JP3058247U - 痰壺および痰壺用吸液材 - Google Patents

痰壺および痰壺用吸液材

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JP3058247U
JP3058247U JP1998007760U JP776098U JP3058247U JP 3058247 U JP3058247 U JP 3058247U JP 1998007760 U JP1998007760 U JP 1998007760U JP 776098 U JP776098 U JP 776098U JP 3058247 U JP3058247 U JP 3058247U
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垣 隆 造 石
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石垣 隆造
小峰 啓次
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Abstract

(57)【要約】 【課題】使用中に揺らしたり傾けたりしても内部に溜ま
った痰唾液が外部に溢れ出さず、使用後は洗浄作業や後
始末が不要で、そのまま使い捨てにできる手軽で安価な
痰壺を提供する。 【解決手段】痰唾を吐き入れる容器本体(2)とその口
を密閉する蓋(3)とから成る可燃性の蓋付きカップ容
器(1)内に、痰唾を瞬時にゲル化してゼリー状に固め
る高吸水性樹脂を主材とする吸液材(4)が装填された
痰壺。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、痰や唾を吐き入れる容器である痰壺に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般の痰壺は、痰唾を吐き入れる円筒状の容器と、当該容器の口にかぶせ てその内部に溜まった痰唾液を露呈させないように隠すと共に、人が吐き出す痰 唾を受けて中心に開口する円形の穴から容器内に落とし込む漏斗状の受皿とで構 成されている。
【0003】この種の痰壺は、病院の入院患者が各々ベッドの枕元などに置いて 使用する小型のものと、大勢の人が利用するホテル、駅、デパート、オフィスな どのトイレ・洗面所のフロアに設置される大型のものとがあるが、いずれも、表 面に汚れが付着しにくく、付着した汚れも落としやすい琺瑯仕上げの鉄器又は磁 器で作られており、痰唾液が一定以上溜まると、その痰唾液を下水などへ廃棄し て、容器と受皿の全体を洗浄するようにしている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、痰乃至血痰は、経口感染によってうつるA型肝炎ウィルス、血 液に触れて感染するB型肝炎ウィルスや、肺炎症状を引き起こす病原菌などで汚 染されていることがあり、それら病原菌が痰壺の洗浄作業を行う病院の看護婦や ヘルパー等の医療従事者に感染するおそれがあった。
【0005】しかも、黄緑色がかった粘液性汚物である痰や、それに血液が混じ った血痰は、見た目が汚い上、痰壺内に溜まっている間にバイ菌が繁殖してムッ とするような不快な臭気を放つので、痰壺を毎日のように洗浄しなければならな い看護婦等にとって、その洗浄作業は非常に過酷なものとなっていた。
【0006】特に、気管支炎や肺炎、肺結核を患った患者や、消化器系疾患等で 麻酔手術を受けた術後患者などは、頻繁に痰を吐くため、それら患者が多く入院 する大病院では、痰壺の使用頻度が著しく、その洗浄作業の負担も大きかった。
【0007】また、病院の入院患者が手に持ってベッドの上などで使う小型の痰 壺は、その使用の際に、揺れたり、傾いたりして、内部に溜まった痰唾液が溢れ 出し、患者の衣服や寝具などを汚すおそれがあった。
【0008】なお、痰壺を手に持つこともできない患者には、看護婦やヘルパー が口元に膿盆を当てて痰を吐かせるようにしているが、膿盆は、底の浅い平皿で あるから、これを片手に持って病室のドアを開け閉めしたり、病院内の廊下を歩 行する際などに痰唾液が溢れ落ちるおそれがあった。
【0009】また、琺瑯仕上げの鉄器や磁器で成る痰壺は、決して高価なもので はないが、使用後の後始末が大変で手軽に使用できないためか、これを常備する 一般家庭は極めて少なく、大方は病床の枕元に置いたティッシュペーパーなどで 痰を拭っており、風邪をこじらせて痰が頻繁に出るときは大量のティッシュ屑が 発生していた。
【0010】そこで本考案は、使用中に痰唾液が溢れ出すおそれがなく、使用後 の洗浄作業や後始末が不要で、そのまま使い捨てにできる手軽で安価な痰壺を提 供することを技術的課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本考案の痰壺は、痰唾を吐き入れる容器本体と その口を密閉する蓋とから成る可燃性の蓋付きカップ容器と、当該カップ容器内 に装填される吸液材との組合せで構成されると共に、当該吸液材の主材が、痰唾 をゲル化してゼリー状に固める高吸水性樹脂であることを特徴する。
【0012】この痰壺は、蓋付きカップ容器の蓋を開けてそのカップ容器内に吐 き入れた痰唾が、カップ容器内に装填された吸液材により瞬時に水分を吸収され てゼリー状に固められるので、使用中に揺らしたり傾けたりしても痰唾液が溢れ 出すおそれはない。また、カップ容器の蓋を閉じれば、そのカップ容器を逆さに しても、痰唾液が漏れ出すことはない。
【0013】また、ゴミとして焼却可能な可燃性の蓋付きカップ容器と吸液材で 構成されているから、使用後は、洗浄して再使用せずにそのまま使い捨てにする ことができる。
【0014】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施形態を図面によって具体的に説明する。 図1は本考案の痰壺を成す蓋付きカップ容器と吸液材の一例を示す斜視図、図 2はその吸液材の構造を模式的に示す断面図、図3は吸液材の変形例を示す斜視 図、図4はその吸液材の構造を模式的に示す断面図である。
【0015】図1の蓋付きカップ容器1は、痰唾を吐き入れる容器本体2が、手 で掴む程度では簡単に潰れたり変形することのない定形性の良い発泡ポリスチレ ンで成形され、その容器本体2の口を密閉する蓋3が、不透明もしくは着色透明 なポリエチレンやポリプロピレン等で成る硬質プラスチックフィルムで成形され ている。
【0016】このカップ容器1は、新幹線の車内で販売されるホット・コーヒー の容器などにも用いられている安価な市販品を利用したもので、容器本体2の大 きさは、開口径75mm、高さ80mm、内容量280cc程度である。
【0017】また、カップ容器1内に装填される吸液材4は、痰唾をゲル化して ゼリー状に固める高吸水性樹脂を主材とするもので、水に溶解・分散する例えば セルロース原料から成るカルボキシメチル化型の水溶紙や水分散紙Pで製袋され る袋5内に、粉末状の合成ポリマー系高吸水性樹脂6と、水溶性粉末着色剤7、 粉末状の消毒用界面活性剤8、粉末状の消臭剤9とを混合充填して密封した小袋 で形成されている。
【0018】なお、高吸水性樹脂6は、自重の1000倍程度の水を吸水保持す る能力を有したポリアクリル酸系ポリマーが用いられ、当該ポリマーは、痰唾液 を吸収すると僅か数秒〜数十秒間で膨潤ゲル化して、痰唾をゼリー状に変化させ る。
【0019】水溶性粉末着色剤7は、痰唾液を黄緑色がかった痰の色とは別色に 着色するために使用するもので、痰の色を消失させられるように、痰唾液に溶け 出した水溶液の状態で清潔感のある緑色系、青色系もしくは紫色系の色彩を呈す る色素が用いられている。なお、痰の色を消失させるだけなら、赤色系や黒色系 の色素も有効であるが、赤色は吐血をイメージさせて刺激的すぎるし、黒色も墨 を吐いたような汚さを感じさせるので好ましくない。
【0020】消毒用界面活性剤8は、痰唾液を滅菌してバイ菌の繁殖による不快 臭の発生を防止するためのもので、シャンプー等に多く用いられている刺激性の ないアルキルポリオキシエチレンエーテル(APE)やp−アルキルフェニルポ リオキシエチレンエーテル(APPE)等の非イオン系界面活性剤が用いられて いる。
【0021】消臭剤9は、痰唾液の不快臭を消したり、減じたりするもので、人 体に無害で刺激的なケミカル臭も発しない緑茶抽出物(丸善製薬社:MF)など を用いている。なお、緑茶抽出物は、日本茶の茶葉を熱水抽出してアルコールで 精製後、乾燥させて微粉末状にしたものである。
【0022】しかして、本考案の痰壺は、図1に示すようにカップ容器1の容器 本体2の口を密閉する蓋3を開けて、容器本体2内に痰唾を吐き入れると、その 痰唾液が、容器本体2内に装填された小袋状の吸液材4に付着して、その表面の 袋5を成す水溶紙もしくは水分散紙Pを溶解・分散させ、袋5内に充填された粉 末状の高吸水性樹脂6や水溶性粉末着色剤7等に接触する。
【0023】これにより、痰唾液は、その水分を吸収して瞬時に膨潤ゲル化する 高吸水性樹脂6によって容器本体2内でゼリー状に固められると同時に、その痰 唾液中に溶け出す水溶性粉末着色剤7によって黄緑色がかった痰の色とは別色の 緑色や青色、紫色に着色されるので、痰壺使用中に容器本体2の口から外部に溢 れ出るおそれはないし、黄緑色がかった痰の色が消失して、見た目の汚らしさや 気持ち悪さも感じさせない。また、カップ容器1は、容器本体2が不透明な発泡 ポリスチレンで成り、蓋3が不透明もしくは着色透明な硬質プラスチックフィル ムで成るので、内部に溜まった痰が外部から露に見えることもない。
【0024】また、容器本体2内に溜まった痰唾液は、消毒用界面活性剤8で滅 菌されると同時に消臭剤9で消臭されるので、数日間乃至1週間程度はムッとす るような不快臭を生ずることなく快適に使用できる。
【0025】また、高吸水性樹脂6や着色剤7、界面活性剤8、消臭剤9は、い ずれも粉末状であるが、これら粉末は水溶紙もしくは水分散紙Pで成る袋5内に 収められており、しかも、その袋5が痰唾液で溶解せられた箇所は高吸水性樹脂 6が痰唾液の水分を吸収して瞬時にゲル化するため、痰を吐き入れる際に、痰と 共に口から吐き出す息によって、高吸水性樹脂6や着色剤7等の粉末が容器本体 2内で舞い上がったり、容器本体2外に飛び散ったり、あるいはそれらの粉末を 痰を吐く人が鼻や口から吸い込んだりするおそれもない。
【0026】また、消毒用界面活性剤8として、非イオン系の粉末界面活性剤を 用いると、これを混合した粉末状の高吸水性樹脂6は、水分の浸透性が非常に良 くなって、容器本体2内に吐き入れられた痰唾液を全体的に隈なく瞬時にゲル化 させることができるという特に優れた効果がある。
【0027】次に、容器本体2内に高吸水性樹脂6の吸水容量に達する量の痰唾 液が溜まった使用済みのカップ容器1は、容器本体2の口に蓋3をした状態でゴ ミとして廃棄するが、これを炭素と酸素からできたポリプロピレン、ポリエチレ ン又はポリスチレン系のプラスチックで成形すれば、焼却処分してもダイオキシ ン発生のおそれはない。
【0028】また、カップ容器1と吸液材4で成る痰壺は、安価で、使用後の後 始末が不要な使い捨て商品として、インスタント食品のカップ麺などを買うよう な購入感覚で気軽に買い求めることができるので、病院用に限らず、一般家庭用 の常備品としても多大な需要が見込めるという経済的効果がある。
【0029】なお、カップ容器1は、プラスチック容器に限らず、紙にパラフィ ン・ワックス類を含浸させた加工紙もしくは紙に合成樹脂フィルムを貼り合わせ た加工紙で成る耐水性の紙容器であっても良く、当該紙容器としては、アイスク リーム用カップ容器として使われている安価な市販品が好適である。
【0030】また、カップ容器1の内部に装填させる吸液材は、図1及び図2に 示すような小袋状の吸液材4に限らず、図3及び図4に示すような積層シート状 の吸液材4’であっても良い。
【0031】この吸液材4’は、表層が、水に溶解・分散する水溶紙もしくは水 分散紙Pで形成され、中層が、繊維状のセルロース系高吸水性樹脂10に粉末状 の合成ポリマー系高吸水性樹脂6と水溶性粉末着色剤7を混合したものを水溶性 粉末接着剤11で固めたウェッブWで形成されている。
【0032】ウェッブWは、繊維状のセルロース系高吸水性樹脂10として、カ ルボキシメチル化した繊維長 0.8〜1.5mm 程度の繊維状カルボキシメチルセルロ ースを用い、水溶性粉末接着剤11として、131℃で熱接着性を示すポリオレ フィン系粉末接着剤を用い、これらと粉末状高吸水性樹脂6及び水溶性粉末着色 剤7を空気流中に均一分散させた状態で混合して、自重降下により所定の厚さに 降り積もらせた後、加圧及び加熱して形成されたものである。
【0033】そして、吸液材4’は、カップ容器1の容器本体2内の底に嵌め付 け可能な円形状に打ち抜かれて、その容器本体2の底に敷いた状態に装填される ようになっている。
【0034】しかして、カップ容器1の容器本体2内に痰唾を吐き入れると、そ の痰唾液が、吸液材4’の表層を成す水溶紙もしくは水分散紙Pを溶解・分散さ せて、中層を成すウェッブW中に毛細管現象によって速やかに浸透し、そのウェ ッブWを形成する繊維状の高吸水性樹脂10と粉末状の高吸水性樹脂6によって ゼリー状に固められると同時に、水溶性粉末着色剤7によって青色等に着色され る。
【0035】この吸液材4’も、容器本体2内に痰唾を吐き入れる際に繊維状の 高吸水性樹脂10や粉末状の高吸水性樹脂6、水溶性粉末着色剤7等が舞い上が ったり飛び散ったりするおそれはない。
【0036】
【考案の効果】
本考案による痰壺は、これを手に持って使用する際に揺らしたり傾けたりして も、その内部に溜まった痰唾液が外部に溢れ出したり周辺に飛び散って衣服や周 囲を汚すおそれがなく、また、コストが安く、使用後の洗浄作業や後始末が不要 で、そのまま使い捨てにすることができるので、病院に勤務する看護婦や入院患 者を介護するヘルパーの仕事の負担が大幅に軽減されるという大変優れた効果が ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の痰壺を構成する蓋付きカップ容器と吸
液材の一例を示す斜視図。
【図2】図1の吸液材の構造を模式的に示す断面図。
【図3】本考案に係る吸液材の変形例を示す斜視図。
【図4】図3の吸液材の構造を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
1・・・・・蓋付きカップ容器 2・・・・・容器本体 3・・・・・蓋 4・・・・・吸液材 4’・・・・吸液材 5・・・・・袋 6・・・・・粉末状の高吸水性樹脂 7・・・・・水溶性粉末着色剤 8・・・・・消毒用界面活性剤 9・・・・・粉末状の消臭剤 10・・・・・繊維状の高吸水性樹脂 11・・・・・水溶性粉末接着剤 P・・・・・水溶紙もしくは水分散紙 W・・・・・ウェッブ

Claims (9)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 痰唾を吐き入れる容器本体(2)とその
    口を密閉する蓋(3)とから成る可燃性の蓋付きカップ
    容器(1)と、当該カップ容器(1)内に装填される吸
    液材(4,4’)との組合せで構成されると共に、当該
    吸液材(4,4’)の主材が、痰唾をゲル化してゼリー
    状に固める高吸水性樹脂(6,10)であることを特徴
    とする痰壺。
  2. 【請求項2】 前記カップ容器(1)が、ポリプロピレ
    ン、ポリエチレン又はポリスチレン系のプラスチックで
    成形された不透明もしくは着色透明なプラスチック容器
    である請求項1記載の痰壺。
  3. 【請求項3】 前記カップ容器(1)が、紙にパラフィ
    ン・ワックス類を含浸させた加工紙もしくは紙に合成樹
    脂フィルムを貼り合わせた加工紙で成る耐水性の紙容器
    である請求項1記載の痰壺。
  4. 【請求項4】 前記吸液材(4)が、水溶紙もしくは水
    分散紙(P)で製袋される袋(5)内に粉末状の高吸水
    性樹脂(6)と水溶性粉末着色剤(7)を充填密封した
    小袋で成る請求項1、2又は3記載の痰壺。
  5. 【請求項5】 前記吸液材(4’)が、表層が水溶紙も
    しくは水分散紙(P)で形成され、中層が繊維状の高吸
    水性樹脂(10)に粉末状の高吸水性樹脂(6)を混合
    したウェッブ(W)で形成された積層シートで成る請求
    項1、2又は3記載の痰壺。
  6. 【請求項6】 水溶紙もしくは水分散紙(P)で製袋さ
    れる袋(5)内に粉末状の高吸水性樹脂(6)と水溶性
    粉末着色剤(7)が充填密封された小袋で成ることを特
    徴する痰壺用吸液材。
  7. 【請求項7】 前記高吸水性樹脂(6)に粉末状の消毒
    用界面活性剤(8)が混合されている請求項6記載の痰
    壺用吸液材。
  8. 【請求項8】 前記消毒用界面活性剤(8)が、非イオ
    ン系界面活性剤である請求項7記載の痰壺用吸液材。
  9. 【請求項9】 前記水溶性粉末着色剤(7)が、水溶液
    状態で緑色系、青色系もしくは紫色系の色彩を呈する色
    素で成る請求項6、7又は8記載の痰壺用吸液材。
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