JP3051442B2 - 脱硝方法 - Google Patents

脱硝方法

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JP3051442B2
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徳男 阪本
暢人 合田
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住友ケミカルエンジニアリング株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアンモニアを用いて窒素酸化物(NOX)を還
元する脱硝方法に関する。
〔従来の技術〕
従来から、燃焼排ガス等の各種ガスに含まれる窒素酸
化物を処理するために、アンモニアを還元剤として用い
る乾式脱硝方法が広く利用されている。この技術では通
例触媒を内蔵した反応器に処理すべきガス(以下処理ガ
スと称す)を導き、処理ガス中に含まれる窒素酸化物の
量に応じてアンモニアを供給し、両者を反応させる。こ
のとき、アンモニアの供給量が不足すると未処理の窒素
酸化物が多くなってしまい、アンモニアが多すぎるとア
ンモニアが系外に排出されてしまうので、窒素酸化物量
に応じてアンモニアの供給量を的確に制御することが重
要である。
これまで通例採られてきたアンモニア供給量制御方法
は、反応器入口の処理ガスの流量および窒素酸化物濃度
から窒素酸化物量を求め、これを還元するのに化学量論
的に必要とされる量のアンモニアを供給するという方法
である。
〔発明が解決しようとする課題〕 しかしながら、処理ガス中の窒素酸化物濃度が速くか
つ大きく変動し、また窒素酸化物の組成比(NO/NO2)も
変動するような場合には、従来のアンモニア供給量制御
では対処できず、窒素酸化物あるいはアンモニアが規定
量以上に排出されてしまうという問題があった。これは
主に分析計器の精度、応答時間の遅れに起因し、また窒
素酸化物の組成比を正確に知ることが困難なこと、コス
ト上、反応器入口側におけるガス流量、反応器出口側の
未反応アンモニア濃度が測定されていないこと等の要素
にもよる。
ところで粒状触媒等はアンモニア吸着容量が大きく、
触媒層がバッファータンクとして働き、多少の窒素酸化
物量等の変動を吸収しようとする作用がある。これを利
用した技術の一例として、特公昭57−43294号公報に
は、アンモニアの吸着機能を内在する脱硝反応槽に、ア
ンモニアを触媒に吸着するように断続的に供給するとい
う方法が開示されている。しかしこのような技術では、
触媒に吸着能を期待するため、本来の触媒作用と吸着能
を独立に考えることが困難になり、設計上の自由度が制
限されること、また基本的にNOX還元に要する量を超え
るアンモニアが触媒層に蓄えられているため、出口NOX
濃度が0付近になるため、アンモニアリークのおそれが
あること等の問題がある。さらに最近の傾向としてハニ
カム状の触媒等コンパクトな触媒が採用されつつある
が、このような触媒はアンモニア吸着能が低く上記緩衝
作用は期待できず、従って上記の類の技術を適用するこ
とはできない。
本発明の目的は、前述の問題点を解決し、脱硝プロセ
スにおける大きく速い変動にも的確に対処でき、またい
かなる触媒の種類にも対応でき、窒素酸化物の排出を安
定して微量に抑え、かつアンモニアリークを回避するこ
とのできる脱硝方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を反応
器に供給し、窒素酸化物をアンモニアで還元する脱硝方
法において、反応器に供給される窒素酸化物を還元する
のに必要なアンモニアの化学量論量の一定割合量のアン
モニア、および反応器出口の窒素酸化物濃度によりフィ
ードバック制御された量のアンモニアを反応器に供給す
る脱硝方法である。
本発明においては、供給アンモニア量は2つの制御に
よって決定される。一つは、入口NOX濃度(量)によ
り、アンモニアの必要な化学量論量の一部(一定割合)
を決定するいわば副制御である。この副制御分ではアン
モニアが不足気味になるが、この不足分を、もう一つの
制御である出口NOX濃度によるフィードバック制御によ
り決定し、両者の総量を供給することで出口NOX濃度を
所定値以下にすることができる。
このフィードバック制御により、入口窒素酸化物量の
変動、NOX計の精度や応答性、NO/NO2比の変動、NH3の吸
着等による制御上の不確定要素にかかわらず、出口NOX
濃度を低く抑えることができる。また主制御及び副制御
の制御パラメータを変更することにより出口NOX濃度を
任意のレベルに設定できる(つまり微量のNOXを安定し
て排出できる)ため、NH3の供給過剰が防止され、NH3
リークを避けることができる。
アンモニア供給量は次式で表される。
(NH3供給量)=(NH3理論量)×α×β I (NH3理論量)=(NH3/NOXモル比)× (処理ガス入口流量)×(入口NOX濃度) II 式Iを変形すると、 (NH3供給量)=(NH3理論量)×α+ (NH3理論量)×α×(β−1) III 式III右辺第1項が副制御分を表し、第2項が主制御
(フィードバック制御)分を表す。次に各項について説
明する。
(NH3/NOXモル比): 一般にNOXの組成比(NO/NO2)は明かではなく、従っ
て操作条件を勘案してNOXの組成比を適宜設定(仮定)
し、NOXを還元するのに必要なNH3との化学量論比である
本項を決定する。例えば組成比を1/1とすれば、本項は
約1.17となる。
(処理ガス反応器入口流量): 流量計がある場合には本項をその測定値とすればよい
が、一般に排ガス処理においてはガス量も多く、コスト
上の理由から流量計は通例設置されない。従って通例本
項は設計流量で設定するのが適当である。
実際には、大気温度や大気湿度によってもガス量が変
化し、このため制御が難しくなる。本発明によればフィ
ードバック制御によりこのような場合でも十分対応でき
る。
(入口NOX濃度): NOX分析計による測定値とする。
α: 制御パラメータαは、βの関数形にもよるが、0.5を
超え1以下、好ましくは0.6以上0.8以下の範囲であり、
操作条件に合わせて設定する。実際には試運転時に最適
値を求めるのが適当である。定性的には入口NOX量の変
動が大きい場合ほどαを小さく設定する。
β: 制御パラメータβは1以上の値とし、出口NOXが大き
くなるほどβも大きくなるよう、出口NOX濃度の関数と
して設定する。関数の形は特に制限はなく、例えば β=a(出口NOX濃度)+b IV (ただしβ≧1、a、b:常数) のように直線的な関数とすればよい。本項も実際上は試
運転等により具体的に決めるのが適当である。
NH3理論量は処理ガス量、NO/NO2比が設定値通りで、N
OX分析計の誤差も応答遅れもない場合に化学量論的に必
要とされるNH3の量であり、このような場合にはαβの
値は1となる。
さて、式IおよびIIに従ってアンモニアが供給される
場合、出口NOX濃度は事実上αのみの関数と考えること
ができる。αを大きくすると出口NOX濃度は下がり、α
を小さくすると出口NOX濃度は上がる。αを大きくとり
すぎると出口NOX濃度が常に0付近となり、アンモニア
過剰供給およびそれによるアンモニアリークのおそれが
あるため、現実的には出口NOX濃度が20〜40ppm程度にな
るようαを設定するのが好ましい。
本発明によれば出口NOX濃度をαのみの関数として扱
えるため、入口NOX濃度が高くても低くても、出口NOX
度をほぼ一定にすることができる。
〔実施例〕
実施例1 本発明の一例を説明するために、第1図に脱硝プロセ
スおよび制御のフローを示した。ここでは簡単のため、
説明に必要な機器のみを示してある。
処理ガス源1からの処理ガスはアンモニア源2から供
給されるアンモニアと混合されて反応器3へと導かれ、
反応器内ではNOXが還元される。反応器出口ガスは適宜
処理されて排出される。反応温度や反応器内の触媒の種
類等脱硝プロセス自体は公知の技術を特に制限なく適用
できる。
さて、反応器入口NOX濃度がNOX分析計4で測定され、
その信号が制御部7に送られる。式IIに従い、入口NOX
濃度から還元反応に必要とされるNH3理論量が計算され
る。ここではNOとNO2は等モルとして考えて、(NH3/NOX
モル比)=1.17と置き、また処理ガス流量は設計流量と
した。
次にNH3理論量にαを乗じる。ここではαを0.5から1.
0まで0.1ごとにかえて試験した。
一方、反応器出口NOX分析計5で測定された出口NOX
度からβが算出される。ここでは第2図に示した関数を
採用した。
上記NH3理論量にαを乗じた値に、このβを乗じる
と、供給アンモニア量が得られ、この値によりNH3流量
調節弁が制御される。
ここでβの関数形は次のような点を考慮して決めた。
1)βの関数の傾きが大きいほどフィードバックが強く
かけられる。2)しかし大きいフィードバックは制御系
の外乱の要因となる。3)入口NOX変動が大きい場合を
考えると、NH3の流量調節計は小流量から大流量まで高
精度の制御が要求される。大きなフィードバックのため
NH3流量調節計がハンチングを起こすおそれがある。
4)βの最大値を3としておけばα=0.5にセットした
場合でもαβ=1.5となり、すなわち50%のNH3の過不足
に対応できる。5)βを2次関数あるいは他の複雑な関
数とすることも可能だが、特に複雑にする必要もない。
さて処理ガス流量やNO/NO2比等の不確定要素が設定値
(仮定値)からずれた場合について詳しく説明する。例
えばこのずれにより、NH3理論量が実際に反応に必要な
量より10%不足した場合、系はαβ=1/0.9≒1.11で安
定する。本例における出口NOXとαの関係をαβで整理
して図示すると、第3図のようになる。第3図中の各曲
線は、次の各場合のものである。
αβ=0.8:NH3理論量 25%過剰 αβ=0.9:NH3理論量 11%過剰 αβ=1.0:NH3理論量 過不足無し αβ=1.1:NH3理論量 9%不足 αβ=1.2:NH3理論量 17%不足 この図からわかるように、例えばα=0.7とした場
合、処理ガス流量やNO/NO3比等の不確定要素の変動によ
り−17%〜+25%のNH3の過不足が生じた場合でも、出
口NOXを15〜50ppmの間で制御できる。
このように、本発明によればNO/NO2比、処理ガス流量
変動、NOX計分析精度等の不確定要素によりNH3に過不足
が生じても、出口NOX濃度をある範囲内で安定させるこ
とができる。この「ある範囲」は0からある程度離れた
ところ(数+ppm)に設定できるので、アンモニアリー
クのおそれを回避することができる。
実際にαの設定を変えて得たデータを第1表にまとめ
た。
第1表からわかるように、αを大きくとれば出口NOX
を低濃度で制御でき、その変動幅を小さくできる。また
リークNH3を避けるためにはある程度αを小さくすれば
よい。本例設備のNH3理論量の過不足は+5〜−9%
(αβ=0.95〜1.10)の特性であった。
〔発明の効果〕
本発明により、NO/NO2比、処理ガス流量変動、NOX
分析精度等の不確定要素にかかわらず、排出NOX濃度を
安定して低く抑え、かつNH3の排出も抑えることのでき
る脱硝方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を示すフロー図、第2図は実施例
における出口NOX濃度と制御パラメータの相関を示す
図、第3図は実施例における制御パラメータと出口NOX
濃度の相関を示す図である。 1:処理ガス源、2:アンモニア源 3:反応器、4、5:NOX分析計 7:制御部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/94 B01D 53/86 B01J 21/00 - 38/74

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を反応
    器に供給し、窒素酸化物をアンモニアで還元する脱硝方
    法において、 反応器に供給される窒素酸化物を還元するのに必要なア
    ンモニアの化学量論量の一定割合量のアンモニア、およ
    び反応器出口の窒素酸化物濃度によりフィードバック制
    御された量のアンモニアを反応器に供給する脱硝方法。
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