JP3021978B2 - 少なくとも2つの目標を識別する方法 - Google Patents

少なくとも2つの目標を識別する方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、請求項1の上位概念に
記載のパルス・ドップラー・レーダを用いて少なくとも
2つの目標を識別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本明細書において使用されるパルス・ド
ップラー・レーダには、パルス・ドップラー・レーダ施
設も、パルス・ドップラー・レーダ装置も含まれてい
る。
【0003】パルス・ドップラー・レーダは空間的にコ
ンパクトに形成することができる。従ってそれは陸上用
車両および航空機における所謂機上レーダとして多岐に
わたって使用されている。それ故にこのような用途で
は、出来るだけ小さな面積(開口部)を有する送信/受
信アンテナが望まれる。しかしこのような装置によっ
て、目標、例えば陸上用車両または航空機の距離または
速度を正確に測定することができるにすぎない。目標の
距離および速度を同時に測定すべきであれば、このこと
は、それ自体達成可能な最大精度を駆使したときしか実
現できない。即ち、パルス・ドップラー・レーダを用い
て目標の距離および速度を同時に測定する場合、距離お
よび速度方向におけるレーダの分解能が相応の個別測定
に関連して低減される。それ故に距離方向または速度方
向において、それ以下では複数の目標の発見が可能では
ないという分解限界値が存在する。距離または速度方向
における分解限界値は、距離方向における同じドップラ
ー速度においてまたは速度方向における同じ距離におい
て所定の確率で2つの目標を区別できることによって特
徴付けられている。
【0004】パルス・ドップラー・レーダの分解能限界
値に対する重要な量はとりわけ、パルス繰返し周波数P
RF,使用の高速フーリエ変換の長さNFFT,走査ない
し検出時間Ta並びに送信パルス長Trxである。現在通
例の方法、例えば分解基準として信号経過中の2つの最
大値間の相対的な最小値を探索する所謂“バレー・セン
シング”方式によって、50%の確率で、最大の測定精
度のほぼ1.5ないし2倍に相応する分解値が得られ
る。この方式では、2つの目標を分解するために、信号
経過の振幅のみが使用される。
【0005】
【発明の課題】本発明の課題は、冒頭に述べた形式の方
法を、目標の距離および速度を同時に測定する場合、所
属の分解能限界値が著しく低減されるように、改善する
ことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題は、請求項1の
特徴部分に記載の構成によって解決される。有利な実施
例および/または改良例はその他の実施例に記載されて
いる。
【0007】
【発明の効果】本発明の利点は、目標の距離および速度
を同時に測定する場合の分解限界値が、現在通例の方
法、即ち距離測定に対するHPRF方式(High-Pulse-R
epetition-Frequency)ないし速度測定に対するLPR
F方式(Low-Pulse-Repetition-Frequency)を用いた
相当する個別測定で生じる値より著しく下方にあるとい
う点にある。
【0008】本発明は、パルス・ドップラー・レーダに
おいて付加的に1つまたは複数の目標から反射される信
号の位相値を評価することに基づいている。
【0009】
【実施例】次に本発明を図示の実施例につき図面を用い
て詳細に説明する。
【0010】パルス・ドップラー・レーダにおいて受信
された信号は、送信周波数に相応する信号によって復調
されかつ最終的にパルス繰返し周波数(PRF)と同期
して検出される。相応の検出値は、図1に示されている
ように、距離−2重マトリクスに配置することができ
る。その際横座標には、パルス繰返し周波数PRFまで
のドップラー周波数fと、最大速度vuまでの相応する
速度vとをとることができる。その際線の間隔は値PR
F/NFFTないしΔvに相応する。縦座標には、時間1
/PRFまでの時間tと、距離Ruまでの距離Rとをと
ることができる。その際線の間隔は検出時間Taないし
距離ΔRに相応する。距離方向において、斜線を施した
盲領域Rbが生じる。
【0011】ドップラー方向における一義的な領域は、
パルス繰返し周波数PRFによって決められる。これに
応じてここでは測定精度PRF/NFFTが得られる。パ
ルス繰返し周波数の逆数1/PRFが距離方向における
一義的な領域を決定し、一方ここでは測定精度は検出時
間Taによって予め決められている。送信フェーズの間
は受信することができないので、レーダは0ないしRb
の多義的な領域において盲であり、このことは図1では
斜線の部分にて示されている。
【0012】図1に示された周波数および時間量は、測
定すべき物理量、即ち速度および距離に、送信周波数の
波長λないし光速cについて次の関係が成り立つ:
【0013】
【数1】
【0014】例えば、所謂HPRF速度サーチ・モード
に従って動作するパルス・ドップラー・レーダでは、検
出時間Ta、パルス繰返し周波数PRFおよび波長λに
対して次の限界値が成り立つ: Ta≧0.500μsec 200.000kHz≦PRF≦250.000kHz 3.5cm≦ λ ≦4.0cm これに応じて測定精度ΔRおよびΔvに対して次の式が
成り立つ:
【0015】
【数2】
【0016】その場合距離および速度の一義的な領域は
次の値にある:
【0017】
【数3】
【0018】時間領域における分解能限界値を決定する
信号経過は、実質的に受信分路の入力領域に設けられた
所謂整合フィルタによって決められる。その際整合フィ
ルタは周波数領域においてガウス曲線に近似される。周
波数0の際の増幅定数を、例えば値1に固定したとき、
ガウスフィルタの唯一の自由なパラメータとしてなお帯
域幅2Btx(図2)が残る。図2において所属の絶対値
スペクトルが示されている。
【0019】振幅経過は周波数f=Btxにおいて3dB
だけ降下すべきである。次の周波数関数がこの要求を満
足する:
【0020】
【数4】
【0021】上式(3.1)の逆フーリエ変換により整
合フィルタのインパルス応答が次のように生じる:
【0022】
【数5】
【0023】式(3.2)の時間関数を正規化し、その
最大値が値1を有すれば、次式が成り立つ: Sm′(t)=Sm(t)/c 図3には、所属の3dBパルス幅Ttxを有するガウスフ
ィルタの正規化されたインパルス応答が図2に対応して
示されている。
【0024】このインパルス応答とその畳み込みにより
整合フィルタの後に信号が生じる。従って受信パルスは
最適に整合されかつ雑音を含む受信信号に対して最大の
SN比が得られることになる。しかし実際の受信信号は
上で仮定した理想形状から多かれ少なかれ偏差を有して
いるので、SN比は低減されることになる。しかし2つ
の目標の分解の解析処理のために、受信パルスのモデル
を予め定める必要があり、そのためにモデルとして最適
な信号形状が絶対必要である。その場合整合フィルタの
後の信号は次のように表される:
【0025】
【数6】
【0026】図4には、Btx=0.5MHzに対するこ
の種の信号S(t)並びに縮尺通りに、測定精度に相応
する、距離ゲートの拡がりが示されている。距離ゲート
に対する値は、HPRF−VS−モードにおける上記の
例から明らかである。
【0027】周波数領域における信号経過は一方におい
て時間領域NFFT/PRFにおける信号の長さによって
決められ、他方において重み付け関数によって決められ
る。周波数領域における最狭の主ローブは時間領域にお
ける矩形ウィンドウによって発生される。主ローブの3
dBの帯域幅はここでは正確にNFFT/PRFであり、
その際NFFTは使用のFFTの長さである。それぞれ別
の窓関数は主ローブを拡張するが、副ローブを低下させ
る。従って窓関数は、周波数領域における副ローブ特性
に応じてのみ選択される。慣用の窓関数では3dB幅
は、x・PRF/NFFT,1≦x≦2にある。図5およ
び図6の線図では、ハミング窓が使用された。その場合
周波数ないし相応の速度に対する3dB幅は次の通りで
ある:
【0028】
【数7】
【0029】その際図5には、重み付けられた単色信号
の時間信号が示されておりかつ図6には対応する振幅ス
ペクトルが示されている。パルス・ドップラー・レーダ
の送信信号St(t)は次のように表すことができる:
【0030】
【数8】
【0031】その際b(t)はパルス繰返し周波数PR
Fにおける周期的な関数およびω0は送信周波数であ
る。
【0032】図7に示すように、パルス・ドップラー・
レーダを有する図示の航空機1に2つの近接して並んで
飛行する、殆ど同じ速度を有する目標Z1,Z2が近付
いて飛来する状況があるとき、航空機1は次の受信信号
r(t)を受信する:
【0033】
【数9】
【0034】上式(4.2)は、2つの加算重畳された
成分から成っており、その際c1およびc2は2つの反
射成分の振幅である。2つの項はドップラー周波数およ
び走行時間において微分成分dRおよびdvだけが相異
している。更に、2つの目標が、ランダムな位相を有し
ていることが重要である。これら位相は相互に全く相関
されていない。
【0035】
【数10】
【0036】による復調の際にこれら2つの位相はその
まま維持される。というのは復調器における初期フェー
ズは、零への一般化に制限することなく次のように表す
ことができるからである:
【0037】
【数11】
【0038】式(4.3)をフーリエ変換すると次式が
成り立つ:
【0039】
【数12】
【0040】ただしB(f)は、b(t)○_●B
(f)から生じた。フーリエ変換された値を離散的フー
リエ変換(DFT)によって近似すると、基準点iにお
いて離散的なスペクトルが得られる: iΔf=f (4.5) 時間ずれTrないし信号の走行時間により、周波数とと
もに直線的に上昇する位相が生じ、その際勾配、即ち群
遅延時間は、目標距離に正比例している。この位相項が
検出点毎に非常に僅かに変化するものと仮定すれば、次
式が得られる:
【0041】
【数13】
【0042】それからスペクトルに対する一般化の制限
なしに次のように書き表すことができる:
【0043】
【数14】
【0044】この式は、スペクトルB(f)が僅かな検
出値にわたってしか拡がっていないので、有効である。
図8は、式(4.7)に相応する2つの位相値の重要性
を示そうとするものである。このために図8には、位相
の点で著しく相異している2つの近接して並んで存在す
る目標のスペクトルが示されている。
【0045】式(4.6)における前提条件が成り立っ
ていなければ、位相はスペクトルに沿ってある値だけ更
に回転する。位相の引き続く回転は、式(4.4)に従
った距離に依存している。この効果は、図9に図示され
ている。そこにはリニヤに変化する位相を有する2つの
目標のスペクトルが示されている。
【0046】図10には、多目標状況を検出するために
振幅の評価をすればよい種々の例が示されている。この
ような分解能に対する前提条件は、使用のフィルタまた
は距離ゲートの数が2より大きいことである。その場合
3つの順次並んだフィルタまたは距離ゲートx(i),
x(i+1),x(i+2)において、
【0047】
【数15】
【0048】が成り立つとき、即ち平均値が最小振幅を
有しているかまたはしきい値を上回っていないとき(上
式中λ(i+1)は、基準点i+1におけるしきい値で
ある)、多目標状況が推定される。全部がしきい値を上
回る4つの順次並んだフィルタまたは距離ゲートx
(i),x(i+1),x(i+2),x(i+3)で
は、多目標判定に対する条件は次の通りである:
【0049】
【数16】
【0050】上式中∧は論理ANDでありかつ∨は論理
ORである。(5.1)および(5.2)における条件
が満たされていないとき、評価のために付加的に位相が
用いられる。条件(5.2)の、5つまたはそれ以上の
順次並んだフィルタまたは距離ゲートを有する状況への
拡張が特別困難ではなく、ここでは明らかに実施されな
い。
【0051】図11には、正確に同じ速度、ひいては同
じドップラー変位を有するが、2つの隣接する距離ゲー
トにおいて現われる2つの目標がモデルとして示されて
いる。
【0052】ところで、1つの目標が2つの距離ゲート
に分割されるかまたは2つの目標が2つの隣接する距離
ゲートに現われる2つの場合を区別しなければならな
い。このことは、各目標に属する2つの位相値に基づい
てのみ可能である。最初、単一目標状況と見做して、式
(4.3)から次の相応の時間信号が導出される:
【0053】
【数17】
【0054】この信号を検出時間Taによって検出する
とき、べき指数において時間tを次の項によって置換す
ることができる:
【0055】
【数18】
【0056】従って位相は、距離ゲート毎の目標のドッ
プラー速度に基づいて次の値だけ更に回転する:
【0057】
【数19】
【0058】この位相回転は、ドップラー変位fD1に比
例している。ドップラー周波数は非常に正確に既知であ
るので、分解アルゴリズムにおいて相応の補正を導入す
ることができる。冒頭に述べた例のデータに対して、次
の限界値内で次の位相回転が生じ:
【0059】
【数20】
【0060】かつ極端な場合756mradまたは46
°をとることができる。この事実関係は図12に示され
ている。従って上述の補正は、ドップラー周波数に依存
している位相ずれ値を計算しかつそれから隣接する距離
ゲートにおいて単一目標状況に相応する信号を発生しな
ければならない。
【0061】
【数21】
【0062】この値Σ1′は、Σ1に隣接する距離ゲート
の実際の複素値Σ2と比較されなければならない。例え
ば10dBの最小SN比、即ち
【0063】
【数22】
【0064】を選択すれば、補正された値Σ1′分の角
度をもったセクタが得られる。この事実関係は、図13
に示されている。
【0065】その際このセクタの最大幅θmaxは、SN
比SNRに依存している。
【0066】この角度領域は、単一目標状況に対する識
別空間Eであり、即ちすべての目標はこの識別空間内で
は単一目標として評価される。これに相補的な角度領
域、即ちこの識別領域の外部にある目標は多目標状況
(複数の単一目標から成る)として評価される。識別空
間Eの最大幅2θmaxは次の式から生じる:
【0067】
【数23】
【0068】その際10dBのSN比を基礎にして考察
された。式(5.8)をθmaxに従って解くと、 θmax=18.5° (5.9) が得られる。
【0069】従って単一目標に対する識別空間は次の角
度セクタ −θmax<argΣ1′−argΣ2<θmax (5.10) によって制限されている。逆三角関数を回避するため
に、次の式が利用される:
【0070】
【数24】
【0071】式(5.9)における値を用いて最終的
に、多目標状況に対する次の識別特徴が得られる:
【0072】
【数25】
【0073】この事実関係は、図14に示されている。
単一目標状況が多目標状況として宣言される確率PF2
解析計算するのは非常に困難である。PF2は次の積分に
よって決められる:
【0074】
【数26】
【0075】積分に基づいて形成される密度関数は、数
値数学の補助手段によって計算することができるガウス
曲線である。
【0076】図15には、正確に同じ距離を有するが、
ドップラー方向において微分値dfだけ相異している2
つの目標が示されている。
【0077】更に図15には、それぞれの目標の位相が
ドップラー方向に沿って更に回転することが示されてい
る。この場合も、ドップラー信号に対する個別状況が考
察される。それから式(4.4)に従って次の式が成り
立つ:
【0078】
【数27】
【0079】ここでは検出は周波数領域において行われ
る。
【0080】
【数28】
【0081】として次式が成り立つ:
【0082】
【数29】
【0083】ここでも位相は検出値毎に順次回転する。
しかしここではその原因となるのは距離ないし信号の走
行時間である。これにより個々のドップラーフィルタ間
に次の位相差が生じる:
【0084】
【数30】
【0085】前述の例との相異点は、距離が既知でない
こと、従って補正も実施できないことである。HPRF
−VS−モードに対する本願の実施例において、位相回
転に対して次式が得られる:
【0086】
【数31】
【0087】225kmの最大距離において位相は65
°または1.13radだけ更に回転する。
【0088】図16には、2つの隣接するドップラーフ
ィルタと距離との間の関係が示されている。
【0089】距離は既知ではないので、ベクトルΣ
1(i)が図16に示されたセクタの中心に正確に回転
される。このことは、
【0090】
【数32】
【0091】との複素乗算によって次のように実現され
る:
【0092】
【数33】
【0093】ここでも10dBのSN比が仮定される。
従って図17に示されているように、単一目標状況に対
する識別空間として用いられる、Σ1′を中心とした対
称形のセクタが得られる。その際図16に示されている
セクタは式(5.9)に相応してθmax=18.5°を
中心に右方向および左方向に拡大された。従ってセクタ
の角度限界値に対して次式が成り立つ:
【0094】
【数34】
【0095】ここでも式(5.11)を使用することが
でき、従って逆三角関数の使用を避けることができる。
しかしこのことは、ベクトルΣ1′は識別空間の中心に
位置し、従って余弦関数に相応する状態が発生されたこ
とによってのみ可能である。これにより単一目標状況に
対するセクタは、Σ1′の変数を中心に51°の拡がり
を有している。これを移行して識別基準に対して次の式
が生じる:
【0096】
【数35】
【0097】距離が既知であれば、2つの隣接するドッ
プラーフィルタ間の位相回転は正確に前以て計算するこ
とができる。式(5.16)を用いて次式が成り立つ:
【0098】
【数36】
【0099】これに応じて複素ベクトルは距離に相応す
る位相を中心に更に回転することができる:
【0100】
【数37】
【0101】そこで多目標状況に対する識別空間の決定
は、これまでの実施に従って行われる。例として使用し
た、10dBのSN比の場合、単一目標状況に対する仮
説が成り立つセクタが、次の角度値によって制限され
る:
【0102】
【数38】
【0103】この事実関係は、図18に示されている。
多目標状況ないし単一目標状況に対する識別基準は次の
ように、式(5.12)と同一である。
【0104】
【数39】
【0105】ただしここではベクトルΣ1およびΣ2は距
離方向において並んでおらず、ドップラー方向において
並んでいる。この識別基準の表示は、図14からわか
る。
【0106】図19ないし図22には、HPRF−レー
ダの、種々の条件下での分解能を説明するための実施例
が示されている。
【0107】図19のaおよびbは、距離方向における
2つの目標の、距離方向における分解確率が示されてい
る。反射された信号においては単に2つの目標によって
重畳された振幅が評価される。その際2つの目標は正確
に、おおよそ300m/sのドップラー速度、同じ振幅
を来すことになる同じ反射波横断面および約50kmの
平均距離を有している。HPRFレーダは約3.5cm
の送信波長によって動作する。送信されたパルス長(検
出時間)は、約75mの距離ゲート長に相応し、受信分
岐の入力側における整合フィルタの帯域幅BtxはBtx
0.85MHzである。図19のaには、上述の平均距
離において、目標距離(mにおける)、即ち検出すべき
目標間の距離に依存している識別確率P_A(%におい
て)が示されている。その際整合フィルタの出力側に4
0dBのSN比が生じるものことを前提とした。図19
aから、50%の検出確率において約112mの最小目
標距離を有する2つの目標が2つの目標として識別され
ることが明らかである。
【0108】図19のbに示された例は図19のaに示
された例とは単に、所望のSN比25dBを有している
点でのみ相異している。この条件下でも、最小目標距離
は約10mだけ約122mに拡張される。
【0109】図20のaおよびbには、2つの目標の、
速度方向における分解確率が示されている。その際、図
19におけるように、反射された目標の和信号の振幅の
みが評価される。2つの目標は正確に、約300m/s
の平均速度および同じ反射波横断面においておおよそ5
0kmの同じ距離を有している。FFTの長さは次の通
りであり:NFFT=2048、パルス繰返し周波数は
次の通りであった:PRF=250kHz。重み付けの
ためにハミング窓が使用された。図20のaにおいて整
合フィルタの出力側では40dBのSN比である。その
際目標における50%の検出確率は、約3.33m/s
の速度差に対応している。10dBのSN比において
(図20B)、殆ど同じ速度分解が存在している。
【0110】図21a,bおよび図22a,bは図19
のa,bないし図20のa,bに相応するが、振幅(絶
対値)に対して付加的に位相が評価される点で相異して
いる。
【0111】図21aにおいてパラメータは図19aの
パラメータに相応している。SN比は40dBである。
図から、50%の検出確率は約25mの目標距離に低下
していることが明らかである。25dBのSN比では
(図21のb)、この目標距離間隔は再び約52mに拡
大される。
【0112】図22aにおいてパラメータは図20のa
のパラメータに相応する。SN比は40dBである。5
0%の検出確率は約2.1m/sの速度差に低下してい
ることがわかる。最小の速度差は有利にも、著しく低い
SN比、例えば図22bに示されているように25dB
においても維持される。
【0113】本発明は図示の実施例に制限されず、別の
レーダ、例えばMPRFまたはLPRF方式に従って動
作するパルスドップラーレーダにも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】横座標にドップラー周波数fおよび速度vがと
られ、縦座標に時間tおよび距離がとられた距離−2重
マトリクスの略図である。
【図2】周波数0の際の増幅定数を1に固定したとき残
る帯域幅の絶対値スペクトルを示す線図である。
【図3】図2に対応した、ガウスフィルタの正規化され
たインパルス応答の線図である。
【図4】信号S(t)の経過および距離ゲートの拡がり
を示す線図である。
【図5】重み付けられた単色信号の時間信号を示す線図
である。
【図6】図5に対応する振幅スペクトルを示す線図であ
る。
【図7】パルス・ドップラー・レーダを有する航空機1
および該航空機に近付いて飛来する目標Z1,Z2を略
示する図である。
【図8】位相が異なっている2つの目標のスペクトルを
示す線図である。
【図9】リニヤに変化する位相を有する2つの目標のス
ペクトルを示す線図である。
【図10】多目標状況を検出するために振幅を評価する
種々の例を示す線図である。
【図11】正確に同じ速度、ひいては同じドップラー変
位を有するが、2つの隣接する距離ゲートにおいて現わ
れる2つの目標をモデルとして示す図である。
【図12】位相回転を説明する略図である。
【図13】単一目標に対する識別空間Eを示す略図であ
る。
【図14】多目標状況に対する識別方法を説明するため
の線図である。
【図15】正確に同じ距離を有するが、ドップラー方向
において部分値dfだけ相異している2つの目標を示す
図である。
【図16】2つの隣接するドップラーフィルタと距離と
の関係を示す略図である。
【図17】単一目標および多目標の識別を説明するため
の図である。
【図18】単一目標および多目標の識別を説明するため
の線図である。
【図19】距離方向における2つの目標の、距離方向に
おける分解確率を示す線図である。
【図20】2つの目標の、速度方向における分解確率を
示す線図である。
【図21】図19に相応する別の分解確率を示す線図で
ある。
【図22】図20に相応する別の分解確率を示す線図で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−68680(JP,A) 特開 平2−6781(JP,A) 特開 平1−260382(JP,A) 西独国特許3620734(DE,B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つの目標によって反射され
    るレーダ信号を距離および/または速度方向に関して評
    価しかつそこから1つまたは複数の目標の存在を推定す
    る、パルス・ドップラー・レーダを用いて少なくとも2
    つの目標を識別する方法において、少なくとも1つの目
    標によって反射されたレーダ信号においてその位相値を
    評価し、そこから隣接フィルタないし隣接距離ゲートの
    平均位相値を求め、前記隣接フィルタないし隣接距離ゲ
    ートの位相値の、その前に計算された平均位相値からの
    偏差を求めかつ前記位相値の偏差が所属のしきいを上回
    るや否や、多目標状況を識別することを特徴とする少な
    くとも2つの目標を識別する方法。
  2. 【請求項2】 しきい値を、重み付けフィルタの通過後
    に受信された信号のSN比に依存して形成する請求項1
    記載の少なくとも2つの目標を識別する方法。
  3. 【請求項3】 重み付けフィルタをガウスフィルタとし
    て形成する請求項1または2記載の少なくとも2つの目
    標を識別する方法。
  4. 【請求項4】 それぞれのドップラー領域に対して、隣
    接するドップラーフィルタにおける平均位相値を形成す
    る請求項1から3までのいずれか1項記載の少なくとも
    2つの目標を識別する方法。
  5. 【請求項5】 それぞれの距離領域(距離ゲート)に対
    して、隣接距離ゲートにおける平均位相値を形成する請
    求項1から4までのいずれか1項記載の少なくとも2つ
    の目標を識別する方法。
  6. 【請求項6】 振幅値(絶対値)に対して付加的に、計
    算された平均位相値に対する位相値の偏差を評価し、か
    つ所属のしきい値を上回った際に多目標状況の存在を推
    定する請求項1から5までのいずれか1項記載の少なく
    とも2つの目標を識別する方法。
  7. 【請求項7】 パルス・ドップラー・レーダはHPRF
    モードに従って動作しかつ前記レーダの受信された信号
    の位相を評価する請求項1から6までのいずれか1項記
    載の少なくとも2つの目標を識別する方法。
  8. 【請求項8】 パルス・ドップラー・レーダを航空機に
    おける機上レーダとして形成する請求項1から7までの
    いずれか1項記載の少なくとも2つの目標を識別する方
    法。
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