JP3032191B1 - 埋設物探知方法および埋設物探知装置 - Google Patents

埋設物探知方法および埋設物探知装置

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JP3032191B1 JP35931698A JP35931698A JP3032191B1 JP 3032191 B1 JP3032191 B1 JP 3032191B1 JP 35931698 A JP35931698 A JP 35931698A JP 35931698 A JP35931698 A JP 35931698A JP 3032191 B1 JP3032191 B1 JP 3032191B1
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Abstract

【要約】 【課題】 金属探知機などの埋設探知手段を地表から所
定距離に維持しながら埋設物の探知がなし得る埋設物探
知方法および埋設物探知装置を提供する。 【解決手段】 埋設物探知センサ12を有する探知部1
0と、前記探知部10を保持している保持部材52を有
する保持装置20と、前記保持装置20を保持している
走行部30とを有する埋設物探知装置Aを用い、前記走
行部30から前記保持部に伝達される振動を吸収しなが
ら、前記埋設物探知センサ12により埋設物の探知をな
すものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋設物探知方法お
よび埋設物探知装置に関する。さらに詳しくは、埋設物
探知手段を地表から所定距離に維持しながら埋設物の探
知がなし得る埋設物探知方法および埋設物探知装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、図15に示すように、金属探
知機aを用いて埋設されている金塊などの金属の探知が
なされている。
【0003】しかしながら、前記従来の探知方法では金
属探知機aを作業員pが保持して探知をなしているの
で、広範囲の探知を行う場合、一人の作業員pにより探
知を行えば多大の時間を要する。また、短時間で探知を
行おうとすると、多数の作業員pを必要とする。
【0004】かかる従来の探知方法の問題点を解決すべ
く、金属探知機aなどの埋設物探知手段を保持装置に保
持させ、その保持装置を車両で搬送しながら埋設物の探
知を行うことが検討されている。
【0005】 その場合、探知精度を所定精度に維持す
るためには、保持装置に保持されている埋設物探知手段
を地表から所定距離に維持する必要があり、またそれに
加えて車両からの振動が保持装置に伝達されるのを抑制
する必要がある。
【0006】 なお、車両系建設機械の振動抑制装置と
して、例えば特開昭60ー119830号公報には、油
圧ショベルの作業中、フロントに発生する振動により各
油圧シリンダが振動すために生ずる諸問題を解決すべ
く、シリンダのロッド軸の端部近傍部分と、フロントを
構成するリンクにおける前記端部近傍部分に対向する部
分との間に、振動減衰装置を設けたことを特徴とする作
業機械の振動抑制装置が提案されている。
【0007】また、特公平5ー51735号公報には、
前記特開昭60ー119830号公報の提案に係る作業
機械の振動抑制装置の欠点を解消すべく、車輪を有する
車両本体に作業用油圧シリンダを介して作業装置を昇降
自在に支持してなる車両系建設機械において、前記油圧
シリンダは方向制御弁を介して油圧源回路とタンクに切
替自在に接続され、この方向制御弁と油圧シリンダとの
間に配管された負荷保持側管路の途中に、振動低減用ア
キュムレータがモード切替弁を介して連通状態と遮断状
態とに切替自在に接続され、前記油圧源回路に、前記モ
ード切替弁が連通状態の時にアンロード状態とし遮断状
態の時にオンロード状態とするロード切替シリンダが設
けられていることを特徴とする車両系建設機械の振動抑
制装置が提案されている。
【0008】しかしながら、前記各公報は埋設物探知手
段を地表から所定距離に維持することや車両から保持部
材に伝達される振動をいかに抑制するかについては何等
教えるところはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の課題に鑑みなされたものであって、金属探知機など
の埋設探知手段を地表から所定距離に維持しながら埋設
物の探知がなし得る埋設物探知方法および埋設物探知装
置を提供することを目的としている。
【0010】
【0011】
【課題を解決するための手段】 本発明の埋設物探知方法
は、埋設物探知手段と前記埋設物探知手段の地表からの
距離および姿勢を計測する距離計測手段とを有する探知
部と、前記探知部を保持している保持部と、前記保持部
を保持している走行部とを有する埋設物探知装置を用い
た埋設物探知方法であって、前記走行部から前記保持部
に伝達される振動を吸収するとともに、4以上の所要数
前記距離計測手段により得られる計測値を最小二乗近
により処理して前記探知部の地表からの距離および/
または姿勢を算出し、その算出値により前記探知部の地
表からの距離および/または姿勢を調整しながら、前記
埋設物探知手段により埋設物の探知をなすことを特徴と
する。
【0012】
【0013】なお、本発明の埋設物探知方法において
は、走行部を遠隔操縦により走行させながら埋設物の探
知をなしてもよい。
【0014】
【0015】 本発明の埋設物探知装置は、埋設物探知
手段と前記埋設物探知手段の地表からの距離および姿勢
を計測する距離計測手段とを有する探知部と、前記探知
部を保持している保持部と、前記保持部を保持している
走行部とを有する走行式埋設物探知装置であって、前記
走行部から前記保持部に伝達される振動を吸収し、かつ
前記保持部の位置調整をなす振動吸収・位置調整手段
と、前記探知部の地表からの距離および/または前記探
知部の姿勢を調整する姿勢調整保持手段と、前記距離計
測手段の計測値を演算処理して前記姿勢調整保持手段を
制御する制御手段とを備え、前記探知部と地表との距離
を計測する4以上の所要数の前記距離計測手段の計測値
を最小二乗近似により処理し、前記探知部の地表からの
距離および/または姿勢を算出することを特徴とする。
【0016】
【0017】本発明の埋設物探知装置においては、振動
吸収・位置調整手段は、油圧シリンダと、アキュムレー
タと、前記油圧シリンダと前記アキュムレータとを接続
している振動吸収ラインとを備えてなるものとされた
り、あるいは油圧シリンダとアキュムレータと前記油圧
シリンダと前記アキュムレータとを接続している振動吸
収ラインと、探知部の埋設物探知中に保持部の位置が所
定範囲を超えて変動した場合に保持部の位置調整をなす
調整ラインとを備えてなるものとされる。
【0018】また、本発明の埋設物探知装置において
は、走行部を遠隔操縦するための遠隔操縦用送信手段
と、前記送信手段からの信号を受信する遠隔操縦用受信
手段とを備えてなるものとされてもよい。
【0019】
【0020】
【作用】本発明は前記の如く構成されているので、走行
部の振動が探知部に伝達されるのが抑制されるので、走
行部の振動が探知部へ与える影響は少ない。そのため、
精度よく埋設物の探知がなし得る。
【0021】本発明の好ましい形態によれば、探知部に
設けられた4以上の所要数の距離計測手段の計測値を最
小二乗近似し、その値により探知部の地表からの距離お
よび/または姿勢を調整しているので、より精度の高い
埋設物の探知がなし得る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる
実施の形態のみに限定されるものではない。
【0023】実施形態1 本発明の実施形態1の埋設物探知方法が適用されている
走行式埋設物探知装置の要部を図1に斜視図で示し、同
走行式埋設物探知装置を図2に概略図で示す。
【0024】走行式埋設物探知装置Aは、探知部10
と、この探知部10を保持している保持装置20と、こ
の保持装置20を走行させる走行部30と、この走行部
30の振動が保持装置20に伝達されるのを抑制し、か
つ保持装置20の位置調整をなす振動吸収・位置調整手
段40を主要構成要素として備えてなる。
【0025】探知部10は、埋設物を探知する探知セン
サ12と、この探知センサ12の地表からの距離を計測
する所要数の距離計測センサ14とからなる。距離計測
センサ14としては、例えばレーザセンサや超音波セン
サが用いられる。
【0026】保持装置20は、探知部10を保持してい
る保持部50と、この保持部50をその高さ位置および
姿勢を調整可能に保持している姿勢調整保持部60と、
この姿勢調整保持部60を保持している主保持部70と
を備えてなるものとされる。
【0027】保持部50は、例えば長方形状の保持部材
52とされ、その下面52aの所定範囲、例えば全面に
探知センサ12が配設され、またその周囲に距離計測セ
ンサ14が所定間隔で配設されている(図2参照)。な
お、保持部50は長方形状の保持部材52に限定される
ものではなく、各種形状のものとすることができ、例え
ば円板状の保持部材とすることもできる。
【0028】姿勢調整保持部60は、前記保持部50の
回転を規制しながら上下方向の位置(つまり、保持部の
地表からの距離)調整をなす上下方向位置調整手段と、
ロール角の調整をなすロール角調整手段と、ピッチ角の
調整をなすピッチ角調整手段とを有するものとされる。
【0029】姿勢調整保持部60は、具体的には図1に
示すように、前記保持部材52の中心線CL上の先端部
側においてピストンロッド61aの先端が、ユニバーサ
ルジョイント66を介して保持部材52の上面52bに
接合されている第1油圧シリンダ61と、前記保持部材
52の後端部側においてピストンロッド62a,63a
の先端が、ユニバーサルジョイント66を介して保持部
材52の上面52bに接合されている、対称に配設され
ている第2油圧シリンダ62および第3油圧シリンダ6
3と、前記保持部材52の中心線CL上の後端部側に下
端がユニバーサルジョイント66を介して保持部材52
の上面52bに接合されているボールスプライン軸64
とを備えてなるものとされる。また、第2油圧シリンダ
62、第3油圧シリンダ63およびボールスプライン軸
64は、前記保持部材52の後面52cに平行な直線L
上に配設されている。そして、第1油圧シリンダ61、
第2油圧シリンダ62および第3油圧シリンダ63のそ
れぞれのピストンロッド61a,62a,63aの進出
量を調整することにより、保持部材52の上下方向位置
の調整、ロール角の調整およびピッチ角の調整がなされ
る。すなわち、第1油圧シリンダ61、第2油圧シリン
ダ62および第3油圧シリンダ63のピストンロッド6
1a,62a,63aの進出量を同一にすれば、保持部
材52は、ボールスプライン軸64によりその回転を規
制されながら上下位置の調整がなされる。第1油圧シリ
ンダ61のピストンロッド61aのみの進出量を調整す
ることによりピッチ角の調整がなされる。第2油圧シリ
ンダ62および第3油圧シリンダ63のピストンロッド
62a,63aの進出量を調整することによりロール角
の調整がなされる。
【0030】このことから、この実施形態1では、第1
油圧シリンダ61、第2油圧シリンダ62、第3油圧シ
リンダ63、ボールスプライン軸64およびユニバーサ
ルジョイント66により上下方向位置調整手段が構成さ
れ、第1油圧シリンダ61、およびユニバーサルジョイ
ント66によりピッチ角調整手段が構成され、第2油圧
シリンダ62、第3油圧シリンダ63およびユニバーサ
ルジョイント66によりロール角調整手段が構成されて
いるのが理解される。なお、上下位置の調整、ピッチ角
の調整およびロール角の調整の詳細については後述す
る。
【0031】主保持部70は、図1に示すように、先端
部71aが適宜形状(図示例では台形状)とされた枠体
71とされ、その台形状とされた先端部71aに第1油
圧シリンダ61、第2油圧シリンダ62および第3油圧
シリンダ63のそれぞれの基端部が保持されるととも
に、前記ボールスプライン軸64が貫通する部分にボー
ルスプライン軸64と嵌合される嵌合部材72が配設さ
れている。また、枠体71の基端部はその下面71bか
ら下方に突出させて装着された取付け部材73が、走行
部30にこの取付け部材73に対応させて配設されてい
る接合部材31に回転可能に接合されている。主保持部
70がかかる形態により走行部30に接合されることに
より、主保持部70は基端部側が下方に折り曲げられた
ブーム形状を有することなる。そして、ブーム形状をこ
のようにすることにより、ブーム形状を直線上に形成し
た場合に比して振動吸収・位置調整手段40による振動
抑制能力が向上する。これは、主保持部70を支持する
振動吸収・位置調整手段40の先端部と、主保持部の回
転中心とを結ぶ線に対してによる振動吸収・位置調整手
段40の軸心線のなす角が小さい方が振動を吸収しやす
いためである。
【0032】なお、図1において、符号Cは、第1油圧
シリンダ61、第2油圧シリンダ62、第3油圧シリン
ダ63などを制御するとともに、探知センサ12および
距離計測センサ14からの信号の処理をなす制御装置を
示す。
【0033】先端部71aにおける油圧シリンダ61,
62,63の基端部の保持は、具体的には、第1油圧シ
リンダ61については、前記中心線CLに平行に配設さ
れた一対の保持金具74に、第1油圧シリンダ61の基
端部に前記中心線CLに直交しかつ第1油圧シリンダ6
1両側において、その軸心を通るようにして装着された
一対のピン61bを回転可能に挿通することによりなさ
れる。これにより、第1油圧シリンダ61のピッチ角の
調整が可能となる。第2油圧シリンダ62および第3油
圧シリンダ63については、第2および第3油圧シリン
ダ62,63の基端部を枠部材75にそのピッチ角を調
整可能に装着し、さらに前記枠部75に前記中心線CL
に平行にかつ第2および第3油圧シリンダ62,63の
軸心を通るようにして装着された一対のピン75aを、
前記中心線CLに直交する線に平行に垂設された一対の
取付け金具76に回転可能に保持させることによりなさ
れる。これにより、第2油圧シリンダ62および第3油
圧シリンダ63のピッチ角およびロール角の調整が可能
となる。
【0034】走行部30は、例えばクローラや車輪を有
する車両とされる。
【0035】振動吸収・位置調整手段40は、具体的に
は、振動吸収・昇降用油圧シリンダ41と、それ用の油
圧回路80と、それに接続されたアキュムレータ84と
から構成される。そして、この振動吸収・昇降用油圧シ
リンダ41の基端部41aは走行部30に設けられた取
付け部材32に接合され、また振動吸収・昇降用油圧シ
リンダ41のピストンロッド42の先端は、前記主保持
部70を構成している枠体上面71cの適宜位置に接合
されている。
【0036】この振動吸収・昇降用油圧シリンダ41の
取付け角(ピストンロッド42の先端部と主保持部70
の昇降中心とを結ぶ線に対して振動吸収・昇降用油圧シ
リンダ41の軸心線がなす角)は、小さい方が振動を吸
収する点から好ましく、具体的には、保持部材52の重
量、枠体71の重量等を考慮して45度以下の範囲適宜
設定される。また、この取付け角を適宜選択することに
より、振動吸収特性を所望のものとできる。例えば、こ
の取付け角を22度に設定すれば、1Hz以上の振動を
1/10以下に低減できる。
【0037】なお、ピストンロッド42の先端部は、図
示例では主保持部70を構成している枠体上面71cに
接合されているが、枠体下面71bに接合されてもよ
い。
【0038】図3に、この振動吸収・昇降用油圧シリン
ダ41を駆動する油圧回路80を示す。
【0039】この油圧回路80は、走行部30の振動が
探知部10に伝達されるのを抑制する振動吸収ライン8
1と、ピストンロッド42を進退させて主保持部70を
昇降動作させる駆動ライン82と、埋設物探知時に主保
持部70が所定範囲より変動した場合に主保持部70の
位置を調整する調整ライン83とを主要部として備えて
なる。
【0040】振動吸収ライン81は、振動吸収・昇降用
油圧シリンダ41のヘッド側(以下、単にヘッド側とい
う)41bとアキュムレータ84とを接続している吸収
ライン81aと、振動吸収・昇降用油圧シリンダ41の
ロッド側(以下、単にロッド側という)41cとタンク
Tとを接続している排出ライン81bとを備えてなるも
のとされる。そして、吸収ライン81aの適宜位置に第
1切替弁V1が介装され、排出ライン81bの適宜位置
に第2切替弁V2が介装されている。
【0041】駆動ライン82は、給油ポンプPと第3切
替弁V3とを接続している給油ライン82aと、第3切
替弁V3とヘッド側41bとを接続しているヘッド側給
排ライン82bと、第3切替弁V3とロッド側41cと
を接続しているロッド側給排ライン82cとを備えてな
るものとされる。なお、図3から明らかなように、吸収
ライン81aの一部とヘッド側給排ライン82bの一部
は共有され、また排出ライン81bの一部とロッド側給
排ライン82cの一部は共有されている。
【0042】調整ライン83は、給油ポンプPと第4切
替弁V4とを接続している調整油供給ライン83aと、
第4切替弁V4とタンクTとを接続している調整油排出
ライン83bと、第4切替弁V4とヘッド側41bおよ
びアキュムレータ84とを接続している調整油給排ライ
ン83cと備えてなるものとされる。なお、図3から明
らかなように、給油ライン82aの一部と調整油供給ラ
イン83aの一部とは共有され、調整油排出ライン83
bの一部と排出ライン81bの一部とは共有され、調整
油給排ライン83cの一部と吸収ライン81aの一部と
は共有されている。
【0043】次に、図3を参照しながらかかる構成とさ
れている油圧回路80による振動吸収、昇降動作および
調整動作について説明する。なお、以下の各動作は走行
部30に搭載されている制御装置(図示省略)によりな
される。
【0044】埋設物を探知するときには、第1切替弁V
1および第2切替弁V2を開とする一方、第3切替弁V3
および第4切替弁V4をそれぞれ中立位置として、振動
吸収ライン81をオンする一方、駆動ライン82および
調整ライン83をオフする。これにより、走行部30の
振動が探知部10に伝達されるのが抑制される。という
のは、走行部30が振動すると油が吸収ライン81aを
介してヘッド側41bとアキュムレータ84との間を行
き来するが、その際アキュムレータ84内の空気のバネ
作用により高周波の振動が吸収されるからである。
【0045】埋設物を探知しないときには、第1切替弁
1および第2切替弁V2を閉として振動吸収ライン81
をオフする一方、第3切替弁V3を適宜位置に作動させ
て駆動ライン82をオンする。これにより、振動吸収・
昇降用油圧シリンダ41のピストンロッド42が進退し
て主保持部70を昇降動作させ、主保持部70を所定位
置とする。
【0046】そして、埋設物を探知中に何等かの理由に
より主保持部70が、所定範囲より上下した場合、第4
切替弁V4を作動させて調整ライン83をオンとし、振
動吸収・昇降用油圧シリンダ41に油を供給して主保持
部70の位置調整を行う。
【0047】なお、調整ライン83の第4切替弁V4
サーボ弁とし、ピストンロッド42の進退、または主保
持部70の昇降状態(主保持部70の上下方向加速度や
主保持部と走行部30との相対角度等)を計測してそれ
をフィードバックし、その計測値の所定の基準値からの
偏差をゼロとするようにサーボ弁を制御し、それにより
調整油給排ラインの給排を調整することにより、主保持
部70の走行部30に対する相対位置をアクティブに制
御できるようになる。
【0048】次に、図4および図5を参照しながら、前
記構成とされた姿勢調整保持部60による保持部材52
の位置および姿勢制御について説明する。なお、前述し
たように保持部材52への走行部30からの振動、とり
わけ高周波成分による振動の伝達が抑制されているの
で、この制御においてはさほどの高速応答性は要求され
ない。
【0049】保持部材52の下面52a周囲に配設され
た所要数の距離計測センサ14により、地面から各距離
計測センサ14までの距離を計測する。ここで、所要数
は4以上とされる。というのは、保持部材52の自由度
は3自由度(上下、ピッチ角、ロール角)であるから、
理論上は3個の距離計測センサ14を用いればよいが、
そのようにすると、例えば1個の距離計測センサ14が
地面の局所的な凹凸を計測した場合、その計測値に影響
されて不必要に保持部材52の上下位置、ピッチ角、ロ
ール角を変更してしまい、その結果、保持部材52の姿
勢が計測上必要される上下位置や姿勢から外れてしまう
ことになるからである。そのため、4個以上の距離計測
センサ14を用いて、保持部材52が計測上必要される
上下位置や姿勢から外れてしまうおそれをできるだけ少
なくするものである。このことから、距離を計測するこ
とにより保持部材52の姿勢も把握できるのがわかる。
したがって、距離計測センサ14は姿勢検出センサとし
ても機能する。なお、4個以上の距離計測センサ14を
用いた場合における、各距離計測センサ14からの計測
値の演算処理の内容については後述する。
【0050】各距離計測センサ14からの計測値を演算
処理部C1により演算処理して得られた保持部材52の
下面52a、つまり探知センサ12の上下位置(地表か
らの距離)、ピッチ角およびロール角に基づいて保持部
材下面52aの上下位置および姿勢を算出し、ついでそ
の算出された上下位置および姿勢の所望上下位置および
姿勢からのずれ算出し、そのずれを解消するための第1
油圧シリンダ61、第2油圧シリンダ62および第3油
圧シリンダ63の操作量を操作量算出部C2により算出
する。
【0051】しかして、その操作量により第1油圧シリ
ンダ61、第2油圧シリンダ62および第3油圧シリン
ダ63を操作すると、第1油圧シリンダ61、第2油圧
シリンダ62および第3油圧シリンダ63は、前述した
ように主保持部70を構成している枠体71の先端部7
1aにより拘束されているので、保持部材下面52aの
上下位置および姿勢を所望のものとすることができる。
【0052】次に、図5および図6を参照しながら、制
御装置Cによる距離計測センサ14により得られた計測
値の演算処理について説明する。
【0053】(1)図6に示すように座標軸および計測
点を設定する。なお、Z軸はボールスプライン軸64の
軸心に一致させられている。
【0054】(2)垂直軸(0,0,z)からX軸方向
にai,Y軸方向にbi,Z軸方向にc iだけ離れた点Pi
における地面からの距離Liは、距離計測センサ14の
位置・姿勢(z,θx,θy)をパラメータとして式
(1)ように表すことができる。
【0055】 Li=z + aisinθy - bisinθxcosθy + cicosθxcosθy (1)
【0056】(3)前記式(1)をθx,θyが微小であ
るとして線形近似して式(2)が得られる。
【0057】 Li=z + aiθy - biθx + ci (2)
【0058】(4)点Piにおける計測値をzsiとして
前記距離Liとの差の二乗和を全ての点Pi(i=1〜
n)について算出する。
【0059】 S=Σ(zsi−Li2 (3)
【0060】(5)前記式(3)に前記式(1)を代入
して変形する。
【0061】 S=Σ(zsi - z - aiθy + biθx - ci2 (4)
【0062】(6)Sを最小とするような(z,θx
θy)を決定すれば、それが探知センサ12の地面から
距離、ロール角およびピッチ角を与える。
【0063】このSを最小とするような(z,θx
θy)は、数学上よく知られた方法により算出できる。
すなわち、Sをz,θx,θyにより偏微分して得られる
3つの方程式を連立させて解くことにより、Sを最小と
するような(z,θx,θy)が得られる。
【0064】なお、かかる機能を有する制御装置Cは、
例えば図7に示すように、CPUを中心にRAM、RO
M、クロック、入出力インターフェース、A/D変換
器、D/A変換器を備えてなるもののROMに、前記処
理に対応したプログラムを格納することにより実現され
る。
【0065】このように、この実施形態1によれば次の
ような効果が得られる。
【0066】(1)走行路面の状態によらず、探知セン
サ12の地面との距離を一定に保ち、しかも探知センサ
12を地面と平行に維持することができる。
【0067】(2)振動吸収・昇降用油圧シリンダ41
の取付け角度を調整することにより、振動吸収特性を所
望のものとできる。
【0068】(3)保持部材下面52a周囲に配設され
た4以上の所要数の距離計測センサ14により得られた
計測値を最小二乗近似により処理しているので、探知セ
ンサ12の位置制御や姿勢制御に際して地面の局所的な
凹凸に影響されるおそれが少なくなる。
【0069】(4)振動吸収・昇降用油圧シリンダ41
と姿勢調整保持部60の協働により、地上の凹凸に左右
されずに探知センサ12を安定に保持できる。
【0070】実施形態2 本発明の実施形態2を図8にブロック図で示し、この実
施形態2は実施形態1を改変したものであって、走行式
埋設物探知装置Aを遠隔操縦可能にしてなるものであ
る。この実施形態2のその余の構成は実施形態1と同様
であるので、その詳細な説明は省略する。なお、図8に
おいて、符号Rは遠隔操縦装置用受信機を示し、符号S
は遠隔操縦装置用送信機を示す。
【0071】このように、この実施形態2では走行式埋
設物探知装置Aを遠隔操縦可能としているので、爆発性
を有する埋設物の探知を作業員を危険にさらすことなく
なし得るという実施形態1では得られない効果も得られ
る。
【0072】
【実施例】以下、本発明をより具体的な実施例により説
明する。
【0073】実施例1および比較例1 図9(a)に示すように、振動吸収・昇降用油圧シリン
ダの取付け角を12度として周波数特性のシミュレーシ
ョンを行った(実施例1)。また、図9(b)に示すよ
うに、振動吸収・昇降用油圧シリンダの取付け角を48
度として周波数特性のシミュレーションを行った(比較
例1)。実施例1および比較例1のシミュレーション結
果を図10に併せて示す。図10より、実施例1は比較
例1に比して高周波領域における減衰性能がよいのがわ
かる。
【0074】実施例2 振動吸収・昇降用油圧シリンダの取付け角を22度とし
て、走行式埋設物探知装置を平坦路に敷設された25m
m角の角材を2km/hの速度で乗り越えさせた場合の
周期数特性を調査し、その結果を図11に示す。図11
より、高周波領域における減衰性能がよいのがわかる。
【0075】実施例3および比較例2 振動吸収・昇降用油圧シリンダ(振動アイソレータ)の
取付け角を22度として、走行式埋設物探知装置を平坦
路に敷設された25mm角の角材を2km/hの速度で
乗り越えさせた場合の保持部材の上下方向の変位を計測
した(実施例3)。振動吸収機能を有しない通常の昇降
用油圧シリンダの取付け角を実施例3と同一として、走
行式埋設物探知装置を平坦路に敷設された25mm角の
角材を2km/hの速度で乗り越えさせた場合の保持部
材の上下方向の変位を計測した(比較例2)。それらの
結果を図12に併せて示す。図12より、実施例3にお
いては高周波成分が除去されているのに対し、比較例2
においては高周波成分が除去されていないのがわかる。
【0076】実施例4〜実施例5および比較例3 振動吸収・昇降用油圧シリンダの取付け角を22度とし
て、走行式埋設物探知装置を平坦路に敷設された25m
m角の角材を2km/hの速度で乗り越えさせた場合の
保持部材の上下方向の変位およびピッチ角の変化を計測
した(実施例4)。振動吸収機能を有しない通常の油圧
シリンダの取付け角を22度とし、かつ姿勢調整保持部
により保持部材の上下位置および姿勢を制御しながら走
行式埋設物探知装置を実施例4と同一の条件下で走行さ
せた場合の保持部の上下方向の変位およびピッチ角の変
化を計測した(比較例3)。振動吸収・昇降用油圧シリ
ンダの取付け角を実施例4と同一とし、かつ姿勢調整保
持部により保持部材の上下位置および姿勢を制御しなが
ら走行式埋設物探知装置を実施例4と同一の条件下で走
行させた場合の保持部材の上下方向の変位およびピッチ
角の変化を計測した(実施例5)。それらの結果を図1
3および図14に併せて示す。図13および図14よ
り、比較例3においては保持部材の上下方向の変位が
0.19m程度でかつピッチ角の変化が0.04度と一
番大きく、実施例4においては上下方向の変位が0.1
2m程度でかつピッチ角の変化が0.015度で比較例
3に比して相当小さく、実施例5においては保持部材の
上下方向の変位およびピッチ角の変化がほとんどないの
がわかる。したがって、姿勢調整保持部および振動除去
・昇降用油圧シリンダを設けることにより、保持部材の
変位を0.01m以下に抑えることができる
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
走行部の振動が探知部に伝達されるのが抑制されるの
で、走行部の振動が探知部へ与える影響は少なくなるた
め、精度よく埋設物の探知がなし得るという優れた効果
が得られる。
【0078】また、本発明の好ましい形態によれば、探
知部に設けられた4以上の所要数の距離計測手段の計測
値を最小二乗近似し、その値により探知の地表からの距
離および姿勢を調整しているので、より精度の高い埋設
物の探知がなし得るという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の走行式埋設物探知装置の
要部斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1の走行式埋設物探知装置の
概略図である。
【図3】同走行式埋設物探知装置の保持装置に用いられ
ている振動吸収・昇降用油圧シリンダの油圧回路図であ
る。
【図4】同保持装置による位置および姿勢制御の説明図
である。
【図5】同保持装置の制御装置の概略図である。
【図6】同保持装置による位置および姿勢制御に用いる
座標系の説明図である。
【図7】図5に示す制御装置の電気的構成の概略図であ
る。
【図8】本発明の実施形態2の走行式埋設物探知装置の
概略図である。
【図9】実施例1および比較例1の振動吸収・昇降用シ
リンダの取付け状態を示す概略図であって、同(a)は
実施例1を示し、同(b)は比較例1を示す。
【図10】実施例1および比較例1の周波数特性のグラ
フである。
【図11】実施例2の周波数特性のグラフである。
【図12】実施例3および比較例2の上下方向の変位を
示すグラフである。
【図13】実施例4〜5および比較例3の上下方向の変
位を示すグラフである。
【図14】実施例4〜5および比較例3のピッチ角の変
化を示すグラフである。
【図15】従来の金属探知機を用いた埋設物探知の説明
図である。
【符号の説明】
10 探知部 12 探知センサ 14 距離計測センサ 20 保持装置 30 走行部 40 振動吸収・位置調整手段 41 振動吸収・昇降用油圧シリンダ 50 保持部 52 保持部材 60 姿勢調整保持部 61 第1油圧シリンダ 62 第2油圧シリンダ 63 第3油圧シリンダ 64 ボールスプライン軸 70 主保持部 71 枠体 80 油圧回路 81 振動吸収ライン 82 駆動ライン 83 調整ライン 84 アキュムレータ A 走行式埋設物探知装置 R 遠隔操縦装置用受信機 S 遠隔操縦装置用送信機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木 栄一 明石市川崎町1番1号 川崎重工業株式 会社 明石工場内 (72)発明者 森田 允 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社 岐阜工場内 (72)発明者 神野 光雄 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社 岐阜工場内 (72)発明者 中濱 修三 岐阜県各務原市川崎町1番地 川崎重工 業株式会社 岐阜工場内 (72)発明者 藤原 謙二 神戸市西区櫨谷町松本234番地 川崎重 工業株式会社 西神戸工場内 (72)発明者 安野 洋行 神戸市西区櫨谷町松本234番地 川崎重 工業株式会社 西神戸工場内 (72)発明者 高橋 知之 神戸市西区櫨谷町松本234番地 川崎重 工業株式会社 西神戸工場内 (56)参考文献 特開 平7−134184(JP,A) 特開 平10−268060(JP,A) 特開 平8−166213(JP,A) 特開 平5−87940(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01V 3/00 G01B 21/00 G01B 21/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 埋設物探知手段と前記埋設物探知手段の
    地表からの距離および姿勢を計測する距離計測手段とを
    有する探知部と、前記探知部を保持している保持部と、
    前記保持部を保持している走行部とを有する埋設物探知
    装置を用いた埋設物探知方法であって、 前記走行部から前記保持部に伝達される振動を吸収する
    とともに、4以上の所要数の前記距離計測手段により得
    られる計測値を最小二乗近似により処理して前記探知部
    の地表からの距離および/または姿勢を算出し、その算
    出値により前記探知部の地表からの距離および/または
    姿勢を調整しながら、前記埋設物探知手段により埋設物
    の探知をなすことを特徴とする埋設物探知方法。
  2. 【請求項2】 走行部を遠隔操縦により走行させながら
    埋設物の探知をなすことを特徴とする請求項1記載の埋
    設物探知方法。
  3. 【請求項3】 埋設物探知手段と前記埋設物探知手段の
    地表からの距離および姿勢を計測する距離計測手段とを
    有する探知部と、前記探知部を保持している保持部と、
    前記保持部を保持している走行部とを有する走行式埋設
    物探知装置であって、 前記走行部から前記保持部に伝達される振動を吸収し、
    かつ前記保持部の位置調整をなす振動吸収・位置調整手
    段と、 前記探知部の地表からの距離および/または前記探知部
    の姿勢を調整する姿勢調整保持手段と、 前記距離計測手段の計測値を演算処理して前記姿勢調整
    保持手段を制御する制御手段とを備え、 前記探知部と地表との距離を計測する4以上の所要数の
    前記距離計測手段の計測値を最小二乗近似により処理
    し、前記探知部の地表からの距離および/または姿勢を
    算出することを特徴とする埋設物探知装置。
  4. 【請求項4】 振動吸収・位置調整手段が、油圧シリン
    ダと、アキュムレータと、前記油圧シリンダと前記アキ
    ュムレータとを接続している振動吸収ラインとを備えて
    なることを特徴とする請求項3記載の埋設物探知装置。
  5. 【請求項5】 振動吸収・位置調整手段が、油圧シリン
    ダとアキュムレータと前記油圧シリンダと前記アキュム
    レータとを接続している振動吸収ラインと、探知部の埋
    設物探知中に保持部の位置が所定範囲を超えて変動した
    場合に保持部の位置調整をなす調整ラインとを備えてな
    ることを特徴とする請求項3記載の埋設物探知装置。
  6. 【請求項6】 走行部を遠隔操縦するための遠隔操縦用
    送信手段と、前記送信手段からの信号を受信する遠隔操
    縦用受信手段とを備えてなることを特徴とする請求項3
    記載の埋設物探知装置。
  7. 【請求項7】 姿勢調整保持手段が、探知部の回転を規
    制しながら同探知部の地表からの位置を調整する上下方
    向位置調整手段と、前記探知部のロール角の調整をなす
    ロール角調整手段と、前記探知部のピッチ角の調整をな
    すピッチ角調整手段とを備えてなることを特徴とする請
    求項3記載の埋設物探知装置。
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