JP3038247U - 運動靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の運動靴に対して、アキレス腱パッド
部による運動動作の妨げを低減せしめながら、該パッド
部による衝撃吸収機能を高める。 【解決手段】 靴本体ａ履口部ａ１の最後部にパッド
部６を起立させた運動靴において、前記パッド部６を甲
皮１踵部と別体に構成し、靴本体ａ履口部ａ１の最後部
に付設することにより、上記パッド部６の折曲性を向上
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、靴本体の履口部の最後部にパッド部材を起立させた運動靴の改良 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、サッカーシューズ等の運動靴の中には、靴本体の履口部におけるバック ステイ部分に、使用者のアキレス腱部分を保護するパッド部を設けたものがある 。 図６にて示すサッカーシューズ１００は、靴本体１０１の履口部１０２の最後 部にパッド部１０４を設けて構成してある。 上記パッド部１０４は、甲皮１０３の踵部分を上方へ延出する形で靴本体１０ １と一体的に形成され、その内部にウレタンフォーム等の衝撃吸収材１０４ａを 内設して構成してある。

【０００３】 上記サッカーシューズ１００を使用者が履いた状態において、パッド部１０４ は、使用者のアキレス腱に外側から当てられる形となり、ゲーム中に他のプレー ヤーからのチャージにより、後方から蹴られたり、踏まれたりした場合において 、その衝撃を吸収して使用者のアキレス腱を保護する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来のサッカーシューズ１００は、履口部１０２の最後部の甲皮１０ ３踵部分を上方へ延出させ、パッド部１０４を靴本体１０１の踵部と一体的に設 けている。 この為、上記パッド部１０４は靴本体１０１の剛性を過大に受けて、左右及び 後方へ変形しずらくなり、キック時等、足首を大きく回す際には、使用者の足首 が上記パッド部１０４に当たってキック動作の妨げとなる場合があった。 また、上記パッド部１０４は、使用者のアキレス腱を保護するために、衝撃吸 収機能が少しでも高いことが望まれる。

【０００５】 本考案の目的は、上記した如き従来の運動靴に対して、パッド部による動作の 妨げを低減せしめながら、該パッド部による衝撃吸収機能を高めることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記した課題を解決するために、本考案の運動靴は、靴本体履口部の最後部に 、使用者のアキレス腱部位を保護するパッド部を起立させた運動靴において、前 記パッド部を靴本体とは別体に構成し、同靴本体履口部の最後部に付設して成る ものである。

【０００７】 上記運動靴にあっては、靴本体履口部の最後部に設けられるパッド部分が、靴 本体の踵部とは別体に構成し、靴本体履口部の最後部に付設される。よって、上 記パッド部は靴本体から独立した形で支持され、両部材の境界となる支持部分か ら比較的柔軟に折曲変形するようになる。

【０００８】 また、上記運動靴は、パッド部に内設する衝撃吸収材として、形状保持機能フ ォーム材を用いるとよい。 上記運動靴にあっては、パッド部に内設する衝撃吸収材として、形状保持フォ ーム材が用いられるため、外部から加わる衝撃的な圧力を平均して吸収，分散す ることができる。さらに、アキレス腱から加わる緩圧力に対しては、その形状を 保持するように変形し、反発力も少ないため、均等なサポートと良好なフィット 感を得る。

【０００９】 上記運動靴は、パッド部の下辺部分を靴本体履口部における最後部に縫着し、 この縫着部を介して上記パッド部を折曲可能に支持するとより効果的である。 この運動靴にあっては、パッド部の下辺部分が縫着部分を介して靴本体に取り 付け支持されるため、上記パッド部が縫着部分から良好に屈曲且つ変形するよう になり、キック時のように足首を大きく回す動作の際等に、パッド部が足に追従 して屈曲且つ変形するようになる。

【００１０】

【発明の実施の形態】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。 図１乃至図５にて示す靴は、本考案を実施したサッカーシューズであり、靴本 体ａを構成する革製甲皮１の底面開口を中底２により塞ぎ、この甲皮１及び中底 ２の底面に合成樹脂製の靴底３を設けて構成してある。

【００１１】 靴本体ａを構成する甲皮１は、牛若しくはカンガルー等の革材を靴各部の形状 に対応して裁断し、これら各部分の革を裏地等と共に縫製し、靴底部分が開口す る甲皮１として構成してある。 上記した如く縫製した甲皮１は、靴底側の周縁部を内側に吊り込んだ状態で癖 付けして、略靴形の形状に整形した後、上記した甲皮吊り込み部１ｂ内側に形成 される開口部に、中底２を嵌め込み、該中底２の底面周縁部に沿って上記甲皮吊 り込み部１ｂを接着する。 甲皮１及び中底２の底面部には、布からなる目止めシート４を貼着し、さらに 、スパイク付きの合成樹脂製靴底３を一体的に成形して成る。

【００１２】 上記甲皮１は、履口部ａ１前方の紐通し部分の開口部に舌片５を内側から当て て付設すると共に、同履口部ａ１口縁部の最後部にパッド部６を上方へ延出する 形で設けてある。

【００１３】 パッド部６は、ゲーム中に他のプレイヤーから受けるチャージの衝撃から使用 者のアキレス腱を保護する緩衝部材であり、図４及び図５にて示すように使用者 のアキレス腱をカバーするように略山形に形成し、その下辺部分を履口部ａ１口 縁の最後部に縫着することにより、先端部が上方へ向けて延出するように構成し てある。

【００１４】 パッド部６は、靴本体ａを構成する甲皮１とは別体に構成される袋状の外皮６ ａと衝撃吸収材６ｂとから構成してある。 外皮６ａは、所定の外形に裁断した皮革を袋状に縫製して成り、その内部に衝 撃吸収材６ｂを内設してある。尚、上記外皮６ａは、図１にて示すように、履口 部ａ１内の踵部内面に貼設した内装皮革７を上方へ延長する形で内側の半面を構 成しても、若しくは上記内装皮革７とは全く別の部材を袋状に縫製し、履口部ａ １口縁の最後部に縫着してもよい。

【００１５】 パッド部６に内設する衝撃吸収材６ｂは、形状保持機能フォームから成る。 形状保持機能フォームは、衝撃吸収機能と形状保持機能を具備するオープンセ ル構造の弾性発泡材であり、外部から加わる圧力に対して粘弾性を発揮しながら 圧縮され、衝撃に対して強い反発力を発することなく、そのエネルギーを平均に 吸収・分散する特性を有している。また、形状保持機能フォームは、圧縮された 状態おいて、従来のウレタンフォーム等が生じるような反発力がなく、圧縮され た形状を保持する特性を有する。

【００１６】 本実施例にて使用した形状保持機能フォームの機械的特性を表１にて示す。

【表１】

【００１７】 パッド部６に内設する衝撃吸収材６ｂとして上記した如き特性の形状保持機能 フォームを使用することによれば、外部から加わる衝撃的な圧力を平均して吸収 ，分散することができるため、試合中に激しいチャージを受けた場合でも、使用 者のアキレス腱に加わるダメージを最小限に抑えることができる。 また、上記したサッカーシューズを使用者が履いた状態において、アキレス腱 が当接することにより加わる緩圧力に対しては、アキレス腱の外形に対応して変 形し、その形状を保持する。よって、その際に生じる反発力も少ないためフィッ ト感がよく、アキレス腱の周囲を均等にサポートすることができる。

【００１８】 上記パッド部６は、甲皮１と別体に構成し、その下辺部分を履口部ａ１最後方 部の口縁部内側に縫着してある。よって、パッド部６は靴本体ａを構成する甲皮 １から独立し、下辺部の縫着部６ｃから比較的柔らかく折り曲げることができる ようになる。 その結果、キック時のように足首を大きく回す動作の際に、パッド部６がアキ レス腱部位からの押圧力に対応して自然と屈曲，変形するようになる。

【００１９】 尚、上記パッド部は、下辺部を履口部の口縁内側に縫着したが、その縫着位置 は、履口部の口縁及び同口縁の外側であってもよい。 また、上記した実施例においては、パッド部６内に収納する衝撃吸収材６ｂと して形状保持機能フォームを使用したが、パッド部に内設する衝撃吸収材は、外 部からの衝撃を緩衝する機能を有する材質であれば、どのようなものを使用して もよく、例えば弾性を有するウレタンフォームやラバーフォームを用いてもよい 。

【００２０】 また、靴本体ａと別体に構成したパッド部の付着は、上記実施例のように縫着 する以外に、接着剤を使用して接着しても、若しくは、止着金具や合成樹脂製の 連結部材を使用して付着してもよい。また、上記パッド部は、履口部ａ１最後部 の口縁に対して、既存の係止具やベルベットファスナーを用いて着脱可能に付設 してもよい。 さらに、本考案は、サッカーシューズ以外の運動靴に採用することも可能であ る。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は以上説明したように、靴本体履口部の最後部に、アキレス腱部位を保 護するパッド部を、靴本体とは別体に構成し、靴本体履口部の最後部に付設した ものであるから、パッド部自体が靴本体から独立し、靴本体からの剛性を必要以 上に受けることがなくなるので、使用中においてパッド部分が、靴本体との接続 部分から比較的柔らかく折曲変形するようになる。よって、使用中においてアキ レス腱部位が激しく接触しても、上記パッド部が自然な感触で屈曲するため、履 口の最後部に起立するパッド部が運動動作の妨げになることがない。

【００２２】 また、請求項２記載の運動靴のように、上記パッド部に内設する衝撃吸収材と して、形状保持機能フォーム材を用いたものにいおては、例えばサッカーの試合 中にチャージを受ける場合等に、パッド部に対して外部から加わる衝撃的な圧力 を平均して吸収，分散し、使用者のアキレス腱が受けるダメージを効果的に低減 することができる。 また、運動靴を履いた状態において、使用者のアキレス腱から加わる緩圧力に 対しては、その形状を保持するように形状保持機能フォームが変形し、さらに、 その際の反発力も少ないため、アキレス腱部分を均等にサポートとし得ると共に 、良好なフィット感を発揮する。

【００２３】 請求項３記載の運動靴のように、パッド部の下辺部分を靴本体履口部における 最後部に縫着し、該縫着部分からパッド部を屈曲可能に構成したものにあっては 、パッド部が縫着部分からさらに柔らかく屈曲且つ変形するようになるので、例 えばキック時のように足首を大きく回す動作の際に、パッド部が足に追従して屈 曲且つ変形するようになり、起立するパッド部が運動動作の抵抗となる不具合を より効果的に防止し、さらに、アキレス腱部分の靴擦れも効果的に防止すること ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案を実施したサッカーシューズを示す
縦断面図。

【図２】 同サッカーシューズの平面図。

【図３】 図１におけるIII-III 線断面図。

【図４】 図１におけるIV-IV 線断面図。

【図５】 同サッカーシューズの踵部を示す斜視図。

【図６】 従来のサッカーシューズを示す縦断面図。

【符号の説明】

ａ・・・靴本体 １・・・甲皮 ａ１・・・履口部 ６・・・パッド部 ６ｂ・・・衝撃吸収材 ６ｃ・・・縫着部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 靴本体履口部の最後部に、使用者の
   アキレス腱部位を保護するパッド部を起立させた運動靴
   において、前記パッド部を靴本体とは別体に構成し、同
   靴本体履口部の最後部に付設して成る運動靴。
2. 【請求項２】 上記パッド部に内設する衝撃吸収材
   として、形状保持機能フォーム材を用いたことを特徴と
   する請求項１記載の運動靴。
3. 【請求項３】 上記パッド部の下辺部分を靴本体履
   口部における最後部に縫着し、この縫着部を介して上記
   パッド部を折曲可能に支持した請求項１又は２記載の運
   動靴。