JP3068931U - パンティストッキング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 蒸れの防止や用便の簡便のための開口部を備
えていながらも、装着が容易であると共にはきズレがな
いパンティストッキングの提供。 【解決手段】 丸編式シームレスのパンティストッキン
グにおいて、パンティ部とレッグ部との境界のレッグ部
トップの所定幅の環状領域および、パンティ部後面の略
パンティラインからウエストバンドに達する領域の臀部
を除く領域および、パンティ部前面の前記臀部に連通す
る股部周辺を含む腹部からウエストバンドに達する領域
が、伸縮自在の弾性糸を加えた編み糸で編み立てられて
前記レッグ部より強い締付力を有する締付領域を構成
し、前記臀部とこれに連通する股部との領域をパンティ
部の開口部で形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、パンティ部に用便用の開口部が形成されているパンティストッキン グに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

現在、市販されている多くのパンティストッキングは、２つのレッグ部と、両 レッグ部のトップに一体的に連通するパンティ部とから構成されている。このパ ンティストッキングは、丸編式編立機でつま先部からウエストバンド部へ向けて シームレスの筒状部を二つ編み立て、互いに対向するそれぞれの所定股上部分を 切欠き、両切欠き部分を股部にマチを介して縫い合わせることによってパンティ 部が形成されるのが一般的な製法となっている。

【０００３】 最近では、編み糸に、たとえばゴム糸やウレタン高分子弾性糸等の伸縮自在な 弾性糸を加えて編み立てることによって、パンティ部に締め付け効果、即ちガー ドル効果を付与したものも市販されている。

【０００４】 このようなパンティストッキングは、パンティ部が下着を兼用しているものも あるが、下着であるパンティの上に重ねて装着するものが一般的である。しかし ながら、下着と重なる部分、特に股部などは蒸れやすく、着用者が不快感を感じ ることがある。また、用便の際には、パンティストッキングも脱着しなくてはな らず、煩雑で手間の係る点に不満を感じる着用者は少なくない。

【０００５】 しかしながら、パンティストッキングを靴下（ストッキング）として認識し、 一製品につき使用頻度が少なく使い捨てに近い状況で使用している現状から、パ ンティ部が下着を兼用しているタイプのものは高価であり、普段の実用には適さ ない。

【０００６】 本来のストッキングは、長靴下として、パンティストッキングのレッグ部に当 たる部分からなり、ストッキングのトップ部をガーターを用いてずり落ちを防止 していた。中には、腰骨まわりに着けるベルト（ガーターベルト）から延びるひ も状留め具で靴下を吊すものがあるが、この場合、紐状部以外の腰部のほぼ全体 が露出しており、用便の際に下着以外を脱ぐ必要はない。

【０００７】 最近では、このようなガーターベルトとストッキングを一体にしたようなパン ティストッキングが製作されている。このタイプにものは、たとえば図２の模式 図に示すように、一般的なパンティストッキングにおけるパンティ部２１の前面 腹部領域から股部および後面臀部領域に亘る部分と左右側面腰部に、それぞれ大 きな開口２２が形成されており、パンティ部２１として残っているのは、ウエス トバンド部２０と、該ウエストバンド部２０とレッグ部２６とを連結する幅の狭 い前後２本ずつ計４本の紐部２３のみである。

【０００８】 このようなガーターベルト・ストッキング一体様タイプは、用便の際にも脱着 する必要がなく簡便であると共に、下着との重なり部分もほとんどないため、蒸 れ等の不快感も解消される。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記の如き従来のガーターベルト・ストッキング一体様のタイ プは、蒸れ等の不快感や用便の際の脱着の手間という問題は解消されるが、腰部 周りを覆う部分が紐部分２３のみであるため、この紐部分２３は特に腰回り方向 の自由度が大きく、位置ズレしやすい。従って、装着中には、体の動きに伴って はきズレしやすく、装着感が不快になったり、場合によって用便の妨げになるこ ともある。

【００１０】 また、はき始めの際、紐部分２３が所定位置に来るようにするには、装着者自 身で位置決めしながらはかなければればならず、装着完了までに多少時間が係っ てしまうという問題もあった。

【００１１】 さらに、このようなパンティストッキングでは、通常の丸編式で編み立ててい く際に、開口部となる部分の縁部に伝線を防止するための、いわゆるラン止め加 工を施さなければならず、特別な製造工程が増えてしまう。図２に示したパンテ ィストッキングでは、全開口２２の縁に別部材２５を介してラン止め加工２４が 施されている。また、別部材２５を見苦しくしないためにレース様のものを用い たりするなど、さらに工程が増え、製造コストへの影響も無視できないものであ った。

【００１２】 本考案の主目的は、蒸れの防止や用便の簡便のための開口部を備えていながら も、装着が容易であると共にはきズレがないパンティストッキングを提供するこ とにある。また、本考案は、開口部を特別なラン止め加工を必要とすることなく 簡便な製造工程で設けることのできるパンティストッキングを提供することを目 的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、請求項１に記載の考案に係るパンティストッキング は、丸編式シームレスのパンティストッキングであって、パンティ部とレッグ部 とから構成され、パンティ部とレッグ部との境界のレッグ部トップの所定幅の環 状領域および、パンティ部後面の略パンティラインからウエストバンドに達する 領域の臀部を除く領域および、パンティ部前面の前記臀部に連通する股部周辺を 含む腹部からウエストバンドに達する領域が、伸縮自在の弾性糸を加えた編み糸 で編み立てられて前記レッグ部より強い締付力を有する締付領域を構成し、前記 臀部とこれに連通する股部との領域が、パンティ部の開口部で形成されているも のである。

【００１４】 また、請求項２に記載の考案に係るパンティストッキングは、請求項１に記載 のパンティストッキングにおいて、前記締付領域は、パンティ部前面の股部周辺 を含む腹部領域と、パンティ部後面の略パンティラインから側腰部を経てパンテ ィ部前面の腹部上方領域に亘る帯状領域とが、互いに異なる編み目に切換えて編 み立てられ、前記帯状領域は、前記腹部領域より強い締付力を有することを特徴 とするものである。

【００１５】 また、請求項３に記載の考案に係るパンティストッキングは、請求項１に記載 のパンティストッキングにおいて、パンティ部とレッグ部とから構成される丸編 式シームレスのパンティストッキングであって、パンティ部とレッグ部との境界 のレッグ部トップに設けられ、他のレッグ部より強い締付力を有する所定幅の環 状締付領域と、該環状締付領域より強い締付力を有し、パンティ部前面の股部か らウエストバンドに亘る腹部領域に設けられた略菱形状締付領域と、該略菱形状 締付領域より強い締付力を有し、パンティ部後面の略パンティラインから側腰部 を経て前記略菱形状締付領域の上方に亘って帯状に設けられたバンド状締付領域 と、を備え、前記略菱形状締付領域の下方に設けられ、装着時に股体部が露出さ れる開口部と、パンティ部後面の少なくとも前記バンド状締付領域の略パンティ ラインの一部に隣接して設けられ、装着時に臀体部が露出される開口部とが、互 いに連通状態で形成されていることを特徴とするものである。

【００１６】 本考案のパンティストッキングにおいては、股部及びこれに連通する臀部が開 口部となっており、股部の下着との重なりに起因する蒸れ等の不快感や、用便の 際にパンティストッキングを脱着しなくてはならないという面倒な手間が解消さ れるものであると同時に、この開口部周辺のレッグ部トップの環状領域とパンテ ィ部後面の略パンティラインからウエストバンドに達する領域およびパンティ部 前面の前記臀部に連通する股部周辺を含む腹部からウエストバンドに達する領域 が、伸縮自在の弾性糸を加えた編み糸で編み立てられてなる締付領域であるため 、弾性糸の伸び作用に対する戻り力に基づく締付力により、パンティ部の後面の 略パンティラインから前面の股部周辺を含む腹部が締付けられ、パンティ部の体 に対する締着力が大きく、位置ズレし難く、装着中もはきズレが生じない。

【００１７】 また、開口部が所定位置に納まると、その体の部位と開口部との嵌合状態が得 られ、さらに位置ズレが生じにくくなる。たとえば、臀部がパンティ部後面の開 口部内にはまると、開口周辺の締付領域が臀部周辺を締め付けることによって臀 部に強い力で締着し、通常の体の動きでは全くはきズレしない。なお、本考案で いうところの略パンティラインとは、一般的な女性用下着であるパンティの足を 通す開口縁部が来る臀体部と脚体部との境界線であり、このラインに沿った部分 が弾性力を備えていると、臀体部がその下側から上方へ押し上げられる。

【００１８】 また、このような開口部は、従来品のようにほとんど腰部周りが露出するもの と異なり、腰部を覆う領域が多くてパンティ部がボデイラインに沿った形状を維 持しているため、はきやすく、装着と同時に開口部も所定位置に容易に納まる。

【００１９】 また、前記開口部の周縁は、弾性糸を加えた編み糸で編み立てられたラン止め 編みとなっている締付領域であるため、従来品のように通常の編み糸のみで編み 立てられたものに比べて、非常に伝線し難いものであるため、開口縁部の縁処理 は縁縫い等の通常の縫製処理で済み、特別なラン止め加工を必要とせず、その分 、従来に比べて製造工程が簡略化し、製造工程の増大に起因するコスト高を抑え ることができる。

【００２０】 特に、本考案の開口部は、通常の丸編式編立機で二つの筒状部を形成した後に 縫い合わせる一般的な製造方法において工程を大幅に変更、増加させることなく 容易に形成することができる。即ち、左右筒上部を縫い合わせてパンティ部形成 する前にそれぞれ対向する所定股上部を切欠く際に、開口部に対応する切込みを 行っておき、縫い合わせの際に開口部領域を残すだけでよい。この際、股部も開 口部となるため、従来のマチ部の縫い合わせ工程が省かれるため、製造工程は簡 略化する。

【００２１】 なお、本考案においては、パンティ部の締付領域の締付力は、前面においては 腹体部の押さえ効果、後面においては、特に略パンティラインに沿った締め付け 力による臀体部を上方へ押し上げるリフトアップ効果というボディラインを補正 するガードル効果も期待できるものである。

【００２２】 さらに、本考案では、通常のパンティストッキングで最も負荷が係り伝線が発 生しやすく、マチ部などの補強部材を設けなければ強度的に問題のあった股部が 開口であるため、運動に伴って生じるトルクが股部開口で逃げ、補強部材を設け なくても股部からの伝線が生じないので、パンティストッキング全体としての強 度が向上したことになる。

【００２３】 本考案に係るパンティストッキングの好ましい様態は、請求項２に記載した通 りであり、パンティ部の締付領域を、パンティ部前面の股部周辺を含む腹部領域 と、パンティ部後面の略パンティラインから側腰部を経てパンティ部前面の腹部 上方領域に亘る帯状領域とを、互いに異なる編み目に切換えて編み立て、前記帯 状領域を前記腹部領域より強い締付力とするものである。

【００２４】 このように、臀部下方から側腰部を経て腹部上方に亘る領域がより強い締付力 でバンド状に締め付けられると、パンティ部の腰回り方向への自由度がほとんど なくなり、更なるはきズレ防止効果の向上が図れる。

【００２５】 この互いに異なる締付力をもつ両領域は、編み立ての切換えの際に、編み糸に 加える弾性糸を異なる強度のものに切換えたり、異なる編み方に切換えてるする ことによって構成することができる。

【００２６】 尚、レッグ部トップの環状領域を締付領域とすることは、レッグ部のずり落ち を防止するために一般的なパンティストッキングにも見られるものである。また 、本考案の弾性糸とは、ゴムやスパンデックス（商品名：デュポン社）等の合成 高分子弾性糸などの従来から用いられているものが広く使用可能である。

【００２７】

【考案の実施の形態】

本考案の一実施の形態として、パンティ部前面の股部周辺を含む腹部領域と、 パンティ部後面の略パンティラインから側腰部を経てパンティ部前面の腹部上方 領域に亘る帯状領域とを、互いに異なる編み目に切換えてパンティ部が編み立て られたパンティストッキングを図１示す。（ａ）は本実施形態のパンティストッ キング前面部の概略構成を示す平面図であり、（ｂ）は後面部の概略構成を示す 斜視図である。

【００２８】 本パンティストッキングは、主に左右のレッグ部６とパンティ部１とからなる 丸編式のシームレスパンティストッキングであり、股部とこれに連通する臀部は 用便用の開口部２となっている。開口部２のうち臀部は略パンティラインより上 方のヒップのほぼ全体に相当する比較的大きな開口領域であるが、股部は、従来 のマチ部程度の用便に足る小さい開口領域で、必要以上に大きくしていない。

【００２９】 本実施形態においては、パンティ部とレッグ部との境界のレッグ部トップの所 定幅の環状領域５と、パンティ部前面の股部周辺を含む腹部領域４と、パンティ 部後面の略パンティラインから側腰部を経てパンティ部前面の腹部上方領域に亘 る帯状領域３とを締付領域とし、スパンデックスを加えた編み糸でそれぞれ所定 締付力となるように編み立てられて構成されている。

【００３０】 レッグ部トップの環状領域５に対してその上方のパンティ部１の各領域は、順 次、編み方が切換えられ、それぞれ所定の締付力を持つ領域となっている。本実 施形態では、レッグ部トップの環状領域５よりも腹部領域４を強力に、該腹部領 域４よりも帯状領域３をさらに強力に設定した。

【００３１】 従って、パンティ部１は、装着時には、その締付領域の締付力により体に強く 締着しており、特に、最も締付力の強い前記帯状領域３による腰回り方向への移 動規制力に加え、臀体部が開口部内に収まった嵌合状態により、通常生活におけ る運動程度ではほとんどはきズレが生じることはなく、はきズレによる不快感や 用便の妨げという問題は解消される。

【００３２】 また、パンティ部１は開口部２を有しながらもほとんど腰部全体を覆うパンテ ィ部形状が維持されているため、容易にはくことができ、装着に手間がかからな い。

【００３３】 さらに、前記開口部２の全周縁は弾性糸を含む編み糸によるラン止め編みで編 み立てられた締付領域で構成されているため、この縁部からの伝線が生じにくく 、通常の縫製処理で縁処理されている。従って、開口部の縁処理として特別なラ ン止め加工が必要なく、製造工程の増大やコスト高が押さえられる。

【００３４】 以上のように、本実施形態によるパンティストッキングでは、パンティ部に用 便用の開口部を備えながらも、装着しやすく且つはきズレがなく、また、煩雑な 工程やコスト高を招くことなく簡便に製造できるものである。

【００３５】

【考案の効果】

以上説明したとおり、本考案のパンティストッキングによれば、蒸れの防止や 用便の簡便のための開口部を備えていながらも、装着が容易であると共にはきズ レがなく、快適に装着し続けられるという効果がある。

【００３６】 また、本考案のパンティストッキングは、開口部を複雑な製造工程を増加させ 得る特別なラン止め加工を必要とすることないため、工程の増大やコスト高を抑 えたまま簡便な製造工程で提供することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施の形態によるパンティストッ
キングの概略構成図であり、（ａ）は前面部の構成を示
す平面図、（ｂ）は後面部の構成を示す斜視図である。

【図２】 従来の開口を備えたパンティストッキングの
一例を示す模式図である。

【符号の説明】

１，２１：パンティ部 ２，２２：開口部 ３：帯状部 ４：腹部 ５：レッグ部トップの帯状領域 ６，２６：レッグ部 １０，２０：ウエストベルト ２３：紐部分 ２４：ラン止め加工 ２５：別部材

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 丸編式シームレスのパンティストッキン
   グであって、 パンティ部とレッグ部とから構成され、パンティ部とレ
   ッグ部との境界のレッグ部トップの所定幅の環状領域お
   よび、パンティ部後面の略パンティラインからウエスト
   バンドに達する領域の臀部を除く領域および、パンティ
   部前面の前記臀部に連通する股部周辺を含む腹部からウ
   エストバンドに達する領域が、伸縮自在の弾性糸を加え
   た編み糸で編み立てられて前記レッグ部より強い締付力
   を有する締付領域を構成し、 前記臀部とこれに連通する股部との領域が、パンティ部
   の開口部で形成されていることを特徴とするパンティス
   トッキング。
2. 【請求項２】 前記締付領域は、パンティ部前面の股部
   周辺を含む腹部領域と、パンティ部後面の略パンティラ
   インから側腰部を経てパンティ部前面の腹部上方領域に
   亘る帯状領域とが、互いに異なる編み目に切換えて編み
   立てられ、前記帯状領域は、前記腹部領域より強い締付
   力を有することを特徴とする請求項１に記載のパンティ
   ストッキング。
3. 【請求項３】 パンティ部とレッグ部とから構成される
   丸編式シームレスのパンティストッキングにおいて、 パンティ部とレッグ部との境界のレッグ部トップに設け
   られ、他のレッグ部より強い締付力を有する所定幅の環
   状締付領域と、該環状締付領域より強い締付力を有し、
   パンティ部前面の股部からウエストバンドに亘る腹部領
   域に設けられた略菱形状締付領域と、該略菱形状締付領
   域より強い締付力を有し、パンティ部後面の略パンティ
   ラインから側腰部を経て前記略菱形状締付領域の上方に
   亘って帯状に設けられたバンド状締付領域と、を備え、 前記略菱形状締付領域の下方に設けられ、装着時に股体
   部が露出される開口部と、パンティ部後面の少なくとも
   前記バンド状締付領域の略パンティラインの一部に隣接
   して設けられ、装着時に臀体部が露出される開口部と
   が、互いに連通状態で形成されていることを特徴とする
   請求項１に記載のパンティストッキング。