JP3030092B2 - キメラ動物およびその作製法 - Google Patents

キメラ動物およびその作製法

Info

Publication number
JP3030092B2
JP3030092B2 JP9510126A JP51012697A JP3030092B2 JP 3030092 B2 JP3030092 B2 JP 3030092B2 JP 9510126 A JP9510126 A JP 9510126A JP 51012697 A JP51012697 A JP 51012697A JP 3030092 B2 JP3030092 B2 JP 3030092B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
human
gene
cell
chromosome
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP9510126A
Other languages
English (en)
Inventor
一磨 富塚
均 吉田
和則 花岡
光雄 押村
功 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=27286006&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3030092(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kirin Brewery Co Ltd filed Critical Kirin Brewery Co Ltd
Priority to JP9510126A priority Critical patent/JP3030092B2/ja
Priority claimed from PCT/JP1996/002427 external-priority patent/WO1997007671A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3030092B2 publication Critical patent/JP3030092B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、キメラ非ヒト動物、その作製法おおびその
利用法に関する。本発明のキメラ非ヒト動物を用いれ
ば、これまで不可能であった1Mb(百万塩基対)以上の
外来巨大DNA断片を動物個体で保持発現させることが可
能になる。従って、これを利用することにより、 ・生物学的に活性な物質をコードする遺伝子の全長、例
えば、ヒト抗体遺伝子全長を保持し、発現する動物個体
の作製が可能になる。この動物から得られる生物学的に
活性な物質、例えば、ヒト型抗体は医薬品としての利用
価値がある。
・ヒト巨大遺伝子(組織適合性抗原、ジストロフィン
等)の動物個体における機能解析が可能になる。
・ヒト優性遺伝病及び染色体異常症のモデル動物作製に
利用できる。
背景技術 外来遺伝子を動物個体において発現させる技術、すな
わちトランスジェニック動物作製技術は、その遺伝子の
生体内機能に関する情報を得るために有用なばかりでな
く、遺伝子発現を制御するDNA配列の同定(例えば、Mag
ramら,Nature,315:338,1985)、ヒト疾患モデル動物の
開発(山村ら,マニュアル疾患モデルマウス,中山書
店,1994)、さらには家畜の育種(例えば、Mullerら,Ex
perientia,47:923,1991)、それを用いた有用物質の生
産に利用されてきた(例えば、Velanderら,P.N.A.S.,8
9:12003,1992)。遺伝子導入の対象としてはこれまでマ
ウスが最も多く用いられてきた。実験動物として詳細に
研究され、胚操作技術も確立されているマウスはこの目
的に最も適した哺乳動物であるといえる。
マウス個体への外来遺伝子導入法は大きく分けて2つ
知られている。1つは受精卵前核にDNAを注入する方法
(Gordonら,P.N.A.S.,77:7380,1980)であり、もう一つ
は分化全能性を保持した胚幹細胞(以下ES細胞、とい
う)にDNAを導入し、キメラマウスを作製する方法(Tak
ahashiら,Development,102:259,1988)である。後者の
場合、キメラマウスにおいては、ES細胞の貢献した細
胞、組織においてのみ、ES細胞由来の生殖細胞を経て得
られる子孫においてはすべての細胞、組織で導入遺伝子
が保持される。これらの技術を利用して現在までに数多
くのトランスジェニックマウスが作製されてきた。
しかし、現状では導入可能なDNAの大きさに限界があ
り、それがこの技術の利用範囲を大きく制限している。
その限界はクローン化可能なDNAの大きさに依存し、こ
れまで最も大きなDNA断片を導入した例の一つは、酵母
人工染色体(YAC)にクローニングされた約670kbのDNA
断片である(Jakobovitsら,Nature,362:255,1993)。こ
の実験は、YACを保持する酵母とマウスES細胞を融合す
ることにより行なわれた。YACにおいては、約2Mbまでの
外来DNAをクローニングできるとされているが(Den Dun
nenら,Hum.Mol.Genet.,1:19,1992)、出芽酵母細胞中で
は、相同DNA配列同士の組換え頻度が高いことが知られ
ており、反復配列を多く有するヒトDNA断片を完全な形
で安定に保持することが困難な場合がある。事実、ヒト
ゲノムDNAを含むYACライブラリーでは、その20〜40%が
何らかの組換えを起こしている(Greenら,Genomics,11:
584,1991)。
もう一つの方法として、ヒト培養細胞から得られる中
期染色体を顕微切断し、その断片(10Mb以上と推定され
る)をマウス受精卵に注入することが試みられた(Rich
aら,Science,245:175,1989)。この結果得られたマウス
個体においてヒト特異的DNA配列(Alu配列)が検出され
たが、ヒト遺伝子発現については確認されていない。ま
た、ここで用いられた染色体調製法では染色体をスライ
ドグラスに固定する際、酢酸メタノールを使用するため
に、DNA自体が小さく断片化してしまうことが避けられ
ず、注入したDNAが一続きのDNAとして存在している可能
性は低い。
いずれにせよ、現在まで1Mb以上の1続きの外来DNA断
片をマウス個体へ導入、発現させた例はないといえる。
マウスに導入することが望まれる、有用かつ興味深い
ヒト遺伝子:抗体(例えば、Cookら,Nature Genetics,
7:162,1994)、T細胞受容体(Hoodら,Cold Spring Har
bor Symposia on Quantitative Biology,Vol.LVIII,33
9,1993)、組織適合性抗原(Carrolら,P.N.A.S.,84:853
5,1987)、ジストロフィン(Den Dunnenら,前記)等
は、そのコード領域自体が1Mbを越える大きさを持つこ
とが知られている。とりわけ、ヒト型抗体の医薬品とし
ての重要性から、ヒトの免疫グロブリン重鎖(〜1.5M
b、Cookら,前記)、軽鎖κ(〜3Mb、Zachau,Gene,135:
167,1993)、軽鎖λ(〜1.5Mb、Frippiatら,Hum.Mol.Ge
net.,4:983,1995)の遺伝子全長を保持し、発現するよ
うなマウスの作製が望まれているがそれは現状の技術で
は不可能である(日経バイオテク,1993.7.5.)。
また、ヒトの優性遺伝疾患、先天異常を引き起こす染
色体異常症(ダウン症等)の原因遺伝子の多くはクロー
ン化されておらず、染色体上の大まかな位置情報のみ利
用可能である。例えば、中期染色体をギムザ染色するこ
とによって得られるGバンドは、通常数Mb〜10Mb以上の
大きさを有している。従って、ある原因遺伝子が特定の
Gバンド上に存在することが明らかとなっても、これら
の異常形質をマウスに導入するためには、原因遺伝子周
辺の染色体断片(数Mb以上)を導入することが必要であ
るが、これも現状の技術では不可能である。
ここに従来技術の限界である1Mbを越える外来DNAをマ
ウス個体に導入し、発現させる技術の開発が望まれてい
る。
動物培養細胞においては、従来技術により上述の限界
を越える大きさのDNAを導入することが可能である。こ
れは主に、染色体(ヒトの場合約50〜300Mbの大きさを
持つ)を媒体として行なわれる。細胞への染色体移入法
はいくつか報告されているが(例えば、McBrideら,P.N.
A.S.,70:1258,1973)その中でも望みの染色体を1本だ
け導入する方法として最適と考えられているのがミクロ
セル法である(Koiら,Jpn.J.Cancer Res.,80:413,198
9)。ミクロセルと呼ばれる構造体は1本〜数本の染色
体が核膜、形質膜に包まれたものである。ある種の細胞
において紡垂体形成を阻害する薬剤により誘導されるミ
クロセルを分離し、受容細胞と融合することにより、少
数(多くの場合は1本)の染色体を導入することが可能
である。この方法により得られた、ヒト染色体を1本だ
け保持するモノクロモソーム雑種細胞のライブラリーは
既知遺伝子のマッピングや、未知の癌抑制遺伝子、細胞
老化遺伝子等の存在する染色体を特定するために利用さ
れてきた(例えば、Saxonら,EMBO J.,5:3461,1986)。
さらに、ミクロセルにガンマ線を照射することにより、
染色体を断片化しその一部を導入することも可能である
(Koiら,Science,260:361,1993)。すなわち、ミクロセ
ル法は、1Mb以上のDNAを動物培養細胞に導入する方法と
して適していると考えられる。
培養細胞からマウス個体を作り出すことができないか
という期待は、分化全能性を安定に保持するES細胞の発
見(Evansら,Nature,292:154,1981)により確実に現実
のものとなった。このES細胞には外来遺伝子、種々の突
然変移、さらには、標的遺伝子組換えによる変異が導入
可能となり、マウス個体レベルの遺伝的改変が自在に行
なえるようになった(例えば、Mansourら,Nature,336:3
48,1988)。一方、巨大DNAの導入という意味では前述の
YACベクターにクローニング可能な外来DNA断片の大きさ
が限界と考えられてきた。その大きさを越えるDNAを培
養細胞に導入可能な染色体移入という従来技術がマウス
個体レベルへの遺伝子導入に利用されたことはなく、ま
たその達成は困難であると考えられてきた(松村ら,ト
ランスジェニックバイオロジー,講談社サイエンティフ
ィク,p143−,1989)。
理由としては、以下のようなものが挙げられる。
・受容細胞を正常核型のマウスES細胞としてこれにヒト
染色体導入を行なう場合、それは染色体異常そのものを
導入することである。これまで、顕微鏡によって識別可
能な染色体レベルの大きな遺伝子異常はマウスの発生に
とって多くの場合致死的であると考えられてきた(Grop
prら,J.Exp.Zool.,228:253,1983;相沢慎一,バイオマニ
ュアルシリーズ8 ジーンターゲティング,羊土社,199
5)。
・我々が得ることのできるヒト染色体は通常、有限増殖
の正常繊維芽細胞、あるいは癌細胞等の分化した体細胞
のものであり、そのような体細胞由来の染色体が未分化
なES細胞に導入された場合、ES細胞を分化させたり(Mu
llerら,Nature,311:438,1984)、老化させてしまうので
はないか(Sugawara,Science,247:707,1990)と考えら
れた。
・体細胞由来の染色体が初期胚に導入された場合、胚発
生過程で生殖細胞由来のそれと同様に正しく機能し、多
様な組織、細胞における特異的遺伝子発現を担うことが
できるかという問題についての研究は非常に少ない。こ
の2者における大きな違いの一つは染色体DNAのメチル
化状態と想像される。これは細胞の分化に伴って変化
し、組織特異的な遺伝子発現における重要な役割が示唆
されている(Ceder,Cell,53:3,1988)。例えば、抗体遺
伝子の活性化に不可欠な部位特異的DNA組換え反応につ
いて、メチル化した基質をB細胞に導入した場合、メチ
ル化の状態は複製後も保持され、組換え反応を阻害する
という報告がある(Hsiehら,EMBO J.,11:315,1992)。
また、株化された細胞中では生体内と比較して、de nov
oのメチル化が起こりやすいとされている(Antequera
ら,Cell,62:503,1990)。よってこれまでの研究から、
繊維芽細胞や、ヒト−マウス雑種細胞のおそらく高度に
メチル化されているであろう抗体遺伝子がマウスのB細
胞で正常に発現すると想像することは容易ではなかっ
た。
ここで、関連するものとしてIllmenseeらの2つの報
告(P.N.A.S.,75;1914,1978;P.N.A.S.,76:879,1979)に
注目しなければならない。1つはヒト肉腫細胞とマウス
EC細胞、もう1つはラット肝癌細胞とマウスEC細胞の全
細胞融合により得られた融合株からキメラマウスを作製
したという報告である。これらの報告においてはその実
験結果に数多くの疑問点が指摘され、その信憑性は低い
と考えられている(野口ら,マウスのテラトーマ,理工
学社,5節,1987)。また、一日も早い追試が望まれてい
たにも関わらず、報告から17年を経た現在までこの実験
を再現できたという報告は存在しない。従って、これら
の報告によっては、マウス個体において外来染色体を保
持させ、該染色体上の遺伝子を発現させ得たということ
はできないと考えられてきた。
こうした状況において、染色体断片ほどの巨大DNAを
マウスをはじめとする動物個体に導入し、発現させるこ
とは困難とされ、実際この問題について検討がなされた
ことは上記のIllmenseeらの報告以来ない。
従って、本発明は、外来染色体またはその断片を保持
し、該染色体またはその断片上の遺伝子を発現するキメ
ラ非ヒト動物およびその子孫、並びに前記のキメラ非ヒ
ト動物の作製法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記のキメラ非ヒト動物およびその
子孫に由来する組織および細胞を提供することを目的と
する。
さらに、本発明は、前記のキメラ非ヒト動物およびそ
の子孫に由来する細胞とミエローマ細胞との融合により
作製されたハイブリドーマを提供することも目的とす
る。
さらにまた、本発明は、非ヒト動物の個体、組織また
は細胞を用いて、外来染色体またはその断片上の遺伝子
の発現産物である生物学的に活性な物質を製造する方法
を提供することを目的とする。
発明の開示 発明者は前記課題を解決するために鋭意研究を行なっ
た結果、ヒト正常繊維芽細胞由来染色体あるいはその部
分断片をミクロセル法によりマウスES細胞に導入し、そ
れを安定に保持する株を得ることに成功した。さらにこ
のES細胞株から、その正常組織においてヒト染色体を保
持し、ヒト抗体重鎖遺伝子を含む複数のヒト遺伝子を発
現するキメラマウスを得た。我々はこの一連の方法によ
り、これまで不可能であった巨大DNA断片の個体におけ
る保持、及び該DNA断片上の遺伝子の発現を可能にし
た。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)単一または複数の外来染色体あるいはその断片を
含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融合によ
り、分化多能性を保持する細胞へ前記単一または複数の
外来染色体あるいはその断片を移入させることを特徴と
する、キメラ非ヒト動物の作製法。
(2)単一または複数の外来染色体あるいはその断片を
含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融合によ
り、分化多能性を保持する細胞へ前記単一または複数の
外来染色体あるいはその断片を移入させることを特徴と
する、単一または複数の外来染色体あるいはその断片を
含む分化多能性を保持する細胞の作製法。
(3)前記(1)の方法により作製することができ、単
一または複数の外来染色体あるいはその断片を保持し、
該染色体あるいはその断片上の遺伝子を発現するキメラ
非ヒト動物、および前記の単一または複数の外来染色体
あるいはその断片を保持し、該染色体あるいはその断片
上の遺伝子を発現するその子孫。
(4)前記(2)の方法により作製することができ、単
一または複数の外来染色体あるいはその断片を含む分化
多能性を保持する細胞。
(5)キメラ非ヒト動物を作製するための前記(4)の
分化多能性を保持する細胞の使用。
(6)前記(3)のキメラ非ヒト動物またはその子孫の
交配により得られる、単一または複数の外来染色体ある
いはその断片を保持し、該染色体あるいはその断片上の
遺伝子を発現する非ヒト動物およびその子孫。
(7)前記(3)のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫
または前記(6)の非ヒト動物もしくはその子孫に由来
する組織。
(8)前記(3)のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫
または前記(6)の非ヒト動物もしくはその子孫に由来
する細胞。
(9)前記(8)の細胞とミエローマ細胞との融合によ
り作製されたハイブリドーマ。
(10)前記(3)のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫
または前記(6)の非ヒト動物もしくはその子孫を、前
記の染色体あるいはその断片上の遺伝子と同じあるいは
相同の遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物と交配さ
せることにより作製された非ヒト動物およびその子孫。
(11)前記(3)のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫
または前記(6)の非ヒト動物もしくはその子孫の個
体、組織または細胞において、単一または複数の外来染
色体あるいはその断片上の遺伝子を発現させ、その産物
としての生物学的に活性な物質を回収することを特徴と
する、生物学的に活性な物質の製造法。
(12)前記(3)のキメラ非ヒト動物もしくはその子孫
または前記(6)の非ヒト動物もしくはその子孫を、前
記の染色体あるいはその断片上の遺伝子と同じあるいは
相同の遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物と交配さ
せ、誕生した子動物の個体、組織または細胞において、
前記の単一または複数の外来染色体あるいはその断片上
の遺伝子を発現させ、その産物としての生物学的に活性
な物質を回収することを特徴とする、生物学的に活性な
物質の製造法。
図面の簡単な説明 第1図は、ヒト2番染色体(断片)を保持するA9細胞
の解析(PCR解析)の結果が示されている。
第2図は、E14耐性株においてヒト22番染色体(断
片)が保持されていることが示されている(PCR解
析)。
第3図は、22番染色体導入ES細胞由来キメラマウスに
おいてヒトL1配列が保持されていることを示す電気泳動
写真である(サザン解析)。
第4図は、ヒト22番染色体導入キメラマウス臓器にお
けるヒト染色体の保持の様子を示す電気泳動写真である
(PCR解析)。
第5図は、ヒト22番染色体導入キメラマウスにおける
ヒト遺伝子発現(RT−PCR)の結果を示す電気泳動写真
である。
第6図は、ヒト22番染色体導入キメラマウス臓器にお
けるヒト遺伝子発現(RT−PCR)の結果を示す電気泳動
写真である。
第7図は、E14耐性株においてヒト4番染色体(断
片)が保持されていることが示されている(PCR解
析)。
第8図は、ヒト4番染色体導入E14細胞株におけるヒ
トL1配列の検出(サザン解析)の結果を示す電気泳動写
真である。
第9図は、ヒト4番染色体導入ES細胞由来キメラマウ
スにおいてヒトL1配列が保持されていることを示す電気
泳動写真である。(サザン解析)。
第10図は、TT2耐性株においてヒト14番染色体(断
片)が保持されていることが示されている(PCR解
析)。
第11図は、ヒト14番染色体導入ES細胞由来キメラマウ
ス臓器におけるヒト染色体の保持の様子を示す電気泳動
写真である(PCR解析)。
第12図は、尻尾由来繊維芽細胞G418耐性テストの結果
が示されている。
第13図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマウス血清
中のヒト抗体IgM濃度(ELISA)が示されている。
第14図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマウス血清
中のヒト抗体IgG濃度(ELISA)が示されている。
第15図は、ヒトIgM産生ハイブリドーマクローンH4B7
の解析(ELISA)の結果が示されている。
第16図は、ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部
分断片を保持するマウスES細胞株(TT2細胞株PG15)のF
ISH解析の結果を示す染色体の形態の写真である。
第17図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマウス血清
中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgG抗体価の増加が示さ
れている。
第18図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマウス血清
中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgκ抗体価の増加が示さ
れている。
第19図は、ヒト22番染色体導入TT2細胞株におけるヒ
トL1配列の検出(サザン解析)の結果を示す電気泳動写
真である。
第20図は、ヒト血清アルブミン免疫キメラマウス血清
中の抗ヒト血清アルブミンヒトIgλ抗体価の増加が示さ
れている。
第21図は、ヒト2番染色体部分断片導入キメラマウス
の子孫においてヒト2番染色体部分断片が保持されてい
ることが示されている(PCR解析)。
第22図は、ヒト14番染色体導入キメラマウス脾臓にお
いて細胞表面にヒトμ鎖が発現している細胞の存在を示
している(フローサイトメトリー解析)。
第23図は、LoxP−pstNEOプラスミドDNAの構造を示し
ている。
第24図は、マウス抗体重鎖CμのゲノムDNAの構造を
示している。
第25図は、マウス抗体軽鎖κのゲノムDNAの構造を示
している。
第26図は、マウス抗体重鎖ターゲッティングベクター
及び、サザンブロット用プローブの構造と相同組換え体
で検出されるべきDNA断片について示している。
第27図は、マウス抗体軽鎖κターゲッティングベクタ
ー及び、サザンブロット用プローブの構造と相同組換え
体で検出されるべきDNA断片について示している。
第28図は、マウス抗体重鎖相同組換え体及び相同組換
え体由来高濃度G418耐性株のサザン解析の結果を示す電
気泳動写真である。
発明を実施するための最良の形態 ヒト染色体またはその断片を保持し、該染色体または
その断片上の遺伝子を発現するマウス個体は、 (1)標識されたヒト染色体またはその断片を保持する
染色体供与細胞の作製 (2)分化多能性を保持するマウス細胞へのミクロセル
法によるヒト染色体またはその断片の移入 (3)上記マウス細胞を用いたキメラマウスの作製 (4)キメラマウスにおけるヒト染色体保持及び、ヒト
遺伝子発現確認 の過程を経ることにより得ることができる。なお、ここ
では、ヒト染色体またはその断片を保持し、該染色体ま
たはその断片上の遺伝子を発現する非ヒト動物として、
マウスを例にとった(以下、このマウスを「ヒト染色体
導入マウス」と称する。)。
ここでヒト染色体とは、ヒト細胞由来の天然のDNAと
蛋白質の複合体のことを指す。正常なヒト染色体は23種
(雄は24種)46本存在し、それぞれ約50〜300Mbの長さ
のDNAを含むとされるが、本発明においては独立染色体
として安定に複製、分配が可能な部分断片、およびマウ
ス染色体上に転座し、安定に保持されている部分断片も
含まれる。そのDNAの大きさは通常1Mb以上だが、それ以
下の場合もある。本発明の特徴は大腸菌、酵母等でのク
ローニングあるいは細胞からのDNA抽出処理等を行なわ
ず、染色体そのものを媒体としてマウス個体でヒト遺伝
子を保持、発現させることにある。
また、ヒト染色体導入マウスとは、その正常体細胞の
全てまたは一部において、単一あるいは複数のヒト染色
体あるいはその断片を保持するものを指す。さらには、
その正常体細胞の全てまたは一部において、ヒト染色体
上の単一あるいは複数のヒト遺伝子を発現しているもの
を指す。
(1)標識されたヒト染色体またはその断片を保持する
染色体供与細胞の作製 染色体供与細胞としては、1)受容細胞で選別可能な
マーカーで標識されたヒト染色体を保持し、2)それ以
外のヒト染色体を含まない、3)ミクロセル形成能が高
い細胞、が望ましい。
ヒト染色体提供の材料としては、ヒト由来のあらゆる
細胞株、癌細胞、初代培養細胞を用いることが出来る
が、染色体の欠失、増幅等の異常の可能性が低く、また
培養が容易な点を考慮すると正常繊維芽細胞が適してい
る。
まず1)について、ヒト細胞は薬剤(G418,ピューロ
マイシン,ハイグロマイシン,ブラストサイジン)耐性
等のマーカー遺伝子を発現するベクターにより形質転換
することができる。ここで用いるマーカー発現制御のた
めのプロモーターとしては、ヒト細胞のみならず、マウ
スES細胞のような受容細胞で効率よく働くものが望まし
い。この目的にはSV40エンハンサーと単純ヘルペスウイ
ルスチミジンキナーゼプロモーターの連結したもの(Ka
tohら,Cell Struct.Funct.,12:575,1987)、マウスPGK
−1プロモーター(Sorianoら,Cell,64:693,1991)等を
用いることが出来る。エレクトロポレーション(石田
ら,細胞工学実験操作入門,講談社,1992)等による形
質転換を実施し、選択することにより、導入されたマー
カー遺伝子が、23種46本あるヒト染色体上にランダムに
挿入されたようなヒト細胞形質転換体のライブラリーを
得ることが出来る。
3)については、多くのヒト正常細胞がミクロセル形
成能が非常に低いので、上記の形質転換体をミクロセル
形成能の高い細胞例えば、マウスA9細胞(Oshimura,M.,
Environ.Health Perspect.,93:57,1991)と全細胞融合
することにより、形成能を付与することが出来る。マウ
ス−ヒト雑種細胞では、ヒト染色体が選択的に消失する
ことが知られているが、ここで得られた融合株は、先述
のマーカーで選択することにより、マーキングされたヒ
ト染色体を安定に保持することが出来る。
さらに、2)の条件を満たすために、この細胞融合株
からミクロセルを取得し、マウスA9細胞と再度融合する
ことが望ましい。この場合も、ヒト染色体上のマーカー
で選択することにより、得られるミクロセル融合株の多
くは、1)、2)、3)の条件を満たしたものであると
考えられる。マーキングされたヒト染色体の同定は、最
終段階で得られるマウス−ヒトモノクロモソーム雑種細
胞において、PCR(ポリメラーゼチェインリアクショ
ン、Saikiら,Science,239:487,1988)、サザンブロット
解析(Ausubelら,Current protocols in molecular bio
logy,John Wiley & Sons,Inc.,1994)、FISH(フルオ
レッセンスインサイチューハイブリダイゼーション、La
wrenceら,Cell,52:51,1988)解析等により調べることが
出来る。ある特定の染色体導入を望む場合には、多くの
ヒト細胞形質転換体クローンについて、それぞれ上記の
過程を繰り返して、目的染色体がマーキングされたもの
を探す。あるいは、ヒト細胞形質転換体クローンの混合
物について上記の過程を実施し、得られる多数のマウス
−ヒトモノクロモソーム雑種細胞についてヒト染色体の
同定を行なうことが可能である。
さらに、導入を望む染色体上のDNA配列を標的とした
相同組換え(Thomasら,Cell,51:503,1987)により、特
定の部位にマーカー遺伝子を挿入することも可能であ
る。
マウス−ヒト雑種細胞から調製したミクロセルにガン
マ線照射することにより、マーキングされたヒト染色体
を断片化してマウスA9細胞に導入することも出来る。ま
た、ミクロセルにガンマ線照射しない場合でも、ある割
合で部分断片化したヒト染色体が移入されることがあ
る。これらの場合、得られるミクロセル融合株は、マー
キングされたヒト染色体の部分断片を保持している。こ
れらは、受容細胞に染色体部分断片を導入したい場合に
用いることができる。
(2)分化多能性を保持するマウス細胞へのヒト染色体
またはその断片の移入 これまでに、種々の系統のマウス由来の胚性癌腫細胞
(EC細胞、Hanaokaら,Differentiation,48:83,1991)、
胚性幹細胞(ES細胞、Evansら,Nature,292:154,198
1)、胚性生殖細胞(EG細胞、Matsuiら,Cell,70:841,19
92)がマウス初期胚に注入あるいは共培養することによ
りその正常体細胞に寄与する、すなわちキメラマウス作
製可能であることが報告されている。ES、EG細胞はその
能力が特に高く、多くの場合生殖細胞にも寄与し、その
細胞由来の子孫を作ることができる。EC細胞は主に生殖
細胞癌から、ES細胞は胚盤胞の内部細胞塊から、EG細胞
は発生初期に出現する始原生殖細胞から得られる。本発
明におけるヒト染色体移入の受容細胞としてはこれらの
細胞株及びその変異株、さらにはマウス個体において全
て、あるいは一部の正常体細胞に分化可能なあらゆる未
分化細胞を用いることができる。
受容細胞へのヒト染色体移入の材料としては(1)で
得られたヒト染色体供与細胞から調製されるミクロセル
あるいはガンマ線照射したミクロセルを用いることがで
きる。受容細胞への移入は〈清水素行,細胞工学ハンド
ブック,羊土社,1992〉等に記された方法で受容細胞と
ミクロセルを融合することにより行なう。ミクロセル供
与細胞においてはあるヒト染色体またはその断片が受容
細胞において選別可能なマーカーを保持している。この
中から、(1)と同様PCR、サザンブロット解析、FISH
解析等により、導入を目的とする遺伝子あるいは染色体
あるいはその断片を保持する株を選択すれば、あらゆる
ヒト染色体、あるいはその断片を導入することが可能で
ある。また、異なる選択マーカーを保持する複数の染色
体、あるいはその断片を逐次導入することにより、これ
らを同時に保持する受容細胞を得ることもできる。さら
に、すでにあるヒト染色体を導入した細胞株の中から、
導入染色体数が増加したものを選抜することも可能であ
る。これは通常、培養液中に添加する選択薬剤の濃度を
高めることにより達成される。
ヒト染色体上のマーカー(G418耐性等)により選抜さ
れた受容細胞が、供与細胞の保持していたヒト染色体の
全部あるいは一部を保持していることは、以下のように
して確認される。選抜された受容細胞から抽出したゲノ
ムDNAを用い、プローブとしてヒト特異的繰り返し配列
(L1、Alu等、Korenbergら,Cell,53:391,1988)、ヒト
遺伝子等を用いたサザン解析により検出される。また、
ヒト遺伝子特異的プライマーによるPCR法、及びヒト染
色体特異的プローブ(Lichterら,Human Genetics,80:22
4,1988)を用いたフルオレッセンスインサイチューハイ
ブリダイゼーション(FISH)等の染色体解析により確認
することができる。
(3)ヒト染色体導入ES細胞からのキメラマウス作製 (2)で得られたES細胞株からのキメラマウス作製
は、〈相沢慎一,バイオマニュアルシリーズ8ジーンタ
ーゲティング,羊土社,1995〉等に記された方法で行な
う。効率的なキメラマウス作製を行なうための宿主胚の
発生時期、系統等の選択については、それぞれのES細胞
株についてすでに検討された条件を用いることが望まし
い。例えば、CBA×C57BL/6 F1由来のTT2細胞(野生色、
Yagiら,Analytical Biochemistry,214:70,1993)、につ
いてはBalb/c(白色、日本クレア社)あるいはICR(白
色、日本クレア社)由来の8細胞期胚を宿主胚として用
いるのが望ましい。
(4)キメラマウスにおけるヒト染色体の保持及びヒト
遺伝子発現 ES細胞株を注入した胚から誕生したマウスにおけるES
細胞の貢献率は、その毛色によりおおまかに判定するこ
とができる。但し、毛色に全く貢献が見られないからと
いって他の組織で貢献がないとは断定できない。より詳
細な、キメラマウス各組織におけるヒト染色体の保持は
各組織より抽出されたゲノムDNAを用いたサザン解析、P
CR等によって確認することができる。
導入ヒト染色体上の遺伝子発現は以下のようにして確
認される。ヒト染色体由来mRNAの発現は各組織由来RNA
を用いたRT−PCR法(Kawasakiら,P.N.A.S.,85:5698,198
8)、ノーザンブロット法(Ausubelら,前記)により検
出される。蛋白質レベルの発現は、マウスの相同蛋白質
との交差反応性を最小にした抗ヒト蛋白質抗体による酵
素免疫測定法(ELISA、富山・安東,単クローン抗体実
験マニュアル,講談社サイエンティフィク,1987;石川,
超高感度酵素免疫測定法,学会出版センター,1993)、
ウエスタンブロット法(Ausubelら,前記)あるいは、
電気泳動度の違いを利用したアイソザイム分析(Koiら,
Jpn.J.Cancer Res.,80:413,1989)等により検出され
る。さらに、キメラマウス細胞中でのヒト染色体の保持
及び該染色体上の遺伝子の発現が、キメラマウス由来初
代培養細胞での薬剤耐性マーカー遺伝子発現による耐性
細胞の出現より確認できる。
例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖の存在するヒト14番
染色体を保持するES細胞から作製されたキメラマウスに
ついて、キメラマウス血清中のヒトIgM、IgG、IgA等を
マウス抗体との交差反応性を最小にした抗ヒトIg抗体に
よる酵素免疫測定法により検出することができる。ま
た、このキメラマウスをヒト由来抗原(例えばヒト血清
アルブミン)により免役し、その脾臓細胞とマウスミエ
ローマを融合することにより得られる、ハイブリドーマ
(安東・千葉,単クローン抗体実験操作入門,講談社サ
イエンティフィク,1991)をELISAによりスクリーニング
することにより、ヒト免疫グロブリン重鎖を産生するハ
イブリドーマを得ることができる。
以上、マウスを例にとり、ヒト染色体またはその断片
を保持し、該染色体またはその断片上の遺伝子を発現す
るキメラ非ヒト動物の作製法を説明したが、本発明にお
いて、キメラ非ヒト動物へ移入される染色体またはその
断片は、ヒト由来のものに限られず、広く外来染色体ま
たはその断片を移入し、該染色体またはその断片上の遺
伝子を発現させることが可能である。ここで、「外来染
色体」とは、分化多能性を保持する細胞へ移入され、キ
メラ非ヒト動物において、該染色体またはその断片上の
遺伝子が発現することを特徴とするものであり、その由
来ととする生物種は特に限定されるものではない。ま
た、本発明の方法により、キメラマウスのみならず、他
のキメラ動物、例えば、ラット、ブタ等の哺乳類その他
のキメラ動物も作製することができる。マウス以外の動
物種におけるES細胞あるいはES様細胞の樹立はラット
(Iannacconeら,Dev.Biol.,163,288−,1994)、ブタ(W
heelerら,Reprod.Fertil.Dev.,6,563−,1994)、ウシ
(Simsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,6143−6147,199
4)において報告され、さらにメダカ、ニワトリ等でも
試みられている(トランスジェニック動物,蛋白質核酸
酵素,1995年10月号増刊,共立出版)。また、ヒツジに
おいてはES様細胞(ED細胞)さらにはそれを10代以上継
代して得られる上皮様細胞由来の核を移植された未受精
卵が正常に発生することが知られている(Campbellら,N
ature,380,64−,1996)。これらESあるいはES様細胞を
受容細胞とした外来染色体移入によってマウスの場合と
同様に外来染色体あるいはその断片を保持し、該染色体
またはその断片上の遺伝子を発現するキメラ非ヒト動物
が作製可能である。
また、本発明において、外来染色体あるいはその断片
が移入される、分化多能性を保持する細胞は、前述のES
細胞、EC細胞、EG細胞に限られるものではない。例え
ば、骨髄幹細胞に外来染色体あるいはその断片を移入す
ることが可能であり、該骨髄幹細胞の生体への移植によ
り、遺伝病等の治療を行うことが可能である。
キメラ非ヒト動物において、外来染色体を保持するES
細胞がその生殖細胞に分化した場合、生殖により得られ
る子孫にも導入染色体または断片が認められ、その子孫
は導入された染色体または断片上の遺伝子を発現する。
上記のようにして得られるキメラ非ヒト動物またはそ
の子孫を利用して、外来染色体またはその断片上の遺伝
子を発現させ、その産物を回収することにより、生物学
的に活性な物質を製造することができる。具体的には、
キメラ非ヒト動物または子孫の個体を外来染色体または
その断片上の遺伝子を発現しうる条件下で飼育し、その
後発現産物を動物の血液、腹水などから回収することが
できる。あるいはまた、キメラ非ヒト動物またはその子
孫の組織、細胞あるいはそれを不死化したもの(例え
ば、ミエローマ細胞との融合により不死化したハイブリ
ドーマ)などを外来染色体またはその断片上の遺伝子を
発現しうる条件下で培養し、その後発現産物を培養物か
ら回収することができる。さらには、これらキメラ非ヒ
ト動物またはその子孫の組織、細胞、あるいはそれを不
死化したものから抽出した外来染色体あるいはその断
片、または外来染色体またはその断片を構成するDNA、
さらにはまた、キメラ非ヒト動物またはその子孫の組
織、細胞、あるいはそれを不死化したものに保持された
外来染色体あるいはその断片に由来するcDNAを動物細胞
あるいは昆虫細胞(例えば、CHO細胞、BHK細胞、肝ガン
細胞、ミエローマ細胞、SF9細胞等)に導入し、該細胞
を外来染色体またはその断片上の遺伝子を発現しうる条
件下で培養し、その後発現産物(例えば、特定の抗原特
異的な抗体蛋白質等)を培養物から回収することができ
る。発現産物は遠心分離などの公知の方法に従って回収
することができ、さらに、硫安分画、分配クロマトグラ
フィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着クロマトグ
ラフィー、分取薄層クロマトグラフィーなどの公知の方
法に従って精製することができる。生物学的に活性な物
質は、外来染色体上にコードされているあらゆる物質を
含み、例えば、抗体、特にヒト抗体などを挙げることが
できる。例えば、得られたキメラ動物の脾細胞あるいは
そのハイブリドーマなどの不死化細胞から該染色体上の
ヒト抗体遺伝子をクローニングし、チャイニーズハムス
ター卵巣細胞(CHO)やミエローマ細胞に導入してヒト
抗体を生産することができる(Lynetteら,Biotechnolog
y,10,1121−,1992;Bebbingtonら,Biotechnology,10,169
−,1992)。
本発明により得られるヒト2番、14番、22番染色体
(断片)を保持するキメラマウス及びその子孫は、ヒト
抗体重鎖(14番染色体上)、軽鎖κ(2番染色体上)、
軽鎖λ(22番染色体上)それぞれの遺伝子の機能的配列
の大部分を保持し得る。すなわち、酵母人工染色体等を
用いてヒト抗体遺伝子の一部を導入した既知のトランス
ジェニックマウス(Greenら,Nature Genetics,7,13−,1
994,Lonbergら,Nature,368,856−,1994等)と比較し
て、ヒトにおいて観察されるものにより近い、非常に多
様なヒト抗体レパートリーを発現することが可能であ
る。また、本発明により得られる2番+14番、22番+14
番等の染色体(断片)を同時に保持するキメラマウス及
びその子孫、並びに、それらを交配することにより得ら
れる2番+14番+22番等の染色体(断片)を同時に保持
するマウス及びその子孫は、重鎖、軽鎖の両者がヒト由
来である完全なヒト抗体を産生することが可能である。
これらのマウスはヒト由来抗原に対してそれを異物とみ
なして免疫反応を起こし、抗原特異的ヒト抗体を産生す
ることができる。この性質は治療用のヒトモノクローナ
ル抗体、あるいはヒトポリクローナル抗体を得るために
非常に有用である(Greenら、前記、Lonbergら、前
記)。一方、特定の抗原に対して親和性の高いヒト抗体
を得る効率を上げるためには、マウス抗体を産生せず、
ヒト抗体のみを産生するマウスを作成することが望まれ
る(Greenら、前記、Lonbergら、前記)。本発明におい
て、これは典型的には既知の手法を用いて以下の方法A
あるいはBにより達成される。
方法A:マウス抗体欠損ES細胞およびマウス抗体欠損キメ
ラ宿主胚を用いる方法。
方法B:ヒト染色体導入キメラマウスよりヒト染色体を保
持する子孫を得てマウス抗体遺伝子を欠損するマウス系
統との交配を行う方法。
以下にA,Bそれぞれの方法の典型的な例について以下
に具体的に記す。
方法Aの具体的手順 1.マウスES細胞に2コピー存在するマウス抗体重鎖遺伝
子の一方を標的遺伝子相同組み換え法(Joynerら,Gene
Targeting,1993,IRL PRESS)を用いて破壊する。遺伝子
破壊箇所には後に部位特異的組換えにより除去可能な配
列、例えばloxP配列(Creレコンビナーゼにより組み換
え、Sauerら、前記、他にFLPレコンビナーゼ−FRT配列
を用いたO'Gormanら,Science,251,1351−,1991の例があ
る)にはさまれたG418耐性遺伝子等のマーカー遺伝子を
挿入する。
2.一方の抗体重鎖遺伝子が破壊された上記薬剤耐性マウ
スES細胞を高濃度の薬剤存在下で培養し、高濃度薬剤耐
性となった株を選抜する。これらの株をスクリーニング
することにより両方の抗体重鎖遺伝子が破壊された株が
得られる(相沢慎一、前記)。
3.2.で得られた両方の抗体重鎖遺伝子が破壊されたマウ
スES細胞に1.で薬剤耐性遺伝子の両側に挿入した組換え
配列の間で部位特異的組み換え反応を起こす酵素遺伝
子、例えばCreレコンビナーゼ遺伝子(Sauerら、前記)
を一時的に導入し、loxP配列の間で組み換え反応が起こ
って両方の抗体重鎖遺伝子に挿入された薬剤耐性遺伝子
が除去された薬剤感受性株を選抜する(高津聖志ら、実
験医学別冊、免疫研究の基礎技術、p255−、1995、羊土
社)。
4.マウス抗体軽鎖κ遺伝子ついて上記1〜3の過程を繰
り返し、最終的に抗体重鎖及びκ鎖を完全に欠損した薬
剤感受性株を取得する。
5.4の株(抗体重鎖、κ鎖欠損マウスES細胞)を受容細
胞としたミクロセル融合により、薬剤耐性マーカー(例
えばG418耐性遺伝子)でマーキングされたヒト抗体重鎖
遺伝子を含むヒト14番染色体(断片)を導入する。
6.5で得られた株を受容細胞としたミクロセル融合によ
り、5とは異なる薬剤耐性マーカー(例えばピューロマ
イシン耐性遺伝子)でマーキングされたヒト抗体軽鎖遺
伝子を含むヒト2番染色体(断片)あるいは22番染色体
(断片)またはその両者を導入する。
7.自らの抗体を産生することができないマウス系統(例
えばRAG−2ノックアウトマウス、Shinkaiら,Cell,68,8
55−,1992、膜型μ鎖ノックアウトマウス、Kitamuraら,
Nature,350,423−,1991)から得た胚を宿主胚として6
で得られたES細胞とのキメラマウスを作成する。
8.得られるキメラマウスにおいてほとんどの機能的なB
リンパ球はES細胞に由来する(高津聖志ら、実験医学別
冊、免疫研究の基礎技術、p234−、羊土社、1995)。こ
のBリンパ球においてはマウス重鎖、κ鎖が欠損してい
るため、主として導入染色体上の機能的なヒト抗体遺伝
子よりヒトの抗体のみが産生される。
方法Bの具体的手順 1.ヒト抗体重鎖、軽鎖κまたは軽鎖λを含むヒト染色体
あるいはその断片を保持するキメラマウスからそれらを
安定に保持する継代可能な子孫を得る。
2.1.で得られたヒト抗体重鎖または軽鎖を発現するマウ
ス系統あるいはそれらの交配により得られたヒト抗体重
鎖および軽鎖の両者を発現するマウス系統と自らの抗体
遺伝子が欠損しているマウス系統(例えば膜型μ鎖ノッ
クアウトマウス、前記、軽鎖κノックアウトマウス、Ch
enら、EMBO J.,3,821−,1993)との交配により、マウス
抗体重鎖、及び軽鎖κの欠損についてホモ接合体であ
り、なおかつヒト抗体重鎖(14番)+軽鎖κ(2番)、
抗体重鎖(14番)+軽鎖λ(22番)あるいはヒト抗体重
鎖(14番)+軽鎖κ(2番)+軽鎖λ(22番)を含むヒ
ト染色体を保持するマウス系統を得る。このマウス系統
においてはマウス抗体重鎖、軽鎖κ遺伝子が欠損してい
るため、主として導入染色体上の機能的なヒト抗体遺伝
子よりヒトの抗体のみが産生される。
なお、上記のAおよびBの方法は、ヒト抗体のみなら
ず、外来染色体上に存在するあらゆる遺伝子の産物を効
率的に得るために、用いることができる。
以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は
これらの実施例に限定されるものでない。
(実施例1)G418耐性標識されたヒト染色体(断片)を
保持する染色体供与細胞の作製 G418耐性遺伝子を含むプラスミドpSTneoB(Katohら、
Cell Struct.Funct.,12:575,1987;Japanese Collection
of Research Biologicals(JCRB),Deposit Number:VE
039)を制限酵素Sall(宝酒造)で線状化し、ヒト正常
繊維芽細胞HFL−1(RIKEN Cell Bankより入手、RCB025
1)へ導入した。HFL−1細胞をトリプシン処理し、5x10
6個/mlとなるようにダルベッコのリン酸バッファー(PB
S)に懸濁してから10μgDNA存在下でジーンパルサー
(バイオラッド)を用いてエレクトロポレーションを行
なった(石田ら,細胞工学実験操作入門,講談社,199
2)。25μFの容量で1000Vの電圧を4mm長のエレクトロ
ポレーションセル(165−2088、バイオラッド)を用い
て室温で印加した。エレクトロポレーションした細胞を
15%牛胎児血清(FBS)を添加したイーグルF12培地(以
下F12、という)を含む100mm組織培養用プラスチックシ
ャーレ(コーニング)3〜6枚に播種した。1日後に20
0μg/mlのG418(GENETICIN,シグマ)を含む15%FBSを添
加したF12培地と置き換えた。2〜3週間後に生じたコ
ロニー100個程度を一つの集団として52グループにそれ
ぞれまとめ、100mmシャーレに再び播種し培養した。
マウスA9細胞(Oshimura,Environ.Health Perspect.,
93:57,1991,JCRB0211)を10%牛胎児血清(FBS)を添加
したダルベッコ改変イーグル培地(以下DMEM、という)
中、100mmシャーレで培養した。52グループのG418耐性H
FL−1細胞を15%牛胎児血清(FBS)と200μg/mlのG418
を添加したF12中で、それぞれ100mmシャーレで培養し
た。マウスA9細胞とHFL−1細胞をトリプシン処理後そ
れぞれ四分の一から半分量ずつ混合し、100mmシャーレ
に播種し10%牛胎児血清(FBS)を添加したDMEMと15%
牛胎児血清(FBS)を添加したF12との等量混合物中で半
日から一日培養した。細胞融合は(清水ら,細胞工学ハ
ンドブック,羊土社,p.127−,1992)に記述されている
方法に従った。DMEMで細胞表面を2回洗った後、2mlのP
EG(1:1.4)溶液で1分間処理し、さらに、2mlのPEG
(1:3)溶液に換え1分間処理した。PEG溶液を吸い取
り、無血清培地(DMEM)で3回洗った後、通常の培地
(10%FBS、DMEM)で1日間培養した。細胞をトリプシ
ン処理により分散し、ウワバイン(1x10-5M,シグマ)お
よびG418(800μg/ml)を含む二重選択培地(10%FBS、
DMEM)に懸濁し、100mmシャーレ3枚に播種した。約3
週間培養した後、生じたコロニーをトリプシン処理によ
り細胞を分散しG418(800μg/ml)を含む選択培地(10
%FBS、DMEM)で培養した。
トリプシン処理により細胞を分散し2グループを一つ
にまとめて、6本の25cm2遠心用フラスコ(コースタ
ー、3025)にて細胞密度が70〜80%飽和程度まで培養し
た。コルセミド(0.05μg/ml,デメコルシン,和光純
薬)を含む培養液(20%FBS、DMEM)に変換し、2日間
培養しミクロセルを形成させた。培養液を除去し、予め
保温(37℃)しておいたサイトカラシンB(10μg/ml,
シグマ)溶液を遠心用フラスコに満たし、アクリル製遠
心容器に遠心用フラスコを挿入し、34℃、8000rpm,1時
間の遠心を行なった。ミクロセルを無血清培地に懸濁
し、フィルターで濾過し精製した。マウスA9細胞を80%
飽和の状態まで培養した25cm2フラスコに精製した微小
核を加えPEG溶液で融合させた。G418を含む選択培地で
培養しコロニーを単離した。各クローンが保持するヒト
染色体(2番、4番、14番、22番)は以下の通り同定し
た。上記以外のすべての実験操作及び試薬等は〈清水
ら、細胞工学ハンドブック、羊土社、p.127−〉に従っ
た。
(1)PCR解析 単離した細胞を培養し、細胞からPuregene DNA Isola
tion Kit (Gentra System社)を用いてゲノムDNAを抽
出し、このゲノムDNAを鋳型とし、ヒト染色体特異的な
プライマーを用いてPCR法で2、4、14、22番ヒト染色
体を保持するクローンを選抜した。PCR増幅は約0.1μg
のゲノムDNAを使用し(Innisら,PCR実験マニュアル,HBJ
出版局,1991,サーマルサイクラーはGeneAmp 9600,Perki
n−Elmer社を使用)に従い行なった。Taqポリメラーゼ
はPerkin−Elmer社製を用い、反応条件は、94℃5分を
1サイクル行なった後、変性94℃15秒、アニーリング54
〜57℃15秒(プライマーにより適宜変更)、伸長72℃20
秒を35サイクル行なった。プライマーは各染色体上に存
在する遺伝子(O'Brien,Genetic Maps,6th edition,Boo
k5,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993)及び
多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair,BIOS
社;Weissenbachら,Nature359:794,1992;Walterら,Natur
e Genetics,7:22,1994等)を用いた。遺伝子プライマー
はGenBank、EMBL等のデータベースより入手した塩基配
列をもとに作製した。多型性プライマーの名称及び、遺
伝子プライマーの配列はそれぞれの染色体について以下
の実施例で示した(2番:実施例1、4番:実施例6、
14番:実施例9、22番:実施例2)。2番染色体の同定
には以下に示す遺伝子マーカー及び多型性マーカー(Po
lymorphic STS Primer Pair,BIOS社:D2S207,D2S177,D2S
156,D2S159 BIOS社)を用いた。
(2)フルオレッセンス インサイチューハイブリダイ
ゼーション(FISH) FISH解析は(松原ら,FISH実験プロトコール,秀潤社,
1994)に記された方法に従い、ヒト2番、4番、14番、
22番染色体特異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYST
EM,Cambio社)を用いて行なった。
例えば、2番染色体を保持するクローンは26グループ
(745クローン)中10グループに1個以上のクローンを
得た。このうち用いた2番染色体特異的なプライマーす
べてに陽性であったのは5クローンだった。これらのク
ローンをFISH解析した。FISH解析は(松原ら,FISH実験
プロトコール、秀潤社、1994)に記された方法に従い、
ヒト2番染色体特異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING
SYSTEM,CANBIO社)を用いて行なった。すべてのプライ
マーに陽性な細胞ではヒト2番染色体がほぼ完全な形で
観察され、1部のプライマーのみ陽性なクローンのうち
いくつかのクローンではヒト2番染色体よりも小さな独
立染色体が観察され、あるいはヒト2番染色体以外の染
色体と融合しているような形の染色体を持つ細胞も観察
された(第1図)。第1図において、横列がクローン
名、縦列はPCRに使用したプライマーを示す。●は陽性
を、×は陰性を示した。また、FISHにより観察されたヒ
ト2番染色体の存在形態を最下行に示した。記載のない
ものは実施していない。
同様にして、ヒト4番、14番、22番染色体を保持する
A9細胞を得た。
(実施例2)マウスES細胞へのミクロセル法によるヒト
22番染色体導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト
22番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#22、
という)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細
胞株E14(Martin L.Hooperより入手、Hooperら,Nature,
326:292,1987)を用いた。E14の培養法は〈相沢慎一,
バイオマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊
土社,1995〉に記された方法に従い、栄養細胞として
は、マイトマイシンC(シグマ)処理したG418耐性STO
細胞株(大阪大学、近藤寿人教授より入手)を用いた。
まず清水ら(細胞工学ハンドブック、羊土社、1992)の
報告した方法に従い、約108個のA9/#22からミクロセル
を調製した。得られたミクロセルは全量を5mlのDMEMに
懸濁した。約107個のE14をトリプシンで分散させた後、
DMEMで3回洗浄し、5mlのDMEMに懸濁した後、ミクロセ
ルとあわせ、1250rpm、10分間遠心して上清を除いた。
沈殿をタッピングによりよくほぐし、1:1.4PEG溶液(5g
PEG1000,〈和光純薬〉,1ml DMSO〈シグマ〉を6ml DMEM
に溶解)0.5mlを加えて室温で1分30秒静置した後、10m
lのDMEMをゆっくりと加えた。直ちに1250rpm、10分間遠
心して上清を除き、沈殿を30mlのES細胞用培地に懸濁
し、あらかじめ栄養細胞をまいた直径100mmの組織培養
プラスチックシャーレ(コーニング)3枚に播種した。
24時間後に300μg/mlのG418(GENETICIN,シグマ)を加
えた培地と交換し、その後毎日培地交換を行なった。1
週間〜10日後には薬剤耐性コロニーが出現する。その出
現頻度はE14細胞107個あたり0〜5個であった。そのコ
ロニーをピックアップし増殖させ、5×106個あたり1ml
の保存用培地(ES細胞用培地+10%DMSO〈シグマ〉)に
懸濁し、−80℃にて凍結保存した。同時に各薬剤耐性株
について106〜107個の細胞からゲノムDNAをPuregene DN
A Isolation Kit(Gentra System社)により調製した。
ヒト22番染色体の断片化はミクロセルにガンマ線照射
することにより行なった(Koiら,Science,260:361,199
3)。約108個のA9/#22より取得したミクロセルを5mlの
DMEMに懸濁し、ガンマセル40(カナダ原子力公社製)に
より、氷上で60Gyのガンマ線を照射した(1.2Gy/分×50
分)。ガンマ線照射したミクロセルは未照射ミクロセル
と同様に融合、薬剤耐性株選抜を行なった結果、薬剤耐
性株の出現頻度はE14細胞107個あたり1〜7個であっ
た。薬剤耐性株については未照射の場合と同様にして凍
結保存、DNA取得を行なった。
未照射ミクロセル薬剤耐性株E14/#22−9、E14/#22
−10、ガンマ線照射ミクロセル薬剤耐性株E14/#22−1
4、E14/#22−25における導入染色体の保持は以下の
(1)〜(3)により確認した。
(1)PCR解析(第2図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト22番染色体上
に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)及び多型性マ
ーカー(Polymorphic STS Primer Pair,BIOS社:D22S31
5,D22S275,D22S278,D22S272,D22S274;Nature 359:794,1
992)の存在をPCR法により検出した。GenBank、EMBL等
のデータベースより入手した塩基配列をもとに作製した
遺伝子プライマーオリゴヌクレオチドの配列を記す。
約0.1μgのゲノムDNAを鋳型として上記の10種のプラ
イマーについてPCR増幅(Innisら,前記)を行なった。
その結果、未照射の2株は全てのプライマー、ガンマ線
照射した2株については一部のプライマーについて期待
される長さの増幅産物が検出された。以上の結果を第2
図に示す。第2図において、左側にヒト22番染色体のG
バンド像に基づく模式的な染色体地図、また、位置が明
らかになっているいくつかのマーカーについてはどのバ
ンドに位置するかを示した(O'Brien,GENETIC MAPS,6th
edition,BOOK 5等)。遺伝子及び多型性マーカーの並
び方は、現在までに入手出来る情報(Science,HUMAN GE
NETIC MAP,1994,Nature Genetics,7:22,1994,Nature 35
9:794,1992等)を基に、大まかな位置関係を示したもの
で、順序は必ずしも正確ではない。4種のG418耐性E14
細胞株について、PCRにより期待される増幅産物が検出
されたマーカーは■で、検出されなかったマーカーを□
で示した。下側にはFISH解析による観察結果を示した。
A9/#22は、染色体供与細胞である。
(2)サザンブロット解析 サザンブロット解析はヒト特異的な繰り返し配列であ
るL1配列(ハプロイドゲノム当たり104〜105コピー存
在、RIKEN DNA Bankより入手、Nucleic acids researc
h,13;7813,1985,pUK19A由来1.4kb EcoRI−BamHI断片)
をプローブとして、制限酵素(BglII、宝酒造製)処理
を行なった約2μのゲノムDNAに対して〈Ausubelら,Cur
rent Protocols in Molecular Biology,John Wiley &
Sons,Inc.,1994〉に記された方法に従い行なった。その
結果、各薬剤耐性株DNAにおいてヒトL1配列とハイブリ
ダイズするバンドが多数検出された。未照射の2株につ
いてはそのパターン及び、各バンドの濃度から推定でき
るヒト染色体DNAのマウスゲノムDNAに対する量 比はA9/#22のそれと同等であった。ガンマ線照射株の
全体のシグナル強度はA9/#22と比較した場合、PCR解析
で示された欠失の程度と相関していた。
(3)フルオレッセンスインサイチューハイブリダイゼ
ーション(FISH) FISH解析は(松原ら,FISH実験プロトコール,秀潤社,
1994)に記された方法に従い、ヒト22番染色体特異的プ
ローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM,Cambio社)を用
いて行なった。その結果、観察した分裂像のほとんどに
おいて、E14/#22−9はマウス染色体に転座した形で、
他の3株は独立した染色体といてヒト22番染色体が検出
された。
以上の実験により、得られたG418耐性株E14/#22−
9、E14/#22−10はヒト22番染色体の全てあるいは大部
分を、E14/#22−14、E14/#22−25はその部分断片を保
持することが確かめられた。
(実施例3)ヒト22番染色体を保持するES細胞からのキ
メラマウス作製 一般的なマウス胚取得、培養、ES細胞の胚への注入、
仮親子宮への移植等の手技については、〈相沢慎一,バ
イオマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊土
社,1995〉に記された方法に従った。(実施例2)で得
られ、ヒト22番染色体を保持していることが確認された
G418耐性ES細胞株E14/#22−9を凍結ストックより立ち
上げ、C57BL/6×C3H F1雌マウス(日本クレア社)をC3H
雄マウス(日本クレア社)と交配することにより取得し
た胚盤胞期胚に胚あたり10〜15個注入した。偽妊娠処理
後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側
の子宮あたり約10個のES細胞注入胚を移植した。その結
果を(第1表)に示す。
計166個の注入胚を移植した結果29匹の子マウスが誕
生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚由来の野生
色(濃茶)の中にE14細胞由来の薄灰色が認められるか
どうかにより判定される。誕生した29匹のうち毛色に明
らかに薄灰色の部分のある、すなわち、E14細胞の貢献
の認められる個体は16匹であった。また、最高の貢献率
はK22−22における約40%であった。
この結果より、ヒト22番染色体を保持するマウスES細
胞株E14/#22−9はキメラ形成能、すなわちマウス個体
の正常組織に分化する能力を保持していることが確認さ
れた。
(実施例4)ヒト22番染色体を保持するES細胞由来キメ
ラマウス各組織におけるヒト染色体DNAの保持確認 (実施例3)の毛色による判定に加えて、尻尾より調
製したゲノムDNAを鋳型としたPCR解析により、導入染色
体の保持を確認した。誕生後3週以上を経たキメラマウ
スから〈勝木元也,発生工学実験マニュアル,講談社サ
イエンティフィク,1987〉に記された方法に従い尻尾を
取得し、Puregene DNA ISolation Kitを用いてゲノムDN
Aを抽出した。このゲノムDNAを鋳型として(実施例2)
で使用した多型性プライマーのうちPVALB、D22S278を用
いて増幅産物の確認を行なった。毛色に貢献の見られた
個体のうち10匹について解析を行った結果、全ての個体
において少なくともいずれかのプライマーによる増幅産
物が確認された。
サザン解析は(実施例2)と同様に、ヒトL1配列をプ
ローブとして用い、6個体のキメラマウス、1個体の非
キメラマウスの2μgの尻尾ゲノムDNAに対して行なっ
た。その結果、全てのキメラ個体において多数のヒトL1
配列の存在が認められ、そのパターンはE14/#22−9と
類似していた。マウスゲノムに対する量比は最も多いも
ので10%程度であった(第3図)。第3図において、各
レーンとも、BglII消化した2μgのゲノムDNAを使用し
た。32P標識ヒトL1配列をプローブとし、シグナルはイ
メージアナライザーBAS2000(富士写真フイルム社)に
より検出した。右より、キメラマウス(K22−6,7,8,9,1
0,11,12:9は非キメラ)の尻尾由来ゲノムDNAおよびコン
トロールDNA(C:Cは、E14/#22−9とE14ゲノムDNAを1:
9の重量比で混合したもの)のレーンである。左側にDNA
分子量、右側に各キメラ個体のキメラ率を示した。
(−:0%、+:〜10%、++:10〜30%) さらに、毛色に5%程度の貢献の見られたキメラ個体
(K22−7)について脳、肝臓、筋肉、心臓、脾臓、胸
腺、卵巣、腎臓からISOGEN(ニッポンジーン社)により
ゲノムDNAを取得し、それぞれの組織について、(実施
例2)で使用した遺伝子プライマーのうちMB、DIA1を用
いてPCR解析を行なった。その結果2つのプライマーと
も全ての組織において期待される増副産物が確認され
た。DIA1プライマーによる結果を(第4図)に示す。PC
R産物は2%アガロースゲルにて電気泳動した後、臭化
エチジウム染色して検出した。第4図の各レーンは左か
らB:脳、L:肝臓、SM:骨格筋、H:心臓、Sp:脾臓、Th:胸
腺、Ov:卵巣、K:腎臓、nc:非キメラマウス尻尾DNA(陰
性コントロール)、pc:ヒト繊維芽細胞(HFL−1)DNA
(陽性コントロール)を示す。
これらの結果より、E14/#22−9はマウス個体におい
て種々の正常組織に貢献し、かつヒト22番染色体を保持
していることが確かめられた。
(実施例5)ヒト22番染色体を保持するES細胞由来キメ
ラマウスにおけるヒト遺伝子の発現 ヒト遺伝子発現確認のための試料としては、毛色に5
%程度の貢献の見られた個体(K22−7)の尻尾を液体
窒素にて凍結後粉砕したものを用いた。これは皮膚、
骨、筋肉、血液等の組織の混合したものである。これよ
りISOGEN(ニッポンジーン)を使用して総RNAを抽出
し、RT−PCR法により、ヒト−ミオグロビン(MB)、ヒ
ト−チトクロームb5レダクターゼ(DIA1)のmRNAの検出
を行なった。RT−PCRは〈Innisら,PCR実験マニュアル,H
BJ出版局,1991〉に記された方法に従って行なった。逆
転写反応用プライマーは、ランダムヘキサマーオリゴヌ
クレオチド(終濃度100pmol、宝酒造製)を、逆転写酵
素はBRL社製(スーパースクリプト)を使用した。cDNA
を鋳型とした増幅に用いたプライマーを記す。
その結果、両遺伝子のmRNAに特異的な増幅産物が検出
された(第5図)。RT−PCR産物は2%アガロースゲル
にて電気泳動した後、臭化エチジウム染色して検出し
た。第5図において、Mはマーカー(HindIII消化λDNA
+HaeIII消化φX174DNA,宝酒造)、MBはヒトミオグロビ
ン、DIA1はヒトチトクロームb5レダクターセ、WTは野生
型C3Hマウスを示す。
さらに同じ個体(K22−7)について、脳、心臓、胸
腺、肝臓、脾臓、腎臓、卵巣、骨格筋からISOGENを使用
して総RNAを抽出し、上記の2種のプライマーにより各
臓器のRT−PCRを行った。その結果、DIA1は全ての臓器
で、MBは心臓と骨格筋のみで期待される増幅産物が確認
された(第6図)。ミオグロビンは筋細胞特異的に発現
することが知られており(Bassel−Dubyら,MCB,12:502
4,1992)、この結果は導入したヒト染色体上の遺伝子が
マウス個体で正常な組織特異的発現制御を受け得ること
を示している。PCR産物は2%アガロースゲルにて電気
泳動した後、臭化エチジウム染色して検出した。第6図
において、各レーンは左からB:脳、H:心臓、Th:胸腺、
L:肝臓、Sp:脾臓、K:腎臓、Ov:卵巣、SM:骨格筋、M:マ
ーカー(上記)を示す。MBの結果において観察される下
方のバンドは非特異的産物と考えられる。
すなわち、導入されたヒト22番染色体はキメラマウス
の正常組織において機能し得ることが確かめられた。
(実施例6)ヒト4番染色体またはその部分断片のES細
胞への導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト
4番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#4、
という)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細
胞株E14(実施例2と同様)を用いた。ミクロセル融合
実験およびG418耐性株の選択は(実施例2)と同様に行
なった。薬剤耐性株の出現頻度はE14細胞107個あたり1
〜2個であった。薬剤耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取
得は(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株E14/#
4−4、E14/#4−7、E14#4−11におけるヒト4番
染色体またはその断片の保持は以下の(1)〜(3)に
より確認した。
(1)PCR解析(第7図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト4番染色体上
に存在する遺伝子(O'Brien,Genetic Maps,6th editio
n,Book 5,Cold Spring Harbor Laboratory Press,199
3)及び多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair
BIOS社:D4S395,D4S412,D4S422,D4S413,D4S418,D4S426,
F11;Nature 359:794、1992)の存在をPCR法により検出
した。GenBank、EMBL等のデータベースより入手した塩
基配列をもとに作製した遺伝子プライマーオリゴヌクレ
オチドの配列を記す。
上記の11種のプライマーについてPCR増幅を行なった
結果、3株共に、全て、あるいは一部のプライマーにつ
いて期待される増幅産物が確認された。E14/#4−4、
E14/#4−7株のように一部領域に欠失がみられるもの
もあった。以上の結果を第7図に示す。第7図におい
て、左側にヒト4番染色体のGバンド像に基づく模式的
な染色体地図、また、位置が明らかになっているいくつ
かのマーカーについてはどのバンドに位置するかを示し
た(実施例2参照)。遺伝子及び多型性マーカーの並び
方は、現在までに入手出来る情報(実施例2参照)を基
に、大まかな位置関係を示したもので、順序は必ずしも
正確ではない。3種のG418耐性E14細胞株について、PCR
により期待される増幅産物が検出されたマーカーは■
で、検出されなかったマーカーを□で示した。下側には
FISH解析による観察結果を示した。A9/#4は染色体供
与細胞を示す。
(2)サザンブロット解析(第8図) サザンブロット解析は(実施例2)と同様に、E14/#
4−4、E14/#4−7より取得したゲノムDNAについて
ヒトL1配列をプローブとして行なった。その結果、両株
DNAにおいてヒトL1配列とハイブリダイズするバンドが
多数検出された。A9/#4と比較して、全体のシグナル
強度はPCR解析で示された欠失の程度と相関していた。
第8図において、各レーンとも、BglII消化した2μg
のゲノムDNAを使用した。32P標識ヒトL1配列をプローブ
とし、シグナルはイメージアナライザーBAS2000(富士
写真フイルム社)により検出した。第8図において、各
レーンは、左から、1:A9#4、(染色体供与細胞)、2:
A91#4+A9(1:2)、3:A9/#4+A9(1:9)、4:A9、5:
E14/#4−7、6:E14/#4−4を示す。2、3は2種の
DNAを括弧内に示した比率で混合したものである。左側
にDNA分子量を示した。
(3)フルオレッセンスインサイチューハイブリダイゼ
ーション(FISH) FISH解析は(実施例2)と同様に、ヒト4番染色体特
異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM,Cambio
社)を用いて行なった。その結果、3株すべてのほとん
どの分裂像において、ヒト4番染色体あるいはその部分
断片が検出された。E14/#4−4はマウス染色体に転座
した形で、他の2株は独立した染色体として存在してい
た。観察されるヒト染色体の相対的な大きさは、PCR解
析の結果から推測されるそれと一致していた。
以上の実験により、得られたG418耐性株はヒト4番染
色体の全てあるいはその部分断片を保持することが明か
となった。
(実施例7)ヒト4番染色体部分断片を保持するES細胞
からのキメラマウス作製 ヒト4番染色体部分断片を保持していることが確認さ
れたG418耐性ES細胞株E14/#4−4、E14/#4−7を凍
結ストックより立ち上げ、(実施例3)と同様にして取
得した胚盤胞期胚に胚あたり10〜15個注入した。偽妊娠
処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に
片側の子宮あたり約10個のES細胞注入胚を移植した。そ
の結果を(第2表)に示す。
計240個の注入胚を移植した結果13匹の子マウスが誕
生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚由来の野生
色(濃茶)の中にE14細胞由来の薄灰色が認められるか
どうかにより判定される。誕生した13匹のうち毛色に明
らかに薄灰色の部分のある、すなわち、E14細胞の貢献
の認められる個体は7匹であった。また、最高の貢献率
はE14/#4−7由来の1個体において約15%であった。
この結果より、ヒト4番染色体部分断片を保持するマ
ウスES細胞株E14/#4−4、E14/#4−7はキメラ形成
能を保持している、すなわちマウス個体の正常組織に分
化する能力を保持していることが確認された。
(実施例8)ヒト4番染色体部分断片を保持するES細胞
由来キメラマウスにおけるヒト染色体DNAの保持及び、G
418耐性遺伝子の発現確認 (1)PCR解析 (実施例7)で得られたキメラマウスのうちE14/#4
−7由来の1個体(K#4−7−1:キメラ率約5%)、
E14/#4−4由来の1個体(K#4−4−41:キメラ率
約5%)について(実施例4)と同様に尻尾よりゲノム
DNAを調製した。それを鋳型とし、(実施例6)で示し
た4番染色体解析用プライマーのうちE14/#4−7、E1
4/#4−4で検出された多型性マーカーF11についてPCR
解析を行なった。その結果、2個体とも期待される増幅
産物が検出された。
(2)サザン解析(第9図) サザン解析は(実施例2)と同様、E14/#4−7由来
の1個体(K#4−7−1:キメラ率約5%)についてヒ
トL1配列をプローブとして用い、2μgの尻尾由来ゲノ
ムDNAに対して行なった。その結果、多数のヒトL1配列
の存在が認められ、そのパターンはE14/#4−7と類似
していた。マウスゲノムに対する量比はE14/#4−7の
約10%程度であった。第9図において、各レーンとも、
BglII消化した2μの尻尾由来ゲノムDNAを使用した。32
P標識ヒトL1配列をプローブとし、シグナルはイメージ
アナライザーBAS2000(富士写真フイルム社)により検
出した。左側にDNA分子量を示した。各レーンは左から
1:K#4−7−1、2:ブランク、3:E14/#4−7を示
す。
(3)尻尾由来繊維芽細胞のG418耐性試験 キメラマウスのうち、E14/#4−7由来の1個体(K
#4−7−1:キメラ率約5%)、E14/#4−4由来の1
個体(K#4−4−41:キメラ率約5%)について尻尾
から以下のように繊維芽細胞を調製した。DNA調製(実
施例4)と同様にキメラマウスの尻尾を5mm〜10mm切断
し、PBS/1mM EDTAで数回洗浄した後、メスで切れ込みを
いれて表皮を除去し、内部の組織をメスで細かく切り刻
む。組織細片を5mlのPBS/1mM EDTAをいれたチューブに
移し、30分〜1時間室温静置する。その後、1mlのPBS/E
DTAを残して上清を取り除き、1mlの0.25%トリプシン/P
BSを加え、5〜10分間室温でタッピングあるいはピペッ
ティングしながら組織をよくほぐす。1000rpm,10分間遠
心し、沈殿を2mlのDMEM(10%FCS)に懸濁し、35mmシャ
ーレに播種する。7〜10日の培養後、トリプシン処理に
より細胞をシャーレからはがし、シャーレあたり約104
個の細胞を35mmシャーレ2枚に播種し、うち1枚に終濃
度400μg/mlのG418を加え、5〜7日間培養し、それぞ
れのシャーレの生細胞を観察する。この条件で、野生型
ICRマウス由来の繊維芽細胞は、G418存在下でほぼ100%
死滅する。この結果、2個体共G418耐性の繊維芽細胞の
存在が認められた。
これらの結果より、E14/#4−7、E14/#4−4はマ
ウス個体において種々の正常組織に貢献し、かつヒト4
番染色体部分断片を保持していることが確認された。
(実施例9)マウスES細胞へのヒト14番染色体またはそ
の断片の導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト
14番染色体を保持するマウスA9細胞株(以下A9/#14、
という)を用いた。染色体受容細胞としてはマウスES細
胞株TT2(ライフテックオリエンタル社より購入、Yagi
ら,Analytical Biochem.,214:70,1993)を用いた。TT2
の培養法は〈相沢慎一,バイオマニュアルシリーズ8,ジ
ーンターゲティング,羊土社,1995〉に記された方法に
従い、栄養細胞はマイトマイシンC(シグマ)処理した
G418耐性初代培養細胞(ライフテックオリエンタル社よ
り購入)を用いた。ミクロセル融合実験およびG418耐性
株の選択は(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株
の出現頻度はTT2細胞107個あたり3〜6個であった。薬
剤耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と
同様に行なった。
ヒト14番染色体の断片化はミクロセルにガンマ線照射
することにより行なった(Koiら,Science,260:361,199
3)。約108個のA9/#14より取得したミクロセルを5mlの
DMEMに懸濁し、ガンマセル40(前記)により、氷上で30
Gyのガンマ線を照射した(1.2Gy/分×25分)。ガンマ線
照射したミクロセルを未照射ミクロセルと同様に融合、
薬剤耐性株選抜を行なった結果、薬剤耐性株の出現頻度
はTT2細胞107個あたり3個であった。薬剤耐性株につい
ては(実施例2)と同様にして凍結保存、DNA取得を行
なった。
ガンマ線未照射ミクロセル移入によるG418耐性株1−
4、1−5、ガンマ線(30Gy)照射ミクロセル移入によ
るG418耐性株3−1、3−2計4株におけるヒト14番染
色体または部分断片の保持は以下の(1)、(2)によ
り確認した。
(1)PCR解析(第10図) 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト14番染色体上
に存在する遺伝子(O'Brien,Genetic Maps,6th editio
n,Book 5,Cold Spring Harbor Laboratory Press,199
3)及び多型性マーカー(Polymorphic STS Primer Pair
BIOS社:D14S43,D14S51,D14S62,D14S65,D14S66,D14S67,
D14S72,D14S75,D14S78,D14S81,PCI;Nature 359:794、19
92;Nature Genetics,7:22,1994)の存在をPCR法により
検出した。GenBank、EMBL等のデータベースより入手し
た塩基配列をもとに作製した遺伝子プライマーオリゴヌ
クレオチドの配列を記す。
薬剤耐性株4株のゲノムDNAを鋳型として、上記の18
種のプライマーについて(実施例2)同様にPCR増幅を
行なった結果、全て、あるいは一部のプライマーについ
て期待される増幅産物が確認された。ガンマ線照射した
ミクロセルを用いて得られた薬剤耐性株3−1、3−2
は、14番染色体の一部領域を欠失している傾向が認めら
れた。また、未照射ミクロセルを用いた場合でも1−4
株のごとく欠失がみられるものもあった。以上の結果を
第10図に示す。第10図において、左側にヒト14番染色体
のGバンド像に基づく模式的な染色体地図、また、位置
が明らかになっているいくつかのマーカーについてはど
のバンドに位置するかを示した(実施例2参照)。遺伝
子及び多型性マーカーの並び方は、現在までに入手出来
る情報(実施例2参照)を基に、大まかな位置関係を示
したもので、順序は必ずしも正確ではない。4種のG418
耐性TT2細胞株について、PCRにより期待される増幅産物
が検出されたマーカーは■で、検出されなかったマーカ
ーを□で示した。A9/#14は染色体供与細胞である。右
端には実施例11(1)の結果が示されている。
(2)フルオレッセンスインサイチューハイブリダイゼ
ーション(FISH) FISH解析は(松原ら,FISH実験プロトコール、秀潤
社、1994)に記された方法に従い、ヒト14番染色体特異
的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM,Cambio社)
を用いて行なった。その結果、4株すべてについてほど
んとの分裂像に、ヒト14番染色体あるいはその部分断片
が、独立した染色体として観察された。観察されるヒト
染色体の相対的な大きさは、PCR解析の結果から推測さ
れるそれと一致していた。
以上の実験により、得られたG418耐性株1−4、1−
5、3−1、3−2はヒト14番染色体の全てあるいはそ
の部分断片を保持することが確かめられた。
(実施例10)ヒト14番染色体断片を保持するES細胞から
のキメラマウス作製 (実施例9)で得られ、ヒト14番染色体を保持してい
ることが確認されたG418耐性ES細胞株4株(1−4、3
−1、3−2、1−5)を凍結ストックより立ち上げ、
ICRあるいはMCH(ICR)(日本クレア社)雄雌マウスの
交配により得られた8細胞期胚に胚あたり8〜10個注入
した。ES培地(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生
させた後、偽妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本ク
レア社)の子宮に片側の子宮あたり約10個のインジェク
ション胚を移植した。その結果を(第3表)に示す。
計494個の注入胚を移植した結果、64匹の子マウスが
誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)
由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認め
られるかどうかにより判定される。誕生した64匹のうち
毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞
の貢献の認められる個体は8匹であった。また、最高の
貢献率は1−4由来の1個体における約80%であった。
この結果より、ヒト14番染色体またはその断片を保持
するG418耐性ES細胞株(1−4、1−5、3−1、3−
2)はキメラ形成能を保持している、すなわちマウス個
体の正常組織に分化する能力を保持していることが確認
された。
(実施例11)ヒト14番染色体断片を保持するES細胞由来
キメラマウスにおけるヒト14番染色体断片の保持確認 (実施例10)で得られたキメラマウスにおけるヒト14
番染色体部分断片の保持は以下の(1)〜(3)により
確認した。
(1)各種組織由来DNAを用いたPCR解析 キメラマウスのうち3−1由来の個体(K3−1−1:キ
メラ率約25%)について(実施例4)と同様に尻尾より
ゲノムDNAを調製した。それを鋳型とし、(実施例9)
で示した14番染色体解析用プライマーのうち3−1で検
出された14種全てについてPCR解析を行なった。その結
果、14種すべてについて期待される増幅産物が検出され
た(第10図)。
さらに、同じ個体(K3−1−1)について脳、腎臓、
脾臓、心臓、肝臓、胸腺からPuregene DNA Isolation K
itによりゲノムDNAを取得し、それぞれの組織につい
て、IGMプライマー(実施例9)を用いたPCR解析を行な
った。その結果全ての組織において期待される増幅産物
が確認された(第11図)。PCR産物は2%アガロースゲ
ルにて電気泳動した後、臭化エチジウム染色して検出し
た。第11図において、各レーンは左からB:脳、K:腎臓、
Sp:脾臓、H:心臓、L:肝臓、Th:胸腺、pc:ヒト繊維芽細
胞(HFL−1)DNA(陽性コントロール)、nc:非キメラ
マウス尻尾DNA(陰性コントロール)、M:マーカー(Hin
dIII消化λDNA+HaeIII消化φX174DNA,宝酒造)を示
す。
(2)尻尾由来繊維芽細胞のG418耐性試験 キメラマウスのうち、3−2由来の2個体(K3−2−
1:キメラ率約25%,K3−2−3:キメラ率約50%)、1−
4由来の1個体(K1−4−1:キメラ率約80%)について
尻尾から以下のように繊維芽細胞を調製した。DNA調製
(実施例4)と同様に3〜6週令のキメラマウスの尻尾
を5mm〜10mm切断し、PBS/1mM EDTAで数回洗浄した後、
メスで切れ込みをいれて表皮を除去し、内部の組織をメ
スで細かく切り刻む。組織細片を5mlのPBS/1mM EDTAを
いれたチューブに移し、30分〜1時間室温静置する。そ
の後、1mlのPBS/EDTAを残して上清を取り除き、1mlの0.
25%トリプシン/PBSを加え、5〜10分間室温でタッピン
グあるいはピペッティングしながら組織をよくほぐす。
1000rpm,10分間遠心し、沈殿を2mlのDMEM(10%FCS)に
懸濁し、35mmシャーレに播種する。7〜10日の培養後、
トリプシン処理により細胞をシャーレからはがし、シャ
ーレあたり約104個の細胞を35mmシャーレ4枚に播種
し、うち2枚に400μg/mlのG418を加え、5〜7日間培
養し、それぞれのシャーレの生胞数をカウントする。こ
の条件で、野生型ICRマウス由来の繊維芽細胞は、G418
存在下でほぼ100%死滅する。非選択培地での生細胞数
に対する選択培地での生細胞数の割合は、G418耐性繊維
芽細胞の増殖速度が2つの条件で同等であると仮定すれ
ば、G418耐性ES細胞株由来繊維芽細胞の繊維芽細胞集団
における貢献率を反映していると考えられる。この結
果、(第12図)に示した通り、3個体共G418耐性の繊維
芽細胞の存在が認められた。第12図において、耐性率は
それぞれの個体について2組の選択/非選択35mmシャー
レから得られた値を平均した。ICRは野生型ICRマウスを
示す。
(3)尻尾由来G418耐性繊維芽細胞のFISH解析 (実施例2)と同様な方法で、上記(2)で得られた
G418耐性繊維芽細胞(K3−2−3,K1−4−1由来)のFI
SH解析を行なった。プローブはHFL−1細胞(実施例
1)より抽出したヒト全DNAをFITC標識した(松原ら,FI
SH実験プロトコール,秀潤社,1994)ものを用いた。そ
の結果、2個体共、ほとんどの分裂像に独立したヒト染
色部分断片が観察された。
これらの結果より、ヒト14番染色体部分断片を保持し
たTT2細胞株はマウス個体において種々の正常組織に貢
献し、かつヒト14番染色体部分断片を保持していること
が確かめられた。
(実施例12)ヒト2番染色体部分断片のES細胞への導入 染色体供与細胞として、(実施例1)で得られたヒト
2番染色体部分断片を保持するマウスA9細胞W23(以下A
9/#2 W23、という)を用いた。染色体受容細胞として
はマウスES細胞株TT2(実施例9)を用いた。ミクロセ
ル融合実験およびG418耐性株の選択は(実施例2)と同
様に行なった。薬剤耐性株の出現頻度はTT2細胞107個あ
たり1〜3個であった。薬剤耐性株の凍結保存、ゲノム
DNA取得は(実施例2)と同様に行なった。薬剤耐性株
5−1、5−2、5−3におけるヒト2番染色体部分断
片の保持は以下の(1)、(2)により確認した。
(1)PCR解析 薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト2番染色体上
に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)のうち、染色
体供与細胞A9/#2 W23において検出されたCκ、FABP1
の存在をPCR法により検出した。
各プライマーについてPCR増幅を行なった結果、3株
共に、両方のプライマーについて期待される増幅産物が
確認された。
(2)フルオレッセンスin situハイブリダイゼーショ
ン(FISH) FISH解析は(実施例2)と同様な方法で、ヒト2番染
色体特異的プローブ(CHROMOSOME PAINTING SYSTEM,Cam
bio社)を用いて行なった。その結果、3株すべてのほ
とんどの分裂像において、ヒト2番染色体部分断片が独
立した染色体として検出された。その大きさはA9/#2 W
23で観察されたものと同等であった。
以上の実験により、得られたG418耐性株はヒト2番染
色体部分断片を保持することが確かめられた。
(実施例13)ヒト2番染色体断片を保持するES細胞から
のキメラマウス作製 (実施例12)で得られ、ヒト2番染色体部分断片を保
持していることが確認されたG418耐性ES細胞株5−1を
凍結ストックより立ち上げ、ICRあるいはMCH(ICR)
(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られた8細
胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES培地(実施例
9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠処理
後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側
の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移植した。
キメラ作製の結果を(第4表)に示す。
計264個の注入胚を移植した結果、51匹の子マウスが
誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)
由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認め
られるかどうかにより判定される。誕生した51匹のうち
毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞
の貢献の認められる個体は18匹であった。また、最高の
貢献率は約80%であった。
この結果より、ヒト2番染色体部分断片を保持するG4
18耐性ES細胞(5−1)はキメラ形成能を保持してい
る、すなわちマウス個体の正常組織に分化する能力を保
持していることが確認された。
(実施例14)ヒト14番染色体断片導入キメラマウス血清
におけるヒト抗体重鎖の検出 血清中のヒト抗体濃度をエンザイムリンクドイムノソ
ルベントアッセイ(ELISA)を用いて測定した。ELISAは
以下に記載されている方法に従った。富山・安東、単ク
ローン抗体実験マニュアル、講談社、1987;安東・千
葉、単クローン抗体実験操作入門、講談社、1991;石
川、超高感度酵素免疫測定法、学会出版センター、199
3;Ed Harlow and David Lane,Antibodies A Laboratory
Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988;A.Doyle
and J.B.Griffiths,Cell & Tissue Culture:Laborato
ry Procedures,John Wiley & Sons Ltd.,1996。これら
の文献に記載の方法を参考にして、測定系によっては反
応時間や温度を4℃で終夜行うなどの改良を行った。測
定しようとするヒト免疫グロブリンに対する抗体あるい
は抗原を、0.5から10μg/ml程度に(100から5000倍)に
希釈し、ELISAプレートを4℃で一晩コーティングし
た。血清試料の測定では、ブロッキング、試料および標
識抗体の希釈に5%マウス血清(シグマ、M5905)を添
加したPBSを、ハイブリドーマ培養上清の測定には1%
牛胎児血清を添加したPBSを用いた。20倍にキメラマウ
ス血清を希釈する場合にはPBSを用いて希釈した。コー
ティングしたプレートを洗浄した後、ブロッキングを1
時間以上行った。プレートを洗浄後、試料を加え30分以
上インキュベートした。プレート洗浄後100から5000倍
に希釈した酵素標識抗ヒト免疫グロブリン抗体を加え
て、1時間以上インキュベートした後、プレートを洗浄
し基質液を加えて発色させた。また測定系によって、基
本的には同じ操作で、ビオチン標識した抗体を用い、プ
レート洗浄後これにアビジン−酵素複合体を加えてイン
キュベートした後洗浄し基質液を加えた。マイクロプレ
ートリーダー(バイオテック、EL312e)で吸光度を測定
した。
生後29日から35日のキメラマウス(実施例10、K3−1
−2,K3−2−2,K3−2−3)より採血しELISAで解析し
た。50mMの炭酸−炭酸水素バッファーpH9.6で希釈した
抗ヒトIgMマウスモノクローナル抗体(シグマ,I6385)
を96穴マイクロタイタープレートにコーティングし、マ
ウス血清(シグマ、M5905)を加えたPBSで希釈した血清
試料を加えた。次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgM
ヤギ抗体(Tago,2392)を加えてインキュベートした
後、ABTS基質(Kirkegaard & Perry Laboratories In
c.,506200)の添加により酵素活性を405nmの吸光度で評
価した。精製されたヒトIgM抗体(オルガノン・テクニ
カ,6001−1590)またはヒトIgG抗体(シグマ,I4506)を
標準とした。標準はマウス血清を添加したPBSで段階的
に希釈した。またヒトIgG測定には抗ヒトIgGヤギ抗体
(シグマ,I3382)をプレートに固定し、ペルオキシダー
ゼ標準抗ヒトIgGヤギ抗体(シグマ,A0170)で検出し
た。その結果を(第5表)に示す。ヒトIgMとIgGは共に
検出された。
また生後27日、34日、41日の3回にわたりヒト14番染
色体断片を保持したキメラマウス(実施例10、K3−1−
1,K3−2−1)に、PBSに溶解したヒト血清アルブミン
(HSA,シグマ,A3782)2mlをアジュバント(MPL+TDM Em
ulsion,RIBI Immunohem Reseach Inc.)と混合しその0.
25mg/mlを0.2mlを免疫した。このキメラマウス血清も同
様にELISAによって解析した。その結果を(第13図、第1
4図)に示す。結果は、HSAで免疫したキメラマウス血清
中のヒト抗体濃度は免疫後上昇し、個体K3−1−1では
ヒトIgM18μg/mlとIgG2.6μg/mlが免疫後17日目の血清
中に検出された。ヒト染色体を導入していないマウスの
血清ではヒト抗体の力価は有意ではなかった。
(実施例15)ヒト14番染色体導入キメラマウスからのヒ
ト抗体重鎖産生ハイブリドーマ取得 (実施例14)においてヒトアルブミンで免疫したキメ
ラマウス(K3−1−1,実施例14)から生後44日目に脾臓
を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリド
ーマを作製した。ハイブリドーマの作製法は〈安東、単
クローン抗体実験操作入門、講談社サイエンティフィ
ク,1991〉に記された方法に従い、ミエローマ細胞とし
ては、P3X63−Ag.8.653(大日本製薬より購入、05−56
5)を使用した。96穴プレート10枚にまき込み、1週間
培養後培養上清をELISA法で解析した。ELISA法は抗ヒト
IgMマウスモノクローナル抗体(シグマ、I6385)をプレ
ートに固定化して実施例14と同様に行ない、陽性のクロ
ーンを6個得た。またHSAを抗原とし50mMの炭酸−炭酸
水素バッファーpH9.6で濃度5μg/mlの溶液とし、ELISA
プレートの全ウエルに100μlづつ分注した。ペルオキ
シダーゼで標識した抗ヒトIgA+IgG+IgMヤギ抗体(Kir
kegaard & Perry Laboratories Inc.,04−10−17)を
用いて検出した。プレート10枚中陽性のクローンを1つ
確認した。このクローンは6個のヒトIgM陽性クローン
のうちの1つであった。このクローン(H4B7)をさらに
培養し、培養上清を希釈しHSAを抗原として上述のよう
にペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgMヤギ抗体(Tago,239
2)を用いてELISAを行なったところ、培養上清の希釈率
の増加にともなって吸光度の減少が認められた。一方ヒ
トIgM(オルガノン・テクニカ,600−1590)を培地によ
って2μg/mlに希釈した試料では希釈率によらず吸光度
は低かった。これはハイブリドーマH4B7が生産する抗体
がHSAに特異性のある抗体であることを示唆するもので
ある(第15図)。第15図において、横軸は培養上清試料
の希釈率を縦軸は405nmにおける吸光度を示した。
(実施例16)G418耐性マーキングされたヒト2番染色体
断片のピューロマイシン耐性による再マーキング G418耐性で標識されたヒト2番染色体断片を保持する
A9細胞(W23)(実施例1、第1図参照)を100mmシャー
レでG418(800μg/ml)を含む選択培地(10%FBS、DME
M)で培養した。ピューロマイシン耐性遺伝子を含むプ
ラスミドpPGKPuro(WHITEHEAD INSTITUTE,Dr.Peter W.L
airdから分与)をトランスフェクション前に制限酵素Sa
ll(宝酒造)で線状化した。細胞をトリプシン処理し、
5x106個/mlとなるようにダルベッコのリン酸バッファー
(PBS)に懸濁してから10μgDNA存在下でジーンパルサ
ー(バイオラッド)を用いてエレクトロポレーション
(実施例1参照)を行なった。25μFの容量で1000Vの
電圧を4mm長のエレクトロポレーションセル(実施例
1)を用いて室温で印加した。エレクトロポレーション
した細胞を100mmシャーレ3〜6枚に播種した。1日後
に10μg/mlのピューロマイシン(シグマ,P−7255)およ
びG418(800μg/ml)を含む二重選択培地と置き換え
た。2〜3週間後に生じたコロニー200個程度を一つの
集団としてまとめた。この細胞を3つの集団についてそ
れぞれ25cm2フラスコ2〜3本中で培養し、ミクロセル
を形成させ25cm2フラスコで培養したマウスA9細胞と実
施例1と同様に融合した。100mmシャーレ2枚に移しG41
8とピューロマイシンを含む上記の二重選択培地で培養
し、3つの集団のうち1つの集団から2つの二重薬剤耐
性クローンが得られた。このクローンではヒト2番染色
体断片にピューロマイシン耐性マーカーが導入された可
能性が高い。
(実施例17)ヒト染色体導入ES細胞における導入ヒト染
色体倍加 G418耐性遺伝子でマーキングされたヒト14番染色体断
片を保持するES細胞株(E14/#14−36)を、高濃度のG4
18を添加した培地中で培養することにより、ヒト染色体
が倍化したES細胞のクローンを取得した(バイオマニュ
アルシリーズ8、ジーンターゲティング、羊土社、199
5)。G418耐性マウス初代細胞(ライフテックオリエン
タルより購入)をマイトマイシン処理することなく100m
mシャーレに播種し栄養細胞とした。この100mmシャーレ
にE14/#14−36を播種し、半日後G418濃度16mg/mlの培
地と交換した。1〜2日毎に培地交換し1週間後にG418
濃度を10mg/mlとして培養を続け、生じたコロニーの中
から15個を取り出し培養し、染色体をヒト14番特異的プ
ローブ(実施例9参照)を用いてFISH解析した。結果と
して8クローンでヒト14番染色体断片が倍化していた。
(実施例18)ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部
分断片を同時に保持するマウスES細胞株の取得 (実施例16)において取得した二重薬剤耐性クローン
のうちPG1をミクロセル供与細胞、野生型A9細胞を受容
細胞としたミクロセル移入実験により、PG1が保持する
ヒト2番染色体部分断片がさらにピューロマイシン耐性
遺伝子によりマーキングされていることを確認した。ミ
クロセル取得及びA9細胞との融合は(実施例1)と同様
に行なった。その結果、ミクロセル融合10日後に計59個
のG418耐性コロニーが出現した。これらのコロニーにつ
いて8μg/mlのピューロマイシンを含む培地に交換後、
さらに3日間培養したところ、45個(76%)のコロニー
が生存した。ミクロセル法においては、1つの受容細胞
に、多くの場合1本あるいは少数の染色体のみが移入さ
れることから、両耐性遺伝子が高率に同時に移入される
ことは、すなわち、PG1が保持するG418耐性標識された
ヒト2番染色体部分断片がピューロマイシン耐性遺伝子
によりマーキングされていることを示している。さら
に、ヒト2番染色体部分断片上の各マーカー遺伝子検出
のため、A9/#2 W23(G418耐性のみ:実施例16)につい
てはpSTneoB(実施例1)、PG1についてはpPGKPuro(実
施例16)をプローブとしたFISH解析を行なった(松原
ら,FISH実験プロトコール,秀潤社,1994)。その結果、
A9/#2 W23では(実施例12)で確認されたヒト2番染色
体部分断片のそれぞれの姉妹染色分体上に1個づつ、計
2個のシグナルが観察された。これは、ヒト2番染色体
部分断片上の1箇所にpSTneoBが挿入されていることを
示す。また、PG1では同等の大きさの染色体断片上に計
4個のシグナルが観察された。pSTneoBとpPGKPuroはベ
クター部分で相同の配列を持つので、pPGKPuroプローブ
ではpSTneoBも検出される。すなわち、PG1で観察された
4個のシグナルのうち、2個はpSTneoB、一方の2個はp
PGKPuro由来のシグナルと考えられる。この結果より、P
G1が保持するヒト2番染色体部分断片は、G418耐性、ピ
ューロマイシン耐性両者によりマーキングされているこ
とが確認された。
ヒト2番染色体部分断片、14番染色体部分断片を同時
に保持するマウスES細胞取得のため、染色体供与細胞と
してこのPG1細胞株を用いた。染色体受容細胞としては
すでにヒト14番染色体部分断片を保持しているG418耐性
TT2細胞株1−4(実施例9)を用いた。ミクロセル融
合実験およびピューロマイシン耐性株の選択は0.75μg/
mlのピューロマイシン濃度で他は(実施例9)のG418耐
性株選択の場合と同様に行なった。この結果出現したピ
ューロマイシン耐性株の出現頻度は1−4細胞107個あ
たり3〜7個であった。これらのピューロマイシン耐性
株は300μg/mlのG418存在下でも増殖することからG418
耐性も同時に保持していることが確認された。二重薬剤
耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同
様に行なった。ヒト2番染色体部分断片及び、ヒト14番
染色体部分断片の保持は二重薬剤耐性株PG5、PG15、PG1
6については以下の(1)により、PG15についてはさら
に(2)により確認した。
(1)PCR解析 二重薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト2番、14
番染色体上に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)の
うち、2番染色体については(実施例12;A9/#2 W2
3)、14番染色体については(実施例9;TT2/#14 1−
4)で存在が確認されている各プライマーについてPCR
増幅を行なった結果、3株共に、全てのプライマーにつ
いて期待される増幅産物が確認された。
(2)フルオレッセンスin situハイブリダイゼーショ
ン(FISH) FISH解析は(実施例11)と同様に、ヒト全DNAをFITC
標識したものをプローブとして用いて行なった。その結
果、ほとんどの分裂像において、大小2つのヒト染色体
断片が確認された。大きい方は(実施例9;TT2/#14 1−
4)でヒト14番染色体特異的プローブにより確認された
部分断片と、小さい方は(実施例12;TT2/#2 5−1)で
ヒト2番染色体特異的プローブにより確認された部分断
片と同等の大きさであった。(第16図)にその結果を示
す。図中輝度の低い染色体はマウス由来のもの、FITCの
蛍光により輝度の高い大小2つの染色体断片(矢印にて
指示)はヒト由来のものであり、それぞれヒト14番、2
番染色体部分断片と考えられる。
以上の実験により、得られた二重耐性ES細胞株はヒト
2番染色体部分断片、14番染色体部分断片を同時に保持
することが確かめられた。
(実施例19)ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部
分断片を同時に保持するマウスES細胞株からのキメラマ
ウス作製 (実施例18)で得られ、ヒト2番染色体部分断片及び
14番染色体部分断片を保持していることが確認されたG4
18、ピューロマイシン二重耐性TT2細胞株PG5、PG15、PG
16を凍結ストックより立ち上げ、ICRまたはMCH(ICR)
(日本クレア社)雌雄マウスの交配により得られた8細
胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地(実
施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠
処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に
片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移植し
た。
キメラ作製の結果を(第6表)に示す。
計551個の注入胚を移植した結果、73匹の子マウスが
誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)
由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認め
られるかどうかにより判定される。誕生した73匹のうち
毛色に明らかに野生色の部分のある、すなわち、ES細胞
の貢献の認められる個体は23匹であった。
この結果より、ヒト2番染色体部分断片及び14番染色
体部分断片を保持するES細胞株(PG5、PG15、PG16)は
キメラ形成能を保持している、すなわちマウス個体の正
常組織に分化する能力を保持していることが確認され
た。
(実施例20)ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部
分断片を同時に保持するES細胞由来キメラマウス血清に
おけるヒト抗体の検出 (実施例19)で作製したキメラマウスのうち、KPG−1
5(9週齢;PG5由来、キメラ率10%)、KPG−18(5週
齢;PG5由来、キメラ率10%)の2匹に対して、PBSに溶
解したヒト血清アルブミン(HSA、シグマ、A3782)とア
ジュバント(MPL+TDM Emulsion、RIBI Immunochem Res
each Inc.)とを混合して0.25mg/mlのHSA溶液を調整し
0.2mlを免疫した。免疫直前、及び8日後のキメラマウ
スより採血し、血清中のヒト抗体μ鎖およびヒト抗体κ
鎖をELISA法を用いて検出した(実施例14参照)。50mM
の炭酸−炭酸水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒト抗
体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABORATORIES,INC.、AI−306
0)を96穴マイクロタイタープレートにコーティング
し、血清試料を加え、次いでビオチン標識抗ヒト抗体κ
鎖ヤギ抗体(VECTOR LABORATORIES,INC.、BA−3060)を
加えてインキュベートしさらにビオチン化ワサビペルオ
キシダーゼとアビジンDHの複合体(VECTOR LABORATORIE
S,INC.、Vectastain ABCキットPK4000)を加えてインキ
ュベートした後、ペルオキシダーゼ基質として3,3)′,
5,5′−テトラメチルベンチジン(TMBZ、住友ベークラ
イト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光
度で評価した。精製されたκ鎖を持つ濃度既知のヒトIg
G(シグマ、I−3889)を標準としマウス血清を添加し
たPBSで段階的に希釈した。μ鎖については50mMの炭酸
−炭酸水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒトμ鎖マウ
スモノクローナル抗体(シグマ、I−6385)を96穴マイ
クロタイタープレートにコーティングし、血清試料を加
え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトμ鎖マウス抗体
(The Binding Site Limited、MP008)を加えてインキ
ュベートした後、TMBZ(住友ベークライト、ML−1120
T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価した。
精製されたμ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM(オルガノン
・テクニカ、6001−1590)を標準としマウス血清(シグ
マ、M5905)を添加したPBSで段階的に希釈した。その結
果、2個体とも免疫前においてヒト抗体μ鎖、κ鎖両者
が検出され、その血清中濃度は、免役後上昇した(第7
表、第8表)。
この結果より、ヒト2番染色体部分断片及び14番染色
体部分断片を保持するES細胞由来キメラマウスにおいて
ヒト抗体重鎖、軽鎖遺伝子は機能することが確認され
た。
(実施例21)ヒト14番染色体断片導入キメラマウス血清
における抗HSAヒト抗体γ鎖の検出 (実施例10)と同様にして作製したヒト14番染色体断
片を保持したキメラマウス(K9、K11;共にTT2細胞株3
−2由来、キメラ率はそれぞれ50%、30%)に対して、
生後79日、93日、107日、133日の4回(K9)、または生
後74日、88日、111日(K11)の3回にわたり(実施例2
0)と同様にHSAを免疫した。このキメラマウス血清中の
ヒト血清アルブミンに対するヒトγ鎖を含む抗体をELIS
A法によって検出した(実施例14参照)。50mMの炭酸−
炭酸水素バッファーpH9.6で希釈したHSA(シグマ、A378
2)を96穴マイクロタイタープレートにコーティング
し、試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトIg
Gマウス抗体(ファーミンジェン、08007E)を加えてイ
ンキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質として0−
フェニレンジアミン(OPD、住友ベークライト、ML−113
00)の添加により酵素活性を490nmの吸光度で評価し
た。HSAで免役したキメラマウス血清中の抗HSAヒトIgG
の力価は免役後上昇した。対照ICRマウスでは、HSA免役
後の抗HSAヒトIgGの力価はバックグランドレベルであっ
た。結果を(第17図)に示した。第17図において横軸は
キメラマウスにHSAを免疫してからの日数を、縦軸は490
nmにおける吸光度を示した。この結果より、ヒト14番染
色体部分断片を保持するキメラマウスにおいて、HSA抗
原刺激に対して抗原特異的ヒトIgGの抗体価上昇が起こ
ることが確認された。
(実施例22)ヒト22番染色体断片導入キメラマウス血清
におけるヒト抗体λ鎖の検出 9ヶ月齢のキメラマウス(実施例3、K22−7;キメラ
率10%)より採血し、血清中のヒト抗体λ鎖をELISA法
を用いて検出した(実施例14参照)。50mMの炭酸−炭酸
水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒト抗体λ鎖ヤギ抗
体(VECTOR LABORATORIES,INC.、AI−3070)を96穴マイ
クロタイタープレートにコーティングし、血清試料を加
え、次いでビオチン標識抗ヒト抗体λ鎖ヤギ抗体(VECT
OR LABORATORIES,INC.、BA−3070)を加えてインキュベ
ートしさらにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビ
ジンDHとの複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectas
tain ABCキットPK4000)を加えてインキュベートした
後、ペルオキシダーゼ基質としてTMBZ(住友ベークライ
ト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度
で評価した。精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒトIgG
(シグマ、I−4014)を標準としマウス血清を添加した
PBSで段階的に希釈した。180ng/mlのヒトIgGに相当する
濃度のヒト抗体λ鎖がキメラマウス中に検出された。こ
の結果より、ヒト22番染色体を保持するキメラマウスに
おいてヒト抗体λ鎖遺伝子が機能することが確認され
た。
(実施例23)ヒト2番染色体断片導入キメラマウス血清
におけるヒト抗体κ鎖の検出 5週齢のキメラマウス(実施例13、K2−8、キメラ率
は70%)および9週齢のキメラマウス(実施例13、K2−
3、K2−4、K2−12、キメラ率はそれぞれ50%、20%、
80%)より採血し、血清中のヒト抗体κ鎖をELISA法を
用いて検出した(実施例14)。50mMの炭酸−炭酸水素バ
ッファーpH9.6で希釈した抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VEC
TOR LABORATORIES,INC.、AI−3060)を96穴マイクロタ
イタープレートにコーティングし、血清試料を加え、次
いでビオチン標識抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LAB
ORATORIES,INC.、BA−3060)を加えてインキュベートし
さらにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDH
の複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABC
キット)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベ
ークライト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nm
の吸光度で評価した。精製されたκ鎖を持つ濃度既知の
ヒトIgG(シグマ、I−3889)を標準としマウス血清を
添加したPBSで段階的に希釈した。結果を(第9表)に
示した。
またヒト2番染色体断片を保持したキメラマウス(実
施例13、K2−3、およびK2−4)に生後66日、80日、10
2日の3回にわたり(実施例20)と同様にHSAを免疫し
た。またキメラマウス(K2−12)に生後63日、77日、91
日、116日の4回にわたり、このキメラマウス血清中のH
SAに対するヒト抗体κ鎖をELISA法によって検出した
(実施例14参照)。50mMの炭酸−炭酸水素バッファーpH
9.6で希釈したHSA(シグマ、A3782)を96穴マイクロタ
イタープレートにコーティングし、試料を加え、次いで
ビオチン標識抗ヒト抗体κ鎖ヤギ抗体(VECTOR LABORAT
ORIES,INC.、BA−3060)を加えてインキュベートしさら
にビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHの複
合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキッ
ト)を加えてインキュベートした後、ペルオキシダーゼ
基質としてOPD(住友ベークライト、ML−1130O)の添加
により酵素活性を490nmの吸光度で評価した。HSAで免役
したキメラマウス血清中の抗体HSAヒトκ鎖の力価は免
疫後上昇した。一方対照ICRマウスでは、HSA免役後の抗
HSAヒト抗体κ鎖の力価はバックグランドレベルであっ
た。結果を(第18図)に示した。第18図において横軸は
キメラマウスにHSAを初めて免疫してからの日数を、縦
軸は490nmにおける吸光度を示した。これらの結果よ
り、ヒト2番染色体部分断片を保持するキメラマウスに
おいてヒト抗体κ鎖遺伝子が機能し、さらにはHSA抗原
刺激に対して抗原特異的ヒトIgκの抗体価上昇が起こる
ことが確認された。
(実施例24)ヒト14番染色体導入キメラマウスからのヒ
ト抗体重鎖(μ鎖もしくはγ鎖)産生ハイブリドーマ取
得 (実施例21)においてHSAで免疫したキメラマウスK9
から生後136日目に脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と
細胞融合し、ハイブリドーマを作製した。ハイブリドー
マの作製法は〈安東・千葉、単クローン抗体実験操作入
門、講談社サイエンティフィク,1991〉に記された方法
に従い、ミエローマ細胞としては、Sp−2/O−Ag14(大
日本製薬、05−554)を使用した。培養液にORIGEN Hybr
idoma Cloning Factor(HCF、ボクスイ・ブラウン)を1
0%添加し96穴プレート8枚にまき込み、3日後に培養
液中にG418を1mg/ml添加した。1〜3週間培養後の培養
上清をELISA法で解析した(実施例14参照)。μ鎖は50m
Mの炭酸−炭酸水素バッファーpH9.6で希釈した抗ヒトμ
鎖マウスモノクローナル抗体(シグマ、I−6385)を96
穴マイクロタイタープレートにコーティングし、PBSで
希釈した試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒ
トμ鎖マウス抗体(The Binding Site Limited、MP00
8)を加えてインキュベートした後、基質として2,2−ア
ジノジ−(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン
酸)ジアンモニウム塩(ABTS、Kirkegaard&Perry Labo
ratories Inc.、04−10−17)を用いて検出し7個の陽
性ウェルを得た。γ鎖については抗ヒトγ鎖マウスモノ
クローナル抗体(シグマ、I−6260)を96穴マイクロタ
イタープレートにコーティングし、PBSで希釈した試料
を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトγ鎖マウス
抗体(ファーミンジェン、08007E)を加えてインキュベ
ートした後、ABTS(Kirkegaard & Perry Laboratories
Inc.、04−10−17)を用いて検出し2個のヒト抗体γ
鎖陽性ウェルを得た。
(実施例25)ヒト2番染色体導入キメラマウスからのヒ
ト抗体軽鎖産生ハイブリドーマ取得 (実施例23)においてHSAで免役したキメラマウスK2
−3から生後105日目に脾臓を取り出し、ミエローマ細
胞と細胞融合し、ハイブリドーマを作製した。ハイブリ
ドーマの作製法は〈安東・千葉、単クローン抗体実験操
作入門、講談社サイエンティフィク,1991〉に記された
方法に従い、ミエローマ細胞としては、P3X63Ag8.653
(大日本製薬、05−565)を使用した。培養液にHCF(ボ
クスイ・ブラウン)を10%添加し96穴プレート10枚にま
き込み、3日後培養液中にG418を1mg/ml添加し、1〜3
週間培養しコロニーが出現したウェルの培養上清をELIS
A法で解析した。ELISA法は(実施例23)と同様に行な
い、ヒト抗体κ鎖陽性のクローンを2個得た。
(実施例26)G418耐性マーキングされたヒト22番染色体
のピューロマイシン耐性による再マーキング G418耐性で標識されたヒト22番染色体を保持するA9細
胞(A9/#22γ2;実施例1で取得)について、(実施例1
6と同様な方法でヒト22番染色体のピューロマイシン耐
性による再マーキングを行った。γ2細胞にpPGKPuroを
エレクトロポレーションして得られた二重薬剤耐性株コ
ロニー200個程度を一つの集団とし、3つの集団(P1、P
2、P3)を供与細胞として野生型マウスA9細胞へのミク
ロセル移入を行なった。その結果、P1より6個、P2より
1個、P3より3個の二重薬剤耐性クローンが得られた。
取得した二重薬剤耐性クローンのうちP3由来の6−1を
ミクロセル供与細胞、野生型A9細胞を受容細胞としたミ
クロセル移入実験により、ヒト22番染色体がさらにピュ
ーロマイシン耐性遺伝子によりマーキングされているこ
とを確認した(実施例18)。ミクロセル取得及びA9細胞
との融合は(実施例1)と同様に行なった。その結果、
ミクロセル移入11日後に28個のG418耐性コロニーが出現
した。これらのコロニーについて8μg/mlのピューロマ
イシンを含む培地に交換した後、さらに3日間培養した
ところ、21個(75%)のコロニーが生存した。ミクロセ
ル法においては、1つの供与細胞に、多くの場合1本あ
るいは少数の染色体のみが移入されることから、両耐性
遺伝子が高率に同時に移入されることは、すなわち、6
−1が保持するG418耐性標識されたヒト22番染色体がさ
らにピューロマイシン耐性遺伝子によりマーキングされ
ていることを示している。
(実施例27)ヒト抗体重鎖を産生するハイブリドーマか
らのヒト抗体重鎖可変領域cDNAの取得及び塩基配列決定 (実施例15)において取得されたヒト抗体重鎖(Ig
M)を産生するハイブリドーマのうち、H4B7(HSA特異
的)及びH8F9(非特異的)より、ISOGEN(ニッポンジー
ン)を使用して、総RNAを取得した。cDNAの合成は、Rea
dy−To−Go T−primed 1st strandキット(Pharmacia
社)を用い各々5μgの総RNAを使用した。得られたcDN
Aについて下記に示したプライマー(Larrickら,BIO/TEC
HNOLOGY,7,934−,1989、Wordら,Int.Immunol.,1,296−,
1989を参考に作製)によりPCRを行ない、ヒト抗体重鎖
可変領域を増幅した。
*( )はその位置の塩基が( )内のいずれかからな
る混合物であることを示す。
H4B7、H8F9共に、1回目のPCRはHS1×CM1、HS2×CM
1、HS3×CM1の3種のプライマーの組み合わせについて
行い(94℃1分、50℃2分、72℃3分、40サイクル、パ
ーキンエルマー社、サーマルサイクラー140使用)、そ
のPCR産物をそれぞれHS1×CM2、HS2×CM2、HS3×CM2の
プライマーで再度増幅した(温度条件は前記同様、30サ
イクル)。増幅産物は1.5%アガロース電気泳動後、臭
化エチジウム染色することにより検出した。その結果、
H4B7についてはHS3×CM2のプライマーで約490bpの増幅
産物が確認された。また、H8F9については、HS3×CM2プ
ライマーで微かなバンドが同様の位置に確認されたので
このプライマーで再度増幅した(温度条件は前記同様、
30サイクル)。その結果、増幅産物は非常に強いシグナ
ルとして検出された。これらのPCR産物は、石田ら(遺
伝子発現実験マニュアル、講談社サイエンティフィク、
1995)の方法に従い、pBlueScriptII SK+(Stratagene
社)ベクターのSmaI部位にクローニングした。増幅産物
の挿入されたプラスミドのうち#2、#3、#4(H4B
7)、#11、#13、#14(H8F9)について、自動蛍光シ
ーケンサー(Applyed Bio System社)により、増幅産物
の塩基配列を決定した。得られた塩基配列及び予想され
るアミノ酸配列をすでに報告されているヒト抗体VH領域
(Markら、Eur.J.Immunol.21,985−,1991)、JH領域(R
avetchら,Cell,27,583−,1981)の配列と比較した結
果、H4B7、H8F9共に、VH4ファミリー、JH2の組み合わせ
からなることが判明した。この結果は、ヒト14番染色体
部分断片を保持するキメラマウスにおいて、完全な機能
的ヒト抗体重鎖蛋白質が産生されていることを示してい
る。
(実施例28)ヒト抗体κ鎖を発現するキメラマウス脾臓
からのヒト抗体κ鎖cDNAの取得と塩基配列決定 (実施例13)において取得され、(実施例23)におい
てヒト抗体κ鎖を発現することが確認されたキメラマウ
スK2−8の脾臓より(実施例5)と同様な方法で合成し
たcDNAについて、下記のプライマー(Larrickら,BIO/TE
CHNOLOGY,7,934−,1989、Whitehurstら,Nucleic Acids
Res.,20,4929−,1992を参考に作製)によりPCRを行な
い、ヒトκ鎖可変領域を増幅した。陰性コントロールと
してK2−8より取得した肝臓由来cDNA及び、(実施例1
0)のTT2/#14 3−2由来キメラマウスK3−2−2より
取得した脾臓由来cDNAを用いた *( )はその位置の塩基が( )のいずれかからなる
混合物であることを示す。
PCRはKVMIX×KC2、KVMIX×KC3プライマーの組み合わ
せで94℃15秒、55℃15秒、72℃20秒、40サイクル(パー
キンエルマー社、サーマルサイクラー9600使用)の条件
で行なった。増幅産物は1.5%アガロース電気泳動後、
臭化エチジウム染色することにより検出した。その結
果、両者の組み合わせ共に、期待される約420bps(KC
2)、約450bps(KC3)の長さの増幅産物が検出された。
一方、2種の陰性コントロールでは特異的増幅産物は検
出されなかった。これらの増幅産物は、石田ら(遺伝子
発現実験マニュアル、講談社サイエンティフィク、199
5)の方法に従い、pBlueScriptII SK+(Stratagene
社)ベクターのSmaIあるいはEcoRV部位にクローニング
した。増幅産物の挿入されたプラスミドのうちKVMIX×K
C2由来のVK−#1クローン1種類について、自動蛍光シ
ーケンサー(Applyed Bio System社)により、増幅産物
の塩基配列を決定した。得られた塩基配列はヒトIgκ鎖
の開始コドンから定常領域に至るまで終始コドンを含ま
ないので、クローニングされた増幅産物は機能的ヒトIg
κ鎖可変領域をコードしていると考えられる。また、す
でに報告されているヒト抗体Vκ領域(Kleinら、Eur.
J.Immunol.,23,3248−,1993)、Jκ領域(Whitehurst
ら、前記)の塩基配列と比較した結果、Vκ3ファミリ
ー、Jκ4の組み合わせからなることが判明した。この
結果は、ヒト2番染色体部分断片を保持するキメラマウ
スにおいて、完全な機能的ヒト抗体κ鎖蛋白質が産生さ
れていることを示している。
(実施例29)ヒト14番染色体断片を保持するキメラマウ
スの血清中のヒト抗体γ鎖サブクラスおよびμ鎖の検
出、および定量 (実施例10)の生後11週齢のキメラマウス(K15Aおよ
びK16A;1−4由来、キメラ率70、50%)より採血し、血
清中のヒト抗体γ鎖サブクラス濃度を(実施例14)に従
いELISA法を用いて検出した。
[ヒトIgG1の測定]抗体ヒトIgG抗体(シグマ、I−626
0)をPBSで希釈し、96穴マイクロタイタープレートをコ
ーティングした。血清試料を加え、次いでペルオキシダ
ーゼ標識した抗ヒトIgG1抗体(ファーミンジェン、0802
7E)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベーク
ライト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸
光度で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG1(シグ
マ、I−3889)を標準としマウス血清を添加したPBSで
段階的に希釈した。
[ヒトIgG2の測定]抗ヒトIgG2抗体(シグマ、I−951
3)をPBSで希釈し、96穴マイクロタイタープレートをコ
ーティングした。血清試料を加え、次いでペルオキシダ
ーゼ標識した抗ヒトIgG抗体(シグマ、A−0170)を加
えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベークライト、
ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評
価した。精製された濃度既知のヒトIgG2(シグマ、I−
4139)を標準としマウス血清を添加したPBSで段階的に
希釈した。
[ヒトIgG3の測定]抗ヒトIgG3抗体(シグマ、I−726
0)を100mMグリシン塩酸バッファーpH2.5で希釈し5分
間室温で放置した後、100mMリン酸バッファーpH7.0で10
倍に希釈し、96穴マイクロタイタープレートをコーティ
ングした。血清試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標
識した抗ヒトIgG抗体(ファーミンジェン、08007E)を
加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベークライ
ト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度
で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG3(シグマ、
I−4389)を標準としマウス血清を添加したPBSで段階
的に希釈した。
[ヒトIgG4の測定]抗ヒトIgG4抗体(シグマ、I−763
5)を100mMグリシン塩酸バッファーpH2.5で希釈し5分
間室温で放置した後、100mMリン酸バッファーpH7.0で10
倍に希釈し、96穴マイクロタイタープレートをコーティ
ングした。血清試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標
識した抗ヒトIgG抗体(ファーミンジェン、08007E)を
加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベークライ
ト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度
で評価した。精製された濃度既知のヒトIgG4(シグマ、
I−4639)を標準としマウス血清を添加したPBSで段階
的に希釈した。
[ヒトIgMの測定]μ鎖についてはPBSで希釈した抗ヒト
μ鎖マウスモノクローナル抗体(シグマ、I−6385)を
96穴マイクロタイタープレートにコーティングし、血清
試料を加え、次いでペルオキシダーゼ標識抗ヒトμ鎖マ
ウス抗体(The Binding Site Limited、MP008)を加え
てインキュベートした後、ペルオキシダーゼ基質として
TMBZ(住友ベークライト、ML−1120T)の添加により酵
素活性を450nmの吸光度で評価し、精製されたμ鎖を持
つ濃度既知のヒトIgM(オルガノン・テクニカ、6001−1
590)を標準としマウス血清(シグマ、M5905)を添加し
たPBSで段階的に希釈した。
結果を表10に示す。キメラマウスK15AとK16Aの2個体
でIgG1,IgG2,IgG3,IgG4のすべてのサブクラスおよびIgM
が検出された。
(実施例30)ヒト22番染色体を保持するマウスES細胞株
(TT2)の取得 ヒト22番染色体を保持するマウスE2細胞(TT2)取得
のため、染色体供与細胞として(実施例26)で取得した
6−1(A9/#22,G418,ピューロマイシン耐性)細胞株
を用いた。染色体受容細胞としては野生型TT2細胞株
(実施例9)を用いた。ミクロセル融合実験およびピュ
ーロマイシン耐性株の選択は0.75μg/mlのピューロマイ
シン濃度で他は(実施例9)のG418耐性株選択の場合と
同様に行なった。この結果出現したピューロマイシン耐
性株の出現頻度はTT2細胞107あたり1〜2個であった。
ピューロマイシン耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は
(実施例2)と同様に行なった。ヒト22番染色体の保持
はピューロマイシン耐性株PG22−1について以下の
(1)、(2)により確認した。
(1)PCR解析 ピューロマイシン耐性株ゲノムDNAを鋳型としてヒト2
2番染色体上に存在する遺伝子(Genetic Maps,前記)の
うち、(実施例2;A9/#22)で存在が確認されている10
種のプライマーについてPCR増幅を行なった結果、(実
施例2;A9/#22)に存在した全てのマーカーが検出され
た。
(2)サザンブロット解析(実施例2)で示した方法に
従い、ヒトL1配列をプローブとして用い、陰性コントロ
ール野生型TT2、染色体供与細胞6−1、ピューロマイ
シン耐性TT2細胞株PG22−1由来のゲノムDNAについて行
った。その結果を(第19図)に示す。図中左側にDNA分
子量を示した。PG22−1におけるバンドパターンは6−
1のそれと一致し、シグナル強度も同程度であることか
ら、6−1細胞株中の22番染色体は確かにPG22−1に移
入されたことが確認された。
以上の実験によりピューロマイシン耐性TT2細胞株PG2
2−1はヒト22番染色体の全てあるいは大部分を保持す
ることが確認された。
(実施例31)ヒト22番染色体を保持するマウスES細胞株
(TT2)からのキメラマウス作製 (実施例30)で得られ、ヒト22番染色体を保持してい
ることが確認されたピューロマイシン耐性TT2細胞株PG2
2−1を凍結ストックより立ち上げ、ICRまたはMCH(IC
R)(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得られた
8細胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地
(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽
妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子
宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移
植した。
キメラ作製の結果を(第11表)に示す。計266個の注
入胚を移植した結果、36匹の子マウスが誕生した。キメ
ラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)由来の白色の中
にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認められるかどうか
により判定される。誕生した36匹のうち毛色に明らかに
野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢献の認めら
れる個体は8匹であった。
この結果より、ヒト22番染色体を保持するES細胞株
(TT2由来、PG22−1)はキメラ形成能を保持してい
る、すなわちマウス個体の正常組織に分化する能力を保
持していることが確認された。
(実施例32)ヒト22番染色体を保持するキメラマウスの
血清中のヒト抗体λ鎖の検出、および定量 (実施例31)のキメラマウスKPG22−1〜3の血清中
のヒト抗体濃度を(実施例14)に従いELISA法を用いて
定量した。生後2ヶ月のキメラマウスより採血し、血清
中のヒト抗体λ鎖をELISA法を用いて検出した。PBSで希
釈した抗ヒト免疫グロブリンλ鎖抗体(VECTOR LABORAT
ORIES,INC.、IA−3070)を96穴マイクロタイタープレー
トにコーティングし、血清試料を加え、次いでビオチン
標識した抗ヒト免疫グロブリンλ鎖抗体(VECTOR LABOR
ATORIES,INC.、BA−3070)を加えてインキュベートしさ
らにビオチン化ワサビペルオキシダーゼとアビジンDHの
複合体(VECTOR LABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキ
ット)を加えてインキュベートした後、TMBZ(住友ベー
クライト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの
吸光度で評価し、精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒト
IgM(大日本製薬、U13200)を標準としマウス血清を添
加したPBSで段階的に希釈した。結果を第12表に示す。
この結果より22番染色体を保持するキメラマウスにおい
てヒト抗体λ鎖遺伝子が機能することが確認された。
(実施例33)ヒト22番染色体導入キメラマウス血清にお
ける抗ヒトHSAヒト体λ鎖の検出 キメラマウス(実施例31、KPG22−3)に生後79日、9
4日、110日の3回にわたり(実施例20)と同様にHSAを
免疫した。血清中のヒト抗体λ鎖を(実施例14)に従い
ELISA法を用いて検出した。50mMの炭酸−炭酸水素バッ
ファーpH9.6で5μg/mlに希釈したHSA(シグマ、A378
2)を96穴マイクロタイタープレートにコーティング
し、血清試料を加え、次いでビオチン標識した抗ヒト免
疫グロブリンλ鎖抗体(VECTOR LABORATORIES,INC.、BA
−3070)を加えてインキュベートしさらにビオチン化ワ
サビペルオキシダーゼとアビジンDHの複合体(VECTOR L
ABORATORIES,INC.、Vectastain ABCキット)を加えてイ
ンキュベートした後、TMBZ(住友ベークライト、ML−11
20T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度で評価し
た。HSAで免疫したキメラマウス血清中の抗HSAヒトλ鎖
の力価は免疫後上昇した。一方対照としたICRマウスで
は、HSA免役後の抗HSAヒト抗体λ鎖の力価はバックグラ
ンドレベルであった。結果を(第20図)に示す。第2図
において横軸はキメラマウスに初めてHSAを免疫してか
らの日数を、縦軸は450nmにおける吸光度を示した。こ
れらの結果より、ヒト22番染色体を保持するキメラマウ
スにおいてヒト抗体λ鎖遺伝子が機能し、さらにはHSA
抗原刺激に対して抗原特異的ヒトIgλの抗体価上昇が起
こることが確認された。
(実施例34)ヒト22番染色体導入キメラマウスからのヒ
ト抗体軽産生ハイブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例33)においてヒトアル
ブミンで免疫したキメラマウスKPG22−3から生後113日
目に脾臓を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハ
イブリドーマを作製した。ハイブリドーマの作製法は
〈安東・千葉、単クローン抗体実験操作入門、講談社サ
イエンティフィク,1991〉に記された方法に従い、ミエ
ローマ細胞としては、SP−2/O−Ag14(大日本製薬、05
−554)を使用した。培養液にHCF(エア・ブラウン)を
10%添加し96穴プレート5枚にまき込み、1〜3週間培
養しコロニーが出現したウェルの培養上清をELISA法で
解析した。ELISA法は(実施例33)と同様に行ない、ヒ
ト抗体λ鎖陽性のクローンを4個得た。
(実施例35)ヒト22番染色体部分断片及び、14番染色体
部分断片を同時に保持するマウスES細胞株の取得 ヒト22番染色体、14番染色体部分断片を同時に保持す
るマウスES細胞取得のため、染色体供与細胞として(実
施例26)で取得した6−1(A9/#22,G418,ピューロマ
イシン耐性)細胞株を用いた。染色体受容細胞としては
すでにヒト14番染色体部分断片を保持しているG418耐性
TT2細胞株1−4(実施例9)を用いた。ミクロセル融
合実験およびピューロマイシン耐性株の選択は0.75μg/
mlのピューロマイシン濃度で他は(実施例9)のG418耐
性株選択の場合と同様に行なった。この結果出現したピ
ューロマイシン耐性株の出現頻度は1−4細胞107個あ
たり1〜2個であった。これらのピューロマイシン耐性
株は300μg/mlのG418存在下でも増殖することからG418
耐性も同時に保持していることが確認された。二重薬剤
耐性株の凍結保存、ゲノムDNA取得は(実施例2)と同
様に行なった。ヒト22番染色体及び、ヒト14番染色体部
分断片の保持は二重薬剤耐性株PG22−5について以下の
PCR解析により確認した。二重薬剤耐性株ゲノムDNAを鋳
型としてヒト22番、14番染色体上に存在する遺伝子(Ge
netic Maps,前記)のうち、22番染色体については(実
施例2;A9/#22)、14番染色体については(実施例9;TT2
/#14 1−4)で存在が確認されている各プライマーに
ついてPCR増幅を行なった結果、22番染色体については1
0種のうち3種のマーカー(D22S275,D22S315,Igλ)、1
4番染色体についてはTT2/#14 1−4に存在した全ての
マーカーが検出された。以上の実験により、得られた二
重耐性TT2細胞株はヒト22番染色体部分断片、14番染色
体部分断片を同時に保持することが確かめられた。
(実施例36)ヒト22番染色体部分断片及び、14番染色体
部分断片を同時に保持するマウスES細胞株からのキメラ
マウス作製 (実施例35)で得られ、ヒト22番染色体部分断片及び
14番染色体部分断片を保持していることが確認されたG4
18、ピューロマイシン二重耐性TT2細胞株PG22−5を凍
結ストックより立ち上げ、ICRまたはMCH(ICR)(日本
クレア社)雄雌マウスの交配により得られた8細胞期胚
に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用培地(実施例
9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた後、偽妊娠処理
後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア社)の子宮に片側
の子宮あたり約10個のインジェクション胚を移植した。
キメラ作製の結果を(第13表)に示す。計302個の注
入胚を移植した結果、16匹の子マウスが誕生した。キメ
ラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)由来の白色の中
にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認められるかどうか
により判定される。誕生した16匹のうち毛色に明らかに
野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢献の認めら
れる個体は5匹であった。
この結果より、ヒト22番染色体部分断片及び14番染色
体部分断片を保持するES細胞株(PG22−5)はキメラ形
成能を保持している、すなわちマウス個体の正常組織に
分化する能力を保持していることが確認された。
(実施例37)ヒト22番染色体部分断片及び、4番染色体
部分断片を同時に保持するES細胞由来キメラマウス血清
中のヒト抗体λ鎖およびヒト抗体μ鎖の検出・定量 (実施例36)のキメラマウス(KPG22−9、10、およ
び12)に対して、HSAを免疫した。KPG22−9とKPG22−1
0には生後11週齢で免疫し、その2週間後に採血した。K
PG22−12には生後7週齢と9週齢の2度免疫し、2度目
の免疫の2週間後に採血した。
血清中のヒト抗体μ鎖およびヒト抗体λ鎖さらにヒト
λ鎖かつヒトμ鎖を有する抗体を(実施例14)に従いEL
ISA法を用いて検出した。
完全ヒト抗体の検出にはPBSで希釈した抗ヒト免疫グ
ロブリンλ鎖抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories
Inc.、01−10−11)を96穴マイクロタイタープレート
にコーティングし、血清試料を加え、次いでペルオキシ
ダーゼ標識抗ヒト免疫グロブリンμ鎖抗体(The Bindin
g Site Limited、MP008)を加えてインキュベートした
後、ペルオキシダーゼ基質としてTMBZ(住友ベークライ
ト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度
で評価し、精製されたλ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM
(大日本製薬、U13200)をマウス血清を添加したPBSで
段階的に希釈したものと比較し血清中のヒト抗体濃度を
求めた。ヒト抗体μ鎖およびヒト抗体λ鎖をELISA法を
用いて(実施例29)および(実施例32)と同様に検出・
定量した。結果を第14表に示す。キメラマウスではλ鎖
とμ鎖がともに検出された。ヒト抗体μ鎖かつλ鎖を持
つ抗体も検出された。この結果より、ヒト22番染色体部
分断片及び14番染色体部分断片を保持するES細胞由来キ
メラマウスにおいてヒト抗体λ鎖遺伝子とヒト抗体μ鎖
遺伝子は同時に機能し、一部のB細胞では重鎖と軽鎖が
ともにヒトである完全抗体が産生されることが確認され
た。
また対照として測定したヒト14番染色体のみを保持す
る(実施例10)のキメラマウス(K9)、ヒト22番染色体
のみを保持する(実施例31)のキメラマウス(KPG22−
2)の血清中のヒト抗体λ鎖かつμ鎖を持つ抗体濃度は
バックグランドレベルであり、ここでの検出系はヒトλ
鎖かつμ鎖を持つ完全抗体のみを検出していることが確
認された。
(実施例38)ヒト2番染色体部分断片及び、14番染色体
部分断片を同時に保持するES細胞由来キメラマウス血清
におけるヒト抗体の検出(ヒトκ鎖かつヒトμ鎖を有す
る抗体) (実施例19)で作製したキメラマウスKPG−15(TT2ES
クローンPG5由来、キメラ率10%)に対して、生後2
から3ヶ月齢の間に、PBSに溶解したヒト血清アルブミ
ン(HSA、シグマ、A3782)とアジュバント(MPL+TDM E
mulsion,RIBI Immunochem Reseach Inc.)とを混合して
0.25mg/mlのHSA溶液を調製し0.2mlを3回免疫し、採血
した。また生後6週齢の(実施例19)のキメラマウスKP
G−26(TT2ES クローンPG6由来、キメラ率40%)から
採血した。血清中の完全ヒト抗体濃度を(実施例14)に
従いELISA法で検出した。PBSで希釈した抗ヒト免疫グロ
ブリンκ鎖抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories I
nc.、01−10−10)を96穴マイクロタイタープレートに
コーティングし、マウス血清(シグマ、M5905)を加え
たPBSで希釈した血清試料を加え、次いでペルオキシダ
ーゼ標識抗ヒト免疫グロブリンμ鎖抗体(The Binding
Site Limited、MP008)を加えてインキュベートした
後、ペルオキシダーゼ基質としてTMBZ(住友ベークライ
ト、ML−1120T)の添加により酵素活性を450nmの吸光度
で評価し、精製されたκ鎖を持つ濃度既知のヒトIgM
(オルガノン・テクニカ、6001−1590)を標準としマウ
ス血清を添加したPBSで段階的に希釈した。κ鎖、μ鎖
については(実施例20)と同様にして濃度を求めた。結
果を第15表に示す。ヒト抗体μ鎖かつκ鎖を持つ抗体が
検出された。また対照としたヒト14番染色体のみを保持
する(実施例10)のキメラマウス(K9)、ヒト2番染色
体のみを保持する(実施例13)のキメラマウス(K2−
9)血清中のヒト抗体でκ鎖かつμ鎖を持つ抗体濃度は
0.002mg/ml以下でバックグランドレベルであった。この
結果より、ヒト2番染色体部分断片及び14番染色体部分
断片を保持するES細胞由来キメラマウスにおいてヒト抗
体κ鎖遺伝子とヒト抗体μ鎖遺伝子は同時に機能し、一
部のB細胞では重鎖と軽鎖がともにヒトである完全抗体
が産生されることが確認された。
(実施例39)ヒト2番染色体部分断片を保持するマウス
ES細胞株(TT2F,XO)の取得 ヒト2番染色体部分断片を保持するマウスES細胞(X
O)取得のため、染色体供与細胞として(実施例16)で
取得したPG1細胞株を用いた。染色体受容細胞としては
(39,XO)の染色体構成を持ち、キメラマウスにおいて
効率よく卵細胞に分化することが報告されている(相沢
慎一、バイオマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティン
グ,羊土社,1995)TT2F細胞株(ライフテックオリエン
タル社より購入)を用いた。ミクロセル融合実験および
ピューロマイシン耐性株の選択は0.75μg/mlのピューロ
マイシン濃度で他は(実施例9)のG418耐性株選択の場
合と同様に行なった。この結果出現したピューロマイシ
ン耐性株の出現頻度はTT2F細胞107個あたり5個であっ
た。これらのピューロマイシン耐性株の凍結保存、ゲノ
ムDNA取得は(実施例2)と同様に行なった。ヒト2番
染色体部分断片の保持は薬剤耐性株P−20,P−21につい
て以下のPCR解析により確認した。薬剤耐性株ゲノムDNA
を鋳型としてヒト2番染色体上に存在する遺伝子(Gene
tic Maps,前記)のうち、(実施例1;A9/#2 w23)で存
在が確認されているプライマーCκ,FABP1、Vκ1−2
の3種についてPCR増幅を行なった結果、2株共に、3
種全てのプライマーについて期待される増幅産物が確認
された。
以上の実験により、得られたピューロマイシン耐性ES
細胞株(TT2F,XO)はヒト2番染色体部分断片を保持す
ることが確かめられた。
(実施例40)ヒト2番染色体部分断片を保持するマウス
ES細胞株(TT2F,XO)からのキメラマウス作製 (実施例39)で得られ、ヒト2番染色体部分断片を保
持していることが確認されたピューロマイシン耐性TT2F
細胞株P−21を凍結ストックより立ち上げ、ICRまたはM
CH(ICR)(日本クレア社)雄雌マウスの交配により得
られた8細胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞
用培地(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた
後、偽妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア
社)の子宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクショ
ン胚を移植した。
計141個の注入胚を移植した結果、20匹の子マウスが
誕生した。キメラ個体は、毛色において宿主胚(ICR)
由来の白色の中にTT2細胞由来の野生色(濃茶)が認め
られるかどうかにより判定される。キメラ作製の結果を
(第16表)に示す。誕生した20匹のうち毛色に明らかに
野生色の部分のある、すなわち、ES細胞の貢献の認めら
れる個体は9匹であった。うち4個体は毛色が完全に野
生色の(ES細胞に由来する)キメラマウスであった。
この結果より、ヒト2番染色体部分断片を保持するES
細胞株(P−21)はキメラ形成能を保持している、すな
わちマウス個体の正常組織に分化する能力を保持してい
ることが確認された。
(実施例41)ヒト2番染色体部分断片を保持するTT2F由
来キメラマウスの血清中のヒト抗体κ鎖の検出、および
定量 (実施例40)の生後約1ヶ月齢のキメラマウス(P−
21由来、キメラ率100%、K2−1F〜4F)より採血し血清
中のヒト抗体κ鎖濃度を(実施例20)と同様にELISA法
を用いて定量した。
結果を第17表に示す。使用するES細胞をTT2Fとしても
ヒト抗体κ鎖遺伝子がキメラマウス中で機能することが
確認された。
(実施例42)ヒト2番染色体部分断片を保持するマウス
ES細胞(TT2F,XO)由来キメラマウスの子孫におけるヒ
ト染色体保持の検出 (実施例40)で得られた雌キメラマウスのうちK2−1
F,K2−4F(共に毛色のキメラ率100%)について雄ICRマ
ウスとの交配によりES細胞由来の子孫が誕生するかを検
討した。この交配においてICR雄マウス(アルビノ、劣
性)由来精子により受精したキメラマウス中のTT2F細胞
(野生色:優性)由来の卵子からは野生色、ICR由来卵
子からは白色の子マウスが誕生する。それぞれ1回の交
配によって得られた生存可能な子マウス(K2−1F:10
匹、K2−4F:5匹)のすべてがES細胞由来の毛色である野
生色を示した。これらの子マウスの尻尾より調製したゲ
ノムDNAについてヒト染色体断片の保持をPCR法により検
討した。P−21(実施例39)で存在が確認されている3
種のプライマーについてPCR増幅を行なった結果、10匹
中4匹(K2−1F)、5匹中2匹(K2−4F)においてP−
21で検出された3種のマーカーの存在が確認された。15
匹の子マウスのPCRの結果を(第21図)に示す。図中右
側にマーカー(φX174,HaeIII断片,ニッポンジーン)
および主なバンドのDNA分子量を、左側にそれぞれのプ
ライマーによって期待される増幅産物の長さを矢印で示
した。右側に陽性コントロールとして親キメラK2−1F、
K2−4Fの尻尾由来DNAを用いた結果も示す。これらの結
果は、ヒト2番染色体部分断片を保持するTT2F細胞株P
−21がキメラマウス中で機能的な卵子に分化し、その卵
子由来の子孫にヒト2番染色体部分断片が伝達されたこ
とを示している。
(実施例43)ヒト2番染色体部分断片を保持するマウス
ES細胞(TT2,XY)由来キメラマウスの子孫におけるヒト
染色体保持の検出 (実施例13)で得られたキメラマウスのうちK2−18
(雄、キメラ率70%)とK2−19(雌、キメラ率60%)及
び同腹の非キメラ雌を混合して交配し、ES細胞由来の子
孫が誕生するかを検討した。TT2細胞は(40,XY)の染色
体構成を持つので雄キメラK2−18において機能的な精子
に分化している可能性がある。その場合キメラマウス中
のTT2細胞(野生色、優性)由来精子により受精したICR
(白色:劣性)由来の卵子からは野生色の子マウスが誕
生する。交配によって得られた生存可能な子マウス計11
0匹のうち10匹がES細胞由来の毛色である野生色を示し
た。これらの野生色子マウス10匹のうち7匹の尻尾より
調製したゲノムDNAについてヒト染色体断片の保持をPCR
法により検討した。5−1株(TT2/#2fg.,実施例12)
で存在が確認されている2種のプライマー(Cκ、FABP
1)及び、(実施例1)で示したVκ1−2プライマー
についてPCR増幅を行なった結果、7匹中2匹において
3種のマーカー全てのの存在が確認された。この結果
は、ヒト2番染色体部分断片を保持するTT2細胞株5−
1がキメラマウス中で機能的な精子に分化し、その精子
由来の子孫にヒト2番染色体部分断片が伝達されたこと
を示している。
(実施例44)キメラマウス子孫の血清中のヒト抗体κ鎖
の検出、および定量 (実施例42)のキメラマウス子孫K2−1F−1〜10およ
びK2−4F−1〜5の血清中のヒト抗体κ鎖濃度をELISA
法を用いて定量した。生後約4〜6週齢のマウスより採
血し、血清中のヒト抗体κ鎖を(実施例20)と同様にEL
ISA法を用いて検出した。結果を(実施例42)で得られ
た染色体保持の結果と共に第18表に示す。キメラマウス
から生まれた子孫においてもヒト抗体κ鎖遺伝子が機能
することが確認された。
実施例(45)ヒト14番染色体部分断片導入キメラマウス
脾臓細胞の解析 フローサイトメトリーによる解析は下記の文献に記載
の方法に従った。日本生化学会編、新生化学実験講座12
分子免疫学I−免疫細胞・サイトカイン−1989、東京化
学同人;東京大学医科学研究所 制癌研究部編、細胞工
学別冊8 新細胞工学実験プロトコール、1991、秀潤
社;A.Doyle and J.B.Griffiths,“Cell & Tissue Cult
ure:Laboratory Procedures",published by John Wiley
& Sons Ltd.,1996。(実施例19)の生後6ヶ月齢のキ
メラマウス(KPG06;PG16由来、キメラ率30%)から脾臓
をとりだし、塩化アンモニウム水溶液で処理した後ラッ
ト血清を1%含むPBS中で、フルオレッセインイソチオ
シアネート(FITC)標識抗マウスCD45R(B220)抗体
(ファーミンジェン、01124A)で細胞を染色した。洗浄
後5%マウス血清を含むPBS中でビオチン標識抗ヒトIgM
抗体(ファーミンジェン、08072D)または対照としてビ
オチン標識抗ヒトλ鎖抗体(ファーミンジェン、08152
D)と反応させた後、ストレプトアビジンフィコエリス
リン(ファーミンジェン、13025D)で染色し、フローサ
イトメトリー(ベクトンデッキンソン、FACSort)で解
析した。また対照としてヒト染色体を保持しないICRマ
ウスも同様に解析した。第22図に結果を示す。図中横軸
はヒトIgM、縦軸はCD45R(B220)を示す。B細胞マーカ
ーCD45R陽性(FITC)でかつヒトIgM陽性(PE)である細
胞集団が4%増加しており、これによってキメラマウス
ではヒト抗体μ鎖を細胞表面に発現している細胞の存在
が確認された。
(実施例46)ヒト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖をそれぞれ発現
するキメラマウス脾臓由来cDNAからのヒト抗体遺伝子可
変領域クローニングと塩基配列決定 (実施例29)、(実施例23)、(実施例32)において
ヒト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖をそれぞれ発現することが確
認されたキメラマウスK15A(1−4株由来、実施例10に
示した方法で作製)、K2−8(実施例13で作製)、KPG2
2−2(実施例31で作製)の脾臓由来RNAより(実施例
5)と同様な方法で合成したcDNAについて、下記のプラ
イマーによりPCRを行ない、それぞれのヒト抗体遺伝子
可変領域を増幅した。陰性コントロールとして非キメラ
マウスICRより取得した脾臓由来cDNAを用いた。参考文
献の記載のないプライマーはGenbank等のデータベース
より入手した塩基配列をもとに作製した。
・K15A(重鎖) 可変領域:VH1/5BACK(59℃,35cycles,Marksら,Eur.J.Im
mnol.,21,985−,1991),VH4BACK(59℃,35cycles,Marks
ら,前記),VH3BACK(1stPCR:59℃,35cycles,2ndPCR:59
℃,35cycles,Marksら,前記) ・K2−8(軽鎖κ) 可変領域用:Vk1/4BACK(55℃,40cycles,Marksら,Eur.J.
Immnol.,21,985−,1991),Vk2BACK(55℃,40cycles,Mar
ksら,前記),Vk3BACK(55℃,40cycles,Marksら,前
記) ・KPG22−2(軽鎖λ) 定常領域用:CλMIX(以下の3種のプライマーを等モル
比で混合したもの) 可変領域用:Vλ1LEA1(55℃,40cycles,Williamsら,Eur.
J.Immunol.,23,1456−,1993),Vλ2MIX(55℃,40cycle
s,前記のWilliamsらの報告にあるVλ2LEA1,Vλ2JLEAD
を等モル比で混合したもの),Vλ3MIX(55℃,40cycles,
前記のWilliamsらの報告にあるVλ3LEA1,Vλ3JLEAD,V
λ3BACK4を等モル比で混合したもの) それぞれ定常領域用×可変領域用(重鎖3種、κ鎖3
種、λ鎖3種)の組み合わせで94℃15秒、それぞれの可
変領域プライマーに示したアニーリング温度15秒、72℃
20秒、それぞれの可変領域プライマーに示したサイクル
数(パーキンエルマー社、サーマルサイクラー9600使
用)の条件で行なった。VH3BACKにおける2ndPCRは1stPC
Rの増副産物を(HIGMEX1−1×VH3BACK)のプライマー
の組み合わせで再度増幅した。全ての増幅産物は1.5%
アガロース電気泳動後、臭化エチジウム染色することに
より検出した。その結果、全て組み合わせにおいて、期
待される長さ(重鎖:470bp付近、軽鎖κ:400bp付近、軽
鎖λ:510bp付近)の増副産物が検出された。一方、陰性
コントロールでは全てにおいて同じ位置に特異的増幅産
物は検出されなかった。これらの増幅産物は、アガロー
スゲルよりprep.A.gene(バイオラッド)により抽出し
た後、制限酵素処理(重鎖:HindIII−PstI、軽鎖κ:Hin
dIII−PvuII、軽鎖λ:HindIII−EcoRI)し、pUC119(宝
酒造)ベクターのHindIII,PstI部位(重鎖)、HindIII,
HincII部位(κ鎖)、HindIII,EcoRI部位(λ鎖)にク
ローニングした。増幅産物の挿入されたプラスミドのう
ち以下のもの(右側に示したクローン数)について、自
動蛍光シーケンサー(Applyed Bio System社)により、
増幅産物の塩基配列を決定した。
・HIGMEX1−2×VH1/5BACK:10クローン、 ・HIGMEX1−2×VH4BACK:8クローン、 ・HIGMEX1−2(2nd PCR,HIGMEX1−1)×VH3BACK:5ク
ローン ・KC2H×Vκ1/4BACK:6クローン、 ・KC2H×Vκ2BACK:7クローン、 ・KC2H×Vκ3BACK:4クローン、 ・CλMIX×Vλ1LEA1:5クローン、 ・CλMIX×Vλ2MIX:6クローン、 ・CλMIX×Vλ3MIX:5クローン 得られた塩基配列をDNASIS(Hitachi Software Engne
ering)により解析した結果、全てがヒト由来配列であ
り、κ鎖、λ鎖の全て、重鎖の計23種中21種が開始コド
ンから定常領域に至るまで終始コドンを含まない機能的
配列であった。決定された配列からお互いに同一なもの
を除くと重鎖17種、κ鎖1種、λ鎖12種のそれぞれ異な
る可変領域配列が同定された。
(実施例47)ヒト抗体重鎖、κ鎖、λ鎖をそれぞれ発現
するキメラマウス脾臓由来cDNAからのヒト抗体遺伝子可
変領域塩基配列の解析 (実施例46)において決定された塩基配列(重鎖17ク
ローン、κ鎖11クローン、λ鎖12クローン)について以
下の点について解析を行った。
1.各可変領域配列において使用されている既知の生殖系
列V遺伝子断片を特定 2.各可変領域配列において使用されている既知の生殖系
列J遺伝子断片を特定 3.重鎖可変領域において使用されている既知の生殖系列
D断片を特定 4.1、2、3の結果をもとにした重鎖可変領域における
N領域の付加の同定 5.各可変領域塩基配列から導かれるアミノ酸配列の決定 その結果を(第19表)に示す。1、2についてはGenb
ankに登録されている生殖系列V及びJ断片とのホモロ
ジー検索をDNASISにより行い特定した。VH断片は(Cook
ら,Nature gentics,7,162−,1994)、Vκ断片は(Klei
nら,Eur.J.Immunol,23,3248−,1993)、Vλ断片は(Wi
lliamsら,前記)の表記法に従い、各V断片ファミリー
名と共に表中に記した。3については(Ichiharaら,The
EMBO J.,7,13,4141−,1988)の報告に記された生殖系
列D断片とのホモロジー検索をDNASISにより行い、連続
して8bp以上一致することを指標として決定し表中に記
した。DN*については(Greenら,Nature Genetics,7,13
−,1994)で報告された新しいDNファミリー断片と考え
られる。4については1(V)、2(J)、3(D)の
結果をもとに、いずれの生殖系列断片にも見いだされな
い塩基配列をN領域とみなした。その結果、D領域の特
定された13種中11種にN領域が観察され、その平均の長
さは8.7bpであった。5については各塩基配列をDNASIS
を使用して1文字表記のアミノ酸配列に変換した。表中
にはCDR3領域のみ示した。表中右側に各可変領域のクロ
ーニングに使用したプライマー名及び各クローン名を記
した。
(実施例48)TT2(またはTT2F)ES細胞の抗体遺伝子
(重鎖、軽鎖κ)ノックアウト用のターゲッティングベ
クターの作製 マウス抗体遺伝子(重鎖、軽鎖κ)が破壊されたTT2
(またはTT2F)細胞へG418耐性遺伝子でマーキングされ
たヒト14番染色体断片(実施例9)およびピューロマイ
シン耐性遺伝子でマーキングされたヒト2番(実施例1
8)または22番染色体(実施例35)を導入することが可
能となる。このようなヒト14番+2番またはヒト14番+
22番染色体を導入したマウス抗体遺伝子(重鎖、軽鎖
κ)遺伝子破壊TT2(またはTT2F)ES細胞を用いて、
(重鎖+κ鎖:実施例19、重鎖+λ鎖:実施例36)の方
法によって作成されたキメラマウスでは、主に重鎖と軽
鎖がヒト由来の抗体が産生されることが期待される。以
下に示す第23図〜第27図における制限酵素の略称等は、
以下のとおりである。
制限酵素:Kp:KpnI、B:BamHI、RI:EcoRI、RV:EcoRV、N:N
otI、SII:ScaII、Sca:ScaI、Sfi:SfiI、Sm:SmaI、X:Xho
I、SI:SalI、dKp:deletion of KpnI、(X):ラムダベ
クター由来のXhoI切断部位。
点線部分:pBluescript SKII(+)プラスミドDNA:L
oxP配列 1.G418耐性遺伝子の両側にLoxP配列を入れたLoxP−pstN
EOプラスミドの作製 TT2(またはTT2F)細胞の抗体遺伝子をノックアウト
した後、G418耐性遺伝子を除去するためにG418耐性遺伝
子(実施例1)の両端にCreリコンビネース(Sauerら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,5166−,1988)の認識配列
であるLoxP配列(Sauerら、前記)を同じ向きに入れる
必要がある。pSTneoBプラスミドDNA(実施例1)より制
限酵素XhoIでpstNEO遺伝子を切り出し、アガロースゲル
電気泳動によりDNA断片を精製したのちT4DNAポリメラー
ゼ(Takara社製Blunting endキット)により両端を平滑
化した。LoxP配列が入ったプラスミドDNA pBS246(Plas
mid pBS246,loxP2 Cassette Vector,U.S.Patent 495931
7)は、GIBCOBRL社より購入した。このプラスミドのEco
RI及びSpeI切断部位へXhoIリンカーDNAを挿入すること
によってXhoI認識配列に変更したものを使用した。この
改変pBS246のEcoRV切断部位へ上記pstNEO DNA断片を挿
入してプラスミドLoxP−pstNEOを得た(第23図)。
2.C57BL/6由来抗体重鎖Cμ(IgM定常領域)、軽鎖Jκ
−Cκ(Igκ連結領域および定常領域)を含むゲノムDN
Aクローンの単離 TT2(またはTT2F)細胞は、C57BL/6マウスとCBAマウ
スのF1マウス由来であることから、C57BL/6マウス由来
のゲノムDNAクローンを用いて抗体遺伝子ノックアウト
用ベクターを作製することにした。ゲノムDNAライブラ
リーは、Clontech社adult C57BL/6N male liver由来ラ
ムダDNAライブラリーを使用した。スクリーニングのた
めにプローブとしては、以下の合成DNA配列(60mer)を
用いた。
単離されたラムダクローンを解析して、重鎖Cμまた
は軽鎖Jκ−Cκを含むDNA断片をpBluescript SKII
(+)プラスミド(Stratagene社)ヘサブクローニング
した(重鎖Cμ:第24図;軽鎖Jκ−Cκ:第25図)。
これらのDNA断片を用いて、以下のようにTT2(またはTT
2F)ES細胞中のマウス抗体遺伝子破壊のためのターゲッ
ティングベクターを作製した。
3.マウス抗体重鎖遺伝子破壊用ベクタープラスミドの作
製 2で調製したマウス抗体重鎖定常領域を含むゲノムDN
AのCμをコードする領域の内で、第2〜第4エクソン
が含まれるDNA断片(BamHI〜XhoI)を1で作製したLoxP
−pstNEO遺伝子と置き換えた(第26図)。pstNEOの転写
方向は、抗体遺伝子の転写方向とは逆向きとなってい
る。このプラスミドDNAは、大腸菌JM109を用いて増幅
し、セシウムクロライド平衡遠心により精製した(細胞
工学実験操作入門、1992年講談社刊)。精製したプラス
ミドDNAは、制限酵素SacIIにより、一箇所切断してTT2
(またはTT2F)ES細胞へのトランスフェクションに使用
した。形質転換体TT2(またはTT2F)ES細胞の中から抗
体重鎖部分がターゲッティングベクターと相同組換えが
起こったクローンを検出するための形質転換ゲノムDNA
サザンブロット用のプローブとして、Cμの上流に存在
するスイッチ領域のDNA断片(約500塩基対)を用いた。
このDNA断片は以下の条件で129マウスゲノムDNAをPCR増
幅して得た。
センスプライマー:5′−CTG GGG TGA GCC GGA TGT TTT
G−3′(配列番号61) アンチセンスプライマー:5′−CCA ACC CAG CTC AGC CC
A GTT C−3′(配列番号62) テンプレートDNA:EcoRI消化129マウスゲノムDNA 1μg 反応バッファー、デオキシヌクレオチドミックス、TaqD
NAポリメラーゼは、Takara社製のものを使用。
反応条件:94度C,3分,1回→94度C,1分;55度C,2分;72度C,
2分;3回→94度C,45秒;55度C,1分;72度C,1分;36回 増幅されたDNAがGenbankのデータベースにあるとお
り、制限酵素HindIIIで一箇所切断されえることを確認
して、pBluescriptプラスミドのEcoRV切断部位へサブク
ローニングした。このプラスミドDNA(S8)を制限酵素B
amHIとXhoIで切断して、アガロースゲル電気泳動でPCR
断片(約550塩基対)を精製したものをプローブとし
た。ターゲッティングベクターで形質転換したTT2(ま
たはTT2F)ES細胞のゲノムDNAを制限酵素EcoRIとXhoIで
消化し、アガロースゲル電気泳動で分離後サザンブロッ
トを行ない、上記プローブで検出する。
4.マウス抗体遺伝子軽鎖k破壊用ベクターの作製 2で調製したマウス抗体軽鎖κJ領域および定常領域
を含むゲノムDNAのJ領域(J1〜J5)が含まれるDNA断片
(EcoRI〜SacII)を1で作製したLoxP−pstNEO遺伝子と
置き換えた(第27図)。pstNEOの転写方向は、抗体遺伝
子の転写方向と同じ向きとなっている。このプラスミド
DNAは、大腸菌JM109を用いて増幅し、セシウムクロライ
ド平衡遠心により精製した。精製したプラスミドDNA
は、制限酵素KpnIにより、一箇所切断してTT2(またはT
T2F)ES細胞へのトランスフェクションに使用した。形
質転換体TT2(またはTT2F)ES細胞の中から抗体重鎖部
分がターゲッティングベクターと相同組換えが起こった
クローンを検出するための形質転換体ゲノムDNAサザン
ブロット用のプローブとして、軽鎖Jκ−CκゲノムDN
A(第25図参照)の3′端のDNA断片(XhoI〜EcoRI;約1.
4k塩基対)を用いた。ターゲッティングベクターで形質
転換したTT2(またはTT2F)ES細胞のゲノムDNAを制限酵
素EcoRIとNotIで消化し、アガロースゲル電気泳動で分
離後サザンブロットを行ない、上記プローブで検出す
る。
(実施例49)マウスES細胞抗体重鎖遺伝子破壊株の取得 抗体重鎖遺伝子相同組換え体取得の為、(実施例48)
−3で作成した抗体重鎖ターゲッティングベクターを制
限酵素SacII(宝酒造)で線状化し、(相沢慎一、バイ
オマニュアルシリーズ8,ジーンターゲッティング,羊土
社,1995)の方法に従いマウスES細胞TT2Fへ導入した。T
T2F細胞をトリプシン処理し、2.5x107個/mlとなるよう
にHBSに懸濁してから5μgDNAを加え、ジーンパルサー
(バイオラッド、抵抗器ユニット接続せず)を用いてエ
レクトロポレーションを行なった。960μFの要領で250
Vの電圧を4mm長のエレクトロポレーションセルを用いて
室温で印加した。エレクトロポレーションした細胞を20
mlのES培地に懸濁し、あらかじめフィーダー細胞をまい
た100mm組織培養プラスチックシャーレ(コーニング)
2枚に播種した。同様に10,15μgDNAを用いた実験も行
った。1日後に300μg/mlのG418(GENETICIN,シグマ)
を含む培地と置き換えた。7〜9日後に生じたコロニー
計176個をピックアップし、それぞれを12穴プレートで
コンフルーエントになるまで増殖させ、その4/5を0.2ml
の保存用培地(ES培地+10%DMSO〈シグマ〉)に懸濁
し、−80℃にて凍結保存した。残りの1/5は12穴ゼラチ
ンコートプレートに播種し、2日間培養して(実施例
2)に示した方法でゲノムDNAを取得した。これらのG41
8耐性TT2F細胞ゲノムDNAを制限酵素EcoRIとXhoI(宝酒
造)で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離後サザン
ブロットを行ない、(実施例48)−3に示したプローブ
で相同組換え体を検出した。その結果176株中3株が相
同組換え体であるという結果を得た。野生型TT2F細胞及
び相同組換え体#131、#141のサザンブロット解析の結
果を(第28図)左側3レーンに示す。野生型TT2F細胞で
はEcoRI、XhoI消化により2本のバンド(a、b)が検
出される。相同組換え体においては、これらのいずれか
のバンドが消失し、新たに下部にバンド(c)が現われ
ることが予想される。図中#131,#141においてaのバ
ンドが消失し、新たにcのバンドが出現している。図中
左側にはDNAの大きさを示した。すなわちこれらのクロ
ーンは抗体重鎖遺伝子の片方のアレルが相同組換えによ
り破壊されたものである。
(実施例50)抗体重鎖相同組換え体ES細胞からのキメラ
マウス作成 (実施例49)で得られた抗体重鎖相同組換え体TT2F細
胞株#131を凍結ストックより立ち上げ、ICRまたはMCH
(ICR)(日本クレア社)雌雄マウスの交配により得ら
れた8細胞期胚に胚あたり10〜12個注入した。ES細胞用
培地(実施例9)で一晩培養して胚盤胞に発生させた
後、偽妊娠処理後2.5日の仮親ICRマウス(日本クレア
社)の子宮に片側の子宮あたり約10個のインジェクショ
ン胚を移植した。計94個の注入胚を移植した結果、22匹
の子マウスが誕生した。キメラ個体は、毛色において宿
主胚(ICR)由来の白色の中にTT2F細胞由来の野生色
(濃茶)が認められるかどうかにより判定される。誕生
した22匹のうち毛色に明らかに野生色の部分のある、す
なわち、ES細胞の貢献の認められる個体は18匹であっ
た。うち16個体は毛色の80%以上が野生色の(ES細胞に
由来する)雌キメラマウスであった。この結果より、抗
体重鎖相同組換え体ES細胞株#131はキメラ形成能を保
持していることが確認された。得られたキメラマウスの
うち多くの個体は非常に高い貢献率を示す雌であるの
で、ES細胞が機能的な生殖細胞(卵子)に分化している
可能性が高い。キメラマウスのうち100%の貢献率を示
す雌キメラ2個体をMCH(ICR)雄マウスと交配した結
果、生まれた子マウスはすべて野生色を示した。これら
の子マウスは#131由来であり(実施例42参照)、2匹
に1匹の割合で破壊された抗体重鎖アレルが伝達してい
ると考えられる。
(実施例51)抗体重鎖相同組換え体からの2重破壊株の
取得 片側アレルがG418耐性遺伝子の挿入により破壊された
ES細胞株において、培養液中のG418濃度を上げて培養す
ることにより得られる高濃度G418耐性株をスクリーニン
グすれば両側アレル共に破壊された株を取得することが
可能なことが報告されている(相沢慎一ら、バイオマニ
ュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊土社,199
5)。これに基づき、我々はTT2F抗体重鎖相同組換え体
#131,#141について両側アレルの破壊株取得の為、以
下の実験を行った。まず、#131,#141両株について致
死G418濃度検定のため35mmシャーレ各10枚(この実施例
においては栄養細胞はマイトマイシン処理をしていない
G418耐性初代培養細胞を使用した。実施例9参照)に1
枚あたり約100個の細胞を播種し、0,0.5,1,2,3,5,8,10,
15,20mg/mlのG418(GENETICIN、シグマ)をそれぞれ含
むES培地中で10日間培養した。その結果3mg/mlの濃度ま
では明らかなコロニーが認められたが、5mg/mlではコロ
ニー形成は認められなかった。この結果をもとに最小致
死濃度を5mg/mlと決定し、4,5,6,7,8mg/mlの各濃度で高
濃度G418耐性株の選抜を行った。#131,#141それぞれ
について100mmシャーレ計10枚に1枚当たり約106個の細
胞を播種し、上記の各濃度のG418を含むES培地(5段
階、各濃度シャーレ2枚づつ)により培養した。培養開
始12日後に7mg,8mg/mlのシャーレにおいて明らかなコロ
ニー(#131:12株、#141:10株)をピックアップし、
(実施例49)と同様に凍結保存、DNA取得を行った。こ
れらの高濃度G418耐性株ゲノムDNAを制限酵素EcoRIとXh
oI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電気泳動で分離
後サザンブロットを行ない、(実施例48)−3に示した
プローブで両側アレルの破壊された株を検出した。その
結果#131株由来の1株(#131−3)が両側アレル破壊
株であるという結果を得た。#131由来の6株について
のサザンブロット解析の結果を(第28図)に示す。野生
型TT2F細胞ではEcoRI、XhoI消化により2本の野生型バ
ンド(a、b)が検出される。片側アレル相同組換え体
(#131,#141)においては、上部のバンドaが消失
し、新たにバンドcが現われる(実施例49)。さらに両
側アレルが破壊されることにより、もう一方の野生型バ
ンドbが消失し、破壊型バンドcのみとなることが予想
される。図中3(#131−3)のクローンにおいてこの
バンドパターンが観察された。すなわちこのクローンは
抗体重鎖遺伝子の両方のアレルが破壊されたものであ
る。
(実施例52)抗体重鎖欠損ホモ接合体TT2F細胞株からの
G418耐性マーカー遺伝子の除去 (実施例51)で取得された抗体重鎖両側アレル破壊株
(高濃度G418耐性株#131−3)のG418耐性マーカー遺
伝子を以下の手順により除去した。G418耐性マーカー遺
伝子の両側に挿入したloxP配列(実施例48−1)の間で
部位特異的組換えを起こすCreレコンビナーゼ遺伝子を
含む発現ベクターpBS185(BRL)を(相沢慎一、バイオ
マニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊土社,1
995、及び高津聖志ら、実験医学別冊、免疫研究の基礎
技術、p255−、1995、羊土社)の方法に従い#131−3
株へ導入した。#131−3細胞をトリプシン処理し、2.5
x107個/mlとなるようにHBSに懸濁してから30μgのpBS1
85DNAを加え、ジーンパルサー(バイオラッド、抵抗器
ユニット接続せず)を用いてエレクトロポーションを行
なった。960μFの要領で250Vの電圧を4mm長のエレクト
ロポレーションセル(実施例1)を用いて印加した。エ
レクトロポレーションした細胞を5mlのES培地に懸濁
し、あらかじめフィーダー細胞をまいた60mm組織培養プ
ラスチックシャーレ(コーニング)1枚に播種した。2
日後に細胞をトリプシン処理し、フィーダー細胞をまい
た100mmシャーレ3枚にそれぞれシャーレ1枚当たり10
0、200、300細胞となるように再度播種した。ジーンパ
ルサーの設定(抵抗器ユニット接続、抵抗値無限大)の
み変更した条件でも同様に行った。7日後に生じたコロ
ニー計96個をピックアップし、トリプシン処理した後2
つに分け、フィーダー細胞をまいた48穴プレート及びゼ
ラチンコート処理のみを行った48穴プレート2枚にそれ
ぞれ播種した。後者は300μ/mlのG418(GENETICIN、シ
グマ)を含む培地で3日間培養し、その生存率でG418耐
性を判定した。その結果6クローンがG418存在下で死滅
した。これらのG418感受性株を35mmシャーレでコンフル
ーエントになるまで増殖させ、その4/5を0.5mlの保存用
培地(ES培地+10%DMSO〈シグマ〉)に懸濁し、−80℃
にて凍結保存した。残りの1/5は12穴ゼラチンコートプ
レートに播種し、2日間培養して(実施例2)に示した
方法でゲノムDNAを取得した。これらのG418感受性TT2F
細胞株ゲノムDNAを制限酵素EcoRI(宝酒造)で消化し、
アガロースゲル電気泳動で分離後サザンブロットを行な
い、G418耐性遺伝子を含むpSTneoB由来3.2kb XhoI断片
(プローブA)でG418耐性遺伝子の除去を確認した。そ
の結果、#131−3において観察される、プローブAと
ハイブリダイズするバンドが、感受性株においては全く
検出されなかった。これらの結果より、取得されたG418
感受性株において確かにG418耐性マーカー遺伝子が除去
されていることが確認された。さらに上記と同様な方法
でpBS185DNAをEcoRI消化したプローブBを用いてサザン
解析を行った結果、これらG418感受性株にプローブBと
ハイブリダイズする特異的なバンドは検出されなかった
ことから、Creレコンビナーゼを含むpBS185は感受性株
染色体に挿入されていないと考えられる。すなわち、こ
れらの感受性株は実施例48−4に示した抗体軽鎖ノック
アウトベクター(G418耐性遺伝子の両側にloxP配列が存
在する)による形質転換を行うことができる。
(実施例53)抗体重鎖欠損ES細胞へのヒト14番染色体
(抗体重鎖)の導入 (実施例52)で得られた、内在性の抗体重鎖を欠損す
るマウスES細胞株(TT2F由来、G418感受性)に(実施例
9)で示した通りにG418耐性遺伝子によりマーキングさ
れたヒト14番染色体(抗体重鎖遺伝子を含む)をミクロ
セル法により導入する。得られるG418耐性株においてPC
R解析等(実施例9)によりヒト抗体重鎖遺伝子を含む
ヒト14番染色体(断片)の保持が確認される。
(実施例54)ヒト14番染色体(断片)を保持する抗体重
鎖欠損ES細胞株へのヒト2番染色体断片あるいは22番染
色体の導入 (実施例53)で得られた、ヒト14番染色体断片を保持
する抗体重鎖欠損マウスES細胞株(G418耐性)に(実施
例18、35)で示した通りにピューロマイシン耐性遺伝子
によりマーキングされたヒト2番染色体断片(抗体軽鎖
κ遺伝子を含む)あるいはヒト22番染色体(抗体軽鎖λ
遺伝子を含む)をミクロセル法により導入する。得られ
るピューロマイシン、G418二重薬剤耐性株においてPCR
解析等(実施例18、35)によりヒト14番染色体(断片)
及び2番染色体断片あるいは22番染色体(断片)の保持
が確認される。
(実施例55)ヒト抗体重鎖遺伝子を含む14番染色体(断
片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウスES細胞からの
キメラマウス作成 (実施例53)で取得されるヒト抗体重鎖遺伝子を含む
14番染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖遺伝子欠
損マウスES細胞株からのキメラマウス作成は(実施例1
0)で示した方法により行う。ここで得られるキメラマ
ウスにおいては、ES細胞株由来のB細胞で産生されるヒ
ト抗体重鎖が(実施例14)で示した方法により検出され
る。また、このES細胞由来のB細胞において機能的な抗
体重鎖遺伝子は導入染色体上のヒト由来のもののみであ
るので、ES細胞株由来B細胞の多くはヒト抗体重鎖を産
生する。
(実施例56)ヒト14番+2番、14番+22番染色体(断
片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウスES細胞からの
キメラマウス作成 (実施例54)で取得されるヒト14番+2番、14番+22
番染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖遺伝子欠損
マウスES細胞株からのキメラマウス作成は(実施例19、
36)等で示した方法により行う。ここで得られるキメラ
マウスにおいては、ES細胞株由来のB細胞でヒト抗体重
鎖及び軽鎖κあるいは軽鎖λが(実施例14、23、32)で
示した方法により検出される。また、(実施例55)と同
様にこのES細胞由来のB細胞において機能的な抗体重鎖
遺伝子は導入染色体上のヒト由来のもののみであるの
で、ES細胞由来B細胞の多くはヒト抗体重鎖を産生す
る。さらに、(実施例37、38)で示したように重鎖、軽
鎖が共にヒト由来である完全なヒト抗体分子が検出され
る。
(実施例57)ヒト14番+2番、14番+22番染色体(断
片)を保持する内在性抗体重鎖欠損マウスES細胞由来キ
メラマウスからのヒト抗体産生ハイブリドーマ取得 (実施例15、25、34)と同様に(実施例56)で作成さ
れるキメラマウスに目的とする抗原で免役し、脾臓を取
り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリドーマ
を作成する。1〜3週間培養し培養上清をELISA法で解
析する。ELISA法は(実施例14、15、21、24、25、33、3
4、37、38)に示した方法で行ない、ヒト抗体陽性及び
ヒト抗体陽性かつ免疫した抗原特異的クローンを得る。
(実施例58)抗体重鎖欠損ホモ接合体マウスES細胞から
の抗体軽鎖遺伝子破壊株の取得 (実施例52)で取得した抗体重鎖欠損ホモ接合体TT2F
細胞株(G418感受性)においてさらに抗体軽鎖遺伝子を
破壊した相同組換え体を以下の手順で取得する。実施例
(48−4)で作成した抗体軽鎖ターゲッティングベクタ
ーを制限酵素KpnI(宝酒造)で線状化し、(相沢慎一、
バイオマニュアルシリーズ8,ジーンターゲティング,羊
土社,1995)の方法に従い上記TT2F細胞株(G418感受
性)へ導入する。7〜9日後に生じたコロニーをピック
アップし、(実施例49)に示した方法で凍結保存、ゲノ
ムDNAを取得する。G418耐性株ゲノムDNAを制限酵素EcoR
IとNotI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電気泳動
で分離後サザンブロット解析を行ない、(実施例48−
4)に示したプローブで相同組換え体を検出する。
(実施例59)抗体軽鎖相同組換え体からの2重破壊株の
取得 (実施例58)で得られたTT2F抗体軽鎖相同組換え体
(かつ抗体重鎖欠損ホモ接合体)について軽鎖両側アレ
ルの破壊株を以下の手順により取得する。(実施例51)
と同様な方法で高濃度G418耐性株を取得し、凍結保存、
DNA取得を行なう。高濃度G418耐性株ゲノムDNAを制限酵
素EcoRIとNotI(宝酒造)で消化し、アガロースゲル電
気泳動で分離後サザンブロットを行ない、(実施例48−
4)に示したプローブで両側アレルの破壊された株を検
出する。
(実施例60)抗体軽鎖欠損ホモ接合体(かつ抗体重鎖欠
損ホモ接合体)TT2F細胞株からのG418耐性マーカー遺伝
子の除去 (実施例59)で取得された抗体軽鎖両側アレル破壊株
(高濃度G418耐性株)のG418耐性マーカー遺伝子を(実
施例52)で示した手順により除去する。G418耐性マーカ
ー遺伝子の両側に挿入したloxP配列(実施例48−1)の
間で部位特異的組換えを起こすCreレコンビナーゼ遺伝
子を含む発現ベクターpBS185(BRL)を(実施例52)の
方法に従い上記の株へ導入する。(実施例52)と同様に
得られるG418感受性株を35mmシャーレでコンフルーエン
トになるまで増殖させ、その4/5を0.5mlの保存用培地
(ES培地+10%DMSO〈シグマ〉)に懸濁し、−80℃にて
凍結保存する。残りの1/5は12穴ゼラチンコートプレー
トに播種し、2日間培養して(実施例2)に示した方法
でゲノムDNAを取得する。これらのG418感受性TT2F細胞
ゲノムDNAを制限酵素EcoRI(宝酒造)で消化し、アガロ
ースゲル電気泳動で分離後サザンブロットを行ない、G4
18耐性遺伝子を含むpSTneoB由来3.2kbXhoI断片をプロー
ブとし、G418耐性遺伝子の除去を確認する。
(実施例61)抗体重鎖、軽鎖欠損ES細胞株へのヒト14番
染色体(抗体重鎖)の導入 (実施例60)で得られた。内在性の抗体重鎖及び軽鎖
の両者を欠損するマウスES細胞株(TT2F由来、G418感受
性)に(実施例9)で示した通りにG418耐性遺伝子によ
りマーキングされたヒト14番染色体(ヒト抗体重鎖遺伝
子を含む)をミクロセル法により導入する。得られるG4
18耐性株においてPCR解析等(実施例9)によりヒト抗
体重鎖遺伝子を含むヒト14番染色体(断片)の保持が確
認される。
(実施例62)抗体重鎖、軽鎖欠損かつヒト14番染色体
(抗体重鎖)を保持するES細胞株へのヒト2番染色体
(軽鎖κ)の導入 (実施例61)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠
損かつヒト14番染色体を保持するマウスES細胞株(TT2F
由来、G418耐性)に(実施例18)で示した通りにピュー
ロマイシン耐性遺伝子でマーキングされたヒト2番染色
体(ヒト抗体軽鎖κ遺伝子を含む)部分断片をミクロセ
ル法により導入する。得られるピューロマイシン、G418
二重薬剤耐性株においてPCR解析等(実施例18)により
ヒト14番染色体(断片)及び2番染色体断片の保持が確
認される。
(実施例63)抗体重鎖、軽鎖欠損かつヒト14番染色体
(抗体重鎖)を保持するES細胞株へのヒト22番染色体
(軽鎖λ)の導入 (実施例61)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠
損かつヒト14番染色体を保持するマウスES細胞株(TT2F
由来、G418耐性)に(実施例35)で示した通りにピュー
ロマイシン耐性遺伝子でマーキングされたヒト22番染色
体(ヒト抗体軽鎖λ遺伝子を含む)をミクロセル法によ
り導入する。得られるピューロマイシン、G418二重耐性
株においてPCR解析等(実施例35)によりヒト14番染色
体(断片)及び22番染色体(断片)の保持が確認され
る。
(実施例64)ヒト2番(抗体軽鎖κ)、14番(抗体重
鎖)、22番(抗体λ鎖)染色体あるいはその部分断片を
同時に保持する内在性抗体重鎖、軽鎖欠損マウスES細胞
の取得 3種のヒト染色体を同時に保持するマウスES細胞を得
るために、ヒト2番あるいは22番染色体をブラストサイ
ジン耐性(Izumiら、Exp.Cell.Res.,197,229,1991)、
ハイグロマイシン耐性(Windら、Cell,82,321−,1995)
等のマーカー遺伝子の挿入によりマーキングする。これ
は(実施例16、26)に示した方法により行う。(実施例
62)で得られた、内在性抗体重鎖及び軽鎖欠損でありか
つヒト14番染色体(断片)及び2番染色体部分断片を保
持するマウスES細胞株(TT2F由来、G418耐性、ピューロ
マイシン耐性)に(実施例9)で示した方法と同様にブ
ラストサイジン耐性あるいはハイグロマイシン耐性等で
マーキングされたヒト22番染色体(ヒト抗体軽鎖λ遺伝
子を含む)を導入する。ES細胞培養のフィーダー細胞は
それぞれの選択マーカーに適したものを使用する。ハイ
グロマイシン耐性マーカーを使用する場合は、そのマー
カーを保持し、発現するトランスジェニックマウス系統
より得た初代培養繊維芽細胞(Johnsonら、Nucleic Aci
ds Research,vol.23,No.7,1273−,1995)を使用する。
得られるG418、ピューロマイシン、ハイグロマイシン
(あるいはブラストサイジン)三重耐性株は上記3種の
ヒト染色体(断片)を保持していることがPCR解析等
(実施例9、18、35)により確認される。(実施例63)
で得られた内在性抗体重鎖及び軽鎖欠損でありかつヒト
14番染色体(断片)及び22番染色体部分断片を保持する
マウスES細胞株(TT2F由来、G418耐性、ピューロマイシ
ン耐性)へのハイグロマイシンあるいはブラストサイジ
ン耐性遺伝子でマーキングされたヒト2番染色体断片の
導入も同様に行う。
(実施例65)ヒト抗体遺伝子(重鎖+軽鎖)を含む染色
体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、軽鎖遺伝子欠損
マウスES細胞からのキメラマウス作成 (実施例61、62、63、64)で取得されるヒト抗体遺伝
子を含む染色体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、軽
鎖遺伝子欠損マウスES細胞株からのキメラマウス作成は
(実施例10)等で示した方法により行う。ここで得られ
るキメラマウスにおいては、宿主胚由来のB細胞で産生
されるマウス抗体とES細胞株由来のB細胞で主に産生さ
れるヒト抗体が(実施例14、23、32)で示した方法によ
り検出される。また、このES細胞由来のB細胞において
機能的な抗体重鎖及び軽鎖κ遺伝子は導入染色体上のヒ
ト由来のもののみであるので、ES細胞由来のB細胞の多
くはヒト抗体重鎖及び軽鎖κを産生する(Lonbergら,Na
ture,368,856−,1994)。さらに、(実施例37、38)で
示した方法により重鎖、軽鎖が共にヒト由来である完全
なヒト抗体分子が検出される。
(実施例66)ヒト抗体遺伝子(重鎖+軽鎖)を含む染色
体(断片)を保持する内在性抗体重鎖、軽鎖遺伝子欠損
マウスES細胞由来キメラマウスからのヒト抗体産生ハイ
ブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例65)で得られるキメラ
マウスに目的とする抗原で免疫し、脾臓を取り出し、ミ
エローマ細胞と細胞融合し、ハイブリドーマを作成す
る。1〜3週間培養し培養上清をELISA法で解析する。E
LISA法は(実施例14、15、21、22、23、24、25、33、3
4、37、38)に示した方法で行ない、ヒト抗体陽性及び
ヒト抗体陽性かつ免疫した抗原特異的クローンを得る。
(実施例67)重鎖遺伝子欠損宿主胚とのキメラマウス作
成 (実施例49)で作成した内在性抗体重鎖片側アレル欠
損TT2F細胞株由来キメラマウスの子孫のうち野性色を示
すものについてサザン解析あるいはPCR(実施例49)等
により欠損アレルを保持する個体を選抜する(期待され
る確率は1/2である)。これらの抗体重鎖欠損ヘテロ接
合体の雌雄個体の交配により生まれる子マウスについて
サザン解析(実施例49参照)、リンパ球表面でのμ鎖発
現(Kitamuraら,Nature,350,423−,1991)等の解析を行
い、両側アレルが欠損し、自身の機能的な抗体をほとん
ど産生できない抗体重鎖欠損ホモ接合体を得ることがで
きる(期待される確率は1/4である、膜型μ鎖欠損マウ
スにおける結果:Kitamuraら,Nature,350,423−,1991参
照)。清浄な環境で飼育したホモ接合体雌雄個体の交配
により得られる胚をキメラマウス作成の際の宿主として
利用できる。この場合キメラマウスにおいて機能的なB
細胞はほとんど注入したES細胞に由来する。RAG−2欠
損マウス(Shinkaiら,Cell,68,855−,1992)等、機能的
なB細胞を自ら作ることができない他のマウス系統もこ
の目的に同様に利用できる。このシステムにおいて(実
施例62、63、64)で得られる内在性抗体重鎖及び軽鎖欠
損かつヒト14番+2番あるいは14番+22番あるいは14番
+2番+22番染色体(断片)を保持するマウスES細胞株
を使用し(実施例10)等に示した方法でキメラマウスを
作成する。得られるキメラマウスではES細胞由来のB細
胞において機能的なヒト抗体重鎖(14番染色体上)、軽
鎖κ(2番染色体上)、軽鎖λ(22番染色体上)遺伝子
により主にヒト重鎖及びヒト軽鎖からなる抗体を生産す
る。
(実施例68)ヒト14番染色体(断片)導入ES細胞由来キ
メラマウス子孫におけるヒト染色体の保持 (実施例9)と同様な方法及び、(実施例9)のマウ
スES細胞をTT2F(39、XO、実施例39)に置き換えた方法
を利用して得られるヒト14番染色体(断片)を保持する
キメラマウスと野生型ICRマウス(アルビノ、日本クレ
ア社)を混合して交配する。誕生する野生色の子マウス
の尻尾より調製したゲノムDNAについてヒト14番染色体
断片の保持をPCR法により検討する(実施例9、42、43
参照)。ヒト14番染色体(断片)を保持するマウスES細
胞株は(実施例42)及び(実施例43)で示した通りにキ
メラマウス中で機能的な卵子あるいは精子に分化し、そ
れ由来の子孫にヒト14番染色体(断片)が伝達可能であ
る。すなわちヒト抗体重鎖遺伝子を含む14番染色体(断
片)を保持する継代可能なマウス系統を確立することが
できる。本実施例及び以下の実施例69〜74において、ヒ
ト14番染色体(断片)はヒト抗体重鎖遺伝子、ヒト2番
染色体(断片)はヒト抗体κ鎖遺伝子を、ヒト22番染色
体(断片)はヒト抗体λ遺伝子を、それぞれ含むものを
指す。
(実施例69)ヒト22番染色体(断片)導入ES細胞由来キ
メラマウス子孫におけるヒト染色体の保持 (実施例30)と同様な方法及び、(実施例30)のマウ
スES細胞をTT2F(39、XO)に置き換えた方法を利用して
得られるヒト22番染色体(断片)を保持するキメラマウ
スとICRマウスを混合して交配する。誕生する野生色の
子マウスの尻尾より調製したゲノムDNAについてヒト22
番染色体断片の保持をPCR法により検討する(実施例3
0、42、43参照)。ヒト22番染色体あるいはその部分断
片を保持するマウスES細胞株は(実施例42)及び(実施
例43)で示した通りにキメラマウス中で機能的な卵子あ
るいは精子に分化し、それ由来の子孫にヒト22番染色体
(断片)が伝達可能である。すなわちヒト抗体軽鎖λ遺
伝子を含む22番染色体(断片)を保持する継代可能なマ
ウス系統を確立することができる。
(実施例70)ヒト2番染色体断片及び14番染色体(断
片)を同時に保持するマウス個体の交配による作成 (実施例42)あるいは(実施例43)で得られたヒト2
番染色体断片を保持するマウス系統と(実施例68)で得
られるヒト14番染色体(断片)を保持するマウス系統を
交配することにより生まれる子マウスの尻尾より調製し
たゲノムDNAをPCR法等(実施例9、42、43)により解析
して、ヒト2番染色体部分断片及びヒト14番染色体(断
片)を同時に保持する個体を得る。
(実施例71)ヒト22番染色体(断片)及び14番染色体
(断片)を同時に保持するマウス個体の交配による作成 (実施例69)で得られるヒト22番染色体(断片)を保
持するマウス系統と(実施例68)で得られるヒト14番染
色体(断片)を保持するマウス系統を交配することによ
り生まれる子マウスの尻尾より調製したゲノムDNAをPCR
法等(実施例30、42、43)により解析して、ヒト22番染
色体(断片)及びヒト14番染色体(断片)を同時に保持
する個体を得る。
(実施例72)ヒト2番染色体断片、14番染色体(断片)
及び22番染色体(断片)を同時に保持するマウス個体の
交配による作成 (実施例71)で得られるヒト22番染色体(断片)及び
ヒト14番染色体(断片)を保持するマウス系統を(実施
例42、43)で得られたヒト2番染色体断片を保持するマ
ウス系統と交配することにより生まれる子マウスの尻尾
より調製したゲノムDNAをPCR法等(実施例9、30、42、
43)により解析して、ヒト22番染色体(断片)及びヒト
14番染色体(断片)及びヒト2番染色体部分断片の3種
のヒト染色体を同時に保持する個体を得る。あるいは
(実施例70)で得られるヒト2番染色体(断片)及びヒ
ト14番染色体(断片)を保持するマウス系統と(実施例
69)で得られるヒト22番染色体断片を保持するマウス系
統と交配することによっても同様に3種のヒト染色体を
同時に保持するマウス個体を得る。
(実施例73)完全なヒト抗体を主として産生するマウス
系統の交配による作成 ヒト2番+14番(実施例70)、14番+22番(実施例7
1)、2番+14番+22番(実施例72)染色体を保持する
マウス系統を内在性抗体重鎖(実施例67;Kitamuraら,Na
ture,350,423−,1991)、軽鎖κ(Zouら,EMBO J.,12,81
1−,1993;Chenら,EMBO J.,12,821−,1993)遺伝子を欠
損しているマウス系統と交配を繰り返し、ヒト2番+14
番、14番+22番、または2番+14番+22番染色体を保持
するマウスをPCR解析等(実施例9、30、42、43)によ
り選抜し、主に完全なヒトを産生するマウス系統を確立
する(Greenら,Nature Genetics,7,13−,1994,Lonberg
ら,Nature,368,856−,1994)。
(実施例74)交配により得られるヒト抗体遺伝子を含む
ヒト染色体を保持するマウス系統からのヒト抗体産生ハ
イブリドーマ取得 (実施例25)と同様に(実施例42、43、68、69、70、
71、72、73)で得られるヒト抗体遺伝子を含むヒト染色
体を保持するマウス個体に目的とする抗原で免疫し、脾
臓を取り出し、ミエローマ細胞と細胞融合し、ハイブリ
ドーマを作成する。1〜3週間培養し培養上清をELISA
法で解析する。ELISA法は(実施例14、15、21、22、2
5、33、34、37、38)に示した方法で行ない、ヒト抗体
陽性及びヒト抗体陽性かつ免疫した抗原特異的クローン
を得る。
(実施例75)マウス抗体重鎖両側アレル破壊TT2F細胞株
由来キメラマウスの血清中のマウスIgMの検出および定
量 (実施例51)で取得されたマウス抗体重鎖両側アレル
破壊TT2F細胞株(#131−3)より(実施例40)に示し
た方法で誕生した子マウスのうちキメラ率がそれぞれ0
%、50%、99%の3個体について血清中のマウスIgMの
検出および定量を行った。生後約2週齢のキメラマウス
より採血し血清中のマウスIgM濃度を(実施例14)のELI
SA法を用いて定量した。PBSで希釈した抗マウスIgM抗体
(Kirkegaar & Perry Laboratories Inc.,01−18−0
3)を固定し、次いで5%FBSを添加したPBSで希釈した
血清試料を加えた。ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgM
抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories Inc.,074−1
803)を加え、TMBZを基質とし、450nmの吸光度を測定し
た。精製さたマウスIgM(ファーミンジェン、03081D)
を標準とし段階的にFBS添加のPBSで希釈した。結果を第
20表に示す。マウス抗体重鎖の両側アレルが破壊された
TT2F細胞由来ののキメラマウスのうち、キメラ率が99%
のものはマウスIgM濃度が低く、ES細胞のマウス重鎖遺
伝子がほとんど機能しないことが確認された。
産業上の利用可能性 本発明により、単一または複数の外来染色体またはの
断片を保持し、該染色体またはその断片上の遺伝子を発
現するキメラ非ヒト動物が提供された。本発明のキメラ
非ヒト動物を利用して、生物学的に活性な物質を製造す
ることができる。
本発明により、単一または複数の外来染色体またはそ
の断片を保持し、該染色体またはその断片上の遺伝子を
発現する分化多能性を持つ細胞が提供された。該細胞を
利用して、骨髄移植等による遺伝病治療を行うことがで
きる。
配列表 配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:2 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:3 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:4 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:6 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:7 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:9 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:10 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:11 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:12 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:13 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:14 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:15 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:16 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:17 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:18 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:19 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:20 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:21 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:23 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:24 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:25 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:26 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:27 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:28 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:29 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:30 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:31 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:32 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:33 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:34 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:35 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:36 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:37 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:38 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:39 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:40 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:41 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:42 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:43 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:44 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:45 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:46 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:47 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:48 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:49 配列の長さ:27 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:50 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:51 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:52 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:53 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:54 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:55 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:56 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:57 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:58 配列の長さ:28 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:59 配列の長さ:60 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:60 配列の長さ:60 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:61 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 配列番号:62 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 押村 光雄 鳥取県米子市西町86 鳥取大学医学部生 命科学科内 (72)発明者 石田 功 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒麟麦酒株式会社 基盤技術研究所内 (56)参考文献 Richa J.et al,Sci ence,Vol.245,p.175−177 (1989) Green L.L.et al,N ature Genetics,Vo l.7,p.13−21(1994) Choi T.K.et al,Na ture Genetics,Vol. 4,p.117−123(1993) Strauss W.M.et a l,The EMBO J.vol. 11,p.417−422(1992) Pachnis V.et al,P roc,Natl.Acad.Sci. USA.,vol.87,p.5109−5113 (1990) 要 匡著「組織培養」第22巻第13号第 502−505頁(1996) Peterson C.H.et a l.,Trends in Genet ics,vol.13,p.61−66 (1997) Smith D.J.et al,G enomics,vol.27,p.425 −434(1995) Rubin E.M.et al., Trends in Genetic s,vol.13,p.423−426(1997) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01K 67/027 C12N 5/16 C12P 21/08 BIOSIS JICST

Claims (63)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融合
    により、分化多能性を有する細胞へ前記単一または複数
    の外来染色体あるいはその断片を移入させることを特徴
    とする、単一または複数の外来染色体あるいはその断片
    を保持するキメラ非ヒト動物の作製方法。
  2. 【請求項2】単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片を含むミクロセルを作製し、該ミクロセルとの融合
    により、分化多能性を有する細胞へ前記単一または複数
    の外来染色体あるいはその断片を移入させることを特徴
    とする、単一または複数の外来染色体あるいはその断片
    を保持する分化多能性を有する細胞の作製方法。
  3. 【請求項3】単一の外来染色体あるいはその断片の総塩
    基長が1Mb(百万塩基対)以上である請求の範囲第1項
    または第2項記載の方法。
  4. 【請求項4】外来染色体あるいはその断片が抗体をコー
    ドする領域を含むものである請求の範囲第1項または第
    2項記載の方法。
  5. 【請求項5】単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片を含むミクロセルが、単一または複数の外来染色体
    あるいはその断片を供与する細胞とミクロセル形成能の
    高い細胞とを融合させて作製されたハイブリッド細胞か
    ら誘導されたものである請求の範囲第1項または第2項
    記載の方法。
  6. 【請求項6】単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片を含むミクロセルが、前記ハイブリッド細胞から誘
    導されたミクロセルをさらにミクロセル形成能の高い細
    胞と融合させて作製された細胞から誘導されたものであ
    る請求の範囲第5項記載の方法。
  7. 【請求項7】ミクロセル形成能の高い細胞がマウスA9細
    胞である請求の範囲第5項または第6項に記載の方法。
  8. 【請求項8】単一または複数の外来染色体あるいはその
    断片がヒト正常2倍体細胞に由来するものである請求の
    範囲第1項または第2項記載の方法。
  9. 【請求項9】分化多能性を有する細胞がES細胞である請
    求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  10. 【請求項10】外来染色体あるいはその断片が目的の遺
    伝子を含むものであり、分化多能性を有する細胞がその
    外来染色体あるいはその断片上の該目的の遺伝子と同じ
    あるいは相同の遺伝子が破壊されているものである請求
    の範囲第1項記載の方法。
  11. 【請求項11】外来染色体あるいはその断片が目的の遺
    伝子を含むものであり、分化多能性を有する細胞がその
    外来染色体あるいはその断片上の該目的の遺伝子と同じ
    あるいは相同の遺伝子が破壊されているものである請求
    の範囲第2項記載の方法。
  12. 【請求項12】該目的の遺伝子と同じあるいは相同の遺
    伝子の破壊が標的遺伝子相同組み換え法によるものであ
    る請求の範囲第10項または第11項記載の方法。
  13. 【請求項13】キメラ非ヒト動物を作製するための宿主
    胚が、前記目的の遺伝子と同じあるいは相同の遺伝子が
    欠損している系統の非ヒト動物に由来するものである請
    求の範囲第10項記載の方法。
  14. 【請求項14】前記目的の遺伝子と同じあるいは相同の
    遺伝子が欠損している系統の非ヒト動物が標的遺伝子相
    同組み換え法により作製されたものである請求の範囲第
    13項記載の方法。
  15. 【請求項15】キメラ非ヒト動物が、前記外来染色体あ
    るいはその断片上の遺伝子を発現するものである請求の
    範囲第1項記載の方法。
  16. 【請求項16】キメラ非ヒト動物が、前記外来染色体あ
    るいはその断片を子孫に伝達可能なものである請求の範
    囲第1項記載の方法。
  17. 【請求項17】キメラ非ヒト動物が哺乳動物である請求
    の範囲第1項記載の方法。
  18. 【請求項18】哺乳動物がマウスである請求の範囲第17
    項記載の方法。
  19. 【請求項19】請求項2記載の方法で作製された、外来
    染色体あるいはその断片を保持する分化多能性を有する
    細胞。
  20. 【請求項20】ヒト由来染色体あるいはその断片の塩基
    長が1Mb以上であって、該ヒト由来染色体あるいはその
    断片の単一あるいは複数を保持する分化多能性を有する
    細胞であって、該細胞の分化後に該ヒト由来染色体ある
    いはその断片上の遺伝子が発現しうるものである、分化
    多能性を有する細胞。
  21. 【請求項21】キメラ非ヒト動物を作製するための請求
    の範囲第19項から第20項のいずれか一項に記載の細胞の
    使用。
  22. 【請求項22】請求項1記載の方法で作製された、外来
    染色体あるいはその断片を少なくとも一部の宿主細胞中
    において保持するキメラ非ヒト動物。
  23. 【請求項23】外来染色体がヒト由来染色体である、請
    求項22に記載のキメラ非ヒト動物。
  24. 【請求項24】ヒト由来染色体あるいはその断片の塩基
    長が1Mb以上であって、該ヒト由来染色体あるいはその
    断片の単一あるいは複数を少なくとも一部の宿主細胞中
    において保持し、該ヒト由来染色体あるいはその断片上
    の遺伝子を発現する非ヒト動物。
  25. 【請求項25】キメラ動物である請求の範囲第24項記載
    の非ヒト動物。
  26. 【請求項26】請求の範囲第22項から第25項のいずれか
    に記載の非ヒト動物の交配により得られ、前記外来ある
    いはヒト由来染色体、もしくはそれらの断片を保持する
    非ヒト動物。
  27. 【請求項27】請求の範囲第22項から第26項のいずれか
    に記載の非ヒト動物を、前記外来あるいはヒト由来染色
    体、もしくはそれらの断片上の遺伝子と相同の遺伝子が
    欠損している系統の非ヒト動物と交配させることにより
    作製された、前記外来あるいはヒト由来染色体、もしく
    はそれらの断片を宿主細胞中に保持する非ヒト動物およ
    びその子孫。
  28. 【請求項28】塩基長が1Mb(百万塩基対)以上のヒト
    由来DNAの単一あるいは複数を少なくとも一部の宿主細
    胞中において保持し、該ヒト由来DNA上の遺伝子を発現
    する非ヒト動物。
  29. 【請求項29】ヒト抗体遺伝子を保持するものである請
    求の範囲第22項から第28項のいずれかに記載の非ヒト動
    物。
  30. 【請求項30】ヒト抗体遺伝子が、ヒト重鎖遺伝子、ヒ
    ト軽鎖κ遺伝子、ヒト軽鎖λ遺伝子およびそれらの組み
    合わせから成る群より選択される請求の範囲第29項記載
    の非ヒト動物。
  31. 【請求項31】請求の範囲第22項から第30項のいずれか
    に記載の非ヒト動物に由来する組織であって、外来ある
    いはヒト由来遺伝子を有する組織。
  32. 【請求項32】請求の範囲第22項から第30項のいずれか
    に記載の非ヒト動物に由来する細胞であって、外来ある
    いはヒト由来遺伝子を有する細胞。
  33. 【請求項33】B細胞である請求の範囲第32項記載の細
    胞。
  34. 【請求項34】請求の範囲第33項記載の細胞とミエロー
    マ細胞との融合により作製されたハイブリドーマ。
  35. 【請求項35】請求の範囲第22項から第34項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物の個体、組織、細胞またはハイ
    ブリドーマにおいて、外来あるいはヒト由来遺伝子を発
    現させ、その産物としての生物学的に活性な物質を回収
    することを特徴とする、生物学的に活性な物質の製造
    法。
  36. 【請求項36】前記生物学的に活性な物質が、ヒト抗体
    である請求の範囲第35項に記載の方法。
  37. 【請求項37】請求の範囲第22項から第34項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物の個体、組織、細胞またはハイ
    ブリドーマにおいて、外来あるいはヒト由来遺伝子を単
    離することを特徴とする、生物学的に活性な物質を産生
    するためのDNAの作製方法。
  38. 【請求項38】前記外来あるいはヒト由来遺伝子の単離
    が、cDNAを単離するものである、請求の範囲37項に記載
    の方法。
  39. 【請求項39】請求の範囲第22項から第34項のいずれか
    一項に記載の組織、細胞、ハイブリドーマから外来ある
    いはヒト由来遺伝子を単離し、該遺伝子を動物細胞ある
    いは昆虫細胞に導入し、該細胞を該遺伝子を発現しうる
    条件下で培養し、発現した生物学的に活性な物質を回収
    することを特徴とする、生物学的に活性な物質の製造方
    法。
  40. 【請求項40】前記外来あるいはヒト由来遺伝子の単離
    が、cDNAを単離するものである、請求の範囲第39項に記
    載の方法。
  41. 【請求項41】前記動物細胞あるいは昆虫細胞が、CHO
    細胞、BHK細胞、肝ガン細胞、ミエローマ細胞およびSF9
    細胞から選ばれるものである請求の範囲第39項に記載の
    方法。
  42. 【請求項42】ヒト抗体遺伝子を有する外来染色体ある
    いはその断片の塩基長が1Mb以上であって、該外来染色
    体あるいはその断片の単一あるいは複数を、少なくとも
    一部の宿主細胞中において保持し、ヒト抗体の少なくと
    も一つのクラスまたはサブクラスを発現する非ヒト動
    物。
  43. 【請求項43】1Mb(百万塩基対)以上のヒト抗体遺伝
    子の少なくとも一つを少なくとも一部の宿主細胞中にお
    いて保持し、ヒト抗体の少なくとも一つのクラスまたは
    サブクラスを発現する非ヒト動物。
  44. 【請求項44】ヒト抗体のクラスまたはサブクラスが、
    IgM,IgG,IgE,IgA、IgDおよびそれらのサブクラス、なら
    びにそれらの組み合わせから選択される請求の範囲第42
    項または第43項に記載の非ヒト動物。
  45. 【請求項45】ヒト抗体遺伝子が、ヒト重鎖遺伝子、ヒ
    ト軽鎖κ遺伝子、ヒト軽鎖λ遺伝子およびそれらの組み
    合わせから成る群より選択される請求の範囲第42項から
    第43項のいずれかに記載の非ヒト動物。
  46. 【請求項46】ヒト抗体重鎖遺伝子のすべてを保持する
    ものである請求の範囲第42項から第43項のいずれかに記
    載の非ヒト動物。
  47. 【請求項47】ヒト抗体軽鎖κ遺伝子のすべてを保持す
    るものである請求の範囲第42項から第43項のいずれかに
    記載の非ヒト動物。
  48. 【請求項48】ヒト抗体軽鎖λ遺伝子のすべてを保持す
    るものである請求の範囲第42項から第43項のいずれかに
    記載の非ヒト動物。
  49. 【請求項49】該ヒト抗体遺伝子と相同の非ヒト動物抗
    体遺伝子が欠損している請求の範囲第42項から第48項の
    いずれか一項に記載の非ヒト動物。
  50. 【請求項50】前記非ヒト動物抗体遺伝子の欠損が、標
    的遺伝子相同組換え法による該非ヒト動物抗体遺伝子の
    破壊によるものである請求の範囲第49項記載の非ヒト動
    物。
  51. 【請求項51】請求の範囲第42項から第50項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物に由来する、ヒト抗体遺伝子を
    有する組織。
  52. 【請求項52】請求の範囲第42項から第50項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物に由来する、ヒト抗体遺伝子を
    有する細胞。
  53. 【請求項53】B細胞である請求の範囲第52項記載の細
    胞。
  54. 【請求項54】請求の範囲第53項記載の細胞とミエロー
    マ細胞との融合により作製されたハイブリドーマ。
  55. 【請求項55】請求の範囲第42項から第50項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物の脾臓細胞とミエローマ細胞と
    の融合により得られる、ヒト抗体遺伝子を有するハイブ
    リドーマ。
  56. 【請求項56】請求の範囲第54項または55項に記載のハ
    イブリドーマを用いることを特徴とする、ヒト抗体の産
    生方法。
  57. 【請求項57】請求の範囲第51項から第55項のいずれか
    一項に記載の組織、細胞、ハイブリドーマからヒト抗体
    遺伝子を単離することを特徴とする、ヒト抗体産生用DN
    Aの作製方法。
  58. 【請求項58】前記ヒト抗体遺伝子の単離が、cDNAを単
    離するものである、請求の範囲57項に記載の方法。
  59. 【請求項59】請求の範囲第51項から第55項のいずれか
    一項に記載の組織、細胞、ハイブリドーマからヒト抗体
    遺伝子を単離し、該ヒト抗体遺伝子を動物細胞あるいは
    昆虫細胞に導入し、該細胞をヒト抗体遺伝子を発現しう
    る条件下で培養し、発現したヒト抗体を回収することを
    特徴とする、ヒト抗体の製造方法。
  60. 【請求項60】前記ヒト抗体遺伝子の単離が、cDNAを単
    離するものである、請求の範囲第59項に記載の方法。
  61. 【請求項61】前記動物細胞あるいは昆虫細胞が、CHO
    細胞、BHK細胞、肝ガン細胞、ミエローマ細胞およびSF9
    細胞から選ばれるものである請求の範囲第59項に記載の
    方法。
  62. 【請求項62】請求の範囲第42項から第50項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物に抗原を免疫し、該非ヒト動物
    の血液から抗血清を取得することを特徴とする、ヒトポ
    リクローナル抗体の製造方法。
  63. 【請求項63】請求の範囲第42項から第50項のいずれか
    一項に記載の非ヒト動物に抗原を免疫し、該非ヒト動物
    の血液から抗血清を取得することを特徴とする、ヒト抗
    体を含む抗血清の製造方法。
JP9510126A 1995-08-29 1996-08-29 キメラ動物およびその作製法 Expired - Lifetime JP3030092B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9510126A JP3030092B2 (ja) 1995-08-29 1996-08-29 キメラ動物およびその作製法

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24234095 1995-08-29
JP2794096 1996-02-15
JP7-242340 1996-02-15
JP8-27940 1996-02-15
JP9510126A JP3030092B2 (ja) 1995-08-29 1996-08-29 キメラ動物およびその作製法
PCT/JP1996/002427 WO1997007671A1 (fr) 1995-08-29 1996-08-29 Animal chimerique et procede de constitution

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11078572A Division JPH11313576A (ja) 1995-08-29 1999-03-23 キメラ動物およびその作製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3030092B2 true JP3030092B2 (ja) 2000-04-10

Family

ID=27286006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9510126A Expired - Lifetime JP3030092B2 (ja) 1995-08-29 1996-08-29 キメラ動物およびその作製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3030092B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2042594A1 (en) 2000-11-17 2009-04-01 Kirin Pharma Kabushiki Kaisha Expression of xenogenous (human) immunoglobulins in cloned, transgenic ungulates
WO2012067188A1 (ja) 2010-11-18 2012-05-24 国立大学法人岡山大学 ヒト型抗体を産生するb細胞の作製方法
WO2012074116A1 (ja) 2010-12-02 2012-06-07 独立行政法人理化学研究所 アロNKT細胞を用いた免疫療法およびそのためのT細胞抗原受容体(TCR)遺伝子のα鎖領域が均一なVα-Jαに再構成されている細胞および該細胞由来NKT細胞のバンキング

Non-Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Choi T.K.et al,Nature Genetics,Vol.4,p.117−123(1993)
Green L.L.et al,Nature Genetics,Vol.7,p.13−21(1994)
Pachnis V.et al,Proc,Natl.Acad.Sci.USA.,vol.87,p.5109−5113(1990)
Peterson C.H.et al.,Trends in Genetics,vol.13,p.61−66(1997)
Richa J.et al,Science,Vol.245,p.175−177(1989)
Rubin E.M.et al.,Trends in Genetics,vol.13,p.423−426(1997)
Smith D.J.et al,Genomics,vol.27,p.425−434(1995)
Strauss W.M.et al,The EMBO J.vol.11,p.417−422(1992)
要 匡著「組織培養」第22巻第13号第502−505頁(1996)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2042594A1 (en) 2000-11-17 2009-04-01 Kirin Pharma Kabushiki Kaisha Expression of xenogenous (human) immunoglobulins in cloned, transgenic ungulates
WO2012067188A1 (ja) 2010-11-18 2012-05-24 国立大学法人岡山大学 ヒト型抗体を産生するb細胞の作製方法
WO2012074116A1 (ja) 2010-12-02 2012-06-07 独立行政法人理化学研究所 アロNKT細胞を用いた免疫療法およびそのためのT細胞抗原受容体(TCR)遺伝子のα鎖領域が均一なVα-Jαに再構成されている細胞および該細胞由来NKT細胞のバンキング

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4318736B2 (ja) ヒト抗体遺伝子を発現する非ヒト動物とその利用
JP3732407B2 (ja) 染色体の改変方法
US8110671B2 (en) Isolated human chromosome 14 fragment encoding immunoglobulin genes
JP4082740B2 (ja) 内因性遺伝子が破壊されている分化多能性保持細胞
KR100882029B1 (ko) 클로닝된 트랜스제닉 유제류에서 이종 (사람)면역글로블린의 발현
US7435871B2 (en) Transgenic animals bearing human Igλ light chain genes
US20040250307A1 (en) Transgenic avian species for making human and chimeric antibodies
JP3030092B2 (ja) キメラ動物およびその作製法
JP2007312792A (ja) キメラ動物およびその作製法
JP2003000243A (ja) 変異体の製造法
JPH11313576A (ja) キメラ動物およびその作製法
TWI223585B (en) Chimeric animal and method for producing the same
JP2001231403A (ja) 改変された外来染色体あるいはその断片を保持する非ヒト動物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080204

Year of fee payment: 8

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080204

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080204

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

Year of fee payment: 9

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090204

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100204

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110204

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120204

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120204

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130204

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140204

Year of fee payment: 14

EXPY Cancellation because of completion of term