JP3036325B2 - 化成処理性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

化成処理性に優れた冷延鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、化成処理性に優れた
チタン添加極低炭素冷延鋼板および各種の表面処理用原
板(以下、単に「冷延鋼板」と略称する)に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】炭素および窒素の含有量が低減された極
低炭素鋼に、チタン、ニオブ等の炭窒化物形成元素が添
加されたInter-sticial free鋼(以下、「IF鋼」とい
う)は、プレス成形性に優れている。従って、近年IF鋼
板の使用が増加している。
【0003】IF鋼板の中でも、炭窒化物形成元素として
チタンのみが添加されたIF鋼板(以下、「Ti添加IF鋼
板」という)は、降伏強度が低く且つランクフォード値
が高い優れた特性を有している。しかしながら、鋼板に
対し、その表面上に燐酸塩皮膜を形成するための化成処
理を施すに際し、その化成処理性は、通常の低炭素鋼板
と比較して、必ずしも良好とはいえない。その原因は、
鋼中に添加されているチタンにあり、Ti添加IF鋼板を焼
鈍したときに、チタンの酸化皮膜によって鋼板の表面が
覆われるためであるとされている。
【0004】上述した観点から、Ti添加IF鋼板の化成処
理性を向上させる研究が従来から行われており、例え
ば、特公平4-61063号公報には、チタンのほかに、チタ
ン量によって規定される微量のニオブが添加された極低
炭素鋼板(以下、先行技術1という)が開示されてい
る。
【0005】また、特公平4-404120 号公報には、極低
炭素鋼板を、露点が−25℃以下の雰囲気中において連続
焼鈍することにより、その化成処理性を向上させる方法
(以下、先行技術2という)が開示されている。
【0006】そして、特開平2-267228 号公報には、ボ
ロンを含有する極低炭素鋼板を、露点が−20℃以下の雰
囲気中において連続焼鈍することにより、その化成処理
性を向上させる方法(以下、先行技術3という)が開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1には、チタ
ンのみが添加されたTi添加IF鋼板に比較して、その材質
が劣化するという問題がある。先行技術2には、連続焼
鈍に際して焼鈍炉内の雰囲気の露点を−25℃以下に厳し
く管理をしなければならない問題があり、先行技術3に
おいても、同様に焼鈍炉内の雰囲気の露点を−20℃以下
に厳しく管理をしなければならず、鋼中にボロンが含有
されていても、焼鈍雰囲気の露点を−20℃以下に低下さ
せなければ、化成処理性を向上させることができない。
【0008】このようなことから、Ti添加IF鋼板の有す
る上述した問題を解決し、材質が劣化することなく、そ
して、焼鈍炉内の雰囲気の露点を、酸化させない程度に
調整するのみで、特別に厳しく管理をする必要がなく、
しかも優れた化成処理性を有するTi添加IF鋼板の開発が
要求されているが、かかる鋼板はまだ提案されていな
い。
【0009】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、材質が劣化することなく、また、焼鈍炉内の
雰囲気の露点を特別に厳しく管理をする必要がなく、し
かも優れた化成処理性を有する冷延鋼板を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】一般に、冷延鋼板の化成
処理性を左右する因子として、鋼板表面に生成する酸化
皮膜等、鋼板の表面状態が極めて重要であることが指摘
されている。即ち、冷延鋼板の化成処理性を向上させる
ためには、化成処理皮膜の組成を、燐酸亜鉛結晶である
Hopeite(Zn3(PO4)・4H20)よりも、燐酸鉄結晶である
Phosphophylite(Zn2Fe(PO4)・4H20)を主体にすること
が重要であり、このような、燐酸鉄結晶であるPhosphop
hylite(Zn2Fe(PO4)・4H20)を主体とする組成にするた
めには、鋼板表面におけるFeの溶出が必須不可欠の条件
である。
【0011】本発明者等は、以上の観点から、優れた化
成処理性を有するTi添加IF鋼板を開発すべく鋭意研究を
重ねた。その結果、鋼中に、チタンと共に、所定量のボ
ロンを、窒素量との関係において、B/N 値がwt.%で0.15
〜0.55の範囲内になるように含有させれば、Ti添加IF鋼
板の化成処理性を向上させ得ることがわかった。
【0012】 この発明は、上述した知見に基づいてな
されたものであって、この発明の、化成処理性に優れた
冷延鋼板は、下記からなっている。 炭素(C) : 0.0005 〜0.004 wt.%、 シリコン(Si): 0.03 wt.%以下、 マンガン(Mn): 0.05 〜0.3 wt.%、 燐(P) : 0.025wt.%以下、 硫黄(S) : 0.003〜0.02wt.%、 可溶性アルミニウム(Sol.Al):0.1 wt.%以下、 窒素(N) : 0.0037wt.% 以下、 ボロン(B) : 0.0001 〜0.002 wt.%、 但し、B/N : 0.15 〜0.55、 チタン(Ti) : 0.005〜0.1 wt.%、および、 残り :鉄および不可避的不純物。
【0013】
【作用】この発明の冷延鋼板の化学成分組成を、上述し
た範囲内に限定した理由について、以下に述べる。 (1) 炭素(C) :炭素は、鋼板の成形性を確保するために
少ない方が望ましいが、実用上、本願発明の効果を損な
わない量として、炭素含有量の上限値を 0.004wt.%に限
定した。なお、その好ましい上限値は0.003 wt.%であ
る。一方、過度に炭素量を低減することはコストの上昇
を招くので、経済的観点から、炭素含有量の下限値を0.
0005wt.%に限定した。
【0014】(2) シリコン(Si):ンシリコンは、固溶強
化元素であり、鋼板を強化する作用を有している。しか
しながら、シリコン含有量が0.03wt.%を超えて多いと化
成処理性が劣化する。従って、シリコン含有量は、0.03
wt.%以下に限定すべきである。
【0015】(3) マンガン(Mn):マンガンは、鋼中の硫
黄を固定する作用を有している。しかしながら、マンガ
ン含有量が0.05wt.%未満では、上述した作用に所望の効
果が得られない。一方、マンガン含有量が0.3wt.% を超
えると、化成処理性が劣化する。従って、マンガン含有
量は、0.05〜0.3 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0016】(4) 燐(P) :燐は、少量で鋼板の強度を向
上させる作用を有している。しかしながら、燐含有量が
0.025wt.%を超えると、鋼板に対し多段絞り加工を施す
際に、鋼板が脆化しやすくなる。従って、燐含有量は0.
025wt.% 以下に限定すべきである。
【0017】(5) 硫黄(S) :硫黄は、鋼板の延性を確保
するために、少ない方が望ましいが、実用上本願発明の
効果を損なわない量として、硫黄含有量の上限値を0.02
wt.%に定めた。一方、硫黄含有量が 0.003wt.%未満にな
ると、鋼板の酸洗時におけるスケールの剥離性が低下す
る。従って、硫黄含有量は 0.003〜0.02wt.%の範囲内に
限定すべきである。
【0018】(6) 可溶性アルミニウム(Sol.Al):アル
ミニウムは、脱酸および窒素の固定のために必要な元素
である。しかしながら、可溶性アルミニウムの含有量が
0.1wt.%を超えると、コストが上昇し経済的に不利であ
る。従って、可溶性アルミニウムの含有量は、0.1 wt.%
以下に限定すべきである。可溶性アルミニウムの好まし
い含有量は、0.06wt.%以下である。
【0019】(7) 窒素(N) :窒素は、鋼板の成形性を確
保するために少ない方が望ましいが、実用上本発明の効
果を損なわない量として、窒素含有量の上限値を0.0037
wt.%に限定した。
【0020】(8) ボロン(B) :ボロンは、Ti添加IF鋼の
化成処理性を向上させる作用を有する、この発明におけ
る重要な元素である。しかしながら、ボロン含有量が
0.0001 wt.%未満では、上述した作用に所望の効果が得
られない。一方、ボロン含有量が0.002 wt.%を超える
と、化成処理性向上作用に、より以上の効果が得られな
いばかりでなく、鋼板の延性劣化を招く。従って、ボロ
ン含有量は 0.0001 〜0.002 wt.%の範囲内に限定すべき
である。
【0021】ボロンを、鋼中に含有されている窒素量と
の関係において、B/N 値がwt.%で 0.15 〜0.55の範囲内
になるように、鋼中に含有させることが重要である。以
下に、ボロンを、B/N 値がwt.%で 0.15 〜0.55の範囲内
になるように含有させる理由について述べる。
【0022】化成処理時に、鋼板表面におけるFeの溶出
反応を促進させるためには、鋼板の表面に、局部電池
(ミクロセル)を形成させることが重要であり、従っ
て、鋼板表面に生成する酸化皮膜が、Feの溶出に重要な
役割を果たす。そこで、本発明者等は、Ti添加IF鋼板の
化成処理性を改善するための鋼板の化学成分組成につい
てボロンに着目し、種々検討を重ねた。
【0023】先ず、表1に示すように、チタンと共に微
量のボロンを含有する、B/N 値の異なる供試鋼No.1〜6
の各スラブを調製した。そして、各スラブを熱間圧延し
次いで冷間圧延して冷延鋼板を調製した。次いで、得ら
れた冷延鋼板に対し、N2-10%H3雰囲気中において、連続
焼鈍をシュミレートした再結晶焼鈍を施し、次いで、再
結晶焼鈍が施された冷延鋼板に対し、0.5%の圧下率で調
質圧延を施した。このようにして得られた冷延鋼板から
試験片を採取し、その化成処理性を調査した。
【0024】
【表1】
【0025】化成処理性の調査は、次のようにして行っ
た。即ち、温度50℃、全酸度20、遊離酸度0.75に調整さ
れた燐酸塩処理液(日本パーカライジング社製のPB-L30
80)中に、試験片の各々を40秒間浸漬し、次いで水洗し
そして乾燥した。このようにして、その表面上に燐酸塩
皮膜が形成された各試験片の、燐酸塩皮膜の付着量およ
びP比を測定し、これによって、化成処理性を評価し
た。
【0026】燐酸塩皮膜付着量の測定は、予め皮膜溶解
法によって燐酸塩皮膜の付着量が定量されている検量線
サンプルを使用し、蛍光X線分析法によって行った。P
比は、X線回折法を使用し、前述した Hopeiteの(020)
面のピーク強度をI(H)とし、そして、前述したPhosphop
hyliteの(100)面のピーク強度をI(P)としたときの、I
(P)/{I(H)+I(P)}によって算出した。表2に、化成
処理性の調査結果を示す。
【0027】
【表2】
【0028】表1および表2から、鋼中に、チタンと共
にボロンを含有させた場合に、B/N値が化成処理性に大
きな影響を及ぼし、B/N 値が0.18〜0.53の場合には、優
れた化成処理性が発揮されるが、B/N 値が上記範囲より
少ない場合および多い場合は、化成処理性が劣化するこ
とがわかる。
【0029】そこで、炭素:0.0027wt.%、シリコン:0.
02wt.%、マンガン:0.15wt.%、燐:0.011wt.% 、硫黄:
0.009wt.% 、可溶性アルミニウム:0.05wt.%、窒素:0.
0025wt.%、および、チタン:0.040wt.% を含有し、そし
て、B/N 値が0.05〜0.65の範囲内になる量のボロンを含
有する数種類の鋼板に対し、前記B/N 値と、鋼板表面の
ボロン濃化層との関係について調べ、その結果を、図1
に示した。なお、鋼板表面のボロン濃化層は、Auger 電
子分光分析装置を使用し、焼鈍ままの鋼板表面を、アル
ゴンイオンによりスパッタリングし、ボロンのピークが
消失するまでの時間を測定することにより評価した。
【0030】図1から明らかなように、B/N 値が0.15未
満の場合には、鋼板表面のボロン濃化層が非常に薄くな
る。その理由は、ボロンの含有量が少ないために、鋼板
表面に、ボロンの濃化層が生成しにくくなるためである
と考えられる。一方、B/N 値が0.55を超えた場合には、
ボロン濃化層が厚くなり過ぎ、その厚さが不安定にな
る。その理由は、ボロンの含有量が多いために、鋼板表
面のボロン濃化層が極端に増加するためであると考えら
れる。これに対し、B/N 値が0.15〜0.55の範囲内の場合
には、鋼板にほぼ一定の厚さのボロン濃化層が形成され
る。
【0031】次に、化成処理性の良否を決定する重要な
因子である、鋼板表面からのFeの溶出量を、以下に述べ
る方法によって調べた。即ち、30×100mm2の露出面を有
する供試鋼No.1〜6からなる冷延鋼板を連続焼鈍し、次
いで、連続焼鈍された冷延鋼板の各々を、pH値が3に調
整された、0.1mol/lのH2SO4 水溶液中に20分間浸漬し
た。そして、そのときの、上記水溶液中に溶出したFe2+
の濃度を、原子吸光分析法によって測定し、その測定結
果を、鋼板表面からのFeの溶出量とした。表3に上記測
定結果を示す。
【0032】
【表3】
【0033】表1および表3から、B/N 値が0.18〜0.53
の範囲内である供試鋼No.2〜5 は、鋼板表面からのFeの
溶出量が多く、一方、 B/N値が0.08であって少ない供試
鋼No.1および B/N値が0.66であって多い供試鋼No.6は、
何れも、鋼板表面からのFeの溶出量が少なかった。
【0034】上述した結果から、ボロンの含有量は、 B
/N値が0.15〜0.55の範囲内になるように限定すべきであ
る。このように、 B/N値が0.15〜0.55の範囲内になるよ
うにボロンを含有させれば、鋼板の表層にボロンの安定
した濃化層が生成し、このボロン濃化層によって、Feの
溶出反応を促進される。
【0035】なお、Ti添加IF鋼に、 B/N値が0.15〜0.55
の範囲内になるようにボロンを添加すると化成処理性が
向上する理由は、現段階においては必ずしも明らかでは
ないが、以下のように推定される。即ち、鋼板の表面に
生成した濃化層が、チタンのような強固な酸化皮膜の場
合には、燐酸塩処理時にFeの溶出が生じにくくなる結
果、化成処理性が劣化する。しかしながら、鋼板の表面
に、 B/N値が0.15〜0.55の範囲内のボロン濃化層が生成
している場合には、鋼板の表面に局部電池が形成され、
Feの溶出が促進される結果、化成処理性が改善される。
【0036】(9) チタン(Ti): チタンは、炭素、窒素および硫黄の一部を固定し、鋼板
の成形性を向上させる作用を有している。しかしなが
ら、チタン含有量が0.005 wt.%未満では、上述した作用
に所望の効果が得られず、更に鋼板の時効性が劣化す
る。一方、チタン含有量が0.1 wt.%を超えると、化成処
理性が劣化するばかりでなく、表面欠陥が生成する原因
になり、且つ、コストの上昇を招く。従って、チタン
有量は、0.005 〜0.1 wt.%の範囲内に限定すべきであ
る。
【0037】本発明鋼板としては、連続焼鈍後に各種電
気めっき処理が施される表面処理鋼板、電気めっき処理
後に有機被覆処理が施される表面処理鋼板、あるいは、
冷間圧延後の鋼板にライン内において連続焼鈍付きの連
続溶融亜鉛めっき処理が施される表面処理鋼板等を含む
ものである。
【0038】
【実施例】次に、この発明を、実施例により比較例と対
比しながら説明する。各々、表4に示す、この発明の範
囲内の化学成分組成の冷延鋼板を、連続鋳造、熱間圧
延、冷間圧延および連続焼鈍からなる通常の方法により
調製し、本発明の範囲内の化学成分組成を有する冷延鋼
板の供試体(以下、本発明供試体という)No.1〜11を調
製した。
【0039】比較のために、表4に併せて示す、本発明
の範囲外の化学成分組成を有する冷延鋼板を、上記と同
じく、連続鋳造、熱間圧延、冷間圧延および連続焼鈍か
らなる通常の方法により調製し、本発明の範囲外の化学
成分組成を有する冷延鋼板の供試体(以下、比較用供試
体という)No.1〜10を調製した。
【0040】
【表4】
【0041】このようにして調製された、本発明供試体
No.1〜11および比較用供試体No.1〜10の各々を、温度50
℃、全酸度20、遊離酸度0.75に調製された燐酸塩処理液
(日本パーカライジング株式会社製 PB-L3080 )中に40
秒間浸漬し、次いで水洗しそして乾燥した。このように
して、その表面上に化成処理皮膜が形成された各供試体
の燐酸塩皮膜付着量およびP比を調べた。なお、燐酸塩
皮膜付着量およびP比の調査は、前述した方法によって
行った。
【0042】更に、各供試体の時効指数(AI)を測定
し、これによってその時効性を調査した。時効指数(A
I)は、各供試体から、JIS5号試験片を切り出し、切り
出された各試験片に対し、8% の予歪みを与え、次い
で、100 ℃の温度で1時間熱処理を施したときの上昇応
力によって測定した。各供試体の燐酸塩皮膜付着量、P
比および時効指数(AI)を、表5に示す。
【0043】
【表5】
【0044】表4および表5から明らかなように、ボロ
ンを含有していない比較用供試体No. 3、ボロンを含有
せずニオブを含有している比較用供試体No.4、B/N 値が
本発明の範囲内ではあるが、ニオブを含有している比較
用供試体No.6は、何れも燐酸塩皮膜付着量が少なく且つ
P比が低く、化成処理性が劣っていた。上記から、チタ
ンとボロンとを、この発明の範囲内の量で組み合わせた
場合にのみ、優れた化成処理性の得られることがわか
る。
【0045】チタン含有量が本発明の範囲を外れて少な
い比較用供試体No.1は、時効指数(AI)が12MPa であっ
て時効性が悪かった。 B/N値が本発明の範囲を超えて高
い比較用供試体No.2、No.5、No.7、No.8、および、本発
明の範囲よりも低い比較用供試体No.9は、何れも燐酸塩
皮膜付着量が少なく且つP比が低く、化成処理性が劣っ
ていた。B/N 値が本発明の範囲内であっても、チタン含
有量が本発明の範囲を超えて多い比較用供試体No.10
は、同じく化成処理性が劣っていた。
【0046】これに対し、本発明供試体No.1〜11は、何
れも、燐酸塩皮膜付着量が1.8 g/m2以上で且つP比は0.
86以上であり、優れた化成処理性を有し且つ時効性も良
好であった。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
材質が劣化することなく、また、焼鈍炉内の雰囲気の露
点を、特別に厳しく管理をする必要がなく、しかも優れ
た化成処理性を有するTi添加IF鋼板が得られる、工業上
優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】B/N 値と、鋼板表面のボロン濃化層との関係を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素(C) : 0.0005 〜0.004 wt.%、 シリコン(Si): 0.03 wt.%以下、 マンガン(Mn): 0.05 〜0.3 wt.%、 燐(P) : 0.025wt.%以下、 硫黄(S) : 0.003〜0.02wt.%、 可溶性アルミニウム(Sol.Al):0.1 wt.%以下、 窒素(N) : 0.0037wt.% 以下、 ボロン(B) : 0.0001 〜0.002 wt.%、 但し、B/N : 0.15 〜0.55、 チタン(Ti) : 0.005〜0.1 wt.%、および、 残り :鉄および不可避的不純物、 からなることを特徴とする、化成処理性に優れた冷延鋼
    板。
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