JP3035627U - 長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シート積層ポリオレフィン系樹脂発泡体製パレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、曲げ強さや曲げ弾性率に優れると
共に、容易に組立ができ、かつ、桁が破損したときでも
容易に交換することができるパレットを提供することに
ある。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体
からなる板状体の上下両面に長繊維補強ポリオレフィン
系樹脂シートを熱融着した複合積層板を用いた上板およ
び下板を、上板と下板との間に配置される複数の桁によ
り連結、一体化してなるポリオレフィン系樹脂発泡体製
パレット。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、フォークリフト等により貨物を運搬する際に用いられるパレットに 関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、フォークリフト等により貨物を運搬する際に用いられるパレットは木製 、あるいは金属製のものが多く使用されていた。これらは十分な強度をもたせる ために重量が大であり、作業性がよくないという問題があった。木製のパレット は腐食の外にカビが発生しないようにするために使用及び保管・管理の点でも細 かい注意が必要であった。又、木材のささくれに対する配慮が必要であった。 これらの木製パレットの欠点を解消するために合成樹脂の射出成形によるプラ スチックパレットが開発されている。プラスチックパレットは木製パレットと比 較すると、比較的軽量であり、殆ど吸水性もなく、腐食することもないために普 及しているが、緩衝性に乏しく衝撃により積載物を傷つけることがあった。また 軽量化の点ではまだ十分なものとはいえなかった。 そして、軽量化をはかるために発泡プラスチックを用いたパレットも開発され ている。これは押出し発泡法、発泡ビーズ型内成形法等により形成された熱可塑 性樹脂発泡体を用いるものである。発泡プラスチックを用いたパレットは軽量で あるが、曲げ強さ、曲げ弾性率などが従来のプラスチックを用いたパレットと比 較すると小さく、パレットを大型化する場合、及び重量物を積載する場合にはパ レットが大きくたわんでしまうため不向きとされてきた。 又、従来発泡プラスチック製のパレットはパレットの上板及び下板等に分割さ れた構成部材を熱融着などにより接合し一体化したもの、あるいはパレット全体 を一体成形したものが用いられてきた（実公平６−５０３４３号公報）。しかし ながら、このような一体化されたパレットはフォークリフトのフォークが接触し て桁部材が破損した場合にはその破損箇所のみ交換して修理が不可能であるため に、パレット全部を廃棄するなどの点で無駄が多かった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、曲げ強さや曲げ弾性率に優れると共に、容易に組立ができ、かつ、 桁が破損したときでも容易に交換することができるパレットを提供することにあ る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば、ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体からなる板状体の上 下両面に長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着した複合積層板を用い た上板および下板を、上板と下板との間に配置される複数の桁により連結、一体 化してなるポリオレフィン系樹脂発泡体製パレットが提供される。

【０００５】

【考案の実施の形態】

本考案のパレットの構造を、本考案のパレット斜視図（第１図）、及びそのＡ −Ａ’部分の断面図（第２図）、並びに本考案の上板及び下板の長繊維補強ポリ オレフィン系樹脂シート複合積層板の部分断面図（第３図）により説明する。

【０００６】 本考案のパレットは、図１に示されるように、パレットの上板（１）及び下板 （２）並びに桁（３）及び桁と上板及び下板とを連結するキャップ（４）より構 成される。

【０００７】 上板及び下板は、図３に示されるように、ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成 形体からなる板状の芯材の上下両面に長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートを 積層した複合積層板により構成されている。 上記複合積層体は、ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズを平板状に型内成形して 製造したポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体を芯材（５）とし、その上下両 面に繊維補強ポリオレフィン系樹脂シート（６）を積層したものである。

【０００８】 芯材を構成するポリオレフィン系樹脂発泡ビーズの基材樹脂としてはポリエチ レン（低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等 ）、ポリプロピレンの他、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン− プロピレンブロック共重合体、プロピレン−ブテン−１ランダム共重合体、プロ ピレン−ブテン−１ブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−１ラン ダム共重合体等があげられ、これらは架橋、または無架橋のものが用いられる。 芯材としては強度などからみて、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい 。発泡体の密度は０．０３ｇ／ｃｍ³ないし０．３０ｇ／ｃｍ³、好ましくは０． ０６ｇ／ｃｍ³〜０．１８ｇ／ｃｍ³とすることにより、軽量且つ高強度のパレッ トとすることができる。０．０３ｇ／ｃｍ³未満では強度が不十分なものとなり 、０．３０ｇ／ｃｍ³以上では軽量化の効果が小さい。 本考案の芯材の厚さは一般に１．０ｃｍ〜３．０ｃｍである。 本考案の芯材のポリオレフィン系樹脂発泡体は発泡ビーズの型内成形法により 作られるものであり、押出発泡法により得られる発泡体に見られる押出し方向へ のストレスがなく、反りや歪みを生じ難く、そして寸法安定性に優れているもの である。 芯材に緩衝性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体を用いたことに より、積載物の衝撃からの保護効果も有するものである。

【０００９】 本考案に用いられる長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートを構成する長繊維 からなる補強材にはガラス繊維、炭素繊維を用いることができる。又、炭化ケイ 素繊維、アルミナ繊維、チタン繊維、ポロン繊維及びステンレス繊維等も用いる ことが出来る。

【００１０】 長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートは、前記長繊維を集束してなる連続繊 維を一方向に配列した繊維シートに、軟化点以上に加熱されたポリオレフィン系 樹脂を含浸し、シート状とすることにより製造する。本考案に用いられる長繊維 補強ポリオレフィン系樹脂シートは長繊維の容積含有率が５０〜８０％、坪量が １００〜４００ｇ/ｃｍ²のものが好ましい。 長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートは熱圧着などにより積層することがで き、長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートの繊維の方向を違えて複数枚積層す ることにより、各々の方向の強度を十分に発揮できるようにし、かつ全体の強度 を均一になるようにすることができる。 第３図に示される例においては２枚の長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シート を、長繊維の方向を９０°違えて積層したものである。このように積層すること により各長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートの長繊維方向の強度に偏りが無 いものとすることができ、全体の強度を均一とすることができる。

【００１１】 パレットの上板及び下板に用いられる複合積層板は、長繊維補強ポリオレフィ ン系樹脂シートを発泡体の芯材の上下両面に熱融着することにより製造する。片 面のみの場合は複合化の効果が少なく、曲げ強度などの物性が不十分なものとな る。 発泡体の芯材の基材樹脂と長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートの基材樹脂 は、熱融着の点からみると同種類の樹脂材料を用いることが好ましく、この場合 には熱プレス等により容易に融着一体化することができる。 また、長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートを樹脂の溶融温度近くまで加熱 した後、芯材とともに加圧ロール間に導入して一体化する方法が挙げられ、この 場合には複合積層板を連続的に生産することができるとともに、芯材が柔軟なポ リオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体からなるため長繊維補強ポリオレフィン系 樹脂シートと芯材とが熱融着時に密着でき、加熱ムラのない良好な複合積層板が 得られる。 芯材及び長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートの基材樹脂としてポリプロピ レン系樹脂を用いる場合には前記のプロピレン系共重合体を用いることが好まし く、ポリプロピレン単独重合体と比較して樹脂の融点が低いことにより、熱融着 時の加熱温度を低くすることができ、加熱ムラの減少、加熱時間及び融着後の冷 却時間の短縮ができ生産効率を向上することができる。 得られた複合積層板のみかけの密度（複合積層板の重量を体積で除去した平均 の密度）は０．０５〜０．３５ｇ／ｃｍ³の範囲とすることが好ましい。０．０ ５ｇ／ｃｍ³未満の場合、曲げ強度や曲げ弾性率が不充分で良好なパレットとす ることが困難であり、また、みかけの密度が０．３５ｇ／ｃｍ³を超える場合に は軽量化の効果が小さく、作業性に劣るものとなりやすい。

【００１２】 図２に示されるように、パレットの上板（１）及び下板（２）は、合成樹脂製 の複数の筒状中空体からなる桁（３）と連結、固定される。桁と上板及び下板と の固定は、筒状中空体の反対面である上板の上面および下板の下面から上板およ び下板を貫通して筒状中空体と一体化するキャップにより、筒状中空体と連結し て行われる。上記のように構成することにより、上板及び下板と桁との一体化が 簡単に行われるとともに、パレットを軽量なものとすることができる。

【００１３】 筒状中空体は、上部及び下部に開口部を有する筒状で、開口部にはさらに筒状 の縁部を有するものとすることにより、上板及び下板とより確実に固定できるた め、このような形状とすることが好ましい。上部及び下部の開口部には、鍔部を 有するキャップを、上板及び下板に設けられた孔を貫通して挿入し、筒状中空体 と嵌合一体することにより、上板、下板及び中空筒状体を一体化し、固定化する 。 筒状中空体とキャップとを一体化させる方法としては、キャップ軸部末端に外 方に突出した係合突起を設け、キャップ軸部を筒状中空体の開口部に挿入した後 、中空筒状体内面に係合させる方法が挙げられ、この場合キャップ軸部の挿入を 容易にするために軸部に十文字状などの切り込みを設けることが好ましい。また 他の方法として、キャップ軸部を雄ネジ状に形成するとともに筒状中空体の開口 部より筒状中空体内部に向けて内筒を設け、上記内筒の内面をキャップ軸部に対 応した雌ネジ状に形成してネジ止めするようにして一体化する方法も挙げられる 。 上記の筒状中空体及びキャップは、例えば合成樹脂の射出成形により形成され る。パレットの上板および下板には予め筒状中空体の嵌合部とキャップとが嵌合 するための貫通孔と、キャプの鍔が収納される凹部とを形成しておくことが好ま しい。 中空筒状体の長さはフォークリフトのフォークの差し込みを行う操作に必要な 上板と下板の間隙を考慮して決められる。

【００１４】

【実施例】

ポリプロピレン系樹脂発泡ビーズ成形体（密度０．０６ｇ／ｃｍ³、厚さ２． ０ｃｍ）の芯材（１００ｃｍ×１００ｃｍ）にガラス長繊維を集束した連続繊維 を一方向に配列した繊維シートにポリプロピレン樹脂を含浸したシートをガラス 繊維の方向を９０℃違えて積層した長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シート（厚 さ０．３ｍｍ）を、芯材の上下に積層して、みかけの密度０．０９ｇ／ｃｍ³の 複合積層板を形成した。この複合積層板の重量は、１．８ｋｇであり、ＪＩＳ Ｋ６７６７に準拠して測定された１０％圧縮強さは３．５ｋｇｆ／ｃｍ²、Ｊ
Ｉ ＳＫ７２２１に準拠して測定された最大曲げ強度は４１．５ｋｇｆ/ｃｍ²曲げ弾 性率は３９４０ｋｇｆ／ｃｍ²であった。この複合積層板を上板及び下板とし、 ポリプロピレン樹脂製の筒状中空体からなる桁（９本）を第１図に示されるよう に配置し、十文字状の切り込みを有する軸部末端に外方に突出した係合突起を形 成したポリプロピレン樹脂製の鍔付キャップを用いて上板及び下板と桁とを連結 、一体化して本件考案のパレットを得た。このパレットは貨物を積載してフォー クリフトで運搬する際のたわみが少なく安定して貨物を運搬することができた。 〔比較例〕 従来の発泡プラスチックを用いたパレットとして、ポリプロピレン系樹脂発泡 ビーズ成形体（密度０．１１ｇ／ｃｍ³、厚さ２．０ｃｍ）からなる板状体（１ ００ｃｍ×１００ｃｍ）を、前記実施例の複合積層板の代わり用い、他は同様に してパレットを得た。 この発泡ビーズ成形体からなる板状体の重量は２．２ｋｇ、１０％圧縮強さ８ ．０ｋｇｆ／ｃｍ²であった。この発泡ビーズ成形体を用いたパレットは貨物を 積載してフォークリフトで運搬する際のたわみが大きく積載した貨物が不安定な ものであった。

【００１５】

【考案の効果】 本考案のパレットは、ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体からなる板状体 の上下両面に、長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シートを熱融着して積層した複 合積層板を上板及び下板に用いることにより、従来の木製のパレットと比較して 軽量化を達成すると共に、取扱いの際の衛生の点で優れており、又従来のポリオ レフィン発泡体からなるパレットと比較して曲げ強度及び曲げ弾性率の点で優れ 、パレットの大型化や重量物を積載する際に、たわみが少なく安定したものとす ることができ、又パレットを形成する際に中空筒状体からなる桁をキャップによ り上、下面板と連結するので、一体化が簡単に行われ、桁部分が破損した場合の 修復が容易に行うことができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のパレット斜視図である。

【図２】本考案のパレットのＡＡ’面の部分断面図であ
る。

【図３】本考案の上板及び下板の複合積層板の断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 上板 ２ 下板 ３ 筒状中空体 ４ キャップ ５ 芯材 ６ 長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シート

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体
   からなる板状体の上下両面に長繊維補強ポリオレフィン
   系樹脂シートを熱融着した複合積層板を用いた上板およ
   び下板を、上板と下板との間に配置される複数の桁によ
   り連結、一体化してなることを特徴とするポリオレフィ
   ン系樹脂発泡体製パレット。
2. 【請求項２】 桁が合成樹脂製の複数の筒状中空体から
   なり、桁と上板および下板との固定が、筒状中空体の反
   対面である上板の上面および下板の下面から上板および
   下板を貫通するキャップと筒状中空体とを一体化するこ
   とにより行われることを特徴とする請求項１記載のポリ
   オレフィン系樹脂発泡体製パレット。
3. 【請求項３】 ポリオレフィン系樹脂発泡ビーズ成形体
   の基材樹脂および長繊維補強ポリオレフィン系樹脂シー
   トの基材樹脂がいずれもポリプロピレン系樹脂であるこ
   とを特徴とする請求項１または２記載のポリオレフィン
   系樹脂発泡体製パレット。
4. 【請求項４】 複合積層板が、ポリオレフィン系樹脂発
   泡ビーズ成形体からなる密度０．０３〜０．３０（ｇ／
   ｃｍ³）の板状体の上下両面に長繊維補強ポリオレフィ
   ン系樹脂シートを熱融着した、みかけの密度が０．０５
   〜０．３５のものであることを特徴とする請求項１、２
   又は３記載のポリオレフィン系樹脂発泡体製パレット。