JP3057597B2 - 高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対型ケーブル - Google Patents

高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対型ケーブル

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JP3057597B2
JP3057597B2 JP7035680A JP3568095A JP3057597B2 JP 3057597 B2 JP3057597 B2 JP 3057597B2 JP 7035680 A JP7035680 A JP 7035680A JP 3568095 A JP3568095 A JP 3568095A JP 3057597 B2 JP3057597 B2 JP 3057597B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無遮蔽対型ケーブルを対
象とし、特に高速度デジタル信号を伝送するのに適し
高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対型ケーブルに関
するものであり、より詳しくは安定した伝送特性を有す
ると共に布設状態等によって伝送特性に影響を受けるこ
との少ない有利な高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対
型ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、LAN(Local Area
Network)用ケーブルとしては、一対撚線又は
多対撚線群を束ねてこれらの周囲に一括シースを形成し
た無遮蔽対型ケーブルが使用されている。そしてこの種
のLAN用ケーブルは、建物のフロア間を垂直に布設さ
れたり、或いは天井裏の空間、即ちプレナブ部に水平
に、しかも金属コンジットなしで布設されるのが普通で
あることから、若し万一火災等が発生した場合には、こ
の布設されたケーブルが延焼の媒介物となる危険性があ
る。
【0003】従って、この種ケーブルには難燃性が要求
され、例えば絶縁体の構成材料として弗素樹脂等の燃え
にくい材料が使用されたり、或いは一括シースとして難
燃性の高いポリ塩化ビニルなどが使用されているが、周
知のようにこれらハロゲン含有材料は塩化水素や弗化水
素等の有毒有色ガスを発生させることから、人体に対し
て危険であると共に避難行動や消火活動の妨げとなり、
更にはコンピュータ回路や通信装置等を腐食するなど大
きな二次災害を招く要因ともなるものである。
【0004】一方、本発明の過程において、次のことが
発見され、確認されている。即ち、この無遮蔽対型ケー
ブルには近年におけるLANの益々の高速化もあって高
い伝送特性が要求されており、その伝送特性としては情
報信号速度が10Mb/sから100Mb/s(TPD
DI LAN)という高速度のディジタル信号伝送特性
が求められているが、この信号伝送特性とケーブルの難
燃性とは互いに相反する性質があり、ハロゲンの有無に
関係なく難燃性を高めて行くとケーブルの伝送損失が大
きくなって高速度のディジタル信号伝送特性が著しく損
なわれる。
【0005】又、高速度のディジタル信号伝送を要求さ
れるこの種ケーブル特有の問題として布設状態の違いに
よる伝送特性の変動の問題がある。この問題はこのケー
ブルが前述のような様々な状態で建物の中に布設される
ことから招来されるもので、この種ケーブルにとっては
緊急に解決を要する大きく且つ厄介な問題である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来の無遮
蔽対型ケーブルにおける問題に対してはこれまでにもそ
の解決のための多くの施策が提案され、一応活用されて
来てはいるが、未だ十分な解決策はない。従って、本発
明の目的とするところは、安定した伝送特性を備え、そ
の伝送特性が難燃特性に影響を受けることがなく、しか
も布設状態によっても影響を受けることのない有利な
速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対型ケーブルを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達
成するために、導体上に絶縁体を形成した電線を対撚り
し、この対撚線の複数本を束ねてその周囲に一括シース
を形成してなるケーブルにおいて、前記絶縁体が150
MHzで1×10−2以下の誘電正接を有すると共に少
なくとも0.3kgf/mmの2%モジュラスを有す
ることを特徴とする高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽
対型ケーブルを提供するものである。
【0008】また、前記の目的を達成するために、導体
上に絶縁体を形成した電線を対撚りし、この対撚線の複
数本を束ねてその周囲に一括シースを形成して成るケー
ブルにおいて、前記絶縁対が150MHzで1×10-2
以下の誘電正接を有すると共に少なくとも0.3kgf
/mm2 の2%モジュラスを有し、且つ非ハロゲン系難
燃組成物から構成される層を有してもよい。
【0009】前記絶縁体が複数の層によって構成され、
この複数の層には前記非ハロゲン系難燃組成物とは異な
る材質の層を有してもよい。また、前記一括シースが1
50MHzにおける誘電正接が2×10-2以下であると
ころの非ハロゲン系難燃組成物によって構成されていて
もよい。前記絶縁体が主鎖にオレフィンを重合した単位
を有するポリマか若しくは主鎖にシロキサン結合を有す
るポリマの何れか一方或いはこれら両者とポリフェニレ
ンオキサイドとを混合せしめて成る非ハロゲン系難燃組
成物から構成される層を有してもよい。
【0010】前記絶縁体が主鎖にオレフィンを重合した
単位を有するポリマか若しくは主鎖にシロキサン結合を
有するポリマの何れか一方或いはこれら両者とポリフェ
ニレンオキサイドとを混合せしめて成る組成物100重
量部に対して1〜300重量部の非ハロゲン系難燃組成
物を添加して成る非ハロゲン系難燃組成物から構成され
る層を有してもよい。
【0011】前記絶縁体が主鎖にオレフィンを重合した
単位を有するポリマか若しくは主鎖にシロキサン結合を
有するポリマの何れか一方或いはこれら両者と主鎖に芳
香環を有するポリマを混合せしめて成る非ハロゲン系難
燃組成物から構成される層を有してもよい。前記絶縁体
が主鎖にオレフィンを重合した単位を有するポリマか若
しくは主鎖にシロキサン結合を有するポリマの何れか一
方或いはこれら両者と主鎖に芳香環を有するポリマを混
合せしめて成る組成物100重量部に対して1〜300
重量部の非ハロゲン系難燃剤を添加して成る非ハロゲン
系難燃組成物から構成される層を有してもよい。
【0012】前記絶縁体が主鎖にオレフィンを重合した
単位を有するポリマ100重量部に対して1〜300重
量部の非ハロゲン系難燃剤を添加して成る非ハロゲン系
難燃組成物から構成された層を有してもよい。
【0013】本発明において使用されるポリフェニレン
オキサイドとは、次の一般式によって表される物質であ
り、150MHzにおいて6×10-4(0.06%)の
誘電正接を有する物質である。
【0014】
【化1】
【0015】又、主鎖に芳香環を有するポリマとして
は、上記ポリフェニレンオキサイドの他、例えば、ポリ
イミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、ポ
リエーテルイミド−シリコン共重合体、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、芳香族ポ
リアミド、ポリアリレート、無水マレイン酸変性ポリフ
ェニレンオキサイド、ポリエーテルエーテルケトン等が
使用され、これらは夫々単独又は併用の形で使用され
る。
【0016】尚、これら主鎖に芳香環を含有するポリマ
とは、燃焼時に急速に炭化を促進させる性質を有してい
ることから、高い難燃性を備えており、従ってこれを使
用する絶縁体やシースに対して良好な難燃特性を付与す
ることができる。そして更にこれらの材料は、分子構造
の中に塩素や弗素のような有毒ガス発生因子を含んでい
ないことから、難燃性と有毒ガスの問題に対して同時に
対応できるという点で極めて特徴的な材料である。特に
ポリフェニレンオキサイドは、主鎖に芳香環を含有する
他のポリマに比べ難燃特性を同等のものとした場合に誘
電正接、誘電率等の電気特性に優れている。
【0017】本発明に謂う主鎖にオレフィンを重合した
単位を有するポリマとは、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリ
レート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−ブテン−1共重合体、エチレン−メチルアクリレ
ート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共
重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン
−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−エチレン
ブチレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−
エチレンブチレンジブロック共重合体、スチレン−エチ
レンプロピレン−スチレントリブロック共重合体、スチ
レン−エチレンプロピレンジブロック共重合体等の各種
オレフィン系ポリマを意味し、これらも同じく単独若し
くは二種以上の混合体の何れかの形で使用される。
【0018】又、主鎖にシロキサン結合を有するポリマ
としては、例えばポリジメチルシロキサンやポリメチル
ビニルシロキサン或いはポリメチルフェニルシロキサン
等が使用され、このシロキサン含有ポリマと前記したオ
レフィン重合単位を有するポリマとは、高い難燃性を有
するポリフェニレンオキサイドを初めとする主鎖に芳香
環を含有するポリマとに対して良好な加工性と伸び特性
或いは誘電特性等を付与するために使用される。
【0019】シロキサン含有ポリマは単独又はオレフィ
ン系ポリマとの併用の形で使用されるが、シロキサン含
有ポリマ自体が良好な難燃性を備えている点でオレフィ
ン系ポリマとは異なる性質を有するものである。
【0020】非ハロゲン系難燃剤としては、例えばリン
化合物や水和金属化合物或いは酸化金属化合物等が使用
され、これらの難燃剤も他の成分と同様、単独か二種以
上組み合わされて使用される。リン化合物の例としては
赤リン、フォスフェートエステル、フォスフォネート、
フォスフォリネン等を挙げることができ、水和金属化合
物としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
ハイドロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、
水酸化カルシウム、水酸化スズ、水酸化バリウム、ハー
ドクレー等を挙げることができる。又、これら物質の耐
水性を考慮して脂肪酸またはその金属塩或いはシラン乃
至チタネート系カップリング剤によって処理することは
当然考えられることである。
【0021】尚、酸化金属化合物としては、例えば酸化
アンチモン、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化ジルコニ
ウム等が使用される。
【0022】必要に応じて組成物の中に酸化防止剤、滑
剤、界面活性剤、着色剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤
等を加えることは何等差し支えなく、又、以上の組成物
によって構成される絶縁体を分子間架橋することは当然
考えられる実施形態であり、その場合架橋のための手段
としては、有機過酸化物による化学的架橋法、シラング
ラフトによる所謂水架橋、或いは電離性放射線による照
射架橋などが採用される。
【0023】絶縁体を発泡させることも本発明における
一つの有力な実施形態であり、そのための方法としては
例えば組成物への窒素ガス等の溶入に基づくガス発泡、
或いはアゾジカルボンアミド等を添加してこれを加熱
し、ガス発泡させる化学発泡等が採用される。特に限定
されるものではないが、絶縁体の2%モジュラス値を
0.3kgf/mm2 以上にするためには、ポリフェニ
レンオキサイドを初めとする主鎖に芳香環を有するポリ
マと、主鎖にオレフィンを重合した単位を有するポリマ
及び(又は)主鎖にシロキサン結合を有するポリマとの
混合比率を、前者40〜95重量部に対して後者60〜
5重量部の範囲内に設定することが望ましい。
【0024】本発明に謂う2%モジュラスとは、図3の
グラフのように横軸に伸びを、縦軸に応力を設定し、引
張速度10mm/分にて引張試験を行った場合における
横軸の伸び2%時の応力値を示したもので、本発明にお
いてはこのモジュラスの最適値を解明した点に大きな特
長を有している。即ち、従来のケーブルにおいての大き
な問題点であったケーブル布設状態を原因とした伝送特
性の変動がこのモジュラス値によって大きく防止される
ことが本発明によって発見され、そしてこの効果が2%
モジュラス値を0.3kgf/mm2 以上に設定したと
きに顕著に現れることが確認されたものである。
【0025】このことの成果については後述する実施例
において具体的に実証されるが、この2%モジュラス値
の最大値については得られるケーブルの硬さを考慮して
50kgf/mm2 に設定することが望ましい。
【0026】本発明においては絶縁体を構成する組成物
の誘電正接値が極めて重要な意味を有している。無遮蔽
対型ケーブルは当該ケーブルの難燃性を高めるほどにそ
の伝送特性を低下させること、そしてこのことが本発明
の過程において発見され、確認されたことは先に述べた
が、同時にこの伝送特性が特定の周波数帯域下において
一定の誘電正接特性を備えるときに極めて安定化するこ
とも本発明の過程において発見されている。
【0027】即ち、150MHzにおける誘電正接が1
×10-2(1%)以下の材料を以てケーブルの絶縁体を
構成する場合には難燃化に伴う伝送損失の増大を防ぐう
えで極めて大きな効果があること、そして更にこれが一
括シースの場合には同じ周波数帯域下において2×10
-2(2%)以下の誘電正接を有するときに同様に大きな
効果が得られることが本発明によって解明されたもので
ある。
【0028】主鎖にオレフインの重合単位を有するポリ
マに対しては難燃性を付与し、そしてポリフェニレンオ
キサイドを初めとする主鎖に芳香環を有するポリマやシ
ロキサン結合を有するポリマなどに対しては、これらが
本来具備する難燃性をより一層高い水準へと位置づける
うえで優れた効果を発揮する非ハロゲン系難燃剤は、添
加対象物100重量部に対して1〜300重量部の範囲
内において使用することが肝要である。
【0029】若し添加量がこれ以下の場合には混入の効
果が得られず、逆にこの範囲を超過するとケーブルの伝
送特性に大きな悪影響を与え、好ましくない。一括シー
スの材料としては、非ハロゲン系難燃組成物を用いるの
が好ましく、その組成物としては、例えば、主鎖にオレ
フィンを重合した単位を有するポリマか若しくは主鎖に
シロキサン結合を有するポリマの何れか一方或いはこれ
ら両者と、ポリフェニレンオキサイドまたは主鎖に芳香
環を有するポリマとを混合せしめて成る組成物や、この
組成物100重量部に対して1〜300重量部の非ハロ
ゲン系難燃剤を添加して成る組成物や、主鎖にオレフィ
ンを重合した単位を有するポリマ100重量部に対して
1〜300重量部の非ハロゲン系難燃剤を添加してなる
組成物などが挙げられる。
【0030】
【作用】絶縁体及び一括シース構成組成物の高周波帯域
における誘電正接を、解明された夫々の特定値以下に設
定する結果、ケーブルの難燃化に伴う高速度ディジタル
信号伝送特性の悪化を大きく抑制することが可能とな
る。
【0031】又、絶縁体と一括シースを構成する組成物
のモジュラスを、同様に解明された一定の水準以上に設
定せしめることが、布設状態により加わる様々な捩れや
屈曲等に対しての高い抵抗力をケーブルに付与する結果
となり、従ってこのことがケーブル構造の崩れや、絶縁
体の潰れ等を原因として起こる導体間距離の近接化やそ
れによる静電容量の増大化、そしてそのことを原因とし
て発生していたケーブルの伝送特性の変動を未然に防止
する作用をもたらし、その結果布設状態の影響を受けに
くい安定した無遮蔽対型ケーブル線路の構築を可能なら
しめることになる。
【0032】そして絶縁体若しくは絶縁体及び一括シー
スをポリフェニレンオキサイドを初めとする主鎖に芳香
環を有するポリマを以て構成されたケーブルは、これら
芳香族ポリマが燃焼時において急速に炭化する性質を有
していることから、結果として高い難燃性が付与される
ことになる。又、主鎖にオレフィンを重合した単位を有
するポリマ若しくはシロキサン結合を有するポリマは、
上記難燃特性をつかさどるポリフェニレンオキサイドを
初めとする主鎖に芳香環を含有するポリマに対して、こ
れら芳香族ポリマが元来備えていない加工性や伸び特性
或いは誘電特性等の実用的諸特性を与えるように作用
し、その結果全体特性の優れた絶縁体材料やシース材料
の構成が可能となる。
【0033】非ハロゲン系難燃剤には主鎖にオレフィン
を重合した単位を有するポリマを以て絶縁体やシースを
構成する場合にこれらに対して難燃性を付与する働きが
あり、更にこの物質には絶縁体やシース構成材料がポリ
フェニレンオキサイドを初めとする主鎖に芳香環を含有
するポリマを含むときに、絶縁体やシースに対してより
一層の難燃性を与える働きがある。
【0034】そしてこの難燃剤と、それ自身難燃化に寄
与する前記ポリフェニレンオキサイドを初めとする主鎖
に芳香環を含有するポリマの何れもが分子中にハロゲン
を含有していない結果、万一これらによって構成された
ケーブルが燃焼した場合においても、従来の難燃化ケー
ブルにおいて問題とされていたような有毒ガスを発生を
させることは起こり得ない。
【0035】絶縁体の層を構成する材質は、上述した非
ハロゲン系難燃組成物の中でも特に、ポリフェニレンオ
キサイドを含有する組成物を用いるのが好ましい。ポリ
フェニレンオキサイドは、上述したように誘電正接も含
め誘電率等の他の電気的特性においても優れているた
め、これを含有する組成物を電気的特性を最も受けやす
い導体上の絶縁体に用いることによって、高速度のディ
ジタル信号伝送においても低伝送損失の優れたケーブル
を達成することができる。
【0036】また、一括シースを構成する材質は、上述
した非ハロゲン系難燃組成物の中でも特に、主鎖にオレ
フィンを重合した単位を有するポリマ100重量部に対
して1〜300重量部の非ハロゲン系難燃剤を添加して
成る組成物を用いるのが好ましい。当該組成物は、非ハ
ロゲン系難燃剤以外に主鎖にオレフィンを重合した単位
を有するポリマしか含有していないため、他の非ハロゲ
ン系難燃組成物に比べ、伸び、可撓性が良く、加工性、
押出作業性に優れており、また、価格も安く、ケーブル
の一括シースの材質として最適である。さらに、その組
成物を一括シースに用いると共に、絶縁体の層を構成す
る材質として、ポリフェニレンオキサイドを初とする主
鎖に芳香環を有する融点が高いポリマが含有された上述
の非ハロゲン系難燃組成物を用いた場合においては、絶
縁体を構成するその組成物よりも一括シースを構成する
組成物の方が融点が低くなり、一括シースの成形温度を
絶縁体の融点よりも低くすることができるため、一括シ
ースの押出被覆時の熱により、導体上の絶縁体を溶融さ
せることのない品質の優れたケーブルを提供することが
出来る。
【0037】このようなことから、絶縁体の層を構成す
る材質には上述した非ハロゲン系難燃組成物の中でも特
に、ポリフェニレンオキサイドを含有する組成物を用
い、一括シースを構成する材質には上述した非ハロゲン
系難燃組成物の中でも特に、主鎖にオレフィンを重合し
た単位を有するポリマ100重量部に対して1〜300
重量部の非ハロゲン系難燃剤を添加して成る組成物を用
いれば、最も性能の優れたケーブルを構成することが出
来る。
【0038】
【実施例】表−1〜3に本発明無遮蔽対型ケーブルの各
実施例における絶縁体及び一括シース構成材料の配合組
成と、比較例の配合組成とを示す。実施例及び比較例と
も、次の方法によって図1に示される構造のケーブルを
製造した。
【0039】外径0.5mmの銅導体1を19mm押出
機に導入し、200〜400°Cの温度のもと、表−1
〜3の各組成物から構成される0.25mm厚の絶縁体
2を押出被覆した。次にこのようにして得られた電線3
を2本撚合わせて対撚線4を作り、更にこの対撚線4を
25本束ねた上に、表−1〜3に示された組成から成る
一括シース5を0.7mm厚に押出被覆し、夫々所定の
各100m長の無遮蔽対型ケーブルを製造した。 又、
180〜350℃の電熱プレスを使用して、表−1〜3
の各組成物から構成される0.5mm厚の各シートサン
プルを作成した。
【0040】図2は本発明の実施例が適用できる他のケ
ーブルの構造例を示したもので、絶縁体2が表−1〜3
の組成から成る内層2aと外層2bとによって構成され
ている点以外は、作り方、構造、寸法とも図1のケーブ
ルと同じである。
【0041】表−1〜3下方の評価欄に示した特性は、
以上製造された各無遮蔽対型ケーブルを対象に実施した
特性試験結果をまとめたものである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】(1)表−1〜3とも各成分の配合単位は
重量部である。 (2)表中*1〜8は以下の通りである。
【0046】*1:固有粘度
【η】=0.46 I.V.(クロロホルム,25℃)

GEプラスチックス *2:ウルテム 1000 ;GEプラスチックス *3:KE−76;信越化学 *4:ミラソン 3530 ;三井石油化学 *5:クレイトンG−1652 ;シェル化学 *6:密度 0.89 、溶融指数 1.0 *7:キスマ 5A ;協和化学 *8:イルガノックス 1010 ;チバガイギー (3)誘電正接(tanδ)はシートサンプルを対象に
して150MHzのもと、インピーダンスアナライザ
(横河ヒューレットパッカード社製)を使用して、容量
法により測定した。
【0047】(4)伝送損失αはネットワークアナライ
ザ(横河ヒューレットパッカード社製)を使用して0.
064MHz〜100MHzの周波数帯域において総べ
ての対撚線4を対象に測定し、何れの対撚線においても
α(db/100m)=1.967√f+0.023f
+0.050/√f〔fは周波数(MHz)〕以下を満
足するものを合格(○)とし、これ以上の値が認められ
たものを不合格(×)とした。
【0048】(5)2%モジュラスは、電線3から導体
1を抜き取った絶縁体2を対象に、チャック間距離50
mm、引張速度10mm/分の条件のもとで引張試験を
行うことによって求めた。図3に伸び(%)と応力(Kg
f/mm2)の関係を示した。 (6)屈曲試験は、各ケーブル100mの中に3m以上
の間隔で20点を定め、これら全部の個所を対象として
実施した。試験はケーブル外径の10倍に相当する直径
140mmのマンドレルにケーブルを当て、これを1往
復当たり10秒の速度で1,000往復屈曲させた。然
る後このケーブルを対象に総べての対撚線4の伝送損失
αを測定し、前記(4)項と同一基準のもと、合否判定
を行った。(4)項同様○は合格、×は不合格を意味す
る。
【0049】(7)難燃性はIEEE規格383に準拠
して先ず2.4mのケーブルを規定本数垂直に並べ、次
に下方0.6mの位置からこれに70,000BTU/
hの炎を20分間当て、その後炎を取り去ったときに
1.8m未満の延焼で自己消炎したものを良(○)、そ
うでないものを不良(×)とした。 (8)燃焼時におけるハロゲン化水素の発生有無試験
は、JCS(日本電線工業規格)C第53号に準拠して
行い、絶縁体2又は一括シース5からハロゲン化水素ガ
スの発生が認められるのを不良(×)、認められれない
ものを良(○)とした。
【0050】(9)表−1〜3の最下欄にある総合評価
は、以上の(4)及び(6)〜(8)の試験結果をまと
めたもので、○は合格、×は不合格を意味する。
【0051】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、比
較例1〜5の無遮蔽対型ケーブルが屈曲試験前後におけ
る伝送損失或いは難燃特性の何れかの特性において問題
を有しているのに対し、本発明に基づく実施例1〜10
の無遮蔽対型ケーブルはその何れもが屈曲試験前後の伝
送損失及び難燃特性の双方において良好な結果を示して
いることが認められるが、このことは絶縁体や一括シー
スを構成する組成物に対してケーブルの難燃化の影響を
受けない本発明特有の条件を設定し得たこと、即ち15
0MHzにおける静電正接が1×10-2以下という特定
の条件が伝送特性を維持するうえで有利に影響すること
を解明し得たことが作用しているものであり、更には絶
縁体を構成する材料の2%モジュラスを0.3kgf/
mm2 以上に設定することによってケーブル付設状態に
よる屈曲や潰れを原因とした伝送特性の変動を防止し得
ることを解明した結果が効果となって現れているもので
ある。
【0052】以上のように本発明による無遮蔽対型ケー
ブルは優れた伝送特性と難燃性とを同時に備え、更に万
一の燃焼時においても有害ガスを発生させることのない
実際的な特性を有するものであり、従ってこの種ケーブ
ルの信頼性を向上させるうえにおいて本発明がもたらす
効果には極めて大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明無遮蔽対型ケーブルの実施例において製
造されたケーブルの断面図。
【図2】本発明無遮蔽対型ケーブルの他の実施例におい
て製造された他のケーブルの断面図。
【図3】2%モジュラスの説明図。
【符号の説明】
1 銅導体 2 絶縁体 2a 内層 2b 外層 3 電線 4 対撚線 5 一括シース
フロントページの続き (72)発明者 柳生 秀樹 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社パワーシステム研究所内 (56)参考文献 特開 平6−60740(JP,A) 特開 平1−313806(JP,A) 特開 平5−20934(JP,A) 特開 平2−18807(JP,A) 特開 平8−138454(JP,A) 特開 平3−265652(JP,A) 特開 平1−229071(JP,A) 特開 平3−199256(JP,A) 化学工業日報社「10889の化学商品」 1989年1月25日、P.746〜748 株式会社工業調査会(K BOOKS 75)「エンジニアリングプラスチック 活用ノート」1990年11月1日、P.114 〜125

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体上に絶縁体を形成した電線を対撚り
    し、この対撚線の複数本を束ねてその周囲に一括シース
    を形成してなるケーブルにおいて、前記絶縁体が150
    MHzで1×10−2以下の誘電正接を有すると共に少
    なくとも0.3kgf/mmの2%モジュラスを有す
    ることを特徴とする高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽
    対型ケーブル。
  2. 【請求項2】導体上に絶縁体を形成した電線を対撚り
    し、この対撚線の複数本を束ねてその周囲に一括シース
    を形成してなるケーブルにおいて、前記絶縁体が150
    MHzで1×10−2以下の誘電正接を有すると共に少
    なくとも0.3kgf/mmの2%モジュラスを有
    し、且つ非ハロゲン系難燃組成物から構成される層を有
    することを特徴とする高速度ディジタル信号伝送用無遮
    蔽対型ケーブル。
  3. 【請求項3】前記絶縁体が複数の層によって構成され、
    この複数の層には前記非ハロゲン系難燃組成物とは異な
    る材質の層を有することを特徴とする請求項第2項記載
    高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽対型ケーブル。
  4. 【請求項4】前記一括シースが150MHzにおける誘
    電正接が2×10−2以下であるところの非ハロゲン系
    難燃組成物によって構成されたことを特徴とする請求項
    第2乃至3項記載の高速度ディジタル信号伝送用無遮蔽
    対型ケーブル。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
化学工業日報社「10889の化学商品」1989年1月25日、P.746〜748
株式会社工業調査会(K BOOKS 75)「エンジニアリングプラスチック活用ノート」1990年11月1日、P.114〜125

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