JP3078450B2 - 耐熱性光学用フィルムの製造方法及び耐熱性光学用フィルム並びにこれを用いた液晶表示パネル - Google Patents
耐熱性光学用フィルムの製造方法及び耐熱性光学用フィルム並びにこれを用いた液晶表示パネルInfo
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Description
関し、更に詳しくは耐熱性を要求されるフレキシブル液
晶表示素子用透明電極基板として有用な光学的位相差が
小さく、かつ光学的主軸の均一な耐熱性光学用フィルム
に関するものである。
ラス基板が使用されてきたが、ガラス基板を用いた液晶
表示素子においては、ガラス基板厚が厚いため液晶表示
素子体の薄型化が困難であると共に、軽量化しにくいと
いう欠点があり、更にガラスは物性的にフレキシブルな
素材ではないために、可撓性、耐衝撃性の点で問題があ
った。
改善する方法として、プラスチックフィルムを用いて液
晶パネルを連続的に作製することにより、液晶パネル加
工費のコストダウン、液晶パネルの量産化、軽量化、耐
衝撃性の向上が検討されている。例えば、特開昭53−
68099号公報及び特開昭54−126559号公報
には、ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質を蒸着
した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表示素子
パネルを連続して製造することが示されているが、セル
加工工程での耐熱性、実装した場合の光学的特性におい
て優れているとは言いがたい。
方性に優れた熱可塑性樹脂フィルムをこれらの用途に応
用すべく研究を進めたところ、溶融押し出し製膜工程に
おいて発生する分子配向よりなるフィルムの複屈折、及
びフィルム面内における屈折率楕円体の光学的主軸の分
布が重大な欠点となることがわかった。例えば、TN型
液晶表示素子では偏光板により直線偏光にされた入射光
が透明電極フィルムの複屈折性及びそのフィルム面内の
偏差から部分的に異なる楕円偏光になるため、コントラ
ストの低下、表示ムラを生じさせる。更にSTN(Supe
r Twisted Nematic)型液晶表示素子では透明電極フィ
ルムの複屈折性より発現する光学的位相差からTN型液
晶表示素子以上に高精細な表示が得られないばかりでな
く、液晶分子より発生するレターデーションもあること
から、光学位相差を補償するための偏光板、位相差板及
び透明電極フィルムによる液晶セルの組み合わせの最適
化が非常に煩雑なものになる。
て、特殊な2価フェノールを構造単位とする特殊ポリカ
ーボネートを用いる方法(特開昭−108024号公
報)、固有複屈折が正の材料と負の材料をブレンドする
方法(T. Inoue et al.,Journalof Polymer Science,Pa
rt B, 25, 1629(1987).)、固有複屈折が正のポリカー
ボネートと負のポリスチレンをグラフト共重合させる方
法(日経ニューマテリアル、1988年9月26日号、
60〜62頁の記事参照)、極性基を有したノルボルネ
ン系樹脂を用いる方法(機能材料、1993年1月号、
40〜52頁の記事参照)などが提案されているが、い
ずれも耐熱性、光学特性が共に優れているとは言いがた
く、光学的主軸の均一化がなされてはいなかった。
ころはフィルム平滑性に優れた複屈折率が小さい、つま
り光学的位相差の小さいフィルムであり、フィルム面内
の屈折率楕円体の光学的主軸の均一性が非常に高い耐熱
性光学用フィルム及びそれを用いた液晶表示パネルを提
供するものである。
が190℃以上である熱可塑性樹脂フィルムをドライヤ
ーを配置したロ−ル間を連続的に熱処理する場合におい
て、ロール間隔をLMD、フィルム幅をLTDとするとき、 LMD/LTD > 1.0 及び、その線膨張率が上昇する温度からそのガラス転移
点より低い温度範囲内の条件で熱処理することで、フィ
ルムの平滑性を損なうことなしにそのフィルム面内の複
屈折率を1×10-4以下にすること、更にはフィルム面
内の屈折率楕円体の光学的主軸の振れ幅を±1.0°以
下にすることを特徴とする耐熱性光学用フィルムの製造
方法及び耐熱性光学用フィルム、並びにこれを用いた液
晶表示パネルである。
ゥロールの熱処理機を用いて連続的に熱処理する場合に
おいて、ロール間隔をLMD、フィルム幅をLTDとすると
き、ロール間で熱処理されるフィルムに二軸延伸性が付
与されないように、LTDに対しLMDを十分長く設定し、
かつフィルムがスムーズに熱処理されることが可能な範
囲内にあるフィルム張力にてロールを駆動させ、フィル
ムとなる熱可塑性樹脂をそのフィルムを構成する分子鎖
がミクロブラウン運動を開始しフィルムの線膨張率が上
昇を開始する温度(以下Tg- と略す)からガラス転移
点(Tg)より低い温度、好ましくはガラス転移点より
も10℃〜30℃低い温度で熱処理することで、その外
観を損わず、フィルムの複屈折率を1×10-4以下に低
減化し、かつ光学的主軸の振れ幅を±1.0°以下にす
ることを特徴とする。
いて熱処理した場合は、ロール間隔が短いためフィルム
幅方向の収縮に制約ができフィルム面内において二軸配
向的な引っ張り応力が発生する。そのために高分子鎖は
理想的な一軸配向が抑制され、フィルムの幅方向に高分
子鎖の配向角分布が発現する。屈折率楕円体の光学的主
軸は分子鎖配向角に大きく依存するため、フィルムをL
MD/LTD≦1.0の条件において連続的に熱処理すると
分子鎖配向の自由度が一方向に制御されないために、光
学的主軸の均一化がなされない。
>1.0の条件にて連続熱処理するときにガラス転移点
以上の高温で処理した場合は、フィルムを構成する高分
子鎖は流動性に富むためにフィルム流れ方向の分子鎖配
向が容易に起こり光学的主軸の均一化はなされるもの
の、フィルム延伸により複屈折率の増加が起こる。
低い温度〜Tg- の温度範囲より低すぎても、分子鎖の
ミクロブラウン運動が凍結し、局所的な分子振動をする
のみであるため、熱処理による分子鎖配向が起こり難く
なり、光学的主軸の均一化が確認されない場合が生じ
る。
ツキを示し、±1.0°以下、好ましくは±0.1°以
下であるが、この光学的主軸の振れ幅が大きすぎると、
直線偏光した光がフィルムを透過する際に、透過光の偏
光状態に偏差が生じ、部分的な光の漏れが発現する。そ
の結果、TN及びSTN型の液晶表示素子に重要な光シ
ャター機能が電極基板フィルムにより損なわれるため好
ましくない。
上の熱可塑性樹脂としてはポリサルホン、ポリエーテル
サルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート及びこ
れらをブレンドした樹脂をあげることができる。なお、
本発明における樹脂は、添加剤として少量の安定剤、滑
剤、染料等が含まれていてもさしつかえない。
さは10μm〜500μm更には50μm〜400μm
であることが加工性、可撓性の面から好ましい。また、
本発明におけるフィルムの表面粗さは0.5μm以下で
あることが好ましく、更には0.1μm以下であること
がより好ましい。表面粗さが0.5μmより大きいとS
TN型液晶表示素子では透明電極フィルムの光学的位相
差により生じる表示ムラよりも、電極フィルム表面の凹
凸による液晶セルギャップの変化から生じる表示ムラが
顕著に確認される。
フィルムをLMD/LTD>1.0、かつガラス転移点より
も低い温度で連続熱処理することにより、フィルムの平
滑性を失わずに光学的異方性が小さく、かつ異方性の分
布状態が小さいフレキシブル液晶表示素子用透明電極基
板として有用な耐熱性光学用フィルムを効率よく量産す
ることが可能であり、更に、液晶表示素子としてセル加
工する場合に光学的主軸の分布が非常に小さいことから
液晶駆動電極とするフィルム基板を有効に活用でき、得
られた液晶表示素子も高コントラストで表示ムラのない
ものが得られる。なお、熱処理の加熱時間や加熱温度及
び張力は、フィルム基板に用いる合成樹脂の材質及び厚
さにより決定される。
る。本発明のフィルムの光学的物性は次の方法により測
定した。 (1)複屈折率 オリンパス光学(株)製偏光顕微鏡BH2とベレックコ
ンペンセーターを用い、波長550nmでの光学的位相
差を測定し、更にフィルムの厚みを測定することにより
波長550nmでの複屈折率を測定した。 (2)光学的主軸 光弾性測定装置により光弾性感度を測定した後に、ベレ
ックコンペンセーターを用い屈折率楕円体の増相軸と遅
相軸を調べることにより光学的主軸を測定した。
ーテルサルホン樹脂:ビクトレックスPES4100G
(Tg=226℃)を溶融押し出し法でフィルム化し
た。得られたフィルムのTg- は180℃であり、フィ
ルム面内の複屈折率が2×10-4、フィルム厚みが10
0μm、光学的主軸の振れ幅は±23°であった。この
フィルムをLMD/LTD=11、処理温度を206℃、ラ
イン速度を1.0m/min、フィルム張力を1.0kgf/
巾(フィルム巾:630mm)の条件で連続処理した。連
続熱処理後のポリエーテルサルホンフィルムは複屈折率
が0.3×10-4で光学的主軸の振れ幅は±0.3°以
下であり外観も良好であった。
複屈折率が2×10-4、厚みが100μm、光学的主軸
の振れ幅が±23°のポリエーテルサルホンフィルムを
作製した。このフィルムをLMD/LTD=11、処理温度
を216℃、ライン速度を1.0m/min、フィルム張力
を1.2kgf/巾(フィルム巾:630mm)の条件で連
続処理した。連続熱処理後のポリエーテルサルホンフィ
ルムは複屈折率が0.9×10-4で光学的主軸の振れ幅
は±0.1°以下であり外観も良好であった。
複屈折率が1.3×10-4、厚みが300μm、光学的
主軸の振れ幅が±10°のポリエーテルサルホンフィル
ムを作製した。このフィルムをLMD/LTD=23、処理
温度を216℃、ライン速度を0.4m/min、フィルム
張力を1.2kgf/巾(フィルム巾:300mm)の条件
で連続処理した。連続熱処理後のポリエーテルサルホン
フィルムは複屈折率が0.9×10-4で光学的主軸の振
れ幅は±0.1°以下であり外観も良好であった。
複屈折率が1.3×10-4、厚みが300μm、光学的
主軸の振れ幅が±10°のポリエーテルサルホンフィル
ムを作製した。このフィルムをLMD/LTD=23、処理
温度を226℃、ライン速度を0.4m/min、フィルム
張力を1.2kgf/巾(フィルム巾:300mm)の条件
で連続処理した。連続熱処理後のポリエーテルサルホン
フィルムは光学的主軸の振れ幅は±0.1°以下で均一
であったが、複屈折率が5.4×10-4となり光学的位
相差の増加が確認され、得られたフィルムを透明電極と
して実装した液晶表示パネルはコントラストが低く視認
性の良いものではなかった。
複屈折率が2.0×10-4、厚みが100μm、光学的
主軸の振れ幅が±23°のポリエーテルサルホンフィル
ムを作製した。このフィルムをLMD/LTD=1、処理温
度を206℃、ライン速度を1.0m/min、フィルム張
力を1.0kgf/巾(フィルム巾:630mm)の条件で
連続熱処理した。連続熱処理後のポリエーテルサルホン
フィルムは複屈折率が0.8×10-4であったが、光学
的主軸の振れ幅は±20°となり、得られたフィルムを
透明電極として実装した液晶表示パネルは透過光の偏光
状態に偏差が生じコントラストが低く視認性の良いもの
ではなかった。
折率楕円体の光学的主軸の均一な耐熱性光学用フィルム
を連続で作製することができ、液晶表示素子加工におい
てもフィルム電極全面を有効に使用してパネルを量産化
することができる。また、本発明により得られた耐熱性
光学用フィルムはフレキシブル液晶表示素子用透明電極
フィルムとして液晶表示パネルに実装した場合に表示ム
ラのない高精細な表示を示した。
Claims (5)
- 【請求項1】ガラス転移点が190℃以上である熱可塑
性樹脂フィルムを、ドライヤーを配置したロ−ル間を連
続的にフィルムの流れ方向に一定の張力を掛けて熱処理
する場合において、ロール間隔をLMD、フィルム幅をL
TDとするとき、LMD/LTD> 1.0となる条件で、熱
処理してなることを特徴とする耐熱性光学用フィルムの
製造方法。 - 【請求項2】 請求項1の耐熱性光学用フィルムの製造
方法において、熱可塑性樹脂フィルムの線膨張率が上昇
する温度からそのガラス転移点より低い温度範囲で、熱
処理してなることを特徴とする請求項1記載の耐熱性光
学用フィルムの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の耐熱性光学用フィ
ルムの製造方法により得られる、フィルム面内の複屈折
率が1×10-4以下であり、かつフィルム面内の屈折率
楕円体の光学的主軸の振れ幅が±1.0°以下であるこ
とを特徴とする耐熱性光学用フィルム。 - 【請求項4】 請求項1又は2の熱可塑性樹脂がポリサ
ルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド及
びポリアリレートからなる群から選ばれる少なくとも1
種であることを特徴とする請求項3記載の耐熱性光学用
フィルム。 - 【請求項5】 液晶表示パネルにおける液晶駆動のため
の透明電極基板に、請求項3又は4記載の耐熱性光学用
フィルムを用いることを特徴とする液晶表示パネル。
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---|---|---|---|
JP06146114A JP3078450B2 (ja) | 1994-06-28 | 1994-06-28 | 耐熱性光学用フィルムの製造方法及び耐熱性光学用フィルム並びにこれを用いた液晶表示パネル |
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JPH0815692A JPH0815692A (ja) | 1996-01-19 |
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