JP3032805B1 - 高い第三次光非線形係数を有するj会合体薄膜、それを用いた光学素子及びその製造方法 - Google Patents
高い第三次光非線形係数を有するj会合体薄膜、それを用いた光学素子及びその製造方法Info
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- JP3032805B1 JP3032805B1 JP10377260A JP37726098A JP3032805B1 JP 3032805 B1 JP3032805 B1 JP 3032805B1 JP 10377260 A JP10377260 A JP 10377260A JP 37726098 A JP37726098 A JP 37726098A JP 3032805 B1 JP3032805 B1 JP 3032805B1
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Abstract
【要約】
【課題】 極めて簡単なゾルゲル法によりシリカなどマ
トリックス中に高密度に室温で安定なJ会合体を均一に
ドープし、究めて高い第三次光非線形係数(χ(3))を有
する薄膜の開発することにより光情報処理、演算、記録
に基づくフォトニクス領域で使用できるデバイスに利用
する。 【解決手段】 マトリックスとしてシリカガラス(Si
O2)が、またJ会合体の色素としてシアニン色素化合物
がナノレベルで複合した有機・無機複合薄膜をゾルゲル
法で作成する。膜はテトラエトキシオルソシリケイト
(TEOS)を反応前駆体として用い、シアニン色素化合物
を加えて、酸性条件で、加水分解反応で、シアニン色素
/シリカのゾル溶液を調製し、基板上にスピンキャステ
ィング法により安定なJ会合体/シリカ薄膜を形成させ
た。
トリックス中に高密度に室温で安定なJ会合体を均一に
ドープし、究めて高い第三次光非線形係数(χ(3))を有
する薄膜の開発することにより光情報処理、演算、記録
に基づくフォトニクス領域で使用できるデバイスに利用
する。 【解決手段】 マトリックスとしてシリカガラス(Si
O2)が、またJ会合体の色素としてシアニン色素化合物
がナノレベルで複合した有機・無機複合薄膜をゾルゲル
法で作成する。膜はテトラエトキシオルソシリケイト
(TEOS)を反応前駆体として用い、シアニン色素化合物
を加えて、酸性条件で、加水分解反応で、シアニン色素
/シリカのゾル溶液を調製し、基板上にスピンキャステ
ィング法により安定なJ会合体/シリカ薄膜を形成させ
た。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超高速光スイッチ、光フ
ァイバ、光双安定性メモリなど光情報処理領域のフォト
ニクスデバイスに使える光非線形材料、それを用いた光
学素子及びその製造方法に関する。 より詳しくは、フ
ォトニクスデバイスに繋ぐ安定な高い第三次光非線形係
数を有するJ会合体薄膜、それを用いた光学素子、及び
その製造方法に関する。
ァイバ、光双安定性メモリなど光情報処理領域のフォト
ニクスデバイスに使える光非線形材料、それを用いた光
学素子及びその製造方法に関する。 より詳しくは、フ
ォトニクスデバイスに繋ぐ安定な高い第三次光非線形係
数を有するJ会合体薄膜、それを用いた光学素子、及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在メソスコピック系非線形光学材料と
して幾つかの有望な材料が知られているが、それらの一
つにシアニン色素がある。シアニン色素は窒素原子を持
つ複素環構造をメチン鎖で連結した構造の化学物質の総
称であり、銀塩写真技術やフォトレジスト技術における
増感剤として、これまで重要な役割を担ってきた長い歴
史がある。近年シアニン色素分子の凝集状態の一形態で
あるJ会合体が非常に大きな三次の非線形感受率を持つ
メソスコピック系であることが発見された。そこで、そ
の非線形光学特性に基づく光情報処理用非線形光学素子
への応用の期待が高まっている。非線形光学材料として
の実用シアニン色素J会合体材料は単にその非線形光学
特性を有するだけでなく、(1)物性測定やデバイス作
製における取り扱いの容易さから材料形態が薄膜である
こと、(2)J会合体が高密度に含まれていること、
(3)合成が簡便であること、そして(4)J会合体が
安定に存在することが要求される。これまでに、シアニ
ン色素J会合体の材料形態は、溶液、LB膜、結晶、ポリ
マー分散膜等,が知られている。しかし、上述の各材料
形態の各々について長所と短所があり、4つの条件を十
分に満たす理想的な材料形態が現在も模索されている。
して幾つかの有望な材料が知られているが、それらの一
つにシアニン色素がある。シアニン色素は窒素原子を持
つ複素環構造をメチン鎖で連結した構造の化学物質の総
称であり、銀塩写真技術やフォトレジスト技術における
増感剤として、これまで重要な役割を担ってきた長い歴
史がある。近年シアニン色素分子の凝集状態の一形態で
あるJ会合体が非常に大きな三次の非線形感受率を持つ
メソスコピック系であることが発見された。そこで、そ
の非線形光学特性に基づく光情報処理用非線形光学素子
への応用の期待が高まっている。非線形光学材料として
の実用シアニン色素J会合体材料は単にその非線形光学
特性を有するだけでなく、(1)物性測定やデバイス作
製における取り扱いの容易さから材料形態が薄膜である
こと、(2)J会合体が高密度に含まれていること、
(3)合成が簡便であること、そして(4)J会合体が
安定に存在することが要求される。これまでに、シアニ
ン色素J会合体の材料形態は、溶液、LB膜、結晶、ポリ
マー分散膜等,が知られている。しかし、上述の各材料
形態の各々について長所と短所があり、4つの条件を十
分に満たす理想的な材料形態が現在も模索されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これまでJ会合体の薄
膜として使われてきたLB法より製造されるJ会合体の薄
膜はLangmuir-Blodgettの製造方法が複雑であるため、
安定な薄膜が得られていない。また、光非線形係数も低
いために、実用の段階にいたるには困難な状況がある。
本発明で解決しようとする課題は簡単な作成プロセスを
用いて、より安定なJ会合体の薄膜を作成することにあ
る。また、優れた高い第三次光非線形係数を有する。こ
れらのJ会合体の薄膜でフォトニクスデバイス化を図
る。本発明は簡便な作成プロセスを用い、ナノレベルで
高い第三次光非線形係数を有するJ会合体の薄膜の合成
する新手法、及び高い第三次光非線形係数を持つ安定な
薄膜に関するものである。本発明においてナノレベルと
は、10ー9mつまりナノメートル単位の制御を行うと言
う意味である。
膜として使われてきたLB法より製造されるJ会合体の薄
膜はLangmuir-Blodgettの製造方法が複雑であるため、
安定な薄膜が得られていない。また、光非線形係数も低
いために、実用の段階にいたるには困難な状況がある。
本発明で解決しようとする課題は簡単な作成プロセスを
用いて、より安定なJ会合体の薄膜を作成することにあ
る。また、優れた高い第三次光非線形係数を有する。こ
れらのJ会合体の薄膜でフォトニクスデバイス化を図
る。本発明は簡便な作成プロセスを用い、ナノレベルで
高い第三次光非線形係数を有するJ会合体の薄膜の合成
する新手法、及び高い第三次光非線形係数を持つ安定な
薄膜に関するものである。本発明においてナノレベルと
は、10ー9mつまりナノメートル単位の制御を行うと言
う意味である。
【0004】
【課題を解決するための手段】シアニン色素をシリカマ
トリックス中にドープすることにより、安定なJ会合体
の薄膜を得ることができた。本発明で用いられるシアニ
ン色素は、
トリックス中にドープすることにより、安定なJ会合体
の薄膜を得ることができた。本発明で用いられるシアニ
ン色素は、
【0005】一般式
【化1】 (式中、R1、R2はアルキル基を表し、XはBr,C
lO,I、を表し、k、m,n、は正数を表す。)で示
されるシアニン色素であり、より具体的には
lO,I、を表し、k、m,n、は正数を表す。)で示
されるシアニン色素であり、より具体的には
【0006】
【化2】 で表される色素化合物1
【0007】
【化3】 で表される色素化合物2
【0008】
【化4】 で表される色素化合物3等が用いられる。本発明で用い
られる溶剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、
1−プロピルアルコール等があり、エチルアルコールが
好ましく用いられる。本発明で用いられるケイ酸アルキ
ルは、テロラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テ
トラメトキシシランSi(OCH3)3、テトラブトキシ
シランSi(OC4H9)4 等がある。
られる溶剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、
1−プロピルアルコール等があり、エチルアルコールが
好ましく用いられる。本発明で用いられるケイ酸アルキ
ルは、テロラエトキシシラン Si(OC2H5)4、テ
トラメトキシシランSi(OCH3)3、テトラブトキシ
シランSi(OC4H9)4 等がある。
【0009】具体的には、シアニン色素とケイ酸アルキ
ルと溶剤からなる混合ゾル溶液を調整し、スピンキャス
ティング法により、溶剤を蒸発させ、ゲル化させ、シリ
カガラス中に安定なJ会合体の薄膜を形成させる。スピ
ンキャスティングで用いる基板は、石英、ガラス、透明
金属酸化物、シリコン、金などの金属、等であり、J会
合体をそのまま素子として用いることができる。透明酸
化金属としては、酸化スズ、酸化インジューム等があ
る。また、基板は厚くても良いが薄膜であることが望ま
しい。混合ゾル溶液からシリカ膜形成する時に、高速の
回転でEtOHの蒸発することより、シアニン色素が凝集
し、 J会合体になり、同時にTEOSの縮重合反応が行わ
れ、シリカマトリックスが形成され、最終的に安定なJ
会合体の薄膜を形成する。
ルと溶剤からなる混合ゾル溶液を調整し、スピンキャス
ティング法により、溶剤を蒸発させ、ゲル化させ、シリ
カガラス中に安定なJ会合体の薄膜を形成させる。スピ
ンキャスティングで用いる基板は、石英、ガラス、透明
金属酸化物、シリコン、金などの金属、等であり、J会
合体をそのまま素子として用いることができる。透明酸
化金属としては、酸化スズ、酸化インジューム等があ
る。また、基板は厚くても良いが薄膜であることが望ま
しい。混合ゾル溶液からシリカ膜形成する時に、高速の
回転でEtOHの蒸発することより、シアニン色素が凝集
し、 J会合体になり、同時にTEOSの縮重合反応が行わ
れ、シリカマトリックスが形成され、最終的に安定なJ
会合体の薄膜を形成する。
【実施の形態】本発明の実施の形態は以下の通りであ
る。 (1) ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化合物か
らなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴下し、
基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させ、ゲル化させるこ
とにより基板上に形成したシアニン色素化合物のJ会合
体。 (2) 絶対値〜3.5x10−6esuの高い第三次光非線形
係数χ(3)を有する上記1記載のシアニン色素化合物
のJ会合体。 (3) 基板上に上記(1)に記載された シアニン色
素化合物のJ会合体を有する光学素子。 (4) 基板が石英、ガラス、シリコン、金などの金
属、透明な金属酸化物のいずれかである上記3記載の光
学素子。 (5) 基板が酸化スズ、酸化インジュームのいずれか
である上記3記載の光学素子。 (6) ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化合物か
らなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴下し、
基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させることによりゲル
化させ、基板上にシアニン色素化合物のJ会合体を形成
する方法。 (7) 溶剤がエチルアルコールである上記6記載のJ
会合体を形成する方法。
る。 (1) ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化合物か
らなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴下し、
基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させ、ゲル化させるこ
とにより基板上に形成したシアニン色素化合物のJ会合
体。 (2) 絶対値〜3.5x10−6esuの高い第三次光非線形
係数χ(3)を有する上記1記載のシアニン色素化合物
のJ会合体。 (3) 基板上に上記(1)に記載された シアニン色
素化合物のJ会合体を有する光学素子。 (4) 基板が石英、ガラス、シリコン、金などの金
属、透明な金属酸化物のいずれかである上記3記載の光
学素子。 (5) 基板が酸化スズ、酸化インジュームのいずれか
である上記3記載の光学素子。 (6) ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化合物か
らなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴下し、
基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させることによりゲル
化させ、基板上にシアニン色素化合物のJ会合体を形成
する方法。 (7) 溶剤がエチルアルコールである上記6記載のJ
会合体を形成する方法。
【0010】
【実施例】J会合体薄膜の作成 シリカガラスとシアニン色素化合物からなり、シアニン
色素化合物がナノレベルでシリカガラス中で複合してい
るシアニン色素化合物のJ会合体は図1に示した手順で
行った。 (1)テトラエトキシオルソシリケイト(TEOS)0.25mlと
エタノール(EtOH)5mlを10分間に撹拌し、(2)その溶液に
0.14Nの少量の希塩酸を0.0725ml加え、1時間撹拌した。
(3)さらに、シアニン色素を加えて、3時間撹拌し、ゾル
溶液を調製した。次に、図2に示すように、ゾル溶液を
石英基板上に適量滴下し、基板を高速回転することによ
り、石英基板上にシアニン色素J会合体ドープしたシリ
カ薄膜を形成させた(スピンキャスティング法)。形成し
た膜は極めて薄い、厚みは約150nmである。この方法で
得られたシアニン色素1のJ会合体薄膜は、同じLB法で
作られたJ会合体より安定である。図3に示したのはこ
の方法で合成したシアニン色素1のJ会合体薄膜のJ-Ban
dの室温空気中の経時変化である。膜のキャラクタリゼ
ーションは主に紫外可視吸収スペクトル法(日立U-400
0)により行った。さらに、パルス幅180フェムト秒の超
短パルス幅のレーザービームを1kHzで繰り返し発振する
レーザー装置を用い、Z-scan法12により、液体窒素によ
り冷却しながら真空中における膜の非線形光学特性を測
定した。
色素化合物がナノレベルでシリカガラス中で複合してい
るシアニン色素化合物のJ会合体は図1に示した手順で
行った。 (1)テトラエトキシオルソシリケイト(TEOS)0.25mlと
エタノール(EtOH)5mlを10分間に撹拌し、(2)その溶液に
0.14Nの少量の希塩酸を0.0725ml加え、1時間撹拌した。
(3)さらに、シアニン色素を加えて、3時間撹拌し、ゾル
溶液を調製した。次に、図2に示すように、ゾル溶液を
石英基板上に適量滴下し、基板を高速回転することによ
り、石英基板上にシアニン色素J会合体ドープしたシリ
カ薄膜を形成させた(スピンキャスティング法)。形成し
た膜は極めて薄い、厚みは約150nmである。この方法で
得られたシアニン色素1のJ会合体薄膜は、同じLB法で
作られたJ会合体より安定である。図3に示したのはこ
の方法で合成したシアニン色素1のJ会合体薄膜のJ-Ban
dの室温空気中の経時変化である。膜のキャラクタリゼ
ーションは主に紫外可視吸収スペクトル法(日立U-400
0)により行った。さらに、パルス幅180フェムト秒の超
短パルス幅のレーザービームを1kHzで繰り返し発振する
レーザー装置を用い、Z-scan法12により、液体窒素によ
り冷却しながら真空中における膜の非線形光学特性を測
定した。
【0011】J会合体薄膜の制御 ゾル溶液は赤色であり、色素ドープシリカガラス膜は紫
色である。膜の色の変化はスピンキャスティング過程の
回転過程中に起こり、この回転過程中の色の変化がJ会
合体の形成を示す。図4は色素化合物1のゾル溶液とシ
リカガラス膜の吸収スペクトルを示す。図5は色素化合
物2のゾル溶液とシリカガラス膜の吸収スペクトルを示
す。各スペクトル強度はスペクトル間の比較のために33
0nmのキノリン環の吸収バンドにより規格化され、吸光
係数を示す。図4において、ゾル溶液のスペクトルの波
長495nmと528nmのところに単量体由来の吸収ピークがあ
り、ゾル溶液のスペクトルは赤色溶液であることを示し
ている。このゾル溶液のスペクトルには会合体の形成を
示すピークが全く現れず、ゾル溶液中で色素分子が会合
体を形成しないことを示している。一方、色素ドープシ
リカ膜のスペクトルにおいて、キノリン環と単量体の吸
収ピークとともに波長576nmのところにJ会合体由来の
先鋭なピークが現れ、シリカ膜は紫色を呈する。図5に
ついても、同様のことが言える。さらに、図6に示すよ
うにシリカガラス膜中のシアニン色素化合物1のJ会合
体形成効率はスピンコーターの回転速度とゾル溶液中の
色素濃度に依存することがわかった。即ち、スピンコー
ターの回転速度が速いほどJ会合体は形成されやすく、
また図8のようにゾル溶液中の色素の濃度が濃いほどJ
会合体は形成されやすい。シアニン色素化合物2につい
ても、図7及び図9に示すように、シアニン色素化合物
1と同様の結果を得ている。スピンキャスティング法に
よる膜作製におけるゾル溶液からシリカガラス膜形成に
至る過程において、主に(1)EtOHの蒸発、(2)色素
の凝集、(3)TEOSの縮重合反応の3反応が競合すると
考えられ、これらの反応の優劣はゾル溶液の濃度、温
度、溶液のpH等に依存し、最終的に生じるシリカ膜中の
色素の会合状態が異なると考えられる。
色である。膜の色の変化はスピンキャスティング過程の
回転過程中に起こり、この回転過程中の色の変化がJ会
合体の形成を示す。図4は色素化合物1のゾル溶液とシ
リカガラス膜の吸収スペクトルを示す。図5は色素化合
物2のゾル溶液とシリカガラス膜の吸収スペクトルを示
す。各スペクトル強度はスペクトル間の比較のために33
0nmのキノリン環の吸収バンドにより規格化され、吸光
係数を示す。図4において、ゾル溶液のスペクトルの波
長495nmと528nmのところに単量体由来の吸収ピークがあ
り、ゾル溶液のスペクトルは赤色溶液であることを示し
ている。このゾル溶液のスペクトルには会合体の形成を
示すピークが全く現れず、ゾル溶液中で色素分子が会合
体を形成しないことを示している。一方、色素ドープシ
リカ膜のスペクトルにおいて、キノリン環と単量体の吸
収ピークとともに波長576nmのところにJ会合体由来の
先鋭なピークが現れ、シリカ膜は紫色を呈する。図5に
ついても、同様のことが言える。さらに、図6に示すよ
うにシリカガラス膜中のシアニン色素化合物1のJ会合
体形成効率はスピンコーターの回転速度とゾル溶液中の
色素濃度に依存することがわかった。即ち、スピンコー
ターの回転速度が速いほどJ会合体は形成されやすく、
また図8のようにゾル溶液中の色素の濃度が濃いほどJ
会合体は形成されやすい。シアニン色素化合物2につい
ても、図7及び図9に示すように、シアニン色素化合物
1と同様の結果を得ている。スピンキャスティング法に
よる膜作製におけるゾル溶液からシリカガラス膜形成に
至る過程において、主に(1)EtOHの蒸発、(2)色素
の凝集、(3)TEOSの縮重合反応の3反応が競合すると
考えられ、これらの反応の優劣はゾル溶液の濃度、温
度、溶液のpH等に依存し、最終的に生じるシリカ膜中の
色素の会合状態が異なると考えられる。
【0012】光非線形係数の評価 パルス幅180フェムト秒の超短パルス幅のレーザービー
ムを1kHzで繰り返し発振するレーザー装置を用い、Z-sc
an法により、液体窒素により冷却しながら真空中におけ
る膜の非線形光学特性を測定した。図10は波長577nm
におけるZに対する透過率の変化を示す。同様にJ会合
体吸収バンド付近の波長で数点透過率変化を測定した。
得られたデータからχ(3)の絶対値を見積もり、吸収ス
ペクトルと共にプロットしたものが図11である。J会
合体吸収ピーク付近の波長577nmでのχ(3)の絶対値は5x
10-7esuという極めて高い値が得られた。この値はシリ
カガラスとシアニン色素とで構成される色素ドープシリ
カガラス膜の値である。そこで、膜中の色素の体積比か
ら色素の正味のχ(3)の絶対値を見積もると、χ(3)の絶
対値は3.5X10-6esuとなる
ムを1kHzで繰り返し発振するレーザー装置を用い、Z-sc
an法により、液体窒素により冷却しながら真空中におけ
る膜の非線形光学特性を測定した。図10は波長577nm
におけるZに対する透過率の変化を示す。同様にJ会合
体吸収バンド付近の波長で数点透過率変化を測定した。
得られたデータからχ(3)の絶対値を見積もり、吸収ス
ペクトルと共にプロットしたものが図11である。J会
合体吸収ピーク付近の波長577nmでのχ(3)の絶対値は5x
10-7esuという極めて高い値が得られた。この値はシリ
カガラスとシアニン色素とで構成される色素ドープシリ
カガラス膜の値である。そこで、膜中の色素の体積比か
ら色素の正味のχ(3)の絶対値を見積もると、χ(3)の絶
対値は3.5X10-6esuとなる
【0013】
【発明の効果】これまで、シアニン色素のJ会合体を形
成させる方法として様々な方法が考案されているが、実
用的材料として用いることが可能な材料形態は極めて少
ない。我々の発明したシアニン色素ドープシリカガラス
薄膜の製造方法は極めて簡便な方法であるばかりでな
く、この合成方法によってシアニン色素分子のJ会合体
を高密度にシリカ膜中に均一に形成させることが可能で
ある。さらに、この膜が持つ三次の非線形感受率の絶対
値は5X10-7esu(真空中)という極めて高い値を有する
ことから、2枚の鏡で非線形材料をはさみこみ、鏡から
の反射をフィードバック信号として動作させるファブリ
-ペロー共振器構造型素子や、非線形光学効果の逆転現
象を利用した排他的論理和回路素子などの実用光素子開
発実現への道が大きく開ける。
成させる方法として様々な方法が考案されているが、実
用的材料として用いることが可能な材料形態は極めて少
ない。我々の発明したシアニン色素ドープシリカガラス
薄膜の製造方法は極めて簡便な方法であるばかりでな
く、この合成方法によってシアニン色素分子のJ会合体
を高密度にシリカ膜中に均一に形成させることが可能で
ある。さらに、この膜が持つ三次の非線形感受率の絶対
値は5X10-7esu(真空中)という極めて高い値を有する
ことから、2枚の鏡で非線形材料をはさみこみ、鏡から
の反射をフィードバック信号として動作させるファブリ
-ペロー共振器構造型素子や、非線形光学効果の逆転現
象を利用した排他的論理和回路素子などの実用光素子開
発実現への道が大きく開ける。
【図1】J会合体薄膜の作成プロセスの説明図
【図2】J会合体薄膜の作成プロセスのイメージ図
【図3】J会合体薄膜のJ-Bandの経時変化の特性図
【図4】シアニン色素(色素化合物1)とそのJ会合体薄
膜の光吸収スペクトル図
膜の光吸収スペクトル図
【図5】シアニン色素(色素化合物2)とそのJ会合体薄
膜の光吸収スペクトル図
膜の光吸収スペクトル図
【図6】回転速度によりJ会合体薄膜(色素化合物1)の
制御の説明図
制御の説明図
【図7】回転速度によりJ会合体薄膜(色素化合物2)の
制御の説明図
制御の説明図
【図8】濃度によりJ会合体薄膜(色素化合物1)の制御
の説明図
の説明図
【図9】濃度によりJ会合体薄膜(色素化合物2)の制御
の説明図
の説明図
【図10】波長577nmで測定したZ-scanデータの特性図
【図11】第三次光非線形係数の波長依存性の特性図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 格 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業 技術院電子技術総合研究所内 審査官 瀬川 勝久 (56)参考文献 特開 平7−72519(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/35 JICSTファイル(JOIS)
Claims (5)
- 【請求項1】 ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化
合物からなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴
下し、基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させ、ゲル化さ
せることにより基板上に形成したシアニン色素化合物の
J会合体。 - 【請求項2】 絶対値〜3.5x10−6esuの高い第三次光
非線形係数χ(3)を有する請求項1記載のシアニン色
素化合物のJ会合体。 - 【請求項3】 基板上に 請求項1に記載されたシアニ
ン色素化合物のJ会合体を有する光学素子。 - 【請求項4】 基板が石英、ガラス、シリコン、金など
の金属、酸化スズ、酸化インジューム等の透明な金属酸
化物のいずれかである請求項3記載の光学素子。 - 【請求項5】 ケイ酸アルキルと溶剤とシアニン色素化
合物からなるゾル溶液を調整し、基板上にゾル溶液を滴
下し、基板を高速回転させ、溶剤を蒸発させることによ
りゲル化させ、基板上にシアニン色素化合物のJ会合体
を形成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10377260A JP3032805B1 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高い第三次光非線形係数を有するj会合体薄膜、それを用いた光学素子及びその製造方法 |
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JP10377260A JP3032805B1 (ja) | 1998-12-28 | 1998-12-28 | 高い第三次光非線形係数を有するj会合体薄膜、それを用いた光学素子及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1998
- 1998-12-28 JP JP10377260A patent/JP3032805B1/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR102099163B1 (ko) * | 2018-07-13 | 2020-04-10 | 진명홈바스(주) | 밸브 |
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