JP3042498U - パイプ切断用工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】パイプ切断時、工具をパイプ回りに回転させる
ときの、回転半径が小さく、切断するパイプと障害物と
の間隔が小さい現場でも使用することが出きるパイプ切
断用工具を提供する。 【解決手段】顎部を進退させるアジャスタブルスクリュ
ウ本体から突出して延びる部分をなくしてラチェットレ
ンチで閉め込むようにすると共に、本体にラチェットレ
ンチ係合部を設けて、ラチェットレンチをレバー代わり
にして工具をパイプ回りに回転させるようにし、しか
も、ラチェットレンチ係合部を本体の３個所に設けるこ
とにより狭い場所でも切断し易くする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する利用分野】

本考案は、パイプを切断するための簡易なパイプ切断用工具、特にガス管修理 、増変設工事等においてガス管を切断するための工具として有効なパイプ切断用 工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のパイプ切断用工具としては、図７（ｂ）に示す構造のものが知 られている。この図７（ｂ）に示すパイプ切断用工具は一般に四刃式パイプカッ ターと呼ばれるもので、工具本体Ａ’に設けられた対向する二つの顎部２’，３ ’に夫々２枚の円盤状の刃物６’を備えており、一方の顎部２’を固定された他 方の顎部３’に対して進退移動させて４枚の刃物６’でパイプＣ’を強固に挟み 付け、この状態を保持したまま本体をパイプ回りに回転させてパイプＣ’を切断 するものである。 そして、このものは、前記可動側の顎部２’がハンドル９’の回転操作により 進退するアジャスタブルスクリュウ５’に接続されてアジャスタブルスクリュウ ５’の進退に連動するようになっており、アジャスタブルスクリュウ５’が固定 側の顎部２’と対向方向に伸びて本体Ａ’から長く突出している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の上記パイプ切断用工具は、上述のごとくアジャスタブル スクリュウが本体から長く突出して延びているため、使用時パイプ回りに回転さ せる場合、回転半径ｒ’が大きくなり広いスペースを必要とする。 そのため、従来の上記切断工具では、パイプシャフト等の狭い場所で既設配管 を切断する場合など、上下水道管等他の配管及び構造物が障害になり、構造物を はつって作業するか、手鋸を用いて切断作業をしなければならないが、構造物を はつっての作業は構造物を傷つけることになり、手鋸での作業は作業時間が長く なるばかりでなく、作業には怪我等の危険も伴い、切断面も粗くなるという問題 がある。

【０００４】 本考案は上述したような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処 は、パイプ切断時、工具をパイプ回りに回転させるときの、回転半径が小さく、 切断するパイプと障害物との間隔が小さい現場でも安全に使用することが出きる パイプ切断用工具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段及びその作用・効果】

上記目的を達成するために、本考案のパイプ切断用工具は、請求項１記載のよ うに、工具本体が、対向する一対の顎部を有し、その顎部の少なくとも一方がそ れに接続されるアジャスタブルスクリュウの回転操作に伴って他方に対して進退 自在であり、両顎部の対向面には少なくともその一方に他方側に突出させて設け た回転自在な円形刃物を有し、前記両顎部でパイプを挟んでパイプ回りに回転さ せることによりパイプを切断するパイプ切断用工具において、前記アジャスタブ ルスクリュウを本体に、回転自在、且つ進退不能で、少なくとも締込み操作部を 除いてその長さ方向の大部分が本体の投影面内に収まるように設けて、前記進退 可能な顎部に螺合させると共に、工具本体の複数箇所にラチェットレンチ係合部 を設けたことを特徴とする。

【０００６】 このように構成したパイプ切断用工具は、アジャスタブルスクリュウが本体か らほとんど突出せず、全体がコンパクトになり、しかも、これをパイプにセット してパイプ回りに回転させる場合、ラチェットレンチ係合部にラチェットレンチ を係合させ、これをレバー代わりにして回転させることができるため、回転半径 が小さくなる。 その上、ラチェットレンチ係合部が工具本体の複数箇所に設けられているので 、現場の状況に応じて使用しやすいラチェットレンチ係合部を選ぶことができる 。

【０００７】 また本考案は、請求項２記載のように、アジャスタブルスクリュウの一端がラ チェットレンチを係合し得る形状に形成され、当該部分が締込み操作部を構成す ることを特徴とする。

【０００８】 このように構成したパイプ切断用工具は、アジャスタブルスクリュウの一端に ラチェットレンチを係合させて締込み操作をすることができるため、アジャスタ ブルスクリュウの締込み操作のためのハンドルやレバーを必要とせず、しかも、 アジャスタブルスクリュウはラチェットレンチを係合させるに足るだけ本体から 突出させればよいため、一層コンパクトになり、パイプにセットしてパイプ回り に回転させる場合の回転半径も更に小さくなる。

【０００９】 また本考案は、請求項３記載のように、ラチェットレンチ係合部が本体表面に 散在せしめて少なくとも三個所に設けられていることを特徴とする。

【００１０】 このように構成したパイプカッターは、切断するパイプがパイプシャフト等の 狭い場所にあり、切断するパイプと上下水道管等他の配管や構造物との間の間隔 が小さく、ラチェットレンチを用いて工具本体をパイプ回りに回転させる上で、 上下水道管等の配管や構造物にラチェットレンチが引っ掛かって回転させること ができないような場合でも、少なくとも三つあるラチェットレンチ係合部を工具 本体の回転に伴って順次交代で使用しながら回転操作することにより、回転させ ることが可能となり、パイプ切断施工時における、パイプと障害物との間の施工 可能な間隔が縮小する。

【００１１】 本考案のパイプ切断工具は、例えば、図７（ｂ）に示す従来のパイプカッター の回転半径ｒ’が26.0ｃｍであるのに対して、11.4〜8.3cm にまで回転半径ｒが 縮小する。また、万一ラチェットレンチが当たる場所に障害物があってもラチェ ットレンチを 160゜回転させるスペースがあればパイプの切断が可能である。 即ち、本考案のパイプ切断用工具は、従来のパイプカッターでは切断施工でき ずに手鋸で切断していたような現場でも、工具を使って切断することができるよ うになり、このような場所でのパイプ切断における、切断面の質の向上と作業の 安全性を確保できる。また、工具の使用範囲の拡大により、パイプと障害物との 間隔が狭い現場でのパイプ切断における作業時間の大幅な短縮が達成され、作業 効率の向上が図れる。 因みに、パイプシャフト内のガスの縦管（４０Ａ）を手鋸で切断する場合１個 所の切断に約１時間かかるのに対して、工具を用いて切断する場合には約３分で 切断することができる。

【００１２】 更に本考案は、請求項４記載のように、両顎部の一方には回転自在な円形刃物 が設けられ、他方には上記円形刃物に対向して回転自在なローラーが設けられて いることを特徴とする。

【００１３】 このように構成したパイプ切断用工具カッターは、パイプが円形刃物の反対側 ではローラー面で安定よく受けとめられるため、ぐらついたり、斜めになったり し難く、円形刃物がパイプに対して確実に直角に当たるようになる。従って、刃 に無理な力がかからず、刃物の損傷を防止することができる。

【００１４】 しかも本考案は、請求項５記載のように、両顎部の一方には回転自在な円形刃 物が設けられ、他方には上記円形刃物に対向して回転自在なローラーが設けられ ていることを特徴とする。

【００１５】 このように構成したパイプ切断用工具は、刃物による切削バリをローラーの溝 に逃がすことができ、刃物を保護することができる。

【００１６】 しかも本考案は、請求項６記載のように、ローラーが円形刃物と交換可能であ ることを特徴とする。

【００１７】 このように構成したパイプ切断用工具は、２枚刃式パイプカッターとしても４ 枚刃式パイプカッターとしても使用することができる。

【００１８】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を、図に基づいて説明する。 図中Ａは工具本体で、チャンネル型に形成された主体部１と、主体部１左右両 側の平行な部分11（以下この部分を主体脚部と称する）間にこの主体脚部11に沿 って摺動自在に設けられた第一顎部２と、一端を一方の主体脚部11a （以下これ を第一主体脚部と称する）の先端に枢着して回動自在に設けられると共にその自 由端側にはフック31を備え、このフック31を他方の主体脚部11b （以下これを第 二主体脚部と称する）の先端に設けた掛止ピン12に係止することにより自由端側 を第二主体脚部11b に連結可能となした第二顎部３とからなり、その片面（以下 この面を仮に表面と称する）には３個所にラチェットレンチ係合部４が設けられ ている。 上記ラチェットレンチ係合部４は、工具本体Ａの表面に突出して六角形に形成 され、主体部１左右両側の主体脚部11ａ,11b夫々のほぼ中央部に各々１個と、第 二顎部３の中央部に１個設けられている。

【００１９】 前記第一顎部２は、両側縁部にスライド溝21を設けて、当該溝21を主体脚部11 b に形成されたスライドガイド23に係合しており、この第一顎部２と主体部１と には、第一顎部２を上記スライドガイド23に沿って進退移動させてその位置を制 御するアジャスタブルスクリュウ５が設けられている。 即ち、第一、第二主体脚部11ａ,11bの基端相互を連絡するように主体部１に設 けられた部分11c （以下この部分を主体中央部と称する）の表面には、スクリュ ウ挿通用の貫通孔51を有するスクリュウ取付け部52が、また第一顎部２の表面に はスクリュウ螺合用の螺孔53を有するスクリュウガイド54が、夫々の孔51,53 が 同軸上に位置するように各々突出状に設けられており、上記スクリュウ取付け部 52の貫通孔51を挿通して設けられたスクリュウ５がスクリュウガイド54の螺孔53 に螺合している。

【００２０】 上記アジャスタブルスクリュウ５は、締込み操作部としてラチェットレンチ係 合用の六角形の頭部5aを有するボルト状に形成されると共に、その頭部5aとねじ 部分5bとの間にねじを有さない肩部5cを有しており、スクリュウ取付け部52の貫 通孔51に挿通して、上記肩部5cが貫通孔51の内周面に対応している。 また、上記アジャスタブルスクリュウ５の肩部5cにはその周方向に溝55が設け られており、スクリュウ取付け部52側面から貫通孔51に一部架るようにねじ込ま れたピン56が上記溝55に係合している。 従って、このアジャスタブルスクリュウ５は回転自在ではあるが、進退は不能 になっており、頭部5aにラチェットレンチＢを係合させて回転操作することによ り、スクリュウ５が進退することなく回転し、スクリュウガイド54の螺孔53がス クリュウ５に螺合する第一顎部２がスクリュウの回転に伴い主体部１のスライド ガイド23に沿って進退するようになる。

【００２１】 一方、上記第二顎部３は全体がほぼ円弧状を呈し、その先端のフック31を第二 主体脚部11b 先端の掛止ピン12に掛止して、第二主体脚部11b に連結した状態で 主体部１に向かって凹の状態となるようになっている。

【００２２】 前記第一顎部２と第二顎部３は、前者が２枚の円形刃物６を、また後者が２個 のローラー７を有しており、第二顎部３を第二主体脚部11b に連結した状態で円 形刃物６とローラー７とが対向するようになっている。

【００２３】 即ち、第一顎部２には第二顎部３に対向する面に刃物取付け用の溝22が設けら れており、この溝22に刃物取付け軸61を介して２枚の円形刃物６が溝22の長さ方 向に並んで、夫々の円周の一部を溝縁から突出するように設けられている。

【００２４】 また、第二顎部３は、前記フック31を除く部分が２枚の板状の挟持部材32ａ,3 2bにより構成され、これら両挟持部材32ａ,32bが対向状態に配置されて、その長 さ方向両端部で主体部１の前記第一主体脚部11a の先端及びフック31の基端を挟 んでこれらに枢着し、当該部材32ａ,32b間に上記主体脚部11a の先端及びフック 31基端の厚さに相当する隙間33を設けており、この隙間33に２個のローラー７を 隙間33の長さ方向に並べて挿入し、これらを上記両挟持部材32ａ,32bに回転自在 に軸承している。

【００２５】 上記ローラー７は、その周縁の一部を第二顎部３の上記挟持部材32ａ,32bから 主体部１側に若干突出しており、周面には、その軸方向中心位置において周面を 一周する溝71が形成されている。 また、上記ローラー７を軸承する軸72は、挟持部材32a を貫通して第二顎部３ から工具本体Ａの表面側に延出しており、この工具本体Ａ表面側に延出した部分 にパイプガイド用のガイドローラー８を回転自在に備えている。

【００２６】 前記２枚の円形刃物６と、２個のローラー７は第二顎部３を第二主体脚部11b に連結した状態で主体中央部11c の中心と第二顎部３の中心を結ぶ線の左右に夫 々等間隔おいて振り分けられ、且つ相互に近接する状態に配置されている。

【００２７】 以上のように構成したパイプ切断用工具を用いてガス管等のパイプＣを切断す るには、先ず工具本体ＡをパイプＣの切断する部分にパイプＣと直角になるよう にセットする。 この、パイプＣへの工具本体Ａのセットには、図５に示すように第二顎部３の フック31を掛止ピン12から外して工具本体Ａを開いた状態で当該本体Ａをパイプ Ｃに掛け、本体Ａ内にパイプＣの切断する部分が収まるようにして工具本体Ａを 閉じ、フック31を掛止ピン12に掛けた後、ラチェットレンチＢをアジャスタブル スクリュウ５の頭部5aに係合させてラチェットレンチＢでスクリュウ５を回転操 作し、第一顎部２を前進させて円形刃物６とローラー７でパイプＣを強固に挟み 付け、円形刃物６の刃をパイプＣ表面に食い込ませる。

【００２８】 この状態で、工具表面のラチェットレンチ係合部４の任意のものに、アジャス タブルスクリュウ５の頭部5aから外したラチェットレンチＢを係合させ、これを 操作レバー代わりにして工具本体ＡをパイプＣ回りに回転させ、円形刃物６でパ イプＣ表面に周方向の切り込みを入れていき、パイプを切断する。 この際、切断するパイプＣがパイプシャフト等の狭い場所にあり、図６に示す ように工具本体ＡをパイプＣ回りに回転させる上で上下水道管等他の配管Ｄや構 造物が障害になるような場合には、三つあるラチェットレンチ係合部４を工具本 体Ａの回転に伴って任意交代で使用し、ラチェットレンチの取付け位置を例えば 図６に実線で示す位置から破線で示す位置に変えながら回転操作するようにする 。

【００２９】 尚、以上説明した実施の形態では、第二顎部にローラーを取付けてあるが、ロ ーラーに代えて第一顎部のものと同様の円形刃物を取付けることも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案パイプ切断用工具の実施の形態を示す正
面図。

【図２】図１のII−II線断面図。

【図３】図１の III−III 線断面図。

【図４】斜視図。

【図５】工具本体を開いた状態の正面図。

【図６】パイプ回りに回転させる状態を示す正面図。

【図７】本考案のパイプ切断用工具と従来のパイプ切断
用工具について、パイプ回りに回転させたときの回転半
径の相違を比較して示す説明図で、（ａ）は本考案のパ
イプ切断用工具、（ｂ）は従来のパイプ切断用工具を示
す。

【符号の説明】

Ａ：工具本体 Ｂ：ラチェットレンチ Ｃ：パイプ １：主体部 ２：顎部（第一顎部） ３：顎部（第二顎部） ４：ラチェットレンチ係合部 ５：アジャスタブルスクリュウ 6 ：円形刃物 ７：ローラー 71：溝（ローラー周面の溝）

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】工具本体が、対向する一対の顎部を有し、
   その顎部の少なくとも一方がそれに接続されるアジャス
   タブルスクリュウの回転操作に伴って他方に対して進退
   自在であり、両顎部の対向面には少なくともその一方に
   他方側に突出させて設けた回転自在な円形刃物を有し、
   前記両顎部でパイプを挟んで工具本体をパイプ回りに回
   転させることにより、パイプを切断するパイプ切断用工
   具において、前記アジャスタブルスクリュウを工具本体
   に、回転自在、且つ進退不能で、少なくとも締込み操作
   部を除いてその長さ方向の大部分が本体の投影面内に収
   まるように設けて、前記進退可能な顎部に螺合させると
   共に、工具本体の複数箇所にラチェットレンチ係合部を
   設けたことを特徴とするパイプ切断用工具。
2. 【請求項２】アジャスタブルスクリュウの一端が、ラチ
   ェットレンチを係合し得る形状に形成され、当該部分が
   締込み操作部を構成することを特徴とする請求項１記載
   のパイプ切断用工具。
3. 【請求項３】レンチ係合部が、本体表面にほぼ均等に散
   在せしめて少なくとも三個所に設けられていることを特
   徴とする請求項１または請求項２記載のパイプ切断用工
   具。
4. 【請求項４】両顎部の一方には回転自在な円形刃物が設
   けられ、他方には上記円形刃物に対向して回転自在なロ
   ーラーが設けられていることを特徴とする請求項１乃至
   請求項３のいずれかに記載のパイプ切断用工具。
5. 【請求項５】ローラーの周面には円形刃物に対向して溝
   を設けたことを特徴とする請求項４記載のパイプ切断用
   工具。
6. 【請求項６】ローラーが円形刃物と交換可能であること
   を特徴とする請求項４または請求項５記載のパイプ切断
   用工具。