JP3024413B2 - 四輪操舵車の後輪制御装置 - Google Patents

四輪操舵車の後輪制御装置

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JP3024413B2
JP3024413B2 JP1189893A JP1189893A JP3024413B2 JP 3024413 B2 JP3024413 B2 JP 3024413B2 JP 1189893 A JP1189893 A JP 1189893A JP 1189893 A JP1189893 A JP 1189893A JP 3024413 B2 JP3024413 B2 JP 3024413B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は四輪操舵車の後輪制御装
置に係り、特に緊急回避時の車両安定性を高めるよう構
成した四輪操舵車の後輪制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置は、例えば特開平3
−164374号公報に示されているように車体のヨー
レートをヨーレート検出手段により検出するとともに、
同検出ヨーレートを後輪操舵機構にフィードバックし
て、ヨーレートを抑制する方向に同ヨーレートの大きさ
に比例して後輪を操舵制御する四輪操舵車の後輪制御装
置において、操舵ハンドルの操舵速度を検出する操舵速
度検出手段を設け、この検出操舵速度が大きいとき同操
舵速度が小さいときに比べて前記フィードバック制御手
段によるゲインを小さくして補正して、中高速走行時に
レーンチェンジ、緊急回避等のために操舵ハンドルが急
操舵された場合に、車両の回頭性を良好にするようにし
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置にあっては、車両の回頭性は良好になるもの
の、操舵速度が大きくなったときヨーレートのフィード
バックゲインを下げたため、操舵ハンドルの操舵後に引
き続いて起こる車体のヨーレート上昇により、車両の走
行安定性が充分良好に制御されない場合がある。
【0004】そこで、本出願人は上記問題を解決するた
め、特願平3−245636号の四輪操舵車の後輪制御
装置を提案した。この装置は、中高速走行時にレーンチ
ェンジ、緊急回避等のために操舵ハンドルが急操舵され
た場合に第1のゲイン補正手段がフィードバックゲイン
を小さく補正してヨーレートを抑制する方向に操舵され
る後輪の操舵量が少なくなり、車両の回頭性を良好にす
るとともに、引き続き車体に大きなヨーレートが発生し
た場合、第2のゲイン補正手段がフィードバックゲイン
を大きな値に補正してヨーレートを抑制する方向に操舵
される後輪の操舵量が多くなり、車両の走行安定性を良
好にできる。
【0005】しかるに、この提案の装置では、車両の挙
動(ヨーレート)から緊急回避、つまり操舵ハンドルが
急操舵されたことを判別するものであるが、判別するの
に時間がかかり、しかも緊急回避を行う際に影響する要
素としては路面状態、即ち路面の進行方向の傾斜
(坂)、路面の凹凸、路面の横方向の傾斜(カント
路)、路面の摩擦係数などがあり、これらの要素に基づ
いて総合的に判別することが難しく、一律に判別するこ
とができなかった。
【0006】そこで、本発明は上記課題を鑑み、路面状
態をパラメータとして緊急回避の有無を判別し、緊急回
避であると判別されたとき四輪操舵機構のヨーレートフ
ィードバックゲインを補正することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】図1は本発明になる四輪
操舵車の後輪制御装置の原理図である。
【0008】同図中、本発明は、車体(A1)のヨーレ
ートを検出するヨーレート検出手段(A2)と、前記ヨ
ーレート検出手段(A2)により検出されたヨーレート
検出信号を後輪操舵機構(A3)にフィードバックして
前記ヨーレートを抑制する方向に前記ヨーレートの大き
さに比例して後輪を操舵制御するフィードバック制御手
段(A4)と、少なくとも走行する路面の状態をパラメ
ータとして検出するパラメータ検出手段(A5)と、前
記パラメータ検出手段(A5)により検出された検出デ
ータを所定時間間隔の時系列データとして記憶する記憶
手段(A6)と、該記憶手段に記憶された前記時系列デ
ータを予め学習された結合度で結合させる結合度学習手
段(A7)と、該結合度学習手段(A7)により得られ
た結合値に基づいて緊急回避の有無を判別する緊急回避
判別手段(A8)と、該緊急回避判別手段(A8)によ
り緊急回避であると判別されたとき前記フィードバック
制御手段(A4)のヨーレートフィードバックゲインを
補正するゲイン補正手段(A9)と、よりなることを特
徴とする。
【0009】
【作用】本発明によれば、ヨーレート検出手段(A2)
により車体(A1)のヨーレート検出信号が検出される
と、フィードバック制御手段(A4)が後輪操舵機構
(A3)にフィードバックしてヨーレートを抑制する方
向にヨーレートの大きさに比例して後輪を操舵制御す
る。さらに、パラメータ検出手段(A5)により検出さ
れた路面状態の検出データの時系列データが記憶手段
(A6)に記憶され、その記憶された各時系列データを
結合度学習手段(A7)により結合して得られた結合値
に基づいて緊急回避判別手段(A8)により緊急回避で
あると判別されたとき、ゲイン補正手段(A9)により
フィードバック制御手段(A4)のヨーレートフィード
バックゲインが補正される。
【0010】
【実施例】図2及び図3に本発明になる四輪操舵車の後
輪制御装置の一実施例を示す。
【0011】両図中、4輪操舵装置は、左右前輪FW
1,FW2を操舵する前輪操舵機構Aと、左右後輪RW
1,RW2を操舵する後輪操舵機構Bと、後輪操舵機構
Bを電気的に制御する制御回路Cとを備えてなる。
【0012】前輪操舵機構Aは操舵ハンドル11を有し
ており、この操舵ハンドル11は操舵軸12を介してピ
ニオンギヤ13に接続されている。このピニオンギヤ1
3はラックバー14と噛合し、操舵ハンドル11の回転
運動をラックバー14の往復運動に変換して伝達するも
のである。ラックバー14の両端には左右タイロッド1
5a,15b及び左右ナックルアーム16a,16bを
介して左右前輪FW1,FW2が操舵可能に連結されて
いる。
【0013】又、ラックバー14は操舵ハンドル11の
回動による軸方向の変位に応じて左右前輪FW1,FW
2を操舵する。操舵軸12の中間には四方弁からなる制
御バルブ17が組み付けられている。制御バルブ17
は、操舵軸12に作用する操舵トルクに応じて、エンジ
ン18により駆動される油圧ポンプ21からの作動油を
パワーシリンダ22の一方の油室へ供給するとともに、
パワーシリンダ22の他方の油室内の作動油をリザーバ
23へ排出するように機能する。
【0014】パワーシリンダ22は、作動油の吸排に応
じてラックバー14を軸方向に駆動することにより、左
右前輪FW1,FW2の操舵を助勢する。
【0015】後輪操舵機構Bは、ラックバー14と同様
に軸方向に変位して左右後輪RW1,RW2を操舵する
リレーロッド31を有する。リレーロッド31の両端に
は、前記前輪操舵機構Aの場合と同様に、左右タイロッ
ド32a,32b及び左右ナックルアーム33a,33
bを介して左右後輪RW1,RW2が操舵可能に連結さ
れている。
【0016】リレーロッド31は車体に支持されたハウ
ジング34により軸方向に変位可能に支持され、ハウジ
ング34内にはパワーシリンダ35が形成されている。
パワーシリンダ35は作動油の吸排に応じてリレーロッ
ド31を軸方向へ駆動するものであり、リレーロッド3
1に固定されたピストン35aにより左右油室35b,
35cに区画されている。これらの左右油室35b,3
5c内にはスプリング36a,36bがプレロードを付
与された状態でリレーロッド31を貫通させるようにし
て組み込まれており、スプリング36a,36bはそれ
らの弾発力によりリレーロッド31を中立位置に附勢し
ている。
【0017】又、ハウジング34内には、パワーシリン
ダ35とともに油圧倣い機構を構成するスプールバルブ
37が組み込まれている。このスプールバルブ37はハ
ウジング34内に軸方向に液密的且つ摺動可能に収容さ
れたバルブスリーブ37aと、ハウジング34に固定さ
れたバルブスリーブ37bと、からなり、バルブスリー
ブ37aの左方向への変位に応じて、エンジン18によ
り駆動される油圧ポンプ38からの作動油をパワーシリ
ンダ35の左油室35bへ供給するとともに、パワーシ
リンダ35の右油室35c内の作動油をリザーバ23へ
排出する。又、バルブスリーブ37aが右方向へ変位す
ると、スプールバルブ37は油圧ポンプ38からの作動
油をパワーシリンダ35の右油室35cへ供給するとと
もに、パワーシリンダ35の左油室35b内の作動油を
リザーバ23へ排出する。
【0018】バルブスリーブ37aの右端部には、貫通
孔37a1 が設けられており、貫通孔37a1 にはレバ
ー41が貫通されている。レバー41の中間部分には球
型の節状隆起部41aが設けられ、レバー41は節状隆
起部41aの外周面にて貫通孔37a1 の内周面に傾動
且つ摺動可能に係合している。又、レバー41の下端部
はピストン35aの外周上に設けた環状溝35a1 内に
回動可能且つ上下方向に摺動可能に嵌合され、レバー4
1の上端部はピン42に回動可能に接続されている。
【0019】ピン42の両端部は、ハウジング34に設
けた支持孔34a,34b内に進退可能且つ回転不能に
侵入している。又、ピン42の外周上にはラック歯42
aが形成され、ラック歯42aにはステップモータ43
の回転軸に固定されたウォーム44が噛合している。こ
の場合、ステップモータ43が右回転又は左回転すると
ピン42は右方向又は左方向に変位するようになってい
る。
【0020】制御回路Cは、後輪操舵機構Bを制御する
ためにハンドル操舵角センサ51、車速センサ52、ヨ
ーレートセンサ53及び後輪操舵角センサ54、各タイ
ヤのタイヤ空気圧を検出する空気圧センサ61を備え、
且つ路面状態(路面の進行方向の傾斜(坂)、路面の凹
凸、路面の横方向の傾斜(カント路)、路面の摩擦係数
μなど)を検出する路面状態検出センサとしての坂検出
センサ62、凹凸検出センサ63、カント検出センサ6
4、路面の摩擦係数μを推定するためのセンサとして機
能する左右前輪FW1,FW2の回転数を検出する前輪
回転数検出センサ65と、左右後輪RW1,RW2の回
転数を検出する後輪回転数検出センサ66と、を備えて
いる。
【0021】ハンドル操舵角センサ51は操舵軸12の
回転角を測定することによってハンドル操舵角θを検出
して、操舵角θを表す検出信号を出力する。車速センサ
52は変速機(図示せず)の出力軸の回転速度を測定す
ることにより車速Vを検出して、車速Vを表す検出信号
を出力する。
【0022】ヨーレートセンサ53は車体の垂直軸回り
の回転角速度即ち、ヨーレートωyを検出して、ヨーレ
ートωyを表す検出信号を出力する。後輪操舵角センサ
54はステップモータ43の回転軸の回転角を測定する
ことにより後輪操舵角θrを検出して、後輪操舵角θr
を表す検出信号を出力する。尚、ハンドル操舵角θ、ヨ
ーレートωy及び後輪操舵角θrはそれぞれ右回転方向
を正とし、左方向を負とする。
【0023】空気圧センサ61は、左右前輪FW1,F
W2及び左右後輪RW1,RW2の各タイヤの空気圧を
検出し、その検出信号を出力する。又、路面状態を検出
する坂検出センサ62は、進行方向の路面の傾斜角を検
出する傾斜角センサで、例えばブレーキ操作が無い(ブ
レーキスイッチオフ)にも拘わらずフロントのサスペン
ションストローク(ストロークセンサ検出値)が短くな
るときは上り坂、逆にフロントのサスペンションストロ
ークが長くなるときは下り坂に差しかかったと判断し、
平坦路,上り坂,下り坂に応じた各検出信号を出力す
る。凹凸検出センサ63は、例えばサスペンション内に
設けられ、各タイヤの上下方向の変動により路面の穴又
は突起、段差などを検出する。
【0024】又、カント検出センサ64は、例えばステ
アリング操作が無い(操舵角変化なし)にも拘わらず左
右どちらかのサスペンションストロークが短くなるとき
カント路に差しかかったと判断し、カント路の傾斜角に
応じた検出信号を出力する。路面の摩擦係数μは、前輪
回転数検出センサ65により検出された左右前輪FW
1,FW2の回転数Vwfと後輪回転数検出センサ66に
より検出された左右後輪RW1,RW2の回転数Vwrと
の差からタイヤの路面に対するスリップ状況を見出し、
これにより推定される。
【0025】これらの各センサ51〜54,61〜66
はマイクロコンピュータ55に接続されており、マイク
ロコンピュータ55はバス55aに夫々接続されたRO
M55b,CPU55c,RAM(記憶手段)55d及
びI/O55e(入出力インターフェース)からなる。
ROM55bは係数K1 ,K2 ,K3 をテーブルの形で
記憶している。係数K1 は図4に示すように、車速Vが
所定車速(約20km/h)以下のとき零であるとともに、
車速Vがそれ以上大きくなるにしたがって徐々に増加
し、所定車速(約120km/h)以上で一定(例えば
「0.07」)となるものである。
【0026】係数K2 は図5に示すように、操舵ハンド
ル11の操舵速度dθ/dtの絶対値|dθ/dt|が
所定値(約0.5度/秒)以下のとき一定比率(例えば
「1.0」に維持されるとともに、|dθ/dt|がそ
れ以上大きくなるにしたがって徐々に減少し、所定値
(約2.0度/秒)以上のとき前記より小さな一定比率
(例えば「0.5」)に維持されるものである。
【0027】係数K3 は図6に示すように、ヨーレート
ωyの絶対値|ωy|が所定値(約15度/秒)以下で
一定比率(例えば「1.0」に維持されるとともに、|
ωy|がそれ以上大きくなるにしたがって徐々に増加
し、所定値(約20度/秒)以上で前記より大きな一定
比率(例えば「1.5」)に維持されるものである。
【0028】CPU55cは、イグニッションスイッチ
(図示せず)の閉成から開成まで、後述するプログラム
を繰り返し実行するように動作制御するもので、RAM
55dは後述するプログラムの実行に必要な変数データ
及び各センサ51〜54,61〜66からの検出信号を
記憶するものである。
【0029】I/O55eは外部回路との信号の授受を
行うもので、I/O55eには各センサ51〜54が接
続されるとともに、駆動回路56が接続されている。駆
動回路56は、マイクロコンピュータ55からの回転制
御信号に応じたステップ数だけステップモータ43を回
転させるとともに、その後、ステップモータ43を回転
後の位置に維持するように制御するものである。
【0030】本発明の要部を構成する四輪操舵車の後輪
制御装置は、大略、車体のヨーレートを検出するヨーレ
ートセンサ53と、ヨーレートセンサ53により検出さ
れたヨーレート検出信号を後輪操舵機構Bにフィードバ
ックしてヨーレートを抑制する方向にヨーレートの大き
さに比例して後輪を操舵制御するフィードバック制御回
路67と、緊急回避動作に影響する条件をパラメータと
して検出する上記センサ51〜54,61〜66(パラ
メータ検出手段)と、センサ51〜54,62〜66に
より検出された検出データを所定時間間隔の時系列デー
タとして記憶するRAM55dと、RAM55dに記憶
された時系列データを予め学習された結合度で結合さ
せ、その結合値に基づいて緊急回避の有無を判別するニ
ューラルネット演算処理部(結合度学習手段,緊急回避
判別手段)68と、ニューラルネット演算処理部68に
より緊急回避であると判別されたときフィードバック制
御回路67のヨーレートフィードバックゲインを補正す
るゲイン補正回路69と、よりなる。尚、フィードバッ
ク制御回路67は、予めROM55bに記憶された制御
プログラムにより実行する。
【0031】次に上記構成とされた4輪操舵装置の動作
について説明する。
【0032】イグニッションスイッチ(図示せず)が閉
成されると、フィードバック制御回路67が図3のプロ
グラムの実行を開始して、ステップS1〜S5(以下
「ステップ」を省略する)からなる循環処理を実行す
る。この循環処理においては、S1にて上記センサ51
〜54からハンドル操舵角θ、車速V,ヨーレートωy
及び後輪操舵角θrを夫々表す検出信号が読み込まれ、
S2にてハンドル操舵角θを微分することにより操舵ハ
ンドル11の操舵速度dθ/dtが計算される。次に、
S3にて車速V、操舵速度dθ/dtの絶対値|dθ/
dt|及びヨーレートωyの絶対値|ωy|に基づいて
ROM55b内のテーブルが参照されて、車速V及び両
絶対値|dθ/dt|,|ωy|に対応した各係数
1 ,K2 ,K3が導出され、S4にて次式の演算の実
行により目標後輪操舵角θr*が計算される。
【0033】 θr*=K3 ・K2 ・K1 ・ωy … (1) この目標後輪操舵角θr*の算出後、S5にて目標後輪
操舵角θr*から現在の後輪操舵角θrを減算すること
により、左右後輪RW1,RW2の操舵されるべき操舵
量θr*−θrが計算され、この操舵量θr*−θrに
対応したステップモータ43に対する回転制御信号がI
/O55eを介して駆動回路56へ出力される。
【0034】駆動回路56は回転制御信号に応じた駆動
パルスをステップモータ43に供給し、ステップモータ
43は駆動パルス数に対応した量だけウォーム44を回
転させる。この場合、後輪操舵量θr*−θrに対応し
た回転制御信号が正であれば、ステップモータ43は左
回転し、ピン42は右方向に変位して、レバー41の上
端部をその下端部を支点として右方向に変位させる。
【0035】これにより、バルブスリーブ37aは右方
向に変位して、油圧ポンプ38からの作動油はパワーシ
リンダ35の右油室35cに供給されるとともに、パワ
ーシリンダ35の左油室35b内の作動油はリザーバ2
3に排出されるようになるので、リレーロッド31が左
方向へ変位して左右後輪RW1,RW2は右方向へ操舵
される。
【0036】一方、リレーロッド31の左方向への変位
により、レバー41の下端部がその上端部を支点として
左方向に変位し、バルブスリーブ37aは左方向へ変位
するようになる。そして、バルブスリーブ37aが基準
位置に復帰すると、作動油の吸排が停止し、リレーロッ
ド31の左方向への変位も停止するので、左右後輪RW
1,RW2は過去の状態から後輪操舵量θr*−θrに
対応した量だけ右方向へ操舵され、その操舵角θrは目
標後輪操舵角θr*に等しくなる。
【0037】又、後輪操舵量θr*−θrに対応した回
転制御信号が負であれば、ステップモータ43は右回転
し、ピン42は左方向に変位するので、前記の場合とは
逆に左右後輪RW1,RW2は過去の状態から後輪操舵
量θr*−θrに対応した量だけ左方向へ操舵され、こ
の場合も、その操舵角θrは目標後輪操舵角θr*に等
しくなる。
【0038】このように左右後輪RW1,RW2が目標
後輪操舵角θr*(=K3 ・K2 ・K1 ・ωy)に操舵
制御される結果、車体は右(又は左)回り即ち、正(又
は負)のヨーレートωyが発生すると、各係数K1 ,K
2 ,K3 は常に零又は正であるので、左右後輪RW1,
RW2は中立状態に保たれるか、ヨーレートωyを抑制
する方向に操舵され、その操舵角θrの大きさはヨーレ
ートωyの大きさに比例したものになる。このことは、
左右後輪RW1,RW2の操舵がヨーレートωyに応じ
てフィードバック制御されるとともに、フィードバック
ゲインが係数K 1 ,K2 ,K3 により決定されることを
意味する。
【0039】今、車両が中高速で走行中、操舵ハンドル
11がそれほど大きくない速度で操舵されて車体にそれ
ほど大きくないヨーレートωyが発生すると、この場
合、係数K2 ,K3 は共に「1.0」であるので、左右
後輪RW1,RW2の操舵は係数K1 のみにより決定さ
れるゲインでヨーレートωyに応じてフィードバック制
御される。
【0040】一方、このフィードバックゲインとしての
係数K1 は車速Vの増加にしたがって徐々に増加する正
の値であるので、ヨーレートωyの大きさに比例する後
輪操舵角θrは車速Vの増加にしたがって大きくなり、
車体に発生するヨーレートがより大きく抑制され、中高
速走行時、特に高速走行時における車両の走行安定性が
良好になる。
【0041】又、走行時において、ニューラルネット演
算処理部68は上記センサ61〜66から出力された検
出信号に基づいて緊急回避動作かどうかを判別する。そ
して、ニューラルネット演算処理部68により緊急回避
動作であることが判別されたときは、ゲイン補正回路6
9から駆動回路56にゲイン補正指令信号が出力され、
例えばフィードバックゲインを「1.5」程度の大きく
するように補正する。
【0042】しかるに、上記緊急回避動作の判別は操舵
速度だけでなく路面状態、車速、タイヤ空気圧などの多
くの条件に影響されるので、単純に一つの条件に基づい
て緊急回避動作を判別しようとすると精度が落ちる。そ
のため、本実施例では、緊急回避動作の判別精度を高め
るため、図7,図8に示すニューラルネット演算処理部
68の神経網(ニューラルネットワーク)70を利用す
る。
【0043】神経網70は、上記センサ51〜54,6
1〜66からの各検出信号がデータ処理部71を介して
入力される。
【0044】先ず、図7を参照して各センサ51〜5
4,61〜66のデータの処理と神経網の構成について
説明する。
【0045】上記センサ51〜54,61〜66からの
検出信号は、データ取り込み部SD i (i=1,2,
…)において所定の時間間隔毎に読み込まれ、時系列デ
ータ展開部TSDi (i=1,2,…)において所定時
間間隔の時系列データに展開される。この時系列データ
展開部TSDi は、単位時間毎にデータをシフトする構
成により、データに単位時間ディレイを付与して、時系
列データを生成する。
【0046】神経網70は、階層系のものであり、図8
に示すように時系列に展開された各データの夫々に対応
して設けられた入力ユニットLmからなる入力層72
と、中間ユニットMnからなる中間層73と、認識すべ
き緊急回避度合いの種別数に対応する数だけ設けられた
出力ユニットOpからなる出力層74とから構成され
る。
【0047】各入力層72と中間層73との間の結合及
び中間層73と出力層74との間の結合は、バックプロ
バケーション等の手法により学習されている。このバッ
クプロバケーションによる学習とは、神経網70への入
力に対し、それに対応する出力ユニットOpの出力値が
値「1」で、それ以外の出力ユニットOpの出力値が値
「0」となるように結合量Wを学習させるものである。
【0048】この手法は公知のものなので、ここでは詳
細な説明は省略するが基本的には、各出力ユニットOp
の実際の出力と理想的な出力(教師データ)との誤差が
最小になるように各ユニット間の結合の強さ(重み付け
データ)Wを学習するものであり、最小2乗誤差法が用
いられる。
【0049】又、中間層73と出力層74については、
教師データに相当するものを決定することが事実上困難
なので、出力側の層の誤差値δに重み付けデータWを乗
算した累積値をその層の誤差値とし、これが最小になる
ように学習を行う。
【0050】こうした学習を繰り返し行って色々な入力
パターンに対して各層の結合の強さを学習しておけば、
学習した走行パターン以外のパターンが入力されても、
これに一番近い出力の連想(出力の計算)がなされる。
【0051】上記時系列データ展開部TSDi によって
展開された時系列データは、神経網70の入力層72の
各入力ユニットLmに入力される。この時系列データ
は、単位時間毎の最も古いデータが一つ消去され、最新
のデータが一つ付け加えられて更新される。
【0052】以上の処理を簡単にまとめると、緊急回避
の判別を行うニューラルネット演算処理部68におい
て、先ず神経網70の各階層の結合の強さをバックプロ
バケーションの手法により学習し、学習後には、走行中
の上記各センサ51〜54,61〜66からの検出信号
の一定時間の時系列データを入力して、出力の計算を行
って緊急回避を判別するものである。本実施例では、学
習された結合の強さを重み付けデータWとして予めRO
M55bに記憶し、これを用いた演算を行う。
【0053】次に、図9に示すフローチャートを参照し
てニューラルネット演算処理部70が実行する処理につ
き説明する。
【0054】先ず、ステップS11(以下「ステップ」
を省略する)でデータDi を取り込む。
【0055】次に、S12でデータDi のアナログ信号
をデジタル信号に変換し終えたかどうかをチェックし、
このA/D変換が終了すると,次のS13に進む。S1
3では、データDi の取り込みが完了した後、それまで
に入力したRAM55dの所定の領域に記憶した全入力
時系列的データTDmをシフトする。この結果、全入力
時系列的データTDmは単位時間だけディレイされるこ
とになり、各最新データをロードする処理を行うことに
より、全入力時系列的データTDmを更新する。
【0056】次のS14では、入力層の各ユニットLm
の出力値LDmを演算する。この演算処理は、各入力デ
ータDi の全入力時系列的データTDmに予め決定した
重み付けデータWmを乗算して次式(2)により累積値
NETmを求め、次式(3)により累積値NETmのシ
グモイド関数として出力値LDmを求める。 NETm=Wm・TDm … (2) LDm=1/(1+e-(NETm+Sm)) … (3) 尚、上式(3)のシグモイド関数は、累積値NETm=
0で関数値が0、累積値NETmが最大値になったとこ
ろで関数値が0.5となるように位相Smが決められて
いる。
【0057】又、上記Wは、各階層間の結合の強さを表
す重み付けデータ、Wmは入力データとこれに対応した
入力ユニットLm間の重み付けデータ、Wnmは入力ユ
ニットLmと中間ユニットMn間の重み付けデータ、W
pnは中間ユニットMnと出力ユニットOp間の重み付
けデータである。
【0058】これらの重み付けデータは、バックプロバ
ケーションの手法により学習され、決定されてROM5
5bに記憶される。
【0059】次のS15では、中間層73の各ユニット
Mnの出力値MDnを演算する。この出力値MDnの演
算は、上記入力ユニットLmの出力値LDmの演算と同
様に次式(4)(5)により行う。
【0060】
【数1】
【0061】次のS16では、出力層の各ユニットOp
の出力値ODpを算出する。この出力値ODpの演算
は、上記中間ユニットMnの出力値MDnの演算と同様
に次式(6)(7)により行う。
【0062】
【数2】
【0063】以上の演算処理終了後、S17で出力層の
各ユニットOpの出力値ODpを出力回路を介して出力
する。この出力値ODpは、神経網70による認識であ
り、学習時のパターン若しくはこれに類似するパターン
が入力されれば、対応する出力値ODpが近似的に
「1」に、他の出力値ODpが近似的に「0」になる。
【0064】従って、この出力値ODpがそのまま緊急
回避の判別結果になり、この出力値ODpにより緊急回
避の度合いが大きいことに対応する出力値が大きいとき
に緊急回避であると判別するため、上記神経網70によ
り迅速且つ正確に緊急回避を判別することができる。
【0065】尚、緊急回避が判別されると、ゲイン補正
回路69より駆動回路56に供給されるフィードバック
ゲインが大きくなるように補正され、その結果中高速走
行時にレーンチェンジ、緊急回避等のために操舵ハンド
ル11が急操舵された場合にフィードバック制御回路6
7がフィードバックゲインを小さく補正してヨーレート
を抑制する方向に操舵される後輪の操舵量が少なくな
り、車両の回頭性を良好にするとともに、路面状態等に
より引き続き車体に大きなヨーレートが発生した場合、
ニューラルネット演算処理部70により瞬時に緊急回避
が続いていることが判別されてフィードバックゲインを
大きな値に補正してヨーレートを抑制する方向に操舵さ
れる後輪の操舵量が多くなり、車両の走行安定性を良好
にできる。尚、上記実施例では、上記車速、タイヤ空気
圧、路面状態(路面の進行方向の傾斜(坂)、路面の凹
凸、路面の横方向の傾斜(カント路)、路面の摩擦係数
など)等の多くの条件に基づいて緊急回避の有無を判別
したが、これに限らず、少なくとも路面状態を一つのパ
ラメータとして緊急回避を判別するようにしても良い。
このように、少なくとも上記路面状態(路面の進行方向
の傾斜(坂)、路面の凹凸、路面の横方向の傾斜(カン
ト路)、路面の摩擦係数μなど)のデータに基づいて緊
急回避であることを判別するのは、これらの条件が緊急
回避動作のなかでも非常に影響度の大きい項目であるか
らである。
【0066】
【発明の効果】上述の如く、本発明になる四輪操舵車の
後輪制御装置は、パラメータ検出手段により検出された
路面状態の検出データの時系列データが記憶手段に記憶
され、その記憶された各時系列データを結合度学習手段
により結合して得られた結合値に基づいて緊急回避判別
手段により緊急回避であると判別されたとき、ゲイン補
正手段によりフィードバック制御手段のヨーレートフィ
ードバックゲインが補正されるため、緊急回避のために
操舵ハンドルが急操舵された場合にフィードバックゲイ
ンを小さく補正してヨーレートを抑制する方向に操舵さ
れる後輪の操舵量が少なくなり、車両の回頭性を良好に
するとともに、路面状態等により引き続き車体に大きな
ヨーレートが発生した場合、瞬時に緊急回避が続いてい
ることを判別し、フィードバックゲインを大きな値に補
正してヨーレートを抑制する方向に操舵される後輪の操
舵量を多くして、車両の走行安定性を良好に保つことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明の4輪操舵装置を説明するための概略構
成図である。
【図3】図2のマイクロコンピュータが実行する処理の
フローチャートである。
【図4】係数K1 の変化特性グラフである。
【図5】係数K2 の変化特性グラフである。
【図6】係数K3 の変化特性グラフである。
【図7】ニューラルネットワークの階層構造を説明する
ための模式図である。
【図8】神経網の処理動作を説明するための模式図であ
る。
【図9】ニューラルネット演算処理部で実行される処理
を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
11 操舵ハンドル 21 油圧ポンプ 22 パワーシリンダ 23 リザーバ 31 リレーロッド 32a,32b 左右タイロッド 35 パワーシリンダ 37 スプールバルブ 38 油圧ポンプ 41 レバー 51 ハンドル操舵角センサ 52 車速センサ 53 ヨーレートセンサ 54 後輪操舵角センサ 61 空気圧センサ 62 坂検出センサ 63 凹凸検出センサ 64 カント検出センサ 65 前輪回転数検出センサ 66 後輪回転数検出センサ 68 ニューラルネット演算処理部 70 神経網 72 入力層 73 中間層 74 出力層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B62D 117:00 133:00 137:00 (56)参考文献 特開 平3−164374(JP,A) 特開 平4−356280(JP,A) 特開 平4−126673(JP,A) 特開 平1−127456(JP,A) 特開 平2−128966(JP,A) 特開 昭62−255284(JP,A) 実開 平4−26874(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 6/00 B62D 7/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体のヨーレートを検出するヨーレート
    検出手段と、 前記ヨーレート検出手段により検出されたヨーレート検
    出信号を後輪操舵機構にフィードバックして前記ヨーレ
    ートを抑制する方向に前記ヨーレートの大きさに比例し
    て後輪を操舵制御するフィードバック制御手段と、 少なくとも走行する路面の状態をパラメータとして検出
    するパラメータ検出手段と、 前記パラメータ検出手段により検出された検出データを
    所定時間間隔の時系列データとして記憶する記憶手段
    と、 該記憶手段に記憶された前記時系列データを予め学習さ
    れた結合度で結合させる結合度学習手段と、 該結合度学習手段により得られた結合値に基づいて緊急
    回避の有無を判別する緊急回避判別手段と、 該緊急回避判別手段により緊急回避であると判別された
    とき前記フィードバック制御手段のヨーレートフィード
    バックゲインを補正するゲイン補正手段と、 よりなることを特徴とする四輪操舵車の後輪制御装置。
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