JP3036133U - 耐震用アンカーボルトの締着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に地震発生時等に、軸部の横振れを防い
で、ネジ部に横方向の剪断力が作用してもネジ部が剪断
破壊するのを確実に防止し、しかも小型化や軽量化を図
る。 【解決手段】 基礎コンクリートやコンクリート構造物
等のコンクリートＡ内に耐震用アンカーボルト１の軸部
２の埋込側端部側を埋込んで、この耐震用アンカーボル
ト１の軸部２の締付側端部のネジ部３に適宜締付部材４
を捩込んで各種設備、機器、水槽Ｂ等の支持部材Ｃを締
付けるようにした耐震用アンカーボルトの締着装置にお
いて、前記耐震用アンカーボルト１のネジ部３の締付部
材４下側に、前記ネジ部３の剪断破壊に対する強度を増
大させる特殊鋼又は高張力鋼製の剪断補強ナット５を、
その下部が前記基礎コンクリートやコンクリート構造物
等のコンクリートＡ内に埋込まれ且つその上部が前記支
持部材Ｃの支持孔Ｄ内に嵌込まれるように取付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、主として基礎コンクリートやコンクリート構造物等に各種設備、機 器、水槽等を据え付けるのに好適な耐震用アンカーボルトの締着装置に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のアンカーボルトとしては、多種多様に案出されているが、その 殆どが、軸部の埋込側端部に鉤形状の抜止部が設けられ、且つ軸部の締付側端部 にネジ部が設けられていて、この軸部の締付側端部のネジ部に締付ナットを、座 金を介して捩込んで各種設備、機器、水槽等の支持部材を締付けるようにしてい た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来のアンカーボルトは、軸部の締付側端部のネジ部に締付ナット を、各種設備、機器、水槽等の支持部材が抜出さないように座金を介して捩込ん で単なる締付けるのみであるため、アンカーボルトの軸方向（締付方向）へは配 慮されているが、アンカーボルトの横方向（剪断方向）へは何等配慮されておら ず、ネジ部の剪断破壊に対する強度が弱く、特に、地震発生時等に、軸部に横振 れが発生してネジ部に横方向の剪断力が作用し、ネジ部が剪断破壊する虞があっ た。また、ネジ部の剪断破壊に対する強度が弱いことから、アンカーボルト全体 を大きくしたり、或いは重量を重くしたりしなければならなかった。

【０００４】 そこで、本考案は、上述のような問題点に着目して案出されたもので、ネジ部 の剪断破壊に対する剪断強度を著しく増大させて、特に地震発生時等に、軸部の 横振れを防いで、ネジ部に横方向の剪断力が作用してもネジ部が剪断破壊するの を確実に防止できるようにし、しかも、小型化や軽量化も図れるような耐震用ア ンカーボルトの締着装置を提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の耐震用アンカーボルトの締着装置は、上述のような目的を達成するた めに、基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリート内に耐震用アン カーボルトの軸部の埋込側端部側を埋込んで、この耐震用アンカーボルトの軸部 の締付側端部のネジ部に適宜締付部材を捩込んで各種設備、機器、水槽等の支持 部材を締付けるようにした耐震用アンカーボルトの締着装置において、前記耐震 用アンカーボルトのネジ部の締付部材下側に、前記ネジ部の剪断破壊に対する強 度を増大させる特殊鋼製の剪断補強ナットを、その下部が前記基礎コンクリート やコンクリート構造物等のコンクリート内に埋込まれ且つその上部が前記支持部 材の支持孔内に嵌込まれるように取付けたものである。

【０００６】 また、前述の剪断補強ナットを高張力鋼で成形したものである。

【０００７】 それに、前述の剪断補強ナットの外周面の上部近傍に、各種設備、機器、水槽 等を据え付けるべく基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリートの 仕上位置を示す目印部材を設けたものである。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態として、基礎コンクリートやコンクリート構造物等 に各種設備、機器、水槽等を据え付ける状態を図面に基づいて説明する。

【０００９】 本考案の耐震用アンカーボルトの締着装置は、図１及び図２に示すように、基 礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリートＡ内に耐震用アンカーボ ルト１の軸部２の埋込側端部側を埋込んで、この耐震用アンカーボルト１の軸部 ２の締付側端部のネジ部３に適宜締付部材４を捩込んで各種設備、機器、水槽Ｂ 等の支持部材Ｃを締付けるようにした耐震用アンカーボルトの締着装置において 、前記耐震用アンカーボルト１のネジ部３の締付部材４下側に、前記ネジ部３の 剪断破壊に対する強度を増大させる特殊鋼製の剪断補強ナット５を、その下部が 前記基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリートＡ内に埋込まれ且 つその上部が前記支持部材Ｃの支持孔Ｄ内に嵌込まれるように取付け、この剪断 補強ナット５の外周面の上部近傍には、各種設備、機器、水槽等を据え付けるべ く基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリートＡの仕上位置を示す 目印部材６を設けるように形成する。

【００１０】 即ち、前記耐震用アンカーボルト１は、直径が略16ｍｍ程度の軸部２の埋込側 端部に鉤形状の抜止部７を設け、且つ軸部２の締付側端部にネジ部３を設けるよ うに形成されている。

【００１１】 また、前記締付部材４としては、好ましくは下側に丸座金８又はスプリング座 金を介した締付ナット９が良いが、鍔付き締付ナットや前記支持部材Ｃの支持孔 Ｄの径よりも大径の締付ナットのみでも良い。

【００１２】 それに、前記剪断補強ナット５としては、ばね鋼、軸受鋼、ステンレス鋼、耐 熱鋼、快削鋼、ピアノ線材、高張力鋼（ハイテンションスチール）、高マンガン 鋼等の特殊鋼で成形されており、そして、直径が略30ｍｍ程度で長さが略25ｍｍ 程度の筒体１０の内周面にメネジを設けるように形成されている。特に、この剪 断補強ナット５を高張力鋼（ハイテンションスチール）で成形すると、ネジ部３ の剪断破壊に対する剪断強度を一層増大させることができる。尚、この剪断補強 ナット５は、筒体１０の内周面のメネジを耐震用アンカーボルト１のネジ部３の 締付部材４下側に捩込んで取付けるように図示されているが、これに何等限定さ れることなく、耐震用アンカーボルト１の締付部材４下側にネジ部３を設けず、 且つ筒体１０の内周面にメネジを設けずに、耐震用アンカーボルト１の締付部材 ４下側に剪断補強ナット５の筒体１０を嵌込んで接着剤で接着したり、或いは単 なる嵌合させるのみで取付けるようにしても良い。

【００１３】 更に、前記目印部材６としては、剪断補強ナット５の外周面の上部近傍にワッ シャを溶着するように図示されているが、これに限らず、剪断補強ナット５の外 周面の上部近傍にフランジや鍔等を一体に成形することも可能である。

【００１４】 ここで、本考案と従来との各種設備、機器、水槽Ｂ等の支持部材Ｃの締付部分 の直径を比較すると、従来の普通のアンカーボルトは直径が16ｍｍで断面積が 2 00ｍｍ² であるのに対し、本考案は耐震用アンカーボルト１と剪断補強ナット５ との和になるため、直径が30ｍｍで断面積が 707ｍｍ² となり、断面積が従来の 略3.5 倍である。従って、同一材料の場合、従来の普通のアンカーボルトは直径 が16ｍｍで剪断力が1.81トンであるのに対し、本考案は耐震用アンカーボルト１ と剪断補強ナット５との和であって、直径が30ｍｍで剪断力が6.36トンとなり、 剪断力が従来の略3.5 倍であることから、従来の普通のアンカーボルトよりネジ 部３の剪断破壊に対する強度を略3.5 倍増大させることができる。更に、剪断補 強ナット５の材料として剪断力の大きな高張力鋼を選べば3.5 倍よりも更に増大 させることができる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の耐震用アンカーボルトの締着装置は、上述のように、基礎コンクリー トやコンクリート構造物等のコンクリートＡ内に耐震用アンカーボルト１の軸部 ２の埋込側端部側を埋込んで、この耐震用アンカーボルト１の軸部２の締付側端 部のネジ部３に適宜締付部材４を捩込んで各種設備、機器、水槽Ｂ等の支持部材 Ｃを締付けるようにした耐震用アンカーボルトの締着装置において、前記耐震用 アンカーボルト１のネジ部３の締付部材４下側に、前記ネジ部３の剪断破壊に対 する強度を増大させる特殊鋼製の剪断補強ナット５を、その下部が前記基礎コン クリートやコンクリート構造物等のコンクリートＡ内に埋込まれ且つその上部が 前記支持部材Ｃの支持孔Ｄ内に嵌込まれるように取付けたから、各種設備、機器 、水槽Ｂ等の支持部材Ｃの締付部分の直径が耐震用アンカーボルト１と剪断補強 ナット５との和になることと、剪断補強ナット５を特殊鋼製にしたこととが相俟 って、ネジ部３の剪断破壊に対する剪断強度を著しく増大させることができるた め、特に地震発生時等に、軸部２の横振れを防ぐことができることから、ネジ部 ３に横方向の剪断力が作用しても、ネジ部３が剪断破壊するのを確実に防止する ことができる。

【００１６】 しかも、前述のように各種設備、機器、水槽Ｂ等の支持部材Ｃの締付部分の直 径が耐震用アンカーボルト１と剪断補強ナット５との和になることと、剪断補強 ナット５を特殊鋼製にしたこととによって、ネジ部３の剪断破壊に対する剪断強 度を著しく増大させることができることから、本考案の耐震用アンカーボルトの 締着装置の小型化や軽量化も図ることができる。

【００１７】 また、前記剪断補強ナット５を高張力鋼で成形することによって、ネジ部３の 剪断破壊に対する剪断強度を一層増大させることができるため、特に地震発生時 等に、軸部２の横振れを一層防ぐことができることから、ネジ部３に横方向の剪 断力が作用しても、ネジ部３が剪断破壊するのを一層確実に防止することができ る。

【００１８】 それに、前述の剪断補強ナット５の外周面の上部近傍に、各種設備、機器、水 槽等を据え付けるべく基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリート Ａの仕上位置を示す目印部材６を設けたことによって、耐震用アンカーボルト１ の軸部２の埋込側端部側を、各種設備、機器、水槽Ｂ等を据え付けるべく基礎コ ンクリートやコンクリート構造物等のコンクリートＡ内に埋込む際に、剪断補強 ナット５の外周面の上部近傍の目印部材６をコンクリートＡの仕上位置に合わせ ることができるため、基礎コンクリートやコンクリート構造物等のコンクリート Ａ内への耐震用アンカーボルト１の埋込操作を極めて容易且つ確実にすることが できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す分解正面図である。

【図２】基礎コンクリートやコンクリート構造物等に各
種設備、機器、水槽等を据え付ける状態を示す要部断面
図である。

【符号の説明】

１ 耐震用アンカーボルト ２ 軸部 ３ ネジ部 ４ 締付部材 ５ 剪断補強ナット ６ 目印部材 ７ 抜止部 ８ 丸座金 ９ 締付ナット １０ 筒体 Ａ コンクリート Ｂ 各種設備、機器、水
槽 Ｃ 支持部材 Ｄ 支持孔

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基礎コンクリートやコンクリート構造物
   等のコンクリート内に耐震用アンカーボルトの軸部の埋
   込側端部側を埋込んで、この耐震用アンカーボルトの軸
   部の締付側端部のネジ部に適宜締付部材を捩込んで各種
   設備、機器、水槽等の支持部材を締付けるようにした耐
   震用アンカーボルトの締着装置において、前記耐震用ア
   ンカーボルトのネジ部の締付部材下側に、前記ネジ部の
   剪断破壊に対する強度を増大させる特殊鋼製の剪断補強
   ナットを、その下部が前記基礎コンクリートやコンクリ
   ート構造物等のコンクリート内に埋込まれ且つその上部
   が前記支持部材の支持孔内に嵌込まれるように取付けた
   ことを特徴とする耐震用アンカーボルトの締着装置。
2. 【請求項２】 剪断補強ナットを高張力鋼で成形した請
   求項１記載の耐震用アンカーボルトの締着装置。
3. 【請求項３】 剪断補強ナットの外周面の上部近傍に、
   各種設備、機器、水槽等を据え付けるべく基礎コンクリ
   ートやコンクリート構造物等のコンクリートの仕上位置
   を示す目印部材を設けた請求項１又は２記載の耐震用ア
   ンカーボルトの締着装置。