JP3021334B2 - 遠心ボウル - Google Patents

遠心ボウル

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JP3021334B2
JP3021334B2 JP7286504A JP28650495A JP3021334B2 JP 3021334 B2 JP3021334 B2 JP 3021334B2 JP 7286504 A JP7286504 A JP 7286504A JP 28650495 A JP28650495 A JP 28650495A JP 3021334 B2 JP3021334 B2 JP 3021334B2
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憲昌 岩田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、間欠血流遠心方式
の血液成分分離装置に使用する遠心ボウルに関し、さら
に詳細には、体外循環時間を短縮するとともに体外循環
血液量を少なくし、また、回転シール部材の漏洩対策が
なされた遠心ボウルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】以前、輸血は血液を漫然と輸血する形で
施行されてきた。しかし、現在においては、真に患者が
必要とする血液成分のみを与え、不要な血液成分はなる
べく与えない成分輸血が急速に発展している。その血液
成分とは、基質となる血漿と細胞成分の血球とに大別さ
れ、さらに、かかる血球は、赤血球、白血球および血小
板に区別される。成分輸血が急速に発展してきた理由に
は、患者に不要な血液成分を輸注して臓器に負担をかけ
たり、副作用を起こしたり、新しい抗体が産出されたり
することを防止するという医学的要請等による。かかる
成分輸血を施行するためには、必要とされる血液成分を
血液から選択的に分離する「血液成分分離」を行なわな
ければならない。
【0003】現在における「血液成分分離」では、供血
者から血液を採血し、採血した血液から必要とされる血
液成分のみを分離採取し、残りの血液を同一の供血者に
返血している。一般に、供血者から採血される血液の大
部分(例えば、赤血球を含んだ血漿)は返血されること
から、採血された血液の全てを提供する「献血」と比べ
て、供血者にかかる負担は少ない。採血・分離採取・返
血の一連の動作からなる「血液成分分離」は、種々の血
液成分分離装置により約30分から90分かけて行なわ
れている。
【0004】かかる血液成分分離装置は、血液の成分を
分離する方式によりいくつかに分類することができる
が、その中の一つに、間欠血流遠心方式の血液成分分離
装置がある。供血者の片側の静脈を確保して、一定量の
血液を抗凝固剤を混合しながら採血し、採血された血液
を遠心分離により必要とされる血液成分を採取した後
に、残りの血液を返血する操作を交互に6〜8回繰り返
す方式で、いわゆるバッチ方式と呼ばれるものである。
以下に、間欠血流遠心方式の血液成分分離装置の原理に
ついて、図面を用いて簡単に説明する。
【0005】図10、11に、間欠血流遠心方式の血液
成分分離装置150における、乏血小板血漿(少量の血
小板を含んだ血漿)を分離採取する際のフロー図を示
す。図10は採血(及び分離採取)時のものであり、図
11は返血時のものである。尚、かかる血液成分分離装
置150のモーターや開閉弁等の一連の操作はマイクロ
コンピュータにより制御されるが、自動制御に関する記
述等は説明の便宜上省略する。
【0006】採血(及び分離採取)時において、採血針
151を介して供血者の静脈から採られたばかりの血液
は、採血針151を離れるとすぐに抗凝固処理される。
抗凝固処理は、容器152に入っている抗凝固剤153
が、ローラー形の抗凝固剤用ポンプ154の回転によっ
て、除菌フィルター166を介して容器152に接続さ
れている管155を通り、採血針151に供給されるこ
とにより行なわれる。抗凝固処理された血液は、静脈圧
力により管156を通って、気泡検出室157の底部に
流れ込む。
【0007】そして、気泡検出室157を満たした血液
は、ローラー形の血液用ポンプ158の回転により管1
59、160を通って、遠心ボウル161の流入ポート
181(図12、13、14参照)に送られる。血液が
送られた遠心ボウル161は、図示しないモーターによ
り回転する。この回転により、遠心ボウル161内の血
液は遠心分離されて、乏血小板血漿と非乏血小板血漿
(赤血球等を多量に含んだ血漿)とに分けられる。分離
された乏血小板血漿は、周辺ポート182(図12、1
3、14参照)から流出され、管162、163を通っ
て、血漿用容器164に送られる。
【0008】ここで、血液成分分離装置150に使用さ
れる遠心ボウル161の構造について、図面を用いて簡
単に説明する。図12に遠心ボウル161の外観図を示
す。また、図13に遠心ボウル161の断面図を示す。
【0009】血液が送られる流入ポート181を設けた
ポート部材180には、そのほかに周辺ポート182と
上部スカート183が設けられている。また、ポート部
材180には供給管ステム184が挿嵌されており、ポ
ート部材180の内部は二重管の構造となっている。か
かる二重管の構造では、(供給管ステム184の)内側
は流入ポート181と連通しており、(供給管ステム1
84の)外側は周辺ポート182と連通している。ま
た、下部スカート185が供給管ステム185に嵌挿さ
れて、上部スカート183との間に周辺ポート182と
連通する採取口186を形成している。一方、中空状の
遠心ボウル本体187の頂部には、遠心ボウル本体18
7の軸線P2と同心である開口200が設けられてお
り、かかる開口200にポート部材180が遊挿され
て、供給管ステム185と採取口186が遠心ボウル本
体187の内部に位置している。
【0010】かかる遠心ボウル本体187は、上側に向
かって次第に狭くなる所謂円錐台の形状をしており、そ
の遠心ボウル本体187の内部には、同じく円錐台の形
状をした上部コア188が内装されて、遠心ボウル本体
187の内周面と上部コア188の外周面との間に分離
空間201を形成し、さらに、遠心ボウル本体187の
開口200と上部コア188の頂部との間に採取空間2
02を形成している。かかる採取空間202に、上述し
た採取186が介在することにより、周辺ポート182
と採取空間202とが流通する。また、上部コア188
の頂部中央に形成された遊挿口に下部コア189の円管
部189Aを嵌着し、上部コア188の下側端部に下部
コア189の円板部189Bを嵌着することにより、上
部コア188と下部コア189とを一体化している。か
かる下部コア189の円管部189Aには、上述した供
給管ステム185が挿入されており、下部コア189の
円管部189Aの内部も二重管の構造をしている。
【0011】そして、遠心ボウル本体187の下側に底
部材190を固着することにより、上部コア188の頂
部に形成された数個の爪部188Aを遠心ボウル本体1
87の内側に当接させ、上部コア188の下側端部に形
成された数個の爪部188Bを底部材190の上側に当
接させて、一体化された上部コア188と下部コア18
9とを、遠心ボウル本体187の内部において固定して
いる。これにより、下部コア189の円板部189Bの
下側と底部材183の上側との間に底部チャンネル20
3が形成され、遠心ボウル本体187の頂部と上部コア
188の頂部との間に採取チャンネル204が形成され
ている。
【0012】ポート部材180と遠心ボウル本体187
との装着に用いられる回転シール部材は、弾性ベローズ
191、カーボンリング192、セラミック環193お
よび押えリング194からなるメカニカルシール195
が用いられ、矢印Q2の方向に軸P2を回転軸として回
転可能に取り付けられている。尚、遠心ボウル161が
回転する時は、管160等が接続されるポート部材18
0等は血液成分分離装置150に固定されており、血液
が流入する遠心ボウル本体187や上部コア188等が
回転する。
【0013】血液成分分離装置150においては、血液
を採血時の状態で維持するために、遠心ボウル本体18
7の内部を密封することにより、空気の漏洩を最小に防
ぐ必要があるが、遠心ボウル161(即ち、メカニカル
シール195)に関しては、以下のようにして、空気の
漏洩を最小に防いでいる。
【0014】遠心ボウル161が血液成分分離装置15
0に装着されていない時は、弾性ベローズ191により
ポート部材180が上側に押し上げられるが、ポート部
材180に設けられた上部スカート183が遠心ボウル
本体187の内面と当接することにより、ポート部材1
80が上部へ抜けることを防止するとともに、弾性ベロ
ーズ191の歪んだ状態が保持されて、弾性ベローズ1
91がカーボンリング192をセラミック環193に押
えつけることができ、メカニカルシール195の摺動面
(カーボンリング192とセラミック環193との接触
面)における、空気の漏洩を最小に防いでいる。
【0015】一方、遠心ボウル161が血液成分分離装
置150に装着されている時は、ポート部材180が下
側に押し下げられて固定される。これにより、前者と比
べてより強い弾性力をもって、弾性ベローズ191がカ
ーボンリング192をセラミック環193に押えつける
ことができ、遠心ボウル161の回転時におけるメカニ
カルシール195の摺動面の空気の漏洩を最小に防いで
いる。
【0016】また、ポート部材180には、メカニカル
シール195を覆うようにヘッダーシールド196が設
けてあり、メカニカルシール195が外部に露出しない
ようにしている。また、ヘッダーシールド196の爪部
196Aが、遠心ボウル本体187の頂部と当接するこ
とにより、ポート部材180が下側に押し下げ過ぎるこ
とがないようにしている。
【0017】次に、かかる遠心ボウル161によって、
血液が乏血小板血漿と非乏血小板血漿とに遠心分離され
る原理について、図面を用いて説明する。図14は、遠
心分離の原理図である。回転している遠心ボウル161
に、管160を通して流入ポート181に送られてきた
血液は、供給管ステム184により底部材190の中央
部にまで運ばれる。そして、遠心ボウル161の回転に
よって血液に遠心力が作用し、血液が底部チャンネル2
03を通って分離空間201に移動する。さらに、血液
が遠心ボウル161に送り続けられると、分離空間20
1、採取チャンネル204、採取空間202等の遠心ボ
ウル161の空間は、血液で満たされていく(全量22
5ml)。
【0018】このとき、血液成分の比重の差と遠心力等
から、図14に示す相が分離空間201に形成される。
分離空間201の外側には、血球の中で最も比重の重い
赤血球(比重1.093〜1.096)を多量に含んだ
血漿(以下、単に「赤血球」という)の相211が形成
される。赤血球の相211の内側には、赤血球の次に比
重が重い白血球213が存在し、さらに、その内側には
白血球の次に比重が重い血小板212(比重1.04
0)が存在する。
【0019】白血球213と血小板212は、血液にお
いて占める割合が極端に低いので、赤血球の相211の
厚さに比べて、白血球213または血小板212を多量
に含んだ血漿の相の厚さは薄いため、白血球213およ
び血小板212を多量に含んだ血漿の相214をまとめ
て「バフィーコート」と呼んで扱われることが多い。バ
フィーコートの相214の内側には、採取チャンネル2
04、採取空間202に渡って、血漿(比重1.093
〜1.096)の相215が形成される。
【0020】但し、上述した相211、214、215
の形成具合いは、血液に供給される抗凝固剤153の比
率(以下、「抗凝固剤:血液」の比率で表記する)や遠
心速度等に左右される。また、相211、214、21
5の境界が明確に形成されることはなく、例えば、血漿
の相215における境界付近には、血小板212が混入
している領域がかなりの幅をもって存在している。
【0021】図14に示すような相を分離空間201に
形成するには、抗凝固剤153を1:9〜10の比率で
供給し、遠心速度を4800rpmに設定する必要があ
るとされる。また、乏血小板血漿と非乏血小板血漿とを
分離するには、抗凝固剤153を1:16の比率で供給
し、遠心速度を5650rpmに設定する必要があると
され、このような条件に設定すると、バフィーコートの
相214は、赤血球を多量に含んだ血漿の相211に含
まれる状態となり、血漿の相215に混入する血小板2
12がより少なくなって、血漿の相215を乏血小板血
漿として扱うことができる。
【0022】そして、さらに血液が遠心ボウル161に
供給されると、分離空間201の上側(の内側)に滞留
する血漿の相215の乏血小板血漿が、周辺ポート18
2から流出して血漿用容器164に採取される。一方、
分離空間201の下側(の外側)に滞留する赤血球を多
量に含んだ血漿の相211は、分離空間201内におい
て体積を次第に増しながら残留する。
【0023】その後において、赤血球を多量に含んだ血
漿の相211が分離空間201を満たしたら、かかる相
211(非乏血小板血漿であり、以下、「残留血液」と
いう)を供血者に返血する(図11参照)。返血時にお
いては、遠心ボウル161の回転を止めるとともに、血
液用ポンプ158の回転を反転させる。同時に、抗凝固
剤用ポンプ154の回転を止めて、抗凝固剤153の供
給を中止する。回転が止められた遠心ボウル161で
は、残留血液が底部に向かって貯められる。かかる残留
血液が、血液用ポンプ158の汲み上げ作用によって、
流入ポート181から流出して管160、159を通
り、気泡検出室157に流入する。気泡検出室157に
おいては、残留血液が濾過されるとともに、残留血液に
気泡が包含されていないことを確認する。確認された残
留血液は、管156と採血針151を介して、供血者に
返血される。
【0024】このようにして、間欠血流遠心方式の血液
成分分離装置150では、断続的に血液成分の分離を行
うことによって、採血と返血の操作を交互に6〜8回繰
り返している。ところで、遠心分離の原理を用いた血液
成分分離装置装置には、間欠血流遠心方式のほかに連続
血流遠心方式のものがある。連続血流遠心方式の血液成
分分離装置装置では、供血者の2本の静脈を確保して、
一方の静脈から採血した血液に対し連続的に血液成分の
分離を行いながら他方の静脈へ返血するので、採血針と
返血針の間に血液の連続流を形成する必要があり、装置
の仕組みや操作が複雑になる傾向がある。即ち、間欠血
流遠心方式の血液成分分離装置150は、連続血流遠心
方式のものと比べて、装置の仕組みが単純であり、操作
が簡便である利点を持つ。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
遠心ボウル161を使用した間欠血流遠心方式の血液成
分分離装置150では、以下のような問題点があった。 (1)採血(及び分離採取)時においては供血者に全く
返血されることがないので、返血される血液のうち、供
血者から最初の頃に採血されたものについては、供血者
の体外から出て再び供血者の体内に戻るまでに要する時
間(以下、「体外循環時間」という)が相当に長くな
り、返血される血液(ひいては、供血者)にかなりの負
担をかけていた。かかる観点から言えば、採血と返血を
同時に行う連続血流遠心方式の血液成分分離装置装置を
使用することが望ましいが、かかる装置は仕組みや操作
が複雑なので、仕組みが単純であり操作が簡便である間
欠血流遠心方式の血液成分分離装置150において、連
続的に血液成分の分離を行って採血と返血を同時に行う
ことができる技術の開発が待たれていた。
【0026】(2)分離空間201の下側(の外側)に
残留する赤血球の相211が、分離空間201内におい
て体積を次第に増加させて、分離空間201の上側(の
内側)に滞留する血漿の相215である乏血小板血漿
を、分離空間201から周辺ポート182へ押し出すよ
うにして、分離された乏血小板血漿を血漿用容器164
に採取するので、血液中の赤血球の占める割合であるヘ
マトクリット値(以下、「Ht値」という)が低い供血
者にとっては、血液を分離採取するために必要な供血者
から採血される血液量(以下、「体外循環血液量」とい
う)が多くなり、低体重でありHt値の低い供血者にか
なりの負担をかけていた。最近の装置においては、供血
者安全対策の充実により、体外循環血液量をプログラム
によって自動制御できるものもあるが、装置の仕組みが
複雑になる上に、供血者のHt値や体重等を予め計測し
て体外循環血液量を予測する必要があり、供血者に対す
る安全管理が確実であるとは言えなかった。
【0027】(3)回転する遠心ボウル161を密封す
るために、メカニカルシール195により空気の漏洩を
最小に防いでいたが、メカニカルシール195では空気
の漏洩を完全に防止することはできないので、外部から
菌が侵入する可能性は否定できず、また、メカニカルシ
ール195が不良であるか否かは外見からは発見できな
い場合もあり得るので、供血者や成分輸血される者に対
する安全管理が確実であるとは言えなかった。
【0028】そこで、本発明は、上述した問題点を解決
するためになされたものであり、間欠血流遠心方式の血
液成分分離装置に使用する遠心ボウルにおいて、連続的
に血液成分分離を行うことにより、体外循環時間を短縮
するとともに体外循環血液量を少なくし、また、遠心ボ
ウルの内圧を外圧より高圧にすることにより、回転シー
ル部材の漏洩対策がなされた遠心ボウルを提供すること
を目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の遠心ボウルは、上側に向かって次第に狭くなる
中空状の遠心ボウル本体の頂部に、前記遠心ボウル本体
の軸線と同心である開口を設け、流入ポートを設けたポ
ート部材を前記開口から前記遠心ボウル本体の内部に遊
挿して回転シール部材で取り付けることにより、前記遠
心ボウル本体を密封しながら前記軸線を回転軸として回
転させ、前記軸線と平行若しくは上側に向かって漸近す
る面と前記遠心ボウル本体の内周面とで形成される分離
空間に、前記分離空間と流通する前記流入ポートから流
入する血液を、前記分離空間で遠心力により比重の異な
る血液成分に分離する遠心ボウルを有する遠心ボウルで
あって、前記遠心ボウル本体に、前記流入ポートが前記
分離空間に流通する位置の下側から前記軸線に向かって
前記分離空間と連通する第1採取空間と、前記開口に隣
接するとともに前記分離空間の上側から前記軸線に向か
って前記分離空間と連通する第2採取空間とを形成し、
前記ポート部材に、前記第1採取空間と流通する第1流
出ポートと、前記第2採取空間と流通する第2流出ポー
トとを設けることにより、前記遠心ボウルを回転させて
いる間に、前記分離空間の下側に滞留する比重の重い第
1血液成分を、前記第1採取空間を介して前記第1流出
ポートから流出させる一方、前記分離空間の上側に滞留
する比重の軽い第2血液成分を、前記第2採取空間を介
して前記第2流出ポートから流出させることを特徴とす
る。
【0030】また、前記分離空間と前記第2採取空間と
は前記軸線の方向に狭いチャンネルを介して連通されて
おり、前記チャンネルの下側において形成された間隙に
より、前記分離空間の上側から前記軸線に向かって前記
分離空間と連通する第3採取空間を前記遠心ボウル本体
に形成し、前記ポート部材に、前記第3採取空間と流通
する第3流出ポートを設けることにより、前記遠心ボウ
ルを回転させている間に、前記第2血液成分の次に比重
が軽い第3血液成分を、前記間隙から前記第3採取空間
に流入させて前記第3流出ポートから流出させることを
特徴とする。また、コア部材を前記遠心ボウル本体に内
装することにより、前記分離空間、前記第1採取空間、
前記第2採取空間、前記第3採取空間、及び前記チャン
ネルを形成し、前記コア部材は前記遠心ボウル本体と一
体となって回転することを特徴とする。
【0031】さらに、前記ポート部材に前記第2採取空
間と流通する供給ポートを設けることにより、前記供給
ポートから前記第2採取空間に加圧空気が供給されるこ
とを特徴とする。また、前記回転シール部材がメカニカ
ルシールであることを特徴とする。
【0032】このような構成を有する本発明の遠心ボウ
ルでは、遠心ボウル本体の軸線上に、回転シール部材を
介して、ポート部材が取り付けられている。かかるポー
ト部材を血液成分分離装置に固定させることにより、遠
心ボウル本体の軸線を回転軸として遠心ボウルを回転さ
せることができ、また、回転する遠心ボウルに対して血
液の流入・流出を安定して行うことができる。回転する
遠心ボウルの内部にポート部材の流入ポートから血液が
流入すると、血液が回転軸から遠心ボウル本体の内周面
に向かって遠心力により移動して、流入ポートと流通す
る分離空間に集められる。
【0033】分離空間に集められた血液は、遠心力が作
用する方向(回転軸から遠心ボウル本体の内周面)に向
かって、血液成分の比重の軽い順(即ち、第2血液成
分、第3血液成分、血液、第1血液成分)に、回転軸と
平行な相を分離空間に形成して滞留する。しかしなが
ら、本発明に係る遠心ボウルの分離空間は、回転軸(即
ち、軸線)と平行若しくは上側に向かって漸近するコア
部材の面と、上側に向かって次第に狭くなる遠心ボウル
本体の内周面により形成されているので、かかる分離空
間は上側に向かって次第に回転軸に近づいていく。従っ
て、分離空間のうち下側の空間については、回転軸から
最も遠くなって、比重の最も重い第1血液成分である赤
血球が滞留する。また、分離空間のうち上側の空間につ
いては、回転軸から最も近くなって、比重の最も軽い第
2血液成分である血漿が滞留する。
【0034】そして、さらに血液が流入ポートから回転
する遠心ボウルの内部に流入されると、分離空間の下側
に滞留する第1血液成分である赤血球は、分離空間の下
側から連通する第1採取空間に押し出される。流入ポー
トが分離空間に流通する位置の下側において、分離空間
が第1採取空間と連通するので、流入ポートから分離空
間に流入した血液のうち、第1血液成分である赤血球よ
り比重の軽い第2血液成分である血漿等が、第1採取空
間に押し出されることはない。第1採取空間に押し出さ
れた第1血液成分である赤血球は、第1採取空間と流通
する第1流出ポートから遠心ボウル本体の外部に流出し
て採取される。
【0035】また、分離空間の上側に滞留する第2血液
成分である血漿は、分離空間の上側から連通する第2採
取空間に、狭いチャンネルを介して押し出される。流入
ポートが分離空間に流通する位置の上側において、分離
空間が第2採取空間と連通するので、流入ポートから分
離空間に流入した血液のうち、第2血液成分である血漿
より比重の重い第1血液成分である赤血球が、第2採取
空間に押し出されることはない。第2採取空間に押し出
された第2血液成分である血漿は、第2採取空間と流通
する第2流出ポートから遠心ボウル本体の外部に流出し
て採取される。また、チャンネルの下側に形成された間
隙を介して、分離空間と第3採取空間が連通している場
合でも、チャンネルを介して第2採取空間に向かう第2
血液成分である血漿は、遠心力の作用によりチャンネル
の下側にある間隙から第3採取空間に向かうことはな
い。
【0036】第3血液成分であるバフィーコートを採取
する場合には、第1流出ポートと第2流出ポートを閉じ
て、分離空間に滞留する血液が、第3流出ポートのみか
ら遠心ボウル本体の外部に流出できるようにする。この
ような状態において、血液が流入ポートから分離空間に
流入すると、分離空間の上側に滞留する第2血液成分で
ある血漿は、分離空間の上側と連通するチャンネルに押
し出される。第2流出ポートは閉じられていることか
ら、第2採取空間に流入することができる量に限界が生
じ、第2採取空間に流入することができない第2血液成
分である血漿は、チャンネルの下側にある間隙から第3
採取空間に流入する。第3採取空間に流入した第2血液
成分である血漿は、第3採取空間と流通する第3流出ポ
ートから遠心ボウル本体の外部に流出する。
【0037】その後に、さらに血液が流入ポートから分
離空間に流入すると、分離空間に滞留する第3血液成分
であるバフィーコートがチャンネルに押し出されるが、
遠心力が作用することによって、第2血液成分である血
漿より比重の軽い第3血液成分であるバフィーコート
は、チャンネルと比べて回転軸により近い位置にある第
2採取空間に、既に流入した第2血液成分である血漿と
入れ換わって流入することはできない。従って、チャン
ネルの下側にある間隙から第3採取空間に流入する。こ
のとき、回転軸に平行で厚さの薄い相を分離空間に形成
しているバフィーコートは、回転軸(即ち、軸線)の方
向に狭いチャンネルに押し出されることから、バフィー
コートはチャンネルに残留することなく、第3採取空間
に効率よく流入させることができる。第3採取空間に流
入した第3血液成分であるバフィーコートは、第3採取
空間と流通する第3流出ポートから遠心ボウル本体の外
部に流出して採取される。
【0038】尚、第3血液成分であるバフィーコートを
第3流出ポートから流出している際にも、流入ポートか
ら分離空間に血液が流入しているので、かかる血液のう
ち第2血液成分である血漿も、第3血液成分であるバフ
ィーコートと一緒に、第3流出ポートから流出されるこ
とになるが、第2血液成分である血漿は血液の基質であ
って、第3血液成分であるバフィーコートに当然に含ま
れるので問題はない。
【0039】また、第1採取空間、第2採取空間、第3
採取空間は、分離空間から軸線に向かった位置(即ち、
遠心ボウル本体の内周面に対し内側)に設けられてお
り、分離空間で分離された第1血液成分、第2血液成
分、第3血液成分は、遠心力が作用する方向とは逆の方
向に向かって徐々に押し出される。これは、分離空間か
ら第1血液成分、第2血液成分、第3血液成分が、例え
ば遠心力等によって急激に押し出されて、分離空間に形
成される第1血液成分、第2血液成分、第3血液成分等
の相の状態を破壊することを防止する。
【0040】また、供給ポートから加圧空気を供給し
て、遠心ボウル本体の開口に隣接した第2採取空間に加
圧空気を供給すると、遠心ボウル本体の内部の圧力が遠
心ボウル本体の外部の圧力より高くなる。従って、遠心
ボウル本体(の開口)を密封している回転シール部材の
シール性能が不良になった場合には、回転シール部材に
おける漏れが遠心ボウル本体の内部から外部に向かって
流出するので、遠心ボウル本体の外部から内部に空気が
侵入することを防ぐ。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
の形態である遠心ボウル1A、1Bを、図面を用いて詳
細に説明する。図1、3に、かかる血液成分分離装置5
0で使用する遠心ボウル1A、1Bの構造を示す。尚、
遠心ボウル1A、1Bの外観は、ポート部材5A、5B
に設けられるポートの数を除いては、従来の遠心ボウル
161(図12参照)と同様な形状をしている。
【0042】図1は、3つのポート4、14、15をも
つ遠心ボウル1Aの構造を示した断面図である。上側に
向かって次第に狭くなる中空状の遠心ボウル本体2の頂
部には、かかる遠心ボウル本体2の軸線P1と同心であ
る開口3が設けられている。流入ポート4を設けたポー
ト部材5Aが、かかる開口3から遠心ボウル本体2の内
部に遊挿されており、回転シール部材であるメカニカル
シール9で取り付けられている。メカニカルシール9
は、弾性ベローズ5、カーボンリング6、セラミック環
7および押えリング8等からなり、遠心ボウル本体2を
密封しながら軸線P1を回転軸(以下、「回転軸」に対
しても符号P1を用いる)として回転させることができ
る。尚、回転方向はどちらの方向でもよいが、説明の便
宜上、矢印Q1の方向とする。
【0043】また、ポート部材5Aには、メカニカルシ
ール9を覆うようにヘッダーシールド10が設けて、外
部にメカニカルシール9が露出しないようにしており、
さらに、ヘッダーシールド10の爪部11が、遠心ボウ
ル本体1Aの頂部と当接することにより、ポート部材5
Aが下側に押し下げ過ぎることがないようにしている。
【0044】ポート部材5Aには、血液100(図6、
7、8、9、10参照)が送られる流入ポート4のほか
に、第1流出ポート14と第2流出ポート15が設けら
れている。また、ポート部材5Aの内部は三重管の構造
となっていて、流入ポート4は流出口16と、第1流出
ポート15は第1採取流入口17と、第2流出ポート1
4は第2採取流入口18と、それぞれ連通している。
尚、流出口16は管の切口であるが、第1採取流入口1
7と第2採取流入口18は円形のスカート状である。
【0045】遠心ボウル本体2の内部には、軸線P1と
上側に向かって漸近するコア部材12A(いわゆる円錐
台の形状をしている)の外周面と、遠心ボウル本体2の
内周面との間に、分離空間51が環状に形成されてい
る。また、コア部材12Aの頂部と、遠心ボウル本体2
の開口3との間に、第2採取空間52が形成されてい
る。さらに、コア部材12Aの爪部13が遠心ボウル本
体2の内面に当接することにより、軸線P1の方向に狭
いチャンネル61が環状に形成されている。かかるチャ
ンネル61により、第2採取空間52は、分離空間51
の上側から軸線P1の方向に向かって、分離空間51と
連通している。
【0046】さらに、コア部材12Aの内部の上部には
第1採取空間53が、底部には円板状の底部チャンネル
62が、それぞれ形成されている。また、コア部材12
Aには、その頂部から底部にかけて、第1採取空間53
を貫き底部チャンネル62にまで達する遊挿口19が、
ポート部材5Aを遊挿するために設けてあり、ポート部
材5Aを開口3から遊挿口19に遊挿して、流出口16
を底部チャンネル62の中央の上部に介在させている。
同時に、第1採取流入口17を第1採取空間53に、第
2採取流入口18を第2採取空間52に、それぞれ介在
させている。これにより、第1流出ポート15が第1採
取流入口17を介して第1採取空間53と流通し、第2
流出ポート14が第2採取流入口18を介して第2採取
空間52と流通することができる。
【0047】また、コア部材12Aの外周面が底部チャ
ンネル62と接続する位置には、スリット63が円形状
に形成されている。これにより、流入ポート4は、流出
口16、底部チャンネル62、スリット63を介して、
分離空間51と流通することができる。スリット63に
よりコア部材12Aの外周面は上下に分断されるが、か
かる外周面の内側に上下方向に沿って形成された内部チ
ャンネル64等により保持される。
【0048】ここで、遠心ボウル本体2を底部チャンネ
ル62(切断線A−B−C)において切断した(水平)
断面図である図2を用いて、スリット63近辺の構造を
説明すると、管状の4本の内部チャンネル64が円板状
の底部チャンネル62を貫いており、かかる内部チャン
ネル64がコア部材12Aの外周面の内側に沿って形成
されることにより、スリット63により上下に分断され
るコア部材12Aの外周面を保持する。尚、スリット6
3を断続的に設けることにより、コア部材12Aの外周
面が上下に分断されることを防止してもよい。
【0049】また、内部チャンネル64は、下側で分離
空間51と、上側で第1採取空間53と連通している。
これにより、第1採取空間53は、分離空間51の下側
から軸線P1の方向に向かって、分離空間51と連通す
ることができる。分離空間51等の各空間やチャンネル
61等の各チャンネルを形成しているコア部材12A
は、底部材20が遠心ボウル本体2に固着されることに
より、遠心ボウル本体2の内部において固定され、遠心
ボウル本体2と一体となって回転する。
【0050】ここで、3つのポート4、14、15をも
つ遠心ボウル1Aにおける血液100に流れについて、
簡単に説明する。流入ポート4に流入した血液100は
流出口16から流出され、底部チャンネル62の中央部
に運ばれる。底部チャンネル62の中央部に運ばれた血
液100は、遠心力の作用によって、底部チャンネル6
2とスリット63を介して分離空間51に移動する(図
2参照)。
【0051】分離空間51に移動した血液100は、2
つのルートを通って、遠心ボウル1Aの外部に流出す
る。一方のルートは、分離空間51の下側より内部チャ
ンネル64、第1採取空間53、第1採取口17を介し
て、第1流出ポート14から遠心ボウル1Aの外部に流
出するルートである。他方のルートは、分離空間51の
上側よりチャンネル61、第2採取空間52、第2採取
口18を介して、第2流出ポート15から遠心ボウル1
Aの外部に流出するルートである。尚、分離空間51に
おいて、連続的に行われる血液成分分離の説明は、後述
する。
【0052】次に、4つのポート4、14、15、21
Bをもつ遠心ボウル1Bの構造について、説明する。
尚、遠心ボウル1Bの構造のうち、上述した遠心ボウル
1Aと共通する構造については、遠心ボウル1Aの構造
の説明を参照することとし、遠心ボウル1Aと異なる構
造について、以下に取り上げて説明する。図3は、遠心
ボウル1Bの構造を示した断面図である。ポート部材5
Bには、第3流出ポート21Bが設けられている。ま
た、ポート部材5Bの内部は四重管の構造となってい
て、第3流出ポート21Bは第3採取流入口22Bと連
通している。尚、第3採取流入口22Bは円形のスカー
ト状である。
【0053】また、コア部材12Bの内部の上部には第
3採取空間54Bが形成されおり、かかるコア部材12
Bには、その頂部から底部にかけて、第3採取空間54
Bと第1採取空間53を貫き底部チャンネル62にまで
達する遊挿口19が、ポート部材5Bを遊挿するために
設けてあり、ポート部材5Bを開口3から遊挿口19に
遊挿することにより、第3採取流入口22Bを第3採取
空間54Bに介在させている。これにより、第3流出ポ
ート21Bが第3採取流入口22Bを介して第3採取空
間54Bと流通することができる。さらに、チャンネル
61の下側には断続的に間隙65Bが設けてあり、かか
るチャンネル61と間隙65Bにより、第3採取空間5
4Bは、分離空間51の上側から軸線P1の方向に向か
って、分離空間51と連通することができる。
【0054】4つのポート4、14、15、21Bをも
つ遠心ボウル1Bにおける血液100に流れについて
は、上述した遠心ボウル1Aの2つのルートのほかに、
分離空間51の上側よりチャンネル61、間隙65B、
第3採取空間54B、第3採取口22Bを介して、第3
流出ポート21Bから遠心ボウル1Bの外部に流出する
ルートがある。
【0055】次に、遠心ボウル1Bを用いた血液成分分
離装置50の血液成分分離について、図面を用いて説明
する。図5に、両腕法における血液成分分離装置50の
フロー図を示す。
【0056】採血針120Rを介して供血者の一方の腕
70Rの静脈から採られたばかりの血液100は、採血
針120Rを離れるとすぐに抗凝固処理される。抗凝固
処理は、抗凝固剤用容器110に入っている抗凝固剤1
05が、ローラー形の抗凝固剤用ポンプ71の回転によ
って、除菌フィルター39を介して抗凝固剤用容器11
0に接続されている管80を通り、圧力モニター40に
監視されながら採血針120Rに供給されることにより
行なわれる。抗凝固処理された血液100は、静脈圧力
により管81を通って、気泡検出室41の底部に流れ込
む。
【0057】そして、気泡検出室41を満たした血液1
00は、ローラー形の供給用ポンプ72の回転により管
82、83を通って、エアーセンサー42により血液1
00に気泡が包含していないことを確認しながら、遠心
ボウル1Bの流入ポート4に送られる。血液100が送
られた遠心ボウル1Bは、図示しないモーターにより回
転する。この回転により、遠心ボウル1B内の血液10
0は遠心分離されて、第1血液成分である赤血球101
と、第2血液成分である血漿102と、第3血液成分で
あるバフィーコート103の血液成分に分離される(図
6、7、8、9、10参照)。以下に、遠心ボウル1B
によって、血液100の各血液成分が分離採取される原
理について、図面を用いて説明する。
【0058】図6は、供血者から採血された血液100
から、第1血液成分である赤血球101と、第2血液成
分である血漿102とが採取される際の血液成分分離装
置50のフロー図を示す。赤血球101と血漿102を
採取する際には、バルブ30(図5参照)、35、36
は開いておき、バルブ31、32、33、34、37、
38は閉じておく。尚、血液成分分離装置50で使用さ
れるバルブ30〜38はいわゆるピンチバルブであり、
弾力性を有する管81〜97をクランプすることによ
り、バルブ30〜38の開閉は行なわれる。
【0059】回転する遠心ボウル1Bの内部に流入ポー
ト4から流入した血液100は、回転軸P1から遠心ボ
ウル本体2の内周面に向かって作用する遠心力によっ
て、底部チャンネル62とスリット63を通って、分離
空間51に集められる。分離空間51に集められた血液
100は、遠心力が作用する方向(回転軸P1から遠心
ボウル本体2の内周面)に向かって、血液成分の比重の
軽い順(即ち、第2血液成分である血漿102、第3血
液成分であるバフィーコート103、血液100、第1
血液成分である赤血球101)に、回転軸P1と平行な
相を分離空間51に形成して滞留する。本発明に係る遠
心ボウル1Bの分離空間51は、上側に向かって次第に
回転軸P1に近づいていくことから、分離空間51の下
側に比重の最も重い第1血液成分である赤血球101が
滞留する。また、分離空間51の上側に比重の最も軽い
第2血液成分である血漿102が滞留する。
【0060】そして、さらに血液100が回転する遠心
ボウル1Bの内部に流入ポート4から流入すると、分離
空間51の下側に滞留する第1血液成分である赤血球1
01は、分離空間51の下側から連通する第1採取空間
53に、内部チャンネル63を介して押し出される。第
1採取空間53が分離空間51と連通する位置は、血液
100が分離空間51に流入するスリット63より下側
だから、流入ポート4から分離空間51に流入した血液
100のうち、第1血液成分である赤血球101より比
重の軽い第2血液成分である血漿102等が、第1採取
空間53に押し出されることはない。第1採取空間53
に押し出された第1血液成分である赤血球101は、第
1採取口17を介して第1流出ポート15から流出し、
管86を通って、計量器45により監視される赤血球用
容器113に採取される。
【0061】第1血液成分である赤血球101を返血す
る場合には、赤血球用容器113に第1血液成分である
赤血球101が一定量を採取したことを計量器45によ
り確認した後に、バルブ37を開くとともにローラー形
の返血用ポンプ73を回転させて、同一の供血者に返血
する。赤血球用容器113に採取された第1血液成分で
ある赤血球101は、管88、90、91、92を通っ
て、エアーセンサー47により気泡を包含してないこと
を確認されながら気泡検出室48に流入し、管93と採
血針120Lを介して、同一の供血者の他方の腕70L
の静脈に返血される。このようにして、第1血液成分で
ある赤血球101を採取(採血)しながら、返血を同時
に行うことができ、もって、血液成分分離に要する時間
を短縮できる。
【0062】また、分離空間51の上側に滞留する第2
血液成分である血漿102は、分離空間51の上側から
連通する第2採取空間52に、狭いチャンネル61を介
して押し出される。第2採取空間52が分離空間51と
連通する位置は、血液100が分離空間51に流入する
スリット63より上側だから、流入ポート4から分離空
間51に流入した血液100のうち、第2血液成分であ
る血漿102より比重の重い第1血液成分である赤血球
101等が、第2採取空間52に押し出されることはな
い。また、遠心力が作用することにより、第2血液成分
である血漿102が、チャンネル61の下側の間隙65
Bを介して、第3採取空間54Bに向かうこともない。
第2採取空間52に押し出された第2血液成分である血
漿102は、第2採取口18を介して第2流出ポート1
4から流出し、管85を通って、計量器46により監視
される血漿用容器114に採取される。
【0063】第2血液成分である血漿102を返血する
場合には、血漿用容器114に第2血液成分である血漿
102が一定量を採取したことを計量器46により確認
した後に、バルブ38を開くとともにローラー形の返血
用ポンプ73を回転させて、同一の供血者に返血する。
血漿用容器114に採取された第2血液成分である血漿
102は、管89、90、91、92を通って、エアー
センサー47により気泡を包含してないことを確認さら
ながら気泡検出室48に流入し、管93と採血針120
Lを介して、同一の供血者の他方の腕70Lの静脈に返
血される。このようにして、第2血液成分である血漿1
02を採取(採血)しながら、返血を同時に行うことが
でき、もって、血液成分分離に要する時間を短縮でき
る。
【0064】尚、液層光学センサー49A、49Bで監
視することにより、分離空間51に形成されるバフィー
コート103の相の位置を調節し、かかるバフィーコー
ト103や血液100等が血漿用容器114に流入する
ことを防止して、連続的に血液成分分離を行うことを確
保している。具体的には、液層光学センサー49Aがバ
フィーコート103を検知したときに、バルブ34、3
6、38を開くとともに返血用ポンプ73を回転させる
ことにより、血漿用容器114に採取された血漿102
を、遠心ボウル1Bの流入ポート4に流入する血液10
0と合流させて、遠心ボウル1Bに再び流入させる。同
時に、遠心ボウル1Bの流入ポート4に流入する血液1
00の量を常に一定に保つため、供給用ポンプ72の回
転を減速させてもよい。これにより、液層光学センサー
49Aがバフィーコート103を検知する以前と比べ
て、遠心ボウル1Bの流入ポート4へ流入する血液10
0における赤血球101の占める割合が少なくなり、分
離空間51で分離される赤血球101よりも第1流出ポ
ート15から流出する赤血球101の量が多くなって、
赤血球101の相の位置が分離空間51の下側に移動
し、ひいては、バフィーコート103の相の位置も分離
空間51の下側に移動する。この状態は、液層光学セン
サー49Bがバフィーコート103を検知するまで維持
され、液層光学センサー49Bがバフィーコート103
を検知した場合には、バルブ34、36、38を閉じる
とともに返血用ポンプ73の回転を停止させ、同時に供
給用ポンプ72の回転を通常時の回転に戻して、通常の
血液成分分離の状態に戻す。
【0065】次に、第3血液成分であるバフィーコート
103の分離採取について説明する。図7は、供血者か
ら採血された血液100から、第3血液成分であるバフ
ィーコート103が採取される際の血液成分分離装置5
0のフロー図を示す。第3血液成分であるバフィーコー
ト103を採取する際は、液層光学センサー49Aがバ
フィーコート103を検知した後に、閉じていたバルブ
のうちバルブ33を開き、開いていたバルブのうちバル
ブ35、36、37、38を閉じる。
【0066】そして、さらに血液100が流入ポート4
から回転する遠心ボウル1Bの内部に流入すると、分離
空間51の上側に滞留する第2血液成分である血漿10
2は、分離空間51の上側と連通するチャンネル61に
押し出される。バルブ36は閉じられて第2流出ポート
14から流出することができないことから、第2採取空
間52に流入することができる量に限界が生じて、第2
採取空間52に流入することができない第2血液成分で
ある血漿102が、チャンネル61の下側にある間隙6
5Bから第3採取空間54Bに流入する。第3採取空間
54Bに流入した第2血液成分である血漿102は、第
3採取口22Bを介して第3流出ポート21Bから流出
し、管84を通って、バフィーコート用容器112に採
取される。
【0067】その後に、さらに血液100が流入ポート
4から分離空間51に流入すると、分離空間51に滞留
する第3血液成分であるバフィーコート103がチャン
ネル61に押し出されるが、第2血液成分である血漿1
02より比重の重い第3血液成分であるバフィーコート
103は、遠心力が作用することによって、チャンネル
61と比べて回転軸P1により近い位置にある第2採取
空間102に、既に流入した第2血液成分である血漿1
02と入れ換わって流入することはできず、チャンネル
61の下側にある間隙65Bから第3採取空間54Bに
流入する。
【0068】分離空間51に滞留していたときは、回転
軸P1と平行で厚さの薄い相を形成していたバフィーコ
ート103(図6参照)が、回転軸P1の方向に狭いチ
ャンネル61に押し出されることから、バフィーコート
103がチャンネル61に残留することなく、第3採取
空間54Bに効率よく流入することができる。第3採取
空間54Bに流入した第3血液成分であるバフィーコー
ト103は、第3採取口22Bを介して第3流出ポート
21Bから流出し、管84を通って、バフィーコート用
容器112に採取される。
【0069】第3血液成分であるバフィーコート103
の採取の終了は、管84を通るバフィーコート103を
監視するカラーセンサー43により行う。遠心ボウル本
体2の内部で分離されたバフィーコート103のほとん
どがバフィーコート用容器112に採取されると、第3
採取空間54Bは血液100により占有された状態とな
り、かかる血液100の一部がバフィーコート103に
混ざって、管84を通ってバフィーコート用容器112
に向かって移動し始める。これをカラーセンサー43が
検出すると、バルブ33を閉じてバフィーコート103
の採取を終了する。バフィーコート103の採取が終了
した時の遠心ボウル1Bの断面は、後述する図8に示し
たものと同じである。
【0070】尚、第3血液成分であるバフィーコート1
03がバフィーコート用容器112に採取される以前に
は、第2血液成分である血漿102がバフィーコート用
容器112に採取され、また、第3血液成分であるバフ
ィーコート103を第3流出ポート21Bから流出して
いる際には、流入ポート4から分離空間51に血液10
0が流入しているので、かかる血液100のうち第2血
液成分である血漿102も、第3血液成分であるバフィ
ーコート103と一緒に、第3流出ポート21Bから流
出されてバフィーコート用容器112に採取されること
になるが、第2血液成分である血漿102は血液100
の基質であって、第3血液成分であるバフィーコート1
03(白血球103Aと血小板103Bを含む血漿10
2)に当然に含まれるので問題はない。
【0071】また、第1血液成分である赤血球101が
押し出される第1採取空間53、第2血液成分である血
漿102が押し出される第2採取空間52、第3血液成
分であるバフィーコート103が押し出される第3採取
空間54Bは、分離空間51から回転軸(即ち、軸線)
P1に向かった位置に設けられていることから、分離空
間51で分離された赤血球101、血漿102、バフィ
ーコート103は、遠心力に逆らうこととなり、徐々に
押し出されることになる。これによって、血液100、
赤血球101、血漿102、バフィーコート103が、
遠心力によって急激に分離空間51から押し出されて、
分離空間51に形成される血液100、赤血球101、
血漿102、バフィーコート103の相の状態を破壊す
ることを防止することができる。
【0072】さらに、上述した実施の形態では、4つの
ポート4、14、15、21Bをもつ遠心ボウル1Bを
用いて、供血者から採取した血液100を、第1血液成
分である赤血球101と、第2血液成分である血漿10
2と、第3血液成分であるバフィーコート103に血液
成分分離していたが、3つのポート4、14、15をも
つ遠心ボウル1Aを用いた場合にも、遠心ボウル1Bを
用いたときと同様にして、供血者から採取した血液10
0を、第1血液成分である赤血球101を赤血球用容器
113に、第2血液成分である血漿102を血漿用容器
114に、それぞれ採取することができる。
【0073】次に、片腕法における血液成分分離装置5
0のフローについて説明する。上述した両腕法との大き
な違いは、供血者の一方の腕70Rのみを拘束する点
と、以下に説明する返血方法にある。図8に、第1血液
成分である赤血球101が供血者に返血される際の血液
成分分離装置50のフロー図を示す。尚、図8に示す遠
心ボウル1Bの断面は、第3血液成分であるバフィーコ
ート103の採取が終了した時のものである。また、片
腕法の場合には、管92、93、エアーセンサー47、
気泡検出室48、返血針120Lは、血液成分分離装置
50から外される。
【0074】両腕法と同様にして、第1血液成分である
赤血球101を赤血球用容器113に、第2血液成分で
ある血漿102を血漿用容器114に、第3血液成分で
あるバフィーコート103をバフィーコート用容器11
2に、それぞれ採取したら、以下の手順で返血を行う。
【0075】第1血液成分である赤血球101を返血す
る際には、バルブ30、32、35、37を開き、バル
ブ31、33、36、38を閉じておく。そして、供給
用ポンプ72を停止するとともに返血用ポンプ73を回
転させて、赤血球用容器113に採取された赤血球10
1を同一の供血者に返血する。かかる赤血球101は、
管88、91、94、96を介して、エアーセンサー4
2により気泡を包含してないことを確認されながら気泡
検出室41に流入し、管81と採血針120Rを介し
て、同一の供血者の腕70Rの静脈に返血される。この
ようにして、遠心ボウル1Bの回転を停止することなく
返血を行うことができ、もって、血液成分分離に要する
時間を短縮できる。
【0076】また、第2血液成分である血漿102を返
血する際には、バルブ30、32、36、38を開き、
バルブ31、33、35、37を閉じておく。そして、
供給用ポンプ72を停止するとともに返血用ポンプ73
を回転させて、血漿用容器114に採取された血漿10
2を同一の供血者に返血する。かかる血漿102は、赤
血球101と同様にして、同一の供血者の腕70Rの静
脈に返血されて、遠心ボウル1Bの回転を停止すること
なく返血を行うことができ、もって、血液成分分離に要
する時間を短縮できる。
【0077】また、遠心ボウル本体2の内部に残留して
いる赤血球101等を返血する際には、生理食塩水10
6を遠心ボウル本体2の内部に流入することにより行な
われる。図9に、遠心ボウル本体2の内部に残留してい
る赤血球101が供血者に返血される際の血液成分分離
装置50のフロー図を示す。かかる際には、バルブ3
1、35を開き、バルブ30、32、33、34、3
6、37、38を閉じておく。そして、供給用ポンプ7
2の回転により、生理食塩水用容器111の生理食塩水
106を、流入ポート4から回転する遠心ボウル1Bの
内部に流入させる。遠心ボウル1Bの内部に流入した生
理食塩水106は、回転軸P1から遠心ボウル本体2の
内周面に向かって作用する遠心力によって、底部チャン
ネル62とスリット63を通り、分離空間51に集めら
れる。
【0078】そして、さらに回転する遠心ボウル1Bの
内部に生理食塩水106が流入ポート4から流入する
と、分離空間51の下側に滞留する第1血液成分である
赤血球101は、分離空間51の下側から連通する第1
採取空間53に、内部チャンネル63を介して押し出さ
れる。また、生理食塩水106の比重は各血液成分に比
べて最も軽いことから、分離空間51、第2採取空間5
2、第3採取空間54Bにそれぞれ滞留している血液1
00、血漿102と入れ換わることができ、これらの血
液100等は分離空間51の下側から連通する第1採取
空間53に、内部チャンネル63を介して押し出され
る。第1採取空間53に押し出された赤血球101等
は、第1採取口17を介して第1流出ポート15から流
出し、管86を通って、計量器45により監視される赤
血球用容器113に採取される。このようにして、赤血
球用容器113に採取されたものは、第1血液成分であ
る赤血球101を返血する場合と同様にして、同一の供
血者の腕70Rの静脈に返血される。
【0079】次に、遠心ボウル本体2の外部から内部に
空気が侵入することを防いだ遠心ボウル1Aについて説
明する。図4に、かかる遠心ボウル1Aの構造と、血液
成分分離装置50のフローの一部を示す。図1に示す遠
心ボウル1Aのポート部材5Aに、供給ポート140が
設けられており、ポート部材5Aの内部は四重管の構造
となっていて、供給ポート140は供給口141と連通
している。また、供給ポート140が供給口141を介
して第2採取空間52と流通することができる。
【0080】供給ポート140には、加圧および滅菌さ
れた空気(以下、「加圧滅菌空気」という)が充填され
た加圧ボンベ133が、管130を介して接続されてい
る。かかる管130には圧力調節弁131が設けてあ
り、加圧滅菌空気の加圧圧力を圧力センサー132に基
づいて20mmHg(最大120mmHg)に調節し
て、遠心ボウル本体2の内部に加圧滅菌空気を供給する
ことができる。供給ポート140から供給された加圧滅
菌空気が、遠心ボウル本体2の開口3に隣接した第2採
取空間52に流入すると、遠心ボウル本体2の内部の圧
力を遠心ボウル本体2の外部の圧力より高くなり、遠心
ボウル本体2(の開口3)を密封しているメカニカルシ
ール9のシール性能が不良になった場合には、メカニカ
ルシール9の摺動面における漏れが遠心ボウル本体2の
内部から外部に向かって流出するので、遠心ボウル本体
2の外部から内部に空気が侵入することを防ぐことがで
きる。
【0081】尚、上記の実施の形態では、3つのポート
4、14、15をもつ遠心ボウル1Aに対して、供給ポ
ート140と供給口141とを設けて、メカニカルシー
ル9の漏洩対策を行なっているが、4つのポート4、1
4、15、21Bをもつ遠心ボウル1Bに対しても、供
給ポート140と供給口141とを設けて、ポート部材
5Bの内部を五重管の構造とし、供給ポート140が供
給口141を介して第2採取空間52と流通することが
できるようにすれば、同様にしてメカニカルシール9の
漏洩対策を行なうことができる。
【0082】以上詳細に説明したように、本実施の形態
による遠心ボウル1A、1Bを用いた血液成分分離装置
50によれば、供血者から採取された血液100が流入
ポート4から遠心ボウル1A、1Bの内部に流入する
と、回転する遠心ボウル1A、1Bの遠心分離の作用に
より、血液100が赤血球101と血漿102とバフィ
ーコート103とに分離空間51において遠心分離さ
れ、さらに血液100が遠心ボウル1A、1Bの内部に
流入すれば、分離空間51の下側に滞留する赤血球10
1が、分離空間51の下側より第1採取空間53等を介
して、第1流出ポート14から遠心ボウル1A、1Bの
外部に流出し、また、分離空間51の上側に滞留する血
漿102が、分離空間51の上側よりチャンネル61、
第2採取空間52等を介して、第2流出ポート15から
遠心ボウル1A、1Bの外部に流出し、さらに、分離空
間51に滞留するバフィーコート103が、分離空間5
1の上側よりチャンネル61、間隙65B、第3採取空
間54B等を介して、第3流出ポート21Bから遠心ボ
ウル1Bの外部に流出するので、遠心ボウル1A、1B
の回転を停止することなく、分離空間51において血液
100から各血液成分に分離された赤血球101、血漿
102、バフィーコート103を採取することができ、
採取された赤血球101または血漿102については、
遠心ボウル1A、1Bが回転している時でも同一の供血
者に返血することができるので、採血と返血を同時に行
うことが可能となり、もって、体外循環時間を短縮する
ことができ、また、血液100から血液成分分離された
赤血球101と血漿102は、遠心ボウル1A、1Bの
外部に連続的に流出することによって、赤血球101が
分離空間51に蓄積することはないので、各血液成分に
分離するために必要な分離空間51の容量を従来の22
5mlから100ml以下に減少させることが可能とな
り、もって、体外循環血液量を少なくすることができる
遠心ボウル1A、1Bを提供することができる。
【0083】さらに、ポート部材5A、5Bに設けられ
た供給ポート140に加圧滅菌空気を供給して、遠心ボ
ウル1A、1Bの内圧を外圧より高圧にすることによ
り、回転シール部材であるメカニカルシール9の漏洩対
策がなされた遠心ボウル1A、1Bを提供することがで
きる。
【0084】尚、本発明は上記実施の形態に限定される
ものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が
可能である。例えば、第2流出ポート15から流出する
血漿102を再び遠心ボウル1A、1Bに流入させ、循
環する血漿102の流れを形成させることができれば、
いわゆるサージ効果を利用して、白血球103Aの混入
が少なく血小板103Bを多く含んだ血漿102(以
下、「高純度血小板濃厚液」という)を、第2流出ポー
ト15より流出させることができ、もって、本発明に係
る遠心ボウル1A、1Bにより、高純度血小板濃厚液を
採取することもできる。
【0085】また、第1流出ポート15と第3流出ポー
ト21Bを閉じ、流入ポート4へ血液100を流入させ
て血液成分分離を行うことにより、分離空間51で分離
される赤血球101を、内部チャンネル64や第1採取
空間53に押し出されることなく、分離空間51に滞留
させ、所定量の赤血球101が分離空間51に滞留した
ら、流入ポート4への血液100の流入を中止するとと
もに第1流出ポート15に生理食塩水を流入させて、分
離空間51の下側から生理食塩水を分離空間51に供給
させることにより、分離空間51に滞留する赤血球10
1に生理食塩水を通過させて、分離空間51に存在する
遊離ヘモグロビンや抗凝固剤に含まれるヘパリンなど
を、生理食塩水と一緒に第2流出ポート14から流出さ
せ、その後に、第2流出ポート14から空気を送り込む
ことによって、遊離ヘモグロビンやヘパリンなどが洗い
ながされた赤血球101(以下、「濃縮洗浄赤血球液」
という)を、第1流出ポート15から流出させることが
でき、もって、本発明に係る遠心ボウル1A、1Bによ
り、濃縮洗浄赤血球液を採取することもできる。
【0086】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の遠心ボウル1A、1Bを使用する血液成分分離装
置によれば、供血者から採取された血液が流入ポートか
ら遠心ボウルの内部に流入すると、回転する遠心ボウル
の遠心分離の作用により、血液が赤血球と血漿とバフィ
ーコートとに分離空間において遠心分離され、さらに血
液が遠心ボウルの内部に流入すれば、分離空間の下側に
滞留する赤血球が、分離空間の下側より第1採取空間等
を介して、第1流出ポートから遠心ボウルの外部に流出
し、また、分離空間の上側に滞留する血漿が、分離空間
の上側よりチャンネル、第2採取空間等を介して、第2
流出ポートから遠心ボウルの外部に流出し、さらに、分
離空間に滞留するバフィーコートが、分離空間の上側よ
りチャンネル、間隙、第3採取空間等を介して、第3流
出ポートから遠心ボウルの外部に流出するので、遠心ボ
ウルの回転を停止することなく、分離空間において血液
から各血液成分に分離された赤血球、血漿バフィーコー
トを採取することができ、採取された赤血球または血漿
については、遠心ボウルが回転している時でも同一の供
血者に返血することができるので、採血と返血を同時に
行うことが可能となり、もって、体外循環時間を短縮す
ることができ、また、血液から血液成分分離された赤血
球と血漿は、遠心ボウルの外部に連続的に流出すること
によって、赤血球が分離空間に蓄積することはないの
で、各血液成分に分離するために必要な分離空間の容量
を従来の225mlから100ml以下に減少させるこ
とが可能となり、もって、体外循環血液量を少なくする
ことができる遠心ボウルを提供することができる。
【0087】さらに、ポート部材に設けられた供給ポー
トに加圧滅菌空気を供給して、遠心ボウルの内圧を外圧
より高圧にすることにより、回転シール部材であるメカ
ニカルシールの漏洩対策がなされた遠心ボウルを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3つのポートもつ遠心ボウルの構造を示した断
面図である。
【図2】遠心ボウル本体を底部チャンネルにおいて切断
した断面図である。
【図3】4つのポートをもつ遠心ボウルの構造を示した
断面図である。
【図4】メカニカルシールの漏洩対策がなされた遠心ボ
ウルの構造と、血液成分分離装置のフローの一部を示し
た図である。
【図5】両腕法における血液成分分離装置のフロー図を
示す。
【図6】両腕法において赤血球と血漿とが採取される際
の血液成分分離装置のフロー図を示す。
【図7】両腕法においてバフィーコートが採取される際
の血液成分分離装置のフロー図を示す。
【図8】片腕法において赤血球を返血する際の血液成分
分離装置のフロー図を示す。
【図9】片腕法において残留した赤血球等を返血する際
の血液成分分離装置のフロー図を示す。
【図10】従来の遠心ボウルを用いた血液成分分離装置
の、乏血小板血漿を分離採取する際における、採血及び
分離採取時のフロー図である。
【図11】従来の遠心ボウルを用いた血液成分分離装置
の、乏血小板血漿を分離採取する際における、返血時の
フロー図である。
【図12】遠心ボウルの外観図である。
【図13】従来の遠心ボウルの構造を示す断面図であ
る。
【図14】従来の遠心ボウルにおける遠心分離の原理図
である。
【符号の説明】
1A、1B 遠心ボウル 2 遠心ボウル本体 3 開口 4 流入ポート 5A、5B ポート部材 9 メカニカルシール 12A、12B コア部材 14 第2流出ポート 15 第1流出ポート 21B 第3流出ポート 50 血液成分分離装置 51 分離空間 53 第1採取空間 52 第2採取空間 54B 第3採取空間 61 チャンネル 65B 間隙 100 血液 101 赤血球 102 血漿 103 バフィーコート 140 供給ポート P1 遠心ボウル本体の軸線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上側に向かって次第に狭くなる中空状の
    遠心ボウル本体の頂部に、前記遠心ボウル本体の軸線と
    同心である開口を設け、流入ポートを設けたポート部材
    を前記開口から前記遠心ボウル本体の内部に遊挿して回
    転シール部材で取り付けることにより、前記遠心ボウル
    本体を密封しながら前記軸線を回転軸として回転させ、
    前記軸線と平行若しくは上側に向かって漸近する面と前
    記遠心ボウル本体の内周面とで形成される分離空間に、
    前記分離空間と流通する前記流入ポートから流入する血
    液を、前記分離空間で遠心力により比重の異なる血液成
    分に分離する遠心ボウルにおいて、 前記遠心ボウル本体に、前記流入ポートが前記分離空間
    に流通する位置の下側から前記軸線に向かって前記分離
    空間と連通する第1採取空間と、前記開口に隣接すると
    ともに前記分離空間の上側から前記軸線に向かって前記
    分離空間と連通する第2採取空間とを形成し、 前記ポート部材に、前記第1採取空間と流通する第1流
    出ポートと、前記第2採取空間と流通する第2流出ポー
    トとを設けることにより、 前記遠心ボウルを回転させている間に、前記分離空間の
    下側に滞留する比重の重い第1血液成分を、前記第1採
    取空間を介して前記第1流出ポートから流出させる一
    方、前記分離空間の上側に滞留する比重の軽い第2血液
    成分を、前記第2採取空間を介して前記第2流出ポート
    から流出させるとともに、 前記分離空間と前記第2採取空間とは前記軸線の方向に
    狭いチャンネルを介して連通されており、前記チャンネ
    ルの下側において形成された間隙により、前記分離空間
    の上側から前記軸線に向かって前記分離空間と連通する
    第3採取空間を前記遠心ボウル本体に形成し、 前記ポート部材に、前記第3採取空間と流通する第3流
    出ポートを設けることにより、 前記遠心ボウルを回転させている間に、前記第2血液成
    分の次に比重が軽い第3血液成分を、前記間隙から前記
    第3採取空間に流入させて前記第3流出ポートから流出
    させることを特徴とする遠心ボウル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する遠心ボウルにおい
    て、 コア部材を前記遠心ボウル本体に内装することにより、
    前記分離空間、前記第1採取空間、前記第2採取空間、
    前記第3採取空間、及び前記チャンネルを形成し、前記
    コア部材は前記遠心ボウル本体と一体となって回転する
    ことを特徴とする遠心ボウル。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載する遠心ボ
    ウルにおいて、 前記ポート部材に前記第2採取空間と流通する供給ポー
    トを設けることにより、 前記供給ポートから前記第2採取空間に加圧空気が供給
    されることを特徴とする遠心ボウル。
  4. 【請求項4】 請求項に記載する遠心ボウルにおい
    て、 前記回転シール部材がメカニカルシールであることを特
    徴とする遠心ボウル。
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