JP3043371B2 - 研削用具 - Google Patents

研削用具

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JP3043371B2
JP3043371B2 JP2164312A JP16431290A JP3043371B2 JP 3043371 B2 JP3043371 B2 JP 3043371B2 JP 2164312 A JP2164312 A JP 2164312A JP 16431290 A JP16431290 A JP 16431290A JP 3043371 B2 JP3043371 B2 JP 3043371B2
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省三 岩室
景章 山口
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株式会社タピック
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の技術分野] 本発明は、研削用具に関し、更に詳しくは、粘着性を
有する材料の表面の研磨/研削もしくは粘着性を有する
材料の剥離に用いる研削用具に関する。
[従来の技術] 化学プラント,タンク類,橋梁,車両,船舶及び建物
の塗装やタイル貼り構造物の目地/下地(リシン)は、
施工後ある年数が経過すると劣化する。従って、それら
の基材が健全であるかぎり、再塗装や再貼着を行ない対
象物の延命を計るのを常とする。その際、該塗膜や該リ
シンの除去/剥離が必須作業となるわけであるが、従
来、この作業は、高圧空気に同伴させた砂粒を該除去対
象物に衝突させて剥離せしめるサンドブラスト法や研磨
布紙のような研削用具の研削面を該除去対象物表面に圧
接して剥離せしめる方法もしくはタガネ様のもので該除
去対象物を直接ハツル方法等にて行なわれきた。
又、木工材料やある種の合成樹脂材料例えば合成木材
及び低硬度金属/非金属等の表面研磨/研削において
は、ヤスリやサンドペーパー及び研削砥石等が用いられ
てきた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、サンドブラスト法では、該作業に付随
して発生する粉塵の処置が面倒であり、そのこともあっ
てタンク等の内面処理に限定され、直接ハツル方法で
は、人力に頼る作業故その作業効率に難があり、研磨布
紙を用いる方法やヤスリ,サンドペーパーを用いる方法
(これらの研削用具の構造を第4図に示す)及び研削砥
石を用いる方法では、該除去対象物や被研磨/研削物が
それら材料本来の性質として有する粘着性や研磨/研削
用具の圧接時発生する熱による粘着性の発現によって、
研磨/研削材の粒間に目詰りを引き起こし、ひいては、
研磨/研削用具が被研磨/研削物表面を滑るだけで該作
業の継続が不能になるいわゆるスベリ現象を起こさしむ
る。塗膜の除去/剥離作業を例に取ると、除去/剥離対
象物が施工後3〜4年と比較的新しいものである場合に
その傾向が著しく、作業開始後数秒で該現象を起こすこ
とがある。このスベリ現象が発生すると、直ちに該用具
を交換しなければならず、作業効率の低下及び消耗品コ
ストの上昇ひいては作業全体のコスト・アップ要因とな
るため、その改善が切望されていた。しかしながら、未
だその要望に応え得る製品が出現しなかったのである。
[課題を解決するための手段] 本発明の研削用具は、基材と、該基材の上に形成され
かつ研削砥粒を熱硬化性樹脂で結着せしめてなる研削層
の少なくとも研削砥粒間及び/又はその表面にフッ素系
樹脂又はシリコン樹脂を存在せしめた層からなることを
特徴とする(その構造の例を第1図及び第2図に示
す)。
基材としては、該研削用具の用途に応じて適宜選択す
ればよく、適度の強度,重量を有するもの、例えば、
布,紙,金属,非金属及びプラスチック又はそれらの複
合材等から選択される。勿論、特開昭61−25776号公報
に開示されたバルカナイズドファイバ板であってもよ
い。又、その形状及び厚みも、該研削用具の用途に応じ
て適宜選択すればよく、例えば、シート,ロール,ベル
ト,ディスク,板及び棒が挙げられる。
研削層は、この基材の上に形成された研削砥粒の層で
あって、該基材と熱硬化性樹脂を介してその砥粒の一方
の端部が該樹脂層から首を出すように結着せしめられて
いる。研削砥粒としては、高硬度のものがよく、具体的
にはJIS R6011に規定する人造研削材やZrOの外に、石
英,ダイアモンドやそれらの混合物のようなものであっ
てもよい。ここで用いる熱硬化性樹脂としては、完全硬
化したときその機械的強度が大で、しかも、研削砥粒を
強固に結着し得る樹脂であれば何であってもよいが、例
えば、レゾール型フェノール樹脂、エポキシ樹脂,尿素
樹脂のそれぞれ単独又はこれら2種以上を適宜に混合し
たものをあげることができる。
フッ素系樹脂又はシリコン樹脂を存在せしめた層(以
下、離型層という)は、該研削層の少なくとも研削砥粒
間(前記熱硬化性樹脂の層が露出している)及び/又は
その表面を被覆するように存在する。ここで用いるフッ
素系樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(通称テフロ
ン)が好ましいが、三フッ化塩化エチレン樹脂,フッ化
ビニリデン樹脂,フッ素化エチレン・プロピレン共重合
樹脂,四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合樹脂及び四フッ化エチレン・エチレン共
重合樹脂等を用いてもよい。又、フッ素系樹脂に代えて
用いるシリコン樹脂としては、離型材として市販されて
いるものでよく、例えば、溶剤型剥離用紙シリコンやシ
リコン樹脂微粒子等が挙げられる。
上記構造を有する本発明の研削用具は、次のようにし
て製造することができる。
先ず、所定形状及び厚みの基材を用意する。この基材
表面に、所定粘度の熱硬化性樹脂液を適量(後で散布す
る研削砥粒が該樹脂より首を出した状態になるよう)注
加した後、この状態のまま、又は、必要に応じて60℃程
度の温度で若干加熱して樹脂を少し硬化させた後、研削
砥粒をその上に散布する。樹脂が未だ柔らかであれば、
この研削砥粒は自重で樹脂内に沈み込み基材と研削砥粒
が相互に密接させられる。樹脂液の粘度があまり高いと
基材及び研削砥粒との濡れの均質性が低下し、又、逆に
あまり低いと結着材としての樹脂の量が少なくなるため
研削砥粒の脱落が早くなるという問題を生ずる。通常1
0.0〜13.0ポイズ(25℃)が好ましい。尚、このときに
フィラーとして炭カルを樹脂に対し20〜100重量%添加
してもよい。
次いで、この状態のまま、60〜100℃程度の温度で加
熱・乾燥して樹脂を少し硬化する。
その後、該研削砥粒の上から、該熱硬化性樹脂液にフ
ッ素系樹脂粉末又はシリコン樹脂粉末を該樹脂液に分散
せしめた液を更に注加して少し硬化した樹脂の表面より
首を出した研削砥粒の間及びその表面を該樹脂で被覆す
る。フッ素系樹脂粉末又はシリコン樹脂粉末の添加量
(離型効果の支配因子)としては、被覆表面積基準で1
〜100%、好ましくは、5〜100%、更に好ましくは、50
%以上、一方、粒径(該樹脂液中での分散性ひいては離
型効果を支配する)としては、0.01μm〜0.5mm、好ま
しくは、0.1μm〜0.1mm、更に好ましくは、0.1μm〜
1μmである。
次いで、これら全体を所定温度の加熱炉に導入し熱硬
化性樹脂を完全に硬化する。このときの温度は、あまり
高くすると樹脂の発泡が起り、またあまり低いと硬化が
進行しないので、通常は60〜180℃であることが好まし
く、しかも徐々に昇温して加熱することが好ましい。
尚、フッ素系樹脂粉末又はシリコン樹脂粉末を樹脂液
と共に用いる上記方法に代え、研削砥粒間及びその表面
にフッ素系樹脂又はシリコン樹脂による離型層を形成さ
せずに完全に硬化せしめた製品の表面に常温硬化型樹
脂、例えばウレタン系,ナイロン系,アクリル系等の樹
脂系接着材又は糊料等を用いて該粉末を付着せしめた
り、もしくは、溶剤タイプのフッ素系樹脂又はシリコン
樹脂を塗布してもよい。又、完全硬化を行なわしむる前
にまだ流動性を多少残した該製品の表面に粉末タイプの
それを散布したり、やや乾燥した該製品の表面に溶剤タ
イプのそれを塗布してもよい。
又、本発明の研削用具において、基材とその上に存在
する研削砥粒を含む研削層との間に、更に、特開昭61−
25776号公報に開示されたガラスファイバーメッシュを
補強材として介在せしめた構造(第3図参照)のものも
利用できる。表層が粘着質でその下層が硬質な複合材料
である被研磨/研削物の場合には、研磨/研削の進行に
つれて硬質面が露出するため、該スベリ現象の防止と共
に研削用具自体の強度が要求されるからである。
該補強材の形状は、網状体であることが好適であり、
しかもその材質は、注加する熱硬化性樹脂とよくなじん
で接着性を高めるものが好ましい。網状体としては、例
えばメッシュ,不織布,マットのような形体を適用で
き、いずれも空隙部分に樹脂が含浸して該網状体を強固
に結着する。とりわけ、メッシュは好適である。また、
用いる樹脂との接着性が悪いと、これら網状体は樹脂に
よって強固に結着されないので補強材としての有用な機
能を喪失し、しかも樹脂と濡れていない部分が使用時の
発生トルクに基づく破壊点になってしまう。これら補強
材としては、例えばガラスファイバーのメッシュ,マッ
ト,不織布;鉄の金網,マット,鉄細線の不織布;ウレ
タン樹脂又はポリエステル樹脂などのファイバーメッシ
ュ,マット,不織布;などをあげることができる。例え
ば、ガラスファイバーのメッシュの場合、そのファイバ
ー線径が0.1〜1.5mm、網の目の大きさが1.5mm×1.5mm〜
5mm×5mmのものは補強効果が大きく有効である。特に網
の目の大きさは用いる研削砥粒の粒径との関係から適宜
に選定されるべきであるが、一般に用いられるNo.12〜N
o.24の研削砥粒にあっては上記の網の目が好適である。
該補強材は、基材表面への最初の樹脂液注加に先立
ち、該基材上に載置しおくことによって該構造内に取り
入れられる。
[作用] 本発明の研削用具は、製造直後には該離型材の層が研
削砥粒間及びその表面を被覆しているが、該研削用具を
使用することによって該表面被覆部分は除去対象物もし
くは被研磨/研削物との接触によって剥げ落ち、該研削
砥粒を露出する。一方、該研削砥粒間に存在する離型材
の層/膜は、除去対象物もしくは被研磨/研削物と接触
しないためそのまま保持されている。従って、該研削砥
粒によって剥ぎ取られた粘着物質は、該離型材の離型効
果によって該研削砥粒の間隙を埋めることなく除去もし
くは研磨/研削作業部位から排除され、除去もしくは研
磨/研削作業を継続せしむるのである。
[実施例] 以下に、研削円板を例として、本発明を詳細に説明す
る。
(実施例−1) JIS C 2315で規定する1種バルカナイズドファイバー
板(東洋ファイバー(株)製)から外径150mm、内径22.
3mmのドーナツ板(以下、ドーナツ基板という)を切り
出した。厚みは、1.2mmであった。
一方、不揮発分68%,比重(4℃の水1gに対する25℃
の重量。以下、同様)1.193,粘度(25℃。以下、同様)
12.0ポイズ,ゲル化時間4.5分/150℃,水混和性3.5倍/2
5℃,pH9.2のフェノール樹脂100重量部と炭カル100重量
部と50%メタノール水溶液30重量部とから成る樹脂液
(以下、樹脂液−1という)を用意した。
更に、前記フェノール樹脂100重量部と炭カル20重量
部と水20重量部とから成る樹脂液(以下、樹脂液−2と
いう)を用意した。
前記ドーナツ基板の上に、前記樹脂液−1を11g注加
した後、No.16のZrO砥粒38gを散布し、次いで、全体を1
00℃の乾燥炉中に90分間放置し、フェノール樹脂を熱硬
化せしめた(以下、下塗工程という)。更にこの上にフ
ッ素樹脂粉末(ダイキン工業(株)製:商品名ルブロン
L−5)14重量部を含む前記樹脂液−2を7g注加した
後、再び、全体を120℃の乾燥炉中に3時間放置し、フ
ェノール樹脂全体を完全に熱硬化せしめ(以下、上塗工
程という)製品(第1図にその構造を示す)とした。該
製品では、該フッ素樹脂の粒子が、当然のことながら該
樹脂液−2が硬化した層中と該研削砥粒値間及びその表
面に存在することになる。
(実施例−2) 上塗工程において、該樹脂液−2の中にフッ素樹脂粉
末を加えなかったこと以外実施例−1と同様にして完全
硬化した研削円板を作製した。更にこの上に付着剤(帝
国化学産業(株)製:商品名テイサンウレタン310)1g
をメチルエチルケトン4gに溶解せしめたものを塗布し、
しかる後、実施例−1で用いたフッ素樹脂粉末0.7gを散
布することによってフッ素樹脂を存在せしめ最終製品と
した(第2図にその構造を示す)。該製品では、該フッ
素樹脂の粒子が、当然のことながら該研削砥粒間及びそ
の表面にのみ存在することになる。
(実施例−3) 上塗工程において、該樹脂液−2の中にフッ素樹脂粉
末を加えなかったこと以外実施例−1と同様にして完全
硬化した研削円板を作製した。更にこの上に比重1.51,
希釈倍率1〜5の溶剤タイプのフッ素系離型剤(ダイキ
ン工業(株)製:商品名ダイフリーMS−743)100重量部
と99%イソプロピルアルコール200重量部とからなる液3
gを塗布してフッ素樹脂皮膜を該研削砥粒間及びその表
面に形成せしめた。
(実施例−4) 上塗工程において、該樹脂液−2の中にフッ素樹脂粉
末を加えなかったこと及び熱硬化処理に先立ち、実施例
−1で用いたフッ素樹脂粉末0.7gを前期樹脂液−2の層
の上に該層がまだ濡れている状態の時に散布したこと以
外実施例−1と同様にして研削円板を作製した。
(実施例−5) 上塗工程において、該樹脂液−2の中にフッ素樹脂粉
末を加えなかったこと及び熱硬化処理に先立ち、比重0.
92,粘度40〜60ポアズ,シリコン分30%のシリコン系剥
離剤(信越化学工業(株)製剥離紙用シリコンKS−84
1)100重量部と触媒(信越化学工業(株)製:商品名CA
T PL−7)1重量部とメチルエチルケトン200重量部か
らなる液4gを前期樹脂液−2の層の上に該層がやや乾燥
した時塗布したこと以外実施例−1と同様にして研削円
板を作製した。
(比較例−1) 上塗工程において、フッ素樹脂粉末を使用しなかった
こと以外実施例−1と同様にして研削円板を作製した。
上記例で得られたそれぞれの研削円板を電気サンダー
に取りつけ、5万k1の備蓄用重油タンクの塗膜(厚み:4
00mm。塗装面積:6,000m2。但し、外部のみ)の剥離作業
に供し、剥離塗料が研削砥粒面に目詰りを起こさせずに
作業し得た面積を測定した。その結果は、表の通りであ
った。
[発明の効果] 以上の説明で明らかなように、本発明の研削用具によ
れば、従来のものでは、研削用具の頻繁な交換を余儀な
くされた粘着質物質の除去/剥離作業を長時間継続して
行なうことができるので、該作業の効率を向上し得る。
又、交換頻度が少ない分、当然のことながら、該研削用
具コスト(消耗品補充コスト)を大幅に低減できる。
尚、本発明の研削用具は、粘着質物質(排除されるべ
き物質が微粉故、静電気力等で凝集・付着するものを含
む)が研削砥粒の間隙を埋めることを防止することにそ
の目的があるため、本発明の用途は、粘着質物質の除去
/剥離作業に限定されるものではなく、例えば、木工材
料やプラスチック及び低硬度金属/非金属のような粘着
性を有する/発現する材料の表面研磨にも使用可能なこ
とが上記の説明から容易に解るであろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の研削用具の一実施例の構造を模式的
に示した断面図、第2図は、本発明の研削用具の他の実
施例の構造を模式的に示した断面図、第3図は、本発明
の研削用具のさらに別の実施例の構造を模式的に示した
断面図、第4図は、従来の研削用具の構造を模式的に示
した断面図である。 1:基材、2:研削砥粒 3:合成樹脂層(結着材層) 4:フッ素系樹脂又はシリコン樹脂の粒子 5:付着剤層、6:補強材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−150193(JP,A) 特開 昭61−25776(JP,A) 特開 昭55−48577(JP,A) 特開 昭52−52295(JP,A) 特開 昭49−101991(JP,A) 特開 昭62−176772(JP,A) 特開 昭60−127973(JP,A) 実公 昭49−36796(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24D 3/00 B24D 3/28 B24D 3/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可撓性を有する基材と、該基材の上に形成
    され、かつ12番〜24番の研削砥粒を熱硬化性樹脂で該基
    材に該研削砥粒の一方の端部が該樹脂の表面から首を出
    すように結着せしめてなる研削層と、少なくとも該研削
    砥粒の間にフッ素系樹脂又はシリコン樹脂を存在せしめ
    た層と、からなる、劣化塗膜又はリシンの除去・剥離用
    研削用具。
  2. 【請求項2】前記の基材がバルカナイズドファイバー板
    であり、該基材と該研削層との間に更にガラスファイバ
    ーメッシュを介在せしめた請求項1に記載の研削用具。
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