JP3067442U - 公的交通機関案内書 - Google Patents

公的交通機関案内書

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JP3067442U JP1999004035U JP403599U JP3067442U JP 3067442 U JP3067442 U JP 3067442U JP 1999004035 U JP1999004035 U JP 1999004035U JP 403599 U JP403599 U JP 403599U JP 3067442 U JP3067442 U JP 3067442U
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久武 小島
久雄 飯田
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株式会社武揚堂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ほぼ名刺サイズに折り畳まれる1枚のシート
によって、公的交通機関のネットワークについて、利用
者に必要とされる各種多数の情報を表現する。 【解決手段】 横長の(6枚の名刺を左右に並べた程度
の)印刷シートの中央を少しずらして中央の折り目2c
で二つ折りして、裏面目次11を露出させる段差部を形
成する。次いで山折り線2b、同2aで段違い巻き三つ
折りして表面目次12を露出させ、名刺サイズに折り畳
む。この印刷シート1の表裏両面のほとんど全面に交通
地図が印刷されている。符号3は平面的に描かれた交通
地図である。符号4は分解された路線,線区の1本ずつ
を直線化した地図であって、記号化された諸情報(接続
路線や最寄車両番号など)が付記されている。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、地下鉄,一般鉄道,路線バス、もしくはこれらの組み合わせ、また は、これらと船舶航路との組合せより成る公的な交通機関網を表した、軽便で取 り扱い易く、しかも安価でありながら、情報内容が豊富なように創作した、地図 を主体とする1枚のシートから成る案内書に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
公的な交通機関として、一般鉄道,地下鉄道,船舶航路,航空路,モノレール ,バス路線などが網の目のように構成されている。
【0003】 それぞれの自由な生活をしている多数の(何十万人,何百万人の)国民が、事 に応じ、時に臨んで所望の地点へ行こうというのであるから、多種,多様の交通 手段が互いに連絡しつつ、かつ、公表されているパター通りに運行されなければ ならない。 これらの特性は、公的な交通機関であることから必然的に帯びている使命であ って、社用送迎バスやクラブ所有ヘリコプターなどの私的交通手段に比して本質 的な差異である。 こうした公的交通機関の特性を承知した上で、一人の国民としての立場からこ れらの公的交通機関を利用しようとすると、各種の情報が必要となる。特に、大 都市周辺で移動しようとすると、大都市の公的な交通機関特有の非常に多くの情 報が必要となる。 一方、公的交通機関の経営者においても、プラットホームの案内標識(電光掲 示板も含めて)や案内放送に工夫を凝らして、より良いサービスの提供に努力を 払っている。このため、公的交通機関の利用者が保持していなければならない個 人的な情報の内容は、往時に比して大きく変化した。
【0004】 往年の地方小都市において公的交通機関の情報と言えば、その都市を通ってい る鉄道の時刻表とバスの時刻表とだけであった。これに比して最近、大都市圏内 の交通については、いわゆる「時刻表」なる物の必要性は激減している。 その理由は、例えば「10時の汽車に乗り遅れたら40分間待たねばならぬ」 といった制約が無く、「駅へ行きさえすれば5分間も待たずに電車が来る」とい った状態(もしくは、これに準じる状態)になっているから「何時何分の列車」 という意識が薄れ、また、その必要性もなくなっており、始発・終電時刻さえ知 れば足りるようになったからである。 その代り、 a.何駅で何線に接続しているか、 b.乗ってから何駅まで約何分間であるか、 などの知識(情報)が必要になっている。 さらに、列車編成(何両連結であるか)の巨大化や、これに伴うプラットホー ムの長大化、その上に凄ましい混雑のため、 c.何駅で改札に出るには、何号車に乗っていけば良いか、 d.何駅で下車しようとすると、車内の左,右どちら側に乗れば良いか、 e.何駅で何線に乗り換えるには、何号車に乗っていけば良いか、 など、多種,多様の情報が必要になった。各駅ごとの上記諸情報を考えると、 情報の総量は膨大である。このため、大都市圏内の公的交通機関の案内書(案内 地図を含む)は多ページの冊子となっている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
従来技術に係る公的交通機関の案内書は、多くの情報を収納しなければならな いので冊子となっている。 (注)冊子とは「とじ本」をいう(大字典.広辞苑,他による)。 (注)公的とは、公共よりも広い意であって、例えば国有鉄道や都営バスなど のように官公庁が運営するものに限られず、私有の営利企業を含む。すなわち、 公的交通機関とは、広く一般の国民が利用し得る交通機関をいう。 例えば、帝都高速度交通営団から発行されているパンフレット「地下鉄のりか え達人」は、ほぼA6版、10数ページの冊子であって、東京都地下鉄道網につ いて、乗客が必要とする殆ど総べての情報を漏れ無く、しかも見易く満載されて いて、その情報量,正確性,イラスト性において実に優れた交通機関案内書であ る。 実際に上記「地下鉄のりかえ達人」を手にして地下鉄に乗ってみると、その使 い易さと有用性とに感嘆するのであるが、披見しない時は鞄に入れて携行するこ とになる。 女性の場合は、たいていハンドバックを携行しているので「地下鉄のりかえ達 人」の収納に苦慮することは少ないと思われるが、男子の場合は鞄を携行してい るとは限らないので、A6版程度の薄い冊子でもポケットからはみ出し、案外、 不便に感じられる場合が少なくない。
【0006】 こうした携行性を考察し、追及してゆくと、「男女を問わず必ず身に着けてい るグッズ」に収納できることが望ましいという要望が生まれてくる。つまり、い わゆる名刺サイズであることが望まれる。 さらに、時代がカード化しつつあることを勘案すると、カードサイズ(約53 ×87ミリメートル)、詳しくは、カード入れに挟み込める大きさであることが 切望される。 もう一つ、経済性の面から、極限的なコストダウンが要請される。すなわち、 こうした「のりかえ達人」類は、定価を付して販売することによって市場に流通 せしめる「商品」ならしめることが困難であって、例えば銀行が顧客に対して無 料提供するスーベニア(粗品)などのように、最終ユーザーに対して無料サービ スされるプレゼント品として取扱われる場合が多い。 無料配布品であるから、配布者は少なくとも千単位、多ければ万単位の多数を 発注・購入する代りに、その単価は徹底的に値切ること必定である。 本考案者らは、地図類の製作販売を通じて社会に奉仕する立場の出版業界に身 を置いているので、以上に述べた各種の要望,要請に応えるべく、新しい構成よ りなる交通案内書の創作に鋭意努力した。
【0007】 本考案の目的とするところは、 イ.名刺サイズないしカードサイズであって、 ロ.厚紙6枚程度の薄い物品であって、 ハ.製造コストが低廉で、 ニ.公的交通機関の利用に必要な大量の情報を収録し得る、案内書を提供するに ある。なお、本考案において「案内書」とは、案内地図を主体とする利用の手引 書、ないし利用メモの意である。 なお参考までに前記の低廉な製造コストについて、本考案者らの創作活動にお ける目標値は、後に説明する実施例の案内書(図1)を、万個単位で受注し、納 入する場合、適正な利益を含めた単位を10円以下に設定した。従来技術におい て同等の内容を有する案内書の半額以下である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために創作した本考案の、重要な着想は下記の二つであ る。 A.折り畳んで名刺サイズないしカードサイズとなる1枚のシートを構成する 。この構成によって携帯の便利さと製造コストの低廉とが得られる。このシート 構成が本考案の2本柱の一つである。 B.複雑に見える交通網も、これを路線もしくは線区に分解すれば、それぞれ 1本の線で表現することができる。従って、この1本の線に対する他の線の接続 状態を記号化して付記すれば、交通機関のネットワークを頭の中で組み立てるこ とが可能になる。上述の「交通網の分解.直線化表示」が、本考案の二本柱の一 つである。 上述の着想を具体化した本考案の基本的な原理を、その実施形態に対応する図 1を参照して略述すると次のとおりである。すなわち、ほぼ名刺サイズに折り畳 まれる1枚のシートによって、公的交通機関のネットワークについて、利用者に 必要とされる各種多数の情報を表現するため、 横長の(6枚の名刺を左右に並べた程度の)印刷シートの中央を少しずらして 中央の折り目2cで二つ折りして、裏面目次11を露出させる段差部を形成する 。次いで山折り線2b、同2aで段違い巻き三つ折りして表面目次12を露出さ せ、名刺サイズに折り畳む。この印刷シート1の表裏両面のほとんど全面に交通 地図が印刷されている。符号3は平面的に描かれた交通網の地図である。符号4 は分解された路線,線区の1本ずつを直線化した地図であって、記号化された諸 情報(接続路線や最寄車両番号など)が付記されている。
【0009】 以上に説明した原理に基づいて、本願の請求項1に係る考案の構成は、表,裏 に印刷された横長のシートから成り、概要的に二つ折された上でさらに三つ折り され、または、二つ折りした上で三つ折りできるようになった公的交通機関の地 図を主体とした案内書であって、 折り畳まれた状態の縦方向の長さ寸法Aが75〜110mmに設定され、 同じく横方向の長さ寸法Bが50〜80mmに設定されるとともに、 折り畳む場合の段違い寸法bが5〜15mmに設定されていて、 広げた状態で、縦方向の長さ寸法A、横方向長さ寸法6B−3bのほぼ長方形 をなすとともに、縦方向の5本の折り目の線によって6個の区画が形成されてい て、 シートの縦の縁と縦方向の折り目の線とに挟まれている左,右両端の区画は、 その片方の横幅寸法がB−bであり、その他方の横幅寸法がB−2bであり、 上記両端の区画の間に挟まれて横方向に並んでいる4個の区画それぞれの横幅 寸法がBであり、 シートの表,裏それぞれ6区画,計12区画の中の少なくとも半分に、「公的 交通機関の路線,線区,もしくは航路を、横方向の複数本の太目の直線状に表示 した交通地図」が印刷されるとともに、該交通地図に始発・停車・終着駅名が付 記されており、 かつ、「横幅寸法Bの区画の上に横幅寸法B−bの区画が折り重ねられたとき 露出する、横幅寸法b×縦長寸法Aの部分」および「横幅寸法B−bの区画の上 に横幅寸法B−2bの区画が折り重ねられたとき露出する、横幅寸法b×縦長寸 法Aの部分」に、前記複数本の路線・線区・航路の目次が印刷されていることを 特徴とする。 以上に説明した請求項1の考案によると、印刷シートが「段違い二つ折り、平 行段違い巻き三つ折り」されているので、折り畳まれた状態で段違い部に表,裏 各面が縦長に、段違い幅だけ露出して「見出し」として有効に利用できる。 その上、開き広げた状態で全体の形状が、縦75〜11mm、横255〜465 mmの比較的小さい1枚の印刷されたシートによって構成されるので製造コストが 低廉である。 しかも、折り畳むと縦75〜110mm、横50〜80mmの名刺サイズないしカ ードサイズの小形となり、名刺入れやカードケースに入れて携行することができ て便利である。 公的交通機関網は複雑に配設されているが、本考案においては、その路線,線 区,もしくは航路が分解され、複数本の太目の線として表現され、それぞれの線 に始発駅名,停車駅名,および終着駅名が付記されているので、利用しようとし ている路線(線区,航路)の概況を単純,明快に理解することができ、このよう にして大都市圏の交通網が小さい折畳みシートの中へ総べて収録されるので実用 的価値が高い。 上記の、分解されて直線化された路線(線区,航路)は一般に10本以上の線 になるが、段違い折りされた段差部を利用して目次が付されており、シートの表 側の面に印刷された複数本の直線状交通地図の線名と、シートの裏側の面に印刷 された複数本の直線状交通地図の線名とが、それぞれ表側の見出しと裏側の見出 しとに区分して表示されているので、所望の路線等の直線状交通地図を迅速,容 易に探し出すことができる。 しかも、上記の見出しは、いわゆる耳形のインデックスではなく、横長のシー トの一部分であって、段違い折りによって露出している縦長の区域(縦長寸法A 、横幅寸法b)であるから、耳形インデックスにおけるがごとく千切れて取れて しまう虞れが無い。上記縦長の露出部の横幅寸法bは5〜15mmであり、縦長寸 法Aは75〜110mmであるから、路線等の数が10以上であっても充分な標示 面積を備えていて、漏れ無く、かつ明瞭に路線名,線区名,もしくは航路名を記 載することができる。
【0010】 請求項2に係る考案の構成は、前記請求項1に係る考案の構成要件に加えて、 前記のシートを開いて平面状に広げた状態で表側から見たとき、 左,右いずれか片方の端からの距離3B−b、他方の端からの距離3B−2b に位置せしめて、縦方向の中央の山折り線(1c)が設定されるとともに、 横幅寸法B−2bの区画と横幅寸法Bの区画とが隣接している箇所に縦方向の 表紙部の山折り線(1d)が設定され、 かつ、横幅寸法B−bの区画と横幅寸法Bの区画とが隣接している箇所に縦方 向の外側の谷折り線(1f)が設定され、 さらに、前記中央山折り線(1c)と表紙山折り線(1d)との中央付近に中 間の山折り線(1e)が設定されるとともに、 前記中央山折り線(1c)と外側谷折り線(1f)との中央部に内側の谷折り 線(1g)が設定されていて、 上記5本の中央山折り線(1c)、表紙山折り線(1d)、外側谷折り線(1 f)、中間山折り線(1e)、および内側谷折り線(1g)それぞれの上,下両 端の少なくとも何れか一端付近に、折り線位置を表すマークが付されていること を特徴とする。 以上に説明した請求項2の考案によると、本考案に係るシートを折り畳む以前 の、印刷された1枚の平面的な(折り目の無い)シート状態で供給しても、使用 者が迅速,容易に、正しく折り畳んで使用することができる。 考案が解決しようとする課題の項で説明したように、本考案に係る公的交通機 関案内書はスーベニアとしての用途も期待されているので、こうした観点から、 折り目の無いシートとして供給し得ることの実用的な意義が大きい。すなわち、 a.生産工場から購入者(この場合、購入者は即贈呈者になる)を経て使用者 の手に渡る流通の過程で、折り目の無い平面状のシートという形態であることは 、包装,輸送,保管が容易であり、特に、贈呈者から使用者に手渡す際の取扱い に便利である。 スーベニアとして用いられる場合、1次購入者である贈呈者は直接的な利潤を 得ないので、生産者に対して徹底的なコストダウンを求めるであろうことは間違 い無いと思われる。こうした観点からは、折り畳みに要する作業コストも無視で きない。折り目無しシートのままであることによる包装費の節減も見落とせない 効果である(名刺サイズに折り畳まれていると、数十個ごとに束ねて包装しなけ ればならないのに比して、平らなシートであれば数百枚単位で包装することがで きる)。 さらに、最終使用者は、「完成度の高い未完成品」を受け取って、説明書きに 従って簡単な加工(折り畳み操作)を施して使用可能な状態まで完成することに 、ちょっとした模型製作に類似した興味を感じることができる。 折り目の無い印刷シートを受け取った使用者が、中央山折り線に沿って二つ折 りにすると、裏面目次を露出させた形に裏面側が包込まれた段違い折りになり、 さらに中間山折り線に沿って、次いで表紙山折り線に沿って折り畳むと、表面目 次を露出させた形に段違い巻き三つ折りされて名刺サイズないしカードサイズに なって、名刺入れ、もしくはカードケースの中へ収納できるようになり、携帯に 史便な状態となる。
【0011】 請求項3に係る考案の構成は、前記請求項1もしくは同2の考案の構成要件に 加えて、前記シートを折り畳んだとき表側となる面の、横幅寸法B−2bの区画 を形成している部分に、その縦方向の縁に沿って横幅寸法約bの表題部(10) が設けられていて、 当該シートに印刷されている直線状の交通地図が主として地下鉄の路線を表し たものである場合は前記の表題部に「地下鉄のりかえ名人」と標示されており、 前記直線状の交通地図が主としてバス路線を表したものである場合は前記の表 題部に「バスのりかえ名人」と標示されており、 前記直線状の交通地図が「地下鉄および/またはバス」以外の、「〇〇〇」の 交通地図である場合は前記の表題部に「〇〇〇のりかえ名人」と標示されている ことを特徴とする。 以上に説明した請求項3の考案によると、折り畳まれたシートに、公的な表題 が表される。しかも、表題を標示するために別段の製造コスト増加を伴うことが 無い。 すなわち、請求項1の構成に従って、横方向の長さ寸法6B−3bのシートを 段違い二つ折り・段違い巻き三つ折りすると、シート表面の「横幅寸法B−2b の区画の縦の縁」が、折られたシートの「中央と横端との間」に現れる。そこで 、本請求項3の構成を適用すると、この目立ち易い箇所に「縦長の、横幅寸法5 〜15mmの表題」が形成されて、意匠的価値が高くなる。 しかも、この表題を何々のりかえ名人とすることによって、本考案に係る公的 交通機関案内書の特性が簡単明瞭に表され、しかも、この語調が利用者大多数に 強くアッピールするものを蔵していて、万人の愛好を得ることができる。その結 果、商品価値を高からしめる。
【0012】 請求項4に係る考案の構成は、前記請求項1ないし請求項3の構成要件に加え て、前記シートを折り畳んだとき表側となる面の「横幅寸法B−2bの区画と、 該区画に隣接している横幅寸法Bの区画」のほぼ全面に、 もしくは上記のほぼ全面から表題部(10)を除いた部分に、 前記複数の直線状交通地図が総合されて、直線状化することなく実体的な平面 図として模式的に描かれた平面交通地図(3)が印刷表示されていることを特徴 とする。 以上に説明した請求項4の考案によると、大都市圏の公的交通機関のネットワ ークを、より容易に理解することができる。 すなわち、請求項1の構成により、分解され直線化された路線を見ることによ って、利用しようとしている路線に関する情報を得ることができ、さらに、実体 的な平面図と見くらべて接続状態を確実に理解することができる。 ここで留意すべきことは、本請求項4を適用して表示する交通網の平面図それ 自体は公知の構成部分であって、従来技術における交通地図の主体をなしていた ものだということである。すなわち、このネットワーク平面図のみによっては、 交通網を即座に理解することが困難であった。 しかしながら本考案においては、請求項1の構成により前記ネットワーク平面 図を各路線に分解し、直線化して表示することによって、容易に理解できるよう に改良した。 上記請求項1による「路線の分解・直線化表示」を前提として、さらに請求項 4は「ネットワーク平面図を、上記分解・直線表示と併用すること」によって、 いっそう容易かつ完全な理解を可能ならしめることができた。 さらに、本請求項4の構成によると、折り畳んだ状態で、表題と目次とを除く 全表面にネットワーク地図が現れるので、その外観で直感的に内容を表現するこ とができ、商品価値が高い。
【0013】 請求項5に係る考案の構成は、前記請求項1ないし請求項4の構成要件に加え て、前記横方向の複数本の太目の直線状の交通地図が、約数字1字分に相当する 縦幅寸法を有していて、 駅名に対応せしめて、始発駅からの所要時間が、上記太目の直線の中に分単位 の数字(4c)で記入されており、および/または、 駅名と駅名との中間の箇所に、前記太目の直線に沿わしめて、両駅間の距離が キロメートル単位の数字(4d)で記入されていることを特徴とする。 以上に説明した請求項5の考案によると、始発駅と停車駅との間の時間的間隔 が簡単明瞭に表示される。 このように、駅名に付記して所要分数を表示するという手法は公知であるが、 本考案においては、小形シートの中に多くの情報を記載しなければならないとい う特殊な条件下にあるので、公知技術のように「駅名に所要時間を付記する」と いう構成をとらず、太目の線を水平に描くとともに、その縦幅を数字の大きさと し、この太目の線の中に所要分数を記入するという構成によって、狭いスペース の中に、所要の分数を明瞭に表示することを可能ならしめた。出来上がってしま ったものを見ると、きわめて容易に想到し得る技術的思想であるかのごとく錯覚 され易いが、名刺サイズないしカードサイズの折畳みシートの中に、交通に関す る所要の全情報を盛り込むという基本的な条件下において、路線を表す水平な太 目の直線の中へ、所要の分を表す数字を無名数として記入するということは、考 案たるに足る進歩性を有する技術的思想の創作である。
【0014】 請求項6に係る考案の構成は、前記請求項1ないし請求項5の考案の構成要件 に加えて、前記複数本の直線状交通地図のそれぞれに列車編成図(5)が付記さ れており、 上記列車編成図は、連結された列車を模式化して描かれた図柄に、車両番号( 5a)と、行先標示(5b)と、列車の進行方向を標示する矢印もしくは三角形 、またはこれらに類似する記号より成る方向表示(5c)によって構成されてい ることを特徴とする。 以上に説明した請求項6の考案によると、各路線ごとの列車編成、特に車両番 号を表示することができる。 交通網を構成している各路線ごとに列車編成図を付することは公知手段である かのごとく錯覚され易いが決してそうではない。大都市圏の公的交通機関、特に 地下鉄においては、路線名に付して列車編成が一義的に1種類であるという特殊 事情に着目して、この条件を生かした創作である。この請求項6の構成の真価は 、これを具体的な従来例と比較することによって自ずから明らかになる。 例えばJR時刻表に付されている「列車の編成ご案内」によって、大阪から北 陸に向かう列車の編成を見ると、日本海1号,4号形とか、日本海3号,2号形 を始めとして、トワイライトエクスプレス形列車編成,サンダーバード何号形列 車編成,雷鳥形,白鳥形,はくたか形,北越形…というように17種類の列車編 成が有って、到底小形シートの中に収録できるものではない。これに比して大都 市圏内の公的交通機関の列車編成は極度に単純、画一的であって、例えば営団地 下鉄・丸ノ内線の池袋発の列車は、荻窪行きでも新宿止まりでも、また早朝であ ろうとラッシュ時であろうと深夜であろうと、全部6両編成であって先頭車両が 1号車である。この故に、本請求項6においては各路線ごとに列車編成図を付記 するという新規な構成をとった。これにより、例えば「何駅で何線に乗り換える には、前から何両目に乗ってゆけば良いか」といった、表題どおりの乗りかえ名 人的な公的交通機関の利用を可能ならしめるための基礎が形成された。
【0015】 請求項7に係る考案の構成は、前記請求項6の考案を実施することを前提とし て、前記直線状交通地図に記入されている駅名に対応せしめて、当該路線・線区 と接続している路線・線区の名称から成る接続線名(6a)と、 上記接続線に乗り換えるための昇降口に最も近い車両番号より成る最寄車両番 号(6b)とが付記されており、 または、前記接続線名(6a)に隣接せしめて「同一ホームから発着するから いずれの車両番号であっても容易に乗り換えできる旨を表す数文字の語句」から 成る同ホーム表示(6c)が付記されていることを特徴とする。 以上に説明した請求項7の考案によると、予定の乗換駅で素早く乗り換えるた めには予め何号車に乗ってゆくべきかが簡単,明瞭に表示されているので便利で あって実用的価値が高い。 こうした価値を理解するには、最近の大都市圏内の乗換駅の規模が著しく巨大 になっていること、および、ラッシュ時の大混雑によってホーム上での移動が容 易でないことを勘考しなければならない。 ホーム上での移動が困難であるから、車両の乗降口から出た時に、目の前に乗 換用エスカレータが有れば非常に便利である。 また、同一プラットホームの対向番線に乗換列車が発着する場合は、ホームの 混雑に拘らず、予め乗ってゆくべき車両番号を特定する必要が無いので、このよ うに同一プラットホーム発着であることを予め知っておくことの実用的価値は多 大である。 本請求項7の構成によると、ターミナル駅の構造が複雑であっても、例えば「 何線に乗り換えるには何号車に、何線に乗り換えるには何号車に乗ってゆけば良 い」というように、必要かつ充分な情報を、比較的狭隘なスペースに収録するこ とができる。
【0016】 請求項8に係る考案の構成は、前記請求項7の考案に係る考案を実施すること を前提とし、該請求項7の構成要件に加えて、前記の接続路線・線区の無い駅名 に対応せしめて、 および/または、前記接続路線名(6a)と併せて、 当該駅で乗降するための改札を表す文字標識から成る改札標示(7a)と、 上記改札に最も近い、1個もしくは複数個の車両番号から成る最寄車両番号( 7b)とが付記されていて、当該駅で下車するために予め乗車すべき車両番号が 表示されていることを特徴とする。 以上に説明した請求項8の考案によると、「車両から降りた時に、目の前に改 札が有り、または改札へ出てゆくための昇降口(階段もしくはエスカレータの) が有るような車両番号」を表示することができ、しかも、比較的小さいシートの 狭隘な余白を利用して明確に表示するに適している。 この改札標示および最寄車両番号は、他の路線との接続が無い駅には必ず付記 されるが、接続路線が有って余白の無い駅には付記を省略することもでき、任意 に決定できる。
【0017】 請求項9に係る考案の構成は、前記請求項1ないし請求項1のうちの何れか一 つの考案の構成要件に加えて、前記直線状交通地図の両端部に当たる始発駅の駅 名に隣接せしめて、 当該駅における始発電車の発車時刻を標示した始発時刻(14)および/また は、 当該駅における最終電車の発車時刻を標示した終電時刻(15)が付記されて いることを特徴とする。 以上に説明した請求項9の考案によると、始発電車と最終電車との発車時刻を 端的に表示することができる。 始発時刻以降であれば、また終電時刻以前であれば、あまり待たずに乗車でき るという大都市圏の公的交通機関の特性を勘案して創作された、非常に実用的な 考案である。
【0018】 請求項10に係る考案の構成は、前記請求項6ないし請求項9のうちの何れか 一つの考案の構成要件に加えて、前記直線状交通地図に記入されている駅名に対 応せしめて、 車両を基準とし、進行方向に向かっている人から見たときの開閉ドアが左,右 いずれであるかを表すドア左右標示(8)が付記されており、 上り列車のドア開閉側と、下り列車のドア開閉側とが異なる場合には、列車の 進行方向を表示する記号(5c,5c′)を添えてドア左右標示(8′,8″) が付記されていることを特徴とする。 以上に説明した請求項10の考案によると、当該カードを所持している乗客は 、下車を予定している駅で、左,右どちら側のドアが開くかを予め知ることがで きる。 この情報の効果は、大都市圏交通のラッシュ時に、車両からでようとしている 人が、ドッと乱入してくる乗車の人波に押し返されて下車不能になる情景を思い 合わせることによって評価できる。 毎日通勤している者は、下車駅の一つ手前の駅で車両の出入口近くに移動して おくのであるが、この場合、開く方のドア(ホーム側のドア)に近づいておかね ばならない。通勤者にとっては生活の知恵であるが、通い慣れていない者にとっ ては「知らねば損」どころではなく「知らなかったら酷い目に遭う虞れ」の有る 貴重な情報である。 本請求項10を実施する場合、ドア左右標示は色わけ標示しておくことが望ま しい。色彩の異なる1文字「左」もしくは「右」が駅名の隣りに印刷されていれ ば、探す時間はほとんど掛からず、瞬時に見出だすことができる。
【0019】 請求項11に係る考案の構成は、前記請求項1ないし請求項10のうちの何れ か一つの考案の構成要件に加えて、前記の太目の直線状に表示された路線もしく は線区に近接せしめて、沿線の著名な建造物,天然記念物,施設,遺跡,社寺, もしくは、これらに類似する著名な観光対象のイラスト(9)が付記されている ことを特徴とする。 以上に説明した請求項11の考案によると、極度に単純化して表現されている 路線,線区を、使用者の意識の中で現実の沿線の情景と結びつけるという、本請 求項特有の効果を奏する。 一般の、すなわち平面投影図形に類似した観光地図に、例えば東京タワーや靖 国神社などのイラストを付記することは公知,慣用の手法に過ぎない。 しかし、本考案においては交通網が分解されて複数本の直線に単純化されてい る。本考案は、この分解・直線化によって幾多の効果を得たのであるが、その反 面においては、模式化された路線が、実体の情景から遊離する、といった不具合 を招き易い。そこで本請求項11は、著名な情景のイラストを「直線状化された 路線」に添えることによって、この直線状化路線のイメージを実体の情景に近づ け、かつ、無味乾燥な交通地図に意匠的な情趣を加味して、その商品価値を向上 せしめることができる。
【0020】
【考案の実施の形態】
図2は、本考案に係る公的交通機関案内書を構成している印刷シートの寸法と 折り方とを示し、(A)は段違い二つ折りした状態の斜視図であり、(B)は上 記に引き続いて段違い巻き三つ折りしている初期の状態の斜視図であり、(C) は同じく段違い巻き三つ折りしている末期の状態の斜視図であって、これらが総 合されて折畳み工程図を形成している。 本考案に係る案内図は、基本的に、表裏とも印刷された横長のシートである。 ただし、本考案において「縦」,「横」の語は、構造を説明するための手段であ って、「縦」と「横」とを置換しても、「左」と「右」とを入れ替えても同様の 効果を奏し、本考案の技術的範囲に属する。 上記のシートとは、基本的には厚紙であるが、合成樹脂コーティングされてい ても良く、また、合成樹脂シートであっても良い。 本考案に係るシートの寸法は、折り畳まれた状態が名刺サイズ、ないしカード サイズとなるように設定される。具体的には(図2(C)参照)、縦の長さ寸法 Aを75〜110mmに設定するとともに、横の幅寸法Bを50〜80mmに設定さ れる。そして、折り畳まずに開いて広げたときの縦長寸法は前記の寸法Aであり 、横長の横幅寸法は前記の寸法Bの6倍よりも若干小さい。詳しくは、6B−3 bである。この寸法bは後に説明するように、折り畳んだときに段差になって露 出し、目次として利用される部分の横幅寸法であって、5〜15mmに設定される 。 図2(A)に示されているように、印刷シートのほぼ中央で二つ折りにして、 折り目と反対側の端(本例において左端の端)に、(A)図の左下隅に寸法線を 付して示したbの段差が出来るように折り畳む。この二つ折り作業は、(A)図 の右上端と右下端とに現れている折り目標示マーク2c′,2c″を目安にして 折れば前記の段差bが生じるようになっている。
【0021】 図3は、前掲の図2に示した公的交通機関案内書を折り畳む以前の状態を示し 、折り畳んだ時に折り目となる位置、および該位置の寸法関係を付記した、表面 側の平面図である。 本考案において表面側とは「折り畳んだときに表面に出る部分」を含む側をい い、その反対側を裏面側という。 図4は、前掲の図3に表側面を示した公的交通機関案内書の裏側を示し、5本 の折り目の線によって区分された6つの区画、および、これらの寸法関係を付記 した平面図である。 図3に表されているように、横幅の全長は6B−3bであり、その片側の端( 本例では右端)からの距離3B−bに位置せしめて、中央山折り線1cを設定し 、この折り目の線の上,下両端を(少なくとも、その片方の端を)折り目標示マ ーク2c′,2c″で標示する。この中央山折り線1cは、必然的に他端(本例 では左端)からの距離3B−2bに位置することになる。この例から明らかなよ うに、中央山折り線とは「中央付近に設けた山折り線」の意であって、幾何学的 に厳密な意味での「中央」に位置するものではない。また、山折りとは、このマ ークが付されている側(すなわち表側)を凸にして(必然的に、裏側を凹ならし めて)折り畳むことを表している。 前記の中央山折り線1cは、設計段階で心に描いているだけであって、その上 ,下端に折り目標示マーク2c′,2c″を設けるが、「線」そのものは印刷し ない。折り畳んでしまった後は無用だからである。 前記中央山折り線1cから、「距離3B−bの端」と反対側に、距離Bを隔て て中間山折り線1eを、さらに距離Bを隔てて表示山折り線1dを設定して、そ れぞれ折り目標示マーク2b′,2b″および折り目標示マーク2a′,2a″ を設ける。 (図2(B)と図3とを併せて参照)折り目標示マーク2c′,2c″を目印 として、表側面の中央山折り線1cを山折りにすると、図2(A)の状態になり 、さらに中間山折り線1eを山折りにすると図2(B)の状態になる。 上述のごとく、二つ折りされた状態で中間山折り線1eを山折りにすると、内 側谷折り線1gが自動的に谷折りされる。 そして、表紙山折り線1dを山折りにすると図2(C)の状態になり、これに 伴って外側谷折り線1fが自動的に谷折りされる。従って、上述のごとく自動的 に谷折りされる折り目の線1g,1fには、折り目標示マークを付する必要が無 い。 上述のごとく折り畳むことによって、横長の長方形の印刷シートは、図3,図 4に示すように、横幅寸法約Bの、6個の区画が形成される。説明の便宜上、図 示のごとく、その表側の区画を表一面〜表六面と名付け、それぞれの裏側の区画 を裏一面〜裏六面と名付ける。 上述の構成から明らかなように、折り畳んで区画された部分の横幅寸法Bには 、重ね折りにおける紙の厚さに起因する寸法誤差が生じる。従って、本考案にお ける横方向の寸法の呼称および表記は紙厚寸法誤差を含んでいる。すなわち、こ の寸法を故意に数ミリメートル狂わせても本考案の技術的範囲を回避することは できない。
【0022】 図3に示すごとく、表側面の表一面の大部分と表二面とに、実体的に交通網を 描いた平面交通地図3を印刷してある。実体的交通網とは、路線を分解していな いことを言い、模式化したり変形したりすることを妨げない。 図1は、本考案に係る公的交通機関案内書の1実施形態を示し、半ば折り畳ま れた状態の斜視図である。 先に述べたように表一面と表二面とに平面交通地図3を印刷しておくと、折り 畳んだときの表紙と裏表紙に相当する箇所に、一般に用いられている交通網の地 図が現れ、一見して内容を推察させる。 図3に示したように、表一面の縁の部分に、横幅約bの表題部を設けると、折 り畳んだとき(図1参照)この表題部が表面の要所に現れて、表題としての役割 を果たす。 また、図1に示すように、表三面の左端に、中間山折り線1eに沿った横幅寸 法bの表面目次12を設けるとともに、図4に示すように裏六面の縁に沿った横 幅寸法bの裏面目次11を設けると、この印刷シートを折り畳んだとき(図1参 照)先に述べた「段違い二つ折り・段違い巻き三つ折り」との協働効果として、 これら表,裏の目次12,11と、前記表題部10とが、折り畳まれた表面の左 端に並び、使用に便なる上に意匠的価値を高め、その結果として商品価値を高か らしめる。
【0023】 図3,図4に示すごとく、印刷シートの表,裏の大部分には、「前記平面交通 地図3を構成している多数の路線のそれぞれを分解して多数の単線(網でない意 )とし、それぞれの路線を水平方向の太目の直線状に表現してある。 本考案において「太目の直線状」の意味は次のとおりである。すなわち、 幾何学的に線と言えば2点間を結ぶ最短の、幅寸法がゼロの経路であるが、 本考案において太目の直線状とは、幅寸法を有する真直な棒、すなわち、横方 向寸法が縦方向寸法に比して著しく大きい(約数十倍ないし数百倍)の長方形、 つまりベルトである。ただし、例外的に折れ曲ったり、環状をなすことを妨げず 、L字状でも、コの字状でも、ロの字状でも良い。本例においては印刷シートの 表側1a(図3)に4本の直線化した鉄道地図4が、同じく裏側1b(図4)に 8本の直線化した鉄道地図4が配設されている。 図3に示した表側には、余白13が形成されている。このような余白は、路線 の長短の差によって生じてしまう場合も有り、また、意匠的に形成することも可 能である。こうした余白は、凡例の記載に利用して当該公的交通機関案内書を使 い易くすることもでき、また広告の掲載に利用して当該公的交通機関案内書の経 済性を向上せしめることもできる。
【0024】 図5は、前掲の図4に示された印刷シート・裏側のうち、左下隅に描かれてい る地下鉄日比谷線の「直線化した鉄道地図の中目黒近傍、および該日比谷線の列 車編成図の拡大図である。 図5の左端に、符号4aを付して示したのは当該日比谷線の線名表示である。 そして、直線化した鉄道地図4(注・図4ではなくて、鉄道地図4である)に沿 わしめて駅名4bが記載されている。本図5には中目黒から霞ヶ関までの6個の 駅名が現れている。これらの駅名のうち、隣接する2駅間の距離4dが無名数と して表されている。例えば符号4dを付した駅間距離は「1.3」と印刷されて いる。これを「1.3km」または「1.3キロメートル」と表記しても構わない が、印刷シート全体をコンパクトに構成するためには駅間距離の表示を簡単にせ ざるを得ないこと、および、単に数字のみを記載しておけば大多数の利用者は駅 間距離のキロ数であると推察し得ることを勘案して、本実施形態では無名数で表 示した。 上述のごとく駅間距離・キロ数4dを記入するため、直線化された鉄道地図の 太さ寸法は、数字の大きさとほぼ同じ(僅かに大きめ)に設定しておくことが望 ましい。 符号4cを付して示したのは、始発駅(中目黒)からの運行所要時間を分単位 で表した所要分数である。前述の駅間距離におけると同様の理由で、この所要分 数4cも無名数で表記した。「分」もしくは「min」などと単位数を書き添え ることを妨げないが、当該実施例の直線化鉄道地図4を見たとき、各駅ごとに付 されている数値(所要分数4c)が、端の方から0,2,5,8,11,13と いうように、ほぼ2か3ずつ増えていることを見れば、これが所要分数を表して いることは容易に察することができる。なお、本考案を実施する場合、前述した 余白13(図3)に凡例を記載して、その中で、先に説明した駅間距離や所要分 数、並びに、以下に説明する各種の記号や表示の意味を解説しても良い(しなく ても良い)。 符号8を付して示したのは、各駅ごとに開閉されるドアが右側であるか左側で あるかを表したドア左右標示である。左,右の呼称は、慣例に従って、進行方向 に向かっての左,右で表す。乗客が「下車しようと予定している駅におけるドア の開く側」を予め知っておくことは、混雑の甚だしい場合に有益であり、特に、 婦女子や老人が人波に押されて降り損うことを防止することができ、間接的には 押し倒されて負傷することを防止する効果も期待できる。
【0025】 図5の上半部に符号5を付して示したのは列車編成図であって、大都市圏の交 通網(特に地下鉄)においては、路線ごとに列車編成が一定(時刻,季節によっ て変わらない)であることに着目した創作である。(1路線に対して1列車編成 図を対応せしめて付記した従来例は見たことがない)。 列車編成図5は、複数の車両が連結された状態を簡略化した図形に、列車番号 5aを記入するとともに、行先標示5bを付記し、かつ、矢印もしくは三角形な どの記号からなる方向表示5cを添えてある。この方向表示は、以下に説明する 改札の案内そのほかにも利用される。 本実施形態においては、先に図3に示した4本の路線を表す直線4や、図4に 示した8本の路線を表す直線4のそれぞれを、色わけ表示している。何線を何色 にするかについては既に慣例が定着しており、例えば丸ノ内線は赤色、銀座線は 黄色というように周知されているから、これに従えば良い。 図5の右端近くに描かれている駅名「霞ヶ関」に対応せしめて、文字「千」, 「丸」と表記されているのは接続線名6a″であって、これらの文字の左側に輪 形が添えられているのは上述した路線の色別表示である。 これらの接続線名6a″に隣接せしめて記されている最寄車両番号6bてあっ て、接続線名の「千」に最寄車両番号として「1」が記されているのは「日比谷 線の霞ヶ関で千代田線(略号・千)に乗り換えるには、1号車に乗ってゆくと好 都合」である旨を教えている。すなわち、1号車から降り立てば、すぐ目の前に 千代田線に乗り換えるためのエスカレータが待っているが、8号車から降り立て ば、プラットホームの端から端まで歩かねばならないことが、「千1」の2字で 表されている。
【0026】 接続路線の無い駅(本図5の例では広尾・六本木・神谷町)には、改札標示7 a(改札の2文字)に添えて最寄車両番号7bが記されている。 例えば中目黒駅の接続線名6aに記されている「東横」は、私鉄東横線を意味 している。この駅では、同じプラットホームの対向番線に地下鉄日比谷線の列車 と東横線の列車とが発着しているので、何号車に乗っていって降りても直ちに乗 り替えることができる。この事情を、同ホーム表示6cは、4文字「同ホーム」 で表示している。 符号14は始発時刻であって、地下鉄日比谷線の中目黒駅始発時刻が午前5時 であることを表している。また、符号15は終電時刻であって、同線の同駅終電 車の発車時刻が23時52分であることを表示している。これらの数字について も、常識的に容易に推察,理解できるから「時」,「分」の文字を省略した無名 数である。
【0027】 本図5において神谷町の駅名付近に描いた著名物イラスト9は、東京タワーを 表している。1本の太目の直線に簡略化されている路線(本例では日比谷線)が 、このイラストによって現実の地上風景と結びつけて理解される。このような効 果は、特に地下鉄の場合、地上の風景が見えない状態で走行しているために実用 的な価値が高い。 図6は、前掲の図5と同様に、丸ノ内線の始発・終着駅である荻窪駅付近を描 いた拡大図である。 荻窪駅のドア左右標示8は、文字「右」と「左」とが併記されている。この駅 はドアの開閉する側が不定であるからこのように表記してある。ただし、終着駅 であるから「人波に押し返されて下車できなくなる」といった虞れが無いので、 このような表記であっても別段の不具合は生じない。 南阿佐ヶ谷駅、および新高円寺駅においては、改札口に対する最寄車両番号が 上り列車か下り列車かによって異なる。このため、最寄車両番号7b,7b′に 、列車編成図5の方向表示5c,5c′と同じマークを付して、列車進行方向と 最寄車両番号との関係を表してある。
【0028】 図7は、前掲の図5,図6と同様に、銀座線を直線化した鉄道地図の赤坂見附 駅付近の拡大図である。 赤坂見附駅および新橋駅では、ドアの開閉する側が列車進行方向によって異な るので、方向表示5c,5c′を付記して、ドア左右標示8′,8″が記載され ている。 赤坂見附駅における丸ノ内線との接続は、同ホーム標示6c′と最寄車両番号 6b′とが、注意書きを添えて併記されている。この箇所が表している意味は次 のとおりである。 まず、渋は渋谷行の、荻は荻窪行の、浅は浅草行の、池は池袋行の、それぞれ 略号である。 渋谷行から荻窪行に乗り替えるとき、および、浅草行から池袋行に乗り替える ときは同ホーム発着であるから、いずれの車両番号に乗っていても良い。 渋谷行から池袋行に乗り替える予定のとき、および、浅草行から荻窪行に乗り 替える予定のときは、予め1号車で乗ってゆくと良い。 なお、この赤坂見附駅で有楽町線(略号・有)に乗り替えるとき、および、半 蔵門線(略号・半)に乗り替えるときは、予め1号車に乗ってゆくべきことも併 せて表記されている。 本図7の実施形態においては、狭隘なスペースに記入する場合の優先順位とし て、接続線名およびその最寄車両番号を上位とし、改札標示7aを下位としてあ る。すなわち、接続線名を優先的に記入した上で、余裕の有る場合に改札標示を 記入してある。その結果、乗換駅には改札標示が省略されている。 本考案を実施する場合、必ずしも本実施形態に倣わなくても良いが、改札口は いつでも通れるのに比して、列車乗替は乗り遅れたら次の列車を待たねばならな いので、接続線名とその最寄車両番号の方が、改札標示とその最寄車両番号より も重要である。 ひとつの駅について、接続線名と改札標示との両方を記入しても構わないが、 あまり裕りの無い表記をして、見にくくなることのないように留意することが望 ましい。
【0029】
【考案の効果】
以上に本考案の実施形態を挙げてその構成・機能を明らかならしめたように、 請求項1の考案によると、印刷シートが「段違い二つ折り、平行段違い巻き三つ 折り」されているので、折り畳まれた状態で段違い部に表,裏各面が縦長に、段 違い幅だけ露出して「見出し」として有効に利用できる。 その上、開き広げた状態で全体の形状が、縦75〜11mm、横255〜465 mmの比較的小さい1枚の印刷されたシートによって構成されるので製造コストが 低廉である。 しかも、折り畳むと縦75〜110mm、横50〜80mmの名刺サイズないしカ ードサイズの小形となり、名刺入れやカードケースに入れて携行することができ て便利である。 公的交通機関網は複雑に配設されているが、本考案においては、その路線,線 区,もしくは航路が分解され、複数本の太目の線として表現され、それぞれの線 に始発駅名,停車駅名,および終着駅名が付記されているので、利用しようとし ている路線(線区,航路)の概況を単純,明快に理解することができ、このよう にして大都市圏の交通網が小さい折畳みシートの中へ総べて収録されるので実用 的価値が高い。 上記の、分解されて直線化された路線(線区,航路)は一般に10本以上の線 になるが、段違い折りされた段差部を利用して目次が付されており、シートの表 側の面に印刷された複数本の直線状交通地図の線名と、シートの裏側の面に印刷 された複数本の直線状交通地図の線名とが、それぞれ表側の見出しと裏側の見出 しとに区分して表示されているので、所望の路線等の直線状交通地図を迅速,容 易に探し出すことができる。 しかも、上記の見出しは、いわゆる耳形のインデックスではなく、横長のシー トの一部分であって、段違い折りによって露出している縦長の区域(縦長寸法A 、横幅寸法b)であるから、耳形インデックスにおけるがごとく千切れて取れて しまう虞れが無い。上記縦長の露出部の横幅寸法bは5〜15mmであり、縦長寸 法Aは75〜110mmであるから、路線等の数が10以上であっても充分な標示 面積を備えていて、漏れ無く、かつ明瞭に路線名,線区名,もしくは航路名を記 載することができる。
【0030】 請求項2の考案によると、本考案に係るシートを折り畳む以前の、印刷された 1枚の平面的な(折り目の無い)シート状態で供給しても、使用者が迅速,容易 に、正しく折り畳んで使用することができる。 考案が解決しようとする課題の項で説明したように、本考案に係る公的交通機 関案内書はスーベニアとしての用途も期待されているので、こうした観点から、 折り目の無いシートとして供給し得ることの実用的な意義が大きい。すなわち、 a.生産工場から購入者(この場合、購入者は即贈呈者になる)を経て使用者 の手に渡る流通の過程で、折り目の無い平面状のシートという形態であることは 、包装,輸送,保管が容易であり、特に、贈呈者から使用者に手渡す際の取扱い に便利である。 スーベニアとして用いられる場合、1次購入者である贈呈者は直接的な利潤を 得ないので、生産者に対して徹底的なコストダウンを求めるであろうことは間違 い無いと思われる。こうした観点からは、折り畳みに要する作業コストも無視で きない。折り目無しシートのままであることによる包装費の節減も見落とせない 効果である(名刺サイズに折り畳まれていると、数十個ごとに束ねて包装しなけ ればならないのに比して、平らなシートであれば数百枚単位で包装することがで きる)。 さらに、最終使用者は、「完成度の高い未完成品」を受け取って、説明書きに 従って簡単な加工(折り畳み操作)を施して使用可能な状態まで完成することに 、ちょっとした模型製作に類似した興味を感じることができる。 折り目の無い印刷シートを受け取った使用者が、中央山折り線に沿って二つ折 りにすると、裏面目次を露出させた形に裏面側が包込まれた段違い折りになり、 さらに中間山折り線に沿って、次いで表紙山折り線に沿って折り畳むと、表面目 次を露出させた形に段違い巻き三つ折りされて名刺サイズないしカードサイズに なって、名刺入れ、もしくはカードケースの中へ収納できるようになり、携帯に 史便な状態となる。
【0031】 請求項3の考案によると、折り畳まれたシートに、公的な表題が表される。し かも、表題を標示するために別段の製造コスト増加を伴うことが無い。 すなわち、請求項1の構成に従って、横方向の長さ寸法6B−3bのシートを 段違い二つ折り・段違い巻き三つ折りすると、シート表面の「横幅寸法B−2b の区画の縦の縁」が、折られたシートの「中央と横端との間」に現れる。そこで 、本請求項3の構成を適用すると、この目立ち易い箇所に「縦長の、横幅寸法5 〜15mmの表題」が形成されて、意匠的価値が高くなる。 しかも、この表題を何々のりかえ名人とすることによって、本考案に係る公的 交通機関案内書の特性が簡単明瞭に表され、しかも、この語調が利用者大多数に 強くアッピールするものを蔵していて、万人の愛好を得ることができる。その結 果、商品価値を高からしめる。
【0032】 請求項4の考案によると、大都市圏の公的交通機関のネットワークを、より容 易に理解することができる。 すなわち、請求項1の構成により、分解され直線化された路線を見ることによ って、利用しようとしている路線に関する情報を得ることができ、さらに、実体 的な平面図と見くらべて接続状態を確実に理解することができる。 ここで留意すべきことは、本請求項4を適用して表示する交通網の平面図それ 自体は公知の構成部分であって、従来技術における交通地図の主体をなしていた ものだということである。すなわち、このネットワーク平面図のみによっては、 交通網を即座に理解することが困難であった。 しかしながら本考案においては、請求項1の構成により前記ネットワーク平面 図を各路線に分解し、直線化して表示することによって、容易に理解できるよう に改良した。 上記請求項1による「路線の分解・直線化表示」を前提として、さらに請求項 4は「ネットワーク平面図を、上記分解・直線表示と併用すること」によって、 いっそう容易かつ完全な理解を可能ならしめることができた。 さらに、本請求項4の構成によると、折り畳んだ状態で、表題と目次とを除く 全表面にネットワーク地図が現れるので、その外観で直感的に内容を表現するこ とができ、商品価値が高い。
【0033】 請求項5の考案によると、始発駅と停車駅との間の時間的間隔が簡単明瞭に表 示される。 このように、駅名に付記して所要分数を表示するという手法は公知であるが、 本考案においては、小形シートの中に多くの情報を記載しなければならないとい う特殊な条件下にあるので、公知技術のように「駅名に所要時間を付記する」と いう構成をとらず、太目の線を水平に描くとともに、その縦幅を数字の大きさと し、この太目の線の中に所要分数を記入するという構成によって、狭いスペース の中に、所要の分数を明瞭に表示することを可能ならしめた。出来上がってしま ったものを見ると、きわめて容易に想到し得る技術的思想であるかのごとく錯覚 され易いが、名刺サイズないしカードサイズの折畳みシートの中に、交通に関す る所要の全情報を盛り込むという基本的な条件下において、路線を表す水平な太 目の直線の中へ、所要の分を表す数字を無名数として記入するということは、考 案たるに足る進歩性を有する技術的思想の創作である。
【0034】 請求項6の考案によると、各路線ごとの列車編成、特に車両番号を表示するこ とができる。 交通網を構成している各路線ごとに列車編成図を付することは公知手段である かのごとく錯覚され易いが決してそうではない。大都市圏の公的交通機関、特に 地下鉄においては、路線名に付して列車編成が一義的に1種類であるという特殊 事情に着目して、この条件を生かした創作である。この請求項6の構成の真価は 、これを具体的な従来例と比較することによって自ずから明らかになる。 例えばJR時刻表に付されている「列車の編成ご案内」によって、大阪から北 陸に向かう列車の編成を見ると、日本海1号,4号形とか、日本海3号,2号形 を始めとして、トワイライトエクスプレス形列車編成,サンダーバード何号形列 車編成,雷鳥形,白鳥形,はくたか形,北越形…というように17種類の列車編 成が有って、到底小形シートの中に収録できるものではない。これに比して大都 市圏内の公的交通機関の列車編成は極度に単純、画一的であって、例えば営団地 下鉄・丸ノ内線の池袋発の列車は、荻窪行きでも新宿止まりでも、また早朝であ ろうとラッシュ時であろうと深夜であろうと、全部6両編成であって先頭車両が 1号車である。この故に、本請求項6においては各路線ごとに列車編成図を付記 するという新規な構成をとった。これにより、例えば「何駅で何線に乗り換える には、前から何両目に乗ってゆけば良いか」といった、表題どおりの乗りかえ名 人的な公的交通機関の利用を可能ならしめるための基礎が形成された。
【0035】 請求項7の考案によると、予定の乗換駅で素早く乗り換えるためには予め何号 車に乗ってゆくべきかが簡単,明瞭に表示されているので便利であって実用的価 値が高い。 こうした価値を理解するには、最近の大都市圏内の乗換駅の規模が著しく巨大 になっていること、および、ラッシュ時の大混雑によってホーム上での移動が容 易でないことを勘考しなければならない。 ホーム上での移動が困難であるから、車両の乗降口から出た時に、目の前に乗 換用エスカレータが有れば非常に便利である。 また、同一プラットホームの対向番線に乗換列車が発着する場合は、ホームの 混雑に拘らず、予め乗ってゆくべき車両番号を特定する必要が無いので、このよ うに同一プラットホーム発着であることを予め知っておくことの実用的価値は多 大である。 本請求項7の構成によると、ターミナル駅の構造が複雑であっても、例えば「 何線に乗り換えるには何号車に、何線に乗り換えるには何号車に乗ってゆけば良 い」というように、必要かつ充分な情報を、比較的狭隘なスペースに収録するこ とができる。
【0036】 請求項8の考案によると、「車両から降りた時に、目の前に改札が有り、また は改札へ出てゆくための昇降口(階段もしくはエスカレータの)が有るような車 両番号」を表示することができ、しかも、比較的小さいシートの狭隘な余白を利 用して明確に表示するに適している。 この改札標示および最寄車両番号は、他の路線との接続が無い駅には必ず付記 されるが、接続路線が有って余白の無い駅には付記を省略することもでき、任意 に決定できる。
【0037】 請求項9の考案によると、始発電車と最終電車との発車時刻を端的に表示する ことができる。 始発時刻以降であれば、また終電時刻以前であれば、あまり待たずに乗車でき るという大都市圏の公的交通機関の特性を勘案して創作された、非常に実用的な 考案である。
【0038】 請求項10の考案によると、当該カードを所持している乗客は、下車を予定し ている駅で、左,右どちら側のドアが開くかを予め知ることができる。 この情報の効果は、大都市圏交通のラッシュ時に、車両からでようとしている 人が、ドッと乱入してくる乗車の人波に押し返されて下車不能になる情景を思い 合わせることによって評価できる。 毎日通勤している者は、下車駅の一つ手前の駅で車両の出入口近くに移動して おくのであるが、この場合、開く方のドア(ホーム側のドア)に近づいておかね ばならない。通勤者にとっては生活の知恵であるが、通い慣れていない者にとっ ては「知らねば損」どころではなく「知らなかったら酷い目に遭う虞れ」の有る 貴重な情報である。 本請求項10を実施する場合、ドア左右標示は色わけ標示しておくことが望ま しい。色彩の異なる1文字「左」もしくは「右」が駅名の隣りに印刷されていれ ば、探す時間はほとんど掛からず、瞬時に見出だすことができる。
【0039】 請求項11の考案によると、極度に単純化して表現されている路線,線区を、 使用者の意識の中で現実の沿線の情景と結びつけるという、本請求項特有の効果 を奏する。 一般の、すなわち平面投影図形に類似した観光地図に、例えば東京タワーや靖 国神社などのイラストを付記することは公知,慣用の手法に過ぎない。 しかし、本考案においては交通網が分解されて複数本の直線に単純化されてい る。本考案は、この分解・直線化によって幾多の効果を得たのであるが、その反 面においては、模式化された路線が、実体の情景から遊離する、といった不具合 を招き易い。そこで本請求項11は、著名な情景のイラストを「直線状化された 路線」に添えることによって、この直線状化路線のイメージを実体の情景に近づ け、かつ、無味乾燥な交通地図に意匠的な情趣を加味して、その商品価値を向上 せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る公的交通機関案内書の1実施形態
を示し、半ば折り畳まれた状態の斜視図である。
【図2】本考案に係る公的交通機関案内書を構成してい
る印刷シートの寸法と折り方とを示し、(A)は段違い
二つ折りした状態の斜視図であり、(B)は上記に引き
続いて段違い巻き三つ折りしている初期の状態の斜視図
であり、(C)は同じく段違い巻き三つ折りしている末
期の状態の斜視図であって、これらが総合されて折畳み
工程図を形成している。
【図3】前掲の図2に示した公的交通機関案内書を折り
畳む以前の状態を示し、折り畳んだ時に折り目となる位
置、および該位置の寸法関係を付記した、表面側の平面
図である。
【図4】前掲の図3に表側面を示した公的交通機関案内
書の裏側を示し、5本の折り目の線によって区分された
6つの区画、および、これらの寸法関係を付記した平面
図である。
【図5】前掲の図4に示された印刷シート・裏側のう
ち、左下隅に描かれている地下鉄日比谷線の「直線化し
た鉄道地図の中目黒近傍、および該日比谷線の列車編成
図の拡大図である。
【図6】前掲の図5と同様に、丸ノ内線の始発・終着駅
である荻窪駅付近を描いた拡大図である。
【図7】前掲の図5,図6と同様に、銀座線を直線化し
た鉄道地図の赤坂見附駅付近の拡大図である。
【符号の説明】
1…表,裏両面に印刷された横長の印刷シート、1a…
印刷シート・表、1b…印刷シート・裏、1c…設計上
の中央山折り線、1d…同じく表紙山折り線、1e…同
じく中間山折り線、1f…同じく外側谷折り線、1g…
同じく内側谷折り線、2a…山折り線、2a′,2a″
…折り目標示マーク、2b…山折り線、2b′,2b″
…折り目標示マーク、2c′,2c″…中央山折り線の
折り目標示マーク、3…平面交通地図、4…平面交通地
図を路線ごとに分解して直線化した鉄道地図、4a…線
名表示、4b…駅名、4c…始発駅からの所要分数、4
d…駅間距離・キロメートル数、5…列車編成図、5a
…車両番号、5b…行先標示、6a…接続線名、6b…
最寄車両番号、7a…改札標示、7b…最寄車両番号、
8…ドア左右標示、9…著名物イラスト、10…表題
部、11…裏面目次、12…表面目次、13…凡例もし
くは広告を掲載するに利用可能な余白、14…始発時
刻、15…終電時刻、A…シートを折り畳んだときの縦
長寸法、B…シートを折り畳んだときの横幅寸法、b…
シートを段違い折りする場合の段差寸法(目次の幅寸法
に相当)。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年8月26日(1999.8.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】

Claims (11)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表,裏に印刷された横長のシートから成
    り、概要的に二つ折された上でさらに三つ折りされ、ま
    たは、二つ折りした上で三つ折りできるようになった公
    的交通機関の地図を主体とした案内書であって、 折り畳まれた状態の縦方向の長さ寸法Aが75〜110
    mmに設定され、 同じく横方向の長さ寸法Bが50〜80mmに設定される
    とともに、 折り畳む場合の段違い寸法bが5〜15mmに設定されて
    いて、 広げた状態で、縦方向の長さ寸法A、横方向長さ寸法6
    B−3bのほぼ長方形をなすとともに、縦方向の5本の
    折り目の線によって6個の区画が形成されていて、 シートの縦の縁と縦方向の折り目の線とに挟まれている
    左,右両端の区画は、 その片方の横幅寸法がB−bであり、その他方の横幅寸
    法がB−2bであり、 上記両端の区画の間に挟まれて横方向に並んでいる4個
    の区画それぞれの横幅寸法がBであり、 シートの表,裏それぞれ6区画,計12区画の中の少な
    くとも半分に、「公的交通機関の路線,線区,もしくは
    航路を、横方向の複数本の太目の直線状に表示した交通
    地図」が印刷されるとともに、該交通地図に始発・停車
    ・終着駅名が付記されており、 かつ、「横幅寸法Bの区画の上に横幅寸法B−bの区画
    が折り重ねられたとき露出する、横幅寸法b×縦長寸法
    Aの部分」および「横幅寸法B−bの区画の上に横幅寸
    法B−2bの区画が折り重ねられたとき露出する、横幅
    寸法b×縦長寸法Aの部分」に、前記複数本の路線・線
    区・航路の目次が印刷されていることを特徴とする、公
    的交通機関案内書。
  2. 【請求項2】 前記のシートを開いて平面状に広げた状
    態で表側から見たとき、 左,右いずれか片方の端からの距離3B−b、他方の端
    からの距離3B−2bに位置せしめて、縦方向の中央の
    山折り線(1c)が設定されるとともに、 横幅寸法B−2bの区画と横幅寸法Bの区画とが隣接し
    ている箇所に縦方向の表紙部の山折り線(1d)が設定
    され、 かつ、横幅寸法B−bの区画と横幅寸法Bの区画とが隣
    接している箇所に縦方向の外側の谷折り線(1f)が設
    定され、 さらに、前記中央山折り線(1c)と表紙山折り線(1
    d)との中央付近に中間の山折り線(1e)が設定され
    るとともに、 前記中央山折り線(1c)と外側谷折り線(1f)との
    中央部に内側の谷折り線(1g)が設定されていて、 上記5本の中央山折り線(1c)、表紙山折り線(1
    d)、外側谷折り線(1f)、中間山折り線(1e)、
    および内側谷折り線(1g)それぞれの上,下両端の少
    なくとも何れか一端付近に、折り線位置を表すマークが
    付されていることを特徴とする、請求項1に記載した公
    的交通機関案内書。
  3. 【請求項3】 前記シートを折り畳んだとき表側となる
    面の、横幅寸法B−2bの区画を形成している部分に、
    その縦方向の縁に沿って横幅寸法約bの表題部(10)
    が設けられていて、 当該シートに印刷されている直線状の交通地図が主とし
    て地下鉄の路線を表したものである場合は前記の表題部
    に「地下鉄のりかえ名人」と表示されており、 前記直線状の交通地図が主としてバス路線を表したもの
    である場合は前記の表題部に「バスのりかえ名人」と標
    示されており、 前記直線状の交通地図が「地下鉄および/またはバス」
    以外の、「〇〇〇」の交通地図である場合は前記の表題
    部に「〇〇〇のりかえ名人」と標示されていることを特
    徴とする、請求項1もしくは請求項2に記載した公的交
    通機関案内書。
  4. 【請求項4】 前記シートを折り畳んだとき表側となる
    面の「横幅寸法B−2bの区画と、該区画に隣接してい
    る横幅寸法Bの区画」のほぼ全面に、 もしくは上記のほぼ全面から表題部(10)を除いた部
    分に、 前記複数の直線状交通地図が総合されて、直線状化する
    ことなく実体的な平面図として模式的に描かれた平面交
    通地図(3)が印刷表示されていることを特徴とする、
    請求項1ないし請求項3のうちの何れか一つに記載した
    公的交通機関案内書。
  5. 【請求項5】 前記横方向の複数本の太目の直線状の交
    通地図が、約数字1文字分に相当する縦幅寸法を有して
    いて、 駅名に対応せしめて、始発駅からの所要時間が、上記太
    目の直線の中に分単位の数字(4c)で記入されてお
    り、および/または、 駅名と駅名との中間の箇所に、前記太目の直線に沿わし
    めて、両駅間の距離がキロメートル単位の数字(4d)
    で記入されていることを特徴とする、請求項1ないし請
    求項4のうちの何れか一つに記載した公的交通機関案内
    書。
  6. 【請求項6】 前記複数本の直線状交通地図のそれぞれ
    に車両編成図(5)が付記されており、 上記列車編成図は、連結された列車を模式化して描かれ
    た図柄に、車両番号(5a)と、行先標示(5b)と、
    列車の進行方向を標示する矢印もしくは三角形、または
    これらに類似する記号より成る方向表示(5c)によっ
    て構成されていることを特徴とする、請求項1ないし請
    求項5のうちの何れか一つに記載した公的交通機関案内
    書。
  7. 【請求項7】 前記直線状交通地図に記入されている駅
    名に対応せしめて、当該路線・線区と接続している路線
    ・線区の名称から成る接続線名(6a)と、 上記接続線に乗り換えるための昇降口に最も近い車両番
    号より成る最寄車両番号(6b)とが付記されており、 または、前記接続線名(6a)に隣接せしめて「同一ホ
    ームから発着するからいずれの車両番号であっても容易
    に乗り換えできる旨を表す数文字の語句」から成る同ホ
    ーム表示(6c)が付記されていることを特徴とする、
    請求項6に記載した公的交通機関案内書。
  8. 【請求項8】 前記の接続路線・線区が無い駅の駅名に
    対応せしめて、 および/または、前記接続路線名(6a)と併せて、 当該駅で乗降するための改札を表す文字標識から成る改
    札標示(7a)と、 上記改札に最も近い、1個もしくは複数個の車両番号か
    ら成る最寄車両番号(7b)とが付記されていて、当該
    駅で下車するために予め乗車すべき車両番号が表示され
    ていることを特徴とする、請求項7に記載した公的交通
    機関案内書。
  9. 【請求項9】 前記直線状交通地図の両端部に当たる始
    発駅の駅名に隣接せしめて、 当該駅における始発電車の発車時刻を標示した始発時刻
    (14)、および/または、 当該駅における最終電車の発車時刻を標示した終電時刻
    (15)が付記されていることを特徴とする、請求項1
    ないし請求項8のうちの何れか一つに記載した公的交通
    機関案内書。
  10. 【請求項10】 前記の直線状交通地図に記入されてい
    る駅名に対応せしめて、 車両を基準とし、進行方向に向かっている人から見たと
    きの開閉ドアが左,右いずれであるかを表すドア左右標
    示(8)が付記されており、 上り列車のドア開閉側と、下り列車のドア開閉側とが異
    なる場合には、列車の進行方向を表示する記号(5c,
    5c′)を添えてドア左右標示(8′,8″)が付記さ
    れていることを特徴とする、請求項6ないし請求項9の
    うちの何れか一つに記載した公的交通機関案内書。
  11. 【請求項11】 前記の太目の直線状に表示された路線
    もしくは線区に近接せしめて、沿線の著名な建造物,天
    然記念物,施設,遺跡,社寺,もしくは、これらに類似
    する著名な観光対象物のイラスト(9)が付記されてい
    ることを特徴とする、請求項1ないし請求項10のうち
    の何れか一つに記載した公的交通機関案内書。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008051902A (ja) * 2006-08-22 2008-03-06 Nakabayashi Co Ltd 帰宅支援地図
JP5106709B1 (ja) * 2012-01-11 2012-12-26 三菱電機株式会社 列車案内表示システム及び列車案内表示方法

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