JP3069348B1 - 舌ブラシ - Google Patents

Abstract

【要約】 【課題】 舌背上でかき取られた舌苔をため込み、かき
取られた舌苔が口腔内に漏れず、また舌粘膜の損傷を防
止し、特に痴呆老人や寝たきり老人等介護を必要とする
人の舌を清掃するのに適した舌ブラシを提供する。 【解決手段】 把持柄１の先端両側部に、舌背の舌苔を
かきこする外方へわん曲したブラシ体１０の両端部を取
り付け、把持柄１の先端に、ブラシ体１０の少なくとも
一部及びブラシ体１０の内側を覆い、ブラシ体１０によ
りかき取られた舌苔をため込むスプーン状のカバー７を
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、舌苔をかき取る舌
ブラシに関し、特に痴呆老人や寝たきり老人等介護が必
要な人の舌を介護する者が清掃するのに適した舌ブラシ
に関する。

【０００２】

【従来の技術】舌背上に蓄積する舌苔は、剥離上皮細胞
や、白血球、口腔内細菌のかたまりからできており、そ
の広範な舌面積からデンタルプラーク（歯垢）よりも細
菌数が多いといわれ、口臭の原因となり、デンチャープ
ラークやデンタルプラーク（歯垢）の供給元、発生源と
なっており、舌苔を除去することは、口臭の除去のほ
か、義歯性カンジダ症や、歯牙のう蝕予防に間接的なつ
ながりがあることが報告されている。

【０００３】ところで、従来の舌清掃用具は、帯状また
は板状のフレーム先端で舌背をしごくヘラタイプと、ブ
ラシタイプの２種類に大別される。

【０００４】さらに、ヘラタイプは、ヘラ本体が金属製
やプラスチック製の剛性タイプと、シリコーン製ソフト
タイプの２種類に別けられる。

【０００５】また、ブラシタイプは、歯ブラシ状に毛を
植え込んだものや、Ｙ字状の枠体に植毛したワイヤを左
右に張り渡したものがある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の前記ヘラタイプ
で、ヘラ本体が剛性のプラスチックの場合、強い力で舌
背の擦掃を繰り返すと、舌粘膜や舌乳頭中の味蕾組織を
損傷する恐れがある。

【０００７】そのため損傷を防止する目的で、フレーム
先端の舌背との当接部に丸みをつけると、舌背の表面を
すべるだけで舌乳頭（舌ヒダ）間の清掃が困難となる。

【０００８】また、ヘラ本体がシリコーン製のソフトタ
イプも、強度との関係でヘラ先端が丸みを帯び、結果と
して細かな舌乳頭間の清掃が困難となり、加えて軟質の
ため、掻き出し力がさらに弱くなる。

【０００９】つぎに、ブラシタイプで歯ブラシ状に毛を
植え込んだものは、舌苔をかき出しても両側から舌苔が
漏れ、口腔内に拡放し、寝たきり老人などでは誤嚥する
恐れがある。

【００１０】また、ブラシのみの弾性では毛先が短いた
めに強い力が舌背表面にかかり、舌粘膜が損傷する恐れ
もある。さらに植毛部分も大きくなりがちで、そのため
に嘔吐反射がきつくなる欠点がある。

【００１１】また、Ｙ字状の枠体に植毛したワイヤを左
右に張り渡したものは、植毛部分の上側から舌苔が漏れ
る恐れがあり、寝たきり老人などでは同様に誤嚥する恐
れがある。

【００１２】一方、高齢者の死亡原因の第一位として急
性肺炎が上げられているが、特別養護老人ホームでの疫
学的な調査により、寝たきり老人に特に多い原因不明の
発熱が、口腔内常在細菌による誤嚥性肺炎であることが
判明している。

【００１３】さらに、老人特有の口腔内現象として、老
齢化による唾液分泌量の低下が上げられるが、そのため
に唾液による口腔内の自浄作用も悪くなり、舌苔もたま
りやすく、いわゆる老人性口臭の原因となっている。

【００１４】加えて寝たきり老人では、流動食が多くな
り、繊維性食物摂取による機械的な自浄作用も少なくな
るために、唾液分泌量の低下とあいまって舌苔や食べか
すが、口腔内により一層蓄積しやすい環境となってい
る。

【００１５】また、抵抗力の弱い寝たきり老人などで
は、咳反射機能の低下や、嚥下障害を伴うことも多く、
抵抗力のある健康な者には感染しないような口腔内常在
細菌や、食べかす等が、寝ている間にあやまって肺に入
り込み、不顕性肺炎となって寝たきり老人の死につなが
っている。

【００１６】このことを防ぐためにも、義歯に付着した
食物残渣の除去や義歯そのものの洗浄以外に、歯の清
掃、歯槽膿漏の治療や舌苔の除去等の口腔内清掃、いわ
ゆるオーラルケアーの必要性が求められている。

【００１７】中でもよく見過ごされやすいのが、舌背の
清掃による舌苔除去である。この見過ごされやすい理由
として、あまり強い力で舌背を清掃すると、舌粘膜や舌
乳頭中の味蕾が損傷し、慢性炎症となる弊害が過去指摘
され、鯨のひげや竹べらなどが自粛されたために、舌の
清掃がなされなくなった経緯があるからである。

【００１８】前述のごとく、高齢者は、唾液の分泌が悪
いために舌苔がたまりやすくなっている上に、舌背も乾
燥気味で舌粘膜が弱くなり、わずかな力でも損傷しやす
くなっている。

【００１９】特に痴呆老人や寝たきり老人等の介護が必
要な人の舌を介護をする者が清掃するときなどは、介護
される人自身の痛覚による調節ができなく、介護をする
者が、痛みに気づかずに強い力で介護される人の舌背を
擦掃し、あやまって舌粘膜を損傷する恐れがある。その
ため介護用の舌清掃具としては、強い力で舌背面を圧接
することによる舌粘膜の損傷防止への配慮も必要とな
る。

【００２０】この点、従来の清掃用具は、全て健常者が
自らの口臭を取る目的のために、自らの舌を清掃すると
いう視点からのみ設計されており、使用者自身で力の調
節ができるために、強圧に対する緩圧作用がない。

【００２１】さらに、抵抗力の弱った寝たきり老人にと
って、誤嚥性肺炎の原因ともなる、かきとった舌苔を口
腔内に漏らさずに外へ取り出すという点での配慮もなさ
れていない、という問題点がある。

【００２２】本発明は、前記の点に留意し、舌背上でか
き取られた舌苔をため込むことができ、かき取られた舌
苔が口腔内に漏れず、また舌粘膜の損傷を防止し、特に
痴呆老人や寝たきり老人等介護を必要とする人の舌を清
掃するのに適した舌ブラシを提供することを目的とす
る。

【００２３】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の舌ブラシは、把持柄の先端部に、下面側に
凹部が形成されたスプーン状のカバーを一体に形成し、
線材に多数の毛を螺旋状に配列して舌背の舌苔をかきこ
するブラシ体を形成し、前記ブラシ体を、前記カバーの
下側に、外方へわん曲して前記ブラシ体の前記線材が前
記カバーに覆われるように設け、 前記ブラシ体の両端部
の線材を、前記カバーの下面両側部に取り付け、前記ブ
ラシ体によりかき取られた舌苔を前記ブラシ体の上側か
らの漏れを防止して前記カバー内にため込み、前記ブラ
シ体の前記舌背への圧接による過度の変形を前記カバー
により抑制するようにしたものである。

【００２４】前記のように構成された本発明の舌ブラシ
は、把持柄の先端部に一体にスプーン状のカバーが形成
され、このカバーの下面側の凹部の下側に、外方へわん
曲したブラシ体が設けられ、このブラシ体が舌背に圧接
されてその舌苔をかきこすると、舌背上でかき取られた
舌苔がブラシ体の上側からの漏れを防止してカバー内に
ため込まれ、かき取られた舌苔が口腔内に漏れず、特に
痴呆老人や寝たきり老人等介護を必要とする人が、舌苔
を誤嚥する恐れを防止することができる。

【００２５】また、ブラシ体が線材に多数の毛を螺旋状
に配列して形成され、その外方へわん曲した線材の弾力
によりブラシ体の舌背への圧接力が緩和されるため、舌
粘膜が傷つくことがない。かつ、前記圧接力によってブ
ラシ体が過度に変形すれば擦掃効果を減少するが、ブラ
シ体の外方へわん曲した線材がカバーに覆われ、カバー
がブラシ体の過度の変形に対するストッパーの働きをす
るため、前記の圧接力によるブラシ体の過度の変形を防
止する。

【００２６】つぎに、カバーの先端部とブラシ体の先端
部との間に、若干の隙間を設けると、一層ブラシ体に弾
力が付与されて前記の圧接力が緩和される。この場合、
ブラシ体が舌背に当接すると、ブラシ体がカバーに接触
してブラシ体の上側から舌苔が漏れることがない。

【００２７】また、把持柄の中間部と先端部との間に弾
性部を形成すると、ブラシ体の毛及び線材と、把持柄の
弾性部とにより、３段階のクッションが形成され、ブラ
シ体の舌背への圧接力が一層緩和され、特に、介護をす
る人が気づかずに強い力で介護される人の舌背をこする
ようなことがあっても、弾性部等の弾力により、過度の
圧接力が直接舌背に及ぶことが防止される。

【００２８】

【発明の実施の形態】本発明の舌ブラシの実施の１形態
を図１ないし図３を参照して説明する。１は長寸の把持
柄、２は把持部であり、把持柄１の中間部３から基部側
にかけ太目に形成されている。４は中間部３の下面に突
出して形成された当りであり、人差指が当るようになっ
ている。５は中間部３と先端部６との間に形成された弾
力を有する細長い弾性部である。

【００２９】７は把持柄１の先端、即ち弾性部５の先端
に一体に形成されたカバーであり、貝殻に似たスプーン
状になっており、下面側に凹部８が形成されている。９
はカバー７の下面両側に形成された膨出部である。

【００３０】１０は外方へわん曲したブラシ体であり、
平行な２本の針金等の線材１１間に多数の毛１２を並べ
て挟み込み、多数の毛１２を線材１１のねじりにより螺
旋状に配列して構成されたねじりブラシ体からなり、ブ
ラシ体１０の両端部の線材１１が膨出部９に埋め込まれ
て取り付けられ、カバー７に支持されている。このと
き、カバー７はブラシ体１０の外方へわん曲した線材１
１を覆い、また、カバー７の先端部とブラシ体１０の先
端部の上面との間に若干の隙間１３が形成されている。

【００３１】そして、介護される人の舌背の舌苔を除去
する場合、図３に示すように、介護をする人が人差指を
当り４に当てるとともに、親指を中間部３の上面に当て
がい、中指、薬指、小指を把持部２の下面に沿わせて舌
ブラシを把持し、ブラシ体１０を舌背に当て、把持部２
を手前に引き、ブラシ体１０により舌苔をかきこする。

【００３２】このとき、舌背上でかき取られた舌苔は、
カバー７の凹部８にため込まれて口腔内に漏れることが
ない。

【００３３】また、ブラシ体１０の毛１２及び線材１１
と把持柄１の弾性部５とにより、充分なクッションが形
成され、舌背への圧接力が緩和され、舌背を傷つけるこ
とがない。

【００３４】さらに、ブラシ体１０の線材１１を覆った
カバー７が、ブラシ体１０の過度の変形を防止し、擦掃
効果の減少を防止する。

【００３５】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。把
持柄１の先端部に一体にスプーン状のカバー７が形成さ
れ、このカバー７の下面側の凹部８の下側に、外方へわ
ん曲したブラシ体１０が設けられ、このブラシ体１０が
舌背に圧接されてその舌苔をかきこすると、舌背上でか
き取られた舌苔がブラシ体１０の上側からの漏れを防止
してカバー７内にため込まれるため、かき取られた舌苔
が口腔内に漏れず、特に痴呆老人や寝たきり老人等介護
を必要とする人が、舌苔を誤嚥する恐れを防止すること
ができる。

【００３６】また、ブラシ体が線材１１に多数の毛１２
を螺旋状に配列して形成され、その外方へわん曲した線
材１１の弾力によりブラシ体１０の舌背への圧接力が緩
和されるため、舌粘膜が傷つくことがない。かつ、前記
の圧接力によってブラシ体１０が過度に変形すれば擦掃
効果を減少するが、ブラシ体１０の外方へのわん曲した
線材１１がカバー７に覆われ、カバー７がブラシ体１０
の過度の変形に対するストッパの働きをするため、前記
の圧接力によるブラシ体１０の過度の変形を防止するこ
とができる。

【００３７】つぎに、カバー７の先端部とブラシ体１０
の先端部との間に、若干の隙間１３を設けると、一層ブ
ラシ体１０に弾力が付与されて前記の圧接力が緩和され
る。この場合、ブラシ体１０が舌背に当接すると、ブラ
シ体１０がカバー７に接触してブラシ体１０の上側から
舌苔が漏れなく、ブラシ体１０の舌背への圧接力を一層
緩和して前記の各効果を奏することができる。

【００３８】また、把持柄１の中間部３と先端部６との
間に弾性部５を形成すると、ブラシ体１０の毛１２及び
線材１１と把持柄１の弾性部５とにより、３段階のクッ
ションが形成され、ブラシ体１０の舌背への圧接力が一
層緩和され、特に、介護をする人が気づかずに強い力で
介護される人の舌背をこするようなことがあっても、弾
性部５等の弾力により、過度の圧接力が直接舌背に及ぶ
ことを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ａは本発明の実施の１形態の平面図、Ｂは下面
図、Ｃは左側面図である。

【図２】図１Ｃの一部の断面図である。

【図３】図１の使用状態の側面図である。

【符号の説明】

１ 把持柄 ３ 中間部 ５ 弾性部 ７ カバー １０ ブラシ体 １１ 線材 １２ 毛 １３ 隙間

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 把持柄の先端部に、下面側に凹部が形成
   されたスプーン状のカバーを一体に形成し、 線材に多数の毛を螺旋状に配列して 舌背の舌苔をかきこ
   するブラシ体を形成し、前記ブラシ体を、前記カバーの下側に、外方へわん曲し
   て前記ブラシ体の前記線材が前記カバーに覆われるよう
   に設け、 前記ブラシ体の両端部の線材を、前記カバーの下面両側
   部に取り付け、 前記ブラシ体によりかき取られた舌苔を前記ブラシ体の
   上側からの漏れを防止して前記カバー内にため込み、前
   記ブラシ体の前記舌背への圧接による過度の変形を前記
   カバーにより抑制するようにしたことを特徴とする舌ブ
   ラシ。
2. 【請求項２】 カバーの先端部とブラシ体の先端部との
   間に、若干の隙間を設けたことを特徴とする請求項１記
   載の舌ブラシ。
3. 【請求項３】 把持柄の中間部と先端部との間に、舌背
   への圧接力緩和用の弾性部を形成したことを特徴とする
   請求項１または２記載の舌ブラシ。