JP3069331B2 - マルチメディア多重伝送方法及び装置 - Google Patents

マルチメディア多重伝送方法及び装置

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JP3069331B2
JP3069331B2 JP10335355A JP33535598A JP3069331B2 JP 3069331 B2 JP3069331 B2 JP 3069331B2 JP 10335355 A JP10335355 A JP 10335355A JP 33535598 A JP33535598 A JP 33535598A JP 3069331 B2 JP3069331 B2 JP 3069331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2線式あるいは4
線式の単一のアナログ回線を用いてホストコンピュータ
や端末装置等からのデータ信号と音声信号を同時に多重
伝送するマルチメディア多重伝送方法及び装置に関し、
特に、メインのデータを変換したデータ信号点に音声信
号などの他の信号を重畳して同時に多重伝送するマルチ
メディア多重伝送方法及び装置に関する。
【0002】近年、伝送メディアの多様化により、電話
の音声信号、ファクシミリ信号、データ信号、画像信号
等の種々の信号の多重伝送が可能となっており、デジタ
ル基幹回線では、既にこれらの多重伝送が実現されてい
る。
【0003】一方、基幹回線以外の殆どの回線は、未だ
アナログ回線であり、アナログ回線では、複数のメディ
アに対応できていないため、データ信号はモデムを使用
した3.4KHz回線、音声は電話機、インバンドリン
ガー、交換器等を使用した音声級回線というように、別
々の回線を使用して伝送する形態が現実である。
【0004】またデジタル回線は普及に時間がかかって
おり、ランニングコストも高いことから、アナログ回線
に対し依然として根強い要求がある。
【0005】このため、アナログ回線においても、ラン
ニングコスト低減の要求からデータ信号、音声信号、画
像信号等の複数のメディアの多重伝送が要求されてい
る。
【0006】
【従来の技術】図80は従来のマルチメディア多重伝送
方式の利用形態の一例を示す。本社10と支社12とい
う大規模事業所では、これらをデジタル基幹回線14で
接続し、マルチメディア多重伝送装置を利用して、音声
信号、データ信号、画像信号等の複数メディアの信号を
多重化して1本のデジタル基幹回線14で伝送してい
る。
【0007】しかし、本社10や支社12と接続された
支店16−1〜16−nとの間は、ランニングコストを
低減するため公衆回線や専用回線を用いた個別のアナロ
グ回線18−1〜18−nを使用している。
【0008】このため図81に詳細を示すように、例え
ば本社10と各支店16−1〜16−nの間は、データ
信号についてはモデム20−1〜20−nを使用した
3.4KHz回線22−1〜22−n、音声信号は電話
機24−1〜24−nを使用した音声級回線26−1〜
26−nを使用している。この点は支社12と各支店1
6−1〜16−nの間も同じである。
【0009】更に、ファクシミリ装置では、アナログ回
線を音声信号とデータ信号の両方に使用するため、モデ
ムと電話を切り換えるようにして画像データと音声信号
を1本のアナログ回線で伝送している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のマルチメディア多重伝送方式にあっては、次
の問題があった。
【0011】まず企業の事業所間の通信等では、データ
通信と電話通信を同時使用することが多く、ファクシミ
リ装置に利用されている回線切り換え方法では効率が悪
く、結局、図81の本社10および支社12と各支店1
6−1〜16−nに示すように、データ通信に3.4K
Hz回線22−1〜22−nを使用し、また音声通信に
電話級回線26−1〜26−nを使用せざるを得ず、別
々の回線を使用することで回線がメディア分必要とな
り、回線料金が余分にかかる。また通信機器もメディア
分必要となり、機器費用がかかる。
【0012】本発明の目的は、単一のアナログ回線を利
用してデータ信号と音声信号とを同時に伝送することが
できるマルチメディア多重伝送方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明図1および図2は
本発明の原理説明図である。
【0014】まず本発明は、第1信号を2次元座標空間
の信号点に割当て、第2信号をその信号点に重畳するこ
とにより、2種類の信号を合成して伝送路に送信するこ
とを特徴とするマルチメディア多重伝送方法である。
【0015】また本発明は、伝送路の受信信号による2
次元座標空間の受信点から信号点を判定して第1信号を
再生し、その受信点と判定信号点の誤差に基づいて第2
信号を再生することを特徴とするマルチメディア多重伝
送方法である。
【0016】ここで第1発明としてのマルチメディア多
重伝送方法は、図1(a)(b)のように、第1信号は
データ信号であり、第2信号はアナログ信号(音声帯域
パスバンド信号)であることを特徴とする。
【0017】また第2発明としてのマルチメディア多重
伝送方法は、図2(c)のように、第1信号は、データ
信号とアナログ信号の一部の信号を合成した信号であ
り、第2信号は、アナログ信号の残りの信号であること
を特徴とする。
【0018】更に、第3発明としてのマルチメディア多
重伝送方法は、図2(d)のように、第1信号は第1ア
ナログ信号と第2アナログ信号の一部の信号を合成した
信号であり、第2信号は第1および第2アナログ信号の
残りの信号であることを特徴とする。
【0019】本発明のマルチメディア多重伝送方法に於
いて、アナログ信号は、具体的には音声信号またはFA
X信号である。また伝送路は2線式又は4線式の単一の
アナログ回線である。
【0020】また本発明は、マルチメディア多重伝送装
置を提供するものであり、第1信号を2次元座標空間の
信号点に割当て、第2信号を前記信号点に重畳すること
により2種類の信号を合成して伝送路に送信する送信装
置と、伝送路の受信信号による2次元座標空間の受信点
から信号点を判定して第1信号を再生し、受信点と判定
信号点の誤差に基づいて第2信号を再生する受信装置と
を備える。
【0021】この場合も、 第1信号はデータ信号、第2信号はパスバンド信号の
場合; 第1信号はデータ信号とアナログ信号の一部の信号を
合成した信号、第2信号はアナログ信号の残りの信号の
場合; 第1信号は第1アナログ信号と第2アナログ信号の一
部の信号を合成した信号、第2信号は第1および第2ア
ナログ信号の残りの信号の場合; が含まれる。
【0022】更に詳細に説明すると次のようになる。 [音声+データ]図1は本願の第1発明を示したもの
で、図1(a)に示すように、アナログ回線46を介し
て送信部30と受信部32を接続したマルチメディア多
重伝送方法を対象とする。
【0023】送信部30には、メインの送信データを2
次元座標空間のデータ信号点に変換し、このデータ信号
点を変調した変調信号を送信するデータ送信手段と、ア
ナログパスバンド信号をアナログベースバンド信号に変
換し、このアナログベースバンド信号をデータ信号点に
重畳して伝送させる多重化手段とを設ける。
【0024】また受信部32には、送信部30からの送
信信号をアナログ回線46から受信して元の送信データ
を再生するデータ再生手段と、受信信号からアナログベ
ースバンド信号を分離した後に元のアナログパスバンド
信号に逆変換するアナログ再生手段とを設ける。
【0025】送信部30のデータ送信手段は、所定長単
位に送信データを入力して対応するデータ信号点を発生
するデータ信号点発生手段38と、データ信号点発生手
段38で発生したデータ信号点を振幅と位相の2成分で
変調した変調信号(PSK、QAM又はTCM等)を送
信する変調手段42とを少なくとも備える。
【0026】また送信部30の多重化手段は、音声信号
またFAX信号などのパスバンド帯域のアナログパスバ
ンド信号をベースバンド帯域のアナロクベースバンド信
号に変換するベースバンド変換手段50と、ベースバン
ド変換手段50からのアナログベースバンド信号をデー
タ信号点に加算する加算手段40とを少なくとも備え
る。
【0027】受信部32のデータ再生手段は、受信信号
から変調信号を復調等化する復調等化手段60と、復調
等化手段60で得られた復調信号からデータ信号点を判
定する判定手段62と、判定手段62で判定したデータ
信号点から元の送信データを復元する符号変換手段64
とを少なくとも備える。
【0028】受信部32のアナログ再生手段は、判定手
段62の判定前の信号と判定後の信号との差を取ってベ
ースバンド信号を復調するベースバンド復調手段72
と、ベースバンド復調手段72からのベースバンド信号
をパスバンド帯域に変換して元のアナログパスバンド信
号を再生するパスバンド変換手段76とを少くとも備え
る。
【0029】通常、送信部32は、データ信号点発生手
段38に入力する送信データをスクランブルするスクラ
ンブル手段36を設け、受信側での自動等化を可能とす
るためデータの相関をなくしている。そこでメインのデ
ータ信号点に重畳するアナログベースバンド信号につい
てもランダム変換手段52によりランダム変換してデー
タの相関をなくす。
【0030】これに対応し受信部32には、符号変換手
段64からの変換信号をデスクランブルして元の送信デ
ータを再生するデスクランブル手段66が設けられ、ア
ナログ再生手段には、ベースバンド復調手段72からの
ベースバンド信号をランダム逆変換して元のアナログパ
スバンド信号に変換するランダム逆変換手段74を設け
る。
【0031】この場合、ランダム変換手段52は、スク
ランブル手段36でスクランブルしたデータに対応して
アナログベースバンド信号をランダム変換し、また逆ラ
ンダム変換手段74は、符号変換手段64の変換データ
に対応して、ベースバンド復調手段72からの信号をラ
ンダムに逆変換する。
【0032】信号品質を向上するため送信部30のデー
タ信号点発生手段38は、発生した送信データの信号点
をトレリス符号化の手順に従ってデータ信号点に変換す
るトレリス符号化手段を備え、受信部32の判定手段6
2は、ビタビ復号手順(最尤推定法)に従って尤もらし
いデータ信号点を判定する軟判定手段を備える。
【0033】送信部30の多重化手段は、メインのデー
タ信号点に重畳するアナログベースバンド信号を振幅制
限して振幅制限手段54を備える。振幅制限手段54
は、相手局の受信部32の信号品質状況を自局にフィー
ドバックしてアナログベースバンド信号の振幅制限値を
制御することが望ましい。
【0034】更に、2線式アナログ回線を全二重で用い
る場合の信号品質を高めるため、送信部32からの送信
信号を2線式アナログ回線に送出すると共に、2線式ア
ナログ回線からの受信信号を受信部30に分離するハイ
ブリッド回路44と、送信部30の送信信号からエコー
成分を推定するエコー推定手段56と、エコー推定手段
56で推定したエコー成分をハイブリッド回路44の受
信信号から差し引いて前記受信部32に供給するエコー
除去手段58とを設ける。 [データ+音声;音声はディジタルとアナログに分離]
図2(c)は本願の第2発明の原理説明図である。
【0035】第2発明では、送信部(30)に、ベース
バンド変換手段50からのアナログベースバンド信号を
アナログ信号成分とディジタル信号成分に分離する分離
手段255と、分離したディジタル信号を送信データと
時分割多重化してデータ送信手段により送信させる時分
割多重化手段254と、分離したアナログ信号をデータ
信号点に重畳して伝送させるアナログ多重化手段として
の加算手段40を設けたことを特徴とする。
【0036】これに対応して送信部32には、再生した
データ信号点に対応するデータから元の送信データとベ
ースバント信号のディジタル信号成分を分離する時分割
分配手段258と、時分割分配手段258からのディジ
タル信号成分とアナログ復調手段72からのアナログ信
号成分とに基づいて元のベースバンド信号を合成する信
号合成手段256とを設けたことを特徴とする。 [音声+音声]図2(d)は本発明の第3発明の原理説
明図であり、2チォネル分の音声信号を同時に多重伝送
することを特徴とする。
【0037】このため第3発明の送信部30は、アナロ
グパスバンド信号から変換したベースバンド信号の位相
情報に関しては量子化位相信号に変換する位相量子化手
段314と、ベースバンド信号の振幅に関しては量子化
振幅信号と量子化残アナログ信号とに分離する分離手段
とをを2つのアナログパスバンド信号のチャネルごとに
設け、更に2チャネル分の量子化位相信号と量子化振幅
信号とを送信データとみなして時分割多重化する時分割
多重化手段254と、時分割多重化した送信データを位
相空間のデータ信号点に変換し、該データ信号点を変調
した変調信号を送信するデータ送信手段と、チャネルご
との分離手段255で生成した量子化残アナログ信号の
一方をリアル成分、他方をイマジナリ成分として合成し
た後にデータ信号点に重畳して伝送させるアナログ多重
化手段としての加算手段40とを設けたことを特徴とす
る。
【0038】この送信側に対応して受信部32には、再
生したデータ信号点に対応するデータから2チャネル分
の量子化位相信号と量子化振幅信号を再生してチャネル
ごとに分離する時分割分配手段258と、再生したデー
タ信号点に基づいて量子化残アナログ信号を抽出してリ
アル成分とイマジナリ成分に分離するアナログ復調手段
72とを設け、更に各チャネルごとに、時分割分配手段
258からの量子化位相信号を逆量子化して位相信号を
復調する位相逆量子化手段と、時分割分配手段258か
らの量子化振幅信号を逆量子化して振幅値を復調する振
幅逆量子化手段と、逆量子化で得られた位相信号、振幅
値および前記アナログ復調手段からのアナログ復調信号
から元のベースバンド信号を合成する信号合成手段25
6と、元のアナログパスバンド信号に変換するパスバン
ド変換手段76とを設けたことを特徴とする。
【0039】このような構成を備えた本発明のマルチメ
ディア多重伝送方法によれば次の作用が得られる。
【0040】まずメインの送信データは、図1(b)の
2次元の位相空間における4値の信号点(シンボル)で
示される。一方、音声等のパスバンド帯域のアナログ信
号をベースバンド帯域の信号に変換すると、位相空間で
は相関を持った分布となり、これをデータ信号点に重畳
すれば、信号点を中心とした小円内に音声信号を重畳で
き、音声とデータとの同時伝送が可能となる。
【0041】またベースバンド帯域に変換されたアナロ
グ信号をデータ信号点に重畳すると、受信側での自動等
化が効かないことから、例えば8相の位相信号を使用し
てランダム変換し、このランダム変換したアナログ信号
をデータ信号点に重畳する。受信側は、図送信側とは逆
の動作を行って元の送信データとパスバンド帯域のアナ
ログ信号を再生する。
【0042】このようにして本発明は、メインの送信デ
ータから見ると、メインのデータ信号点にノイズとして
音声等のアナログベースバンド信号を重畳することで、
相互に干渉することなく独立にデータと音声を同時に多
重伝送できる。
【0043】また受信側での自動等化器の使用を考え
て、メインデータのランダム化に合わせてベースバンド
帯域の音声信号もランダム化するので、音声信号を重畳
しても自動等化器の等化動作を安定に実行させることが
できる。またランダム変換をスクランブルデータを用い
て行い、復調側でデスクランブルされた結果に基づいて
音声信号をランダム逆変換するので、元の相関のある音
声信号に戻すことができる。
【0044】しかも、データ信号点に重畳するアナログ
信号の振幅を、アナログ信号に許されたレベル範囲に制
限するので、メインのデータ通信における回線のノズレ
ベルを越えることがなく、信号の復調不能という事態を
防止できる。
【0045】また図2(c)の第2発明にあっては、デ
ータ信号点に重畳できるアナログ信号のレベルに制約が
あっても、ディジタル信号とアナログ信号に分離し、デ
ィジタル信号は送信データと共にデータ信号点を表わす
データに含めて伝送することで、音声、ファクシミリ等
のアナログ信号の伝送品質を向上できる。
【0046】さらに図2(d)の第3発明にあっては、
音声2チャネルをディジタル信号とアナログ信号に分け
て、ディジタル信号については、更に振幅情報と位相情
報に分けて量子化することで、2チャネル分のディジタ
ル信号はデータ信号点に変換し、2チャネル分のアナロ
グ信号はリアル成分とイマジナリ成分とに対応させたア
ナログ芯号してデータ信号点に重畳させることで、単一
のアナログ回線を使用して同時に音声信号又はファクシ
ミリ信号を2チャネル同時伝送できる。
【0047】
【発明の実施の形態】<目次> 1.第1発明の基本実施形態 2.第1発明送信部の詳細実施形態 3.第1発明送信部の動作 4.第1発明受信部の詳細実施形態 5.第1発明受信部の動作 6.第1発明の他の実施形態 7.第2発明の基本実施形態 8.第2発明送信部の詳細 9.第2発明送信部の動作 10.第2発明受信部の詳細 11.第2発明受信部の動作 12.音声2チャネルを伝送する第3発明の基本実施形態 13.第3発明送信部の詳細 14.第3発明送信部の動作 15.第3発明受信部の詳細 16.第3発明の変形実施形態 1.第1発明の基本実施形態 図3は本発明のマルチメディア多重通信の第1発明の基
本的な実施形態をモデムを例にとって示した実施形態構
成図である。
【0048】図3において、モデムは送信部30と受信
部32で構成される。送信部30にはメインの送信デー
タ34を送信するため、スクランブラー36、トレリス
符号化機能を備えたデータ信号点発生部38、データ変
調部42及びハイブリッド回路42が設けられている。
また、音声またはファクシミリ等のアナログパスバンド
信号48を同時に送るため、ベースバンド変換部50、
ランダム変換部52、振幅制限部54及び加算部40が
設けられている。
【0049】音声またはファクシミリ等のアナログパス
バンド信号は、ベースバンド変換部50でアナログベー
スバンド信号に変換され、ランダム変換部52で無相関
とするためのランダム変換を施した後、振幅制限部54
で振幅制限を行い、加算部40でメインの送信データ3
4から得られたデータ信号点に重畳し、メインの送信デ
ータのデータ信号点のノイズ成分として同時に伝送され
る。
【0050】一方、モデムの受信部32は復調等化部6
0、ビタビアルゴリズムに従ったデータ信号点の判定を
行う軟判定部62、データ信号点をビット系列に変換す
る符号変換部64、デスクランブラー部66を備える。
このようなメインの送信データの受信系に加え、データ
信号点のノイズ成分として重畳した音声またはファクシ
ミリ等のアナログパスバンド信号を再生するため、遅延
回路70、ベースバンド復調機能を有する加算部72、
ランダム逆変換部74及びパスバンド変換部76を備え
る。
【0051】また、モデム側は送信部30と受信部32
を有する4線側となることから、ハイブリッド回路44
により2線式アナログ回線46を送信部30と受信部3
2の各2線に分けて全二重伝送を実現している。ハイブ
リッド回路44と受信部32の間にはエコー推定部56
と、エコー推定部56で推定したエコー成分をハイブリ
ッド回路44からの受信信号から除去するエコー成分除
去機能をもつ加算部58を設けている。
【0052】ここで本発明にあっては、メインの送信デ
ータのデータ信号点に音声等のアナログベースバンド信
号をノイズ成分として重畳して同時に伝送することか
ら、アナログベースバンド信号のレベルをメインの送信
データの伝送に影響を及ぼさない範囲に抑える必要があ
る。
【0053】図4はCCITTのV.29における変調
速度2400ボー、1シンホル当りの割当ビット数が2
ビット/シンボル、及びデータ伝送速度が4800bp
sモードの場合のデータ信号のエラーレート特性を示し
ている。
【0054】このデータ信号のエラーレート特性におい
て、10万分の1エラーレート、即ち1×10-5のエラ
ーレートにおけるデータ信号のS/N比は15dB程度
である。これに対しアナログ音声信号の場合は規格値で
28dB程度であり、また回線品質が良好な場合には3
8dB程度であり、アナログ回線は音声信号に対しS/
N的に余裕がある。
【0055】本発明にあっては、このアナログ回線にお
けるS/N的な余裕を音声やファクシミリ等のアナログ
信号の伝送に利用し、アナログ信号をデータ信号に重畳
して単一のアナログ回線で同時に伝送する。このため、
データ信号に重畳するアナログ信号のレベルは、規格値
のアナログ回線ではレベル範囲35−1に示すように、
メインのデータ信号のレベルより15dB以上低く、規
格値に基づく28dB以上高いレベルとすればよい。ま
た、回線品質が良好な場合には、レベル範囲35−2に
示すように、メインのデータ信号のレベルより15dB
以上低く、38dBより高いレベルをアナログ信号に適
用すればよい。
【0056】図3の送信部30に設けた振幅制御部54
は、例えば図4に示した音声等のアナログ信号に適用可
能なレベルに納まるように振幅制限を行うことになる。
【0057】更に望ましくは、相手局の受信部の信号品
質SQDを、監視信号を伝送しているセカンダリチャネ
ルを用いて受信し、相手局の信号品質SQDを最適にす
るように振幅制限部54の振幅制限値を設定することが
望ましい。 2.第1発明送信部の詳細実施形態 図5は図3に示した第1実施形態のモデムにおける送信
部30の詳細を示した実施形態構成図である。
【0058】図5において、送信部30はハードウェア
的にはプロセッサユニット75、音声またはファクシミ
リ等のアナログパスバンド信号48をディジタル信号に
変換するアナログLSI部55、プロセッサユニット7
5からの送信変調データをアナログ変調信号に変換する
アナログLSI部45、及びハイブリッド回路44で構
成される。
【0059】具体的には、プロセッサユニット75はマ
イクロプロセッサ(MPU)とディジタル・シグナルプ
ロセッサ(DSP)で構成され、メインの送信データの
系統についてはスクランブラー部36、トレリス符号化
機能を備えたデータ信号点発生部38、データ変調部4
2の機能を実現する。一方、メインの送信データのデー
タ信号点に音声またはファクシミリ等のアナログ信号を
重畳する系統としてベースバンド変換部50、ランダム
変換部52、振幅制限部54及び加算部40の機能を実
現する。
【0060】更に、ハイブリッド回路44からの受信信
号から推定エコー成分を除去するため、エコー推定部5
6及び加算部58の機能と、振幅制限部54に対し相手
局の信号品質信号SQDに基づいて最適振幅制限値を設
定する最適振幅制限値判断部108の機能が実現され
る。
【0061】音声またはファクシミリ等のアナログパス
バンド信号48をディジタル信号に変換するアナログL
SI部55は、ローパスフィルタ90とA/Dコンバー
タ92を備える。ローパスフィルタ90は電話やファク
シミリ等からのアナログパスバンド信号の高周波成分を
カットし、音声信号等の音声帯域成分を抽出する。A/
Dコンバータ92はローパスフィルタ90からの音声帯
域成分をディジタル変換してプロセッサユニット75に
入力する。
【0062】また、プロセッサユニット75からの変調
データをアナログ信号に変換するアナログLSI部45
は、D/Aコンバータ86とローパスフィルタ88を備
える。A/Dコンバータ86はプロセッサユニット75
からのディジタル変調信号をアナログ変調信号に変換す
る。ローパスフィルタ88はアナログ変調信号の不要な
帯域成分を除去する。
【0063】次に、プロセッサユニット75により実現
される各部の詳細を説明する。
【0064】まずスクランブラー部36はホストコンピ
ュータや端末装置等からの送信データ34をランダム化
して無相関なデータとする。このスクランブラー36の
機能は例えばCCITTのV.29で勧告された生成多
項式により送信データ34をランダム化する。スクラン
ブラー部36による送信データ34のランダム化は、一
般に送信データには相関があり、相関があるデータを送
信すると受信側に設けている自動等化器のタップ係数が
収束しなくなり、安定な自動等化が困難になることを防
ぐためである。
【0065】次にデータ信号点発生部38を説明する。
この実施形態において、データ信号点発生部38はトレ
リス符号化機能を備えており、CCITTのV.33で
勧告された方法によりデータ信号点に符号化する。CC
ITTのV.33で勧告された内容については、199
8年11月20日 CQ出版社発行の刊行物「モデムと
電話網によるデータ通信」により公知である。
【0066】図6はCCITTのV.33による320
0ボー,3+1ビット/シンボル,9600bpsモー
ドに適合したトレリス符号化機能を備えたデータ点信号
発生部の実施形態構成図である。
【0067】図6において、データ信号点発生部38は
シリアル/パラレル変換、及びグレイコード/ナチュラ
ルコード変換を行う符号変換部110−1、変換テーブ
ル114とタップ116,118で構成される位相差分
をとる差分回路、畳み込み符号器120及び信号点発生
用ROM112−1で構成される。
【0068】スクランブラー部36でランダム化された
送信データのシリアル出力は符号変換部110−1でシ
ンボル毎の3ビットのパラレルデータに変換され、更に
パラレルデータをグレイコードとしてナチュラルコード
に変換する。符号変換部110−1からの3ビットの出
力の内の2ビットを変換テーブル114に入力し、タッ
プ116,118の帰還入力により各ビット毎に位相差
分をとり、差分後の2ビットを畳み込み符号器120に
入力して3ビット情報に変換する。
【0069】最終的に、信号点発生用ROM112−1
で符号変換部110−1からの1ビットと畳み込み符号
器120からの3ビットの合計4ビットをアドレスとし
て、対応するデータ信号点(シンボル)を発生する。
【0070】ここで、CCITTのV.33による32
00ボー,3+1ビット/シンボル,9600bpsの
モードでは、図7に示すような16値の信号点が使用さ
れ、信号点発生用ROM112−1には図7の16信号
点が4ビットアドレスを使用して格納されており、トレ
リス符号化により生成した4ビットデータによるアドレ
ス指定で対応する信号点のデータを読み出す。
【0071】図8は2400ボー,6+1ビット/シン
ボル,14400bpsモードの場合のトレリス符号化
機能を備えたデータ信号点発生部38の詳細を示す。こ
の場合にも、データ信号点発生部38はシリアル/パラ
レル変換及びグレイコード/ナチュラルコード変換の機
能を備えた符号変換部110−2、変換テーブル114
とタップ116,118で構成される位相差分をとるた
めの差分回路、畳み込み符号器120及び信号点発生用
ROM112−2で構成される。
【0072】この14400bpsモードでは7ビット
のデータが生成されることから、データ信号点は128
値となり、信号点発生用ROM112−2は7ビットの
アドレス指定を受けて128点の信号点データの中の対
応する1つを読み出すようになる。
【0073】再び図5を参照するに、アナログベースバ
ンド信号をデータ信号点に重畳する加算部40に続いて
設けられたデータ変調部42は、ロールオフフィルタ部
80,変調部82及びキャリア発生部84で構成され
る。ロールオフフィルタ部80は加算部40からのデー
タ信号点にベースバンドアナログ信号を重畳した信号の
帯域を制限して波形整形する。
【0074】キャリア発生部84は1850Hzの搬送
キャリア信号を発生する。変調部82は図9に示すよう
に、乗算器124とリアルパート抽出部128で構成さ
れる。即ち、キャリア発生部84からの1850Hzの
搬送キャリア信号を乗算器124でロールオフフィルタ
80からの信号に乗算して復調し、乗算器124の復調
信号の中からリアルパート抽出部128でリアル成分の
みを抽出して次段のアナログLSI部45へ出力する。
【0075】この実施形態で使用する変調部82の他の
実施形態としては、図10に示すように、データ信号点
をキャリア発生部84からの搬送キャリア信号を用いて
変調部80で変調した後に、ロールオフフィルタ82で
帯域制限を行う構成のものを使用してもよい。
【0076】次に図5のベースバンド変換部50を説明
すると、ベースバンド変換部50は復調部94、キャリ
ア発生部96及びローパスフィルタ98で構成される。
復調部94の詳細は図11に示され、リアル成分及びイ
マジナリ成分毎に乗算器136,138を備える。キャ
リア発生部140は−1850Hzで時計回りの回転信
号を発生し、キャリア信号のリアル成分Rとイマジナリ
ー成分Iを入力したアナログパスバンド信号の同じくリ
アル成分及びイマジナリー成分毎に乗算器136,13
8で乗算して、ベースバンド信号のリアル成分とイマジ
ナリ成分に変換する。
【0077】このようなベースバンド信号への変換にあ
っては、復調に伴う和成分と差成分の両方が出力される
ため、不要な和成分に関してはローパスフィルタ98で
除去し、差成分のみをベースバンド信号として取り出
す。 図12はベースバンド変換部94に入力するアナ
ログパスバンド信号の帯域特性を示したもので、前段の
アナログLSI部55に設けたローパスフィルタ90は
ローパスフィルタ特性176を備えており、例えばパス
バンド信号として音声信号174を例にとると、図示の
ように0.3〜3.4kHzまでの音声帯域 (パスバ
ンド)の信号が入力される。
【0078】このようなアナログパスバンド信号は、ベ
ースバンド変換部50により図13に示す−1.55k
Hzから+1.55kHzの0kHzを中心としたベー
スバンドの音声信号178に変換され、ローパスフィル
タ98はローパスフィルタ特性180に従った帯域制限
を行って、復調により得られた差成分のみを取り出して
いる。
【0079】図5の実施形態で使用するベースバンド変
換部50の他の実施形態としては、図14に示すヒルベ
ルトフィルタを用いた構成としてもよい。
【0080】図14のベースバンド変換部50はヒルベ
ルトフィルタ130,乗算器132及びキャリア発生部
134で構成される。ヒルベルトフィルタ130はアナ
ログLSI部55よりのスカラ信号を入力してベクトル
信号に変換する。乗算器132はヒルベルトフィルタ1
30からのベクトル信号とキャリア発生部134からの
−1850Hzで時計回りの回転信号でなるキャリアベ
クトルとの乗算を行って、パスバンド信号をベースバン
ド信号に変換する。
【0081】このヒルベルトフィルタ130を用いた場
合には、和信号等の不要な成分が発生しないため、図5
の実施形態で設けているローパスフィルタ98は不要で
ある。
【0082】次に図5のランダム変換部52を説明する
と、ランダム変換部52はビット抽出部100と位相変
換部102で構成される。このビット抽出部100と位
相変換部102の詳細をCCITTのV.33による3
200ボー,3+1ビット/シンボル,9600bps
モードについて示すと、図15の実施形態構成図のよう
になる。
【0083】図15において、ビット抽出部100はシ
リアル/パラレル変換部100−1を備える。シリアル
/パラレル変換部100−1は3200ボーの変調同期
用クロック142−1で動作し、各クロック毎に得られ
るスクランブラー部36からのシリアルデータについて
3ビットのパラレル出力「X210」に変換され
る。
【0084】ここでスクランブラー36からのデータビ
ット列は右から左に並べると ・・・C210210210 となり、3ビット/シンボルであることからシンボル毎
の区別が可能であり、図16に示すようにスクランブラ
ー部36からのビット抽出出力に対し、シンボル毎に分
けられたパラレル出力「X210」を生ずる。
【0085】位相変換部102は図17に示すビット抽
出部100からのパラレル出力X2,X1,X0をアドレ
スとして8値の位相変化角を格納しており、対応するい
ずれか1つの位相変化角を出力する。
【0086】図15に示した9600bpsモードの場
合は、位相変換部102で発生するランダム位相信号の
相数8とスクランブラー部36から入力されるシンボル
毎のビット数が3ビットと一致しているために、特に複
雑な処理を必要としない。
【0087】図18はCCITTのV.29による24
00ボー,2ビット/シンボル,4800bpsモード
で用いるランダム変換部52の実施形態構成図であり、
ビット抽出部100には2400ボーの変調同期用クロ
ック142で動作し、スクランブラー部36からのシリ
アル出力を1シンボル毎のビット数にパラレル変換する
シリアル/パラレル変換部100−2を設けている。
【0088】この4800bpsモードの場合、スクラ
ンブラー部36から出力されるデータビット列は右から
左に並べると、 ・・・D10101010 となり、2ビット/シンボルであることから位相変換部
102で発生するランダム位相信号の数である8相より
小さくなる。
【0089】そこで、シリアル/パラレル変換部100
−2にあっては、スクランブラー部出力としてのデータ
ビット列のシンボル毎の2ビットを図19に示すように
3ビットのパラレル出力「X210」に変換す
る。この3ビットパラレル出力への変換は前のシンボル
の最終ビットと次の入力データビット列の2ビットで構
成するように変換する。
【0090】位相変換部102の変換内容は図17と同
じであり、パラレル変換部100−2の3ビットパラレ
ル出力「X210」によるアドレス指定を受け
て、対応する位相変化角を出力する。
【0091】尚、この実施形態にあっては、8相を用い
たランダム位相変調を例にとっているが、ランダム化を
更に強化したい場合には相数を増やした例えば16相の
ランダム変調を用いてもよい。また、この実施形態にあ
っては位相方向のみのランダム化を行っているが、デー
タ信号点に同時に振幅変調が施されている場合には振幅
上のランダム変化を追加してもよく、いずれにせよ、結
果的に相関のある音声やファクシミリ等のアナログ信号
をランダム化して無相関とすればよい。
【0092】再び図5を参照するに、ビット抽出部10
0及び位相変換部102でスクランブラー36でランダ
ム化された送信データに基づいて抽出されたランダム位
相信号は、乗算部104でベースバンド変換部50から
のアナログベースバンド信号と掛け合わされ、ベースバ
ンド信号をランダム位相信号で回転させてランダム化す
る。
【0093】次にランダム化されたベースバンド信号の
振幅制限を行う振幅制限部54及び最適振幅制限値判断
部108を説明する。
【0094】まず最適振幅制限値判断部108は図20
に示すように、ROM148を備え、相手局からの信号
品質信号(SQD)106と変調モード情報146をア
ドレスとして入力し、予め格納している最適振幅制限値
150を出力する。
【0095】ここで、変調方式モード情報146として
は、例えばV.29の2400ボー,2ビット/シンボ
ル,4800bpsモード、あるいはV.33の320
0ボー,3+1ビット/シンボル,9600bpsモー
ドの内容を示す情報である。
【0096】図21は振幅制限部54の実施形態構成図
であり、まずベースバンド信号152を自動利得制御部
154に入力し、振幅制限値150を基準信号としてベ
ースバンド信号152のピーク値を振幅制限値150に
リミットする。自動利得制御部154の出力はリアル成
分Rとイマジナリ成分Iに分離され、それぞれ加算器1
56,164で振幅制限値150の加算を受ける。加算
器156,164の出力はリミッタ158,162のそ
れぞれで制限された後、加算器160,168に与えら
れる。
【0097】一方、振幅制限値150は乗算器172で
「−1」を乗算することで極性が反転され、加算器16
0,168に与えられる。このため、加算器160,1
68はリアル成分R及びイマジナリ成分Iのそれぞれに
極性を反転した振幅制限値150を加算し、最終的にリ
ミッタ162,170を通してデータ信号点に重畳する
ために加算部40に出力する。
【0098】尚、振幅制限部54の入力段に設けた自動
利得制御部154は除いても問題はないが、自動利得制
御部154を設けていることで、全体のS/N比を最適
制御して信号品質を高めることができ、音声信号の場合
には良い音質を得ることができる。 3.第1発明送信部の動作 図5に示した送信部30の動作をCCITTのV.33
による3200ボー、2+1ビット/シンボル、960
0bpsモードを例にとって説明する。
【0099】ホストコンピュータまたは端末装置から出
力された送信データ34は、送信部30のスクランブラ
ー部36に入力し、ランダム化され、受信側に設けてい
る自動等化器でのタップ係数の収束を可能とする。
【0100】クランブラー部36からのスクランブルデ
ータはトレリス符号化機能を備えたデータ信号点発生部
38に入力され、図6に示したように3ビットのパラレ
ルデータに変換した後、グレイコード/ナチュラルコー
ド変換によりエラーレートの最適化が図られ、パラレル
出力の内の2ビットの位相差分をとった後に折畳み符号
化で3ビットに変換され、最終的に4ビットの情報に変
換される。
【0101】このようにして新たに付加された1ビット
は冗長度のある信号であり、このトレリス符号化により
受信側でのビタビアルゴリズムに従った最尤推定法によ
るエラー訂正を可能とする。最終的にデータ信号点発生
部38は、トレリス符号化により得られた4ビットのデ
ータから、図7に示す16信号点の対応するいずれかの
信号点を得る。
【0102】一方、アナログパスバンド信号48として
音声信号を例にとると、音声信号は図12に示したよう
に帯域が0.3〜3.4kHzの信号であり、アナログ
LSI部55のローパスフィルタ90で不要帯域成分を
除去し、A/Dコンバータ92でディジタル信号に変換
した後、プロセッサユニット75に入力する。
【0103】アナログLSI部55からのディジタル音
声信号はベースバンド変換部50で図13に示すアナロ
グパスバンド信号に変換される。ここで、ベースバンド
変換部50のキャリア発生部96からは音声帯域の中心
周波数となる1850Hzのキャリア周波数を発生し、
復調部94で音声ベースバンド信号を得る。この場合、
復調に伴って和成分と差成分の両方が出力されることか
ら、不要な和成分についてはローパスフィルタ94で除
去する。
【0104】ベースバンド変換部50で変換された音声
ベースバンド信号は、位相平面において図22(A)に
示す分布184を示す相関をもっており、ある時点では
分布184内での1つのベクトル182で表わされる。
【0105】一方、ランダム変換部52にあっては、ス
クランブラー部36からのスクランブルデータを入力
し、図15,図16及び図17に示したように、3ビッ
トのパラレルデータに変換して3200ボーの変調用同
期クロックに同期して、ランダム位相信号として図22
(B)に示す8値の位相変化角のいずれか1つを発生し
ている。
【0106】このランダム位相信号は乗算部104でベ
ースバンド変換部50からの音声ベースバンド信号に掛
け合わされ、各位相変化角により位相平面で回転される
ことにより、図22(C)に示すようにランダム化され
た音声ベースバンド信号に変換される。
【0107】続いて振幅制限部54でランダム化された
音声ベースバンド信号は、メインの送信データの伝送を
妨げないレベル範囲に制限され、加算部40でデータ信
号点に重畳される。
【0108】振幅制限部54の振幅制限値は最適振幅制
限値判断部108により制御される。最適振幅制限値判
断部108に対しては受信側での信号点の開口度、即ち
信号品質(SQD)106を受信し、最適振幅制限値と
なるようにランダム化されたアナログベースバンド信号
の振幅を制限する。
【0109】加算部30はデータ信号点発生部38から
の任意データの信号点に振幅制限部54からのランダム
化され且つ振幅が最適値に制御された音声ベースバンド
信号を重畳してデータ変調部42に出力する。
【0110】加算部40からのデータ信号点に対する音
声ベースバンド信号の重畳出力は変調部30のロールオ
フフィルタ80で波形成形された後、搬送キャリア発生
部84からの搬送キャリア信号により変調部82で変調
され、リアル成分のみが取り出されてアナログLSI部
45に出力される。アナログLSI部45にあっては、
D/Aコンバータでアナログ変調信号に変換した後、ロ
ーパスフィルタ88でサンプリング周波数に伴う高周波
成分を除去し、ハイブリッド回路44に出力する。
【0111】ハイブリッド回路44はアナログ回線46
が2線、モデム側が送信部30と受信部32の4線であ
ることから、2線式全二重伝送を行うために信号の合
成,分配を行っており、このハイブリッド回路44を介
してアナログLSI部からのアナログ変調信号が2線式
アナログ回線46に送出される。
【0112】ここで、2線式アナログ回線46で全二重
通信を行うため、ハイブリッド回路44からの受信信号
に含まれる送信信号のエコー成分の除去を行う必要があ
る。
【0113】そこで、プロセッサユニット75に設けた
エコー推定部56で加算部40からのデータ信号点に音
声ベースバンド信号を重畳した信号からエコー成分を算
出し、加算部58で算出したエコー成分を受信信号から
差し引き、受信信号に含まれる送信信号のエコー成分の
除去した受信信号をモデムの受信部32に供給してい
る。
【0114】図22(D)及び(E)は加算部40にお
けるデータ信号点に対するランダム化された音声ベース
バンド信号の重畳を示したもので、説明を簡単にするた
め、CCITTのV.29による2400ボー,2ビッ
ト/シンボル,4800bpsモードにおける4信号点
の場合を例にとっている。
【0115】即ち、データ信号点発生部38からは、図
22(D)に示す4つの信号点188−1〜188−4
のいずれか、例えば信号点118−1が出力される。こ
のとき同時に振幅制限部54より、図22(C)に示す
ランダム化され且つ振幅制限された音声ベースバンド信
号が加算部40に加えられ、図22(E)に示すように
信号点188−1を中心とした小円190−1の信号と
して重畳される。勿論、他の信号点188−2〜188
−4の場合にも同様に、小円190−2〜190−4の
信号として重畳される。
【0116】実際には、この動作説明にあっては320
0ボー,3+1ビット/シンボル,9600bpsモー
ドを例にとっていることから、図7に示した16信号点
のいずれかについて、そのときの信号点を中心とした小
円に図22(C)のランダム化され且つ振幅制限された
音声ベースバンド信号を重畳することになる。 4.第1発明受信部の詳細実施形態 図23は図5に示したモデムにおける受信部32の詳細
を示した実施形態構成図である。図23において、受信
部32をハードウェアの構成から見ると、プロセッサユ
ニット200とアナログLSI部85で構成される。プ
ロセッサユニット200はマイクロプロセッサ(MP
U)とディジタル・シグナルプロセッサ(DSP)で構
成され、復調等化部60、軟判定部62、信号変換部6
4、デスクランブラー部66、遅延部70、アナログベ
ースバンド信号復調手段としての加算部72、ランダム
逆変換部74、パスバンド変換部76、更に信号品質検
出部28としての機能を実現する。
【0117】また、アナログLSI部85はD/Aコン
バータ224とローパスフィルタ226で構成される。
D/Aコンバータ224はプロセッサユニット200で
再生された音声またはファクシミリ等のディジタル信号
をアナログ信号に変換する。ローパスフィルタ226は
アナログ再生信号の高周波成分をカットし、音声帯域成
分を抽出した音声またはファクシミリ等のアナログパス
バンド信号78を出力する。
【0118】次に送信部32のプロセッサユニット20
0に設けた各部の詳細を説明する。
【0119】まず、復調等化部60は復調部202,キ
ャリア発生部204,ロールオフフィルタ部206,ベ
ースバンド自動等化器208及びキャリア自動位相制御
部210で構成される。図5に示した受信部30におい
て、エコー成分の除去を受けた受信信号192は復調等
化部60の変調部202でキャリア信号を用いて復調さ
れ、パスバンド信号からベースバンド信号に変換され
る。
【0120】続いて、ロールオフフィルタ部206で、
復調で発生した和成分と差成分の内、不要な和成分を除
去すると共に、波形整形を施してベースバンド型自動等
化器208に出力する。ベースバンド型自動等化器20
8は波形等化を行って伝送劣化を補償し、続いてキャリ
ア自動位相制御部210で、回線上で生じた周波数オフ
セット,位相ジッタ等を除去し、任意のデータ信号点を
示す信号を復調する。この復調等化部60の他の実施形
態としては、図24に示すようにスカラ信号である受信
信号をヒルベルト変換部228によりベクトル化し、続
いてパスバンド型自動等化器230で波形等化を行い、
更にキャリア自動位相制御機能と復調機能を兼ねた復調
キャリア自動位相制御部232でキャリア発生部234
からのキャリア信号を使用して、キャリア分のオフセッ
トを復調を兼ねて除去することでデータ信号点を得る構
成としてもよい。
【0121】図23と図24の復調部6にあっては、前
者が復調,等化の順番になっているのに対し、後者が等
化,復調となっている点で相違する。
【0122】再び図23を参照するに、復調等化部60
に続いて設けられた軟判定部62は復調等化部60の出
力データから送信側のトレリス符号化で付加した冗長ビ
ットを利用して、回線上生じたエラーを訂正し、正しい
データ信号線を判定する。即ち、送信側でトレリス符号
化を用いた場合には、軟判定部62はビタビアルゴリズ
ムに基づく最尤推定法を実行して正しいデータ信号点を
判定する。
【0123】軟判定部62で判定された正しいデータ信
号点は符号変換部64に与えられ、9600bpsモー
ドの場合は3ビットのデータを復元し、また4800b
psモードの場合は2ビットのデータを復元する。更
に、復元されたデータはデスクランブラー部66でデス
クランブルされ、元のメインデータが再生され、受信デ
ータ68として出力される。
【0124】この軟判定部62,符号変換部64及びデ
スクランブラー部66の詳細をCCITTのV.33に
よる3200ボー,3+1ビット/シンボル,9600
bpsのモードを例にとると、図25に示すようにな
る。 図25において、軟判定部62は送信側でのトレ
リス符号化に対応して周知のビタビアルゴリズムによる
最尤推定法に従って、送信側で付加した冗長ビットを利
用して回線上で生じたエラーを訂正し、正しい信号点を
判定する。軟判定部62で判定されたデータ信号点は符
号変換部244−1とパラレル/シリアル変換部246
−1を備えた符号変換部64に与えられる。符号変換部
244−1は判定されたデータ信号点について位相差分
及びナチュラルコード/グレイコード変換を行って3ビ
ットのパラレルデータに変換する。パラレル/シリアル
変換部246−1は3200ボーの復調クロック242
に同期して、1つのデータ信号点から得られた3ビット
のパラレルデータをシリアルデータに変換し、デスクラ
ンブラー部66でデスクランブルして受信データ68を
再生する。
【0125】図26は図23の軟判定部62,符号変換
部64及びデスクランブラー部66の詳細をCCITT
のV.33における2400ボー,6+1ビット/シン
ボル,14400bpsのモードについて示したもの
で、図25と基本的に同じ構成であり、符号変換部64
の符号変換器244−2は1つのデータ信号点から6ビ
ットのパラレルデータを出力し、2400ボーの復調ク
ロック242−2に同期してパラレル/シリアル変換部
246−2でパラレルデータに変換し、最終的にデスク
ランブラー部66でデスクランブルして受信データ68
を得ている。
【0126】再び図23を参照するに、復調等化部66
から得られたデータ信号点に重畳されているアナログベ
ースバンド信号の抽出は、軟判定部62に対して設けた
遅延部70及びアナログベースバンド抽出手段としての
機能をもつ加算部72により行われる。
【0127】遅延部70は図27に示すように、1シン
ボル当りの遅延素子として機能する例えば6つのタップ
遅延線228−1〜228−6の6つを直列に設けてお
り、これによって軟判定部62の最尤推定法によるデー
タ信号点の判定に要する時間だけ判定前のデータ信号点
を遅延させている。
【0128】加算部72は遅延部70で遅延された判定
前のデータ信号点から軟判定部62で判定された正しい
データ信号点を差し引き、データ信号点に重畳されてい
るランダム化されたアナログベースバンド信号を取り出
す。
【0129】加算部72で取り出されたアナログベース
バンド信号をランダム逆変換するランダム逆変換部74
は、ビット抽出部212,位相逆変換部214及び乗算
部216で構成される。ビット抽出部212及び位相逆
変換部214の詳細は、9600bpsモードの場合は
図28に示すようになる。
【0130】図28において、符号変換部64からの符
号変換出力となるデータビット列は右から左に並べると ・・・C210210210 となり、3ビット/シンボルであることから、シンボル
毎の区別が可能である。このため、ビット抽出部212
に設けたシリアル/パラレル変換部212−1は320
0ボーの復調同期用クロック242に同期して、符号化
変換出力のデータビット列を3ビット毎にパラレルデー
タ「X210」に変換する。即ち、図29に示す
ような入力データビット列に対するビット抽出出力を生
ずる。
【0131】シリアル/パラレル変換部212−1の出
力「X210]は位相逆変換部214のアドレス
として入力し、位相逆変換部214は図31に示す入力
ビット列に対する位相変化角を格納していることから、
再生されたデータビット列に対応した位相変化角として
ランダム逆変換位相信号を得ることができる。
【0132】図31はランダム逆変換部74のビット抽
出部212及び位相逆変換部214をCCITTの24
00ボー,6+1ビット/シンボル,14400bps
のモードについて詳細を示す。
【0133】ここで、図29の9600bpsモードの
場合には、ランダム逆変換位相信号の相数8と入力され
るビット数が3ビットと一致していることから、特に複
雑な処理を必要としないが、図31の14400bps
モードの場合には1シンボルに対応する入力ビット数が
2ビットであり、ランダム逆変換位相信号の相数8より
小さいため、ビット抽出部212に設けているシリアル
/パラレル変換部212−2では符号変換出力のシリア
ル2ビットをパラレル3ビットに変換する。
【0134】即ち、14400bpsモードでは符号変
換部64からの符号変換出力としてのデータビット列は
右から並べると D10101010 となって、1シンボルは2ビットで区別される。そこ
で、シリアル/パラレル変換部212−2としては、図
32に示すように前のシンボルの最終ビットと次の入力
データビット列の2ビットとを合わせた3ビットにパラ
レル変換するように構成する。
【0135】位相逆変換部214は図30と同じ内容を
もち、抽出ビット列「X21 0」をアドレスとし
て8値の位相変化角を格納したROMで構成され、符号
変換部64からのデータに対応したランダム逆変換位相
信号としてハッチの位相変化角のいずれか1つを出力す
る。
【0136】再び図23を参照するに、位相逆変換部2
14より出力されるランダム逆変換位相信号は乗算部2
16で加算部72からのランダム化された状態にあるア
ナログベースバンド信号に掛け合わされ、アナログベー
スバンド信号を復元のための位相変化角で回転させ、元
の相関のあるアナログベースバンド信号に変換する。
【0137】ランダム逆変換部74に続いて設けられた
パスバンド変換部76は変調部220とキャリア発生部
222で構成される。
【0138】変調部220は図33に詳細を示すよう
に、乗算器236とリアルパート抽出部238を備え
る。このため、ランダム逆変換部74からのアナログベ
ースバンド信号を乗算器236に加えて、キャリア発生
部222からの1850Hzのキャリア信号で変調し、
変調信号のリアル成分のみをリアルパート抽出部238
で抽出してアナログバンドパス信号に変換する。
【0139】図34はバンドパス変換部76に入力する
アナログベースバンド信号の帯域特性を示したもので、
0kHzを中心に−1.55kHzから+1.55kH
zまでの3.1kHzの帯域をもっており、送信側のロ
ーパスフィルタ特性264による帯域制限を受けてい
る。この図34に示すアナログベースバンド信号は、パ
スバンド変換部76における変調で図35に示す帯域
0.3〜3.4kHzのパスバンド信号、例えば音声パ
スバンド信号266に変換される。
【0140】このアナログパスバンド信号については、
最終段のアナログLSI部85に設けたローパスフィル
タ226によりローパスフィルタ特性268が設定され
て不要な高域成分が除去された後、再生されたアナログ
パスバンド信号78として電話やファクシミリに出力さ
れる。 5.第1発明受信部の動作 図23に示した第1実施形態の受信部32の動作を32
00ボー,3+1ビット/シンボル,9600bpsの
モードを例にとって説明する。
【0141】アナログ回線46からの受信信号は、図5
に示したように受信部30側の加算部58で送信信号の
エコー成分が除去された後、プロセッサユニット200
に入力し、まず復調等化部60の復調部40でベースバ
ンド信号に復調され、ロールオフフィルタ206で帯域
制限と波形整形が行われ、ベースバンド型等化器208
で波形等化が施された後、キャリア自動位相補正部21
0でキャリアの位相成分やジッタの補正が行われ、例え
ば図36(A)の位相空間で示すように、複数のデータ
信号点252−1〜252−4のいずれかに小円254
−1〜254−4で示すアナログベースバンド信号を重
畳した信号が得られる。
【0142】尚、図36の(A)及び(B)にあって
は、説明を簡単にするため、データ信号点をCCITT
のV.29における2400ボー,2ビット/シンボ
ル,4800bpsにおける4値を例にとっているが、
送信動作を説明している9600bpsのモードの場合
には、図7に示したように16信号点となる。
【0143】復調等化部60で得られたデータ信号点は
軟判定部62に与えられ、ビタビアルゴリズムによる最
尤推定法により正しい信号点が判定され、符号変換部6
4でデータ信号点に対応する3ビットのデータに符号化
され、最終的にデスクランブラー部66でデスクランブ
ルして元のメインデータを受信データ68として出力す
る。
【0144】この軟判定部62における判定処理にあっ
ては、データ信号点に重畳したアナログベースバンド信
号は判定精度に影響しない単なるノイズ成分としてしか
見えず、メインのデータの復元に何ら影響を及ぼさな
い。 一方、復調等化部60からのデータ信号点は遅延
部70で軟判定部62における判定時間分だけ遅延され
た後、加算部72に与えられ、判定前のデータ信号点か
ら判定後の正しいデータ信号点を差し引くことで、図3
6(C)に示すようなランダム化された状態にあるアナ
ログベースバンド信号を得ることができ、アナログベー
スバンド信号はランダム逆変換部74の乗算部216に
与えられる。
【0145】これと共に、ランダム逆変換部76のビッ
ト抽出部212では符号変換部64で復号されたデータ
の3ビット毎のパラレル出力を発生し、位相逆変換部2
14により図36(D)に示す復元用の8値の位相変化
角のいずれかを得て乗算部215に出力している。
【0146】ここで、受信部の位相逆変換部214に格
納した図31に示す位相変化角は、送信側の図17に示
した位相変換部102の位相変化角の極性を反転したも
のである。従って、図36(D)に示すように、送信側
におけるランダム化した回転方向とは逆方向に同一回転
角だけ回転させる復元用の位相変化角を得ることができ
る。
【0147】従って、乗算部216において、ランダム
化された状態にあるアナログベースバンド信号は、位相
逆変換部214からの復元用の位相変化角によりランダ
ム化した回転方向とは逆方向に同一回転角だけ回転さ
れ、図36(E)に示す相関のある、アナログベースバ
ンド信号260に戻される。
【0148】ランダム逆変換部74から得られたアナロ
グベースバンド信号はパスバンド変換部76の変調部2
20でキャリア発生部222からのキャリア信号を用い
て変調され、図35に示す0.3〜3.4kHzの音声
帯域のパスバンド信号に戻される。最終的にアナログL
SI部85のD/Aコンバータによりパスバンド信号に
戻されたディジタル信号はアナログ信号に変換され、ロ
ーパスフィルタ226で高周波成分がカットされ、音声
またはファクシミリ等のアナログパスバンド信号78を
得ることができる。
【0149】一方、加算部72から出力されるデータ信
号点に重畳したランダム化された状態にあるアナログベ
ースバンド信号は、メインのデータ伝送から見るとノイ
ズとして見えるため、加算部72からのアナログベース
バンド信号を信号品質検出部218で検出し、セカンダ
リチャネル等を使用して相手局へ送信する。この受信側
の信号品質検出部218からの信号品質(SQD)を相
手局が受けることで、図5の受信部30に示したよう
に、送信側でのメインのデータ信号点に重畳するアナロ
グベースバンド信号の最適振幅値の制御が可能となる。 6.第1発明の他の実施形態 図37は本発明の第2実施形態を示した実施形態構成図
であり、第2実施形態は図3の第1実施形態の送信部3
0に設けているスクランブラー部36、データ信号点発
生部38のトレリス符号化機能、ランダム変換部52及
び振幅制限部54を除いて送信部30の構成を簡略化し
たことを特徴とする。
【0150】このような送信部30の簡略化に伴い、受
信部32についても図3の第1実施形態に設けているデ
スクランブラー部66及びランダム逆変換部74は除か
れ、また送信側でのトレリス符号化に対応した軟判定部
62の代わりに、入力データ信号点と固定的に決めたデ
ータ信号点との位相平面上の距離が規定の閾値に入るか
否かでデータ信号点を判定する、いわゆる硬判定を行う
判定部62−1としている。尚、それ以外の構成は第1
実施形態と同じである。
【0151】この図37の第2実施形態にあっては、送
信部30のデータ信号点発生部38−1は例えば図38
(A)に示すように、4値のデータ信号点のいずれかを
送信データ34に基づいて発生し、加算部40でベース
バンド変換部50より得られた位相平面で図38(B)
に示す分布をもつ例えば音声ベースバンド信号を重畳
し、図38(C)に示す模擬のデータ信号点に破線の小
円で示す音声ベースバンド信号を重畳した信号を生成
し、データ変調部42で変調してアナログ回線46に送
出する。
【0152】復調部32は復調等化部60で図38
(C)に示すデータ信号点に音声を重畳した信号を復調
し、データ信号点については判定部32で硬判定を行っ
てデータ信号点を判定した後、符号変換部64で例えば
2ビット単位のデータに変換して受信データ68として
出力する。
【0153】また、加算部72で判定前のデータ信号点
から判定後のデータ信号点を差し引くことで、図38
(B)に示す音声ベースバンド信号を取り出し、パスバ
ンド変換部76で音声帯域のアナログパスバンド信号7
8に変換して出力する。
【0154】図39は第1発明の第3実施形態を示した
実施形態構成図であり、この第3実施形態にあっては図
37の送信側にスクランブラー部36を追加したことを
特徴とし、これに対応して受信部32にはデスクランブ
ラー部66が設けられる。
【0155】図40は第1発明の第4実施形態を示した
もので、この第4実施形態は図37の送信部30に振幅
制限部54を設けたことを特徴とする。
【0156】図41は第1発明の第5実施形態を示した
もので、この第5実施形態は図40の第4実施形態の送
信部30に更にスクランブラー部36を設けたことを特
徴とし、これに対応した受信部32にはデスクランブラ
ー部66が設けられる。
【0157】更に図42は第1発明の第6実施形態を示
したもので、図41の第5実施形態の送信部30に設け
ているデータ信号点発生部38にトレリス符号化機能を
もたせたことを特徴とする。これに対応して受信部32
はビタビアルゴリズムによりデータ信号点を判定する軟
判定部62としている。
【0158】更に図37〜図42に示した第1発明の第
2〜第6実施形態にあっては、アナログ回線46として
相手局と4線式アナログ回線46で接続した場合を例に
とっていることから、送信部30にはハイブリッド回路
44を設けていない。
【0159】勿論、2線式アナログ回線46を使用して
全二重伝送を行う場合には、図3の第1実施形態に示し
たようにハイブリッド回路44を設ければよい。但し、
図42の第6実施形態にあっては、ハイブリッド回路4
4を設けると第1実施形態と同じになるので、これは4
線式アナログ回線46のみを対象としている。
【0160】また、振幅制限部54を備えた他の実施形
態については、図5の受信部30に示したように最適振
幅制限値判断部108を設けて相手局からの信号品質S
QDに基づいて最適振幅制限値を設定するようにしても
よい。
【0161】更に、以上説明した第1〜第6の実施形態
の他に、第1発明にあっては次のような変形が可能であ
る。
【0162】まず上記の実施形態におけるアナログベー
スバンド信号のランダム化及び逆ランダム化のため、メ
インのデータ信号のスクランブルデータを利用している
が、スクランブルデータを利用せずに、送信側に設けた
ランダム化部と受信側に設けた逆ランダム化部を同期さ
せて、アナログ信号のランダム化と逆ランダム化を行っ
てもよい。また、データ信号点の設定を8相変調で説明
したが、これに限定されず、CCITTで標準化されて
いる他の方式、例えばTCM,QAM,PSK等を用い
ることができる。
【0163】更に、送信部と受信部の両方を設けてモデ
ム装置として構成する場合には、送信側のプロセッサユ
ニットと受信側のプロセッサユニットとは共通のものに
してもよい。 7.第2発明の基本実施形態 図43は音声またはファクシミリ等のアナログパスバン
ド信号をアナログベースバンド信号に変換した後に、ア
ナログベースバンド信号をアナログ信号とディジタル信
号に分離してメインの送信データと共に多重伝送する本
発明の第2発明の基本構成を示した実施形態構成図であ
る。
【0164】図43において、送信部30はベースバン
ド変換部50,残アナログ信号作成部250,振幅値非
線形量子化部252,時分割多重回路部254,データ
信号点発生部38,加算部40及びデータ変調部42で
構成される。ベースバンド変換部50は音声またはファ
クシミリ等のアナログパスバンド信号48をベースバン
ド信号に変換する。
【0165】振幅値非線形量子化部252はアナログベ
ースバンド信号の振幅値を非線形量子化して、ディジタ
ル信号として時分割多重回路254に出力する。残アナ
ログ信号作成部250は非線形量子化残アナログ信号を
生成して加算部40に加え、データ信号点発生部38か
らのデータ信号点にアナログ的に重畳させる。
【0166】時分割多重回路部254は任意の送信デー
タ34と振幅値非線形量子化部252からの振幅値を非
線形量子化したディジタル信号を併せて送信データと
し、所定ビット単位に順次パラレル出力し、データ信号
点発生回路38で対応するデータ信号点に変換する。
【0167】加算部40はデータ信号点発生部38から
のデータ信号点に残アナログ信号作成部250からの非
線形量子化残アナログ信号を重畳する。データ変調部4
2は残アナログ信号が重畳されたデータ信号点を変調し
てアナログ回線46に変調信号を送出する。
【0168】ここで、送信部30に設けた振幅値非線形
量子化部252と残アナログ信号作成部250により、
図2(c)に示したディジタル/アナログ信号分離手段
が構成される。
【0169】一方、受信部32は復調等化部42,判定
部60,符号変換部64,時分割分配回路部258,振
幅値非線形逆量子化部260,ディジタル/アナログ信
号合成回路256及びパスバンド変換部76で構成され
る。
【0170】復調等化部42はアナログ回線46から受
信した変調信号を復調し、伝送劣化を補償するための自
動等化等を行う。判定部60は復調されたデータ信号点
から正しいデータ信号点を判定する。符号変換部64は
判定されたデータ信号点をビット系列に変換して元の送
信データ及びベースバンド信号のディジタル信号を復調
する。
【0171】時分割分配回路部258は復調データから
元の受信データ68とアナログベースバンド信号のディ
ジタル信号分を分配する。振幅値非線形逆量子化部26
0は分離されたディジタル信号の逆量子化により元のベ
ースバンド信号の振幅値を復元する。
【0172】更に、加算部72はアナログ復調手段とし
て機能し、判定前のデータ信号点から判定後のデータ信
号点を差し引くことで、データ信号点に重畳している残
アナログ信号を再生する。ディジタル/アナログ信号合
成回路部256は再生された振幅値と残アナログ信号に
基づいて元のベースバンド信号を合成する。最終的に、
パスバンド変換部76でアナログパスバンド78に変換
されて出力される。
【0173】ここで、図43の実施形態において音声と
データを同時に多重伝送するに必要な変調周波数(ボー
レート)を説明する。
【0174】まず、本発明の伝送対象とする例えばG3
のファクシミリ信号に必要な伝送帯域はCCITTの
V.29及びV.33(V.17)で勧告されている。
即ち、V.29の場合には、キャリア周波数=1700
Hz、変調速度2400ボー,ロールオフ率15%、帯
域は320Hz〜3080Hzの2760Hzである。
【0175】また、V.33(V.17)にあっては、
キャリア周波数は1800Hz、変調速度は2400ボ
ー、ロールオフ率は15%、帯域は420Hz〜318
0Hzまでの2760Hzである。
【0176】従って、V.29またはV.33(V.1
7)のどちらのファクシミリ信号がきても確実に伝送を
可能とするためには、帯域として320Hz〜3180
Hzまでの2860Hzが必要で、変調速度は2860
ボー以上が必要となる。
【0177】また、メインのデータ信号は最低のデータ
伝送速度が2400bpsであるため、周波数としては
2400Hzの整数分の1で同期がとれること、且つフ
ァクシミリ信号を考慮して2860ボーよりも大きな周
波数であることが望ましい。
【0178】そこで、データ伝送速度2400bpsに
対応した周波数2400Hzの10分の1を240Hz
とすると、1フレーム当り12個のデータ信号点を割り
当てた場合、 240Hz×12=2880ボー となり、従って2880Hzが最適なボーレート周波数
となる。
【0179】次に本発明にあっては、ネットワークの監
視及び制御のためにセカンダリチャネルを使用してデー
タを伝送する必要があり、装置の製品化を容易にするた
めにセカンダリチャネルはメインの変調速度2880ボ
ーの整数分の1、例えば72分の1である40ボーを選
択する。
【0180】次に本発明のアナログ伝送に必要な帯域幅
を説明する。
【0181】まず必要帯域としては、 セカンダリ用の57.44Hz(ロールオフ率43.
6%) 帯域分離用の56Hz(14Hz×4) メインデータ用の2986.56Hz(ロールオフ率
3.7%) であることから、合計帯域は3100Hzとなる。ここ
で、音声帯域は0.3〜3.4kHzの3100Hzで
あることから問題ない。
【0182】次にディジタル信号として伝送する音声信
号の振幅値は、一般的に10msの間は一定と見做すこ
とができる。従って、音声の最大振幅値については10
0Hz以上の速度で伝送できればよい。しかも最大振幅
値は非線形量子化することから、3ビット/100Hz
程度の情報で十分である。
【0183】次に送信データのデータ信号点による伝送
におけるビット割当てを説明する。
【0184】メインの送信データのデータ伝送速度は9
600bps、4800bps、あるいは2400bp
sの3種類を予定する。勿論、更に高速のデータ伝送速
度であってもよい。
【0185】まずデータ伝送速度が9600bpsの場
合には、例えば図44に示すように1フレーム当り、即
ちフレーム周期(1/240Hz)当り合計48ビット
を割り当てている。この48ビットの内、40ビットを
9600bpsのメインの送信データに割り当て、残り
8ビットを音声またはファクシミリ信号の振幅値に割り
当てる。
【0186】更に、1つのデータ信号点、即ち1シンボ
ル当りの割当てビット数を4ビット/シンボルとする
と、48ビットの1フレーム分のデータは12シンボル
の時分割により伝送できる。
【0187】次に4800bpsのデータ伝送速度にあ
っては、フレーム周波数を240Hzとすると、1フレ
ーム当り36ビットが割り当てられる。36ビットの
内、4800bpsのメインのデータビットに20ビッ
トが割り当てられ、音声またはファクシミリ信号の最大
振幅値に残り16ビットを割り当てる。更に、1フレー
ム分のシンボル数を同じ12シンボルとすると、1シン
ボル当り3ビット、即ち3ビット/シンボルで伝送され
る。
【0188】更に2400bpsの場合には、フレーム
周波数を同じく240Hzとすると、1フレームに24
ビットが割り当てられ、この内、メインのデータに10
ビット、最大振幅情報に14ビットが割り当てられる。
また、1フレームのシンボル数を同じ12シンボルとす
ると2ビット/シンボルの伝送となる。
【0189】更に本発明の実施形態にあっては、トレリ
ス符号化を行った後にデータ信号点に変換していること
から冗長1ビットが追加され、9600bpsのときに
は5ビット/シンボルとなり、この場合のデータ信号点
の配置は図45に示すように32値となる。
【0190】また、トレリス符号化により4800bp
sについては4ビット/シンボルでデータ信号点は16
値となり、更に2400bpsについては3ビット/シ
ンボルでデータ信号点は8値となる。 8.第2発明送信部の詳細 図46は図43に示した送信部32の具体的な実施形態
を示した実施形態構成図である。以下の実施形態の説明
にあっては、データ伝送速度を9600bpsとし、ま
た変調速度は2880ボーとした場合を例にとる。ま
た、変調方式は特に限定されず、CCITTで標準化さ
れているPSK方式,QAM方式あるいはTCM方式等
のいずれでもよく、更に他の独自の変調方式であっても
よい。
【0191】図46において、まず送信部30に設けた
アナログパスバンド信号の処理系を説明する。音声信号
またはファクシミリ信号としてのアナログパスバンド信
号48はアナログLSI部55に入力し、ローパスフィ
ルタ90により不要成分が除去され、A/Dコンバータ
92によりサンプリングされる。A/Dコンバータ92
によるサンプリング周波数はフレーム周波数が240H
zで1フレーム当り12シンボルを発生することから 240Hz×12シンボル=2880Hz と、ボーレート周波数に一致している。
【0192】アナログLSI部55でディジタル信号に
変換されたアナログパスバンド信号はベースバンド変換
部50でアナログベースバンド信号に変換される。ベー
スバンド変換部50の詳細は図5の受信部の具体的な実
施形態について示したと同じである。
【0193】ベースバンド変換部50で変換されたアナ
ログベースバンド信号はアナログ/ディジタル信号作成
部250に与えられ、最大振幅値を示すディジタル信号
と非線形量子化残アナログ信号に変換される。
【0194】アナログ/ディジタル信号作成回路部25
0はデータ格納RAM272,パワー計算部274,最
大値検出回路部276,非線形量子化部276及び振幅
制御回路部278で構成される。
【0195】図47はアナログ/ディジタル信号作成回
路部250に設けたパワー計算部274の詳細を示す。
サンプリングされたシンボルごとのベースバンド振幅情
報、即ちローパスフィルタ98の入力は、12個のタッ
プ遅延線280−1〜280−12を直列した遅延回路
に出力され、次段の乗算器282とAGC回路284を
用いて振幅値の二乗としてパワーを計算する。
【0196】ここで、AGC回路284は振幅値を半径
1.0に正規化するために設けている。乗算器282で
求めたパワーの計算結果はリアル成分Rとして取り外さ
れ、図46に示したデータ格納RAM272に12シン
ボル分のパワーデータP1〜P12が格納される。
【0197】図48は図46のアナログ/ディジタル信
号作成回路部250に設けた最大値検出回路部276の
詳細を示す。
【0198】最大値検出回路部276は12シンボル分
のパワー比較器286−1〜286−12を備え、第1
シンボルの計算パワーP1から第12シンボルの計算パ
ワーP12までを順番に2つずつ比較し、大きい方のパ
ワーを出力する。このため、最終段のパワー比較器28
6−12からは12シンボル分の中のパワーの最大値の
検出出力が得られる。
【0199】図49は図46のアナログ/ディジタル信
号作成回路部250に設けた非線形量子化部276の詳
細を示したもので、浮動小数点変換部288と上位ビッ
ト抽出部290で構成される。浮動小数点変換部288
は最大値検出回路276からの固定小数点データを浮動
少数点データに変換する。
【0200】上位ビット抽出部290は、この実施形態
にあっては1フレームを構成する48ビットの中の8ビ
ットを振幅最大値に割り当てていることから、最大検出
値データの上位8ビットを抽出する。この8ビットデー
タは浮動小数点データであることから、指数部と仮数部
で構成されている。即ち、上位ビット抽出部290は最
大値検出データの切上げを行っている。
【0201】図50は図46のアナログ/ディジタル信
号作成回路部250に設けた振幅制御回路部278の詳
細を示したもので、12シンボル分のタップ遅延線29
2−1〜292−12を直列接続した回路、割算器29
4及び乗算器296で構成される。
【0202】タップ遅延線292−1〜292−12の
直列回路に対しては前段のローパスフィルタ98からベ
ースバンド信号に変換された振幅情報が順次入力する。
タップ遅延線292−1〜292−12に12シンボル
分の振幅情報が揃った状態で、割算器294は図49に
示した非線形量子化部からの8ビットの非線形量子化デ
ータをデータXとして入力し、その逆数(1/X)を出
力する。
【0203】乗算器296で最終段のタップ遅延線29
2−12より順次出力される第1シンボルから第12シ
ンボルの各振幅情報に逆数(1/X)を掛け合わせ、ア
ナログ振幅情報の振幅正規化を施す。このような非線形
量子化データXの逆数(1/X)の乗算で得られた情報
は非線形量子化残アナログ信号と呼ばれ、レベル的にデ
ータ信号点に重畳してもメインのデータから見るとノイ
ズとしてしか見えない小さいレベルに収まる。
【0204】再び図46を参照するに、アナログ/ディ
ジタル信号作成回路部250で生成された8ビットの最
大振幅値情報は、データ信号点発生部38に出力され
る。また、データ信号点発生部38に対してはシリアル
/パラレル変換部254によりシリアルデータからパラ
レルデータに変換された送信データ34が1フレーム周
期につき40ビット単位に供給される。
【0205】図51は図46のシリアル/パラレル変換
部に設けたシリアル/パラレル変換器262の詳細を示
す。シリアル/パラレル変換器262には送信データ3
4が9600bpsのシリアルデータとして入力され、
また読込クロック264として9600Hzのクロック
が供給され、更にフレーム同期クロック266として2
40Hzのクロックが与えられている。
【0206】シリアル/パラレル変換器262はフレー
ム同期クロック266で決まるフレーム周期毎に読込ク
ロック264により40ビットのシリアル送信データ3
4を読み込んで、40ビットのパラレルデータ268を
出力する。
【0207】再び図46を参照するに、データ信号点発
生部38にはスクランブラー及びグレイコード/ナチュ
ラルコード変換機能を備えた変換部264、トレリス符
号化機能を備えたデータ信号点発生回路266、及びフ
レーム同期回路268が設けられる。
【0208】変換部264は図52に詳細を示すよう
に、パラレル/シリアル変換器466,スクランブラー
468,シリアル/パラレル変換器470及びグレイコ
ード/ナチュラルコード変換器472を備える。
【0209】パラレル/シリアル変換器466には図5
1に示したシリアル/パラレル変換器262からの40
ビットのメインの送信データであるパラレルデータ26
8と、図46のアナログ/ディジタル信号作成回路部2
50からのディジタル信号である最大振幅値を示す8ビ
ットのパラレルデータとの合計48ビットが並列入力さ
れている。
【0210】また、フレーム同期クロック266として
240Hzのクロックが与えられ、読込クロック264
として11.52kHzのクロックが与えられている。
従って、パラレル/シリアル変換器466はフレーム同
期クロック266で決まるフレーム周期毎に並列入力し
ている48ビットのパラレルデータをシリアルデータに
変換してスクランブラー468に出力する。スクランブ
ラー468はCCITTの勧告に従った公知のものであ
る。
【0211】シリアル/パラレル変換器470はスクラ
ンブルが済んだシリアルデータを再び40ビットのパラ
レルデータに変換する。
【0212】図53はトレリス符号化機能を備えたデー
タ信号点発生部38の詳細を示したもので、4ビット選
択部274,変換テーブル114,タップ116,11
8を備えた位相差分回路、畳み込み符号器120及び信
号点発生用ROM112−3で構成される。
【0213】4ビット選択部274に対しては、前段で
スクランブル及びナチュラルコードへの変換が済んだ4
8ビットデータが並列に入力され、動作クロックとして
240Hz×12シンボル=2880Hzのクロックが
与えられており、この動作クロック毎に第1ビットから
第48ビット目まで4ビット単位に順次選択して出力す
る。
【0214】4ビット選択部274から出力された4ビ
ットの内、2ビットは位相差分回路で位相差分をとった
後、畳み込み符号器120で符号化され、トレリス符号
化の手順に従った冗長1ビットが付加されて3ビットと
して出力される。このため、信号点発生用ROM112
−3に対しては5ビットが並列入力される。
【0215】信号点発生用ROM112−3には、図4
5に示した32値のデータ信号点が5ビットのアドレス
指定により格納されており、入力した5ビットに対応す
る特定のデータ信号点122を出力する。更に、信号点
発生用ROM112−3は発生したデータ信号点112
が存在する位相平面の象限情報276を出力する。この
象限情報は第1象限で(1+j0)、第2象限で(0+
j1)、第3象限で(−1+j0)、更に第4象限で
(0−j1)となる。
【0216】図54は図46のデータ信号点発生部38
に設けたフレーム同期回路268の詳細を示す。このフ
レーム同期回路268は4ビットカウンタ280とRO
M284で構成される。4ビットカウンタ280は28
80Hzの変調クロック282を計数し、240Hzの
フレーム同期クロック266毎にリセットされる。
【0217】即ち、図55のタイムチャートに示すよう
に、フレーム同期クロックで決まる1フレーム周期毎に
変調クロックを4ビットカウンタ280で12個計数
し、第1番目から第12番目のシンボルを示すフレーム
位相番号1〜12を出力する。
【0218】ROM284には図56に示すように4ビ
ットカウンタ280からの位相番号に対応した位相角を
示すフレーム同期データを格納している。このフレーム
同期データは12相単位に繰り返し変化する値となって
いる。このようなフレーム同期回路268で作成された
フレーム同期データはデータ信号点発生回路266から
のデータ点信号に掛け合わされて、受信側でフレーム同
期信号の復調を可能とする。
【0219】また、フレーム同期回路268で作成され
たフレーム同期信号は、図46の受信部30に設けてい
るシリアル/パラレル変換部262,符号変換器26
4,アナログ/ディジタル信号作成回路部250の各回
路部に供給されてフレーム同期に従った処理を行ってい
る。
【0220】次に図46の受信部30に設けている位相
ランダム回路部52を説明すると、位相ランダム回路部
52はビット抽出回路部100,位相変換回路部102
及び乗算部104で構成される。
【0221】図57は図46のビット抽出回路部100
の詳細を示したもので、データ信号点発生部38の変換
部264から出力されたスクランブルが済んでナチュラ
ルコードに変換された48ビットのパラレルデータ27
2を入力する。ビット抽出部100は240Hzのフレ
ーム同期クロック266で動作し、48ビットのパラレ
ルデータを3ビット単位に12シンボル分即ち36ビッ
ト抽出して出力する。
【0222】ビット抽出部100からの抽出データは図
58に示すように、ビット抽出出力「X210
を示すビット番号の組合せで第1シンボル目から第12
シンボル目まで順次次段の位相変換回路部102に供給
され、位相変化角を出力する。位相変換回路部102に
は図17に示した位相変化角を45°単位で示す8値の
ベクトルデータが格納されており、ビット抽出回路部1
00からの3ビット入力X2,X1,X0の値に対応する
位相変化角のベクトルデータを読み出して乗算部104
に出力する。
【0223】乗算部104にはアナログ/ディジタル信
号作成回路部250の振幅制御回路部278より非線形
量子化残アナログ信号が与えられており、これに位相変
化角を掛け合わせることで図22(B)に示した8値の
位相回転を与えて、図22(A)に示すような相関をも
っている分布を図22(C)に示すようにランダム化し
て無相関とする。
【0224】図59は図46のデータ信号点発生回路2
66に続いて設けている加算部40,乗算器270及び
乗算器272の部分の詳細を示す。
【0225】図59において、トレリス符号化機能を備
えたデータ信号点発生回路266から出力されたデータ
信号点は加算部40でアナログ情報の重畳を受けるが、
加算部40でデータ信号点に重畳する前に乗算器270
で象限判定回路278の判定出力に基づいて所定の位相
回転を行っている。
【0226】即ち、アナログ情報を単純に加算部40で
データ信号点に重畳した場合には、回線上でのキャリア
の位相ずれが生じた場合に受信側でリアル成分とイマジ
ナリー成分を逆に再生してしまうことが起きる。これを
防止するため本発明にあっては、象限判定回路278で
データ信号点の象限を判定し、データ信号点の象限に応
じてアナログ情報として重畳するベクトルを所定角度位
相回転させた後に重畳する。
【0227】象限判定回路部278による象限判定と判
定出力は図60に示すようになり、第1象限での位相回
転は0°、第2象限では90°、第3象限では180
°、第4象限では270°となり、従ってアナログ情報
としてのベクトルは乗算器270における判定出力の乗
算で第1象限のベクトル位置に位相回転されることにな
る。
【0228】このため、データ信号点が位相平面で第1
象限から第4象限のいずれかにあっても、データ信号点
に重畳するアナログ情報のベクトルは、データ信号点が
第1象現に位置した場合と同じ小円の位相平面の象限に
存在することとなり、回線上でキャリアの位相ずれが生
じてもリアル成分とイマジナリー成分を逆に再生してし
まうことを確実に防止できる。データ信号点発生部38
に続いて設けられた変調部42の詳細は図5の実施形態
と同じになる。更に、アナログLSI45についても図
5の実施形態と同じである。 9.第2発明送信部の動作 図46において、まずホストコンピュータまたは端末装
置等から出力された送信データはシリアル/パラレル変
換部262に入力され、9600bpsの送信データ3
4はフレーム同期周波数240Hzでパラレル変換さ
れ、40ビットのパラレルデータとなる。シリアル/パ
ラレル変換部254からの40ビットのパラレルデータ
はデータ信号点発生部38の変換部264に与えられ
る。
【0229】一方、電話からの音声信号あるいはファク
シミリ装置からの0.3〜3.4kHzのパスバンド帯
域をもつアナログパスバンド信号48はアナログLSI
部55のローパスフィルタ90で不要成分を除去した
後、A/Dコンバータ92によりボーレート周波数28
80Hzの整数倍でサンプリングされ、アナログ信号か
らディジタル信号に変換されてディジタル振幅値を得
る。
【0230】A/Dコンバータ92の出力はアナログパ
スバンド信号であるため、ベースバンド変換部50でア
ナログベースバンド信号に変換される。即ち、キャリア
発生部96からのキャリア信号を用いて復調部94で復
調してパスバンド帯域の信号に変換する。このとき帯域
310Hz〜3190Hzの信号をパスバンド帯域に取
り込むため、復調に使用するキャリア周波数としては、 3500Hz÷2=1750Hz を使用する。復調部94によるパスバンド帯域への復調
にあっては、和成分と差成分の両方が出力されるため、
ローパスフィルタ98により不要な和成分を除去する。
【0231】次にアナログ/ディジタル信号作成回路部
250のパワー計算部274において、アナログベース
バンド信号のパワーが計算され、1フレームで送信する
12シンボル分のアナログベースバンド信号から求めた
パワーがデータ格納RAM272に記憶される。
【0232】データ格納RAM272に記憶した12シ
ンボル分のパワーの中からは最大値検出回路276で最
大値が検出され、非線形量子化部276による非線形量
子化で8ビットの振幅最大値を示す非線形量子化データ
を得て、データ信号点発生部264に設けた変換部26
4に供給する。このため、変換部264はフレーム周期
毎に40ビットのパラレル送信データと8ビットの最大
振幅値データの入力を受ける。
【0233】また、非線形量子化部276で求めた8ビ
ットの最大振幅値の非線形量子化データは振幅制御回路
部278に与えられ、その逆数をデータ格納RAM27
2に記憶している1フレームで送る12シンボル分のパ
ワー値、即ち振幅情報のそれぞれに掛け合わすことで正
規化し、データ信号点に重畳するための非線形量子化残
アナログベースバンド信号を12シンボル分順次求め
て、位相ランダム回路部52に出力する。
【0234】データ信号点作成部38の変換部264に
入力されたパラレル送信データ40ビットと非線形量子
化された8ビットの最大振幅値データはスクランブラー
によりランダム化されると共に、和分操作を容易とする
ようにグレイコードからナチュラルコードに変換され、
ナチュラルコードに変換された後のパラレル48ビット
データはデータ信号点を発生するため、トレリス符号化
機能を備えたデータ信号点発生回路266に入力され
る。
【0235】データ信号点発生回路266にあっては、
この実施形態にあっては1フレームで12シンボルを送
ることから、4ビット/シンボルのデータとなり、トレ
リス符号化により冗長1ビットを加えた5ビットとな
り、最終的に信号点発生用のROMに入力して、図45
に示した32値のデータ信号点のいずれかの対応するデ
ータ信号点に変換して出力する。
【0236】一方、位相ランダム回路部52にあって
は、データ信号点発生部38に設けている変換部264
からの48ビットのパラレル出力データを入力し、ビッ
ト抽出回路部100で図57に示したように3ビット×
12シンボル分を順次抽出し、図58に示す3ビット抽
出データ「X210」を得て位相変換回路部10
2に設けたROMをアクセスし、図22(B)に示した
ような8値の位相変化角を得る。
【0237】位相変換回路部102からの位相変化角は
乗算部104においてアナログ/ディジタル信号作成回
路部250からの非線形量子化残アナログベースバンド
信号に掛け合わされ、受信側に設けている自動等化器の
タップ係数の収束を可能とするためにランダム化により
無相関とする。
【0238】続いてデータ信号点発生部38に設けた乗
算器270において、図62に示したようにデータ信号
点の象限判定結果に応じた非線形量子化残アナログ信号
のベクトルを常に基準象限としての第1象限となるよう
に位相回転した後、加算部40でデータ信号点に重畳す
る。
【0239】更に、非線形量子化残アナログ信号を重畳
したデータ信号点を乗算部272にでフレーム同期回路
268からのフレーム同期データを掛け合わせ、データ
変調部42に出力する。
【0240】データ変調部42はロールオフファルタ8
0により信号を帯域整形した後に、変調部82で図9に
示したようにキャリア周波数を用いて変調し、情報とし
て送信するのはリアル成分とイマジナリー成分の一方で
よいため、通常、リアル成分のみを抽出して伝送する。
【0241】最終的に変調信号はアナログLSI部45
のD/Aコンバータ86でディジタル変調信号からアナ
ログ変調信号に変換される。このアナログ変調信号には
サンプリング周波数に伴う高調波が含まれていることか
ら、ローパスフィルタ88により必要な帯域外成分を除
去し、アナログ回線46に出力する。
【0242】尚、アナログ回線46が2線式であり、モ
デムとして図46の送信部、及び次に詳細を示す図64
の受信部32を備えている場合には、図5に示したよう
にハイブリッド回路44を介して2線式のアナログ回線
46に接続する。また、ハイブリッド回路44を設けた
場合には、受信部30に図5に示すようにエコー推定部
56,エコー除去を行う加算部58を設け、加算部58
で送信信号から推定したエコー成分を除去した受信信号
を受信部32に供給する。 10.第2発明受信部の詳細 図61は図43に示した第2発明の受信部32の詳細を
示した実施形態構成図である。図61において、復調等
化部60には変調部202,キャリア発生部204,ロ
ールオフフィルタ206,ベースバンド型自動等化器2
08,キャリア自動位相制御部210,フレーム同期回
路290及び乗算部292が設けられている。復調等化
部60の詳細は図23の第1発明の受信部に示した通り
である。
【0243】次の軟判定部62にあっては、送信側での
トレリス符号化により付加した冗長1ビットを利用する
ことにより、回線上生じたエラーを訂正可能としてお
り、一般によく知られているビタビアルゴリズムによる
最尤推定法に従って正しいデータ信号点を判定する。
【0244】次の符号変換部64は、判定されたデータ
信号点を符号変換用のROMのアドレスとして入力し、
対応する4ビットのデータを出力する。次の符号変換部
294は1フレームを構成する12シンボル分のデータ
信号点から48ビットのデータを復元した後に、デスク
ランブルを行い、更にナチュラルコードからグレイコー
ドに変換した後、48ビットパラレル出力の中から上位
40ビットをパラレル/シリアル変換器296に出力
し、パラレルデータに変換してこれを受信データ68と
して出力する。また、符号変換器294は下位8ビット
を最大振幅値データとして振幅逆変換回路部256に出
力する。
【0245】一方、加算部72は判定前の信号点データ
から判定後の信号点データを差し引くことで、データ信
号点に重畳した非線形量子化残アナログ信号を復調す
る。この場合、軟判定回路部62における軟判定に時間
がかかることから、この遅延分を補償するため、遅延部
70を介して判定前のデータ信号点を加算部72に供給
している。
【0246】次の乗算部298にあっては、軟判定部6
2における判定後データ信号点の存在する位相平面の象
限判定結果に基づいて、非線形量子化残アナログ信号を
送信側とは逆方向の位相回転を加えて元に戻す。
【0247】即ち、図62に詳細を示すように、軟判定
部62に設けた軟判定回路62−1からの判定後のデー
タ信号点について、象限判定部308でデータ信号点の
存在する位相平面の象限を判定し、判定出力を乗算器2
98に加えて、復調された非線形量子化残アナログ信号
と掛け合わせ、元の象限にベクトルを戻す。
【0248】象限判定部308は図63に示す象限判定
に対する判定出力を生ずる。即ち、データ信号点が第1
象限であればベクトルの位相回転は行わず、第2象限で
あれば送信側と逆に90°回転し、第3象限であれば送
信側と逆に180°回転し、更に第4象限であれば送信
側と逆に270°回転する。
【0249】再び図61を参照するに、ランダム逆変換
部74はビット抽出部212,位相逆変換部214を備
え、符号変換部64からの48ビットの再生データに基
づいて図57及び図58に示した送信側と同様のビット
抽出後に送信側とは逆の位相変化角を発生する。即ち図
31に示した3ビットの入力ビット列「X21
0」に対応する位相変化角を与えるベクトルデータを
出力し、図36(D)に示す位相逆変化角を発生し、こ
れを図61の乗算部216で復調された非線形量子化残
アナログ信号に掛け合わせることで逆ランダム化し、相
関をもった元の非線形量子化残アナログ信号に変換す
る。
【0250】振幅逆変換回路部256は乗算部300と
ROM302を備える。ROM302は非線形量子化を
行うものとし、8ビットの振幅最大値データ、即ち非線
形量子化データをアドレスとして対応する逆量子化され
た最大振幅値を格納し、乗算部300はROM302を
用いて逆量子化された最大振幅値をランダム逆変換部7
4を介して得られた非線形量子化残アナログ信号、即ち
送信側で振幅最大値を用いて正規化された信号に逆量子
化で復調した最大振幅情報を掛け合わせることで、デー
タ信号点の受信毎に対応する振幅値とアナログベースバ
ンド信号を再生する。
【0251】次のインタ・ポレーション・フィルタ部3
04にはロールオフフィルタ306が設けられ、帯域制
限と波形整形を行う。パスバンド変換部76はキャリア
発生部222と変調部220を備え、アナログベースバ
ンド信号をアナログパスバンド信号に変換する。このパ
スバンド変換部76の詳細は図23の第1発明の受信部
32と同じである。更にD/Aコンバータ224及びロ
ーパスフィルタ226を備えたアナログLSI部85が
設けられる。このアナログLSI部85の詳細も図23
の第1発明の受信部32と同じである。 11.第2発明受信部の動作 次に図61の受信部32の受信動作を説明する。アナロ
グ回線からの受信信号192は復調等化部60の変調部
202に入力され、キャリア発生部204からのキャリ
ア信号を用いてパスバンド信号からベースバンド信号に
変換される。このとき和成分と差成分の両方が生ずるこ
とから、必要な和成分については波形成形を兼ねた次の
ロールオフフィルタ206で除去する。
【0252】続いてベースバンド型自動等化器208に
より波形等化を行い、更にキャリア自動位相制御部21
0で回線上生じた周波数オフセットや位相ジッタ等を除
去し、乗算部292でフレーム同期回路290からのフ
レーム同期信号を乗算してフレーム同期をとった後、デ
ータ信号点を得る。
【0253】続いて軟判定部62で送信側とのトレリス
符号化に伴って付加した冗長1ビットを利用し、ビタビ
アルゴリズムに従った最尤推定法に従って正しいデータ
信号点を判定する。続いて符号変換部64でデータ信号
点を4ビットデータに変換し、変換部294で1フレー
ムで受信した12シンボル分のビットデータ48ビット
が揃ったフレーム周期のタイミングで40ビットを送信
データとして分離して、パラレル/シリアル変換器29
6でシリアルデータに変換して受信データ68として出
力する。
【0254】また変換部294で分離した8ビットの非
線形量子化データ即ち振幅最大値データは、振幅逆変換
回路部256のROM302に与えられ、逆量子化され
る。
【0255】一方、軟判定部62から判定出力が得られ
たときに遅延部70で遅延していた判定前のデータ信号
点から加算部72で判定後のデータ信号点を差し引い
て、データ信号点に重畳した非線形量子化残アナログ信
号を復調する。更に、乗算部298で軟判定部62で判
定されたデータ信号点の象限判定に基づいて送信側で回
転したベクトルを元の象限に戻すように逆回転する。続
いて、ランダム逆変換部74でランダム逆変換を行って
ベースバンド信号に変換した後、振幅逆変換回路部25
6に供給する。
【0256】振幅逆変換回路部256の乗算部300は
復調された非線形量子化残アナログ信号が送信側でシン
ボル単位にパワーを正規化されていることから、ROM
302からの逆量子化された最大振幅値を掛け合わせる
ことで、パワーとしての振幅値を逆正規化し、シンボル
単位にアナログベースバンド信号を再生する。
【0257】再生されたアナログベースバンド信号はイ
ンタポレーション・フィルタ部304のロールオフフィ
ルタ306により帯域制限及び波形成形を受けた後、パ
スバンド変換部76においてパスバンド帯域のアナログ
パスバンド信号に変換される。更にアナログLSI部8
5のD/Aコンバータ224によりアナログパスバンド
信号はディジタル象限からアナログ信号に変換され、ロ
ーパスフィルタ226で不要な帯域成分を除去すること
で元のアナログパスバンド信号78を得ることができ
る。 12.音声2チャネルを伝送する第3発明の基本実施形
態 図64は第3発明の基本構成を示した実施形態構成図で
あり、この第3発明にあっては単一のアナログ回線を用
いて音声2チャネルを同時に多重伝送するようにしたこ
とを特徴とする。勿論、ファクシミリ信号2チャネルの
同時伝送であってもよいし、音声信号とファクシミリ信
号の2チャネル同時伝送であってもよい。 図64にお
いて、送信部30と受信部32はアナログ回線46を介
して接続される。
【0258】送信部30は図43に示した第2発明の場
合と同様、データをデータ信号点に変換して伝送するた
め、時分割多重回路部254,データ信号点発生部3
8,加算部40及びデータ変調部42を設けている。こ
の点は受信部32についても同様であり、復調等化部6
0,判定部62,符号変換部64及び時分割分配回路部
258を設けている。
【0259】このような送信データをデータ信号点に変
換した後に変調して送り受信側で復調する信号系につい
て、本発明は、第1発明及び第2発明のように送信デー
タと音声またはファクシミリ信号を多重伝送するのでは
なく、2チャネルの音声信号またはファクシミリ信号の
伝送のみに使用する。従って第3発明にあっては、基本
的にはホストコンピュータや端末装置等からの送信デー
タの伝送しない。
【0260】更に送信部30には2チャネル分のアナロ
グ・ディジタル信号作成回路部310,312が設けら
れる。アナログ・ディジタル信号作成回路部310,3
12はベースバンド変換部50−1,50−2、残アナ
ログ信号作成部250−1,250−2、振幅値非線形
逆量子化部252−1,250−2、更に位相線形量子
化部314−1,314−2を有する。
【0261】この第3発明にあっては、新たに位相線形
量子化部314−1,314−2が追加された点が図4
3の第2発明と異なり、それ以外は同じになる。また、
加算部40でデータ信号点には2つのチャネルについて
生成した非線形量子化残アナログ信号を重畳するため、
一方のチャネルCH1の残アナログ信号作成部250−
1からは非線形量子化残アナログ信号のリアル成分Rを
出力し、他方のチャネルCH2の残アナログ信号作成部
250−2からは非線形量子化残アナログ信号のイマジ
ナリー成分Iを出力し、加算部316で加算した後、加
算部40でデータ信号点に加えている。
【0262】更に非線形量子化残アナログ信号の極性を
データ1ビットに利用することで、位相線形量子化部3
14−1,314−2の各1ビットをデータ信号点の信
号重畳に含ませて送るようにしている。
【0263】受信部32についても2つのチャネルに対
応してディジタル/アナログ再生回路部320,322
が設けられる。ディジタル/アナログ再生回路部32
0,322には振幅値非線形逆量子化部260−1,2
60−2、位相線形逆量子化部324−1,324−
2、ディジタル/アナログ信号合成回路256−1,2
56−2、パスバンド変換部76−1,76−2が設け
られる。
【0264】また、判定部62における判定前のデータ
信号点から判定後のデータ信号点を差し引いてデータ信
号点に重畳した信号を復調する加算部72が設けられ
る。加算部72からの復調信号は分配部318でチャネ
ルCH1のリアル成分とチャネルCH2のイマジナリー
成分に分離され、それぞれディジタル/アナログ信号合
成回路256−1,256−2に与えられる。
【0265】このような音声2チャネルの同時伝送を可
能とするため本発明にあっては、第2発明と同様、ボー
レート周波数を2880Hzとし、また1フレームで1
2シンボルを送るとすると、フレーム周波数は240H
zとなり、各音声チャネル毎にディジタル情報として最
大振幅情報,最大位相情報,高速位相情報を送り、更に
データ信号点重畳情報として高速振幅情報を送るものと
する。この場合の伝送に必要なビット割当ては次のよう
になる。
【0266】
【表1】
【0267】即ち、音声2チャネルの同時伝送でディジ
タル情報としては1フレームで72ビットを送る必要が
あり、従って1フレームを12シンボルとすると、1シ
ンボル当り6ビットに割当てた時分割多重伝送となり、
位相平面におけるデータ信号点は64値となるが、更に
トレリス符号化による冗長1ビットを加えた7ビット/
シンボルであることから128値となる。 13.第3発明送信部の詳細 図65は図64の送信部30の詳細を示した実施形態構
成図である。図65において、チャネルCH1側を具体
的に示したアナログ/ディジタル信号作成回路部310
を見ると、アナログLSI部55,データ格納RAM2
72,パワー計算部274,最大値検出部276,非線
形量子化部276は図46に示した第2発明の実施形態
と基本的に同じである。
【0268】また、データ信号点発生部38,変調部4
2,アナログLSI部45、更に位相ランダム回路部5
2についても、1フレームで送信するデータビットが7
2ビットとなっている点以外は図46の受信部32と同
じになる。
【0269】図66は図65の音声2チャネルにおける
フレーム構成を示しており、フレーム周波数240Hz
で決まるフレーム周期前半36ビットを音声チャネルC
H1に割り当て、後半36ビットを音声チャネルCH2
に割り当てている。また、1フレームは12シンボルの
時分割で終わることから、72ビットデータを6ビット
ずつ取り出してデータ信号点を発生させる。実際にはト
レリス符号化により6+1ビット/シンボルでデータ信
号点を発生させる。
【0270】図65の送信部30において、新たに設け
られたものは位相差分回路部330及び最大値検出・量
子化回路部332であり、更に振幅情報作成部278に
おいてチャネルCH1はリアル成分を、チャネルCH2
側はイマジナリ成分を出力する点が異なる。
【0271】図67は図65の位相差分回路部330の
詳細を示す。ここで、人間の視聴特性は低周波に敏感で
あり、高周波に関しては鈍感であることから、ボーレー
ト周波数2880Hzでサンプリングした音声信号の位
相変位角については、人間の聴覚特性を最大限に利用し
た位相量子化を実施する。
【0272】このため、図67に示す位相差分回路部に
設けた乗算部334において、シンボル毎のアナログベ
ースバンド信号(ディジタル値表記)でキャリア周波数
1440Hzを乗算して周波数を右にシフトし、低周波
の移送量を最小化し、高周波の移送量を最大化する。続
いてAGC部336で単位円を作成し、乗算部338を
用いてシンボル単位に位相差分値345を作成する。
【0273】図68は図65の位相差分回路部330に
続いて設けられた最大値検出・量子化回路部332の最
大値検出側の詳細を示したもので、ベクトルデータであ
る位相差分値345をスカラ量である角度に変換する変
換部342、12シンボル分のタップ遅延線344−1
〜344−12の直列回路部、タップ遅延線344−1
〜344−12で得られた12シンボル分の位相差分角
θ1〜θ12を入力して、その中の最大値θmaxを検
出する最大値検出部346を備える。
【0274】最大値検出部費346は12シンボル分の
位相差分角θ1〜θ12の中から検出した最大値θma
xを4ビットで表現している。
【0275】図69は図68の最大値検出部に続いて設
けられる量子化部側の詳細を示したもので、上位ビット
抽出部348とROM350を備える。上位ビット抽出
部348は4ビットで表現された位相角最大値θmax
の上位4ビットを抽出し、ROM350に入力する。R
OM350には図70に示す4ビット入力をアドレスと
した位相正規化情報が格納されており、1フレーム当り
12シンボル分の位相情報を正規化する。
【0276】この位相正規化情報352は更に図71に
示す最大値検出・量子化回路部332の量子化回路部側
の最終段の回路部に与えられる。図71の位相量子化回
路部の最終段は乗算器354と3ビット情報抽出部35
6で構成される。3ビット情報抽出部356には入力位
相情報に対応した3ビットデータが格納されている。乗
算部354は位相正規化情報352を乗算部354で位
相最大値θmaxに掛け合わせてスカラ量としての位相
情報を求め、これをアドレスとして図72に示す変換内
容をもつ3ビット情報抽出部356で対応する3ビット
情報に変換し、、3ビット分での高速量子化を行う。
【0277】3ビット情報抽出部356からの3ビット
データは、上位2ビットについてはディジタル信号とし
てデータ信号点の時分割で送り、最下位ビットLSBに
ついてはアナログ信号として非線形量子化残アナログ信
号の極性を制御して送る。
【0278】このため、1シンボル当り2ビットの位相
情報が得られることから、1フレームで送る12シンボ
ル分の位相情報は音声1チャネルにつき24ビットとな
り、これに位相最大値θmaxを示す4ビットが加わる
ことで、位相情報は合計28ビットとなる。更に、非線
形量子化により得られた振幅最大値8ビットが加わるこ
とで音声1チャネルは1フレーム当り合計36ビットと
なり、従って音声2チャネルでは1フレーム当り合計7
2ビットとなる。
【0279】図73は図65の振幅情報作成部278の
詳細を示している。図73において、振幅情報作成部2
78は乗算器358,362,366、AGC部360
及び割算器364で構成される。乗算部358はシンボ
ル毎に得られたアナログベースバンド信号(ディジタル
値表記)にAGC部360で半径1.0を与えるレベル
を掛け合わせて正規化した後、ここではチャネルCH1
側を例にとっていることからリアル成分を乗算器362
に入力する。
【0280】一方、非線形量子化部276で求められた
8ビットの非線形量子化後の振幅最大値Xは割算器36
4で逆数(1/X)が求められ、乗算器362で乗算器
358からのリアル成分に掛け合わせてデータ符号点に
重畳する非線形量子化残アナログ信号を得る。
【0281】更に乗算器366において、図69に示し
た3ビット情報抽出部356から出力されたLSBビッ
トに基づき、LSB=1のとき+1.0を掛け合わせ、
LSB=0のとき−1.0を掛け合わせて極性を反転
し、リアル成分の非線形量子化残アナログ信号の極性で
位相情報の1ビットを表現し、データ信号点に重畳して
伝送させる。
【0282】即ち、図73の振幅情報作成回路部278
にあっては、乗算器366で位相情報から振幅成分のベ
クトル情報を複素共役で正規化し、位相情報1ビットを
含む振幅情報を得る。
【0283】尚、図65のチャネルCH2側のディジタ
ル信号作成回路部328に設けた振幅情報作成回路部2
78にあっては、図73において乗算器385からのイ
マジナリー成分Iについて同様な処理を行うことにな
る。 図74は図65のデータ信号点発生部34に設け
た変換部264の詳細を示したもので、パラレル/シリ
アル変換器366,スクランブラー368,シリアル/
パラレル変換器370及び12シンボル分のグレイコー
ド/ナチュラルコード変換器372−1〜372−12
で構成される。
【0284】パラレル/シリアル変換器366には音声
チャネルCH1,CH2の各々につき最大振幅情報8ビ
ット、最大位相情報4ビット、及び12シンボル分の位
相情報24ビットがパラレル入力し、240Hzのフレ
ーム同期クロック266と17.28kHzの読込クロ
ック264を用いて1フレーム周期でパラレルデータに
変換し、スクランブラー368でスクランブルを行った
後、同時にシリアル/パラレル変換器370で元の72
ビットパラレルデータに戻す。
【0285】グレイコード/ナチュラルコード変換器3
72−1〜372−12はシリアル/パラレル変換器3
70からの72ビットパラレル出力を6ビット単位に入
力し、ナチュラルコードに変換して出力する。 14.第3発明送信部の動作 図65における音声2チャネルの伝送動作を説明する。
まず0.3KHz〜3.4kHzの帯域をもつ音声信号
はチャネルCH1及びチャネルCH2のアナログパスバ
ンド信号48−1,48−2としてアナログ・ディジタ
ル信号作成回路部326,328のそれぞれに入力され
る。チャネルCH1側に示すようにアナログパスバンド
信号48−1は、アナログLSI部55のローパスフィ
ルタ90で不要成分を除去した後、A/Dコンバータで
ボーレート周波数2880Hzのサンプリング周波数で
サンプリングされて、ディジタル値表記に変換される。
【0286】続いてベースバンド変換回路部50でアナ
ログベースバンド信号に変換され、データ格納RAM2
72に格納される。データ格納RAM272に1フレー
ムを構成する12シンボル分のアナログベースバンド信
号が格納されると、パワー計算部274,最大値検出部
276及び非線形量子化部による12シンボルの中の最
大パワー検出値の非線形量子化データが作成され、8ビ
ットのディジタル信号として送出される。
【0287】同時に位相差分回路部330及び最大値検
出・量子化回路部332において12シンボル分のアナ
ログベースバンド信号の位相量の最大値の検出に基づ
く、線形量子化された3ビットの位相情報と4ビットの
位相最大値が求められ、位相最大値4ビットと位相情報
2ビットを合わせた6ビットを各シンボル毎にデータ信
号点発生部38に出力する。
【0288】位相情報の1ビットLSBは非線形量子化
部276からの最大振幅値の8ビットデータと共に振幅
情報作成部278に与えられる。振幅情報作成部278
にあっては、データ格納RAM272に記憶している1
2シンボル分のパワー値を読み出して非線形量子化によ
り求めた最大値の逆数を掛け合わせることで非線形量子
化残アナログ信号を求め、更に位相情報の1ビットLS
Bの「1」でプラス、「0」でマイナスを掛け合わせて
極性を制御し、リアル成分について合成部316に供給
する。
【0289】同時にチャネルCH2のアナログ・ディジ
タル信号作成回路部328側においてもイマジナリ成分
として位相情報1ビットの極性反転を受けた非線形量子
化残アナログ信号が出力されることとなり、両者を合わ
せて位相ランダム回路部52に供給し、8値の位相角の
回転を与えてランダム化し、データ信号点発生部38に
送る。
【0290】データ信号点発生部38におけるトレリス
符号化、データ信号点の発生、発生したデータ信号点に
重畳するアナログ信号の象限判定に応じたベクトル回
転、更にフレーム同期信号の乗算、変調部42における
変調、アナログLSI部45におけるアナログ信号への
変換については、図46の第2発明の実施形態と同じで
ある。 15.第3発明受信部の詳細 図75は図64に示した第3発明の受信部32の詳細を
示した実施形態構成図である。図75において、復調等
化部60,軟判定部62,符号変換部64,変換部29
4,非線形量子化残アナログ信号を復調する遅延部72
と加算部72,復調したアナログ信号のベクトル回転を
元の象限に戻す乗算部298、更にランダム逆変換部7
4については、受信したデータ信号点が6ビット/シン
ボルであり、1フレームで72ビットのデータを再生す
る点以外は、図61の第2発明の受信部32と同じにな
る。
【0291】また、音声2チャネルに対応してアナログ
ベースバンド信号復元回路部374,376、パスバン
ド変換部76−1,76−2及びアナログLSI部85
−1,85−2が設けられる。
【0292】アナログベースバンド信号復元回路部37
4,376には、チャネルCH1側に示すように、8ビ
ットの振幅最大値データを非線形逆量子化し、同時に復
調された非線形量子化残アナログ信号に掛け合わせて各
シンボル毎の振幅情報としてパワー値を再生する振幅逆
変換回路部378が設けられる。
【0293】更に第3発明にあっては、送信側から位相
情報をディジタル信号として24ビット(2ビット/シ
ンボル)送信しており、またアナログ信号の極性として
位相情報1ビットを送っており、更に位相最大値として
4ビットを送っていることから、これらの位相情報に対
し選択・位相和分回路部380及び乗算器386が設け
られる。
【0294】図74は選択・位相和分回路部380の詳
細を示す。選択回路388は各シンボルの受信毎に得ら
れた2ビットの位相情報をシンボル受信に同期して順次
セレクトしてROM32に入力する。同時に、復調され
たアナログ情報385の極性を符号判定部390で判定
し、位相情報の1ビットLSBをROM392に入力す
る。この符号判定部390によるLSBは符号が+でL
SB=1、符号が−でLSB=0となる。
【0295】ROM392は図78に示すように、3ビ
ット情報を入力して対応する位相情報を出力する。一
方、ROM396には線形量子化された最大位相情報の
4ビットが入力され、図77に示すように、元の最大位
相情報に戻す。乗算器394はシンボル毎にROM39
2から出力される位相情報に最大位相情報を掛け合わせ
て逆量子化する。
【0296】更に、逆量子化された位相情報は変換器3
98でスカラ量である位相角からベクトル情報に変換さ
れ、次の乗算器400,振幅正規化部402及びタップ
遅延線404を用いて位相和分を求め、更に乗算器40
6で−1440Hzのキャリア周波数で位相和分情報を
ベースバンド情報にシフトして戻し、位相和分出力40
8を生ずる。
【0297】図79は図75の振幅逆変換回路部378
の詳細を示したもので、絶対値回路410、8ビットの
振幅最大値データ414を非線形逆量子化するROM4
12、および乗算器416が設けられる。即ち、復元さ
れたアナログ情報385としてのアナログベースバンド
信号がもつ位相情報1ビットを表わす極性を絶対値回路
410で除去し、同時にROM412で量子化されてい
る8ビットの振幅最大値データから振幅最大値情報を復
調し、両者を乗算器416で掛け合わせて振幅情報とし
てのパワー値を復元する。そして振幅逆変換回路部37
8で求めたパワー値に、選択・位相和分回路部380で
求めた位相和分出力408を乗算器386で掛け合わせ
て元のアナログベースバンド信号を復元する。
【0298】次に図75の受信部32の動作を説明する
と、受信したデータ信号点からの1フレームにつき72
ビットのディジタル信号の再生と、リアル成分とイマジ
ナリ成分で作られた非線形量子化残アナログ信号の復調
は、図61の第2発明の場合と同じである。
【0299】その後の位相情報と振幅情報に基づく元の
アナログベースバンド信号の復元は送信側と逆の操作を
行えばよい。
【0300】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、次の効果が得られる。
【0301】まずアナログパスバンド信号をベースバン
ド信号に変換した後に送信データのデータ信号点にノイ
ズと見做せるレベルで重畳して送ることで、メインの送
信データと音声またはファクシミリ信号との同時伝送が
単一のアナログ回線を使用してでき、回線使用量を半分
にでき、また通信機器が1回線分で済むことから装置コ
ストを節減できる。
【0302】また、音声またはファクシミリ等のアナロ
グパスバンド信号をアナログ成分とディジタル成分に分
離し、ディジタル成分についてはメインの送信データと
共に時分割でデータ信号点に変換して送り、アナログ成
分についてはデータ信号点に重畳して送ることで、より
高品質のアナログパスバンド信号の伝送を可能とし、音
声やファクシミリ伝送における信号品質を大幅に向上で
きる。
【0303】更に、音声2チャネルをディジタル信号と
アナログ信号に分けて同時に重畳伝送することで、単一
のアナログ回線を使用して音声2回線あるいはファクシ
ミリ2回線による回線利用ができ、アナログ回線の利用
効率を2倍に引き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1発明の原理説明図
【図2】本願第2発明と第3発明の原理説明図
【図3】第1発明の基本構成となる第1実施形態をモデ
ムとして示した実施形態構成図
【図4】アナログ回線のエラーレートを示した特性図
【図5】図3の送信部詳細を示した実施形態構成図
【図6】9600bpsモードで使用する図5のデータ
信号発生部の詳細説明図
【図7】9600bpsモードの信号点の説明図
【図8】14400bpsモードで使用する図5のデー
タ信号発生部の詳細説明図
【図9】図5の復調部に設けた復調器の詳細説明図
【図10】図5の復調部の他の実施形態構成図
【図11】図5のベースバンド変換部の詳細説明図
【図12】ベースバンド変換前のパスバンド信号の帯域
説明図
【図13】ベースバンド変換後のベースバンド信号の帯
域説明図
【図14】図5のベースバンド変換部の他の実施形態構
成図
【図15】9600bpsモードに用いる図5のランダ
ム変換部の詳細説明図
【図16】図15のパラレル変換部の変換特性図
【図17】図15の位相変換部による位相変換角の変換
特性図
【図18】4800bpsモードに用いる図5のランダ
ム変換部の詳細説明図
【図19】図18のパラレル変換部の変換特性図
【図20】図5の最適振幅制限値判断部の詳細説明図
【図21】図5の振幅制限部の詳細説明図
【図22】図5の送信部におけるベースバンド信号、ラ
ンダム変換に用いる位相変化角、ランダム化されたベー
スバンド信号、データ信号点及び重畳信号を位相平面で
示した説明図
【図23】図3の受信部の詳細を示した実施形態構成図
【図24】図23の復調等化部の他の実施形態を示した
実施形態構成図
【図25】9600bpsモードで用いる図23の軟判
定部の詳細説明図
【図26】14400bpsモードで用いる図23の軟
判定部の詳細説明図
【図27】図23の遅延部の詳細説明図
【図28】9600bpsモードで用いる図23のラン
ダム逆変換部の詳細説明図
【図29】図28のパラレル変換部の変換特性図
【図30】図28の位相逆変換部の変換特性図
【図31】14400bpsモードで用いる図23のラ
ンダム逆変換部の詳細説明図
【図32】図31のパラレル変換部の変換特性図
【図33】図23のパスバンド変換部に設けた変調部の
詳細説明図
【図34】パスバンド変換前のベースバンド信号の帯域
特性図
【図35】パスバンド変換後のパスバンド信号の帯域説
明図
【図36】図23の受信部における判定前データ信号
点、判定後データ信号点、データ信号点から抽出された
ベースバンド信号、ランダム逆変換に用いる位相逆変化
角、および逆変換したベースバンド信号を位相平面につ
いて示した説明図
【図37】第1発明の第2実施形態を示した実施形態構
成図
【図38】図37のデータ信号点、音声ベースバンド信
号、重畳信号を位相平面で示した説明図
【図39】第1発明の第3実施形態を示した実施形態構
成図
【図40】第1発明の第4実施形態を示した実施形態構
成図
【図41】第1発明の第5実施形態を示した実施形態構
成図
【図42】第1発明の第6実施形態を示した実施形態構
成図
【図43】第2発明の基本的な実施形態を示した実施形
態構成図
【図44】図43におけるフレーム構成の説明図
【図45】図43の実施形態で使用する32値のデータ
信号点の説明図
【図46】図43の受信部の詳細を示した実施形態構成
【図47】図46のパワー計算部の詳細説明図
【図48】図46の最大値検出回路部の詳細説明図
【図49】図46の非線形量子化部の詳細説明図
【図50】図46の振幅制御回路部の詳細説明図
【図51】図46のシリアル/パラレル変換部の詳細説
明図
【図52】図46のデータ信号点発生回路部に設けた時
分割変換回路部の詳細説明図
【図53】図46のデータ信号点発生部の詳細説明図
【図54】図46のフレーム同期回路部の詳細説明図
【図55】図46のフレーム同期回路部の信号波形図
【図56】図54に設けたROMの格納内容の説明図
【図57】図46のビット抽出回路部の詳細説明図
【図58】図46の位相変換回路部の変換特性を示した
説明図
【図59】図46のデータ信号点発生回路の出力段の詳
細説明図
【図60】図59の象限判定部の判定出力の説明図
【図61】図43の受信部の詳細を示した実施形態構成
【図62】図61の軟判定部の詳細説明図
【図63】図62の象限判定部の判定出力の説明図
【図64】第3発明の基本的な実施形態を示した実施形
態構成図
【図65】図64の送信部の詳細を示した実施形態構成
【図66】図64の第3発明におけるフレーム構成の説
明図
【図67】図65の位相差分回路部の詳細説明図
【図68】図65の最大値検出・量子化回路部の最大値
検出側の詳細説明図
【図69】図65の最大値検出・量子化回路部の量子化
側の詳細説明図
【図70】図69のROMの変換機能の説明図
【図71】図69に続く最大値検出・量子化回路部の量
子化側の詳細説明図
【図72】図71のビット情報抽出部の変換機能の説明
【図73】図65の振幅情報作成部の詳細説明図
【図74】図65のデータ信号点発生部に設けた時分割
変換回路部の詳細説明図
【図75】図64の受信部の詳細を示した実施形態構成
【図76】図75の選択・位相和分回路部の詳細説明図
【図77】図76の4ビット入力ROMの変換機能を示
した説明図
【図78】図76の3ビット入力ROMの変換機能を示
した説明図
【図79】図75の振幅逆変換回路部の詳細を示した説
明図
【図80】従来のディジタル基幹回線による伝送形態の
説明図
【図81】従来のアナログ回線による伝送形態の説明図
【符号の説明】
30:送信部 32:受信部 34:送信データ 36:スクランブラー部(SCR) 38:データ信号点発生部 40:加算部 42:データ変調部 44:ハイブリッド回路 45,55,85:アナログLSI部 46:アナログ回線(2線式又は4線式) 48:アナログパスバンド信号 50:ベースバンド変換部 52:ランダム変換部 54:振幅制限部 56:エコー推定部 58:エコー除去部(加算部) 60:復調等化部 62:軟判定部 62−1:判定部(硬判定) 64:符号変換部 66:デスクランブラー部(DSCR) 68:受信データ 70:遅延部 72:加算部(ベースバンド信号復調用) 74:ランダム逆変換部 75,200:プロセッサユニット 76:パスバンド変換部 78:アナログパスバンド信号 80,206:ロールオフフィルタ部(ROF) 82,220:復調部 84,96,134,204,222,234:キャリ
ア発生部 86,224:D/Aコンバータ 88,90,98,226:ローパスフィルタ(LP
F) 92:A/Dコンバータ 94,202:復調部(DEM) 100:ビット抽出部 100−1,100−2:パラレル変換部 102:位相変換部 104,124,132,136,138,172,2
36:乗算部 106:信号品質信号(SQD) 108:最適振幅制限値判断部 110−1,110−2:変換部 112−1,112−2:信号点発生用ROM 114:変換テーブル 116,118:タップ 128,238:リアルパート抽出部 130:ヒルベルトフィルタ 148:ROM 154:自動利得制御部(AGC) 156,164,160,168:加算器 158,162,166,170:リミッタ 202:復調部 208:ベースバンド型自動等化器(EQL) 210:自動キャリア位相制御部(CAPC) 212:ビット抽出部 212−1,212−2:パラレル変換部 214:位相逆変換部 228:ヒルベルト変換部 230:パスバンド自動等化器 232:復調自動キャリア周波数制御部 244−1,244−2:符号変換器 246−1,246−2:パラレル/シリアル変換部 250,250−1,250−2:残アナログ信号作成
部 252,252−1,252−2:振幅非線形量子化部 254:時分割多重回路部 258:時分割分配回路部 256,256-1,256-2 :ディジタル/アナログ信号合成回路
(振幅逆変換回路部) 260,262−1,262−2:振幅非線形逆量子化
部 262:シリアル/パラレル変換部 264:時分割多重変換部 266:データ信号点発生回路部 268:フレーム同期回路部 272:データ格納RAM 274:パワー計算部 275:最大値検出回路部 276:非線形量子化部 278:振幅制御回路部 310,312:アナログ・ディジタル信号作成回路部 314,314−1,314−2:位相線形量子化部 320,322:ディジタル/アナログ信号再生回路部 330:位相差分回路部 332:最大値検出・量子化回路部 374,376:アナログベースバンド信号復元回路部 378:振幅逆変換回路部 380:選択・位相和分回路部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 昭60−501087(JP,A) 欧州特許出願公開506400(EP,A 2) 石尾秀樹、外3名,“多相多値搬送波 ディジタル通信の一方式”,通信方式研 究会資料,電子通信学会,1975年1月29 日(1975−01),p.57−64 Tricia Hill and K amilo Feher,”A Pre formance Study of NLA 64−State QAM”,I EEE TRANSACTIONS O N COMMUNICATIONS,V ol.COM−31,NO.6,JUNE 1983,p.821−826 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04M 11/00 - 11/10 H04L 27/00 - 27/30 H04B 3/23 H04L 5/02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】データ信号からなる第1信号を2次元座標
    空間の信号点に割当て、アナログ信号からなる第2信号
    を前記信号点に重畳することにより2種類の信号を合成
    して伝送路に送信することを特徴とするマルチメディア
    多重伝送方法。
  2. 【請求項2】データ信号とアナログ信号の一部の信号を
    合成した信号からなる第1信号を2次元座標空間の信号
    点に割当て、前記アナログ信号の残りの信号からなる
    2信号を前記信号点に重畳することにより2種類の信号
    を合成して伝送路に送信することを特徴とするマルチメ
    ディア多重伝送方法。
  3. 【請求項3】第1アナログ信号と第2アナログ信号の一
    部を合成した信号からなる第1信号を2次元座標空間の
    信号点に割当て、第1アナログ信号および第2アナログ
    信号の残りの信号からなる第2信号を前記信号点に重畳
    することにより2種類の信号を合成して伝送路に送信す
    ることを特徴とするマルチメディア多重伝送方法。
  4. 【請求項4】伝送路の受信信号による2次元座標空間の
    受信点から信号点を判定してデータ信号からなる第1信
    号を再生し、前記受信点と判定信号点の誤差に基づいて
    アナログ信号からなる第2信号を再生することを特徴と
    するマルチメディア多重伝送方法。
  5. 【請求項5】伝送路の受信信号による2次元座標空間の
    受信点から信号点を判定してデータ信号とアナログ信号
    の一部の信号を合成した信号からなる第1信号を再生
    し、前記受信点と判定信号点の誤差に基づいて前記アナ
    ログ信号の残りの信号からなる2信号を再生することを
    特徴とするマルチメディア多重伝送方法。
  6. 【請求項6】伝送路の受信信号による2次元座標空間の
    受信点から信号点を判定して第1アナログ信号と第2ア
    ナログ信号の一部を合成した信号からなる第1信号を再
    生し、前記受信点と判定信号点の誤差に基づいて第1ア
    ナログ信号および第2アナログ信号の残りの信号からな
    第2信号を再生することを特徴とするマルチメディア
    多重伝送方法。
  7. 【請求項7】データ信号からなる第1信号を2次元座標
    空間の信号点に割当て、アナログ信号からなる第2信号
    を前記信号点に重畳することにより2種類の信号を合成
    して伝送路に送信する送信装置と、 前記伝送路の受信信号による2次元座標空間の受信点か
    ら信号点を判定して第1信号を再生し、前記受信点と判
    定信号点の誤差に基づいて前記第2信号を再生する受信
    装置と、 を備えたことを特徴とするマルチメディア多重伝送装
    置。
  8. 【請求項8】データ信号とアナログ信号の一部の信号を
    合成した信号からなる第1信号を2次元座標空間の信号
    点に割当て、前記アナログ信号の残りの信号からなる
    2信号を前記信号点に重畳することにより2種類の信号
    を合成して伝送路に送信する送信装置と、 前記伝送路の受信信号による2次元座標空間の受信点か
    ら信号点を判定して第1信号を再生し、前記受信点と判
    定信号点の誤差に基づいて前記第2信号を再生する受信
    装置と、 を備えたことを特徴とするマルチメディア多重伝送装
    置。
  9. 【請求項9】第1アナログ信号と第2アナログ信号の一
    部を合成した信号からなる第1信号を2次元座標空間の
    信号点に割当て、第1アナログ信号および第2アナログ
    信号の残りの信号からなる第2信号を前記信号点に重畳
    することにより2種類の信号を合成して伝送路に送信す
    る送信装置と、 前記伝送路の受信信号による2次元座標空間の受信点か
    ら信号点を判定して第1信号を再生し、前記受信点と判
    定信号点の誤差に基づいて前記第2信号を再生する受信
    装置と、 を備えたことを特徴とするマルチメディア多重伝送装
    置。
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Tricia Hill and Kamilo Feher,"A Preformance Study of NLA 64−State QAM",IEEE TRANSACTIONS ON COMMUNICATIONS,Vol.COM−31,NO.6,JUNE 1983,p.821−826
石尾秀樹、外3名,"多相多値搬送波ディジタル通信の一方式",通信方式研究会資料,電子通信学会,1975年1月29日(1975−01),p.57−64

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