JP3068630B2 - 四極電磁石装置 - Google Patents

四極電磁石装置

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JP3068630B2 JP2155356A JP15535690A JP3068630B2 JP 3068630 B2 JP3068630 B2 JP 3068630B2 JP 2155356 A JP2155356 A JP 2155356A JP 15535690 A JP15535690 A JP 15535690A JP 3068630 B2 JP3068630 B2 JP 3068630B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、例えば荷電粒子ビームの輸送路などに設
けられ、荷電粒子ビームの収束や発散を行う四極電磁石
装置に関するものである。
[従来の技術] 第7図は従来の荷電粒子ビーム装置用の四極電磁石装
置の一例を示す断面構成図である。
図において、符号1は円環状のヨーク、2はそれぞれ
ヨーク1の内周面上に設けられ、かつ2本の直交する直
線上に2個ずつが該2直線の交点を挟んで互いに対向す
るように配置されている4個の磁極部、3は各磁極部2
に設けられているコイルであり、このコイル3により、
互いに対向する2個の磁極部2の先端部がN極に、残り
の2個の磁極部2の先端部がS極になるように各磁極部
2が磁化されている。
次に、第8図は例えば“Proceedings of the 9th
INTERNATIONAL CONFERENCE ON MAGNET TECHNOLOG
Y"『プロシーディングス・オブ・ザ・ナインス・インタ
ーナショナル・コンフェレンス・オン・マグネット・テ
クノロジー』(Zurich September 9−13,1985)114〜11
7ページに示された従来の四極電磁石装置の磁極部2の
先端部の拡大図である。
この図のように、磁極部2の先端部は全体的には双曲
線形状となっているが、その一部が双曲線から外れた形
状となっており、この部分はシム2aと呼ばれている。
上記のように構成された従来の四極電磁石装置におい
ては、第7図の破線の範囲内を荷電粒子ビームが輸送さ
れる。このとき、各磁極の間には、図中矢印の磁力線に
示すような磁界が発生しており、これにより荷電粒子ビ
ームが集束・発散される。
このような荷電粒子ビームに対する集束・発散のレン
ズ作用を持たせるため、各磁極間の磁界の磁場強度は、
中心点Oで0になり、かつこの中心点Oからの距離に比
例した大きさになるように設計されている。例えば、第
8図のX軸上では、磁場強度By=kX(k:比例定数)とな
っている。
第9図はこのようなX軸上の磁場分布を示す中心点O
からの距離と磁場強度との関係図である。図において、
実線Aは磁極面にシム2aを設けた磁極部2を用いた場合
の磁場分布、一点鎖線Bはシム2aを設けていない双曲線
形状の磁極面の磁極部を用いた場合の磁場分布である。
この図のように、シム2aを設けることにより、磁場分布
が補正され、磁場勾配が一定となる領域、即ち良磁場領
域が広くなっている。
[発明が解決しようとする課題] 上記のように構成された従来の四極電磁石装置におい
ては、双曲線状の磁極面にシム2aを設けることにより良
磁場領域を広げているので、磁極部2の形状を決定する
ために計算機を使用した大掛かりな磁場解析を必要とす
るという問題点があった。また、磁場分布は磁極部2の
工作精度に依存しており、工作誤差による磁場分布の誤
差を補正することができないという問題点もあった。さ
らに、磁場強度が高くなると磁気飽和して磁場分布が変
化するので、励磁の程度により良磁場領域が変化する
が、このような磁場分布の変化を補正できないという問
題点もあった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課
題としてなされたものであり、工作誤差や励磁程度によ
る磁場分布の変化を補正することができ、また磁極部の
形状を容易に決定できる四極電磁石装置を得ることを目
的とする。
[課題を解決するための手段] 請求項1に係る発明の四極電磁石装置は、磁極部の先
端部近傍に穴を設けるとともに、磁気的特性が磁極部と
異なる磁場補正部材をその穴に挿入したものである。
請求項2に係る発明の四極電磁石装置は、磁場を補正
するための磁場調整片を、隣合う磁極部間に位置調整可
能に設けたものである。
請求項3に係る発明の四極電磁石装置は、各磁極部間
に挿入されているロッド、このロッドの挿入量を調整す
るための位置調整機構、各磁極部の先端部の両角部に設
けられているスライド台、及びロッドの先端部に取り付
けられ、磁場調整片を保持しスライド台に沿って摺動さ
れる非磁性体製のホルダを備えたものである。
[実施例] 以下、この発明の実施例を図について説明する。各図
中、第7図と同一又は相当部分には同一符号を付し、そ
の説明を省略する。第1図は請求項1に係る発明の第1
実施例による四極電磁石装置の要分を拡大して示す構成
図である。
図において、符号2bは磁極部2の先端部の近傍に2個
ずつ設けられている穴、4は穴2bに挿入されている磁場
補正部材であり、この磁場補正部材4は、それぞれ磁性
体と非磁性体とを交互に積層してなっており、これによ
り全体として磁気的に異方性となっている。
上記のように構成された四極電磁石装置においては、
磁気異方性を有する磁場補正部材4を穴2b内で回転する
ことにより、穴2bの部分における磁気抵抗を変化させ、
全体の磁場分布を変化させることができる。即ち、第1
図に示すように、磁場補正部材4をその各層が磁力線5
に沿うようにセットすれば、磁力線5は磁場補正部材4
内を通過しやすく、この部分の磁束密度は大きくなる。
また、第1図の状態から磁場補正部材4を90゜回転さ
せ、磁力線5が磁場補正部材4の各層を貫くようにすれ
ば、磁力線5は磁場補正部材4内を通過しにくくなり、
この部分の磁束密度が小さくなる。
このように、磁場補正部材4の向きを変えることによ
り、部分的な磁束の増減を行うことができるため、磁極
部2の工作誤差などによる磁場分布の補正をすることが
でき、良磁場領域を容易に広げることができる。また、
磁場測定を行うことにより、励磁強度に応じた磁場補正
部材4の最適な向きを調べておけば、励磁程度による磁
場分布の変化に対しても補正をすることができ、良磁場
領域を容易に広げることができる。これらにより、磁極
部2の形状を容易に決定できる。
なお、上記実施例では磁場補正部材4として磁性体と
非磁性体とを交互に積層することにより磁気的に異方性
を持たせたものを示したが、磁気的特性として異方性を
持つ1つの材料からなるものを用いてもよく、このよう
な部材の向きを変えたり、部材そのものを他の材料から
なるものに交換したりすることにより、上記実施例と同
様の効果が得られる。
また、磁場補正部材4は、磁極部2と磁気特性が異な
るものであれば、必ずしも磁気異方性を示すものでなく
てもよく、磁極部2と磁気特性が異なる材料からなるも
のや、そのような複数の材料を組み合わせたものを用い
てもよい。
例えば、第2図に示すように、材料Aからなる円柱状
の部材に断面扇形状の切欠を設け、この切欠部分に材料
Bからなる部材を取り付けてなる磁場補正部材4を用い
てもよい。また、第2図の材料Bの部分をエアギャップ
にするなどしてもよく、かつA,B部分の形状は図の形状
に限定されない。また、材料A,Bのいずれか一方が、磁
極部2の材料と同じであってもよく、磁場補正部材4全
体として磁極部2と磁気的特性が異なっていれば、上記
実施例のような効果が得られる。
さらに、穴2b及び磁場補正部材4の形状や個数、及び
位置なども上記実施例に限定されるものではなく、種々
の変更が可能である。
次に、第3図は第1参考例による四極電磁石装置の要
分を拡大して示す構成図である。図において、符号6は
各磁極部2の先端部の両角部にそれぞれ取り付けられて
いるシムコイルである。
上記のように構成された四極電磁石装置においては、
シムコイル6に電流を流すことにより、部分的に磁場の
増減を行うことができる。このため、磁極部2の工作誤
差などによる磁場分布の補正をすることができ、磁場勾
配の直線性の良い良磁場領域を容易に広げることができ
る。また、磁場測定を行うことにより、シムコイル6に
流す最適電流値を、励磁強度に応じて求めておけば、励
磁程度による磁場分布の変化に対しても補正をすること
ができる。これらにより、磁極部2の形状を容易に決定
できる。
なお、シムコイル6の個数や配置は上記実施例に限定
されるものではなく、例えば第4図に示すように、シム
コイル6のターン数を増して、シムコイル6を分散させ
ても同様の効果が得られる。
次に、第5図は請求項2に係る発明の一実施例による
四極電磁石装置を示す構成図、第6図は第5図の要部を
拡大して示す構成図である。
図において、符号11はヨーク1を貫通して各磁極部2
間に挿入されているロッドであり、このロッド11は、ヨ
ーク1の外周部に設けられた位置調整機構12によりヨー
ク1の内側への挿入量を調整可能になっている。13はロ
ッド11の先端部に取り付けられている非磁性体製のホル
ダ、14はホルダ13に保持されている磁性体製の磁場調整
片、15は各磁極部2の先端部の両角部に設けられている
スライド台であり、このスライド台15に沿ってホルダ13
が摺動する。
上記のように構成された四極電磁石装置においては、
磁極部2間に挿入された磁場調整片14が、通過する磁力
線の磁路の磁気抵抗を減らすように働く。このため、位
置調整機構12によりロッド11の挿入量を調整して、磁場
調整片14の位置を中心に近付けたり遠ざけたりすること
により、第9図に示した磁場分布の補正を行うことがで
きる。つまり、磁場調整片14の移動は、第8図のシム2a
の作用を可変にする効果がある。
このように、磁場調整片14の位置を調整することによ
り、部分的に磁場の増減を行うことができ、磁極部2の
工作誤差などによる磁場分布の補正をすることができ、
従って良磁場領域を容易に広げることができる。また、
磁場測定を行うことにより、磁場調整片14の最適位置
を、励磁強度に応じて求めておけば、励磁程度による磁
場分布の変化に対しても補正をすることができ、これら
により磁極部2の形状決定が簡単になる。
なお、上記実施例では磁場調整片14として磁性体製の
ものを示したが、例えば磁気的に異方性を持つものを利
用するなどしてもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、請求項1に係る発明の四極電磁
石装置は、磁極部の先端部近傍に穴を設けるとともに、
磁気的特性が磁極部と異なる磁場補正部材をその穴に挿
入したので、磁場補正部材を交換したり、磁場補正部材
の向きを変えたりすることにより、工作誤差や励磁程度
による磁場分布の変化を補正することができ、良磁場領
域を容易に広げることができ、また磁極部の形状を容易
に決定できるなどの効果を奏する。さらに、磁場補正部
材を磁極部の先端部近傍に設けたので、磁場分布を調整
する磁極面の近くで磁場分布を効果的に調整できるとと
もに、軸方向の磁場分布を調整することもできる。
また、請求項2に係る発明の四極電磁石装置は、磁場
を補正するための磁場調整片を、隣合う磁極部間に位置
調整可能に設けたので、磁場調整片の位置を調整するこ
とにより磁場分布を調整でき、請求項1に係る発明と同
様の効果を奏する。
さらに、請求項3に係る発明の四極電磁石装置は、各
磁極部間に挿入されているロッド、このロッドの挿入量
を調整するための位置調整機構、各磁極部の先端部の両
角部に設けられているスライド台、及びロッドの先端部
に取り付けられ、磁場調整片を保持しスライド台に沿っ
て摺動される非磁性体製のホルダを備えたので、磁場調
整片の位置を容易にかつ精度良く調整することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は請求項1に係る発明の第1実施例を示す構成
図、第2図は請求項1に係る発明の第2実施例を示す構
成図、第3図は第1参考例を示す構成図、第4図は第2
参考例を示す構成図、第5図は請求項2に係る発明の一
実施例を示す構成図、第6図は第5図の要部を拡大して
示す構成図、第7図は従来例を示す構成図、第8図は従
来装置の要部を拡大して示す構成図、第9図は第8図の
X軸上の磁場分布を示す中心点Oからの距離と磁場強度
との関係図である。 図において、2は磁極部、2bは穴、4は磁場補正部材、
14は磁場調整片。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 7/04 G21K 1/093

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4個の磁極部を有し、荷電粒子ビームの集
    束・発散を行う四極電磁石装置において、前記磁極部の
    先端部近傍に穴が設けられているとともに、磁気的特性
    が前記磁極部と異なっている磁場補正部材が前記穴に挿
    入されていることを特徴とする四極電磁石装置。
  2. 【請求項2】4個の磁極部を有し、荷電粒子ビームの集
    束・発散を行う四極電磁石装置において、磁場を補正す
    るための磁場調整片が、隣合う前記磁極部の間に位置調
    整可能に設けられていることを特徴とする四極電磁石装
    置。
  3. 【請求項3】各磁極部間に挿入されているロッド、この
    ロッドの挿入量を調整するための位置調整機構、前記各
    磁極部の先端部の両角部に設けられているスライド台、
    及び前記ロッドの先端部に取り付けられ、磁場調整片を
    保持し前記スライド台に沿って摺動される非磁性体製の
    ホルダを備えている請求項2記載の四極電磁石装置。
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