JP3061436B2 - 9−ハイドロオキシ−テアスピロンの製造方法 - Google Patents

9−ハイドロオキシ−テアスピロンの製造方法

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JP3061436B2 JP7869891A JP7869891A JP3061436B2 JP 3061436 B2 JP3061436 B2 JP 3061436B2 JP 7869891 A JP7869891 A JP 7869891A JP 7869891 A JP7869891 A JP 7869891A JP 3061436 B2 JP3061436 B2 JP 3061436B2
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teaspirone
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、9−ハイドロオキシ−
テアスピロン[1−オキサ−2−ハイドロオキシ−8−
オキソ−2,6,10,10−テトラメチル−スピロン
(4,5)−6−デセン]の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来、たばこの製造におい
て、劣質葉たばこの香喫味を改善するために、葉たばこ
成分であるカロチノイド分解物を添加することが一般的
に行われている。
【0003】しかしながら、従来知られているカロチノ
イド分解物では、たばこの香喫味の改善効果が弱く、ま
た、多量に使用するとカロチノイド分解物自体から発生
する臭みがある等の欠点がある。
【0004】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、微量でたばこに香喫味を付与ないし増強するこ
とができる化合物の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の問題
点を解決すべく、たばこの香喫味を改良するのに有効な
物質について広く検索を行った結果、8,9−デヒドロ
テアスピロンを微生物によって変換させることにより得
られる新規な化合物が優れた香喫味の改良効果を有する
ことを見出だした。
【0006】
【0007】本発明は、化2に示す一般式(II)に示す
β−ダマスコン(8,9−デヒドロテアスピロン)にア
スペルギルス属に属する菌を作用させて、9−ハイドロ
オキシ−テアスピロンに変換することを特徴とする9−
ハイドロオキシ−テアスピロンの製造方法を提供する。
【0008】
【0009】
【0010】
【化2】
【0011】本発明の9−ハイドロオキシ−テアスピロ
ン(I)[以下、化合物(I)と記す]の製造は、例え
ば、次のようにして行なわれる。化合物(I)の製造に
おいて使用する微生物は、アスペルギルス属に属する菌
である。具体例としては、アスペルギルス・ニガー(A
spergillus niger)JTS−191菌
株[微工研菌寄第5087号(FERP P−508
7)]、アスペルギルス・アワモリ(Aspergil
lus awamori)IFO4314、アスペルギ
ルス・ソウジヤ(Aspergillus soja
e)IFO5241、アスペルギルス・ホエニシス(A
spergillus phoenicis)IFO8
874、アスペルギルス・イタコニクス(Asperg
illusitaconicus)IFO4419等が
挙げられるが、アスペルギルス・ニガーJTS−191
菌株が好ましい。なお、IFOは、財団法人・発酵研究
所である。
【0012】まず、上述のようなアスペルギルス属に属
する菌の菌体の胞子または菌糸を培養して種菌とする。
すなわち、(1)胞子を種菌とする場合;固形培地ある
いは液体培地に24〜37℃で静置培養し、十分胞子を
形成させる。通常、接種後3日目頃より菌そう上一面に
胞子の形成が認められるが、一般に7〜10日目のもの
が望ましい。
【0013】(2)菌糸を種菌とする場合;液体培地に
24〜37℃で24〜60時間振とう又は通気撹拌して
培養を行い、粥状の菌糸懸濁液を得てこれを使用する
か、或いは静置培養によって得られた菌体をワーリング
・ブレーダー等により磨砕し粥状の菌糸懸濁液を得てこ
れを使用する。
【0014】このようにして得られた種菌をさらに液体
培地に接種し、24〜37℃で24〜48時間、振とう
又は通気撹拌して培養を行う。この際に、微生物の接種
形態としては上記のような胞子または菌糸懸濁液の他
に、前培養した培養液等を適宜選択することができる。
【0015】また、ここで用いる液体培地及び種菌を培
養するための固形及び液体培地に用いる栄養源として
は、馬鈴薯、麦芽汁、トウモロコシ、グルコース、ショ
糖、でん粉、コーン・ステイープ・リカー、ペプトン、
肉エキス、酵母エキス、尿素、硝酸ナトリウム、硝酸ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸カリウム、塩化
カリウム、硫酸鉄、硫酸亜鉛、塩化カルシウム、炭酸カ
ルシウム等の炭素源、窒素源、無機塩、発育因子等の中
から適宜選択して使用することができる。これらの栄養
源は、水溶液、または該水溶液に1.5〜2.0%の寒
天を加えた固形培地とした後、加熱または濾過等により
無菌化して使用する。
【0016】次に、上述の如く、予め調製された菌体培
養液へ8.9−デヒドロテアスピロン(II)[以下、化
合物(II)と記す]を添加し、引き続き振とう又は通気
撹拌して培養する。これにより化合物(II)は、次第に
化合物(I)に変換される。なお、化合物(II)の菌体
培養液への添加量は、菌体培養液1リットルあたり0.
5〜1.0gが適当である。
【0017】次いで、化合物(II)が化合物(I)に十
分に変換されたことを確認した後、培養液から酢酸エチ
ルにより抽出する。この抽出液を5%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液等のアルカリ溶液及び水で順次洗浄した後、こ
の有機層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥し、溶媒を減圧
下留去する。
【0018】このようして得られた中性区分を該中性区
分の30倍以上のシリカゲルを使用したカラムクロマト
グラフにかけ、ヘキサン及び酢酸エチルの混合溶液によ
り順次溶出を行って、化合物(I)を単離・精製する。
例えば、初めにヘキサン及び酢酸エチルを3:2の割合
で混合したヘキサン/酢酸エチル混合溶液200mlで溶
出して、次いで、2:3の混合割合であるヘキサン/酢
酸エチル混合溶液200mlで溶出させた場合に、20分
画が得られ、このうち、画分11〜13に化合物(I)
が得られる。
【0019】また、化合物(I)をたばこ香喫味改良剤
として用いる場合には、その添加量は、例えば、たばこ
刻みの重量に基づいて0.01ppmないし100pp
mの範囲が好ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明の9−ハイドロオキシ−テアス
ピロン(I)の製造方法の一例を詳細に説明する。
【0021】まず、容量3リットルのコブ付3角フラス
コに収容したツァペックドックス改変培地(ショ糖30
g、硝酸ナトリウム2g、リン酸二カルシウム1g、蒸
留水1000ml)1リットルに、アスペルギルス・ニガ
ーJTS−191菌株の胞子を胞子濃度が培地1ml当た
り2〜4×104 個になるように滅菌水6mlに懸濁した
ものを接種して、28℃、200rpmで72時間、振
とう培養を行った。ここで、アスペルギルス・ニガーの
胞子には、バレイショ・グルコース寒天培地のスラント
において十分生育させたものを使用した。
【0022】上述の如く胞子を培養して菌糸が十分に生
育したところに、培地1リットルあたり1gの8,9−
デヒドロテアスピロン(曽田香料社製)を添加し、引き
続き同様の条件下で振とう培養を行った。この際に、
8,9−デヒドロテアスピロンの変換経過を確認するた
めに2、4、6、13日目ごとに培養物を回収し、薄層
クロマトグラフにより確認した。2日目に8,9−デヒ
ドロテアスピロンのスポットの消失を確認し、培養を停
止した。
【0023】次いで、この培養物を濾過して菌体と濾液
とに分別し、該濾液を酢酸エチルで抽出した。この抽出
液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液等のアルカリ溶液で
2回洗浄し、さらに蒸留水で1回洗浄した。その後、直
ちに無水硫酸ナトリウムを加えて抽出液中の水分を除去
し、減圧下で溶媒を留去して変換物0.8gを得た。
【0024】このようにして得られた変換物の全量を少
量の酢酸エチルに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフを行った。ここでカラムとしては、カラム径×高さ
=40mm×250のカラム管にワコーゲルC300(和
光純薬(株)製)を充填したものを使用し、ヘキサン及
び酢酸エチルを3:2の割合で混合したヘキサン/酢酸
エチル混合溶液200ml及び2:3の混合割合であるヘ
キサン/酢酸エチル混合溶液200mlで順次溶出して、
20mlづつの20画分(画分1−画分20)を得た。こ
のうち、画分11−13に変換生成物0.6gを得た。
【0025】得られた変換生成物のMSスペクトル、I
Rスペクトル、 1HーNMRスペクトル及び13C−NM
Rスペクトルは次の通りであった。
【0026】 MS:m/e、224(M+)、206(M−H20)、168、125、 111、43 IR:cm-1、3400(OH)、1660(C=0) 1H−NMR(CDCl3 ):0.98(3H,s),1.01(3H,s) ,1.05−2.0(4H,m),1.63(3H,s),2.09(3H,s ),2.20(2H,q,J=17Hz),3.50(1H,s,OH),5.8 0(1H,s) 13C−NMR(CDCl3 ):198.37,168.16,125.12 ,106.44,90.40,50.06,41.44.38.66,30.6 0,27.20,24.54,23.63,20.70。
【0027】上記のMS及びIRスペクトルから、8,
9−デヒドロテアスピロンからの変換生成物は、OH−
基が導入されていることがわかった。
【0028】13C−NMRスペクトルは、炭素数が13
個であること、8位の炭素のケミカルシフトが変換前の
93.73ppm から30.60ppm へと高磁場側にシフ
トし、かつ変換前のCH−炭素がCH2 −炭素に変化し
たこと、さらに9位の炭素のケミカルシフトが変換前の
155.06ppm から106.44ppm へと高磁場側に
シフトし、変換前のCH−炭素がC−炭素に変化したこ
とを示しており、これから9位の炭素にOH基が結合し
ていることがわかった。
【0029】さらに、 1H−NMRスペクトルは、変換
前の二重結合に由来する4.51 ppm の8位のプロト
ンが消失しており、7位のメチレンプロトンが高磁場側
にマルチプレットとしてシフトしていることを示してお
り、これからも9位の炭素にOH基が結合していること
がわかる。
【0030】以上の測定結果及び該変換生成物が8,9
−デヒドロテアスピロンのみから生成することから、該
変換生成物を9−ハイドロオキシ−テアスピロン(I)
と決定した。
【0031】実施例2 実施例1で得た9−ハイドロオキシ−テアスピロン
(I)の添加量がたばこ刻みの単位重量あたり0.01
ppm 及び100ppm になるようにエタノールに適宜溶解
し、紙巻きたばこ用葉組のたばこ刻みにスプレーにより
均一に添加した。この後、2日間室温(25℃)に放置
して、たばこ刻みに化合物(I)を十分馴染ませた後、
シガレットの形態に巻き上げて、加香品を得た。
【0032】得られた加香品を、化合物(I)を添加し
ていない無加香品との2点識別試験法によって、香味及
び煙量感・のみごたえについて20名のたばこの喫味専
門のパネルによって官能試験を行った。その結果を下記
表1に示す。
【0033】 表1 区分 香味 煙量感・のみごたえ 加香品 0.01ppm 19 19 100ppm 19 19 無加香品 1 1 *数字は良いとしたパネルの人数を示す。
【0034】上記表1から明らかなように、加香品の場
合には、0.01ppm 及び 100ppm のいずれの添加
量においても、香味及び煙量感・のみごたえが両方とも
に増加し、優れたたばこ香喫味の改善効果を有すること
が確認された。
【0035】これに対して、無加香試験検体において
は、香味及び煙量感・のみごたえのいずれの点について
も改善が見られなかった。
【0036】
【発明の効果】以上説明した如くに、本発明の製造方法
によれば、たばこ刻み等に少量添加することによって、
たばこに優れた香喫味を容易に付与ないし増強すること
ができ、たばこ製品の品質を容易に向上し得る9−ハイ
ドロオキシ−テアスピロンを製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須原 静雄 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日 本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所 内 (72)発明者 篠崎 靖宏 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日 本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所 内 (72)発明者 重松 仁 神奈川県横浜市緑区梅が丘6番地2 日 本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所 内 (56)参考文献 特開 昭59−130162(JP,A) 特開 昭64−66178(JP,A) 特開 平2−129139(JP,A) 特開 昭58−83688(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 17/04 C07D 307/94 A24B 15/40 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β−ダマスコンにアスペルギルス属に属
    する菌を作用させて化1に示す一般式(I)で示される
    9−ハイドロオキシ−テアスピロンに変換することを特
    徴とする9−ハイドロオキシ−テアスピロンの製造方
    法。 【化1】
JP7869891A 1991-02-21 1991-02-21 9−ハイドロオキシ−テアスピロンの製造方法 Expired - Lifetime JP3061436B2 (ja)

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