JP3067212B2 - 心臓の機能不全を治療する薬剤 - Google Patents

心臓の機能不全を治療する薬剤

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JP3067212B2 JP2410378A JP41037890A JP3067212B2 JP 3067212 B2 JP3067212 B2 JP 3067212B2 JP 2410378 A JP2410378 A JP 2410378A JP 41037890 A JP41037890 A JP 41037890A JP 3067212 B2 JP3067212 B2 JP 3067212B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の技術的背景】ジギタリス、ジゴキシン、ウワ
バイン及び関連物質は植物から誘導された強心性配糖体
である。強心性配糖体の主な薬理学的な性質は、投薬量
依存的な方式で心筋の収縮の力を増加する能力である
(正筋変力性効果-positive inotropic effect)。直接
的正筋変力性効果の最も可能性ある説明は、強心性配糖
体が膜−結合性Na+、K+−活性化アデノシントリホス
ファターゼ(Na+、K+−ATPアーゼ)を阻害する能
力であるとされる。The Pharmacological Basis of The
rapeutics (グッドマン[Goodman]及びジルマン[Gilma
n]編) 732頁(1980)所載のB.F.ホフマン[Hoffman]及び
J.T.ビッガー・ジュニア[Bigger、Jr]による“Digitali
s and Allied Cardiac Glycoside"参照。この酵素によ
るアデノシン三燐酸(ATP)の加水分解がナトリウム
・カリウムポンプのエネルギーを与える。
【0002】Na+、K+−ATPアーゼの内因的調節に
ついてはあまり知られていない。カテコールアミン(J.
W.フィリス[Phillis]、Cell,Tissue and Organ Culture
s in Neurobiology、93-97頁(1978);B.A.ホロヴィッツ
[Horwitz]、Fed. Proc.、38:2170-2176頁(1979)、甲状せん
ホルモン(T.J.スミス[Smith]及びI.S.エーデルマン[Ed
elman]、Fed. Proc.、38:2150-2153頁(1979))、アルドス
テロン(B.C.ロジャー[ Rossier]等、Science、12:483-4
87(1987))、リノール酸及びリノレイン酸(J.N.ビダー
ド[Bidard]等、Biochem. Biophys. Acta、769;247(198
4);M.タムラ[Tamura]等、J. Biol.Chem. 、260:9672(19
85);及びバナジウム(L.C.カントレー・ジュニア[Cantl
ey、Jr]等、J.Biol. Chem. 、243:7361-7368(1978))は
総て酵素活性に及ぼす直接又は間接的な効果に結び付い
ている。
【0003】多くの研究者は阻害剤が上昇している状況
で、ジギトキシンの放射免疫測定法を用いて血漿中の免
疫反応性を測定することにより、ジギタリス又はウワバ
インに類似しているが哺乳類起源の形質膜Na+、K+
ATPアーゼの特異的内因性阻害剤を単離することを試
みた。キリングスミュラー[Killingsmueller]等はNa
+−負荷された正常人の被験者の尿中にジギタリス様の
免疫反応性を見出した(キリングスミュラー等、Klin.
Wochenschr.、60:1249-1253(1982))。S.W.グレーブス(G
raves)等は尿毒症の血漿中で類似の観察を行った(S.W.
グレーブス等、Ann. Intern.Med.、99:604-608(1983))。
【0004】血漿、尿又は組織のNa+、K+−ATPア
ーゼ阻害剤の明確な構造は未知である( The Na+,K+-Pu
mp ,Part B:Cellular Aspects;J.C.スコウ[Skou]等編、
G.T.ホーパート・ジュニア[Haupert、Jr]、297-320(198
8))。更に各種の候補化合物も最も大きな生化学的な細
目点で強心性配糖体ジギタリス及びウワバインとの幾分
かの差があることを特徴としているので、これらの物質
が構造又は機能のいずれかの点で真に“ジギタリス様”
である度合は議論の分かれる所である。(C.T.カリリ[C
arilli]等、J. Biol. Chem. 、260:129(1985);M.クラボス
[Crabos]等、Eur. j. Biochem.、162:129(1987);M.タム
ラ、Biochem.、27:4244-4253(1988))。
【0005】例えばグレーブスにより単離されたジギタ
リス様因子(DLF)は抗−ジギトキシン抗体と交差反
応する(S.W.グレーブス米国特許第4,780,314
号)。しかしDLFは内因性調節体の場合期待されるよ
うな、生理学的阻害剤であることは示されていない。生
理学的という意味は、酵素に極めて高い結合親和性を有
する阻害剤である;可逆的に結合して阻害する;膜Na
+、K+−ATPアーゼに高い特異性を有する;及び適当
な刺激に応答することである。それらの正筋変力性効果
のために、強心性配糖体(例えばジギタリス及びウワバ
イン)は心不全の治療上の価値が無類である。強心性配
糖体はうっ血性の心不全の患者の血行の適正を増大する
ために、及び心房細動及び粗動の存在において心室速度
を遅くするために治療上最も多く使用されている。
【0006】しかし強心性配糖体は治療指数が狭く、そ
れらの使用はしばしば激しく又は致死的であり得る毒性
効果を伴っている。患者に対する危険の点からいえば、
最も重要な毒性効果は心臓に起こる効果(例えば心臓調
律の異常性及び房室伝導の障害)である。胃腸障害、神
経学的効果、食欲不審、視力障害、吐き気及び嘔吐は他
の共通した強心性配糖体の反応である。
【0007】
【本発明の総括】本発明は視床下部阻害因子(Hypothala
mic Inhibitory Factor)(HIF)が心筋細胞に正筋変
力性効果を有するという本発明出願者の発見に関する。
即ち本発明は一つの具体化においては、正筋変力性効果
を生じる量のHIFを哺乳類宿主に投与することにより
該宿主に正筋変力性効果を生じる方法を含んで成る。
【0008】HIFは強心性配糖体と同じ毒性プロフィ
ルを呈さない。従ってHIFを用いる心臓機能不全の治
療は患者に対する毒性の危険を少なくして遂行できる。
【0009】本発明は更に強心性配糖体中毒、浮腫的疾
患及び低血圧の処置に治療的に投与できるという発見に
関する。又HIFは高血圧の予防の特異的な治療法を開
発するために使用できる。
【0010】
【本発明の詳述】生理学的Na+、K+−ATPアーゼ調
節体が牛の視床下部から単離され、視床下部阻害因子
(HIF)と名付けられた(G.T.ホーパート・ジュニア
等、Am. J.Physiol.、 247、F919(1984))。HIFを単
離する方法は実施例Iに詳細に記載されている。
【0011】HIFはNa+ポンプの生理学的調節体と
して必須な幾つかの生化学的基準を満足している(G.T.
ホーパート・ジュニア及びJ.M.サンチョ[Sancho]、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA、76:4658-4660(1979))。HIF
は精製されたNa+、K+−ATPアーゼを可逆的に阻害
し、高い親和性(Ki+1.4nm)を有する(G.T.ホー
パート・ジュニア等、Am. J. Physiol.、 247、F919(198
4))。更にその効果は特異的である(C.T.カリリ等、J.
Biol. Chem.、260:129(1985)).精製された視床下部阻
害因子(HIF)は上記のように心臓の筋肉細胞(即ち
筋細胞)に正筋変力性効果を有することが新規に見出さ
れた。“正筋変力性効果”という用語は、細胞の収縮性
が投薬量に依存する方式で高められることを意味する。
【0012】HIFの正筋変力性効果を生じる量は心臓
機能不全(例えばうっ血性心臓不全、発作性心房性頻
脈、心房細動及び粗動)を処置するため“哺乳類宿主”
(例えばヒト)に投与することができる。投与は腸内的
(即ち経口的)又は非経口的(例えば、静脈、皮下又は
筋肉内注射を経由して)であることができる。更にHI
Fは強心性配糖体と同じ毒性プロフィルを呈さないか
ら、HIFを用いる心臓機能不全の治療は患者に対する
毒性の危険を少なくして遂行することができる。
【0013】図1は5×10-5Mウワバインと対照して
1単位/mlのHIFに暴露された心筋細胞に及ぼす正
筋変力性効果;及び1×10-6Mウワバインに暴露され
た心筋細胞に及ぼす毒性効果に対照してHIFの効果を
示すグラフである。1単位のHIFは37℃における標
準的分析条件下で、1μgの高度に精製されたNa+
+−ATPアーゼを50%だけ阻害するのに必要な量
である。これは約0.75pモルHIF(約15nM H
IFに等しい、50マイクロリットル中1単位)である
と見積もられた。(G.T.ホーパート・ジュニア等、Am.
J. Physiol.、 247、F919(1984))。収縮性実験のプロト
コルは実施例IIICに記載されている。
【0014】一般に収縮の振幅(即ち正筋変力性の度
合)は位相差ビデオ運動検出装置を用いて心収縮性運動
の振幅(ASM)として単一の脈動する心筋細胞中で測
定された。同じ検出装置がASM中の減少、最大弛緩
(MR)位置の変化、及び拍動頻度の増大として立証さ
れる毒性を測定するために使用された。
【0015】図1Bはこれらの細胞に最高に筋変力性的
であるが非毒性の投薬量である、5×10-7Mウワバイ
ンが心収縮性運動の振幅(ASM)を41%だけ増大す
るが、対照期間(図1A)における同じ細胞に比較して
拍動頻度の減少を起こしたことを示している。“治療範
囲”であるが無毒効果を示す、最大弛緩(MR)位置の
変化はなかった。
【0016】図1Cは1μM濃度のウワバインは、総て
これらの高度な投薬量が収縮する心筋細胞に“毒性範
囲”の効果を及ぼすことを示す、ASMの減少、MRの
位置の上昇、及び拍動頻度の増大を起こすことを示して
いる。
【0017】図1Eは1単位/mlのHIFが対照(図
D)に比較して、拍動頻度の減少及びMR位置の不変と
共に、37±3%のASMの減少を起こすことを示して
いる。従って1単位/mlは治療範囲内であるが、毒性効
果を呈しない。
【0018】図1Fは同じ細胞がHIFを含まない緩衝
液で灌流される際に、1分間の“濯ぎ出し”による結果
を示す。ASM及び拍動頻度は対照水準に戻り、HIF
により起こされた正筋変力性効果の迅速な可逆性を示し
ている。
【0019】ウワバイン処理された新生児ラットの心筋
細胞が対照水準よりも高い収縮性に戻るためには5分間
の濯ぎ出し期間が必要であるから、HIFの効果はウワ
バインよりも一層容易に可逆的である(K.ワーダン[Wer
dan]等、Biochem. Pharmacol.、33:1873-1886(1984))。
【0020】心臓機能不全を処置するために使用する以
外に、HIFの製薬学的組成物は重篤な又は生命の危険
のある強心性配糖体中毒に罹患した患者を治療するため
に投与(例えば腸内的に又は非経口的に)できる。現在
強心性配糖体中毒は一般に患者にカリウム又は抗−不整
脈薬剤を投与するか、又はとりわけ特異的強心性配糖体
製剤に対する抗体フラグメントを投与することにより治
療されている。重篤な毒性を持った患者は一般の治療方
法には反応がない。更に抗体フラグメントを用いる治療
は血行中の強心性配糖体を中和するが、抗体は心臓組織
に結合した強心性配糖体には有効ではない。更に、抗体
は蛋白質であるから、静脈的に投与され、及びアレルギ
ー反応を起こすことがある。
【0021】対照的に、HIFは循環する強心性配糖体
をNa+、K+−ATPアーゼへの結合から遮断するのみ
ならず、恐らく強心性配糖体結合部位を互いに競合又は
妨害することによって、以前に結合した強心性配糖体を
Na+、K+−ATPアーゼから溶離又は“追い出す”。
“追い出し”実験は精製されたNa+、K+−ATPアー
ゼがリポゾームに再構成される分析方式(B.M.アナー[An
ner]及びM.ムースマイヤー[Moosmayer]、Biochem. Bioph
ys. Res. Commun.、129:102-108(1985))を用いて行われ
た。この実験の詳細なプロトコルは実施例IVに記載さ
れている。一般に、機能的なNa+、K+−ATPアーゼ
分子を含むリポゾームは、Na+、K+−ATPアーゼ上
の結合部位に結合している特異的なウワバインの測定が
可能である3H−ウワバインと共にインキュベートされ
た。リポゾーム−Na+、K+−ATPアーゼ−ウワバイ
ン複合体は次いで25℃で10分間各種の薬量のHIF
に暴露された。結合した3H−ウワバインは投薬量に依
存する方式で、2.5マイクロリットルのリポゾーム当
たり0.5単位のHIF濃度で、結合したウワバインの
完全溶離まで、HIFによりNa+、K+−ATPアーゼ
から溶離された。
【0022】かようにHIFはジギタリス化合物のNa
+、K+−ATPアーゼへの結合を防ぐことができるだけ
でなく、これらの実験で示されたように、既にNa+
+−ATPアーゼに結合した強心性配糖体に置き換わ
ることができる。従ってHIFを用いる強心性配糖体中
毒の治療は心臓に対する毒性効果を迅速に逆転させる高
度に特異的な治療法として役立つことができよう。更
に、非ペプチドであるから、HIFの経口投与が可能で
ある。
【0023】HIFは又血圧異常性の治療の際に投与
(腸内的に又は非経口的に)することができる。研究の
結果によれば、Na+、K+−ATPアーゼの内因性循環
阻害体の過剰は、或種の又は多くの患者において、本質
的な低血圧の原因となることが示されている。(H.E.デ
ワードナー[DeWardener]及びG.W.マクグレガー[MacGreg
or]、Kidney Int.、18:1-9(1980))。恐らくNa+、K+
ATPアーゼへの阻害剤の結合の結果である細胞内カル
シウムイオン濃度の上昇が血管の収縮及び低血圧を生じ
るのであろう。(M.P.ブローシュテーン[Blaustein]、A
m. J. Physiol.、232:C165-C173(1977))。
【0024】HIFの血管収縮性を測定するために実験
が行われた。これらの実験のプロトコルは実施例Vに詳
細に記載されている。一般にスプラーグ−ドーレー(Spr
ague-Dawley)ラットに麻酔をかけ、腹部大動脈が外科的
に取り出される。2mmの血管輪が力変換器に取り付け
られ、及び緩衝液中に浸けられ、及び張力は1.5gに
調節された。組織の生存力が記録され、血管収縮応答が
塩化カリウム及びノルエピネフリンのような既知の血管
収縮剤を用いて校正された。こうして調製された血管が
次いでHIFの薬量を変えて試験された。
【0025】HIFは効能のある可逆的な血管収縮を生
じ、これらの応答は薬量に依存的であった。血管はHI
Fに暴露後も完全に生存したままであり、毒性効果の不
存在を証明した。最大の血管収縮応答は標準として使用
される既知の血管収縮剤物質により生じるものと類似し
ていた。
【0026】低血圧、異常に低い血圧は、心臓の出口が
細いこと、不適切な血管収縮、又は両者が同時に起こる
ことにより生じることがある。HIFは心臓細胞の収縮
の強度を増し、及び血管の収縮を促進することの両者を
示したから、その治療的量の投与は低血圧の効果的な治
療となるであろう。
【0027】HIFは又過剰な血管収縮及びその結果と
しての高血圧を予防する特異な治療法を開発するために
使用できる。かような治療法は下記の事項を含むが、そ
れらに限定されない:(1)受動免疫のためにHIFへ
の抗体を投与すること;(2)高血圧に対して能動免疫
のためにHIFの免疫原体を投与すること;及び(3)
天然HIFの血管細胞Na+、K+−ATPアーゼへの結
合及び作用を防止又は変調(modulate)することができる
HIFの類似体を投与すること。
【0028】更に腎臓管状細胞のNa+、K+−ATPア
ーゼ活性を効果的に阻害し、及びナトリウムの分泌を促
進することによって、HIFの製薬学的な組成物は、う
っ血性心不全、肝硬変、及びネフローゼ性症候群として
共通の臨床的状態に罹患している患者の腎臓による過剰
な塩及び水の分泌を促進する天然の利尿剤として使用す
ることができる。HIFがNa+、K+−ATPアーゼに
対して有する特異的阻害剤効果のために、HIFを用い
る利尿治療法は、現在使用されている利尿薬により共通
的に生じる副作用(例えば、不能症、発疹、血液脂質の
異常)を伴わずに遂行することができる。
【0029】本発明は更に下記の実施例により説明され
るが、それがいずれかの方式によっても本発明を限定す
るものと解釈すべきではない。
【0030】
【実施例】I. HIFの製造法 Na+、K+−ATPアーゼ阻害剤は前記(C.T.カリリ
等、J. Biol. Chem. 、260:1027-1031(1985))のように牛
の視床下部から製造された。新しく集められ、直ちにド
ライアイス上で凍結された視床下部を解凍し、ホモジネ
ートとしてメタノール:水(4:1、容量:容量)で抽
出した。フラッシュ蒸発によってメタノールを除去し、
残った水性相を石油エーテル及びクロロホルムで抽出す
ることにより脂質を取り出した。HIFの始めの分離は
親油性ゲルクロマトグラフィー(C.T.カリリ等、J. Bio
l. Chem. 、260:1027-1031(1985))を用いて行った。そ
れ以上の精製は逐次陽イオン及び陰イオン交換クロマト
グラフィーを用いて遂行された。親油性ゲルクロマトグ
ラフィーからの約100単位のHIFが10mlの二回蒸
留した水(ddH2O)中に溶解され、10mlのプロト
ン形のスルホン酸陽イオン交換樹脂(アマーシャム[Ame
rsham]、IR120)を含む小さいカラムにかけられ、
及び1ml/分でddH2Oで溶離した。溶離液を集め、
凍結乾燥し、残渣を1mlのddH2O中に溶出し、ヒド
ロキシル形の1.5mlのQAEセファデックス(ファル
マシア[Pharmacia])を含むカラムにかけた。カラムを
順次1ベッド(bed)容量のddH2O、及び1ベッド容量
の10mM酢酸で溶離した(後者はHIF上のカルボキ
シル基(C.T.カリリ等、J. Biol. Chem.、260:1027-103
1(1985)との相互作用の結果、陰イオン交換体に吸着さ
れたHIFを回収するために使用された)。酢酸を凍結
乾燥により除去し、残渣を再分散し、HIF活性度の濃
度を測定するために、酵素共役活性測定法(coupled-en
zyme assay)(G.T.ホーパート等、Am. J. Physiol.、247:
F919-924(1984))及びヒト赤血球86Rb+摂取分析(C.
T.カリリ等、J. Biol. Chem.、260:1027-1031(1985))
により、特異的Na+、K+−ATPアーゼ阻害活性(H
IF)を分析した。陽イオン交換段階は少量のガンマア
ミノ安息香酸、セリン、スレオニン及びグルタミン酸
を、陰イオン交換段階は痕跡量の乳酸塩を充分に除去し
た。これら総ては親油性ゲルクロマトグラフィーによる
活性画分の質量スペクトル分析により検出されていたも
のである。HIFの回収はイオン交換段階により定量的
であった。上記の処理後のHIFは、適切なバイオアッ
セーにおいて干渉することが示されている、バナジン酸
塩(発光分光分析)、NH4イオン(還元的アミノ化、
シグマ[Sigma]キット170−A)を含まず、遊離の脂
肪酸及びリゾ燐脂質(ガスクロマトグラフィー−質量ス
ペクトル分析)を含んでいない。
【0031】II. 心臓細胞の調製 心筋細胞は、従来記載(S. [Yagev]等、In Vitro、20:89
3-898(1984))されたCa2+及びMg2+を含まないハン
クス(Hanks)緩衝塩溶液(HBSS)中の一連のトリプ
シン処理により、生後1日のスプラーグ−ドーレーラッ
トの心臓の心室フラグメントから単離された。トリプシ
ン処理された細胞は20%の血清及び抗生物質を含むハ
ムF10培地中にデカンテーションし、100rpmで
10分間遠心した。胎児牛血清及び10%の馬血清を
0.1%のペニシリン−ストレプトマイシンと共に含む
ハムF10培地中に細胞ペレットを再分散し、5×10
5細胞/mlの濃度まで希釈した。細胞ゾル性の遊離のカ
ルシウム濃度([Ca2+]i)を測定するために細胞を長
方形のカバーガラス(13×30mm)上に置き、細胞の
収縮性の測定のために円形カバーガラス(12mm)上に
置き、両方のカバーガラスをペトリ皿の中に入れた。86
Rb+摂取を測定するために、細胞をペトリ皿中に入れ
た(1−1.5±106細胞/35mm皿)。総ての培養基
を湿潤した5%CO2、95%空気中で37℃において
インキュベートした。概算で80%の細胞が自発的な同
期的収縮を呈する、融合した単一細胞層が三日間に亙っ
て発現し、その期間に実験が行われた。
【0032】III. 心筋細胞に及ぼすHIFの生理
学的効果 A. 86Rb+流入測定 パネット等(R. Panet等、J. Memb. Biol.、70:165-169(1
982))の方法に従い、5mMのウワバインの不存在及び
存在下において観察された86Rb+摂取の差として、培
養された心筋細胞中でNa+ポンプ活性が評価された。
結合の飽和を確実とするために、10分間のフラックス
(flux)を行う86Rb+の添加の前に、20分間HIF
(2単位/ml)又はウワバイン(5mM)又は両者と共
に、心筋細胞を予備インキュベートした。単一心筋細胞
層をHEPES緩衝溶液(最終濃度、mM;NaCl 1
50、RbCl 5、HEPES−トリス 10(pH
7.0)、CaCl2 1、MgCl2 5、グルコース
10)で洗浄し、37℃に予備加温され、2μCiの86
RbClを含む同じ溶液0.5mlで覆うことにより摂取が
開始された。インキュベーションを10分間まで継続し
(同位体の直線的摂取の期間)(M.[Heller]等、Bioche
m. Biophys. Acta、939:595-602(1988))、及び摂取は
3mlの氷冷MgCl2(125mM)で二回、及び5ml
の氷冷NaCl(165mM)で二回洗浄することに続い
て反応混合物の吸引により終了した。細胞を0.1%
(重量/容量)ドデシル硫酸ナトリウムを含む0.1N
のNaOHの0.6mlで溶解し、放射能をインスタゲル
(Instagel)(パッカード[Packerd])シンチレーション
媒体中で計数した。
【0033】図2は新生児ラットの心筋細胞による全86
Rb+摂取に及ぼすHIF(2単位/ml)又はウワバイ
ン(5mM)又は両者の阻害効果を図示している。Na+
ポンプ仲介摂取(600nモル/蛋白質mg/10分間)
は合計摂取、及び5mMウワバインの存在における差と
して計算される。
【0034】ウワバイン(5mM)は810nモル/蛋
白質mgの対照水準から210nモル/mg(74%)まで
摂取を減少させたが、同時にHIF(2単位/ml)は対
照水準から377nモル/mg(54%)まで摂取を減少
させた。ウワバイン・プラス・HIFの組み合わせは相
加的ではなく、従来ヒトの赤血球(C.T.カリリ等、J. B
iol. Chem.、260:1027-1031(1985))及び腎臓管状細胞
(H.F.カンチエロ[Cantiello]等、Am. J. Physiol.、255:
F574-F580(1988))について示されたように、HIFの
阻害効果はNa+、K+−ATPアーゼによるK+の輸送
に特異的であることを示している。こうしてHIF(2
単位/ml)は心筋細胞中におけるウワバイン−感受性K
+輸送を74%だけ阻害した。
【0035】HIF阻害の濃度依存性は0.5単位/m
l、0.8単位/ml、1単位/ml、2単位/ml及び4単位
/ml濃度で20分間HIFで細胞を予備インキュベート
することにより測定された。86RbCl(2マイクロC
i/ウエル)が次いでフラックスを行うために添加され
た。
【0036】図3は新生児ラットの心筋細胞におけるウ
ワバイン−感受性Rb+摂取のHIF阻害の濃度依存性
(Na+、K+−ATPアーゼ活性の特異的尺度)を示
す。各値は各濃度におけるn=4測定値の平均±SEM
である。HIF−仲介Na+ポンプ阻害は薬量に依存的
であり、心筋細胞が阻害剤に暴露される時間的量に関係
する。新生児ラットの心筋細胞におけるNa+ポンプ活
性の90%がHIFの最大投薬量(4単位/ml)により
阻害される。図3(挿入図版)は心筋細胞がHIF(2
単位/ml)に暴露される時間の関数として活性K+輸送
の阻害を図示している。最大阻害効果(即ち、心筋細胞
のNa+、K+−ATPアーゼ活性の約90%の阻害)に
はHIFと共に20−30分間の予備インキュベーショ
ンを必要とする。
【0037】しかし、重要なポンプ阻害は又短時間のH
IFへの暴露後にも生じた。新生児ラットの心筋細胞に
おけるポンプ阻害のID50は、約0.5単位/mlのHI
F濃度で生じる。これは培養されたブタの腎臓管状細胞
よりも約30倍少なく(H.F.カンチエロ等、Am. J. Phys
iol.、255:F574-F580(1988))、従って新生児ラットの心
筋細胞はHIFに対し比較的高い親和性を有することを
示唆している。
【0038】B. 細胞ゾル性遊離Ca2+([C
2+])の測定 [Ca2+]iの変化は蛍光試験薬、、フラ−2(G. グ
リンキエビッチ[Grynkiewicz]等、J. Biol Chem.、260:34
40-3450(1985))を用いて検出された。心筋細胞を付着
させた長方形のカバーガラスを緩衝塩溶液(下記物質を
各mM単位で含むBSS:NaCl 140、KCl
5、CaCl2 1、MgCl2 1、グルコース 10、
Na2HPO4 1、HEPES−トリス 10(pH
7.4))中に入れ、それに5μMのフラ−2/AMを
添加し、湿潤した5%CO2−95%空気中で37℃に
おいて1時間インキュベートした。更に混入培地を添加
し、フラ−2/AMの加水分解を完結するために15分
間インキュベーションを継続した。細胞を洗浄し、更に
30分間BSS中でインキュベートした。添加された心
筋細胞を有するカバーガラスを、2mlのBSS及び指示
されたような各種の添加量のHIF又はウワバインを含
む恒温(37℃)キュベット中に挿入した。PTIデル
タスキャン(DeltaScan)1蛍光分光光度計を用いて蛍光
を連続的に記録した。二重の励起波長が340nm及び3
80nmの間を迅速(60Hz)に交番し、発光波長は5
05nmである。[Ca2+]iの値は下記式: [Ca2+]i=KdB(R−Rmin)/(Rmax−R) 上式中、Kdは225nmである、を用いいて比R=F340
/F380から計算された。Rmin及びRmaxはジギトニン
を用いて[Ca2+]iを周囲[Ca2+]と平衡させ(Rm
ax)、及びMnCl2(0.1mM)及びEGTA(1m
M)を添加する(Rmin)別な実験で測定された。バッ
クグラウンドの自己蛍光は未充填のセル中で測定され、
総ての測定値から差し引かれた。
【0039】図4は培養された心筋細胞中の細胞ゾルの
遊離カルシウムイオン([Ca2+]i)含量に及ぼすH
IF(1単位/ml)の効果を示す。緩衝塩溶液(BS
S)中で培養されたフラ−2充填心筋細胞の蛍光を連続
的に記録した。対照値(138nM)はHIFの添加
(矢印)に先立つBSS中の細胞に対するものである。
HIFに暴露後30分間(250nm)及び60分間(4
32nm)後に示された。細胞ゾルの遊離のCa2+濃度
は、30分間及び60分間HIFへの暴露後、ぞれぞれ
138nMの基線から250nM及び432nMに増加
した。
【0040】HIFにより生起した[Ca2+]iの変化
の開始は15分内に起こり60分までに新しい定常状態
の濃度に達し、この水準に少なくとも2時間安定に留ま
る。
【0041】強心性配糖体の毒性及びこれらの薬剤に特
徴的な狭い治療指数の背後にある生化学的事象は、緊張
性の(tonic)ポンプ阻害と関連した持続的に高い細胞内
Na+に派生的な、過剰な細胞内の遊離のCa2+が中心
的な役割を有すると仮定されている(R.W.チェン[Tsie
n]及びB.U.カーペンター[Carpenter]、Fed. Am. Soc. Ex
p. Biol.、37:2127-2131(1978))が、完全には理解されて
いない。
【0042】表1はHIFの各種の投薬量により誘発さ
れた定常的な[Ca2+]iの増加を示す。投薬量−応答
関係は、0.5単位/mlHIFを用いて心筋細胞中の
[Ca2+]iを、同じ実験条件下で1μMのウワバイン
により起こされる(287±15nM)のと同様な水準
(303±15nM)まで、増加することが見出され
た。HIF(1単位/ml)は[Ca2+]iを1μΜのウ
ワバインにより誘発されたよりも著しく大きい水準まで
引き上げた。
【0043】 表 1:ウワバイン及び各種の濃度のHIF*で処理された心筋細胞中の定常状
態の細胞ゾルの遊離のCa2+([Ca2+]i)の変化 条 件 対 照 ウワバイン HIF(単位/ml) 10-6M 0.25 0.5 1.0 ([Ca2+]i)(nM) 183±3 287±15 197±9 303±15 432±18 *値は平均±SEMである;n=各濃度毎に3回測定 1μΜのウワバインはCa2+の濃度を287±15nM
に上昇させ、及び明瞭な毒性を起こす(図1C)が、1
単位/mlのHIFは同じ細胞中の細胞内Ca2+の濃度を
極めて高い水準、432±18nMまで上げるが、毒性
の兆候がなく(図1E)安定な、最大の筋変力性効果を
伴う。
【0044】C. 心筋収縮性の測定 収縮性細胞運動の振幅(ASM)として測定される収縮
性、及び拍数頻度はバーリ(Barry)等の方法(W.H.バー
リ等、Circ. Res. 、56:231-241(1985))による位相差顕
微鏡ビデオ運動検出装置を用いて個々の細胞内で測定さ
れた。培養された心筋細胞を取り付けたカバーガラス
を、媒体灌流用の入り口及び出口を備える室内に入れ
た。室を37℃でルサイト(Lucite)箱中に閉じ込め、逆
転した位相差顕微鏡の台上に置く。細胞をHIF又はウ
ワバインを含む1mlの培地で覆う。連続的灌流の間、カ
バーガラスの中心で細胞を浸す媒体は15秒の一定時間
で0.96ml/分の流速で交換した。画像は40×の
対物レンズを用いて拡大され、運動は顕微鏡に取り付け
た低光レベルのTVカメラにより監視され、262本の
ラスター線で校正された。運動検出器は選択されたラス
ター線セグメントを監視し、ラスター線に沿って動く細
胞層内の微小球の画像境界のために、16m秒毎に新し
い位置データを提供する。運動検出器からのアナログ電
圧出力は低域フィルターで濾過され、実際の運動のμm
を指示するように校正され、微分値が電子的に得られ、
μm/秒の運動の速度として記録される。収縮の拍数、
振幅及び速度は対照灌流の際数時間に亙って安定であっ
た。ウワバイン又はHIFにより誘発された収縮性の変
化は、ウワバイン又はHIFの添加前の同じ細胞の収縮
性と比較して計算された。
【0045】表2は各種の投薬量のHIFの関数として
のASM及び拍数頻度を総括している。HIFの濃度を
増大すると、ASMの漸進的な増大及び拍数の減少が起
こる。ASMの最大の増大は、ウワバインの最大の、無
毒的投薬量(5×10-7Μ)に等しい水準である、約
0.5単位/ml(39±6%)のHIF濃度で起こっ
た。
【0046】 表 2:各種の濃度のHIF、及びウワバイン(Ou)による心筋細胞中の収縮
運動の振幅(ASM)及び心拍数に及ぼす効果* HIF (単位/ml) Ou(Μ) 0.2 0.25 0.33 0.5 1.0 5×10-7 ASM、増加% 15±2 22±1 32±9 39±6 37±3 41±3 心拍数、減少% 12±1 15±1 25±7 40±2 49±6 23±2 *値は平均±SEMである;n=各濃度毎に3回測定 IV. Na+、K+−ATPアーゼの結合部位から強心
性配糖体を置換するHIFの能力 “追い出し”実験は精製されたNa+、K+−ATPアー
ゼがホスファチジルコリンリポゾームに再構成される分
析系を用いて行われた。分散したランダムに配向したN
+、K+−ATPアーゼ分子を含むATP−含有リポゾ
ームは、アナー(B.M.アナー及びM.ムースマイヤー、Bioc
hem. Biophys. Res. Commun.、129:102-108(1985))によ
るコレート−透析法により製造された。本出願者はこの
小形化した二−側面試験法を用いて、0.1単位HIF
(約75fモル)の単一投薬量、及び1.0単位のHI
F(約750fモル)の膜透過によるNa+、K+−AT
Pアーゼ阻害が測定可能となり、単位当たりのHIF分
子の最小数の見積もりが可能であることを示した。他の
提案された内因性のNa+、K+−ATPアーゼ阻害剤を
含めて多数の物質の試験を行ったにも拘らず、HIFは
かような驚くべき輸送阻害を示す精製系において今まで
試験された唯一の化合物(強心性配糖体以外の)であ
る。
【0047】“追い出し”実験のために機能性のN
+、K+−ATPアーゼ分子を含むリポゾームを3H−
ウワバイン(10μΜ)と共に25℃で10分間インキ
ュベートし、次いで各種の薬量でHIFを添加し、そし
て25℃で10分間インキュベーションを継続した。反
応は125μlの氷冷した停止溶液を添加して阻止さ
れ、試料は遊離の3H−ウワバインから結合したものを
分離することが可能である、20cmセファデックスG−
50媒体カラムにかけて溶離(0℃)した。結合した3
H−ウワバインは表3に示すように薬量に依存する方式
でHIFによりNa+、K+−ATPアーゼから溶離され
た。
【0048】 表 3:各種の薬量のHIFによる2.5μlのNa+、K+−ATPアーゼ・リポ
ゾームに結合した3H−ウワバインの溶離 −HIF +HIF (単位/2.5μlリポゾーム) 0.125 0.25 0.5 結合した3H−ウワバイン(cpm) 2902 178 111 45 溶離した3H−ウワバイン(%) − 94.0 96.2 98.5 V. 視床下部Na+、K+−ATPアーゼ阻害剤の血管
収縮的性質 体重250−350gのスプラーグ−ドーレーラットを
腹腔内にペントバルビタールを注射して麻酔し、腹部大
動脈を迅速に切除し、下記の組成、mM:NaCl、1
18.3;KCl、4.7;MgSO4、1.2;KH2PO
4、1.2;CaCl2、2.5;NaHCO3、25.0;
Na−EDTA、0.016;及びグルコース、11.
1、を有する冷却したクレブス-ヘンゼライト(Krebs-He
nseleit)炭酸水素塩緩衝液中で総ての緩い結合組織を切
り離した。2−3mm(長さ)の血管輪を切除し、力変換
器に取り付け、95%のO2で 及び5%のCO2ガス処理された上記の緩衝液5mlを含
む温水(37℃)ジャケットを備えた器官箱中に浸し
た。等張力の測定はグラース(Grass)79Dポリグラフ
DC増幅器に取り付けたグラース力変位変換器を用いて
得られ、2−チャンネルのキップ(Kipp)ゾーネン(Zone
n)記録計で記録された。校正の研究によれば、1.5g
の張力下に置かれた大動脈輪がKCl復極後の最大収縮
応答を発生することを示したので、従って総ての輪は実
験の開始前に1.5gの張力下で平衡化された。個々の
実験の場合の組織の生存性は塩化カリウム及びノルエピ
ネフリンのような既知の血管収縮剤を用いて証明され
た。こうして調製された血管は次いで薬量を変えたHI
Fを用いで試験され、応答の大きさをKCl−誘発収縮
と比較した。HIFは強力な可逆的な血管の収縮を生
じ、及びこれらの応答は表4に示すように薬量に依存性
であった。
【0049】 表 4:1.5g の静止張力以上の増加%として示された、各種の濃度のHI
F、及びKClによるラットの腹部大動脈輪の血管張力に及ぼす効果 ラットの動脈の張力の変化 HIF(単位/ml) KCl(mM) 0.1 0.1 0.4 0.8 20 増加 % 2 5 12 26 20 血管はHIFの濯ぎ出し後のKClの応答の保存により
判断されるように、HIFに暴露後も完全に生存してお
り;毒性的効果の欠如を証明している。最大の血管収縮
応答はKCl投薬で復極する膜により生じるものと同様
であった。これらの研究はHIFが血管の調整において
提示された役割及び高血圧症の病因に有効な役割に適合
する有効な血管収縮物質であることを確証するものであ
る。
【0050】等価物 当業者は日常的な実験以上のものを使用せずに、本文中
で詳細に記載された本発明の特定の具体化に対する多数
の等価物を認識し、又は確認することが可能であろう。
かような等価物は特許請求の範囲内に包含されることを
意図するものである。
【0051】本発明の主なる特徴及び態様は以下の通り
である。
【0052】1.哺乳類宿主に正筋変力性効果を生じる
量の視床下部阻害因子(HIF)を投与することによ
り、該宿主中に正筋変力性効果を生ぜしめる方法。
【0053】2.心臓の機能不全に罹患している患者に
正筋変力性効果を生じる量のHIFを投与することによ
り、該患者の心臓の機能不全を治療する方法。
【0054】3.心臓の機能不全がうっ血性心不全、発
作性心房性頻脈又は心房細動である、上記2に記載の方
法。
【0055】4.正筋変力性効果を生じる量のHIFが
約0.1ないし1単位/ml(0.075−0.75nM)
である、上記3に記載の方法。
【0056】5.正筋変力性効果を生じる量の視床下部
阻害因子(HIF)及び製薬学的に許容し得るキャリヤ
ーを含有して成る心臓の機能不全に罹患した患者を治療
するのに有用な製薬学的組成物。
【0057】6.正筋変力性効果を生じる量のHIFが
約0.1ないし1単位/ml(0.075−0.75nM)
である、上記5に記載の製薬学的組成物。
【0058】7.強心性配糖体中毒を治療するための治
療的に有効な量の視床下部阻害因子(HIF)及び製薬
学的に許容し得るキャリヤーを患者に投与することを含
んで成る、強心性配糖体中毒に罹患した患者を治療する
方法。
【0059】8.治療的に有効な量の視床下部阻害因子
(HIF)及び製薬学的に許容し得るキャリヤーを含有
して成る、強心性配糖体中毒に罹患した患者を治療する
のに有用な製薬学的組成物。
【0060】9.治療的に有効な量のHIFを患者に投
与することを含んで成る、浮腫性の疾患に罹患した患者
を治療する方法。
【0061】10.浮腫性の疾患がうっ血性心不全、肝
硬変又はネフローゼ症候群である、上記9に記載の方
法。
【0062】11.治療的に有効な量の視床下部阻害因
子(HIF)及び製薬学的に許容し得るキャリヤーを含
有して成る、浮腫性の疾患に罹患した患者を治療するの
に有用な製薬学的組成物。
【0063】12.患者にHIFへの抗体を投与するこ
とを含んで成る、能動免疫による高血圧症に罹患してい
る患者を治療する方法。
【0064】13.患者にHIFの免疫抗原体を投与す
ることを含んで成る、受動免疫による低血圧症に罹患し
ている患者を治療する方法。
【0065】14.天然のHIFの結合を防止又は変調
するHIFの類似体を患者に投与することを含んで成
る、低血圧症に罹患している患者を治療する方法。
【0066】15.患者に治療的に有効な量のHIFを
投与することを含んで成る、低血圧症に罹患している患
者を治療する方法。
【0067】16.治療的に有効な量の視床下部阻害因
子(HIF)及び製薬学的に許容し得るキャリヤーを含
有して成る、低血圧症に罹患している患者を治療するの
に有用な製薬学的組成物。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は心筋細胞の収縮性に及ぼすウワバイン
(上部区画)及びHIF(下部区画)の効果を示す位相
差顕微鏡のビデオ運動検出器により生じたグラフであ
る。
【図2】図2は新生児ラットの心筋細胞による全86Rb
+の摂取に及ぼすHIF(2単位/ml)及びウワバイ
ン(5mΜ)又は両者の阻害効果をプロットするグラフ
である。
【図3】図3は心筋細胞におけるウワバイン−感受性86
Rb+の摂取(ナトリウム・ポンプ活性)に及ぼすHI
Fの投薬量の増大とその阻害効果をプロットするグラフ
である。
【図4】図4は培養された心筋細胞中における細胞ゾル
の遊離のCa+2含量に及ぼす30及び60分間暴露され
たHIF(1単位/ml)の効果を示す蛍光信号である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 35/30 A61K 9/14 A61K 35/12 A61K 39/00 A61K 39/395 WPIDS(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 視床下部阻害因子(HIF)を有効成分
    として含有することを特徴とする哺乳類宿主における陽
    性の筋変力作用を生ぜしめるための薬剤。
  2. 【請求項2】 心臓の機能不全の処置剤である請求項1
    に記載の薬剤。
  3. 【請求項3】 強心性配糖体中毒の処置剤である請求項
    1に記載の薬剤。
  4. 【請求項4】 浮腫性疾患の処置剤である請求項1に記
    載の薬剤。
  5. 【請求項5】 低血圧症の処置剤である請求項1に記載
    の薬剤。
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