JP3025658U

JP3025658U - 注入式ガスボンベ

Info

Publication number: JP3025658U
Application number: JP1995013993U
Authority: JP
Inventors: 純行藤原; 定利山下; 恒夫矢野
Original assignee: 純行藤原; 定利山下; 恒夫矢野
Priority date: 1995-12-08
Filing date: 1995-12-08
Publication date: 1996-06-21
Anticipated expiration: 2001-12-08

Abstract

(57)【要約】【課題】はんだゴテやガスライター、あるいはガスボン
ベ等に注入された可燃性液化ガスを完全に自然気化さ
せ、残らないようにして安全化を図ることのできる注入
式ガスボンベを提供する。【解決手段】イソブタン８０〜９９.８容量％、プロパ
ン０.２〜２０容量％及びその他０〜８.８容量％から成
る液化炭化水素ガスを充填した注入式ガスボンベ、特に
コードレスはんだゴテ及びガスライターのガス注入用に
用いられる注入式ガスボンベである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、新規な組成の可燃性液化ガスを充填した注入式ガスボンベに関し、さらに詳しくは、例えばコードレスはんだゴテやガスライターなどの燃料タンクに燃料ガス注入に適用した場合、使用中に残存ガス量に影響のない安定したコテ温度や安定した大きさの炎をもたらす注入式ガスボンベに関する。

【０００２】

【従来の技術】

小型ガスボンベは、一般にカセット式と注入式とに大別することができ、前者のカセット式は主として簡易卓上こんろに用いられ、一方注入式は主としてガスライターやコードレスはんだコテなどのガス注入用に用いられている。ところで、コードレスはんだコテは、液化炭化水素ガスを熱源とするものであって、電源を不要とするため、室内、屋外あるいは電圧の異なる海外でも自由に使用することができ、かつ幅広い温度コントロールが可能であるなどの利点を有することから、近年急速に普及してきている。このようなはんだコテやガスライターなどには、注入式ガスボンベにより、可燃性液化ガスが注入されるが、この可燃性液化ガスとしては、これまで一般に、沸点にかなりの差がある成分の混合物、具体的にはノルマルブタン（沸点：−０ .５℃）約７０容量％、イソブタン（沸点：−１２℃）約２８容量％、プロパン（沸点：−４２℃）約１容量％及びイソペンタン（沸点：２８℃）約１容量％の混合物が用いられており、そのため、次に示すような種々の問題が生じている。例えば、前記組成の可燃性液化ガスをはんだコテに使用した場合、沸点の低いプロパンとイソブタンが初めのうちに多く消費され、比較的沸点の高いノルマルブタンが多く残るようになり、そして、はんだコテの使用の際には、可燃性液化ガスの気化熱により、ガス貯蔵室の温度が下がり、時間の経過とともにガスの留出速度が少なくなり、安定したはんだコテ温度が保持できなくなるという問題が生じる。したがって、はんだコテ中の可燃性液化ガスを完全に消費しないうちに、新しい液化ガスの注入がしばしば行われ、その結果、ますます沸点の高いノルマルブタンが多く残るようになり、安定したはんだコテの温度がさらに一層保持できなくなるという悪循環を引き起こす。また、作業環境温度によって液化ガスの気化が左右されやすいので、作業環境温度に合わせて、はんだコテの温度調節を行わねばならないという問題もある。一方、ガスライターに前記組成の可燃性液化ガスを用いた場合、前記と同様の理由から、炎の大きさが環境温度や、ガス貯蔵室中の液化ガスの残量に左右されやすく、炎の量の調節をしばしば行わねばならないという問題が生じる。さらに、はんだコテやガスライターなどを廃棄処分する場合、あるいは注入式ガスボンベを廃棄処分する場合、前記組成の可燃性液化ガスでは、沸点の高い成分が残存しやすいので、爆発事故を起こすおそれがあるなどの問題もある。本考案者らグループは、先に、使用中に安定した火力を保ち、使用上の不便を感じることなく、充填された可燃性液化ガスを完全に消費することができ、しかも完全に廃棄することのできるカセット式ガスボンベを提案したが、従来の注入式ガスボンベにおいても、前記したような種々の問題を有し、その問題の解決が望まれていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、このような従来の注入式ガスボンベがもつ欠点を克服し、コードレスはんだコテやガスライターなどのガス注入に適用した場合、環境温度やガス貯蔵室中の液化ガスの残量にあまり左右されることがなく、使用中に安定したコテ温度や安定した大きさの炎をもたらし、しかも該はんだコテやガスライター、あるいはガスボンベを廃棄処分する場合、可燃性液化ガスを完全に自然気化させ、残らないようにして安全化を図ることのできる注入式ガスボンベを提供することを目的としてなされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案者らは、前記の好ましい性質を有する注入式ガスボンベを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、注入式ガスボンベに充填する可燃性液化ガスとして、沸点範囲が狭く、かつ少量の低沸点の可燃性ガスを含有するものを用いることにより、その目的を達成しうることを見い出し、この知見に基づいて本考案を完成するに至った。すなわち、本考案は、（１）充填液化炭化水素ガスのうち、イソブタンの含有量が８０〜９９.８容量％、プロパンの含有量が０.２〜２０容量％及びその他の液化炭化水素ガスの含有量が０〜８.８容量％であることを特徴とする注入式ガスボンベを提供するものである。また、本考案の好ましい態様は、（２）その他の液化炭化水素ガスのうち、ノルマルブタンの含有量が５容量％以下であり、イソペンタンの含有量が１容量％以下である第(１)項記載の注入式ガスボンベ、（３）充填液化炭化水素ガスのうち、イソブタンの含有量が９５〜９９.５容量％、プロパンの含有量が０.５〜５容量％及びその他の液化炭化水素ガスの含有量が０〜２.５容量％である第(１)項記載の注入式ガスボンベ、（４）コードレスはんだコテのガスタンクの注入に用いられる第(１)〜(３)項記載の注入式ガスボンベ、及び（５）ミニバーナー若しくはガスライターのガスタンクの注入に用いられる第( １)〜(３)項記載の注入式ガスボンベ、（６）ガストーチのガスタンクの注入に用いられる第(１)〜(３)項記載の注入式ガスボンベである。なお、本考案でいう容量％とは、それぞれの液化炭化水素ガス成分の標準状態における容量について求めたものである。

【０００５】

【考案の実施の形態】

本考案の注入式ガスボンベに充填され液化炭化水素ガスはイソブタン及びプロパンを必須成分とするものであり、イソブタンの含有量は９１〜９９.８容量％、好ましくは９５〜９９.５容量％、より好ましくは９７〜９９.５容量％の範囲である。このイソブタンの含有量が９１容量％未満では、はんだコテやガスライターに注入した場合、使用中のコテ温度や炎の大きさが一定しないので好ましくない。また、イソブタンの含有量が９９.８容量％を超えると、着火性に必要なプロパンを十分に含有せしめることができないので好ましくない。一方、プロパンの含有量は、０.２〜９容量％、好ましくは０.５〜５容量％、より好ましくは０.５〜３容量％の範囲である。このプロパンを含有させることにより、着火性、特に寒冷地における初期着火性が著しく改善される。このプロパンの含有量が０.２容量％未満では、着火性の改善効果がほとんど認められないので好ましくない。また、プロパンの含有量が９容量％を超えると、はんだコテやガスライターに注入した場合、使用中のコテ温度や炎の大きさが一定しないので好ましくない。本考案の注入式ガスボンベに充填される液化炭化水素ガスは、上記のイソブタン及びプロパンを必須成分として含有するものであるが、場合によりその他の液化炭化水素ガス、例えばメタン、エタン、エチレン、プロピレン、ノルマルブタン、１−ブテン、２−ブテン、イソブチレン、イソペンタン、ネオペンタンなどが８.８容量％以下の割合で含有していてもよい。その他の液化炭化水素ガスの含有量が８.８容量％を超えると本考案の目的が十分に達せられない。本考案の目的をより効果的に達成させるには、前記の他の液化炭化水素ガスの含有量は２ .５容量％以下が好適である。これらの他の液化炭化水素ガスの中で、ノルマルブタンの含有量は５容量％以下、特に２.５容量％以下が好ましい。ノルマルブタンはイソブタンよりも沸点が高いが、５容量％以下、特に２.５容量％以下であればイソブタンと共に徐々に気化して燃焼し、ノルマルブタンのみが残ることはない。含有量が５容量％を超えるとプロパン及びイソブタンが消費されたあとにノルマルブタンのみが残るおそれがあり、好ましくない。同様の理由から、イソペンタンの含有量は１容量％以下が好ましい。また、本考案においては、イソペンタンよりも沸点の高いノルマルペンタン、１−ペンテン、２−ペンテンなどが極く微量混在していても差し支えない。

【０００６】このような組成の液化炭化水素ガスが充填された本考案の注入式ガスボンベの用途については特に制限はなく、従来注入式ガスボンベが適用されている用途、例えばコードレスはんだコテや工作用ミニバーナー若しくはガスライター及びトーチなどのガスタンクの補給注入用として用いることができる。本考案のガス注入式ガスボンベよりガスが注入されたコードレスはんだコテ、ミニバーナー又はガスライターにおいては、環境温度やガス貯蔵室中の液化ガスの残量、すなわちガス消費量に左右されることがなく、使用中に安定したコテ温度又は炎の大きさを保持することができ、また、従来のように高沸点ガスが残存することがないので、新しいガスの注入を繰り返しても、高沸点ガスが蓄積されず、常に使用中に安定したコテ温度又は炎の大きさを保持することができる。さらに、前記のコードレスはんだコテやガスライターなど、あるいは本考案の注入式ガスボンベを廃棄処分する場合、可燃性液化ガスが実質上残存しない状態で廃棄しうるので、爆発事故などの危険性を回避することができる。本考案の注入式ガスボンベの大きさについては特に制限はなく、任意の大きさであってもよいが、実用的な面から、５０〜１０００ミリリットルの範囲が有利である。また、注入式ガスボンベでは、液化状態で供給されるので、供給ガス液と残存部ガス液の組成の変化はないので、大型ボンベとして１リットル程度のものも採用できる。本考案の注入式ガスボンベの機構としては、公知の注入式ガスボンベの構造、例えば図１の構造を使用することができる。この注入方式は、例えば、はんだコテの場合には、図１の注入式ガスボンベを注入口を下方にしてその先端にはんだコテのガスタンク補給管を押し込むと、ガスの通路が開通してはんだコテのタンクに圧縮ガス液が流入して、ガスタンクにガス液が充填される。充填後、タンク補給管を引き抜くとスプリングでガスボンベの通路が閉鎖される。本考案の注入式ガスボンベから、はんだコテ等に液化ガスを充填するときは、液体の状態で均一な組成の液化ガスが充填される。本考案の注入式ガスボンベから充填されたはんだコテは、ガス充填直後からガスが完全に留出するまで、一定の温度条件ではんだ作業を水耕できる。また、ミニバーナー若しくはトーチの場合は、使用中にバーナー若しくはトーチの炎が短くなることなく使用できる。ガスライターの場合は、ガスの開口を最初に設定すれば途中でバルブを調節する必要なくガスがなくなるまで使用できる。

【０００７】

【考案の効果】

本考案の注入式ガスボンベに充填される組成の液化炭化水素ガスは、環境温度やそのガス使用量にあまり左右されることがなく、安定した留出性を示し、かつ着火性が良好であり、しかも完全に燃焼しつくし、高沸点留分が残ることがない。また、本考案注入式ガスボンベから、はんだコテ、ミニバーナー等のタンクに小分けに注入する場合には液化状態であるので、注入式ガスポンベ中の組成は常に同一であり、一定の組成を常に充填供給することができる。したがって、コードレスはんだコテやミニバーナー若しくはガスライターなどのガス注入に本考案の注入式ガスボンベを適用した場合、注入区分毎の組成の差異はなく、また、充填後の環境温度やガス貯蔵タンク室中の液化ガスの残量にあまり左右されることがなく、使用中に安定したコテ温度や安定した炎の大きさをもたらす。しかも、該はんだコテやミニバーナー若しくはガスライター、トーチなど、あるいは本考案の注入式ガスボンベを廃棄処分する場合、単に留出口を開放するだけで可燃性液化ガスが速やかに実質上残存しない状態になり廃棄することができ、爆発事故などの危険性を回避できるなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の注入式ガスボンベの１例の断
面図である。

【符号の説明】

１ステム２ステムラバー３スプリング４ハウジング５マウンティングカップ６ガスケット７液化ガス

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者山下定利千葉県千葉市美浜区真砂４−３−３−105 (72)考案者矢野恒夫埼玉県飯能市川寺413−14

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】充填液化炭化水素ガスのうち、イソブタン
の含有量が８０〜９９.８容量％、プロパンの含有量が
０.２〜２０容量％及びその他の液化炭化水素ガスの含
有量が０〜８.８容量％であることを特徴とする注入式
ガスボンベ。
【請求項２】その他の液化炭化水素ガスのうち、ノルマ
ルブタンの含有量が５容量％以下であり、イソペンタン
の含有量が１容量％以下である請求項１記載の注入式ガ
スボンベ。
【請求項３】充填液化炭化水素ガスのうち、イソブタン
の含有量が９５〜９９.５容量％、プロパンの含有量が
０.５〜５容量％及びその他の液化炭化水素ガスの含有
量が０〜２.５容量％である請求項１記載の注入式ガス
ボンベ。
【請求項４】コードレスはんだコテのガスタンクのガス
注入に用いられる請求項１、２又は３記載の注入式ガス
ボンベ。
【請求項５】ミニバーナー若しくはガスライターのガス
タンクの注入に用いられる請求項１、２又は３記載の注
入式ガスボンベ。
【請求項６】ガストーチのガスタンクの注入に用いられ
る請求項１、２又は３記載の注入式ガスボンベ。