JP3076289B2 - 構築物用床版 - Google Patents

構築物用床版

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JP3076289B2
JP3076289B2 JP09322739A JP32273997A JP3076289B2 JP 3076289 B2 JP3076289 B2 JP 3076289B2 JP 09322739 A JP09322739 A JP 09322739A JP 32273997 A JP32273997 A JP 32273997A JP 3076289 B2 JP3076289 B2 JP 3076289B2
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亘保 萩澤
博光 石川
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日本軽金属株式会社
社団法人日本アルミニウム連盟
大倉 一郎
株式会社神戸製鋼所
昭和アルミニウム株式会社
住友軽金属工業株式会社
古河電気工業株式会社
三菱アルミニウム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁における複数
の橋桁同士間、或いは建物等における複数の梁同士間又
は桁同士間等に掛け渡されて固定される構築物用床版に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、橋梁における橋脚間に架設され
る橋体60は、図8(A)に示すようにI形鋼からなる複
数の平行な橋桁62上に、鉄筋コンクリートからなる床
版64を固定し、この床版64上に防水層を介して図示
しないアスファルト舗装を敷設している。また、図8
(B)に示すように、複数の橋桁部分68を下面に一体に
形成した鉄筋コンクリート製の床版66からなる橋体6
5も広く採用されている。
【0003】一方、鉄骨構造のビル等では、図8(C)に
示すように、I形鋼からなる複数の平行な梁72間に、
鋼板を曲げ加工したデッキプレート74が掛け渡され、
その上に鉄筋コンクリート又はモルタルを敷設した床材
76を形成して、床版70としている。或いは、上記梁
72間に、予め成形されたPC(プレキャストコンクリ
ート)版を掛け渡し、固定して床版とすることも行われ
ている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】ところで、前記床版64,6
6は、鉄筋コンクリート製であるため、重量がかなり大
きい。このため、これらを支持する前記橋桁62や図示
しない橋脚も予め床版64等の荷重に十分耐えられる強
度の構造材が使用されている。また、前記デッキプレー
ト74を用いる床版70や、PC版もかなりの重量であ
るため、これらの荷重を支える梁72や桁・柱等の構造
材も大型のものが用いらている。
【0005】即ち、橋梁が本来支えるべき車両や人等、
或いは建物等が本来支えるべき内装物等以外に、床版が
橋桁や梁等の構造材に対しかなり大きな荷重を与えてい
る。更に、前記鉄筋コンクリート製の床版64等は、定
期的に欠損等の補修を行う等のメンテナンスが必要で、
構築物の維持管理のための労力も多大である。本発明
は、以上の従来の床版が抱える問題点を解決し、軽量で
構造体に対する所謂死荷重を減らし、容易に連結して形
成できると共に、強固で破損しにくく維持管理を容易に
し得る構築物用床版を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、床版を複数のアルミニウム合金製の押出形
材同士を互いに嵌合して連結し、且つ該連結部の隙間に
楔片を打込むことにより一体に形成することに着想して
成されたものである。即ち、本発明の構築物用床版は、
アルミニウム合金製で且つ所要の厚さを有する複数の押
出形材を互いに連結して形成される床版であって、上記
押出形材の長手方向に沿って形成した一端面の雌型部
と、隣接する押出形材の長手方向に沿って形成した他端
面の雄型部とを嵌合して連結し、この連結部の上下面に
おける雌・雄型部の隙間内に楔片を打込むことにより、
隣接する押出形材同士を離間させる共に、各押出形材の
上記連結部における雌・雄型部の各テーパ面同士を互い
に面接触させて、両押出形材の厚さ方向に略沿う剪断力
に耐え得るようにした、ことを特徴とする。
【0007】また、本発明のより具体的な構築物用床版
は、アルミニウム合金製で且つ所要の厚さを有する複数
の押出形材を互いに連結して形成される床版であって、
上記押出形材の長手方向に沿った一端面に雌型部を、他
端面に雄型部を全長に渉って形成し、上記雌型部が、該
端面の上下両側から厚さ方向の中央に向けて形成された
上下一対の突条と、該一対の突条間に形成された凹部と
よりなり、上下一対の各突条の上記凹部側には各突条の
先端側に向って外方側に向うテーパ面を形成してなる断
面を有し、上記雄型部が、上記雌型部の凹部内に嵌合さ
れる形状の凸部と、該凸部の上部及び下部において上記
雌型部の一対の突条が嵌装される形状の上下一対の凹溝
とよりなり、上記凸部は上記雌型部の凹部よりも小さ
く、上記一対の各凹溝は上記雌型部の各突条よりも大き
く形成すると共に、上記凸部の各凹溝側には上記雌型部
の各テーパ面と略同じ傾斜角度のテーパ面を形成してな
る断面を有し、互いに隣接する押出形材の上記雌型部の
各突条を上記雄型部の各凹溝内に嵌装し、且つ雌型部の
凹部内に雄型部の凸部を嵌合すると共に、雌・雄両型部
の上下両側における上記突条と凹溝との隙間内に楔片を
それぞれ打込むことにより、押出形材同士が互いに連結
される、ことを特徴とする。
【0008】これらによれば、隣接する押出形材同士を
互いに長手(押出)方向に沿ってスライドしてその雌型部
の凹部内に雄型部の凸部を嵌合し、両押出形材の上下両
側における上記突条と凹溝との隙間内に楔片を打込むこ
とにより、形材同士を離間させ各テーパ面同士を緊密に
接触させて厚さ方向の剪断力に十分耐えることができ
る。しかも、全体が軽量で且つ強固な連結部を有する床
版を容易且つ迅速に形成することができる。尚、前記楔
片は押出形材と同等か若干硬い硬度を有すれば良く、且
つ前記隙間の全長に渉り一つの楔片又は複数に分割した
楔片を打込むようにする。ところで本明細書において
は、押出形材における端面とは当該押出形材の長手(押
出)方向と平行で且つ長手方向と直交する幅方向の両端
における面を指し、この端面の上下とは当該押出形材を
用いて床版とした際の上下方向における位置を指し、押
出形材における外方側とは当該押出形材の幅方向におけ
る端面から離間する方向寄りの位置を指すものである。
【0009】また、前記雌型部の突条と雄型部の凹溝と
が押出形材の厚さ方向に対して略平行に傾斜し、隣接す
る押出形材同士の各突条を上記雄型部の各凹溝内に嵌装
した際に両者間に形成される前記隙間が、押出形材の厚
さ方向に対し傾斜している、ことを特徴とする構築物用
床版も含まれる。これによれば、押出形材同士の連結部
における上下面の隙間に打込まれる楔片も傾斜するの
で、該楔片が不用意に抜け出るのを予防できる。尚、上
記雄型部の凹溝内のテーパ面と対向する鋭角な内隅部に
湾曲面を形成しておくと、上記打込まれた楔片の先端部
を雌型部の突条の鋭角な外隅部に沿って水平方向に屈曲
させることもできる。これにより、両押出形材同士の離
間する方向の外力の他に、上記連結部における押出形材
の厚さ方向の剪断力に対しても、ガタ付きや緩みが生じ
ることを防ぐことができる。
【0010】更に、前記雌型部の凹部内における厚さ方
向の略中央に突設した中突部と、この中突部と嵌合し且
つ前記雄型部の凸部端面の略中央に形成した中凹部を有
する構築物用床版も含む。これによれば、雌型部の凹部
と雄型部の凸部との嵌合部分に、更に上記中突部と中凹
部との嵌合が加わるので、床版を形成する各押出形材間
の連結部におけるガタ付き等を防ぎ、且つ押出形材の厚
さ方向に沿う剪断力に対し、一層強固に抵抗することが
できる。また、前記雌型部の突条と雄型部の凹溝との互
いに対向する各端面に抜止め細条を形成し、これらの各
抜止め細条間に前記楔片を打込む、構築物用床版も含ま
れる。これによれば、上記突条と凹溝との隙間の方向に
拘わらず、厚さ方向の剪断力や振動を受けても、打込ん
だ楔片が抜け出すことがなくなるので、強固で安定した
連結部を有する床版を提供することが可能となる。尚、
上記抜止め細条は、各端面において断面略3角形の細条
を1本又は平行な複数本形成したもので、且つ各端面の
全長に沿って或いは等間隔に部分的に形成したものを用
いる。
【0011】更に、前記押出形材が、その長手方向に沿
った中空部を有すると共に、この中空部内に一方の外側
面に開口する底広凹溝を一体形成した構築物用床版も含
む。これによれば、床版を一層軽量化できると共に、該
床版を橋桁等に固定するためのボルトの頭を上記底広凹
溝内に挿入できるので、ボルト用の通し孔の穿設作業を
省略することもでき、床版の固定作業を容易化すること
ができる。更にまた、前記床版が、橋梁における複数の
橋桁同士間に掛け渡されるか、或いは建物等における複
数の梁同士間又は桁同士間に掛け渡されてボルト・ナッ
トにより固定される構築物用床版とすることも含まれ
る。この場合、床版を3本以上に橋桁等に跨って掛け渡
し、その床版の中間でも固定することも含まれる。尚、
本発明の床版は、複数の押出形材からなり、且つ床材
(版)として用いる全ての構築物、例えば住宅、テラス、
渡り廊下、或いは桟橋等にも適用され得る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1は、本発明の床版1
0を用いた橋体1に関する。この橋体1は、図1(A)及
び(B)に示すように、橋梁の長手方向に沿って配設され
たI形鋼からなる複数の橋桁2,2と、これらの橋桁
2,2間の上方に掛け渡された床版10とからなり、こ
の床版10の上方にアスファルト舗装層8が敷設されて
いる。上記橋桁2は、上下の水平なフランジ4,4の中
央を垂直なウェブ6で繋いだ断面を有し、且つ互いに隣
接する橋桁2同士間は、約2.5メートルの中心間距離を有
している。尚、図1(B)において、橋桁2の上方のフラ
ンジ4上には、両側の各床版10,10の間隙を埋める
スぺーサ9が、舗装層8内に埋設されている。
【0013】また、床版10を形成する複数の互いに連
結されたアルミニウム合金(以下、アルミと称する)製の
押出形材12は、断面が偏平な矩形で複数の中空部14
を有し、且つこの中空部14に沿う長手方向が橋桁2と
直角になるよう配置される。更に、図1(B)及び図2に
示すように、床版10は各押出形材12の長手方向の両
端を各橋桁2の上方のフランジ4上に載置し、ボルトB
・ナットNにより固定される。尚、各押出形材12の長
さは約2.5メートル、その断面は高さ約10cm、幅約
25〜50cmの寸法で、各部分は約10〜15mmの肉厚
を有していると共に、JIS;6061−T5又はT
6、或いは6N01−T5又はT6等の展伸用アルミ合
金材が使用される。
【0014】更に、図2に示すように、床版10を形成
する各押出形材12における中空部14の両端寄りに
は、通し孔16が穿設される。そして、形材12両端の
開口部から前記ボルトBを挿入し、その雄ネジ部を上記
通し孔16に通し、橋桁2の上方のフランジ4を貫通さ
せて、ナットNと螺合する。これにて、床版10は、図
1(B)のように、橋桁2,2間に両端をボルトB・ナッ
トNにより固定される。従って、床版10を形成する各
押出形材12は、その中空部14に沿う長手方向の略全
長に沿って垂直方向の曲げモーメントを受ける。床版1
0の橋桁2上への具体的な固定は、図3(A)に示すよう
に、各押出形材12の両端から各中空部14内にボルト
Bを挿入し、その雄ネジ部を通し孔16内に貫通し、且
つ橋桁2のフランジ4に明けた通し孔5を貫通して垂下
させ、これにナットNを締結することにより行われる。
この場合、押出形材12の熱膨張及び熱収縮を考慮し
て、その通し孔16は、中空部14の長手方向に沿った
長孔とされる。尚、図3(A)中の符号18は楔片を、符
号Wは平座金を示す。
【0015】また、床版10を形成する各押出形材12
は、互いの連結部に沿い且つ各々の幅方向の一端面に雌
型部20を、他端面に雄型部30を、それぞれ長手方向
の全長に渉り一体に有している。これらの雌・雄型部2
0,30は、追って後述する嵌合と楔片18の打込みに
より、隣接する押出形材12同士を連結する。押出形材
12の雌型部20は、図3(B)に示すように、図示で左
方の押出形材12の端面の上下両側においてフランジ2
2の先端から厚さ方向に対し傾斜し且つ中央向きに延び
る一対の突条24と、該一対の突条24間であって且つ
上記端面の厚さ方向における中央に形成された凹部26
とからなる断面を有する。また、上記各突条24の凹部
26側には各突条24の先端側に向って外方側に向うテ
ーパ面28を形成している。上記各テーパ面28は、図
示で水平方向に対し略45度の傾斜を有し、且つ各突条
24の外方側の面(端面)はこれよりも若干大きな傾斜と
されている。尚、突条24の外方側寄りの出隅部24a
には、小さなR(アール)が付されている。
【0016】また、押出形材12の雄型部30は、図3
(B)に示すように、図示で右方の押出形材12の端面の
上部及び下部において斜め上及び下向きに形成された一
対の凹溝32と、上記端面の厚さ方向の中央に形成され
た凸部34とからなる断面を有する。この凸部34には
その両側面の端面寄りから上下向きに突出する一対の側
片36を有し、この各側片36の凹溝32側には上記各
凹溝32の一側面を形成する一対のテーパ面38を形成
している。このテーパ面38も図示で水平方向に対し略
45度の傾斜を有する。また、凹溝32は、前記雌型部
20の突条24と略相似形であり、且つ図示で水平及び
垂直方向の寸法が突条24のそれらよりも若干大きく設
定されている。従って、凹溝32が突条24を受入れた
際、両者のテーパ面28,38は平行になると共に、両
者の間には幅数mmの隙間が形成される。尚、凹溝32内
の中空部14寄りの内隅部32aは、R(アール)を付し
た湾曲面となっている。更に、各側片36を含む凸部3
4は、前記雌型部20の凹部26と略相似形であり、且
つ図示で水平及び垂直方向の寸法が凹部26のそれらよ
りも若干小さく設定されている。従って、凸部34を凹
部26内に嵌合した際、両者の間には幅数mmの隙間が形
成される。
【0017】次に、これら雌・雄型部20,30による
隣接する押出形材12同士の連結を図4により説明す
る。同図(A)に示すように、左右の押出形材12を図示
で前後(奥行き)方向にスライドし、左方の雌型部20の
各突条24を右方の雄型部30の各凹溝32内に嵌装す
ると共に、側片36を含む凸部34を凹部26内に嵌合
する。そして、左右の各押出形材12を互いに離間する
水平方向に引くと、図示のように、雌・雄型部20,3
0の各テーパ面28,38同士が面接触する。同時に、
各端面中央の凹部26と凸部34との間に隙間29が形
成され、且つ上下両側の各突条24と各凹溝32との間
に傾斜した隙間39が形成される。これらの隙間39内
に、例えば押出形材12よりも若干硬質のアルミ製の押
出形材からなる楔片18を打込む。図4(B)に示よう
に、この楔片18は、先端寄りの雄型部30側の側面を
湾曲させた先端部19を有する薄板状の断面であり、そ
の基端をハンマ等で叩いて隙間39内に打込まれる。
【0018】その結果、図4(C)に示すように、各楔片
18は隙間39内に打込まれ、且つその先端部19は凹
溝32内の湾曲した前記内隅部32aにガイドされて水
平向きに曲折される。即ち、楔片18は傾斜した隙間3
9よりも若干長いため、隙間39内に強制的に打込まれ
ると、その先端部19が突条24のRを付された出隅部
24aを回り込んで凹溝32と突条24間の水平な隙間
39a内に進入する。従って、楔片18の打込みにより
左右の押出形材12同士は互いに水平方向に離間する力
を受けるが、予め面接触している雌・雄型部20,30
の各テーパ面28,38が一層強固に当接するので、左
右の押出形材12を緊密に連結することができる。ま
た、各楔片18の先端部19が上記水平な隙間39a内
にまで進入するので、両押出形材12の厚さ方向のズレ
やガタも生じない。
【0019】係る雌・雄型部20,30の嵌合による連
結と楔片18の打込みにより、両押出形材12の連結部
は一体化されるので、車両等の走行による下向きの曲げ
モーメントや垂直(厚さ)方向の剪断力を受けても両押出
形材12の連結部が緩んだり外れたりせず、軽量且つ強
固で安定した床版10を形成することができる。しか
も、各楔片18も連結された左右の各押出形材12の外
側面に対し斜め方向に打込まれているため、上記剪断力
によって抜け出ることがない。尚、楔片18は前記のよ
うに隙間39の全長に渉り1枚のみを打込む他、複数枚
に分割して隙間39の長手方向に沿って順次連続して打
込むか、或いは複数枚の楔片18を若干の間隔を置いて
打込んでも良い。この楔片18同士の間隔における隙間
39内にはシール剤を充填することが望ましい。
【0020】図5は床版10の異なる固定形態に関す
る。即ち、同図(A)に示すように、予め床版10を形成
する各押出形材12に対し、その下側(一方)の外側面に
開口する底広凹溝15を形成する函形部17を中空部1
4内の全長に渉り一体に形成しておく。次に、図5(B)
に示すように、各底広凹溝15内に、両端からボルトB
のボルト頭を挿入し、この状態で床版10を橋桁2上に
近付ける。そして、ボルトBの雄ネジ部を橋桁2上方の
フランジ4の通し孔5に貫通させ、該フランジ4から垂
下した雄ネジ部にナットNを締結して固定する。これに
よると、各押出形材12に対する前記通し孔16の穿設
作業も省略できる。尚、予め図示のようにボルトBが底
広凹溝15内で回転しないように、該ボルト頭の6角又
は4角の平行する2辺の寸法を選択することが望まし
い。
【0021】図6は押出形材12同士の異なる連結形態
に関する。尚、以下においては前記と同じ要素や部分に
は、同じ符号か同様の符号を用いるものとする。図6
(A)において、左方の押出形材12には前記雌型部20
の凹部26内の厚さ方向の中央に断面台形状の中突部2
7を突設した雌型部20′が形成され、右方の押出形材
12には前記雄型部30の凸部34の端面中央に断面台
形状の中凹部37を形成した雄型部30′が形成されて
いる。尚、上記中突部27と中凹部37は互いに嵌合す
る略相似形の断面を有する。また、雌型部20′には前
記突条24に替えて外方側の出隅部を緩く湾曲させた断
面の突条25が形成され、雄型部30′には前記凹溝3
2に替えて、その押し出形材12の中空部14寄りの内
隅部を上記同様に緩く湾曲させた断面の凹溝33が形成
されている。
【0022】そして、前記同様にして雌・雄型部2
0′,30′を嵌合して連結すると、図6(B)に示すよ
うに、各突条25が各凹溝33内に嵌装され、凹部26
内に凸部34が嵌合すると共に、中突部27も中凹部3
7内に嵌合する。続いて、各突条25と凹溝33との間
に形成される断面略J形の各隙間39b内に楔片18の
打込むと、その先端部19は突条25と凹溝33間の緩
く湾曲した隙間39bの底部に進入するので、各隙間3
9b内は楔片18によって占められる。従って、上記雌
・雄型部20′,30′の嵌合と楔片18の打込みによ
って、前記の他に連結部の中央に更に中突部27と中凹
部37の嵌合が追加され、両者の斜面同士の面接触によ
る当接が加わる。更に、楔片18が突条25と凹溝33
との間に隙間39bをなくすように強制的に打ち込まれ
る。この結果、両押出形材12の連結部は強力に一体化
されるので、車両等の走行による下向きの曲げモーメン
トや厚さ(垂直)方向の剪断力を受けても両押出形材12
の連結部が緩んだり外れたりせず、軽量且つ強固で安定
した床版10を形成することができる。
【0023】図7は床版10を形成する押出形材12同
士の更に異なる連結形態に関する。図7(A)において、
左方の押出形材12にはその端面の上下部におけるフラ
ンジ42の先端から厚さ方向の中央向きの延びる一対の
突条44と、これらの間で且つ上記端面の厚さ方向の中
央に形成された凹部46とからなる断面を有する雌型部
40が形成されている。上記各突条44の凹部46側に
はその先端側に向って外方側に向うテーパ面48を形成
されている。また、上記突条44の図示で外方側の垂直
面(端面)には、斜面を上又は下向きにした断面略直角3
角形からなる複数の抜け止め細条43が突設されてい
る。一方、図示で右方の押出形材12にはその端面の上
下部に上又は下向きに形成された一対の凹溝52と、こ
れらの間で且つ上記端面の厚さ方向の中央に形成された
凸部54とからなる断面を有する雄型部50が形成され
ている。該凸部54はその両側面の端面寄りから上下向
きに突出する一対の側片56を有し、この各側片56の
側面には上記各凹溝52の一側面を形成する一対のテー
パ面58が形成されている。また、上記凹溝52内の図
示にて中空部14寄りの垂直面(端面)には、斜面を上又
は下向きにした断面略直角3角形からなる複数の抜け止
め細条53が突設されている。尚、上記各テーパ面4
8,58も図示で水平方向に対し略45度の傾斜を有す
る。
【0024】左右の押出形材12を連結するため、先
ず、両押出形材12を相対的に図示で前後(奥行き)方向
にスライドさせ、左方の雌型部40の各突条44を右方
の雄型部50の各凹溝52内に嵌装すると共に、側片5
6を含む凸部54を凹部56内に嵌合する。次いで、左
右の各押出形材12を互いに離間する水平方向に引く
と、図7(B)に示すように、雌・雄型部40,50の各
テーパ面48,58が面接触する。同時に、中央の凹部
46と凸部54との間に隙間49が形成され、且つ上下
両側の各突条44と各凹溝52との間に垂直な隙間59
aが形成される。この隙間59a内には、突条44側の
各抜け止め細条43と凹溝52側の各抜け止め細条53
とが左右略対称の位置において互いに対向する。
【0025】そして、上記隙間59a内に楔片59を打
ち込む。この楔片59は細長い3角形の断面を有し、各
押出形材12と同等か若干硬質のアルミ押出形材又は硬
質樹脂形材が用いられる。両押出形材12間の隙間59
a内に打ち込まれた楔片59は、図7(B)の上部に示す
ように、左右の各抜け止め細条43,53と噛み合った
状態で位置固定される。この結果、左右の押出形材12
同士は互いに水平方向に離間する力を受けるが、予め面
接触している雌・雄型部40,50の各テーパ面48,
58が一層強固に当接するので、左右の押出形材12を
緊密に連結することができる。また、各楔片59は各抜
け止め細条43,53と噛み合っているので、押出形材
12同士の連結部に対して垂直方向の曲げモーメントや
剪断力、或いは振動が作用しても上記隙間59aから抜
け出さない。
【0026】従って、係る雌・雄型部40,50の嵌合
による連結と楔片59の打込みによっても、軽量且つ強
固で安定した床版10を形成することができる。尚、楔
片59は凹溝52の底面に先端が当触するように楔片5
9自体の変形分も含めてその長さを選定すると十分な打
ち込みができるので望ましい。また、楔片59の両側面
にも抜け止め細条43,53と逆向きでやや小さい抜け
止め細条を形成しておくと、一層強固な連結とその抜け
出しを防ぐことができる。更に、上記雌・雄型部40,
50に前記図6で示した中突部27と中凹部37を付設
すると一層緊密で強固な連結部にすることもできる。
【0027】本発明は以上において説明した各形態に限
定されるものではない。前記図1,2中の橋桁2を梁や
桁等に置き換えた場合、前記各床版10はビルや住宅等
の鉄骨構造物における床版として十分活用できることは
明白である。また、板厚の異なる楔片を連結すべき押出
形材同士の両側から打込むことにより、複数の押出形材
全体が各々の幅方向に沿って緩くカーブした床版を形成
でき、例えばアーチ橋に活用することもできる。更に、
前記押出形材12の中空部14の断面は矩形であった
が、これを二等辺三角形や台形状の断面とし、且つ押出
形材12の断面の幅方向に沿って交互に逆向きに配置す
ることにより、トラス構造を形成するようにすることも
できる。
【0028】また、押出形材はその上方の外側面が平坦
に連なっていれば、断面全体に渉って中空部を形成する
必要はなく、例えば複数の断面矩形等の中空部を間隔を
置いて一体に形成した形材や、平坦な上方の外側面を形
成する上壁板の下側から断面逆T形のリブを多数本一体
に垂下したオープン形材を用いることもできる。加え
て、各床版10は前記のように、それを形成する各押出
形材12が橋桁2,2間に直交するように配設される形
態に限らず、橋桁や梁同士に直角方向や斜め方向に結合
される小桁や大引等の構造材同士の間にその両端部を固
定して、橋桁2や梁等と平行としたり、或いは傾斜させ
て固定することもできる。尚、前記橋桁2における上方
のフランジ4の上面に合成ゴム等のシートを敷設して、
その上に床版10を固定することにより、車両等による
振動を緩和すると共に、各床版10の両端のボルトBに
よる固定部付近を保護することもできる。
【0029】
【発明の効果】以上において説明した本発明の構築物用
床版よれば、アルミ合金製の複数の押出形材同士を雌・
雄型部の嵌合と楔片の打込みにより緊密且つ強固に連結
したので、橋桁や梁等の構造材に加わる荷重を低減でき
る。しかも、押出形材同士の連結部に垂直方向の曲げモ
ーメントや剪断力が加わってもガタ付きや緩み或いは変
形や破損を生じにくいという利点を有する。従って、床
版自体は基よりこれを支える構造材の耐久性を向上させ
ることも可能となり、メンテナンス等の管理も容易化す
ることができる。また、請求項3の床版によれば、床版
を形成する押出形材同士の連結部において楔片を傾斜し
て打込むので、連結部に垂直方向の剪断力が働いても楔
片が抜け出ることを皆無にできる。更に、請求項4の床
版によれば、押出形材同士の間に一層緻密で強固な連結
構造を得ることができ、長期間に渉って安定した床版と
することができる。また、請求項5の床版によれば、押
出形材同士の連結部における隙間内の抜け止め細条間に
楔片を打込むので、任意の角度から打込んでも強固な床
版を形成でき、且つ形材の連結部に働く剪断力や振動に
も十分抵抗することができる。加えて、請求項6の床版
によれば、ボルトが貫通する通し孔を穿設せずに、床版
を形成する押出形材を橋桁等の構造材に容易に固定する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)及び(B)は共に本発明の床版を用いた橋体
の長手方向と幅方向に沿った部分垂直断面図。
【図2】図1の橋体を構成する橋桁間に本発明の床版を
掛け渡した状態を示す斜視図。
【図3】(A)は本発明の床版を橋桁に固定した状態を示
す部分垂直断面図、(B)は床版を形成する押出形材同士
の雌・雄型部の一形態を示す部分断面図。
【図4】(A)及び(C)は共に押出形材同士の連結形態を
示す部分断面図、(B)はこの連結に用いる楔片の先端部
側を示す拡大部分断面図。
【図5】(A)は本発明の床版の異なる形態を示す部分断
面図、(B)はこの床版を橋桁に固定した状態を示す部分
垂直断面図。
【図6】(A)及び(B)は本発明の床版を形成する押出形
材同士の連結の異なる形態を示す部分断面図。
【図7】(A)及び(B)は本発明の床版を形成する押出形
材同士の連結の更に異なる形態を示す部分断面図。
【図8】(A)及び(B)は共に従来の床版を用いた橋体の
部分垂直断面図、(C)はビル等の鉄骨構造に用いられる
従来の床版を示す部分垂直断面図。
【符号の説明】 2……………………………橋桁 10…………………………床版 12…………………………押出形材 14…………………………中空部 15…………………………底広凹溝 18,59…………………楔片 20,20′,40…………雌型部 24,25,44……………突条 26,46…………………凹部 27…………………………中突部 28,38,48,58…テーパ面 30,30′,50…………雄型部 32,33,52……………凹溝 34,54…………………凸部 37…………………………中凹部 39,39b,59a………隙間 43,53…………………抜け止め細条 B……………………………ボルト N……………………………ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 000186843 昭和アルミニウム株式会社 大阪府堺市海山町6丁224番地 (73)特許権者 000002277 住友軽金属工業株式会社 東京都港区新橋5丁目11番3号 (73)特許権者 000005290 古河電気工業株式会社 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 (73)特許権者 000176707 三菱アルミニウム株式会社 東京都港区芝2丁目3番3号 (72)発明者 萩澤 亘保 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術セン ター内 (72)発明者 石川 博光 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術セン ター内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01D 19/12 E04B 5/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金製で且つ所要の厚さを有
    する複数の押出形材を互いに連結して形成される床版で
    あって、 上記押出形材の長手方向に沿って形成した一端面の雌型
    部と、隣接する押出形材の長手方向に沿って形成した他
    端面の雄型部とを嵌合して連結し、この連結部の上下面
    における雌・雄型部の隙間内に楔片を打込むことによ
    り、隣接する押出形材同士を離間させる共に、各押出形
    材の上記連結部における雌・雄型部の各テーパ面同士を
    互いに面接触させて、両押出形材の厚さ方向に略沿う剪
    断力に耐え得るようにした、ことを特徴とする構築物用
    床版。
  2. 【請求項2】アルミニウム合金製で且つ所要の厚さを有
    する複数の押出形材を互いに連結して形成される床版で
    あって、 上記押出形材の長手方向に沿った一端面に雌型部を、他
    端面に雄型部を全長に渉って形成し、 上記雌型部が、該端面の上下両側から厚さ方向の中央に
    向けて形成された上下一対の突条と、該一対の突条間に
    形成された凹部とよりなり、上下一対の各突条の上記凹
    部側には各突条の先端側に向って外方側に向うテーパ面
    を形成してなる断面を有し、 上記雄型部が、上記雌型部の凹部内に嵌合される形状の
    凸部と、該凸部の上部及び下部において上記雌型部の一
    対の突条が嵌装される形状の上下一対の凹溝とよりな
    り、上記凸部は上記雌型部の凹部よりも小さく、上記一
    対の各凹溝は上記雌型部の各突条よりも大きく形成する
    と共に、上記凸部の各凹溝側には上記雌型部の各テーパ
    面と略同じ傾斜角度のテーパ面を形成してなる断面を有
    し、 互いに隣接する押出形材の上記雌型部の各突条を上記雄
    型部の各凹溝内に嵌装し、且つ雌型部の凹部内に雄型部
    の凸部を嵌合すると共に、雌・雄両型部の上下両側にお
    ける上記突条と凹溝との隙間内に楔片をそれぞれ打込む
    ことにより、押出形材同士が互いに連結される、ことを
    特徴とする構築物用床版。
  3. 【請求項3】前記雌型部の突条と雄型部の凹溝とが押出
    形材の厚さ方向に対して略平行に傾斜し、隣接する押出
    形材同士の各突条を上記雄型部の各凹溝内に嵌装した際
    に両者間に形成される前記隙間が、押出形材の厚さ方向
    に対し傾斜している、ことを特徴とする請求項2に記載
    の構築物用床版。
  4. 【請求項4】前記雌型部の凹部内における厚さ方向の略
    中央に突設した中突部と、この中突部と嵌合し且つ前記
    雄型部の凸部端面の略中央に形成した中凹部とを有す
    る、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の構築物用
    床版。
  5. 【請求項5】前記雌型部の突条と雄型部の凹溝との互い
    に対向する各端面に抜止め細条を形成し、これらの各抜
    止め細条間に前記楔片を打込む、 ことを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の構築
    物用床版。
  6. 【請求項6】前記押出形材が、その長手方向に沿った中
    空部を有すると共に、この中空部内に一方の外側面に開
    口する底広凹溝を一体形成した、 ことを特徴する請求項1乃至5の何れかに記載の構築物
    用床版。
  7. 【請求項7】前記床版が、橋梁における複数の橋桁同士
    間に掛け渡されるか、或いは建物等における複数の梁同
    士間又は桁同士間に掛け渡されてボルト・ナットにより
    固定されるものである、 ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の構築
    物用床版。
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