JP3029302B2 - クロマトグラフィー用充填剤及びその製造方法 - Google Patents

クロマトグラフィー用充填剤及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクロマトグラフィー用充
填剤、特にその表面修飾剤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】各種化学成分の分離・抽出にクロマトグ
ラフィーが用いられている。このクロマトグラフィーに
おいて、試料分子と充填剤表面との双極子−双極子相互
作用、π電子−π電子相互作用、あるいは水素結合形成
力の差により試料分子同士の分離が達成される吸着クロ
マトグラフィーの充填剤としては、巨大孔と微細孔が網
目状に分布した全多孔性シリカゲルや、ポリスチレンな
どの共重合によるポーラスポリマーなどが用いられてい
る。特に多孔性シリカゲルをシランカップリング剤によ
り表面修飾した充填剤は、用いたシランカップリング剤
の構造により、試料分子の分離特性が異なるため、様々
な構造をもつ試料分子の効率よい分離に有用である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、クロマトグ
ラフィーの充填剤として用いる表面修飾されたシリカゲ
ルの表面修飾剤は、オクタデシルシリル誘導体がもっと
も広く普及しており、ブチルシリル誘導体、オクチルシ
リル誘導体なども用いられている。しかしながら、これ
らはいずれも一分子中にシリカゲル表面と結合し得るケ
イ素官能基を一つしか持っておらず、従って、クロマト
グラフィーの展開溶媒中では、充填剤と溶媒との界面で
オクタデシル基、ブチル基、オクチル基といった分離特
性に影響を与える官能基はシリカゲル表面上で非規則的
に存在している。さらに、オクタデシル基、ブチル基、
オクチル基などは分子を形成する炭素鎖が自由に回転す
るため、実際に試料分子が充填剤表面に吸着される際に
は、その吸着形態に均質性がない。この均質性の欠如
は、試料分子の構造に応じて表面修飾剤を設計する際の
重大な欠点である。
【0004】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的は各種物質が良好に分離でき、
さらに短時間で効率よく分離精製が可能なクロマトグラ
フィー用充填剤及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、一分子中に複数
のケイ素官能基を持つ芳香族化合物(以下「多足型シラ
ンカップリング剤」と称する)を表面修飾剤として用い
ることで、充填剤本体表面に有機官能基を規則的に配列
させることにより、優れた分離特性を発揮することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本出願の請求項1記載のクロマト
グラフィー用充填剤は、充填剤本体に対して、多足型シ
ランカップリング剤を表面修飾させた充填剤において、
該多足型シランカップリング剤が芳香環にシリル基の一
種又は二種以上を2個以上結合した芳香族化合物及び/
又はその誘導体であることを特徴とする。また、請求項
2記載のクロマトグラフィー用充填剤は、シリル基の一
種又は二種以上を2個以上結合した芳香族化合物及び/
又はその誘導体を含み、前記各シリル基を充填剤本体に
結合させた充填剤において、充填剤本体の表面が複数の
シリル基を介して結合された芳香環により表面修飾され
ていることを特徴とする。請求項3記載のクロマトグラ
フィー用充填剤は請求項2に記載の充填剤において、シ
リル基がアルキル基及び/又はアリール基を有すること
を特徴とする。請求項記載のクロマトグラフィー用充
填剤充填剤は、充填剤本体が多孔性シリカゲルないし多
孔性ガラスであることを特徴とする。請求項記載のク
ロマトグラフィー用充填剤は、多足型シランカップリン
グ剤は、ジアルキルハロゲノシリル、ジアリールハロゲ
ノシリル、モノアルキルジハロゲノシリル、モノアリー
ルアルキルハロゲノシリル、モノアリールジハロゲノシ
リル、トリハロゲノシリル、ジアルキルアルコキシシリ
ル、ジアリールアルコキシシリル、モノアリールアルキ
ルアルコキシシリル、モノアルキルジアルコキシシリ
ル、モノアリールジアルコキシシリル、トリアルコキシ
シリル基の中から選ばれる一種又は二種以上を2個以上
結合した芳香族化合物及び/又はその誘導体であること
を特徴とする。請求項記載のクロマトグラフィー用充
填剤は、芳香族化合物ないしその誘導体は、ベンゼン、
ナフタレン、アントラセン、ピレン、ジフェニル、アセ
ナフチレン、チオフェン、ピリジンの中から選ばれる一
種又は二種以上であることを特徴とする。請求項記載
のクロマトグラフィー用充填剤の製造方法は、トルエン
に分散した多孔性シリカゲルないし多孔性ガラスに、少
なくとも1個のハロゲン基をもつ多足型シランカップリ
ング剤とピリジンを加え、加熱する充填剤の製造方法に
おいて、該多足型シランカップリング剤が芳香環にシリ
ル基の一種又は二種以上を2個以上結合した芳香族化合
物及び/又はその誘導体であることを特徴とする。請求
記載のクロマトグラフィー用充填剤の製造方法は、
トルエン又はシクロヘキサンに分散した多孔性シリカゲ
ルないし多孔性ガラスに、アルコキシ基をもつ多足型シ
ランカップリング剤を加え、共沸により反応系からメタ
ノールを除去しながら加熱する充填剤の製造方法におい
て、該多足型シランカップリング剤が芳香環にシリル基
の一種又は二種以上を2個以上結合した芳香族化合物及
び/又はその誘導体であることを特徴とする。
【0007】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明に用いる「多足型シランカップリング剤」は、芳香
族化合物及びその誘導体に2つ又は3つ以上のジアルキ
ルハロゲノシリル、ジアリールハロゲノシリル、モノア
ルキルジハロゲノシリル、モノアリールアルキルハロゲ
ノシリル、モノアリールジハロゲノシリル、トリハロゲ
ノシリル基を有するものである。また、ジアルキルアル
コキシシリル、ジアリールアルコキシシリル、モノアリ
ールアルキルアルコキシシリル、モノアルキルジアルコ
キシシリル、モノアリールジアルコキシシリル、トリア
ルコキシシリル置換基を有するものも使用可能である。
これらの置換基は、芳香族化合物に直接、あるいは任意
のアルキル基をはさんで結合している。
【0008】芳香族化合物としては、ベンゼン、ナフタ
レン、アントラセン、ピレン、ジフェニル、アセナフチ
レン、チオフェン、ピリジンといった、一般に「芳香族
化合物」と称される単環式あるいは多環式の炭化水素化
合物のうち、任意のものを使用できる。
【0009】多足型シランカップリング剤としては、パ
ラビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン、1,3,5
−トリス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン、4,4’
−ビス(ジメチルシリル)ジフェニル、1,3,5−ト
リス(4−クロロジメチルシリルフェニル)ベンゼン、
パラビス(クロロジフェニルシリル)ベンゼン、4,
4’−ビス(クロロジメチルシリル)ジフェニルなどが
好適である。なお、塩素基のかわりにアルコキシ基を有
するパラビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼンなど
も使用し得る。本発明の実施にあたってはこれらのうち
の一種を任意に選択することができる。
【0010】充填剤本体としては、表面積が大きく、表
面上にシラノール基の存在する粉末が望ましく、特に多
孔性シリカゲルの使用が好ましいが、同様にシラノール
基を有する多孔性ガラスも使用できる。
【0011】充填剤の表面修飾は、トルエンに分散した
多孔性シリカゲルに、ピリジンと「多足型シランカップ
リング剤」(塩素基等のハロゲン基をもつもの)を加
え、加熱することにより行なわれる。「多足型シランカ
ップリング剤」(メトキシ基等のアルコキシ基をもつも
の)による表面修飾は、トルエンあるいはシクロヘキサ
ン中で共沸により反応系からメタノールを除去しながら
加熱する方法で実施される。いずれの場合も反応後のシ
リカゲルは濾過、洗浄し、乾燥して液体クロマトグラフ
ィーの充填剤として用いられる。
【0012】表面修飾されたシリカゲルは、元素分析に
より炭素含有率が測定され、シリカゲル表面100平方オ
ングストロームあたり、概ね1〜2個の芳香環が結合し
ている。2つないし3つ以上の芳香環に直接接続したシ
リル基により表面に結合しているため、これらの芳香環
は表面に平行に、ちょうどシリカゲル表面を芳香環が覆
うように存在していると推定され、固体高分解能NMR
スペクトルによりこの推定は支持される。
【0013】
【作用】本発明にかかるクロマトグラフィー用充填剤
は、一つの表面修飾剤分子が2個以上のシリル基により
充填剤本体に結合させているので、いわゆる複数点支持
が形成され、該表面修飾剤分子が充填剤本体上で比較的
均質に配置されるとともに、表面修飾剤分子が回転して
しまうことがない。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるク
ロマトグラフィー用充填剤によれば、充填剤本体の表面
に複数の結合基により結合された芳香環により表面修飾
がなされているため、様々な基質分子の分離に特徴的な
分離特性を与えることが可能となる。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。但し、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、配合量は重量%で示した。
【0016】実施例1 パラビス(ジメチルシリル)ベンゼン修飾シ
リカゲル 合成例1 パラビス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン0.75g
を乾燥したトルエン5mlに溶解し、ピリジン0.45g
を含むトルエン5mlに懸濁した多孔性シリカゲル1gを
加え、混合物を6時間加熱還流する。冷却静置してシリ
カゲルを沈降させた後、上澄み液をピペットで除去す
る。こうして得られたシリカゲルは、クロロホルム10
mlを加えて振盪し、静置して上澄みを除去する方法で3
度洗浄する。次に、メンブランフィルターを用いてシリ
カゲルを濾別し、メタノール10mlで3回洗浄する。こ
の方法で得られた表面修飾シリカゲルは、乾燥して液体
クロマトグラフィーの充填剤として用いることができ
る。この方法で合成した表面修飾シリカゲルは、元素分
析により、炭素含有率が7.97%であることが確認さ
れた。また、シリカゲル上に多足型にシランカップリン
グ剤が結合し、表面にベンゼン環が平行に存在している
ことが核磁気共鳴スペクトルから確認された。図1にこ
の表面修飾シリカゲルの固体高分解能核磁気共鳴スペク
トル(13C)を示す。スペクトルのベンゼン核の炭素に
相当するスペクトルは強度比1:2の2本の大きなピー
クからなり、それぞれジメチルシリル置換基に直接結合
した炭素と水素に直接結合した炭素に帰属される。これ
は図2に示したパラビス(ジメチルメトキシシリル)ベ
ンゼンの重クロロホルム中での核磁気共鳴スペクトルの
ベンゼン核に相当するスペクトルとほぼ一致しており、
固体上でパラビス(ジメチルシリル)ベンゼンの骨格が
疑いなく保持されていることを示している。従って、ベ
ンゼン基は2個のジメチルシリル基を介してシリカゲル
表面に結合される、いわゆる二足型構造を有し、回転を
生じることはない。合成例2 合成例1で記載したパラビス(ジメチルシリル)ベンゼ
ン骨格をシリカゲル上に担持した表面修飾シリカゲル
は、パラビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン0.
71gをトルエン10ml中に懸濁した多孔性シリカゲル
とともに加熱しても得られる。この場合、生成するメタ
ノールを除去するため、1時間加熱還流したのち溶媒を
蒸留除去し、新たにトルエン10mlを加えて1時間加熱
還流する、という操作を3度繰返す。合成例1で述べた
後処理を行なって、表面修飾シリカゲルを得ることがで
きる。この方法で得られたシリカゲルの炭素含有率は
3.45%である。
【0017】実施例2 トリス(ジメチルシリル)ベンゼン修飾シリ
カゲル トリス(ジメチルクロロシリル)ベンゼン1gを実施例
1で示した方法で多孔性シリカゲルに担持すると、炭素
含有率7.46%の表面修飾シリカゲルが得られる。こ
の場合も、固体高分解能核磁気共鳴スペクトルにより多
足型にシランカップリング剤がシリカゲル表面に結合し
ていることが確認された。従って、ベンゼン基は3個の
ジメチルシリル基を介してシリカゲル表面に結合され
る、いわゆる三足型構造を有し、回転を生じることはな
い。液体クロマトグラフィーへの応用例1 内径0.53mm、長さ15cmの溶融シリカ管に、実施例
2で製造したトリス(ジメチルシリル)ベンゼン修飾シ
リカゲルを、スラリー法で充填し、分離カラムを作成し
た。本カラムを高速液体クロマトグラフに接続し、移動
相としてメタノール:水(70:30)を毎分2μlで
流し、芳香族化合物の代表としてベンゼン(ピーク
a)、ナフタレン(ピークb)、アントラセン(ピーク
c)、ピレン(ピークd)、クリセン(ピークe)を選
び注入した。UV検出器を用いて254nmで検出しクロ
マトグラムを得た。これを図3に示す。同図のようにこ
れらの物質が良好に分離されている。液体クロマトグラフィーへの応用例2 応用例1で用いられたカラムを用いて、トリフェニレン
とo−ターフェニルの混合物を分析した。移動相はメタ
ノール:水(60:40)を流速毎分2μlで流し、U
V検出器を用いて254nmで検出した。この二つの化合
物はともに3つのベンゼンからなる芳香族化合物で、電
気的な性質により支配されるクロマト挙動としては類似
しているとさている。しかし、分子の形状は前者が平面
構造を持っているのに対し、後者は非平面構造であり、
大きく異なっている。このクロマトグラムを図4に示
す。両者は良好に分離され、トリフェニレンの保持時間
がo−ターフェニルよりも短い。比較例1 市販シリカゲル(Vydac201)を充填したカラム
を用いて、メタノール:水(70:30)を移動相と
し、同一条件で分析した結果を図5に示す。この場合、
実施例2で述べた多足型シランカップリング剤により表
面修飾されたシリカゲルと異なり、o−ターフェニルの
保持時間がトリフェニレンよりも短い。以上の実施例で
示したように本発明の充填剤は図3に示すように良好な
分離特性を有するのみならず、図4と図5を比較する
と、明らかに従来のシリカゲル充填剤とは異なる特徴的
な分離特性を有していることがわかる。
【0018】実施例3 1,3,5−トリス(ジメチルシリルフェニ
ル)ベンゼン修飾シリカゲル 図6に示す1,3,5−トリス(4−クロロジメチルシ
リルフェニル)ベンゼン0.66gを前記実施例1の合
成例1に示した方法で多孔性シリカゲルに担持すると、
炭素含有率4.48%の表面修飾シリカゲルが得られ
る。この場合も、固体高分解能NMRスペクトルにより
多足型にシランカップリング剤がシリカゲル表面に結合
していることが確実である。また、シリカゲル上に多足
型にシランカップリング剤が結合し、表面にベンゼン環
が平行に存在していることが核磁気共鳴スペクトルから
確認された。図7にこの表面修飾シリカゲルの固体高分
解能核磁気共鳴スペクトル(13C)を示す。スペクトル
のベンゼン核の炭素に相当するスペクトルは強度比1:
2の2本の大きなピークからなり、それぞれジメチルシ
リル置換基に直接結合した炭素と水素に直接結合した炭
素に帰属される。従って、ベンゼン基は3個のジメチル
シリルフェニル基を介してシリカゲル表面に結合され
る、いわゆる三足型構造を有し、回転を生じることはな
い。本充填剤を充填したカラムを高速液体クロマトグラ
フに接続し、移動相としてメタノール:水(70:3
0)を毎分2μlで流し、芳香族化合物の代表としてベ
ンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、クリセン
を選び注入した。UV検出器を用いて254nmで検出し
クロマトグラムを得た。これを図8に示す。同図より明
らかなように、各物質が良好に分離されている。
【0019】実施例4 パラビス(ジフェニルシリル)ベンゼン修飾
シリカゲル 図9に示すパラビス(クロロジフェニルシリル)ベンゼ
ン0.73gを、実施例1に示した方法で多孔性シリカ
ゲルに担持すると、炭素含有率9.08%の表面修飾シ
リカゲルが得られる。従って、ベンゼンは2個のジフェ
ニルシリル基を介してシリカゲル表面に結合される、い
わゆる二足型構造を有し、回転を生じることはない。本
充填剤を充填したカラムを高速液体クロマトグラフに接
続し、移動相としてメタノール:水(70:30)を毎
分2μlで流し、芳香族化合物の代表としてベンゼン、
ナフタレン、アントラセン、ピレン、クリセンを選び注
入した。UV検出器を用いて254nmで検出しクロマト
グラムを得た。これを図10に示す。同図より明らかな
ように、各物質が良好に分離されている。
【0020】実施例5 4,4’−ビス(ジメチルシリル)ジフェニ
ル修飾シリカゲル 図11に示す4,4’−ビス(クロロジメチルシリル)
ジフェニル0.98gを実施例1に示した方法で多孔性
シリカゲルに担持すると、炭素含有率13.84gの表
面修飾シリカゲルが得られる。従って、ジフェニル基は
2個のジメチルシリル基を介してシリカゲル表面に結合
される、いわゆる二足型構造を有し、回転を生じること
はない。本充填剤を充填したカラムを高速液体クロマト
グラフに接続し、移動相としてメタノール:水(70:
30)を毎分2μlで流し、芳香族化合物の代表として
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、クリセ
ンを選び注入した。UV検出器を用いて254nmで検出
しクロマトグラムを得た。これを図12に示す。同図よ
り明らかなように、各物質が良好に分離されている。以
上説明したクロマトグラフィー用充填剤によれば、特に
発癌性物質である多環式芳香族化合物(PAH)の分離
においては、そのπ電子−π電子相互作用により、従来
分離困難であった分子の分離も可能となり、カラム効率
を良好とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるクロマトグラフィー
用充填剤の13C−固体高分解能核磁気共鳴スペクトル図
である。
【図2】重クロロホルム中でのパラビス(ジメチルメト
キシシリル)ベンゼンの13C−核磁気共鳴スペクトル図
である。
【図3】本発明の充填剤を用いて、a:ベンゼン、b:
ナフタレン、c:アントラセン、d:ピレン、e:クリ
センを分析した場合のクロマトグラム図である。
【図4】本発明の充填剤を用いて、A:トリフェニレン
とB:o−ターフェニルを分析した場合のクロマトグラ
ム図である。
【図5】市販のODS系シリカゲルであるVydac2
01を充填剤として用いてA:トリフェニレンとB:o
−ターフェニルを分析した場合のクロマトグラム図であ
る。
【図6】実施例3に示す表面修飾剤の化学構造式図であ
る。
【図7】実施例3に示す表面修飾シリカゲルの13C−核
磁気共鳴スペクトル図である。
【図8】実施例3に示す充填剤を用いてa:ベンゼン、
b:ナフタレン、c:アントラセン、d:ピレン、e:
クリセンを分析した場合のクロマトグラム図である。
【図9】実施例4に示す表面修飾剤の化学構造式図であ
る。
【図10】実施例4に示す充填剤を用いて、a:ベンゼ
ン、b:ナフタレン、c:アントラセン、d:ピレン、
e:クリセンを分析した場合のクロマトグラム図であ
る。
【図11】実施例5に示す表面修飾剤の化学構造式図で
ある。
【図12】実施例5に示す充填剤を用いて、a:ベンゼ
ン、b:ナフタレン、c:アントラセン、d:ピレン、
e:クリセンを分析した場合のクロマトグラム図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大津 裕 神奈川県横浜市泉区和泉町4506 ハイツ 石井 A−201 (56)参考文献 特開 平2−142798(JP,A) 特開 平2−25758(JP,A) 特開 平1−250059(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 30/48 B01J 20/22

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充填剤本体に対して多足型シランカップ
    リング剤を表面修飾させた充填剤において、該多足型シ
    ランカップリング剤が芳香環にシリル基の一種又は二種
    以上を2個以上結合した芳香族化合物及び/又はその誘
    導体であることを特徴とするクロマトグラフィー用充填
    剤。
  2. 【請求項2】 シリル基の一種又は二種以上を2個以上
    結合した芳香族化合物及び/又はその誘導体を含み、前
    記各シリル基を充填剤本体に結合させた充填剤におい
    て、充填剤本体の表面が複数のシリル基を介して結合さ
    れた芳香環により表面修飾されていることを特徴とする
    クロマトグラフィー用充填剤。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の充填剤において、シリ
    ル基がアルキル基及び/又はアリール基を有することを
    特徴とするクロマトグラフィー用充填剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の充填剤
    において、充填剤本体が多孔性シリカゲルないし多孔性
    ガラスであることを特徴とするクロマトグラフィー用充
    填剤。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の充填剤において、多足型
    シランカップリング剤は、ジアルキルハロゲノシリル、
    ジアリールハロゲノシリル、モノアルキルジハロゲノシ
    リル、モノアリールアルキルハロゲノシリル、モノアリ
    ールジハロゲノシリル、トリハロゲノシリル、ジアルキ
    ルアルコキシシリル、ジアリールアルコキシシリル、モ
    ノアリールアルキルアルコキシシリル、モノアルキルジ
    アルコキシシリル、モノアリールジアルコキシシリル、
    トリアルコキシシリル基の中から選ばれる一種又は二種
    以上を2個以上結合した芳香族化合物及び/又はその誘
    導体であることを特徴とするクロマトグラフィー用充填
    剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜のいずれかに記載の充填剤
    において、芳香族化合物ないしその誘導体は、ベンゼ
    ン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ジフェニル、
    アセナフチレン、チオフェン、ピリジンの中から選ばれ
    る一種又は二種以上であることを特徴とするクロマトグ
    ラフィー用充填剤。
  7. 【請求項7】 トルエンに分散した多孔性シリカゲルな
    いし多孔性ガラスに、少なくとも1個のハロゲン基をも
    つ多足型シランカップリング剤とピリジンを加え、加熱
    する充填剤の製造方法において、該多足型シランカップ
    リング剤が芳 香環にシリル基の一種又は二種以上を2個
    以上結合した芳香族化合物及び/又はその誘導体である
    ことを特徴とするクロマトグラフィー用充填剤の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 トルエン又はシクロヘキサンに分散した
    多孔性シリカゲルないし多孔性ガラスに、アルコキシ基
    をもつ多足型シランカップリング剤を加え、共沸により
    反応系からメタノールを除去しながら加熱する充填剤の
    製造方法において、該多足型シランカップリング剤が芳
    香環にシリル基の一種又は二種以上を2個以上結合した
    芳香族化合物及び/又はその誘導体であることを特徴と
    するクロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
JP3025705A 1990-01-26 1991-01-25 クロマトグラフィー用充填剤及びその製造方法 Expired - Lifetime JP3029302B2 (ja)

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