JP3034991U - 自動車用エアバッグの圧力調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアバッグの展開時にモジュールハウジング
の中に発生する過剰な圧力を軽減し、エアバッグが膨張
した時に金属の破片が車両の中に放出されるような危険
を防止し、これらの装置をより簡単な安価な手段で提供
する。 【解決手段】 エアバッグの展開時に発生するモジュー
ルハウジング１０の中の過剰な圧力を軽減するためにエ
アバッグモジュールハウジングにバルブ２０が設けられ
ている。前記バルブはハウジング材にポンチで開孔部を
開けることにより、ハウジングの母材と全く同一の材質
で形成されている。本考案は、インフレーター１２が完
全にモジュールハウジングの中に囲われているエアバッ
グインフレーティング装置に適用可能であり、特に、乗
員側のエアバッグインフレーティング装置に有用であ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動車用エアバッグの圧力調整装置に関する、特に、エアバッグモ ジュールハウジングの中に組み込まれた圧力調整装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の代表的な自動車の乗員用エアバッグ装置は、ガス発生器とクッションと ハウジングより成り立っている。殆どの装置は円筒形の発火装置の付いたガス発 生器を用いている。デービス等出願の１９８３年４月１９日発行の第４３８０３ ４６号米国特許において記述しているように、発火装置の付いたガス発生器エア バッグの特徴の一つは、周囲の環境の温度が上昇するとガスの発生率も増加する ことである。この燃焼率の変化によりそれに対応してクッションの展開動作が変 化する。高温度の時のクッションの展開は、低温度又は通常の周囲温度の時の展 開よりも、より速くより積極的にクッション内にガスが充填される。殆どの衝突 が通常の温度付近でクッションの展開を誘発するので、このことは、高温時の展 開が起こった時にはクッションとハウジングに対するストレスレベルを低くした 低経費手段を作りだす必要が生じる。これを補償するためにデービス等はインフ レーター（膨張器）のハウジングの中に貫通孔を設け、所望の圧力で破裂する箔 でその孔を覆うようにしている。インフレーターはモジュールハウジングの中に 閉じ込められているので、この時の圧力の軽減は、ほんの一時的なもので、その 後、圧力はモジュールハウジングとエアバッグクッションの中で継続的に増強さ れる。

【０００３】 他の最近の特許では、ザンダー等出願の１９９５年２月２０日発行の第４９０ ２０３６号米国特許において、ガス発生器の圧力が過大になった時に、インフレ ーターハウジングの中に設けられた接着部が破裂し、それによってインフレータ ーの中に圧力が増強されることが軽減される。

【０００４】 更に他の特許では、バーナード等出願の第５３４６２５１号米国特許において 、上記と同様の目的で溝がインフレーターハウジングの中に設けられている。

【０００５】 上記の後述の二つの対策は、完全に満足されるものではない。その理由は、も しも、インフレーターハウジングが破裂した場合には、金属の破片が車両の内部 に放出されて乗員を危険に曝すことになるからである。更に、その上、ザンダー もバーナードも破裂しうる構造がモジュールハウジングの中で囲われていない運 転者側のエアバッグ装置について記述している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、自動車用エアバッグが展開する時に乗員側のエアバッグ膨張モジュ ールにおいて圧力を調整するための、より簡単な安価な手段を提供するものであ る。本考案においては、モジュールの中の圧力が所定値に達した時にモジュール ハウジングの中のバルブが開かれるので、金属の破片が車両の中に放出されるよ うな危険は無い。

【０００７】 本考案の一つの目的は、エアバッグモジュールハウジングの壁の中に圧力調整 装置を備えることである。

【０００８】 本考案の他の目的は、エアバッグ膨張モジュールのハウジングの壁の中に直接 形成されているエアバッグの圧力調整用の新規な手段を備えることである。

【０００９】 更に本考案の他の目的は、どのような周囲の状態であっても、エアバッグの展 開時にはエアバッグ内の圧力を調整できる圧力調整装置を備えることである。

【００１０】 本考案の他の目的は、エアバッグが展開した時には、どのような周囲の状態で も、エアバッグの圧力が過大になることを防ぐ手段を備えることである。

【００１１】 本考案の更に他の目的は、エアバッグが膨張した時に乗用車の内部に金属の破 片が放出されることを避けることが出来るバルブ手段をエアバッグ膨張モジュー ルのハウジングの中に備えることである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案においては、未膨張のエアバッグを内蔵 しているエアバッグモジュールハウジングにおいて、前記ハウジングの中に、ガ スの圧力によって前記エアバッグを膨張させるための手段と、前記ハウジングの 中にある過剰な圧力を軽減する手段とを備え、前記圧力軽減手段は前記ハウジン グの壁の中に配置されているバルブより成り、且つ、完全に前記ハウジングを構 成している材質より形成されており、前記バルブは、前記ハウジングの中にパン チにより打ち抜かれたスリットにより画定された形状を有するスラグより成り、 前記スリットは前記ハウジング上の第１の点に始まり、前記ハウジング上の第２ の点で終わり、前記第１の点と前記第２の点との間の領域はパンチされないで、 前記ハウジングの中にパンチされないバルブコネクティングレッグを画定してお り、一対のスロットが前記第１の点と前記第２の点に隣接して前記ハウジングの 中でパンチされており、それによって、前記ハウジング内の圧力を前記エアバッ グの展開中に軽減する必要が起こった時に、前記スラグが前記第１の点と前記第 ２の点の間の前記バルブコネクティングレッグの中に形成されたヒンジに沿って 前記ハウジングから外側に湾曲し、前記ハウジングの中からガスが外側へ流れ出 す開口部を作りだすように構成されたことを特徴とする自動車用エアバッグの圧 力調整装置を提供する。

【００１３】

【考案の実施の形態】

本考案の代表的な乗員用エアバッグ装置が図１に示されており、これは、モジ ュールハウジング１０より成り、その中にインフレーター１２とエアバッグクッ ション１４とが収容されている。インフレーター１２はハウジング１０の中に格 納されているエアバッグクッション１４を膨張させる流体を放出する。モジュー ルハウジング１０とインフレーター１２とクッション１４の細部に関してはここ では説明をしない。その理由は、本考案において、これらの構成要素はハウジン グ１０の中のバルブ２０以外は通常の形式のものであり、現在公知の多くの形式 の物を用いているからである。

【００１４】 インフレーター１２には孔（ポート）１８を備えたケーシング１６が含まれ、 デービス等がその特許において記述しているように、この孔１８を覆って蓋をし ている箔が破裂した時にこの孔１８を通ってガスがモジュールハウジング１０の 中に流れ込み、クッション１４を膨張させる。

【００１５】 モジュールハウジング１０は少なくとも一つのバルブ２０を備えており、図２ 、図７及び図９にその細部が示されている。バルブ２０は二つのコントロールス ロット２２と一つの長円形のスラグ（金属の小塊）３４と一つのコネクションレ ッグ（連結脚部）４０を備えている。

【００１６】 図３、４、５及び６は、バルブ２０の他の実施例を示し、この中には、スラグ ３４を画定しているシーム（割れ目、合わせ目）２４の形が円形のもの（図３） 、長方形のもの（図４）、正方形のもの（図５）及び三角形のもの（図６）があ る。この外の多角形の形状もバルブ２０のスラグの部分を画定するために利用す ることが出来る。

【００１７】 本考案は、上述のとおり、エアバッグモジュールハウジング１０の壁の中に組 み込まれた圧力調整装置に関するものである。本考案は、エアバッグの壁の中に その母材となる材質のみを使用して形成された、通気孔（気抜け孔）を有する少 なくとも一つのバルブ２０より成っている。その他の部品やファースナーは追加 する必要はない。それぞれの通気孔は通常の正常な展開中に発生する圧力を保持 するための充分な強度を持っている。この通気孔のバルブ２０は高温の場合には 開いている。この通気バルブ２０は、エアバッグが高温で展開中にガスを抜き圧 力を軽減するように設計されているので、エアバッグクッション１４とモジュー ルハウジング１０に掛かる力とストレス（圧力）は危険な望ましくないレベルに 達する事が防止されている。

【００１８】 図７と図９はバルブ２０の平面図である。図７と図８に示すように、バルブ２ ０はハウジング１０の中でポンチＰとダイＤにより作り出される。ポンチＰは二 つのコントロールスロット２２と、このスロット２２に向かい合って反対側の位 置で直線的な側部を有する長方形をしたシーム２４と、直線的な延長線３２で終 わっている半円形の端部２８とを打ち出している。シーム２４と側部２６と端部 ２８と側部３２により画定されたスラグ３４はモジュールハウジング１０の平面 からポンチＰによって外側の方向にオフセットしている。コントロールスロット ２２はお互いに向き合っている。

【００１９】 図２、３、４、５及び図６を参照すれば、全部の実施例において、バルブ２０ はバルブコネクティングレッグ（バルブ連結脚部）４０とジオメトリーコントロ ールスロット（形状コントロールスロット）２２とスラグ３４とにより成り立っ ている。総てのバルブのの特徴のある形態は、特別に設計された道具立てを用い た通常のポンチ作業によって平らな又は湾曲した面の上にポンチされ又は成形さ れる事が出来る。バルブコネクティングレッグ４０は、それが曲がった時にそれ の長さに沿って一定の歪みと歪み力を持ったテイパーの付いたビーム（梁、横材 ）として機能している。このテイパーの付いた設計はレッグ４０が曲げられた時 に破砕することを予防している。バルブコネクティングレッグ４０はその示され た形により、又、バルブの材質により、バルブを開く、すなわち、バルブが割れ る圧力をコントロールしている。この割れる圧力はその材質が弾性限界に達する ために必要な圧力であると定義される。一度その材質が弾性限界に達すると材質 は可塑性に変化し、バルブは速やかに開き、ガスは流出する。バルブコネクティ ングレッグ４０の形状は重要であり、素材を貫通してポンチにより狭いスロット を孔開けして出来たジオメトリーコントロールスロット２２によりその範囲が限 定されている。長円形のスラグ３４はバルブの反応面積の大部分を形成し、モジ ュールハウジング１０を貫通して、ポンチレベルが制限されながらポンチにより 作りだされる。この方法により、スラグ３４はコネクティングレッグ４０の部分 以外は母材から自由に切り離されており、一方、極僅かのガスが、通常の展開中 に、長円形のスラグ３４の周辺部に沿って漏れている。

【００２０】 モジュールハウジングの材質は、０．５mmと３．０mmの間の厚さを有するアル ミニュウム又は鋼であることが望ましい。

【００２１】 バルブの動作は図１０と図１２に図式的に描いてある。図１０はエアバッグク ッション１４に圧力を掛ける前でエアバッグが膨張している時のバルブの状態を 示し、図１２は高温の展開時でバルブが開いた後の状態を示す。

【００２２】 図９はエアバッグの展開前のバルブの配置を示す。衝突時には発火装置に点火 され膨張ガスの圧力がエアバッグクッションに加えられる。同じ圧力がモジュー ルハウジング１０の内側に掛かる。膨張が正常であれば、圧力は予め設定された 値以上には上がらず、バルブは図１０に示すような位置に止まっている。膨張が 高温の時には、ハウジングとエアバッグクッションの中の圧力が所望の値をこえ て高くなり、バッグやモジュールハウジングを損傷する恐れがある。このような 時には、上述のように、また、図１２に示すようにしてバルブが開く。

【００２３】 バルブ２０はエアバッグの展開時にはエアバッグモジュールハウジング１０に 取り付けられたままで残されているが、エアバッグクッション１４とモジュール ハウジング１０との両者の中の圧力は軽減されていることは判るであろう。

【００２４】 本考案についての記述を今此処に紹介したが、前記の記述はその内容を限定す るものではなく、単に実例として解釈するべきであり、本考案は実用新案登録請 求の範囲内に限定されるものである。

【００２５】

【考案の効果】

本考案による自動車用エアバッグの圧力調整装置を用いることにより、周囲の 状態に係わらずエアバッグ内の圧力を調整できる圧力調整装置を備えるこどが可 能となり、また、エアバッグが展開した時には、エアバッグの圧力が過大になる ことを防ぐ手段を備えることができ、エアバッグが膨張した時に乗用車の内部に 金属の破片が車両の中に放出されるような危険は防止でき、これらの装置をより 簡単な安価な手段で提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による乗員側のエアバックモジュールの
斜視図を示し、その内部構造を示すためにモジュールハ
ウジングが部分的に切り取られている図である。

【図２】図１に示すバルブ手段の一例を示すために、そ
の断片を一部取り出した拡大図である。

【図３】利用可能なバルブ手段のその他の実施例を示す
図式説明図である。

【図４】利用可能なバルブ手段のその他の実施例を示す
図式説明図である。

【図５】利用可能なバルブ手段のその他の実施例を示す
図式説明図である。

【図６】利用可能なバルブ手段のその他の実施例を示す
図式説明図である。

【図７】図１及び図２に示すバルブの製造を示す説明図
である。

【図８】図１及び図２に示すバルブの製造を示す説明図
である。

【図９】図１及び図２に示すバルブについて、エアバッ
グ展開前の状態を示すために、その断片を一部取り出し
た拡大図である。

【図１０】図１及び図２に示すバルブについて、エアバ
ッグ展開前の状態を示すために、その断片を一部取り出
した拡大図である。

【図１１】図１及び図２に示すバルブについて、エアバ
ッグが開いた時の状態を示すために、その断片を一部取
り出した拡大図である。

【図１２】図１及び図２に示すバルブについて、エアバ
ッグが開いた時の状態を示すために、その断片を一部取
り出した拡大図である。

【符号の説明】

１０…モジュールハウジング １２…インフレーター １４…エアバッグクッション １６…ケーシング １８…孔（ポート） ２０…バルブ ２２…ジオメトリーコントロールスロット（形状コント
ロールスロット） ２４…シーム（割れ目，合わせ目） ２６…側部 ２８…端部 ３２…側部 ３４…スラグ（金属の小塊） ４０…バルブコネクティングレッグ（バルブ連結脚部）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 ジョン シー．ニューカーク アメリカ合衆国，ユタ 84040，レイトン, ノース 3617 イースト 2825

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 未膨張のエアバッグを内蔵しているエア
   バッグモジュールハウジングにおいて、 前記ハウジングの中に、ガスの圧力によって前記エアバ
   ッグを膨張させるための手段と、前記ハウジングの中に
   ある過剰な圧力を軽減する手段とを備え、前記圧力軽減
   手段は前記ハウジングの壁の中に配置されているバルブ
   より成り、且つ、完全に前記ハウジングを構成している
   材質より形成されており、 前記バルブは、前記ハウジングの中にパンチにより打ち
   抜かれたスリットにより画定された形状を有するスラグ
   より成り、前記スリットは前記ハウジング上の第１の点
   に始まり、前記ハウジング上の第２の点で終わり、前記
   第１の点と前記第２の点との間の領域はパンチされない
   で、前記ハウジングの中にパンチされないバルブコネク
   ティングレッグを画定しており、 一対のスロットが前記第１の点と前記第２の点に隣接し
   て前記ハウジングの中でパンチされており、 それによって、前記ハウジング内の圧力を前記エアバッ
   グの展開中に軽減する必要が起こった時に、前記スラグ
   が前記第１の点と前記第２の点の間の前記バルブコネク
   ティングレッグの中に形成されたヒンジに沿って前記ハ
   ウジングから外側に湾曲し、前記ハウジングの中からガ
   スが外側へ流れ出す開口部を作りだすように構成された
   ことを特徴とする自動車用エアバッグの圧力調整装置。
2. 【請求項２】 前記スリットが長円形をしている請求項
   １記載の自動車用エアバッグの圧力調整装置。
3. 【請求項３】 前記スリットが円形をしている請求項１
   記載の自動車用エアバッグの圧力調整装置。
4. 【請求項４】 前記スリットが多角形をしている請求項
   １記載の自動車用エアバッグの圧力調整装置。