JP3022504B2 - 直線状電子ビームマイクロ波管用自己バイアスコレクタ - Google Patents

直線状電子ビームマイクロ波管用自己バイアスコレクタ

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JP3022504B2 JP10252817A JP25281798A JP3022504B2 JP 3022504 B2 JP3022504 B2 JP 3022504B2 JP 10252817 A JP10252817 A JP 10252817A JP 25281798 A JP25281798 A JP 25281798A JP 3022504 B2 JP3022504 B2 JP 3022504B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般に直線状電子ビー
ムマイクロ波管に関し、特に直線状電子ビームマイクロ
波管用のコレクタに関する。説明のために、進行波管を
例示的な直線状電子ビームマイクロ波管として使用す
る。
【0002】
【従来の技術】図1には、進行波管(TWT)20の形態
の例示的な直線状電子ビームマイクロ波管が示されてい
る。このTWT20の構成要素の各素子は、一般にTWT
の中心軸21に沿って同軸的に配置されている。それらに
は、電子銃22、低速波装置24(それらの実施形態が図2
のAおよびBに示されている)の形態のマイクロ波装
置、この低速波装置24を囲んでいるビーム集束装置26、
低速波装置24の両端に結合されている信号入力ポート28
および信号出力ポート30、並びにコレクタ32が含まれ
る。ハウジング34は、一般にコレクタ32から延在し、コ
レクタ以外の他のTWT素子を保護している。
【0003】動作の際に、電子のビームが電子銃22から
低速波装置24中に発射され、ビーム集束装置26によって
低速波装置24を通って案内される。入力ポート28でマイ
クロ波入力信号36が挿入され、それは低速波装置に沿っ
て信号出力ポート30に移動する。低速波装置24は、マイ
クロ波信号の軸方向の伝搬速度を電子ビームの速度に近
似させる。
【0004】その結果、ビームの電子はマイクロ波信号
と相互作用して速度変調され、集群を生じる。この過程
において、運動エネルギが電子からマイクロ波信号に伝
達される。その信号は増幅され、増幅された信号38とし
て信号出力ポート30から結合される。それらが低速波装
置24を通過した後、コレクタ32においてビームの電子が
収集される。
【0005】ビーム集束装置26は、一般に軸方向の磁界
を生じさせるものである。第1の形態は、同軸的に配置
された一連の環状の永久磁石40を含み、それらは磁極片
41によって分離されている。磁石40は、隣接する磁石の
対向した面が逆の磁気極性を有するように構成されてい
る。このビーム集束装置は、比較的軽量であり、一般に
周期的永久磁石(PPM)装置と呼ばれている。出力電
力が寸法および重量より重要なTWTでは、第2の形態
のビーム集束装置において、ソレノイド42(入力ポート
28に隣接して部分的に示されている)がPPM装置の代
りにしばしば使用され、ソレノイド電源(示されていな
い)によって供給された電流がこのソレノイド42を流れ
る。
【0006】図2のAおよびBに示されているように、
TWT低速波装置は、一般に電子銃(図1において22)
から軸方向に反復する構造中に電子ビーム52を受ける。
第1の例示的な低速波装置は、図2のAに示されている
螺旋部材43である。第2の例示的な低速波装置は、図2
のBに示されている結合空洞回路44である。この結合空
洞回路44は、軸方向に間隔を置いて連続する空洞48を形
成する環状ウェブ46を含んでいる。各環状ウェブ46は、
1対の隣接した空洞を結合する結合孔50を形成されてい
る。螺旋部材43は特に広帯域用に適し、一方結合空洞回
路は特に高電力用に適している。
【0007】別の従来技術のTWT構造では、マイクロ
波負荷で出力ポート30を置換することによって発振器が
形成される。熱により生じたランダム雑音が低速波装置
24上で電子ビームと相互作用し、マイクロ波信号を生成
する。この信号が低速波装置に沿って移動するにしたが
って、それにエネルギが伝達される。この発振器信号
は、一般に電子ビームと逆方向に進行する(すなわち、
TWTは後進波発振器として機能する)ため、発振器信
号はポート28から結合して取出される。
【0008】TWTは、非常に広い周波数範囲(例えば
1乃至20GHz)にわたってマイクロ波信号を増幅お
よび発生させることができる。それらは、高い出力電力
(例えば>10メガワット)を生成でき、かつ広い帯域
幅(例えば>10%)にわたって大きい信号利得(例え
ば、60dB)を得ることができる。
【0009】図3のTWTの概略図には、電子銃22、螺
旋部材43およびコレクタ32が再度示されている(図示を
簡明にするために、螺旋部材43は簡単な表示で示されて
いる)。電子銃22は陰極56および陽極58を有し、コレク
タ32は第1の環状段60と、第2の環状段62と、第3の段
64とを有している。この第3の段64は、一般にカップ状
またはバケット状の形態を有しているため、しばしば
“バケット”または“バケット段”と呼ばれる。
【0010】螺旋部材43およびTWTの本体70は接地電
位にある。陰極56は、陰極電源74の電圧Vcathによって
負にバイアスされている。陽極電源76は陰極56に対して
正電圧を陽極58に供給する。この正の陰極・陽極間電圧
は、陰極56と陽極58との間の加速領域78を横切って加速
する電界を生成する。陰極56によって電子が放射され、
それが加速領域78を横切って加速され、電子ビーム52を
形成する。このビーム52は、陽極56と接地電位の螺旋部
材43との間の電位差によって生成された電界によってさ
らに修正される。
【0011】ビーム52の全加速電圧は、陰極対螺旋部材
の電圧差である(電子ビーム中の負の電荷の結果ビーム
軸と螺旋部材との間に生じた小さい電圧差は無視す
る)。螺旋部材43は接地電位なので、ビーム加速電圧は
陰極電圧cathの絶対値である。
【0012】最初は静止している質量me の電子が静電
界によってVの電位差で加速された場合に、結果的に生
じるその運動エネルギは0.5me 2 =eVによって
与えられる。ここでvは電子の速度であり、eは電子の
電荷である。したがって、電子の電荷eで除算した運動
エネルギが電圧と等しくなる。一般に、Vの電圧差で加
速された電子は、Vボルトの運動エネルギを獲得したと
いわれる。
【0013】電子ビーム52は、低速波装置43を通って進
行し、入力ポート28からこの低速波装置43に沿って出力
ポート30に進行するマイクロ波信号とエネルギを交換す
る。このエネルギ交換では、電子ビーム52の運動エネル
ギのほんの一部しか失われない。この電子ビーム52がコ
レクタ32に入ったとき、大部分の運動エネルギがこのビ
ーム52中に残っている。電子がコレクタ壁において収集
される前にそれらを減速することによって、この運動エ
ネルギのかなりの部分が再生されることができる。
【0014】電子ビーム52の電子は、それらの負の電荷
のために負の“空間電荷”を形成し、この空間電荷が、
外的制約のない場合には電子ビーム52を半径方向に発散
させる。したがって、ビーム集束装置は軸方向に導かれ
る磁界を与え、この磁界が、ビームを中心としたらせん
のコースを電子にとらせることによって電子の半径方向
の発散を抑制している。
【0015】しかしながら、電子ビーム52は、それがコ
レクタ32中に入った時には、もはやこの制約を受けてお
らず、その結果半径方向に発散し始める。さらに、電子
ビーム52と低速波装置43上におけるマイクロ波信号との
間の相互作用により、ビームの電子はそれらがコレクタ
32に入ると“速度の広がり”を生じる。すなわち、電子
はある範囲の速度および運動エネルギを有する。ビーム
がコレクタ32において所定の軸方向の距離を進行したと
き、低速の電子は高速の電子より長時間にわたって電子
ビームの空間電荷の発散力にさらされる。したがって、
所定の軸方向の平面において、半径方向の力が小さい軸
付近の領域から離れたところでは、コレクタ32内の電子
のエネルギは一般に半径方向の距離の増加と共に減少す
る。
【0016】電子は、負のバイアス電圧をコレクタに供
給する(図1の貫通端子87により)ことによって減速さ
れる。コレクタの電位は、TWT本体70の電位から“低
下”される(すなわち、この本体70に対して負にされ
る)。運動エネルギの再生は例えばコレクタ32等の多段
コレクタを使用することによってさらに増強され、この
ような多段コレクタでは、後続する各段が本体電位VB
からさらに負にされる。例えば、第1のコレクタ段60が
電位V1 を有している場合、第2のコレクタ段62は電位
2 を有し、第3のコレクタ段64はV3 の電位を有し、
これらの電位は、図3に示されているようにVB =0>
1 >V2 >V3 により関連づけられる。
【0017】第1のコレクタ段60上の電圧V1 は、一般
に最大限に減速し、しかも電子ビーム52中の最も低速の
電子80を収集する値に低下される。時には、コレクタ内
に入って来たビーム52中に少数の低エネルギ電子しか存
在しないことがあり、その場合にはこの第1の段60の電
位をさらに低くすれば、全体的な効率をさらに高くする
ことができる。最も低速の電子のエネルギは、この第1
の段60の領域に入るには不十分である。これらの電子は
強制的に向きを逆に変えられ、図3の領域70または接地
電位の螺旋部材43のいずれか上の本体電位に戻る。さら
に大きく電位を低下させることにより、高エネルギ電子
から再生されて増加したエネルギが、最も低速の電子を
接地電位で収集することで失われるエネルギを越えた場
合、全体的な効率がさらに高くなる。
【0018】後続するコレクタ段62および64は、電子ビ
ーム52中の速い電子を後続的に減速して収集するように
順次低くされた電圧で動作される。例えば、中間のエネ
ルギ電子82はコレクタ段62によって収集され、高エネル
ギ電子84はコレクタ段64によって収集される。後続する
コレクタ段上で後段ほど大きくなる負電圧により速い電
子を後続的に減速して収集することによってTWT効率
を改良するこの過程は、一般に“速度分類”と呼ばれて
いる(速度分類は多数のTWT参考文献に記載されてい
る。例えば文献 Hansen,James,W,et,al., TWT/TWTA Han
dbook,Hughes Aircraft Company,1993,Torrance,CA,pp.
58-59 を参照されたい)。
【0019】電子ビーム52の速度分類によって実現され
る効率の増加は、陰極56とコレクタ段60,62および64と
の間に結合されたコレクタ電源88を通る電流を参照する
ことによってさらによく理解することができる。コレク
タ32の電位がコレクタ本体70のものと同じならば、図3
の電流90で示されているように、全コレクタ電子電流I
collが陰極電源74に戻って、TWTへの入力電力が実質
的に陰極電圧Vcathとコレクタ電流Icollとの積とな
る。
【0020】それとは対照的に、多段コレクタ32の電流
はコレクタ電源88を通って流れる。各コレクタ段と関連
した入力電力は、その段の電流とコレクタ電源88におけ
るその関連した電圧との積である。コレクタ電源88の電
圧V1 ,V2 およびV3 は、陰極電源74の電圧の一部分
(例えば、30乃至70%の範囲の)であるため、TW
Tの入力電力が実効的に減少される。一般的に、多段コ
レクタを備えたTWTの効率は25%乃至60%であ
り、ほとんどの場合、高い効率が狭い帯域幅と関連して
いる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】コレクタ段上の電圧が
過度に低くされた場合、この段は電子を収集するのでは
なく、それらを反撥する。とくに、軸方向に導かれる電
子は、この反撥力を受けやすい。これらの押し戻された
電子は、電位の低下の少ない段またはTWT本体に流れ
たり、あるいは低速波装置のエネルギ交換領域に再び戻
ることがある。さらに、電子ビームの電子がコレクタ段
の表面に衝突したときに、2次電子が生成される。これ
らの2次電子がコレクタ内の電界によって適切に制御さ
れないと、それらはやはりTWT本体70に流れたり、あ
るいはエネルギ交換領域に再び入る可能性がある。
【0022】電位の低下の少ない段またはTWT本体に
電子が押し戻されることによって、TWT効率が減少す
る。低速波装置への電子の流れは、エネルギ交換過程を
妨害する。この妨害はしばしば、TWTの周波数帯域幅
にわたって利得および位相リップル成分を付加すること
によってTWT性能を劣化させる。
【0023】後段ほど負電圧の大きいコレクタ段に対す
る1次電子の流れを増強し、コレクタからの2次電子の
流れを阻止する種々のコレクタ構造が開発されてきた。
これらの構造は、横断ベイン、軸方向のプローブ、外部
磁石および傾斜したコレクタ開口を含んでいる。しかし
ながら、ベインの構成は機械的または熱的に困難である
ことが多く、プローブは付加的なバイアス電圧を生成し
供給することを必要とし、外部磁石は、それらを適切に
配置して取付けるための付加的な試験時間が必要であ
り、傾斜した開口は小さい開口に対してのみ有効であ
る。
【0024】本発明の目的は、付加的な電源電圧を生成
して供給することを必要とせずに、電子通路の制御を容
易にするコレクタ構造を提供することである。これらの
コレクタ構造は、例えばTWT等の直線状電子ビームマ
イクロ波管での使用を意図するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】この目的は、(1)1よ
り小さい2次電子放射係数(率)を有するコレクタ部材
が電子ビームの電子の一部分を受けることによって電子
を累積することができ、(2)このような電子累積素子
がコレクタ内に配置され、その負電圧によってその他の
電子の通路を制御することを認識することによって達成
される。さらに、負電圧の大きさは、選択されたエネル
ギの電子を受けるように電子累積素子を位置し、この電
子累積素子から隣接したコレクタ段に電子を漏洩するこ
とによって選択できることが認められる。
【0026】本発明の1特徴によれば、直線状電子ビー
ムマイクロ波管中の電子ビームの電子を収集するコレク
タにおいて、電子ビームの電子の第1の部分を収集する
ように構成されたコレクタ段と、1より小さい2次電子
放射係数を有し、前記電子ビームの電子の第2の部分を
受けるように前記コレクタ段に関して位置されている電
子累積素子を有する自己バイアス素子とを具備し、自己
バイアス素子は、電子累積素子を前記コレクタ段に結合
するように構成されたベースを備え、このベースは1×
105 オームcm乃至1×1014オームcmの比抵抗を
有するセラミックによって形成されていることを特徴と
する。本発明の別の特徴によれば、ベースは、セラミッ
ク本体と、前記本体上を被覆する導電性薄膜とを備えて
いることを特徴とする。
【0027】1実施形態では、電子累積素子は炭素およ
びチタンカーバイドで形成される。ベースは1実施形態
ではセラミックから形成され、その比抵抗はセラミック
を導電材料成分と混合することによって、あるいは導電
性の薄膜またはディスクリートな抵抗によりベースに分
路を設けることによって選択される。
【0028】直線状電子ビームマイクロ波管の効率およ
びRF性能を改善するように自己バイアス素子およびコ
レクタ段が異なる構成、配置の種々の形態のコレクタが
形成される。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の新しい特徴特徴はとくに
添付された特許請求の範囲に記載されている。本発明
は、以下の説明および添付図面からさらによく理解され
るであろう。図4には、本発明によるコレクタ100 が示
されている。このコレクタ100 は、電子累積素子104 を
含む自己バイアス素子102 を有し、この電子累積素子
は、1より小さい2次電子放射係数を有している。電子
累積素子104 はコレクタ中に配置され、電子ビーム52の
電子の一部分を受け、それによって負電圧を生成し、維
持する。さらに、自己バイアス素子102 は、RF回路
(図1における24)に入らないように2次電子を阻止す
るためにコレクタ100 中に配置されている。この自己バ
イアス素子102 は、外部で生成される電圧を必要とせ
ず、コレクタ100 の寸法および重量を減少することがで
きる。
【0030】さらに詳細に述べると、コレクタ100 はカ
ップ形(バケット形)のコレクタ段106 を有しており、
それは底面部分107 と、この底面部分107 からコレクタ
軸110 に沿って延在する環状リム108 とから構成されて
いる。底面部分107 の反対側の端部において、環状リム
108 は入口開口111 を形成しており、この開口111 が直
線状電子ビームマイクロ波管の本体部分(図3における
70)と隣接している。自己バイアス素子102 はコレクタ
軸110 上に位置し、ベース112 によって底面部分107 に
結合されている。したがって、コレクタ段106 は、電子
ビーム52の電子の1次的な大部分(第1の部分)を収集
するようにされており、電子累積素子104 の寸法および
位置は、この電子ビーム52の電子の2次的な小部分(第
2の部分)を受けるように定められている。
【0031】電子がある部材に入射したとき、そのエネ
ルギがこの部材から“2次電子”を放出させる。入射電
子に対する2次電子の割合は、一般に2次電子放射係数
εと呼ばれている。図4の電子累積素子104 は1より小
さい選択された2次電子放射係数εacc を有するように
構成され、またベース112 は電子累積素子104 とコレク
タ段106 との間に選択された漏洩比抵抗Rleakを有する
ように構成されている。
【0032】その動作の際に、コレクタ100 が図1のコ
レクタ32の代りに使用され、図3の電子ビーム52を受け
る。この電子ビーム52は、コレクタ100 に入った後は、
もはやビーム集束装置(図1における26または42)の半
径方向の拘束を受けていないので発散する。本体70は、
本体電圧VB =0と、電源(例えば、図3のコレクタ電
源88)とを有し、この電源によってコレクタ段106 がV
B より低下された電圧V1 を与えられている。
【0033】電子累積素子104 は1より小さい2次電子
放射係数を有しているため、電子はこの上に累積し、こ
れを抑制された電圧V2 に負に充電する。V2 の最大値
は、入射電子のエネルギの関数である。低下された電圧
は入射電子のほぼ最大エネルギに増加するが、大きい低
下電圧はさらに入射した電子を押し戻す(すなわち、こ
れらの電子が非常に大きく減速されたために、これら電
子を収集することができない)ので、このエネルギを越
えることはない。電子ビーム52の電子は、エネルギの半
径方向の広がりを有し、コレクタ軸110 に沿って発散し
続けるため、V2 の最大値は電子累積素子104 の半径方
向および軸方向の位置に依存する。(例えば、電子累積
素子が図4における電子114 を受けるように配置された
場合のほうが、電子116 を受けるように配置された場合
より、V2 の最大値が大きくなる。) 電子累積素子104 の低下された電圧と、これがベース11
2 によって結合されているコレクタ段106 のそれとの間
の実際の差ΔV(図4ではV2 −V1 )は次式(1)に
よって求められる: ΔV=(1−εacc )Iint leak (1) ここで、Iint は電子累積素子104 の電子流入電流であ
る。この受入れ電流Iin t は、流入した電子のエネルギ
と、電子累積素子の低下された電圧との関数である。し
たがって、式(1)の差電圧ΔVは、漏洩比抵抗Rleak
に直接比例しない。
【0034】このように、2次電子放射係数εacc と、
漏洩比抵抗Rleakと、電子累積素子104 の半径方向およ
び軸方向における位置とを選択することによって、差電
圧ΔVが調節できる。この差電圧ΔVのために、図4に
おける低下された電圧は、0=VB <V1 <V2 の関係
を有することとなる。
【0035】式(1)を使用した1例として、2次電子
放射係数が0.5であり、2ミリアンペアの流入電流I
int を受取る電子累積素子は、2×105 オームcmの
比抵抗を有する厚さ0.5cmで面積1cm2 のベース
によって結合されたとき、約100ボルトの低下された
差電圧ΔVを生成する。
【0036】この電子累積素子104 は、2次電子放射係
数εacc が1より小さい種々の材料、例えば約0.5お
よび約0.6の係数をそれぞれ有する炭素およびチタン
カーバイドから形成されることができる。別の実施形態
において、電気累積素子は、例えばセラミック等の高イ
ンピーダンス材料の支持部材上に施されたこのような材
料の被覆で形成されることができる。この電子累積素子
の実施形態において、図4中の参照符号104 は、支持部
材を示すものとなり、その表面が被覆118 で覆われ、入
射電子114 を受取る。
【0037】漏洩比抵抗Rleakは、ベース112 の材料を
選択することによって制御できる。ベース112 は、この
位置に容易に結合され、かつ優れた耐熱性を有する材料
から形成されることが好ましい。ベース材料の1例はセ
ラミックであり、これは通常介在金属層によってコレク
タ部品にろう付けされる。セラミックは高い比抵抗を有
し、例えばアルミナ、ベリウム酸化物およびマグネシウ
ム酸化物の固有比抵抗は1014オームcm以上である。
これらセラミックの比抵抗は、セラミック成分と導電性
がそれより高い成分とを混合することによって選択的に
低くすることができる。導電性成分の一例はシリコンカ
ーバイドであり、その比抵抗は103 オームcm程度で
ある。これらの成分を組合せた例は、60%のマグネシ
ウム酸化物と40%のシリコンカーバイドの混合物であ
る。この混合物の比抵抗は約107 オームcmと測定さ
れている。
【0038】漏洩比抵抗Rleakはまた、ベースに分路抵
抗を付加することによって制御されることができる。そ
のようなコレクタ120 は例えば図5に示されている。こ
の図は、図4に類似しており、同じ素子が同じ参照符号
で示されている。この図5には、ベース112 の漏洩比抵
抗Rleakを選択的に低くし、これを設定するために使用
されることのできる2個の分路構造が示されている。第
1の構造は、例えば炭素のような材料のベース112 上の
被覆122 であり、この材料は、被覆密度または被覆パタ
ーンの適切な選択により所望の比抵抗を提供する。第2
の構造は、選択された比抵抗を有するディスクリートな
抵抗124 である。この抵抗124 の電子累積素子104 への
接続は、ベース112 およびコレクタ底面部分107 を通っ
ている通路125 を介して得ることができる。
【0039】本発明の自己バイアス素子は、直線状電子
ビームマイクロ波管の効率およびRF性能を改良するた
めに有効に使用されることのできる種々の配置で構成で
きる。以下、機能別の見出しを付けていくつかの配置例
を説明する。
【0040】[2次電子放射係数の制御による直線状電
子ビームマイクロ波管の効率の改良]図6のAは、直線
状電子ビームマイクロ波管の本体70に隣接した従来技術
のコレクタ130 を示す。このコレクタ130 は、カップ形
のコレクタ段132 を有しており、この段が電子ビーム52
を受ける。入射した電子ビームに応じて、2次電子がコ
レクタ段132 の壁から出る。何等制御を行わない場合、
これらの2次電子は低い電圧によって押し戻されて、段
の開口134 を通って、マイクロ波構造(図1における2
4)のエネルギ交換領域中に流れる。
【0041】しかしながら、コレクタ段132 においてビ
ームの電子が存在することにより、電界の等電位線136
で示された負の空間電荷が生じる(典型的な開口の等電
位線137 も示されている)。この空間電荷は、開口134
からの2次電子の流れを阻止する傾向がある。2次電子
は一般に50ボルト程度のエネルギを有しているため、
空間電荷は少なくともこの大きさの絶対値の低い電位を
有していることが好ましい。この空間電荷抑制は、コレ
クタ段132 の容積と共に増加するため、2次電子を十分
に阻止するために、しばしば大型で重いコレクタ段が必
要とされる。
【0042】これとは対照的に、図6のBには、図4の
コレクタ100 における電界の等電位線138 が示されてお
り、これは自己バイアス素子102 上の低くされた電圧V
2 によって生成される。この電界の強度は、コレクタ段
の寸法ではなく、上記の式(1)にしたがって電圧差Δ
V=V2 −V1 によって決定される。このように、自己
バイアス素子は2次電子の流れを阻止でき、しかも従来
技術のコレクタの寸法および重量的な不利益が生じな
い。
【0043】従来技術のコレクタ130 は、その大きい寸
法に加えて、動作に問題がある。図1のTWT20の動作
中に、正イオンが電子ビーム52の空間電荷の吸引力のた
めに低速波装置24のエネルギ交換領域において累積す
る。これらのイオンはコレクタ段132 中に加速され、こ
の段において、低速波装置のエネルギ交換領域への2次
電子の流れを阻止していた空間電荷を部分的に中和す
る。コレクタ100 の電界は自己バイアス素子102 によっ
てその低下された電圧V2 により生成されるため、この
電界は正イオンの存在によって劣化されない。
【0044】低速波装置の正イオンがコレクタ中に加速
された場合、それらは一般にコレクタ軸に沿って流れ
て、軸方向に位置するコレクタの壁と衝突した場合に、
腐食ピットを生成する。本発明の自己バイアス素子は、
イオンによる電子累積素子への損傷を防止するように構
成されることが好ましい。図6のCは、自己バイアス素
子142 が環状の電子累積素子144 と環状ベース146 とを
有しているコレクタ140を示している。このコレクタの
残りの部分は、図4のコレクタ100 と同じであり、同じ
素子が同じ参照符号で示されている。低速波回路からの
イオンが電子累積素子144 と環状ベース146 とを通過す
るように、環状電子累積素子144 、環状ベース146 、環
状コレクタリム108 は同軸関係で配置されている。
【0045】[素子の位置による低下された電圧の制
御]図7のAは、図4のコレクタ100 と同じコレクタ15
0 を示しており、同じ素子が同じ参照符号で示されてい
る。しかしながら、このコレクタ150 では、自己バイア
ス素子102 の代りに、環状の自己バイアス素子152 が使
用されている。この自己バイアス素子152 は環状電子累
積素子154 を有し、それは環状ベース156 によってコレ
クタリム108 に結合され、かつこのリム108 から半径方
向内側に突出している。図7のBは、この電子累積素子
154 の平面図である。
【0046】上述したように、電子ビーム52の電子は、
エネルギの半径方向の広がりを有している。したがっ
て、図7のAにおいて、電子157 は電子158 より大きい
エネルギを有し、この電子158 は電子159 より大きいエ
ネルギを有する。電子累積素子154 は、それが電子ビー
ムの電子の一部分を受けるため、低下された電圧V3
獲得し、このV3 の低下は入射電子のエネルギに近似す
る。したがって、V3 の低下は、電子累積素子154 の位
置がコレクタ軸110 に近づくにつれて増加し、また、そ
の位置がコレクタ開口111 から離れるにつれて増加す
る。もちろん、V3の値もまた、環状ベース156 の漏洩
比抵抗Rleakを減少することによって減少することがで
きる(式(1)にしたがって)。電子累積素子152 の低
下した電圧V3 は、コレクタ軸110 を中心として対称的
であり、かつコレクタ開口111 からの2次電子の流れを
阻止する電界を生成する。
【0047】図7のCは、電子累積素子154 に類似して
いるが、半径方向内側に突出した1対のスタブ166 を備
えた別の電子累積素子164 を示す。この電子累積素子16
4 の低くされた電圧は、スタブ166 が高エネルギ電子を
受けるように、スタブ166 の長さを増加することによっ
て増加されることができる。スタブは、コレクタ軸110
から強制的に電子を離すために使用できる半径方向の非
対称的な電界を生成するように、その個数および周辺方
向の配置が選択されることができる。
【0048】[最終コレクタ段における電子軌道の制
御]図8のAは、環状コレクタ段182 とカップ形のコレ
クタ段184 とを有する従来技術のコレクタ180 を示す。
このコレクタ段184 は、底面部分188 から軸方向に延在
して開口190 を形成する環状リム186 を備えている。コ
レクタ180 はまた、底面部分188 中の孔194 を通ってコ
レクタ段184 中に突出しているプローブ192を備えてい
る。大きく低下された電圧(コレクタ段184 の電圧より
大きく減少されている)が、一般に図3の陰極電源74か
らプローブ192 に与えられる。この電圧は、等電位線19
6 によって示されている電界を生成する。
【0049】プローブ192 の電界は半径方向の力を生じ
させ、それによって電子ビーム52の電子が半径方向外側
に導かれて、軸方向の短い距離内で収集される。これに
よって、コレクタ段184 は短くなり、したがってその寸
法および重量が減少されることが可能となる。プローブ
192 の電界はまた、開口190 に戻る2次電子流を阻止す
る。
【0050】このプローブ192 は、直線状電子ビームマ
イクロ波管の構造に別の電気接続(電源からの)を追加
する。さらに、その電界は、コレクタ軸上またはその近
くにある電子198 を反撥する。高い直線状電子ビームマ
イクロ波管効率のためには、これらの高エネルギ電子19
8 を一番低い電位のコレクタ段184 によって収集しなけ
ればならない。プローブ192 のために、それらは偏向さ
れ、次に低い電位のコレクタ段182 によって収集され
る。
【0051】これとは対照的に、図8のBにはもっと効
率的なコレクタ段200 が示されており、このコレクタ段
200 は図8のAのコレクタ180 におけるコレクタ段184
の機能を実行するが、外部バイアス電圧への接続を必要
としない。コレクタ段184 のプローブ192 の代りに、1
対の自己バイアス素子202 および204 が使用される。
【0052】自己バイアス素子202 は、環状ベース208
によってコレクタ底面部分107 に結合されている環状の
電子累積素子206 を有している。自己バイアス素子204
はベース212 によってコレクタ底面部分107 に結合され
ている電子累積素子210 を有している。このベース212
は、コレクタ開口111 に対して電子累積素子206 よりこ
の電子累積素子210 が近くに位置するように構成されて
いる。
【0053】ベース208 および212 の漏洩比抵抗Rleak
は、電子累積素子206 の電圧V5 が電子累積素子210 の
電圧V4 より大きく負にされ、かつ両者がコレクタ106
の電圧V2 より大きく負にされるように調節される。
【0054】コレクタ段200 の動作時に、電子累積素子
210 の電位は、軸方向に導かれる高エネルギ電子198 を
効率的に収集するように十分に低いが、それより大きく
負にされていないコレクタ段にこれらの電子を押し戻す
ほど低くない。もっと低い電位の電子累積素子206 は、
図8のAの従来技術のコレクタ180 の場合のように、短
いコレクタ段による電子の収集が容易にされるようにそ
の他の電子を迅速に偏向する。
【0055】[非対称性による電子軌道の制御]図9の
Aは、図3の多段コレクタ32における典型的な電界の等
電位線220 を示している。コレクタ内の任意の点におけ
る電界ベクトルは、この等電位線と直交し、電子に作用
する電気力の方向は、電子上の負の電荷のために電界と
逆方向である。最終の段64の開口226 を境としてその内
側および外側の2つの各軸方向の平面に、例示的な電気
力ベクトル222 および224 が示されている。等電位線22
0は、一般に開口226 からコレクタ段62に向かって前方
に湾曲するため、コレクタ段62における電気力ベクトル
222 は半径方向外向きの成分を有する。したがって、あ
るエネルギ範囲の電子227 がコレクタ段62によって外側
に導かれて収集される。
【0056】しかしながら、一般に、コレクタ段64のカ
ップ形状のために、等電位線220 は開口226 からコレク
タ段64に向かって後方に湾曲され、その結果電気力ベク
トル224 が半径方向内向きの成分を有する。開口226 を
通過させるだけの十分なエネルギを有する電子228 は、
その結果軸方向に戻されて低速波装置(図1における2
4)中に導かれる。
【0057】この問題を解決する第1の従来技術の構造
は、図9のBおよびCに示されている横断ベイン230 で
ある。このベイン230 はバケット形のコレクタ段64の開
口を横切って、この段の前部に結合されており、図9の
Bでは半径方向外向きの斜面232 を有している。このベ
イン230 およびコレクタ段64は、異なる電圧で動作され
る段62が存在する時に、図9のBおよびCのそれぞれに
おいて線233 および235 によって例示された等電位線に
よって包囲される等電位領域を形成する。
【0058】電気力ベクトル234 は図9のBにおける表
面232 から離れる方向に導かれ、また電気力ベクトル23
6 は図9のCにおけるベイン230 から離れる方向に導か
れる。したがって、このベイン230 が図9のAのコレク
タ32中に組込まれた場合、このベイン230 の付近で逆向
きに変わった、あるいは逆方向から(バケット64の内側
からコレクタの入口に向かって)このベイン230 を横断
した電子228 は、強制的に図9のAのように半径方向内
向きではなく、半径方向外向きにされる。これによっ
て、それらの電子228 が負にされたコレクタ段62または
60を通過して接地電位の本体70に戻されるのではなく、
これらの段上で収集される確率が高くなる。(少数の電
子が逆方向からバケット開口26の領域を横断する。これ
らは、バケット64の内側のコレクタ面に衝突した1次電
子によって生成された高エネルギの2次電子である。そ
れらは、1次電子のエネルギに匹敵するエネルギを有す
る2次電子のわずかな比率のものから生じる。それらの
高いエネルギのために、それらはバケット64中の空間電
荷抑制領域では阻止されない。) 電子が軸に沿って戻る問題を解決する第2の従来技術の
構造は、傾斜を付けられた開口である。例えば、最初の
段60の開口240 の前縁は、図9のAにおいて破線242 で
示されているように傾斜されている。これによって、こ
の段における等電位線は同様の傾斜を付けられ、そのた
めに軸方向の対称性が崩れ、電子が一方の側に向かって
優先的に導かれる。この傾斜を第1の負にされた段(例
えば、図9のAの段60)の開口上に付ける主な目的は、
コレクタから戻る電子が相互作用領域に入らないように
し、それによってRF性能に対するそれらの影響を最小
にすることである。この傾斜を最後のバケット段(例え
ば、図9のAの段64)上に設ける目的は、逆流する電子
を低い電位の段で収集すると共に、本体70および相互作
用領域への逆流を減少することを助けることである。
【0059】横断ベイン230 はそれが受ける電子電流を
最小にするように薄くなければならないので、このベイ
ン230 を設けることは、機械的および熱的な理由で困難
である可能性もある(このベインから放出される2次電
子は、このベインの電圧より絶対値の小さい負電圧で収
集されることとなる)。
【0060】傾斜した開口により、高エネルギ電子は段
に入るのを阻止されることができる。これは、それらの
非対称的な電界がこの段から前方に広がっており、これ
らの電子が早い時期に偏向されるために電位低下の小さ
いほうの段で収集されるためである。それらは、開口の
小さいコレクタで非常に効果的に使用できる。
【0061】これら従来技術の構造とは対照的に、図1
0のAおよびBは、コレクタ250 における自己バイアス
素子252 を示す。このコレクタ250 は多段コレクタにお
ける最後の段であることができ、開口254 を備えたカッ
プ形のコレクタ段253 を有している。自己バイアス素子
252 は、半環状円形のベース260 によってコレクタリム
258 に結合された半環状円形の電子累積素子256 を含ん
でいる。この電子累積素子256 上に生じる負に低下され
た電圧は、(a)この電子累積素子256 の半径方向およ
び軸方向の位置を選択し、(b)ベース260 の漏洩比抵
抗Rleakを選択することによって調節できる。
【0062】自己バイアス素子252 は、上述の開口傾斜
と同様に動作し、電子を一方の側に向かって差別的に偏
向するが、それは、開口254 における電子の反撥を避け
ることが要求されたときに、軸方向に移動されることが
できるため、開口傾斜より融通のきくものである。電子
累積素子256 はまた、図7のCのスタブ166 のような半
径方向のスタブを備えることもできる。これらのスタブ
は、自己バイアス素子252 の非対称的な電界をさらに成
形し、修正して、コレクタ軸付近から電子を発散するの
を助けるために使用できる。
【0063】別の非対称的な電界は、カップ形コレクタ
段の底面部分上の軸を外れた位置に設けた自己バイアス
素子によって発生させることができる。例えば、図4に
おいて、別の自己バイアス素子102 がコレクタ底面部分
107 上の、コレクタ軸110 を外れた位置に設けられるこ
とができる。
【0064】[電子レンズによる電子軌道の制御]図1
1は、環状コレクタ段272 およびカップ形コレクタ段27
4 を有するコレクタ270 を示す。コレクタ段274 は底面
部分276 と、この底面部分から軸方向に延在する環状リ
ム278 とを有している。これらの段の間には、環状の電
子累積素子284 を有する環状の自己バイアス素子282 が
位置されている。この電子累積素子284 は、環状ベース
286 によってコレクタ段272 および274 に結合されてい
る。コレクタ段274 の電圧V7 は、コレクタ段272 の電
圧V6 より負に低下されている。電子累積素子284 の電
圧V8 は、コレクタ段274 の電圧V7 よりさらに負にさ
れている。これは、環状の電子累積素子284 の孔の直径
を適当に選択するか、あるいはこの累積素子284 上での
短い電子を受けるスタブ(図7のCのスタブ166 に類似
したもの)の使用およびベース286 の漏洩比抵抗Rleak
の適切な選択の少なくとも一方を行うことによって実現
される。
【0065】このようにして、環状電子累積素子284
は、1対の負電位にされた環状素子(コレクタ段272 お
よびコレクタリム278 )の間にそれより電位の低い環状
素子を形成している。これは、電子レンズの構造であ
る。電子レンズは、半径方向に集束する力を電子に与え
ることがよく知られている(文献 Theory and Design o
f Electron Beams,Pierce,J.R.,D.Van Nostrand Compan
y,New York,1954,pp.73-75 を参照されたい)。これら
の集束力は、コレクタにおけるビームの広がりを減少さ
せることを助け、半径方向の寸法をさらに小さくし、逆
流する可能性を低下させる(軸方向の長さとの関係で開
口寸法が小さいため)コレクタ設計を可能にする。ある
いは、図9のAにおける電子軌道228 によって示される
タイプの逆向きにされた電子の場合、より強い半径方向
内向きの力によって、電子は図11の軸290 と交差する
ように導かれて、図9のAのように軸付近の領域内で逆
流する代りに、遠い側の電極面で収集される。
【0066】それらは外的な負電位にする電圧の生成お
よび供給を必要とせず、かつ軸方向に小さいスペース中
に挿入されることができるため、自己バイアス素子は、
直線状電子ビームマイクロ波管のコレクタ中で電子レン
ズ効果を実現するのにとくに適している。これらの電子
レンズの半径方向の集束力はまた、2次電子がマイクロ
波装置(図1における24)中に流れるのを阻止するため
に使用できる。
【0067】本発明のいくつかの例示的な実施形態を図
示し、説明してきたが、当業者は種々の変形および別の
実施形態を認識するであろう。このような変形および別
の実施形態は、添付された特許請求の範囲に定められた
本発明の技術的範囲を逸脱することなく考えられ、実施
されることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の進行波管(TWT)の部分的に断面
が示されている側面図。
【図2】図1のTWTにおいて使用される従来技術の螺
旋の形態および結合空洞の形態の低速波装置の概略図。
【図3】通常の多段コレクタの軸方向の断面を示す図1
のTWTの概略図。
【図4】本発明による自己バイアス素子を有するコレク
タの軸方向の断面図。
【図5】別の自己バイアス素子を有するコレクタの軸方
向の断面図。
【図6】コレクタの電界の等電位線を示す従来技術のコ
レクタの軸方向の断面図と、図4のコレクタの等電位線
を示す断面図と、および別の自己バイアス素子を有する
コレクタの軸方向の断面図。
【図7】別の自己バイアス素子を有するコレクタの軸方
向の断面図と、このコレクタ中の電子累積素子の平面図
と、およびこのコレクタにおいて使用される別の電子累
積素子の平面図。
【図8】プローブを含む従来技術のコレクタの軸方向の
断面図および同軸方向に配置された自己バイアス素子を
有するコレクタの軸方向の断面図。
【図9】図3の従来技術のコレクタにおける電界の等電
位線を示す断面図と、このコレクタにおける従来技術の
横断ベインの軸方向の断面図と、およびベインおよびコ
レクタの上面図。
【図10】別の自己バイアス素子を有するコレクタの軸
方向の断面図およびその平面10B−10Bにおける断
面図。
【図11】別の自己バイアス素子を有するコレクタの軸
方向の断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 イヴォ・タマル アメリカ合衆国、カリフォルニア州 90275、ランチョ・パロス・ヴェルデス、 ヴィア・キャンペシーナ 3000 (72)発明者 ロバート・ジー・リプレイ アメリカ合衆国、カリフォルニア州 90275、ランチョ・パロス・ヴェルデス、 ロングヒル・ドライブ 27569 (56)参考文献 特開 平5−94777(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 23/027

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線状電子ビームマイクロ波管中の電子
    ビームの電子を収集するコレクタにおいて、 前記電子ビームの電子の第1の部分を収集するように構
    成されたコレクタ段と、 1より小さい2次電子放射係数を有し、前記電子ビーム
    の電子の第2の部分を受けるように前記コレクタ段に関
    して位置されている電子累積素子を有する自己バイアス
    素子とを具備し、 前記自己バイアス素子は、前記電子累積素子を前記コレ
    クタ段に結合するように構成されたベースを備え、この
    ベースは1×10 5 オームcm乃至1×10 14 オームc
    mの比抵抗を有するセラミックによって形成され ている
    ことを特徴とする直線状電子ビームマイクロ波管中の電
    子ビームの電子を収集するコレクタ。
  2. 【請求項2】 直線状電子ビームマイクロ波管中の電子
    ビームの電子を収集するコレクタにおいて、 前記電子ビームの電子の第1の部分を収集するように構
    成されたコレクタ段と、 1より小さい2次電子放射係数を有し、前記電子ビーム
    の電子の第2の部分を受けるように前記コレクタ段に関
    して位置されている電子累積素子を有する自己バイアス
    素子とを具備し、 前記自己バイアス素子は、前記電子累積素子を前記コレ
    クタ段に結合するように構成されたベースを備え、この
    ベースは、セラミック本体と、前記本体上を被覆する導
    電性薄膜とを備え ていることを特徴とする直線状電子ビ
    ームマイクロ波管中の電子ビームの電子を収集するコレ
    クタ。
  3. 【請求項3】 前記電子累積素子は、炭素から形成され
    ている請求項1または2記載のコレクタ。
  4. 【請求項4】 前記電子累積素子は、チタンカーバイド
    から形成されている請求項1または2記載のコレクタ。
  5. 【請求項5】 前記自己バイアス素子はさらに、前記電
    気累積素子と前記コレクタ段とを結合する抵抗を備えて
    いる請求項1または2記載のコレクタ。
  6. 【請求項6】 電子ビームを生成するように構成された
    電子銃と、 前記電子ビームが通過する位置に配置されており、前記
    電子ビームと相互作用して、その運動エネルギを一部分
    を電磁エネルギに変換するように構成されているマイク
    ロ波装置と、 前記マイクロ波装置内において前記電子ビームを半径方
    向で制限するように構成されたビーム集束装置と、 前記電子ビームを収集するコレクタとを具備し、 前記コレクタが、 (a)前記電子ビームの電子の第1の部分を収集するよ
    うに構成されたコレクタ段と、 (b)1より小さい2次電子放射係数を有し、前記電子
    ビームの電子の第2の部分を受けるように前記コレクタ
    段に関して位置されている電子累積素子を有する自己バ
    イアス素子とを具備し、 前記自己バイアス素子は、前記電子累積素子を前記コレ
    クタ段に結合するように構成されたベースを備え、この
    ベースは1×10 5 オームcm乃至1×10 14 オームc
    mの比抵抗を有するセラミックによって形成され ている
    ことを特徴とする直線状電子ビームマイクロ波管。
  7. 【請求項7】 電子ビームを生成するように構成された
    電子銃と、 前記電子ビームが通過する位置に配置されており、前記
    電子ビームと相互作用して、その運動エネルギを一部分
    を電磁エネルギに変換するように構成されているマイク
    ロ波装置と、 前記マイクロ波装置内において前記電子ビームを半径方
    向で制限するように構成されたビーム集束装置と、 前記電子ビームを収集するコレクタとを具備し、 前記コレクタが、 (a)前記電子ビームの電子の第1の部分を収集するよ
    うに構成されたコレクタ段と、 (b)1より小さい2次電子放射係数を有し、前記電子
    ビームの電子の第2の部分を受けるように前記コレクタ
    段に関して位置されている電子累積素子を有する自己バ
    イアス素子とを具備し、 前記自己バイアス素子は、前記電子累積素子を前記コレ
    クタ段に結合するように構成されたベースを備え、この
    ベースは、セラミック本体と、前記本体上を被覆する導
    電性薄膜とを備え ていることを特徴とする直線状電子ビ
    ームマイクロ波管。
  8. 【請求項8】 直線状電子ビームマイクロ波管のコレク
    タ中の電子の通路の制御方法において、 1より小さい2次電子放射係数を有する部材によって前
    記電子ビームの電子の第1の部分を受け、それによって
    前記部材上に負電圧を累積させるステップと、 前記部材を前記コレクタ中に配置し、前記負電圧により
    前記電子ビームの電子の第2の部分の通路を制御するス
    テップと、 前記部材と前記コレクタとの間で電子を漏洩させて前記
    負電圧の大きさを選択するステップ とを含んでいること
    を特徴とするコレクタ中の電子通路の制御方法。
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