JP3048593U - 二重筒構造染色ボビン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸巻き用染色ボビンの軸方向および半径方向
の収縮、変形を防ぎ、筒状糸の糸形状を正確に制御する
二重筒構造染色ボビンを提供すること。 【解決手段】 周辺に複数の染料透過孔が均一に分布し
てある円錐形内染色ボビンと、複数の連結部によって連
結された複数の環状体からなる染色ボビンと、中央孔、
孔の外周に凹凸構造を有する上、下の糸抑え付け盤と
を、少なくとも包含し、該内染色ボビンが該染色ボビン
の半径方向の過剰の収縮を防ぐように該染色ボビンの内
部に密接に設けられ、かつ、該上、下の糸抑え付け盤が
染色ボビンの軸方向の過剰の収縮を防ぐように内染色ボ
ビンの上、下端に係合していることを特徴とする、二重
筒染色ボビン構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、二重筒構造染色ボビン、特に糸巻き用染色ボビンの内部を貫通して 内染色ボビンを設け、そして該内染色ボビン頂部、底部に設けられた糸抑え付け 盤とともに、糸巻き用染色ボビンの軸方向および半径方向の収縮、変形を防ぎ、 筒状糸の糸形状（CHEESE FROM）を正確に制御する二重筒構造染色ボビンに関す る。

【０００２】

【従来の技術】

従来の染色ボビン構造には、一度しか使用されない軽薄型のプラスチック製染 色ボビンおよび繰り返し使用される重厚型染色ボビンなどがある。そのうち、一 度しか使わない軽薄型のプラスチック染色ボビンは、糸を一度加熱染色した後、 変形破壊し、再度利用できない。それゆえ、大量の材料を消費し、コストが増加 する。

【０００３】 図１(ａ)に示されるのは、繰り返し使用型の染色ボビン構造である。この染色 ボビン構造は、金属線網から構成される構造であり、染色ボビン３は、主に金属 螺旋型弾性体３１の各螺旋間に複数の留金３２を設け、一定の長さの染色ボビン ３を自然の状態で形成する。糸は、図１(ａ)に示されるように、染色ボビン３の 外側を巻き、筒状糸５を形成する。

【０００４】 筒状糸５が巻かれた染色ボビン３を染色筒の軸３３にはめ込み、そして筒状糸 ５を高温で染色した後、染色ボビン３は、筒状糸の重量および熱による糸の収縮 の影響を受け、図１(ｂ)に示されるように適度の軸方向および半径方向の収縮変 形が生じる。螺旋型弾性体３１自身が、筒状糸の半径方向の収縮に抵抗するのに 充分な強度を有するため、変形が生じない。染色ボビン３の軸方向の収縮は、螺 旋型弾性体３１自身の弾性によって吸収される。各留金３２は、単に螺旋型弾性 体３１を引き留め、その過度の伸長を防ぐ作用を有するため、染色ボビン３の軸 方向の伸長を防ぐことができるが、その適度の短縮を阻止することはできない。 それによって、染色ボビン３は、半径方向の変形が小さく、繰り返して使用でき るという利点がある。

【０００５】 加熱前後の筒状糸５と染色ボビン３との間の変化は、図２(ａ)、(ｂ)および( ｃ)に示される。そのうち、図２(ａ)は、筒状糸５を染色ボビン３に巻いた後、 糸抑え付け盤６で抑え付ける前に、各筒状糸５が同じ高度Ｌを示す図である。

【０００６】 図２(ｂ)は、染色の前に筒状糸５を適切に抑え付けた後に、各筒状糸５および 染色ボビン３が同じ高度Ｌ’を示す図である。

【０００７】 筒状糸５および染色ボビン３が加熱染色された後、染色後の筒状糸５の含水量 が増加し、かつ加熱工程中で染色ボビン３が重量の圧力および熱収縮変形作用を 受けるため、最も下方の筒状糸が受ける重量が最も大きく、その他の筒状糸が高 さの増加につれ、受ける圧力が順番に小さくなる。それによって、筒状糸の変形 の高度サイズは、Ｅ＞Ｄ＞Ｃ＞Ｂ＞Ａになる。筒状糸５の中心の染色ボビン３も また、対応するサイズを呈す。以上からわかるように、この繰り返し使用型染色 ボビン３は、筒状糸の半径方向の収縮に抵抗して変形しないために充分な強度を 有するが、軸方向の適量の短縮を阻止することができない。また、螺旋弾性体３ １および留金３２のコストが高く、その組立が手間かかるため、全体的な生産コ ストを下げることができない。これは、紡績業界の当業者が解決しようとする課 題である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記構造の染色ボビンの欠点を改善するための、新規な二重筒構造 染色ボビンを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、二重筒構造染色ボビンを提供する。本考案の二重筒構造染色ボビン は、周辺に複数の染料透過孔が均一に分布する円錐形内染色ボビンと、 複数の連結部によって連結された複数の環状体からなる染色ボビンと、 中央孔、該孔の外周に凸状構造を有する上、下の糸抑え付け盤と、を少なくと も有し、 該内染色ボビンが該染色ボビンの半径方向の過度の収縮を防ぐように該染色ボ ビンの内部に配設され、かつ、該上、下の糸抑え付け盤が該染色ボビンの軸方向 の過度の収縮を防ぐように該内染色ボビンの上、下端に係合している。

【００１０】 １実施態様では、上記上糸抑え付け盤の中央孔と、上記内染色ボビンとを係合 するために、上記内染色ボビンの頂部に階段状凸部が設けられる。

【００１１】 他の実施態様では、上記染色ボビンは、軟性のプラスチックから形成される。

【００１２】 さらに他の実施態様では、上記染色ボビンの環状体の間の傾斜連結部は、特定 の傾斜度を有する。

【００１３】 さらに他の実施態様では、上記内染色ボビンは、金属からなる硬い構造である 。

【００１４】 さらに他の実施態様では、上記染色ボビンの内径の傾斜度は、上記内染色ボビ ンの外径の傾斜度と同じである。

【００１５】 さらに他の実施態様では、上記の上の糸抑え付け盤の中央孔の孔径は、上記内 染色ボビンの上端の口径より大きいが、該内染色ボビンの階段状凸部の外径より やや小さい。

【００１６】 さらに他の実施態様では、上記の下の糸抑え付け盤の中央孔の孔径は、上記内 染色ボビンの下端の口径より小さい。

【００１７】 さらに他の実施態様では、上記内染色ボビンと糸抑え付け盤とを組立た後の構 造は、筒状糸の中心の染色ボビンの軸方向および半径方向の過度の収縮変形を有 効に防ぎ、かつ染色時に筒状糸をより均一にする。

【００１８】

【考案の実施の形態】

本考案は、二重筒構造の染色ボビンを提供する。この二重筒構造の染色ボビン は、軟質プラスチック材料の染色ボビンと、その内部を貫通して設けられた剛性 内染色ボビンとを有し、内染色ボビンの周辺に複数の染料透過孔を設け、かつそ の頂部および底部にそれぞれ糸抑え付け盤を取り付ける。この染色ボビンは、複 数の環状体を複数の連結部によって連結して一体に成型される。連結部の一部が 適切な傾斜度で伸展し、それによって圧力を受ける時の収縮を可能にする。繰り 返し使用可能なの金属製の剛性内染色ボビンは、染色ボビンの内部に配設され、 染色ボビン自身の収縮可能な特性とともに、染色ボビンの軸方向および半径方向 の過度の不規則の収縮、変形を有効に防ぐことができる。これは、本考案の主な 目的である。

【００１９】 本考案の二重筒構造染色ボビンは、内染色ボビンによって染色ボビンの過度の 収縮変形を防ぎ、軸から取り出すことを容易にし、そして一定の管径間隔を保持 する。これにより、紡績用枠に取り付けて使用される時には、スムーズに回転さ れる。また、染色ボビン自身が、従来の染色ボビン構造の強度を必要とせず、比 較的に安価な材料で作られる。内染色ボビンは、繰り返して使用することができ 、コストの低下につながる。これは、本発明の別の目的である。

【００２０】 本考案の詳細な構造、原理、作用および機能は、添付の図面を参照して以下の 説明から完全に理解される。

【００２１】

【実施形態】

図１および図２に示されるのは、従来の繰り返し使用型構造の金属製染色ボビ ンおよびその使用時の筒状糸５の変形を示す図である。その構成および欠点は、 上記で既に記載されているため、ここで重複説明しない。

【００２２】 図３は、本考案の構造の分解図である。この図から明らかにわかるように、本 考案は、主に、内染色ボビン１と染色ボビン２などの部分を包含し、そのうち、 内染色ボビンは、円錐形管であり、その周辺に複数の染料透過孔１１を有する。 円錐形管の上端に階段状凸部１２が設けられ、さらに、上、下の糸抑え付け盤１ ４、１３が取り付けられる。上、下の糸抑え付け盤１４、１３の中央に中央孔１ ４１、１３１がそれぞれ設けられる。下の糸抑え付け盤１３の中央孔１３１の口 径は内染色ボビン１の下端の口径よりやや小さい。上の糸抑え付け盤１４の中央 孔１４１の口径は、内染色ボビン１の上端の階段状凸部１２の口径よりやや大き いが、階段状凸部１２の下部の外径Ｄ２よりやや小さい。染色ボビン２は、複数 の環状体２２を複数の連結部２１によって連結して一体に形成される。環状体２ ２の一部の間の連結部２１は、適切な傾斜度を有する傾斜連結部２１１であり、 圧力を受ける時の屈折点を形成する。

【００２３】 図４は、本考案の内染色ボビン１および染色ボビン２の互いの構成および寸法 を示す図である。この図に示されるように、内染色ボビン１は、やや円錐形の管 （すなわち、図３中のＤ３＞Ｄ２）であるが、染色ボビン２の内径は、内染色ボ ビン１の外径に対応して特定の傾斜度を有し、染色ボビン２の外径は同じである （すなわち、図中では、Ｄ１＝Ｄ４）。染色ボビン２が内染色ボビン１の外周を はめ込む時に、内染色ボビン１および染色ボビン２の両端の内径は同じ間隔で係 合する。

【００２４】 図５、図６および図７は、それぞれ、本考案の内染色ボビン１および染色ボビ ン２の最初の組立、染色後の染色ボビン２の収縮、ならびに図６中のＡ−Ａ線に 沿った染色ボビン２の変形の断面を示す図である。これらの図からわかるように 、糸が巻かれた染色ボビン２は、染色前に内染色ボビン１をはめ込み、内染色ボ ビン１の上、下端に糸抑え付け盤１４、１３をそれぞれ取り付け、そして結合し た染色ボビン２および内染色ボビン１を、糸染色筒内の軸１５に取り付ける。取 り付けた様子が図５に示される。筒状糸５が高温染色工程を経た後、染色ボビン ２は、糸自身、および上下の糸抑え付け盤１３、１４の重量、ならびに加熱され た糸の張力による収縮の影響を受け、図６に示されるように、適度の収縮変形が 生じる。その時、染色ボビン２は、図７に示されるように、半径方向に収縮し変 形し、内染色ボビン１の外周をぴったり挟むが、内染色ボビン１の管壁の抵抗に よって、さらに収縮できない。染色ボビン２は、図６に示されるように、軸方向 に沿って、上糸抑え付け盤１４の中央孔１４１が上から下に向かって内染色ボビ ン１の上端の階段状凸部１２をぴったりはめるまでに、収縮し、それによって、 染色ボビン２の軸方向および半径方向の過度の収縮変形を有効に防ぐことができ 、かつより均一な染色を可能にする。

【００２５】

【考案の効果】

本考案の染色ボビン２は、内染色ボビン１の上端の階段状凸部１２の抵抗によ って、重圧による不規則な過度の収縮変形時に生じる挟み固定が生じず、そして 内染色ボビン１および染色ボビン２は、傾斜度を有する管状構造を有するため、 筒状糸の染色が完了した後に、取り外すことが容易になる。さらに、布を織る時 に、筒状糸の中心に残る染色ボビン２は、適切な管径および空間を有し、筒状糸 が糸棚上に取り付けられる時に、スムーズに回転される。それによって、染色お よび紡績物の品質を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の金属染色ボビンの構造を示す図であり、
(ａ)は、染色ボビンの外側に筒状糸を巻いた状態を示
し、そして(ｂ)は、筒状糸が軸方向および半径方向に収
縮変形した状態を示す。

【図２】従来の金属染色ボビンの構造の使用を示す図で
あり、(ａ)は、糸抑え付け盤で抑え付ける前の各筒状糸
の高度を示し、(ｂ)は、糸抑え付け盤で抑え付けた後の
各筒状糸の高度を示し、そして(ｃ)は、変形後の各筒状
糸の高度を示す。

【図３】本考案の二重筒構造染色ボビンの立体分解図で
ある。

【図４】本考案の内染色ボビンと染色ボビンとの相対的
構造およびサイズを示す図である。

【図５】本考案の内染色ボビンと染色ボビンとの最初の
組立を示す図である。

【図６】糸染色後の、本考案の染色ボビンの収縮を示す
図である。

【図７】図６のＡ−Ａ方向に沿った染色ボビンの変形を
示す断面図である。

【符号の説明】

１ 内染色ボビン １１、２０、４２ 染料透過孔 １２ 階段状凸部 １３、１４ 上、下糸抑え付け盤 １３１、１４１ 中央孔 １５、３３、４３ 軸 ２、３、４ 染色ボビン ２１ 連結部 ２１１ 傾斜連結部 ２２ 環状体 ３１ 螺旋型弾性体 ３２ 留金 ４１ 凸部 ５ 筒状糸 ６ 糸抑え付け盤

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 周辺に複数の染料透過孔が均一に分布す
   る円錐形内染色ボビンと、 複数の連結部によって連結された複数の環状体からなる
   染色ボビンと、 中央孔、該孔の外周に凸状構造を有する上、下の糸抑え
   付け盤と、を少なくとも有し、 該内染色ボビンが該染色ボビンの半径方向の過度の収縮
   を防ぐように該染色ボビンの内部に配設され、かつ、該
   上、下の糸抑え付け盤が該染色ボビンの軸方向の過度の
   収縮を防ぐように該内染色ボビンの上、下端に係合して
   いることを特徴とする、二重筒構造染色ボビン。
2. 【請求項２】 前記上糸抑え付け盤の中央孔と、前記内
   染色ボビンとを係合するために、前記内染色ボビンの頂
   部に階段状凸部が設けられる、請求項１に記載の二重筒
   構造染色ボビン。
3. 【請求項３】 前記染色ボビンが、軟性のプラスチック
   から形成される、請求項１に記載の二重筒構造染色ボビ
   ン。
4. 【請求項４】 前記染色ボビンの環状体の間の傾斜連結
   部が、特定の傾斜度を有する、請求項１または３に記載
   の二重筒構造染色ボビン。
5. 【請求項５】 前記内染色ボビンが、金属からなる硬い
   構造である、請求項１に記載の二重筒構造染色ボビン。
6. 【請求項６】 前記染色ボビンの内径の傾斜度が、前記
   内染色ボビンの外径の傾斜度と同じである、請求項１に
   記載の二重筒構造染色ボビン。
7. 【請求項７】 前記上の糸抑え付け盤の中央孔の孔径
   が、前記内染色ボビンの上端の口径より大きいが、該内
   染色ボビンの階段状凸部の外径よりやや小さい、請求項
   １に記載の二重筒構造染色ボビン。
8. 【請求項８】 前記下の糸抑え付け盤の中央孔の孔径
   が、前記内染色ボビンの下端の口径より小さい、請求項
   １に記載の二重筒構造染色ボビン。
9. 【請求項９】 前記内染色ボビンと糸抑え付け盤とを組
   立た後の構造が、筒状糸の中心の染色ボビンの軸方向お
   よび半径方向の過度の収縮変形を有効に防ぎ、かつ染色
   時に筒状糸をより均一にする、請求項１、４、７または
   ８に記載の二重筒構造染色ボビン。