JP3024771B2 - 共用器の伝送路長決定方法 - Google Patents
共用器の伝送路長決定方法Info
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Description
した自動車電話装置等において、送信信号と受信信号を
同一のアンテナ等で送受信するための共用器、特に小型
で良好な周波数特性を得るための共用器の伝送路長決定
方法に関するものである。
フィルタで構成され、送信信号と受信信号を共通の端子
で送受信する機能を有している。
タの損失の改善、及び分波回路の抵抗損や分波損の低減
等、種々の提案がなされている。特に、通信装置の小型
化に伴い、小型で高性能な共用器の実現が必要不可欠な
ものとなっている。従来の一般的な共用器の一例を第2
図に示す。
基板1を有し、その基板1上には、共通端子2、入力端
子3及び出力端子4が設けられている。共通端子2に
は、分波回路パターン5の一端が接続され、その分波回
路パターン5の他端が、送信フィルタ6及び受信フィル
タ7を介して入力端子3及び出力端子4にそれぞれ接続
されている。分波回路パターン5は、伝送路長Ltの送信
側伝送路5aと、伝送路長Lrの受信側伝送路5bとで構成さ
れている。
での送信側及び受信側の伝送路長Lt,Lrは、インピーダ
ンス変換効果によって、共通端子2からみたそれぞれの
送信フィルタ6及び受信フィルタ7のインピーダンスが
相手方の中心周波数において最大になるように設計され
ている。すなわち、送信周波数Ftにおいて共通端子2か
らみた送信フィルタ6のインピーダンスは、この種の回
路で規定された特性インピーダンスZ0にほぼ等しいが、
受信フィルタ7のインピーダンスは最大になる。そし
て、受信周波数Frにおいて受信フィルタ7のインピーダ
ンスは、例えば出力端子4に接続されるインピーダンス
測定用の測定系の特性インピーダンスZ0にほぼ等しい
が、送信フィルタ6のインピーダンスは最大になる。実
際、相手方の中心周波数FtまたはFrにおいて送信フィル
タ6及び受信フィルタ7のそれぞれのインピーダンスは
無限大になることが理想的である。というのは、送信フ
ィルタ6及び受信フィルタ7のそれぞれのインピーダン
スは大きくなればなるほど、分波損失が小さくなり、無
限大になると、分波損失が完全に無くなるからである。
しかし、各インピーダンスを無限大にすることは不可能
なので、現実的には最大にする努力が払われている。
が共通端子2に入力すると、その受信信号は受信側伝送
路5bを通って受信フィルタ7で波され、出力端子4か
ら出力されて受信回路等に送られる。また、送信回路等
からの送信信号が入力端子3に入力すると、その送信信
号は、送信フィルタ6で波された後、送信側伝送路5a
を通って共通端子2から出力され、アンテナ等に送られ
る。
があった。
ンピーダンスと受信側の等価インピーダンスの各絶対値
を最大になるように、送信側と受信側の伝送路長Lt,Lr
を計算して共用器を設計している。この設計法を最大イ
ンピーダンス設計法と呼ぶことにする。このような最大
インピーダンス設計法で設計した共用器の送信側と受信
側の挿入損失を解析してみると、最大インピーダンス設
計法の持つ特性から、送信側と受信側のそれぞれの挿入
損失を最小にすることが不可能であった。すなわち、送
信側と受信側の伝送路長Lt,Lrをうまく選択できれば、
共用器の挿入損失を最小にすることができるのである
が、最大インピーダンス設計法を用いているため、最適
な伝送路長Lt,Lrを決定することが困難である。挿入損
失を最小限に抑えることは、共用器設計上では重要な課
題であるが、従来の最大インピーダンス設計法を用いて
いる限り、それが不可能である。
側と受信側の伝送路長を最適に決定して共用器の挿入損
失を最小限に抑えることが困難な点について解決した共
用器の伝送路長決定方法を提供するものである。
に接続された伝送路長Ltの送信側伝送路及び伝送路長Lr
の受信側伝送路を有する送、受信信号分波用の分波回路
パターンと、前記送信側伝送路の他端に接続された送信
信号波用の送信フィルタと、前記受信側伝送路の他端
に接続された受信信号波用の受信フィルタとが、基板
上に設けられた共用器において、前記送信側及び受信側
の伝送路長を次のように決定したものである。
ルタの挿入損失Tt及び受信フィルタの挿入損失Trの絶対
値が常に最小となるように、伝送路長Lt,Lrと、共通端
子からみた送信フィルタ側のインピーダンスZt及び受信
フィルタ側のインピーダンスZrとを、帰納法によって更
新しつつ、伝送路長Lt,Lrが所定精度に収束するまで反
復計算を行って最適な伝送路長を求めるようにしたもの
である。
長決定方法を構成したので、一定の挿入損失計算方法に
基づき、送信側及び受信側の伝送路長Lt,Lrと送信側及
び受信側のフィルタのインピーダンスZt,Zrとを更新し
ていき、伝送路長Lt,Lrが所定精度に収束するまで反復
計算を行うと、送信側と受信側の挿入損失TtとTrの両方
が同時に最小値になる最適な伝送路長が得られる。従っ
て、前記課題を解決できるのである。
示す共用器の構成説明図であり、同図(a)は回路図、
同図(b)は送信周波数Ftにおける等価回路図、及び同
図(c)は受信周波数Frにおける等価回路図である。
図と同様に、図示しない基板を有し、その基板上には、
共通端子12、入力端子13及び出力端子14が設けられてい
る。共通端子12には、分波回路パターン15の一端が接続
され、その分波回路パターン15の他端が送信フィルタ16
及び受信フィルタ17を介して入力端子13及び出力端子14
にそれぞれ接続されている。
面波フィルタ等で構成されている。特に、弾性表面波フ
ィルタを用いた場合、この弾性表面波フィルタは、小型
でかつ温度や経年変化に対して安定である上、振幅特性
と位相特性をほとんど独立に任意に設計できるという特
徴を有している。
送信側伝送路15aと、伝送路長Lrの受信側伝送路15bとで
構成されている。入力端子13及び出力端子14には、それ
ぞれ終端インピーダンス18,19が接続されている。一般
的に、この終端インピーダンス18,19は、インピーダン
スを測定するための測定系の特性インピーダンスZ0と同
じ値である。
構成であり、本実施例が従来と異なる点は、送信側及び
受信側の伝送路長Lt,Lrの決定方法である。
らみた受信側の等価インピーダンスZr、16aは送信側伝
送路15aと送信フィルタ16の合成した縦続行列[T]で
ある。
端子12からみた送信側の等価インピーダンスZt、17aは
受信側伝送路15bと受信フィルタ17の合成した縦続行列
[R]である。
(At,Bt,Ct,Dt)と(Ar,Br,Cr,Dr)は、それぞれ[T]
と[R]の成分で、複素数である。
側の挿入損失TtとTrを求めると、次の式(3)及び式
(4)のようになる。
長LtとLrを変化させることにより、両方とも同様に最小
値にすることができる。その長さを最適伝送路長、そし
てこれに基づく設計法を最適設計法と呼ぶことにする。
信側の等価インピーダンスZtの絶対値を最大になるよう
に送信側と受信側の伝送路長LtとLrを計算して共用器を
設計(最大インピーダンス設計法)している。これに対
して本実施例では、最適設計法を用いて最適伝送路長を
求めるものである。しかし、最適伝送路長の場合は、一
般的な関数式が確立されていないので、従来の最大イン
ピーダンス設計法と同じように、解析的に求めることが
困難である。
うな帰納法を用いて、電子計算機等で数値的に最適伝送
路長を計算するようにしている。
入損失Tt(またはTr)を用いて最大インピーダンス設計
法と最適設定法の違いを幾何学的に説明する。
説明図であり、横軸に実部、縦軸に虚部がとられてい
る。
インピーダンスZrは複素数であり、受信側伝送路長Lrを
変化させると、複素数平面上で第4図に示すような半径
R0、中心ω0(r0,x0)の円(C0)を描く。受信側イン
ピーダンスZrは次式のように表わせる。
(C0)の円周上にあるが、ω0を中心に互いに対称であ
る。点MはインピーダンスZrが最大になるときの位置を
示し、そして点M0はその時のアドミタンス1/Zrを示す。
点Mの座標を(r,0)とすれば、点M0の座標は(Z02/r,
0)である。半径R0の値と中心ω0の座標は次のように
なる。
中心ω1(r1,x1)の円(C1)である。点M0は、M1に移
動する。半径R1の値と中心ω1の座標は、次のようにな
る。
=R1、中心ω2(r2,x2)の円(C2)である。そのとき
点M1は点M2に移動する。中心ω2の座標は次のようにな
る。
は、第4図に示した複素数平面の座標系の原点0(0,
0)と、円(C2)の円周上の一点Nとを結ぶ線分に等し
い。受信側伝送路長Lrを変化させると、点Nは円(C2)
の円周上を移動し、当然、挿入損失Ttの絶対値も変化す
る。
2)と交わり、点Maと点Mbが得られる。点Nは、受信側
伝送路長Lrの変化によって円(C2)の円周上を移動し、
点Mbと重なると、挿入損失Ttの絶対値が最大になり、点
Maと重なると、挿入損失Ttの絶対値が最小になる。点N
が点Maと重なるようにLrを求めるのは、最適設計法の特
長で、挿入損失Ttの絶対値が常に最小になるようにす
る。一方、点Nは点M2と重なると、最大インピーダンス
設計法で設計した共用器の送信側挿入損失Ttの絶対値が
得られる。
法で設計した共用器の挿入損失は、最大インピーダンス
設計法で設計した共用器の挿入損失より小さくなる。従
って、最適設計法を用いれば、共用器の挿入損失を最小
値にすることができる。
めの帰納法のフローチャートであり、この図を参照しつ
つ、電子計算機等を用いた最適伝送路長決定方法につい
て説明する。
Lrの初期値をLt0=0とLr0=0とする。この時の縦続行
列は[T0]=[T]と[R0]=[R]、挿入損失はTt0
とTr0、共通端子12からみた送信フィルタ16のインピー
ダンスと受信フィルタ17のインピーダンスはZt0とZr0で
ある。
たような式(1)〜式(10−b)を用いた方法で、受信
側の仮の最適伝送路長Lr1を求め、そのときの送信側の
最小挿入損失をTt1とする。ステップ22では、最適伝送
路長Lr1と縦続行列[R0]で[R1]とZr1が得られ、そし
てステップ23で、受信周波数Frにおいて縦続行列[R1]
とインピーダンスZt0とで、送信側の仮の最適伝送路長L
t1と受信側の最小挿入損失Tr1を求めることができる。
さらにステップ24で、最適伝送路長Lt1と縦続行列[T
0]で[T1]とZt1が得られ、ステップ25で、送信周波数
Ftにおいて縦続行列[T1]とインピーダンスZr1で受信
側の新しい仮の最適伝送路長Lr2と、送信側の新しい最
小挿入損失Tt2を求めることができる。
長Lr2と縦続行列[T0]で[R2]とZr2が得られ、ステッ
プ27で、受信周波数Frにおいて縦続行列[R2]とインピ
ーダンスZt1で送信側の新しい仮の最適伝送路長Lt2と、
受信側の新しい最小挿入損失Tr2を求めることができ
る。
受信側の最適伝送路長として使用できるかどうかを判別
するために、Lt1とLt2の差及びLr1とLr2の差を求め、こ
れらの差の値が所望の精度N(例えば10-6)より小さい
かどうかで決める。条件が満たされている場合、ステッ
プ29でLt2とLr2が最適伝送路長であると決定して計算を
終了し、一方条件が満たされない場合、ステップ30で、
Lt1=Lt2、Lr1=Lr2、Zr1=Zr2とし、結合子を介して
ステップ24に戻り、上述の反復計算を繰り返す。
路長は、ある値LtnとLrnに収束し、これが求める最適伝
送路長である。このときの挿入損失も最適値TtnとTrnに
なる。
な関数式が確立されれば、解析的に計算できるようにな
るかもしれないが、現在の実用範囲内では、本実施例の
計算精度が最良の方法といえる。
実施例の効果を説明する。
ルタを弾性表面波フィルタを用いて構成した、従来と本
実施例の共用器の挿入損失特性と反射損失特性図であ
る。
設計法で設計した共用器の挿入損失特性と反射損失特性
を示している。TT−1とTR−1はそれぞれ送信側と受信
側の挿入損失特性である。TL−1は共通端子12からみた
反射損失特性である。送信側と受信側の伝送路長は、そ
れぞれ0.2782×λrと0.2028×λtである。
用器の挿入損失特性を示している。従来と本実施例との
設計法の効果を確認するために、送信フィルタ16及び受
信フィルタ17を従来と同じ弾性表面波フィルタを用いて
構成した。この場合も、第5図(a)と同様に、TT−2
とTR−2はそれぞれ送信側と受信側の挿入損失特性で、
TL−2は共通端子12からみた反射損失特性である。送信
側と受信側の伝送路長はそれぞれ0.2452×λrと0.1872
×λtである。λtとλrは送信波長と受信波長であ
る。
るために、第5図(a)と第5図(b)の挿入損失特性
を拡大して同じ座標上で描いたものである。TT−1,TT−
2,TR−1,TR−2は第5図(a),(b)と同じものであ
る。TT−1とTT−2そしてTR−1とTR−2を比較してみ
ると、それぞれの通過帯域の中心周波数835.0MHzと880.
0MHzにおいて、本実施例の共用器の挿入損失の方が、従
来の方法で設計した共用器の挿入損失よりも少ないこと
がわかる。従って、本実施例の方法では、従来の方法よ
りも挿入損失を小さくでき、それによって共用器の信号
減衰量を小さくすることができる。
ィルタ及び受信フィルタの挿入損失Tt,Trが同時に最小
になるように、共通端子から送信フィルタ及び受信フィ
ルタまでの伝送路長Lt,Lrを帰納法を用いた計算手法で
計算し、最適な伝送路長を求めるようにしたので、送信
フィルタ及び受信フィルタの挿入損失を最小限に抑える
ことが可能となり、それによって小型で良好な周波数特
性を持った共用器を提供することができる。
適伝送路長を計算するための帰納法のフローチャート、
第2図は従来の共用器の構成図、第3図(a),
(b),(c)は本発明の実施例を示す共用器の構成説
明図であり、同図(a)は回路図、同図(b)は送信周
波数Ftにおける等価回路図、及び同図(c)は受信周波
数Frにおける等価回路図、第4図は最大インピーダンス
設計法と最適設計法の説明図、第5図(a),(b),
(c)は従来と本実施例とを比較するための共用器の挿
入損失特性図であり、同図(a)は最大インピーダンス
設計法で設計した共用器の挿入損失特性図、同図(b)
は最適設計法で設計した共用器の挿入損失特性図、及び
同図(c)は挿入損失の比較図である。 12……共通端子、13……入力端子、14……出力端子、15
……分波回路パターン、15a……送信側伝送路、15b……
受信側伝送路、16……送信フィルタ、17……受信フィル
タ。
Claims (1)
- 【請求項1】一端が共通端子に接続された伝送路長Ltの
送信側伝送路及び伝送路長Lrの受信側伝送路を有する
送、受信信号分波用の分波回路パターンと、前記送信側
伝送路の他端に接続された送信信号濾波用の送信フィル
タと、前記受信側伝送路の他端に接続された受信信号濾
波用の受信フィルタとが、基板上に設けられた共用器に
おいて、 下記の式に基づき、前記送信フィルタの挿入損失Tt及び
前記受信フィルタの挿入損失Trの絶対値が常に最小とな
るように、前記伝送路長Lt,Lrと、前記共通端子からみ
た前記送信フィルタ側のインピーダンスZt及び前記受信
フィルタ側のインピーダンスZrとを、帰納法によって更
新しつつ、前記伝送路長Lt,Lrが所定精度に収束するま
で反復計算を行って最適伝送路長を求めることを特徴と
する共用器の伝送路長決定方法。 Tt=0.5(At+Bt/Z0+CtZ0+Dt) +0.5(At+Bt/Z0)/(Zr/Z0) Tr=0.5(Ar+Br/Z0+CrZ0+Dr) +0.5(Ar+Br/Z0)/(Zt/Z0) 但し、At,Bt,Ct,Dt;送信側伝送路と送信フィルタとの合
成した縦続行列[T]の成分で、複素数である。 Ar,Br,Cr,Dr;受信側伝送路と受信フィルタとの合成した
縦続行列[R]の成分で、複素数である。 Z0;測定系の特性インピーダンス
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP1327591A JP3024771B2 (ja) | 1989-12-18 | 1989-12-18 | 共用器の伝送路長決定方法 |
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---|---|---|---|
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP1327591A Expired - Fee Related JP3024771B2 (ja) | 1989-12-18 | 1989-12-18 | 共用器の伝送路長決定方法 |
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JPH1075153A (ja) * | 1996-08-30 | 1998-03-17 | Oki Electric Ind Co Ltd | 分波器パッケージ |
JP4147646B2 (ja) * | 1998-11-05 | 2008-09-10 | 沖電気工業株式会社 | 送信帯域分割型弾性表面波分波器 |
-
1989
- 1989-12-18 JP JP1327591A patent/JP3024771B2/ja not_active Expired - Fee Related
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