができる。従って、液止め部材をノズルヘッドの所定の位置に配置することが容 易であり、液止め部材に傾きが生じることがなくなる。このため、液止め部材の 傾きに起因する樹脂もれも防止することができる。また、液止め部材に折損が生 じることを防止することができる。
【0061】 さらに、第3流路部から流れ出た溶融樹脂は、ノズルヘッドの内周壁に当たる ようにして第1流路部内を流れることとなる。従って、成形する溶融樹脂として 形成着色料が混入された樹脂を用いる場合でも、樹脂を混ぜ合わせることができ 、樹脂におけるムラの発生の防止を図ることができるといった効果を奏する。
【0062】 本考案の樹脂射出成形用ノズルは、支持部の厚さ方向に対して垂直方向におけ る切欠き部の断面積をS0 とし、第2流路部の軸に対する断面積をS2 とすると 、0.7S2 ≦S0 を満足する構成である。
【0063】 これにより、溶融樹脂が流れる際に、溶融樹脂と液止め部材の支持部との接触 抵抗を小さくすることができ、流れる溶融樹脂に高圧がかかることを防止するこ とができる。この結果、樹脂の物性変化の防止を図ることができるといった効果 を奏する。
【0064】 本考案の樹脂射出成形用ノズルは、第3流路部の第2流路部側の端部における 軸に対する断面と、第2流路部の第3流路部側の端部における軸に対する断面と の形状および大きさが等しい構成である。
【0065】 これにより、液止め部材やノズル本体に折損が生じることを防止することがで きるといった効果を奏する。
【0066】 本考案の樹脂射出成形用ノズルは、ノズルヘッドが、ノズル本体に、着脱可能 に取り付けられている構成である。
【0067】 これにより、使用する金型や樹脂に応じて、ノズルヘッドや液止め部材を簡単 に取り替えることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の一形態に係る樹脂射出成形用ノ
ズルの要部の構成を示す断面図である。
【図2】ノズルヘッドの要部の構成を示す断面図であ
る。
【図3】液止め部材の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示す液止め部材の要部の構成を示す平面
図である。
【図5】図3に示す液止め部材の要部の構成を示す正面
図である。
【図6】従来のノズルの要部の構成を示す断面図であ
る。
【図7】図6に示すノズルの液止め部材の構成を示す正
面図である。
【図8】図6に示すノズルの液止め部材の構成を示す断
面図である。
【図9】図6に示すノズルのノズルヘッドの構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル本体 1a 係止面 2 ノズルヘッド 2a 係止面 3 液止め部材 4 射出口 5 ノズル孔(第1流路部) 6 供給孔(第2流路部) 7 突起部 8 支持部 9 シリンダ孔(第3流路部) 10 円筒支持部 11 基端部 12 接続部 13 接続部 20 切欠き部

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】射出口と第1流路部とを有するノズルヘッ
    ドと、上記第1流路部と同軸線上に第2流路部を有する
    ノズル本体と、突起部と該突起部を支持し第3流路部を
    有する支持部とを有し、該突起部が上記射出口における
    ノズル本体側の端部付近に配されるように、上記ノズル
    ヘッドとノズル本体とに挟まれて固定されている液止め
    部材とを備え、上記第2流路部から第3流路部を介して
    第1流路部に流れる溶融樹脂を射出口から射出する樹脂
    射出成形用ノズルにおいて、 上記第3流路部は、上記第1および第2流路部と同軸線
    上に配され、かつ、上記支持部の内周壁で構成された1
    つの通路からなり、 上記支持部は、軸に対して垂直である上記突起部側の面
    から軸に対して平行な側面にかけて開口する切欠き部を
    有し、 溶融樹脂は、上記第3流路部から上記切欠き部を介して
    第1流路部に流れることを特徴とする樹脂射出成形用ノ
    ズル。
  2. 【請求項2】上記支持部の厚さ方向に対して垂直方向に
    おける上記切欠き部の断面積をS0とし、上記第2流路
    部の軸に対する断面積をS2 とすると、 0.7S2 ≦S0 を満足することを特徴とする請求項1に記載の樹脂射出
    成形用ノズル。
  3. 【請求項3】上記第3流路部の第2流路部側の端部にお
    ける軸に対する断面と、第2流路部の第3流路部側の端
    部における軸に対する断面との形状および大きさは等し
    いことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂射出
    成形用ノズル。
  4. 【請求項4】上記ノズルヘッドは、ノズル本体に、着脱
    可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれか1項に記載の樹脂射出成形用ノズル。
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