JP3084287U - 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置 - Google Patents

中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置

Info

Publication number
JP3084287U
JP3084287U JP2001005614U JP2001005614U JP3084287U JP 3084287 U JP3084287 U JP 3084287U JP 2001005614 U JP2001005614 U JP 2001005614U JP 2001005614 U JP2001005614 U JP 2001005614U JP 3084287 U JP3084287 U JP 3084287U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat transfer
wick
distillation apparatus
heat
type distillation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001005614U
Other languages
English (en)
Inventor
健 坂元
Original Assignee
株式会社トップエコロジー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社トップエコロジー filed Critical 株式会社トップエコロジー
Priority to JP2001005614U priority Critical patent/JP3084287U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3084287U publication Critical patent/JP3084287U/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Water, Waste Water Or Sewage (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 原水を蒸発させた蒸気の凝縮潜熱を繰り返し
利用する多重効用ウィック型蒸留装置において、安定し
て効率的に蒸留水を生成し回収する。 【解決手段】 多重効用ウィック型蒸留装置1は、鉛直
方向に配置した複数の伝熱板3どうしの間に、蒸発面6
に向かって下降する勾配をもつ複数の間隔部材15を配
置した。本考案によれば、伝熱板3に熱変形が生じて
も、蒸発面6と凝縮面4との間を水蒸気の分圧勾配が高
い所定間隔に保持でき、安定して蒸留水を生成できる。
また、蒸発面6側に下降する勾配によって、蒸発面6側
の原水が凝縮面4側に伝わるのを防止できる。そのた
め、太陽熱や原動機等からの排熱を利用して、安定して
多量の蒸留水が生産でき、配水設備や電力網のない需要
地や僻地の淡水化装置として、また緊急時においても簡
単に利用可能となる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は多重効用ウィック型蒸留装置に係り、特に、中低温度熱を利用して海 水等より蒸留水を効率よく回収する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
水道設備や電力網のない中小規模集落を主な対象として、太陽熱や、コジェネ レーションシステムの原動機や焼却炉の排熱、ボイラの排熱、排蒸気等の、中低 温度の排熱を利用して海水等より淡水を得る小型の多重効用ウィック型蒸留装置 が研究されている。ただし、蒸留機能や性能が安定しない、あるいは高価である などの理由により、まだ広く普及したものはない。
【0003】 現在、海水等の淡水化法は、多段フラッシュ法や、逆浸透膜法等が主流となっ ているが、これらの方法によるプラントはいずれも大規模なプラントで建設コス トも大きく、電力網や水道施設のある地域には向いているが、インフラのない、 中小規模集落の淡水化施設には不向きな方法である。
【0004】 近年、地球の温暖化現象により、異常気象が観測されることが多くなり、水道 施設がなく生活用水を雨水や地下水、河川水等に頼っている地域が干ばつになる など、生活用水の確保が困難になってきている。
【0005】 また、ヒ素等の有害物質や、肥料、農薬等で汚染された地下水の利用を余儀な くされ、多大な健康障害を被っている人たちも多い。このような地域や小さな離 島での生活用水、特に飲料水の供給、僻地の医療施設等における衛生的な水の供 給、災害時等緊急の給水など、中小規模集落の水需要に応える低コストの淡水化 施設が従来提供されていなかった。
【0006】 中小規模の淡水化装置として研究されているものに、太陽熱を利用したベイス ン型(水盤型)の蒸留器があるが、これはガラス等の透明体を通して太陽熱を温 室内に取り入れ、底部に海水等を入れた水盤(ベイスン部)を備え、周囲を壁で 囲った構造である。このような装置では、水盤内の水が太陽熱を受けて蒸発し、 その水蒸気が透明体や壁の室内側の面で凝縮して蒸留水ができ、その蒸留水を回 収して淡水を得る。
【0007】 また、太陽熱を利用した多重効用ウィック型蒸留装置も研究されているが、こ れは、透明体を通過した太陽熱を、黒色塗装した受熱面で受熱し、その裏面にウ ィックを貼った板を伝熱板とし、黒色塗装しない受熱面を凝縮面とした同様の伝 熱板を多数枚、ウィック面と凝縮面とが相対するように並べ、ウィック面の上方 より原水を流してウィックを流れる水を加熱蒸発させ、その蒸気を相対する伝熱 板の凝縮面で凝縮させ、蒸留水を回収するものである。
【0008】 多重効用ウィック型蒸留装置は、太陽熱や、原動機、ボイラ等の排熱、排蒸気 の熱を用いて原水を蒸発させ、その水蒸気を凝縮させることにより蒸留水(淡水 )を得るものであり、水蒸気を凝縮させる際の凝縮潜熱を再度原水の蒸発に利用 することにより、多重に蒸留水を得ることが出来ることから、効率の良い蒸留装 置と言える。
【0009】 このような多重効用ウィック型蒸留装置は、太陽熱に限らず、原動機、ボイラ 、焼却炉等の排熱や、排蒸気熱を利用することも可能であるが、しかし、これら は実験装置としてはあるが、実用化されたものはほとんどない。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
このような多重効用ウィック型蒸留装置において、蒸留性能を高めるには、上 記凝縮潜熱の利用回数を増やすとともに、ウィック部の温度を高くし、また、蒸 発面と凝縮面との間隔をできるだけ小さくすることが重要である。
【0011】 しかし、太陽熱や原動機等の排熱を受けると、それらの熱によりウィック部す なわち伝熱板は高温になり熱膨張で変形し、伝熱板の支持の仕方によってはその 間隙が極端に狭くなり、凝縮面に生成した蒸留水の水滴が蒸発部に付けられたウ ィックに近づいて吸い取られ、回収できる蒸留水の量(淡水量)が少なくなる可 能性が大きい。また、場合によっては、ウィック内の原水が蒸留水に混合してし まうという問題もある。
【0012】 本考案の課題は、中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置において、多重 効用ウィック部の蒸留性能を安定して高い状態に維持し、蒸留水を有効にしかも 多量に効率よく回収することと、広く普及を図るために装置を組立容易とし、そ の製造コストを低減することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案は、片面を凝縮面とし他面をウィックを貼 り付けた蒸発面とした伝熱板を、該凝縮面と該蒸発面とを互いに対面させてほぼ 鉛直に複数枚配置し、前記凝縮面の凝縮潜熱により前記ウィックに供給した原水 を蒸発させ、該ウィックに対面した凝縮面で凝縮して蒸留水を生成する中低温度 熱利用多重効用ウィック型蒸留装置であって、互いに対面する凝縮面と蒸発面と の間に、該凝縮面から該蒸発面に向かって下降する勾配を有する複数の間隔部材 を配設したことを特徴とするものである。
【0014】 本考案によれば、伝熱板に熱変形が生じる場合でも、蒸発面と凝縮面間の間隔 を保持できるので、両面の接触を防止できる。また、中低温熱を利用した場合で も、間隔部材を所定寸法にして両面間の距離を最適にすることにより、蒸発面と 凝縮面間の水蒸気の分圧勾配を最大限にして多くの凝縮液すなわち蒸留水を安定 して生成できる。そして、前記間隔部材に、蒸発面に向かって下降する勾配を持 たせることにより、間隔部材を伝わる水滴は蒸発面側に滴下し、蒸発面側の原水 (例えば海水)が凝縮面側に伝わるのを防止できる。
【0015】 また、前記間隔部材として、例えば、先端側が下方に向いた複数の突出部を有 する帯状の耐食性金属部材を、長手方向がほぼ鉛直になるように前記凝縮面に取 り付けることにより、複数の間隔部材を凝縮面に取り付けた伝熱板を容易に製作 でき、低コストで量産可能な蒸留装置が得られる。
【0016】 また、受熱面のある伝熱板から冷却面のある伝熱板までを、予め一まとめにし て締付具により組み込んでユニット化し、該ユニットの必要数を支持部材に取り 付け可能な構造とする。この場合、前記間隔部材を取り付けた伝熱板の大きさを 、1人で持てる程度のほぼ1m四方の大きさにすることが望ましい。伝熱板を適 度な大きさにしてユニット化することにより、大きさや重量が人力で扱え、取り 扱いが容易となり、量産性も出てくる。また、保守も容易となる。
【0017】 ここで、本考案における蒸留作用の原理に言及する。複数の伝熱板のうち1枚 目の伝熱板の受熱面が、太陽熱や原動機等の排ガスの熱、あるいは他の水蒸気源 からの水蒸気の凝縮潜熱等を受けて熱せられ、この受熱面の裏面(蒸発面)に貼 りつけた親水性のウィックを流下する海水等の原水を蒸発させる。
【0018】 この蒸発した蒸気が2枚目の伝熱板の凝縮面で凝縮され蒸留水を生成する。こ のときの凝縮潜熱で2枚目伝熱板の裏面(蒸発面)に貼りつけた親水性のウィッ クを流下する海水等の原水を蒸発させる。この作用を繰り返して、最後の伝熱板 の裏面を冷却面として、表面の凝縮作用を増大する。
【0019】 本考案者らの知見によれば、この蒸発面と凝縮面との間隔を、例えば5〜10 mmの狭い間隔に保持することにより、この間の水蒸気分圧の勾配を高くするこ とができ、効率的な蒸留水の生成につながる。ところが、伝熱板(例えば1.2 m四方のステンレス板)は、熱応力によってしばしばたわみを生じ、所定間隔を 保持することが困難となる。
【0020】 本考案では、2枚目以降の凝縮面に、凝縮面から相対する蒸発面に向かって下 降する稜線を持つ間隔部材を多数接着した。この間隔部材は、合成樹脂、耐食性 金属など、耐熱性があり、耐塩水性を有するものが望ましく、また形状は、凝縮 面から蒸発面に向けて稜線が下がる形状をしたもので、例えば側面形状が菱形を しているものでよい。
【0021】 このような部材を凝縮面1mあたり、10〜20個程度、接着剤で接着す ることにより、蒸発面と凝縮面間の距離を短く保持でき、両面間の水蒸気分圧の 勾配が大きくなり、凝縮面に多くの凝縮液、すなわち、蒸留水が生成される。
【0022】 この蒸留水は滴状あるいは膜状となって凝縮面を下降するが、相対する蒸発面 とは間隔部材により適度の間隔を隔てられているので、蒸発面のウィックに触れ ることはなく、有効に下端の集液樋まで下降し蒸留水として回収される。
【0023】 また、両面を隔てる間隔部材の稜線が、凝縮面から蒸発面に向かって下降して いるので、液が該部材を伝わるにしてもその量は極めて少ない。一方、ウィック のある蒸発面から原水が凝縮面に伝わって移動することはなく、凝縮液に原水が 混入することはない。
【0024】 さらに、帯状の耐食性金属部材に、凝縮面から蒸発面に向かって下降する稜線 を持つように突出部を加工した、あるいは突出部となる物体を取り付け、帯状の 耐食性金属部材の長手方向がほぼ鉛直になるように、2枚目以降の凝縮面に貼り 付けることもできる。
【0025】 蒸発面と凝縮面の間に入れる間隔部材(突起などの突出部)の数は、相当数取 り付る必要があるが、多数の間隔部材を手作業で凝縮面に取り付けるのは製造コ ストがかさむことになる。一方、帯状の耐食性金属部材に量産の可能な突起を加 工することは容易であり、また、この突起を持つ帯状部材(間隔部材)を少数本 、その長手方向がほぼ鉛直になるように、凝縮面、あるいは蒸発面につけること は作業的に容易である。
【0026】 帯状部材の長手方向をほぼ鉛直に取り付けると、大部分の凝縮液(蒸留水)は 重力の方向に流れ落ち、凝縮面下端部の蒸留水受け樋で回収できる。帯状部材を 傾斜させるか水平近くに取り付けると、その部材の上方で生成した凝縮液が帯状 部材で止められて、その端面に沿って流れ落ち、場合によっては凝縮面端部をは み出して流れ、凝縮液の回収量が少なくなる可能性がある。
【0027】 なお、帯状部材の材質は、耐食性金属以外のものでも可能であるが、凝縮面で ある程度面積を占めることになるので、例えば、ステンレスなどの熱伝導率の大 きいものが望ましい。
【0028】 また、上述した間隔部材を伝熱板の凝縮面に取り付けた場合、伝熱板が大きす ぎると、伝熱板が薄いので、重ねる作業に際して変形し、間隔部材に支障をきた すことが考えられ、伝熱板の大きさは1m四方程度が望ましい。この程度の大き さであれば複数枚の伝熱板をユニット状に組む際、人力で扱え、組立や保守も容 易で、したがって、伝熱板に付けた間隔部材に支障をきたすことがなくなる。ま た、ユニット化することで強度が増し、運搬作業等でも取り扱いやすくなる。
【0029】
【考案の実施の形態】
本考案の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1に、太陽熱を受ける場 合の多重効用ウィック型蒸留装置の縦断面を示す。図2は図1に示した装置の伝 熱板の側面図である。
【0030】 本実施形態の蒸留装置1は、鉛直方向に配置した複数の伝熱板3どうしの間に 、複数の間隔部材15を配置したものである。これにより、伝熱板に熱変形が生 じるような場合でも、変形を抑制して蒸発面6と凝縮面4との間を所定間隔に維 持できるので、安定して蒸留水を生成できる。間隔部材15が蒸発面6側に下降 する勾配を有しているのは、蒸発面6側の原水が凝縮面4側に伝わるのを防ぐた めである。
【0031】 以下、本実施形態について詳述する。伝熱板3は、基本的には片面(表面)( 図では左側面)が凝縮面4、他面(裏面)(図では右側面)が蒸発面6であり、 凝縮面4で得た凝縮潜熱は、他面での蒸発作用に用いられる。
【0032】 今、この蒸留装置1にて、ガラスなどの透明体2を通過した太陽熱を、第1伝 熱板3aの受熱面4aにて受け、その熱は伝導でその裏面の蒸発面6に伝わり、 蒸発面6に貼りつけたウィック5内を流下する原水を蒸発させる。蒸発した水蒸 気7は隣接する第2伝熱板3の凝縮面4に接触して凝縮し、蒸留水(淡水)8と なる。
【0033】 このときの凝縮潜熱は第2伝熱板3内を伝導し、その裏面のウィック5内の原 水を蒸発させる。第2伝熱板の後方には、このような伝熱板を複数立設し、各伝 熱板で凝縮と蒸発を繰り返し行なうことにより蒸留水8を製造する。
【0034】 そして、最終段の伝熱板の裏面である冷却面6a(他の伝熱板の蒸発面に相当 )には、多量の原水を供給することにより、あるいは、冷却空気または冷却水を 供給することにより、最終段の伝熱板の凝縮を促進させる。
【0035】 なお、第1伝熱板の受熱面では、太陽熱の代わりに、原動機からの排熱、ある いは、他の水蒸気源からの水蒸気が凝縮する際の凝縮潜熱を受けることも可能で ある。
【0036】 各伝熱板3の凝縮面4の下部には、凝縮した蒸留水8を回収する蒸留水受け樋 9が設けられ、蒸発面6の上部には、原水を供給するための原水供給樋10が設 けられ、また蒸発面6の下方には、蒸発しなかった余剰原水を回収する余剰原水 受け皿11が設けられており、各樋や受け皿には、蒸留器外部に導出される蒸留 水取出し管12、原水供給管13、及び余剰原水排出管14が接続されている。
【0037】 原水供給樋10には、伝熱板の蒸発面6を形成するウィック5の上部端が浸漬 されており、ウィック5の毛細管作用により、あるいは原水供給樋をオーバーフ ローさせることにより、原水が蒸発面上に流出するように構成される。
【0038】 伝熱板3の具体的な構成としては、熱伝導率が大きくかつ耐塩性を有する金属 板(チタン、スーパーステンレス等)の片面に、ウィック5を接着剤等で貼付し たものである。
【0039】 ウィック5には、海水などの原水に対し濡れ性が高く、耐熱性・耐久性のある 材料が利用される。すなわち、海水などの原水をその上部に受けた場合、原水を 保持しながらゆるやかに流下させることを可能とする材料が用いられ、例えば、 木綿、アクリル繊維、ポリエステル繊維、炭素またはポリオレフィンなどの織布 または不織布のような繊維製品などがある。
【0040】 各伝熱板は重力による撓みを避け、ほぼ鉛直に設置されるため、各伝熱板間の 間隔は、例えば5〜10mmといった比較的狭い間隔で配置することが可能であ り、蒸留性能の向上と装置全体のコンパクト化を達成している。さらに、本実施 形態では、伝熱板3の凝縮面4には凝縮面4から相対する蒸発面6に向かって下 降する勾配を持つ間隔部材15を多数接着して両面間の間隔を保持している。
【0041】 上記構成によれば、蒸発面と凝縮面間の距離を短く保持できるため、両面間の 水蒸気分圧の勾配が大きくなり、凝縮面に多くの蒸留水が生成される。この蒸留 水は滴状あるいは膜状となって凝縮面4を下降するが、相対する蒸発面6とは間 隔部材15により適度の間隔で隔てられているので、蒸発面のウィック5に触れ ることはなく、凝縮液は有効に下端の蒸留水受け樋9まで下降し蒸留水8として 回収される。
【0042】 また、両面を隔てる間隔部材15の稜線が、凝縮面から蒸発面に向かって下降 しているので、すなわち、蒸発面側が下降する勾配を有しているので、蒸発面か ら原水が凝縮面に向かうことがなく、凝縮液に原水が混入することなく回収でき る。
【0043】 図3に、本考案の他の実施形態を示す。また、図4には図3に示した間隔部材 の部分図を示す。この例では、凝縮面に付ける間隔部材を、帯状部材に加工を加 えて突起を突出させたものである。
【0044】 すなわち、耐食性の金属からなる帯状部材16に突起15aをプレス等で加工 し、突起15aの稜線が凝縮面から蒸発面に向かって下降するように、帯状部材 16を、その長手方向がほぼ鉛直になるように、凝縮面4に必要数貼り付ける。
【0045】 このように、突起を帯状部材自体に加工することは、量産が容易で低コスト化 を図ることが可能である。このような帯状部材を少数本、凝縮面、あるいは蒸発 面につけることは作業的に容易である。なお、蒸発面側に取り付ける場合は、突 起15aの稜線は凝縮面側に上昇するように形成すればよい。
【0046】 図5に、本考案における間隔部材の他の実施形態を示す。図5の(a)が正面 図、(b)が側面図、(c)が斜視図である。この例では、薄い耐食性金属の帯 状部材16aに一部切込みを入れ、その部分を曲げ起こして突起15aが形成さ れる。
【0047】 この帯状部材16aを、突起15aの稜線が凝縮面から蒸発面に向かって下降 するように、凝縮面4に必要数接着する。この実施形態でも、帯状部材を量産が 容易な加工ができ、低コスト化が図れる。
【0048】 なお、突起の先端部は取り扱い作業者が怪我をしないように、また、他の部材 を傷つけないよう、鋭角部を作らないように、鋭角部を切り落とすようにするこ とは言うまでもない。
【0049】 図6に、受熱面のある伝熱板から冷却面のある伝熱板までの、複数の伝熱板を 一まとめにしてボルト等の締付具で組んだ場合の伝熱板ユニットの水平断面図を 示す。なお、図では間隔部材やウィックの描写は省略した。図7は、該伝熱板ユ ニットを冷却面側から見た背面図である。図8は、2個の伝熱板ユニットをユニ ット支持部材に取り付け、蒸留装置として組立てた状態を冷却面側から見た背面 図である。
【0050】 伝熱板ユニット17は、両側の伝熱板支持枠19に、伝熱板3とスペーサ18 とを交互に積み重ね、締付具20により締め付けてユニット化してある。伝熱板 3は適度な大きさであるため、大きな変形をさせることなく積み重ね作業ができ 、したがって、凝縮面に取り付けた間隔部材に支障をきたさずに、また、伝熱板 両側のスペーサのシール機能も損なわずに伝熱板を積み重ねることができる。
【0051】 図6、図7に示した伝熱板ユニットを、図8に示すように、必要数、支持部材 22に取付具23で取り付ける。伝熱板で蒸留量が低下した、等の不具合が生じ た場合には、該伝熱板ユニットのみを支持部材22から外し、伝熱板ユニットの 内部点検や修理、部品交換等を行なえばよい。また、予備品として伝熱板ユニッ トを準備しておけば、メンテナンスが早く行なえる。また、ユニットにすること で強度が増し、運搬作業等においても取り扱いやすくなる。
【0052】 本考案の多重効用ウィック型蒸留装置は、海水に限らず、低温度の蒸発成分の ない河川水、地下水(ヒ素含有水も含む)などからの淡水生成にも適用できる。 また、淡水は、飲料水の他、工業用純水としても利用できる。
【0053】 以上の実施形態によれば、太陽熱や、原動機等からの排熱を用い、安定して多 量の蒸留水が生産できる多重ウィック型蒸留装置を提供できる。そして、この蒸 留装置を海水等の淡水化に用いた場合には、水道設備がなく、また電力網のない 中小規模の需要地や僻地の淡水化装置として、また、災害時等の緊急時において も簡単に利用可能となる。
【0054】
【考案の効果】
上述のとおり本考案によれば、多重効用ウィック型蒸留装置において、伝熱板 の蒸発面と凝縮面との間に、所定間隔を保持するための間隔部材を配置したので 、多重効用ウィック部の蒸留性能を安定して高い状態に維持し、蒸留水を有効に しかも多量に効率よく回収することができる。また、伝熱板を取り扱いやすい大 きさの伝熱板ユニットに構成することで、製造やメンテナンスが容易になり、装 置として低コスト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の多重効用ウィック型蒸留装置の概要を
示す縦断面図である。
【図2】図1に示した多重効用ウィック型蒸留装置の伝
熱板の側面図である。
【図3】本考案における間隔部材を付けた伝熱板の他の
実施形態を示す図である。
【図4】図3における間隔部材の一例を示す斜視図であ
る。
【図5】本考案における間隔部材の他の実施形態を示す
図で、(a)が正面図、(b)が側面図、(c)が斜視
図である。
【図6】本考案における伝熱板ユニットの水平断面図で
ある。
【図7】図6に示した伝熱板ユニットの背面図である。
【図8】本考案における蒸留装置として組立てた状態の
背面図である。
【符号の説明】
1 多重効用ウィック型蒸留装置 2 透明体 3 伝熱板 4 凝縮面 4a 受熱面 5 ウィック 6 蒸発面 6a 冷却面 7 水蒸気 8 蒸留水 9 蒸留水受け樋 10 原水供給樋 11 余剰原水受け皿 12 蒸留水取出し管 13 原水供給管 15 間隔部材 15a 突起物 16、16a 帯状部材 17 伝熱板ユニット 18 スペーサ 19 伝熱板支持枠 20 締付具 21 カバー 22 支持部材 23 取付具

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面を凝縮面とし他面をウィックを貼り
    付けた蒸発面とした伝熱板を、該凝縮面と該蒸発面とを
    互いに対面させてほぼ鉛直に複数枚配置し、前記凝縮面
    の凝縮潜熱により前記ウィックに供給した原水を蒸発さ
    せ、該ウィックに対面した凝縮面で凝縮して蒸留水を生
    成する中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置であ
    って、互いに対面する凝縮面と蒸発面との間に、該凝縮
    面から該蒸発面に向かって下降する勾配を有する複数の
    間隔部材を配設したことを特徴とする多重効用ウィック
    型蒸留装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の多重効用ウィック型蒸
    留装置において、前記間隔部材として、先端側が下方に
    向いた複数の突出部を有する帯状の耐食性金属部材を、
    長手方向がほぼ鉛直になるように前記凝縮面に取り付け
    たことを特徴とする多重効用ウィック型蒸留装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の多重効用ウィ
    ック型蒸留装置において、前記複数枚の伝熱板を予め組
    み立ててユニット化し、該ユニットの必要数を支持部材
    に取り付け可能な構造としたことを特徴とする多重効用
    ウィック型蒸留装置。
JP2001005614U 2001-08-27 2001-08-27 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置 Expired - Fee Related JP3084287U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001005614U JP3084287U (ja) 2001-08-27 2001-08-27 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001005614U JP3084287U (ja) 2001-08-27 2001-08-27 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3084287U true JP3084287U (ja) 2002-03-08

Family

ID=43235764

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001005614U Expired - Fee Related JP3084287U (ja) 2001-08-27 2001-08-27 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3084287U (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101425414B1 (ko) * 2012-06-18 2014-07-31 한국기계연구원 친수성 플레이트를 이용한 태양열 다중효용 담수화장치

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101425414B1 (ko) * 2012-06-18 2014-07-31 한국기계연구원 친수성 플레이트를 이용한 태양열 다중효용 담수화장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mohan et al. A review on solar still: a simple desalination technology to obtain potable water
CN106422378B (zh) 用于水净化的方法和装置
US20040113291A1 (en) Diffusion driven desalination apparatus and process
CN108744565B (zh) 一种蒸发结晶换热装置与燃煤厂脱硫废水零排放系统
US10144655B2 (en) Systems and methods for distillation of water from seawater, brackish water, waste waters, and effluent waters
WO2006138516A2 (en) Air heated diffusion driven water purification system
JP2001514573A (ja) 太陽エネルギを用いて海水または汽水を脱塩もしくは蒸留するための装置
CA2543020C (en) Distillation system and process for distilling contaminated water
CN1283167A (zh) 脱盐方法和脱盐设备
Jeevadason et al. A review on diverse combinations and Energy-Exergy-Economics (3E) of hybrid solar still desalination
CN109292874B (zh) 一种基于毛细作用收集冷凝水的太阳能蒸馏器
US5211812A (en) Device for the recovery of a processed liquid in the form of a condensate on a liquid to be processed
Alnaimat et al. Solar desalination
JP3084287U (ja) 中低温度熱利用多重効用ウィック型蒸留装置
GB1590843A (en) Solar energy distillation apparatus
JPH11156341A (ja) 太陽熱蒸留装置
US10414670B2 (en) Systems and methods for distillation of water from seawater, brackish water, waste waters, and effluent waters
CN102774913A (zh) 一种短流程复合膜污水处理设备
CN110563234B (zh) 一种低耗能海水淡化系统及方法
de Carvalho et al. A review of humidification–dehumidification desalination systems
Das et al. Groundwater for Sustainable Development
US10788202B2 (en) Apparatus for production of steam from an aqueous liquid
KR102537353B1 (ko) 다중효용 해수담수화 장치
WO2004035168A2 (en) Method and system for desalinating water with solar energy
CN110577251B (zh) 对流式—i型蒸发冷凝单元及海水淡化装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees