JP3048576U

JP3048576U - 育苗移植用紙鉢

Info

Publication number: JP3048576U
Application number: JP1997010777U
Authority: JP
Inventors: 嘉市原
Original assignee: 王子製袋株式会社
Priority date: 1997-10-31
Filing date: 1997-10-31
Publication date: 1998-05-15
Anticipated expiration: 2003-10-31

Abstract

(57)【要約】【課題】余分な水分を鉢外に排出すると共に鉢内の水
分を均等に分散する育苗移植用紙鉢を提供すること。【解決手段】紙鉢の底面周縁に均等に配置された少な
くとも３個以上の排水穴を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【従来の技術】

従来から育苗移植用の鉢として苗を鉢のまま移植し、土中で腐食させることができる紙鉢が用いられてきた。例えば特開平８−１１６７９６号公報及び特開平８−１１６７９７号公報には空気中での育苗期間中は分解されず、露地移植後は速やかに分解される育苗移植用紙鉢が開示されている。しかしながら、これら育苗移植用紙鉢は、どれも従来通り、底面中央に一個だけの排水穴を備えていて、そのため、育苗期間中撒水された水分は底面中央の排水穴からしか排出されないので、鉢内の余分な水分が溜り、育苗期間中すでに鉢の腐食・崩壌が発生することも多々あった。

【０００２】

【考案が解決しようとする課題】

本考案はかかる事情に鑑みなされたもので、その課題は、育苗期間中撒水した水分を鉢内に均等に分散させ、余分な水分を鉢外に効果的に排出させることにより、育苗期間中に鉢の腐食・崩壌することのない育苗移植用紙鉢を提供することにある。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するため、本考案の育苗移植用紙鉢は底面周縁に均等に配置された少なくとも３個以上の排水穴を設けたことを特徴とする。なお、上記した本考案の育苗移植用紙鉢を空気中での育苗期間中は分解されず、露地移植後は速やかに分解される紙鉢とするため、紙鉢そのものをフミン酸、ニトロフミン酸、再生フミン酸及びこれらの塩から選択された１種又は２種以上を添加して抄造した紙の円形又は多角形のブランクの中央部分を円形又は多角形の底面とし、その周囲の部分を側壁部分とし、該側壁部分に頂点が底面に向かって形成される扇形又は三角形のひだ部を設けることによって鉢形に成形すると共に、その側壁の開口端寄りで部分的に３層壁を、又底面で単層壁を形成した紙鉢とすることができる。

【０００４】更に上記と同じ目的で、紙鉢の底面にフミン酸、ニトロフミン酸、再生フミン酸及びこれらの塩から選択された１種又は２種以上を添加して抄造した紙を用い、側壁に前記フミン酸、ニトロフミン酸、再生フミン酸及びこれらの塩から選択された１種又は２種以上に加えて、８−オキシキノリン銅を添加して抄造した紙を用いることができる。

【０００５】

【考案の実施の態様】

本考案の育苗移植用紙鉢には底面周縁に均等に配置された少なくとも３個以上の排水穴が設けられているので、育苗期間中撒水した水分を鉢内に均等に分散させ、余分な水分を鉢外に効果的に排出させることにより育苗期間中の鉢の腐食・崩壌を防ぐという作用が達成される。

【０００６】

【実施例】

以下、図面を参照して、本発明の紙鉢について詳細に説明するが、本発明はこれらに説明したものに限定されるものではない。図１は本発明の一実施例の育苗移植用紙鉢となる円形のブランクを紙鉢の内面側から見た展開図、図２は図１のブランクで形成された紙鉢の斜視図、図３は本考案の別の実施例の育苗移植用紙鉢の構成を説明するための斜視図である。

【０００７】図中の符号１はブランク、１ａはブランクの中心、１ｂはブランクの周縁又は紙鉢の開口端縁、２は正八角形の底面、２ａは正八角形の各角の頂点、３は側壁部分又は紙鉢の側壁、３ａ，３ｂは折畳み部、４は第１折線、５は第２折線、６は排水穴、７はフランジである。

【０００８】

【実施例１】ＮＵＫＰ５５％、段ボール古紙４０％、ビニロン繊維５％からなる原料を混合叩解してフリーネス４００ｃｃとし、濃度２．５％のパルプスラリーを調成した。このパルプスラリーに、フミン酸ナトリウム（（株）テルナイト社製、商品名「ＣＨＡ−０２」）を、対パルプ４％、硫酸アルミニウムを対パルプ４．５％、湿潤強力剤（日本ＰＭＣ（株）製、商品名「ＷＳ５７０」）０．３％、サイズ剤０．８％を添加して数分間攪拌後、常法によって抄紙し、坪量７５ｇ／ｍ^２の紙鉢用原紙から図１に示す円形のブランク１が作られる。（なお、文中の％は固形分重量％を示している。）

【０００９】図１を参照して、本実施例の育苗移植用紙鉢は円形のブランク１の中央を正八角形の底面２とし、その周囲の部分を側壁部分３とし、ブランクの中心１ａから前記正八角形の各角の頂点２ａを通る直線の延長線に沿って、前記側壁部分３内に第１折線４を設け、同じく側壁部分３内に前記正八角形の各角の頂点２ａで第１折線４と適当な角度で交わる第２折線５を各第１折線４の両側左右対象位置に設けて各第１折線４の両側に扇形の折畳み部３ａ，３ｂを形成し、第１折線４及び第２折線５に沿ってＭ字形の折り目をつけることにより互いに対向する両折畳み部３ａ，３ｂの外面同士を貼合し、これら貼合した部分（３ａ，３ｂ）を隣接する側壁部分３の内面に貼着した構造である。

【００１０】完成した紙鉢は図２に示すように、側壁３の開口端縁１ｂ寄りの大部分で、空気中における育苗期間中、湿潤状態にあっても人為的取扱いに耐えて、保形性を維持できる３層壁を形成し、底面２においては土中で急速に分解されやすいよう単層壁が形成されている。そして底面２には、本考案の要部である該底面の周縁に沿って均等に配置された４個の排水穴６が設けられている。なお、前記第１折線４及び第２折線５は本実施例とは逆の、すなわちＷ字形の折り目をつけて、折畳み部３ａ、３ｂの内面同士を貼合して、該貼合部分を隣接する側壁部分３の外面に貼合してもよい。

【００１１】

【実施例２】ＮＵＫＰ５５％、段ボール古紙４０％、ビニロン繊維５％からなる原料を混合叩解してフリーネス４００ｃｃとし、濃度２．５％のパルプスラリーを調成した。このパルプスラリーに、８−オキシキノリン銅（有機合成薬品工業社製、商品名「ユーキレートＣＤ−５０」）を固形分で４部とフミン酸ナトリウム（（株）テルナイト社製、商品名「ＣＨＡ−０２」）１部との混合液を、対パルプ３．２５％添加して数分間撹拌後、硫酸アルミニウムを対パルプ３．０％、サイズ剤０．８％を添加して常法によって抄紙し、坪量７５ｇ／ｍ^２の紙鉢用壁用の原紙とした。

【００１２】さらに、ＮＵＫＰ５５％、段ボール古紙４０％、ビニロン繊維５％からなる原料を混合叩解してフリーネス４００ｃｃとし、濃度２．５％のパルプスラリーを調成した。このパルプスラリーに、フミン酸ナトリウム（（株）テルナイト社製、商品名「ＣＨＡ−０２」）の分散液を、対パルプ０．６５％添加して数分間撹拌後、硫酸アルミニウムを対パルプ３．０％、サイズ剤０．８％を添加して常法によって抄紙し、坪量７５ｇ／ｍ^２の紙鉢底用の原紙とした。（なお、文中の％は実施例１の場合と同様固形分重量％を示している。）

【００１３】図３を参照して、側壁３は上記紙鉢側壁用の原紙を扇形に打抜いたブランクの両側端縁を貼合したものである。又、底面２は、それより大きな円形のブランクの周縁部を折込んでフランジ７とし、これを前記側壁３の外側に嵌めて接着したものである。そして底面２には、本考案の要部である該底面の周縁に沿って均等に配置された４個の排水穴６が設けられている。

【００１４】図４に示す本考案の第３の実施例においてはフランジ７は底面２にではなく、側壁部分３の下端に形成されている。なお底面２にはその円周に沿って均等に配置された４個の排水穴６が設けられている。

【００１５】以上詳述したように、本考案によれば、鉢内の水分を均等に分散すると共に余分な水分を鉢外に効果的に排出することにより、育苗期間中から腐食・崩壌することのない育苗移植用紙鉢を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の育苗移植用紙鉢となる紙の
ブランクの展開図。

【図２】図１のブランクから成形された紙鉢の斜視図。

【図３】本考案の別の実施例の育苗移植用紙鉢の構成を
説明するための斜視図。

【図４】本考案の第３の実施例の育苗移植用紙鉢の構成
を説明するための斜視図。

【符号の説明】

１：ブランク、１ａ：ブランクの中心、１ｂ：ブランク
の周縁又は紙鉢の開口端縁、２：底面、２ａ：正八角形
の各角の頂点、３：側壁部分又は紙鉢の側壁、３ａ，３
ｂ：折畳み部、４：第１折線、５：第２折線、６：排水
穴、７：フランジ。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】底面周縁に均等に配置された少なくと
も、３個以上の排水穴を設けた育苗移植用紙鉢。
【請求項２】フミン酸、ニトロフミン酸、再生フミン
酸及びこれらの塩から選択された１種又は２種以上を添
加して抄造した紙の円形又は多角形のブランクの中央部
分を円形又は多角形の底面とし、その周囲の部分を側壁
部分とし、該側壁部分に頂点が底面に向かって形成され
る扇形又は三角形のひだ部を設けることによって鉢形に
成形すると共に、その側壁の開口端寄りで部分的に３層
壁を、又底面で単層壁を形成した請求項１記載の育苗移
植用紙鉢。
【請求項３】底面にフミン酸、ニトロフミン酸、再生
フミン酸及びこれらの塩から選択された１種又は２種以
上を添加して抄造した紙を用い、側壁に前記フミン酸、
ニトロフミン酸、再生フミン酸及びこれらの塩から選択
された１種又は２種以上に加えて、８−オキシキノリン
銅を添加して抄造した紙を用いた請求項１記載の育苗移
植用紙鉢。