JP3081865U - 上顎用入れ歯と下顎用の入れ歯との間の張力による保持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 食事の際に食物の味を堪能でき、口の中のこ
わばり感が無く、話しやすく、話しているときに、下顎
の入れ歯が浮かず、上下の入れ歯の歯ぐきに対する着脱
が容易になる上顎用の入れ歯と下顎用の入れ歯との間の
張力による保持具を提供する。 【解決手段】 上顎用の入れ歯と下顎用の入れ歯におい
て、左の上の奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を有
する１歯又は２歯の奥歯と、それに対応する左の下の奥
歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間、
及び、右の上の奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を
有する１歯又は２歯の奥歯と、それに対応する右の下の
奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間
に、上下方向に張力が加わるバネ、ピストンそれらと同
じような機能を有する張力部品の両端部をそれぞれ固定
させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】 本考案は、上顎用入れ歯と下顎用入れ歯との間 の張力による保持具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】 従来の上顎用の総入れ歯１５は、それが引力によって落ち てしまうのを防ぐため、図８のような口蓋面１６を伴った総入れ歯によって上顎 との多面積に接触させることにより、接着性を図り、上顎の総入れ歯の吸着性を 高め、また、その落下を防止してきた。また、更に吸着性を高めるために総入れ 歯の内側の口蓋面１６の上面全体に接着剤を充填して、その接着剤を上顎に押し 付けることによって生じる接着力により、上顎用の総入れ歯を上の歯ぐき（顎堤 ）に装着させていた。また、従来の下顎用の総入れ歯は、上顎用の総入れ歯と別 にして、下の歯ぐき（顎堤）に単独に装着させていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】 上記従来の入れ歯の装着方法では、上顎 面が広範囲に口蓋面１６によって塞がれるため、食事の際に食物の味を堪能でき ない。口の中にこわばり感がある。話しにくい。話しているときに、下顎の総入 れ歯が浮く。上下の入れ歯が歯ぐき（顎堤）にしっかり装着されないなどの問題 点があった。 本考案は、そのような問題点を解消しうる上顎用入れ歯と下顎用入れ歯との間 の張力による保持具を提供することにより、上下双方の入れ歯の接着性を高め、 かつ、口蓋部分をなくしてもバネ等の張力により上顎との吸着性が保持され、ま た上下の入れ歯の義歯床の顎堤を覆うウイングの部分を低くすることが可能とな り、その結果、口の中の入れ歯を小さくし、それでも従来の口蓋等を伴った入れ 歯と同等、若しくは、それ以上の機能を果たすことを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するため、本考案は、上 顎用の入れ歯と下顎用の入れ歯において、左の上の奥歯で、その咬合面にへこん だ凹部を有する１本又は２本の奥歯と、それに対応する左の下の奥歯で、その咬 合面がへこんだ凹状部を有する奥歯の間、及び、右の上の奥歯で、その咬合面に へこんだ凹状部を有する１本又は２本の奥歯と、それに対応する右の下の奥歯で 、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間に、上下方向に張力が加わるバ ネ、ピストンそれらと同じような機能を有する張力部品をそれぞれ固定させて、 上顎用の入れ歯と下顎用の入れ歯とがバネ等で連結することを特徴とするもので ある 。

【０００５】

【考案の実施の形態】 上顎用の総入れ歯、若しくは、部分入れ歯と、下顎用の 総入れ歯、若しくは、部分入れ歯において、左の上の奥歯で、その咬合面にへこ んだ凹状部を有する奥歯と、それに対応する左の下の奥歯で、その咬合面にへこ んだ凹状部を有する奥歯の間にバネの両端部を固定させ、右の上の奥歯で、その 咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯と、それに対応する右の下の奥歯で、その 咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間にバネの両端部を固定させる。上顎歯 と下顎歯が噛んだ瞬間に、バネ等の張力部品が咬合に支障を来さないようにする ため、バネ等を装着した奥歯には、その咬合面にへこんだ凹状部を設けて、噛ん だときはそのバネ等が凹状部のへこみ部分に収納できるようにする。このため、 バネ等を装着した奥歯自体は、ほとんど咀嚼機能はない。

【０００６】 上記の構成よりなる上顎用の総入れ歯、若しくは、部分入れ歯と、下顎用の 総入れ歯、若しくは、部分入れ歯との間の張力による保持具では、上顎用の総入 れ歯、若しくは、部分入れ歯と、下顎用の総入れ歯、若しくは、部分入れ歯をバ ネ等で固定された状態で、上の歯ぐきと下の歯ぐきに装着したり、上の歯ぐきと 下の歯ぐきから取り外したりする。なお、装着した場合は、バネ等による上下方 向の張力が加わるため、上顎用の総入れ歯、若しくは、部分入れ歯と、下顎用の 総入れ歯、若しくは、部分入れ歯が上の歯ぐきと下の歯ぐきにしっかりと装着さ れる。

【０００７】

【実施例】 以下図１ないし図７にもとづいて、本考案の実施例を説明する と、図１において１は上顎用の総入れ歯、２、３は総入れ歯１の左右の奥歯で、 咬合面にへこんだ凹状部２Ａ、３Ａを有する。４は下顎用の総入れ歯、５、６は 総入れ歯４の左右の奥歯で、咬合面にへこんだ凹状部５Ａ、６Ａを有する。奥歯 ２、５及び奥歯３、６はバネの両端部を固定しやすくする形体、例えば、図２及 び図３に示すように凹状部２Ａ、５Ａ及び凹状部３Ａ、６Ａを有する断面角形に 成形することもある。７、８はコイルバネで、コイルバネ７の両端部９、１０を 凹状部２Ａ、５Ａを経て奥歯２、５に固定し、コイルバネ８の両端部１１、１２ を凹状部３Ａ、６Ａを経て奥歯３、６に固定する。奥歯には、一番奥の歯に限ら ず、一番奥から二番目の歯、又は、三番目の歯を使用することもある。

【０００８】 以上の構成よりなる上顎用総入れ歯と下顎用総入れ歯との間 の張力による保持具では、上顎用の総入れ歯１と下顎用の総入れ歯４をコイルバ ネ７、８で連結された状態で、上の歯ぐきと下の歯ぐきに装着したり、上の歯ぐ きと下の歯ぐきから取り外したりする。噛むときは図４に示すようにコイルバネ ７、８の弾力に抗して下顎用総入れ歯を上げ、噛まないときは図５に示すように コイルバネ７、８の弾力により下顎用の総入れ歯が下げられる。

【０００９】 本考案は、上記実施例に限定されるものではなく、総入れ歯 １、４の代わりに、図６に示すように咬合面からへこんだ凹状部を設けた奥歯を 有する部分入れ歯１Ａ、４Ａを使用することもあり、総入れ歯１、４の代わりに どちらか一方に部分入れ歯を使用することもある。この場合は、総入れ歯と部分 入れ歯との双方に特に有用である。また、図７に示すように上顎用の入れ歯のう ち、上の歯ぐきに被せる義歯床部１３の張り出し部分（ウイングの部分）を小さ く成形し、下顎用の入れ歯のうち、下の歯ぐきに被せる義歯床部１４の張り出し 部分（ウイングの部分）を小さく成形することが可能となる。また、コイルバネ ７、８の代わりに各種のバネ、ピストンそれらと同じような機能を有する張力部 品を使用することもあるなど適宜設計変更しうる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は、叙上のように構成したから、次のような効果を奏する。 （１） 上顎用の入れ歯では、従来のような口蓋面を無くすことができる。 （２） 接着剤も不要となる。 （３） 口蓋面を無くすことができるとともに、上顎用の入れ歯と下顎用の入れ 歯における義歯床部分を小さくすることができるため、入れ歯の着脱が容易とな るほか、食事の際に食物の味を十分に堪能でき、口の中にこわばり感がなく、話 しやすくなり、話しているときに、下顎の入れ歯が浮くようなことはない。 （４） 左の上の奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯と、左の下 の奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間、及び、右の上の奥歯 で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯と、右の下の奥歯で、その咬合面 にへこんだ凹状部を有する奥歯の間にバネの両端部がそれぞれ固定されて連絡す るため、上下の入れ歯の咬合が完全に近くなる。 （５） 顎骨にインプラントを埋めて、そのインプラントに入れ歯を固定すると いうような高額で時間がかかる治療を受ける必要が無いため、廉価な入れ歯の保 持具を提供することができる。顎骨が薄い又は短いためインプラントが困難な場 合でも、インプラントと同様の機能を可能とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】 上顎用の総入れ歯と下顎用の総入れ歯をコイ
ルバネで固定した状態を概略的に示した斜視図である。

【図２】 左の上の奥歯と左の下の奥歯をバネで固定し
た状態を概略的に示した拡大断面図である。

【図３】 右の上の奥歯と右の下の奥歯をバネで固定し
た状態を概略的に示した拡大断面図である。

【図４】 噛むときの上顎用の入れ歯と下顎用の入れ歯
の位置関係を概略的に示した側面図である。

【図５】 噛まないときの上顎用の入れ歯と下顎用の入
れ歯の位置関係を概略的に示した側面図である。

【図６】 上顎用の部分入れ歯と下顎用の部分入れ歯を
コイルバネで固定した状態を概略的に示した斜視図であ
る。

【図７】 義歯床部を小さく成形した状態を概略的に示
した断面図である。

【図８】 従来の口蓋面を伴った総入れ歯を概略的に示
した斜視図である。

【符号の説明】

１ 上顎用の総入れ歯 １Ａ 奥歯を有する上顎用の部分入れ歯 ２、３ 上顎用の総入れ歯１の左右の奥歯 ２Ａ、３Ａ 凹状部 ４ 下顎用の総入れ歯 ４Ａ 奥歯を有する下顎用の部分入れ歯 ５、６ 下顎用の総入れ歯４の左右の奥歯 ５Ａ、６Ａ 凹状部 ７、８ コイルバネ ９、１０ コイルバネ７の両端部 １１、１２ コイルバネ８の両端部 １３、１４ 義歯床部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上顎用の入れ歯と、下顎用の入れ歯にお
   いて、左の上の奥歯で、その咬合面にへこんだ凹状部を
   有する奥歯と、左の下の奥歯で、その咬合面にへこんだ
   凹状部を有する奥歯の間、及び、右の上の奥歯で、その
   咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯と、右の下の奥歯
   で、その咬合面にへこんだ凹状部を有する奥歯の間に、
   上下方向に張力が加わるバネ、ピストンそれらと同じよ
   うな機能を有する張力部品の両端部をそれぞれ固定させ
   て連結してなる上顎用入れ歯と下顎用入れ歯との間の張
   力による保持具。